JPH0999419A - セメントモルタル成形品の金型構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアーが残りがなく、良好な成形が可能なセ
メントモルタル成形品の金型構造を提供する。 【解決手段】 脱水機能を持った上下動可能な上型１１
と、この上型１１の下方に設置された中型１２と、この
中型１２の周囲に当接し、上下に摺動可能な型枠１３と
が設けられたセメントモルタル成形品の金型構造であっ
て、上記型枠１３の中型１２との摺動面１３ａに型枠１
３の外部に連通する透水性を有するブロック１４が埋設
されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、セメントモルタル
成形品の金型構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、セメントモルタル成形品の製造に
おいては、図６に示すように、脱水機能を持った成形面
を有する上型１００と、中型２１０に対して上下に摺動
可能な型枠２２０が設けられた下型２００とにより構成
された金型が用いられている。上記のセメントモルタル
成形品は、セメントモルタル原料３００が中型２１０に
供給され、上型１００の圧縮作用により、下型内に充填
されたセメントモルタル原料３００が、上型１００の脱
水機構２３０より金型外に脱水されて製造されるように
なっている。例えば、特公平２−３８３６２号公報に上
記のような方法によるセメント系成形品の圧縮成形装置
が記載されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような成形用の金型の構造においては、中型２１０に供
給されたセメントモルタル原料３００は上型１００によ
り押圧されると、図７に示すように、周囲に向かってほ
ぼ円周方向に広がって行くが、先に摩擦抵抗が少ない中
央部３１０が型枠に到達することになる。続いて、脱水
工程に入ると、脱水が先に進行する上型１００側と反対
側の中枠２１０の枠型２２０との角部２１１に、図８に
示すように、セメントモルタル原料３００が充填されず
に、図中の矢視の箇所にエアーが残り、所謂成形不良を
起こすといった問題がある。

【０００４】即ち、型枠２２０と中枠２１０との間に
は、円滑な型枠２２０の摺動のため、隙間（４０ミクロ
ン程度）が設けられており、この隙間に水や油性分が介
在すると、その液膜による表面張力により阻止されて、
エアーが脱気されないままとなることに起因するもので
ある。

【０００５】本発明は、このような上記の問題点に着目
してなされたものであり、その目的とするところは、こ
れらの問題点を解消し、上記のようなエアーが残りがな
く、良好な成形が可能なセメントモルタル成形品の金型
構造を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のセメントモルタ
ル成形品の金型構造においては、脱水機能を持った上下
動可能な上型と、この上型の下方に設置された中型と、
この中型の周囲に当接し、上下に摺動可能な型枠とが設
けられたセメントモルタル成形品の金型構造であって、
上記型枠の中型との摺動面に型枠の外部に連通する透水
性を有するブロックが埋設されている。

【０００７】即ち、本発明の金型構造においては、エア
ー残りによるセメントモルタル原料の充填不良を解消す
るために、型枠に外部に連通する透水性のあるブロック
を埋設することにより、中枠と型枠間の隙間に介在する
水や油性分の液膜長さ（中枠と型枠との当たり面の長さ
であり、ほぼ５０ｍｍ程度である）を減少させ、その表
面張力に打ち勝って型枠よりのエアー抜き、及び水抜き
を可能とするものである。

【０００８】上記型枠に埋設される透水性のあるブロッ
クに用いられる材質としては、多孔質合成樹脂（ポリエ
チレン、ポリプロピレン、フッソ樹脂等）や、多孔質セ
ラミックス等が好適であり、気孔径としては１０μ〜１
００μが用いられる。

【０００９】

【作用】本発明のセメントモルタル成形品の金型構造に
おいては、脱水機能を持った上下動可能な上型と、この
上型の下方に設置された中型と、この中型の周囲に当接
し、上下に摺動可能な型枠とが設けられ、上記型枠の中
型との摺動面に型枠の外部に連通する透水性を有するブ
ロックが埋設されているので、成形加工時の加圧脱水工
程において、その圧力によって型枠と中枠との間に残さ
れたエアー、或いは水分は型枠に設けられたブロック内
を透過して金型の外部に排出され、その結果、セメント
モルタル原料を型内に完全に充填させることが可能であ
る。従って、成形不良が解消され、良好な品質の成形品
を成形することが可能である。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図１は、本発明のセメントモルタ
ル成形品の金型構造一例を示す断面図であり、図１にお
いて、金型１０は、脱水機能を持った上型１１と、中型
１２に対して上下に摺動可能な型枠１３が設けられて構
成されている。

【００１１】上記上型１１には、その内面より上方の外
部に通じる脱水路１１ｂ連通し、複数配列された脱水孔
１１ａが設けられている。又、下方の中枠１２の周囲側
面を摺動可能に設けられた型枠１３の中枠１２との摺動
面１３ａには、外部に連通する透水性のあるブロック１
４が埋設されている。中枠１３に設けられたこのブロッ
ク１４には、中枠１３内を貫通したエアー配管１５が連
通して設けられている。

【００１２】更に、中型１２の型枠１３との上方の摺動
面１２ａには凹部１６が設けられ、この凹部１６に中型
１２方向に向けて洗浄ノズル１７が配設されている。

【００１３】以下に実施例の作用を図面を参照して説明
する。図２は、成形における圧縮工程を示す断面図であ
り、型枠１３内に供給されたセメントモルタル原料２０
は、上型１１の下降により周囲に拡散されながら圧縮さ
れる。この状態においては、尚、型枠１３の端部の上下
部分には、図示のように、エアーが一部残された状態と
なっている。

【００１４】続く圧縮脱水工程においては、脱水孔１１
ａより脱水された水分が脱水路１１ｂを経由して型外に
排水されてゆく。この脱水作用と同時に、型枠１３内の
セメントモルタル原料２０と当接するブロック１４から
は、エアーが透過されて排出されてゆくことになり、セ
メントモルタル原料２０は、図４に示すように、型枠１
３内の隅々まで完全に充填され、圧縮脱水が完了して、
成形工程が終了される。

【００１５】上記の成形工程が終了すると、図５に示す
ように、成形品を伴って上型が上昇されて脱型が行われ
る。又、型枠１３はブロック１４が丁度凹部１６内に設
けられた洗浄ノズル１７と対向する位置まで降下され
る。この状態で、洗浄ノズル１７より洗浄水が噴出さ
れ、ブロック１４を始め、型枠１３の内面と中枠１２の
周囲が洗浄され、次の工程に備えられる。

【００１６】上記の洗浄ノズル１７による型内の洗浄が
完了すると、洗浄水は型外に排出される。エアー配管１
５からは、圧縮空気が供給され、ブロック１４内の水分
や残滓等が外に吹き飛ばされて洗浄され、目詰まりが防
止されて１工程が終了し、成形品が上型１１より取り外
されることになり、続いて次の工程に移ることができ
る。

【００１７】

【発明の効果】本発明のセメントモルタル成形品の金型
構造においては、脱水機能を持った上下動可能な上型
と、この上型の下方に設置された中型と、この中型の周
囲に当接し、上下に摺動可能な型枠とが設けられ、上記
型枠の中型との摺動面に型枠の外部に連通する透水性を
有するブロックが埋設されているので、成形加工時の加
圧脱水工程において、その圧力によって型枠と中枠との
間に残されたエアー、或いは水分は型枠に設けられたブ
ロック内を透過して金型の外部に排出され、その結果、
セメントモルタル原料を型内に完全に充填させることが
可能である。従って、成形不良が解消され、良好な品質
の成形品を成形することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のセメントモルタル成形品の金型構造の
一例を示す断面図。

【図２】セメントモルタル成形品の成形工程を示す断面
図。

【図３】セメントモルタル成形品の成形工程を示す断面
図。

【図４】セメントモルタル成形品の成形工程を示す断面
図。

【図５】セメントモルタル成形品の成形工程を示す断面
図。

【図６】従来のセメントモルタル成形品の金型構造を示
す断面図。

【図７】従来のセメントモルタル成形品の成形工程を示
す断面図。

【図８】従来のセメントモルタル成形品の成形工程を示
す断面図。

【符号の説明】

１１ 上型 １１ａ 脱水孔 １１ｂ 脱水路 １２ 中型 １２ａ、１３ａ 摺動面 １３ 型枠 １４ ブロック １５ エアー配管 １６ 凹部 １７ 洗浄ノズル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 脱水機能を持った上下動可能な上型と、
   この上型の下方に設置された中型と、この中型の周囲に
   当接し、上下に摺動可能な型枠とが設けられたセメント
   モルタル成形品の金型構造であって、上記型枠の中型と
   の摺動面に型枠の外部に連通する透水性を有するブロッ
   クが埋設されていることを特徴とするセメントモルタル
   成形品の金型構造。