JPH0995538A - セルロースアセテート溶液、その調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法 - Google Patents
セルロースアセテート溶液、その調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法Info
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Abstract
素以外の有機溶媒に安定な状態で溶解している溶液を得
る。 【解決手段】 58.0乃至62.5%の平均酢化度を
有するセルロースアセテートが溶媒中に溶解しているセ
ルロースアセテート溶液であって、該溶媒がハロゲン化
炭化水素を実質的に含まない有機溶媒であり、かつ該有
機溶媒を炭素原子数が3乃至12のエーテル類、炭素原
子数が4乃至12のケトン類および炭素原子数が3乃至
12のエステル類から選ぶ。
Description
ート溶液の調製方法およびセルロースアセテートフイル
ムの製造方法に関する。
強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いら
れている。セルロースアセテートフイルムは、代表的な
写真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテ
ートフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡
大している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示
装置における具体的な用途としては、偏光板の保護フイ
ルムおよびカラーフィルターが代表的である。セルロー
スアセテートの酢化度や重合度(粘度と相関関係あり)
は、得られるフイルムの機械的強度や耐久性と密接な関
係がある。酢化度や重合度が低下するにつれて、フイル
ムの弾性率、耐折強度、寸度安定性および耐湿熱性も低
下する。写真用支持体や光学フイルムとして要求される
品質を満足するためには、セルロースアセテートの酢化
度は58%以上(好ましくは59%以上)が必要である
とされる。酢化度が58%以上のセルロースアセテート
は、一般にトリアセチルセルロース(TAC)に分類さ
れる。重合度は、粘度平均重合度として270以上が好
ましく、290以上がさらに好ましいと考えられてい
る。
ソルベントキャスト法またはメルトキャスト法により製
造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテ
ートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流
延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。メルトキ
ャスト法では、セルロースアセテートを加熱により溶融
したものを支持体上に流延し、冷却してフイルムを形成
する。ソルベントキャスト法の方が、メルトキャスト法
よりも平面性の高い良好なフイルムを製造することがで
きる。このため、実用的には、ソルベントキャスト法の
方が普通に採用されている。ソルベントキャスト法につ
いては、多くの文献に記載がある。最近のソルベントキ
ャスト法では、ドープを支持体上へ流延してから、支持
体上の成形フイルムを剥離するまでに要する時間を短縮
して、製膜工程の生産性を向上させることが課題になっ
ている。例えば、特公平5−17844号公報には、高
濃度ドープを冷却ドラム上に流延することにより、流延
後、剥ぎ取りまでの時間を短縮することが提案されてい
る。
にセルロースアセテートを溶解することだけでなく、様
々な条件が要求される。平面性に優れ、厚みの均一なフ
イルムを、経済的に効率よく製造するためには、適度な
粘度とポリマー濃度を有する保存安定性に優れた溶液
(ドープ)を調製する必要がある。ドープについては、
ゲル化が容易であることや支持体からの剥離が容易であ
ることも要求される。そのようなドープを調製するため
は、溶媒の種類の選択が極めて重要である。溶媒につい
ては、蒸発が容易で、フイルム中の残留量が少ないこと
も要求される。セルロースアセテートの溶媒として、様
々な有機溶媒が提案されているが、実用化されている有
機溶媒は、実質的にはメチレンクロリドに限られてい
た。
ハロゲン化炭化水素は、近年、地球環境保護の観点か
ら、その使用は著しく規制される方向にある。また、メ
チレンクロリドは、低沸点(41℃)であるため、製造
工程において揮散しやすい。このため、作業環境におい
ても問題である。これらの問題を防止するため、製造工
程のクローズド化が行なわれているが、密閉するにして
も技術的な限界がある。従って、メチレンクロリドの代
替となるような、セルロースアセテートの溶媒を捜し求
めることが急務となっている。
(沸点:56℃)は、比較的低い沸点を有し、乾燥負荷
がそれほど大きくない。また、人体や地球環境に対して
も、塩素系有機溶剤に比べて問題が少ない。しかし、ア
セトンは、セルロースアセテートに対する溶解性が低
い。置換度2.70(酢化度58.8%)以下のセルロ
ースアセテートに対しては、アセトンは若干の溶解性を
示す。セルロースアセテートの置換度が2.70を越え
ると、アセトンの溶解性がさらに低下する。置換度2.
80(酢化度60.1%)以上のセルロースアセテート
となると、アセトンは膨潤作用を示すのみで溶解性を示
さない。
romol,chem.,143巻、105頁(197
1年)は、置換度2.80(酢化度60.1%)から置
換度2.90(酢化度61.3%)のセルロースアセテ
ートを、アセトン中で−80℃から−70℃に冷却した
後、加温することにより、アセトン中にセルロースアセ
テートが0.5乃至5重量%に溶解している希薄溶液が
得られたことを報告している。以下、このように、セル
ロースアセテートと有機溶媒との混合物を冷却して、溶
液を得る方法を「冷却溶解法」と称する。また、セルロ
ースアセテートのアセトン中への溶解については、上出
健二他の論文「三酢酸セルロースのアセトン溶液からの
乾式紡糸」、繊維機械学会誌、34巻、57頁(198
1年)にも記載がある。この論文は、その標題のよう
に、冷却溶解法を紡糸方法の技術分野に適用したもので
ある。論文では、得られる繊維の力学的性質、染色性や
繊維の断面形状に留意しながら、冷却溶解法を検討して
いる。この論文では、繊維の紡糸のために10乃至25
重量%の濃度を有するセルロースアセテートの溶液を用
いている。
法を用いて、セルロースアセテートがアセトン中に溶解
している溶液を調製することが可能になった。しかし、
セルロースアセテートがアセトン中に溶解している溶液
は、安定性が乏しいとの問題がある。溶液の安定性は、
フイルムのような製品製造における重要な条件である。
溶液の移送時に、配管中で未溶解物が発生したり、製造
装置の保守管理のための停止期間中に凝固が起きること
は避けねばならない。セルロースアセテート(酢化度:
60.9%、粘度平均重合度:299)を、アセトンを
溶媒として冷却溶解法により調製した溶液について、セ
ルロースアセテート濃度と溶液の保存温度との関係を図
1に示す。図1に示すように実用的な保存温度範囲(−
10℃から30℃)において、高温域でLCST型、低
温域でUCST型の2つの相分離領域が認められた。こ
の溶液を安定に保存するためには、図1に示す均一相領
域の温度を維持する必要がある。この領域範囲を外れる
と、溶液は相分離によるゲル化を生じて乳白色の固体と
なる。
が、ハロゲン化炭化水素以外の有機溶媒に安定な状態で
溶解している溶液を提供することである。また本発明の
目的は、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素
系有機溶剤を使用せずに、安定なセルロースアセテート
溶液を調製することでもある。さらに本発明の目的は、
メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素系有機溶
剤を使用せずに、優れたセルロースアセテートフイルム
を製造することすることでもある。
(1)のセルロースアセテート溶液により達成された。 (1)58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセ
ルロースアセテートが溶媒中に溶解しているセルロース
アセテート溶液であって、該溶媒がハロゲン化炭化水素
を実質的に含まない有機溶媒であり、かつ該有機溶媒
が、炭素原子数が3乃至12のエーテル類、炭素原子数
が4乃至12のケトン類および炭素原子数が3乃至12
のエステル類から選ばれることを特徴とするセルロース
アセテート溶液。本発明は、下記(2)〜(5)の態様
で実施することができる。 (2)有機溶媒が、2−メトキシエチルアセテート、シ
クロヘキサノン、エチルホルメートおよびメチルアセテ
ートから選ばれる(1)に記載のセルロースアセテート
溶液。 (3)セルロースアセテートが10乃至40重量%の濃
度で溶解している(1)に記載のセルロースアセテート
溶液。 (4)溶媒がさらに炭素原子数が1乃至6のアルコール
類を含む(1)に記載のセルロースアセテート溶液。 (5)セルロースアセテートが、250乃至400の粘
度平均重合度を有する(1)に記載のセルロースアセテ
ート溶液。 (6)さらに可塑剤を、セルロースアセテート100重
量部に対して0.1乃至20重量部の量で溶解させる
(1)に記載のセルロースアセテート溶液。
アセテート溶液の調製方法および下記(8)のセルロー
スアセテートフイルムの製造方法も提供する。 (7)58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセ
ルロースアセテートおよび有機溶媒との混合物であっ
て、ハロゲン化炭化水素を実質的に含まず、かつ該有機
溶媒が炭素原子数が3乃至12のエーテル類、炭素原子
数が4乃至12のケトン類および炭素原子数が3乃至1
2のエステル類から選ばれる混合物を−100乃至−1
0℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0乃至5
0℃に加温して、有機溶媒中にセルロースアセテートを
溶解する工程からなるセルロースアセテート溶液の調製
方法。 (8)(7)に記載の方法で調製したセルロースアセテ
ート溶液を支持体上に流延する工程および溶媒を蒸発さ
せてフイルムを形成する工程からなるセルロースアセテ
ートフイルムの製造方法。上記(8)のセルロースアセ
テートフイルムの製造方法は、下記(9)の態様で実施
することができる。 (9)セルロースアセテートを流延する支持体が、10
℃以下の表面温度を有している(8)に記載の製造方
法。
セテートは、平均酢化度(アセチル化度)が58.0か
ら62.5%である。酢化度とは、セルロース単位重量
当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:
D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)
におけるアセチル化度の測定および計算に従う。このセ
ルロースアセテートの酢化度の範囲は、前述したよう
に、写真用支持体や光学フイルムとして要求される品質
を満足するために必要とされる値である。また、酢化度
が58.0未満のセルロースアセテートは、本発明の冷
却溶解法を用いなくても、アセトン中に溶解することが
できる。
たは木材パルプから合成することができる。綿花リンタ
ーと木材パルプを混合して用いてもよい。一般に木材パ
ルプから合成する方が、コストが低く経済的である。た
だし、綿花リンターを混合することにより、剥ぎ取り時
の負荷を軽減できる。また、綿花リンターを混合する
と、短時間に製膜しても、フイルムの面状があまり悪化
しない。セルロースアセテートは、一般に、酢酸−無水
酢酸−硫酸でセルロースを酢化して合成する。工業的に
は、メチレンクロリドを溶媒とするメチクロ法あるいは
セルロースアセテートの非溶媒(例、ベンゼン、トルエ
ン)を添加して繊維状で酢化する繊維状酢化法が用いら
れる。
(DP)は、250以上であることが好ましく、290
以上であることがさらに好ましい。重合度が250未満
のセルロースアセテートでは、得られるフイルムの強度
が悪化する。粘度平均重合度は、オストワルド粘度計に
て測定したセルロースアセテートの固有粘度[η]か
ら、下記の式により求める。 (1) DP=[η]/Km 式中、[η]は、セルロースアセテートの固有粘度であ
り、Kmは、定数6×10-4である。
る場合、粘度平均重合度と落球式粘度法による濃厚溶液
粘度(η)とが下記式(2)の関係を満足することが好
ましい。 (2) 2.814×ln(DP)−11.753≦ln(η)≦6.29×l
n(DP)−31.469 式中、DPは290以上の粘度平均重合度の値であり、
ηは落球式粘度法における標線間の通過時間(秒)であ
る。上記式(2)は、本発明者が行なった実験のデータ
から、粘度平均重合度と濃厚溶液粘度をプロットし、そ
の結果から算出したものである。粘度平均重合度が29
0以上のセルロースアセテートにおいては、一般に重合
度が高くなると濃厚溶液の粘度が指数的に増加する。こ
れに対して、上記式を満足するセルロースアセテートで
は、粘度平均重合度に対する濃厚溶液粘度の増加が直線
的である。言い換えると、高い粘度平均重合度を有する
セルロースアセテートの場合は、上記式(1)を満足す
るように濃厚溶液粘度の増加を抑制することが好まし
い。
ートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
るMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分
子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なM
w/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが
好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ま
しく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。M
w/Mnの値が1.7を越えると、ドープ粘度が大きく
なり過ぎて、フイルムの平面性が低下する場合がある。
なお、Mw/Mnの値が1.0乃至1.4の値のセルロ
ースアセテートは、一般に製造が困難である。この範囲
の値のセルロースアセテートを得ようとしても、実際に
は分子量が著しく低いものしか得られない。従って、そ
のようなセルロースアセテートから製造したフイルム
は、分子量の低下によりフイルムの機械物性も低下する
場合が多い。
小さい値であることが好ましい。結晶化は発熱量が小さ
いことは、結晶化度が小さいことを意味する。具体的な
結晶化発熱量(ΔHc)は、5乃至17J/gであるこ
とが好ましく、6乃至16J/gであることがさらに好
ましく、10乃至16J/gであることが最も好まし
い。結晶化発熱量が17J/gを越えると、フイルム中
に多くの微結晶成分が存在することになる。微結晶があ
ると、溶媒であるアセトンへの溶解性が低下する。ま
た、得られた溶液(ドープ)の安定性も低く、再び微結
晶が生じやすい。さらに、得られるフイルムの加工適性
や光学特性も低下する。一方、結晶化発熱量が5J/g
未満であると、得られるフイルムの機械的強度が低下す
る。また、結晶化発熱量が低いと、ドープのゲル化に時
間を要するとの問題もある。
は、以上述べたような粘度平均重合度(DP)と濃厚溶
液粘度(η)の関係、Mw/Mnの分子量分布あるいは
結晶化発熱量の範囲を、容易に満足することができる。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高
くなるが、粘度は通常のセルロースアセテートよりも低
くなる。従って、前記のDPとηの関係を満足すること
ができる。また、低分子成分が除去されると、分子量の
分布も均一になる。さらに、低分子成分は結晶化しやす
いため、これを除去することにより、結晶化発熱量を低
下させることができる。低分子成分の少ないセルロース
アセテートは、通常の方法で合成した(例えば、市販
の)セルロースアセテートから低分子成分を除去するこ
とにより得ることができる。
トを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。
有機溶媒の例としては、ケトン類(例、アセトン)、酢
酸エステル類(例、メチルアセテート)およびセロソル
ブ類(例、メチルセロソルブ)が含まれる。本発明にお
いては、ケトン類、特にアセトンを用いることが好まし
い。通常の方法により得られるセルロースアセテートを
有機溶媒で一回洗浄すると、原料重量に対して10乃至
15重量%程度の低分子セルロースアセテートが洗浄液
中に除去される。洗浄後のセルロースアセテートに2回
目の洗浄を実施すると、洗浄液中に除去される低分子セ
ルロースアセテートは、一般に10重量%以下になる。
アセトン抽出分が10重量%以下であれば、低分子成分
が充分に少ないセルロースアセテートである。従って、
通常は、一回の洗浄で低分子成分が充分に少ないセルロ
ースアセテートが得られる。アセトン抽出分は、5重量
%以下であることがさらに好ましい。
洗浄前に、セルロースアセテートの粒子を粉砕あるいは
篩にかけることで、粒子サイズを調節することが好まし
い。具体的には、20メッシュを通過する粒子が70%
以上となるように調節することが好ましい。洗浄方法と
しては、ソックスレー抽出法のような溶剤循環方式を採
用することができる。また、通常の攪拌槽にて溶媒と共
に攪拌し、溶媒と分離することにより洗浄を実施するこ
ともできる。なお、一回目の洗浄では、10乃至15%
程度の低分子成分が溶媒中に溶解するため、液が粘稠に
なりやすい。このため、処理の操作を考慮し、溶媒に対
するセルロースアセテートの割合は、10重量%以下の
することが好ましい。
を製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セル
ロース100重量部に対して10乃至15重量部に調整
することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲(比較的
多量)にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子
量分布の均一な)セルロースアセテートを合成すること
ができる。
テート溶液の調製に有機溶媒を使用する。この有機溶媒
は、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素を実
質的に含まない。「実質的に含まない」とは、有機溶媒
中のハロゲン化炭化水素の割合が5重量%未満(好まし
くは2重量%未満)であることを意味する。有機溶媒
は、炭素原子数が3乃至12のエーテル類、炭素原子数
が4乃至12のケトン類および炭素原子数が3乃至12
のエステル類から選ばれる。エーテル、ケトンおよびエ
ステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケ
トンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−C
O−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化
合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒
は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有してい
てもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場
合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合
物の規定範囲内であればよい。
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が4乃至12のケトン類
の例には、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロ
ヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至12のエス
テル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメー
ト、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルア
セテートおよびペンチルアセテートが含まれる。二種類
以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシ
エチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−
ブトキシエタノールが含まれる。
0乃至61.5%のセルロースアセテート(粘度平均重
合度は、好ましくは250乃至400)に対して、室温
において限界膨潤作用を示すことが好ましい。膨潤と
は、ある物質が液体を吸収することにより体積を増す現
象を意味し、高分子物質には広く見られる現象である。
ここで、膨潤がある程度まで進み、それ以上進まない場
合を限界膨潤という。膨潤が際限なく進むと、結局、溶
解して溶液となる。そのような溶解の過程における膨潤
と区別するため、限界膨潤との用語を使用する。一般
に、溶媒がポリマーを膨潤するか溶解するか、すなわち
溶媒の溶解力は、ポリマーと溶媒とを混合した場合の自
由エネルギー変化である。さらに溶媒がポリマーを溶解
する溶解力は、微分分子希釈自由エネルギー(ΔF)で
ある。ΔFは、ある濃度の無限量の溶液に1モルの溶媒
を加えたときの自由エネルギー変化に相当する。ポリマ
ー溶液では、ΔFは一般に下記式(3)で表わされる。 (3) ΔF=RT[ln(1−v)+(1−1/φ)v+χv
2 ] 式中、Rは気体定数、Tは絶対温度、vはポリマーの容
積分率、φはポリマーと溶媒分子の容積比、そしてχは
相互作用係数である。
す。良溶媒では、この値が小となる。また、χは分子間
力の強さを表現する凝集エネルギー密度と相関があり、
その平方根が溶解度パラメーターである。溶解度パラメ
ーターは、ポリマーの溶解力の指針とされる。本発明に
使用する有機溶媒は、19.0乃至20.0MPa1/2
の溶解度パラメーターを有することが好ましい。溶解度
パラメーターは、下記式(4)で定義される。 (4) δ=(E/v)1/2 式中、δは溶解度パラメーター(MPa1/2 )であり、
Eは蒸発エネルギー(J/モル)であり、そしてvはモ
ル容積(ml/モル、20℃)である。溶解度パラメー
ターが19.0乃至20.0MPa1/2 である有機溶媒
の例としては、メチルアセテート(19.6MPa
1/2 )、シクロヘキサノン(19.7MPa1/2 )、エ
チルホルメート(19.4MPa1/2 )および2−メチ
ル−2−ブタノール(19.0MP1/2 )を挙げること
ができる。メチルアセテートが最も好ましい。
却時のセルロースアセテートの溶解能力が高く、比較的
高い冷却温度(−30乃至−20℃)でもセルロースア
セテートを容易に溶解することができる。なお、アセト
ンは−50乃至−30℃程度の冷却温度が必要とされ
る。従って、メチルアセテートを用いると比較的簡単な
冷却装置でも溶液の調製が可能である。さらにメチルア
セテートは、セルロースアセテートの冷却溶解後の溶媒
和能力も大きいため、アセトンと比較して溶液の安定性
が非常に高い。なお、メチルアセテートは、溶液の粘度
が比較的高くなるとの欠点があるが、この欠点はメチル
アセテートと他の有機溶媒を併用することがで簡単に解
消できる。
セテートの良溶媒または貧溶媒を併用してもよい。併用
する良溶媒の例には、ニトロメタンが含まれる。良溶媒
を併用すると、冷却溶解法における冷却温度を、比較的
高い温度とすることができる。併用する貧溶媒の沸点は
60℃以上であることが好ましい。好ましい貧溶媒は炭
素原子数が1乃至6のアルコール類(例、メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブ
タノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノー
ル、シクロヘキサノール)である。貧溶媒の添加により
溶液の粘度が調整できる。また、貧溶媒を併用するとフ
イルムの乾燥も容易である。さらに貧溶媒には、溶液の
ゲル化温度を高くし、ゲル強度を大きくする作用もあ
り、それにより、フイルムを支持体からの剥ぎ取りを容
易にする効果もある。フイルムの剥ぎ取りが容易である
と、フイルムの製造時間を短縮することが可能になる。
本発明の有機溶媒と他の溶媒を併用する場合、混合溶媒
中の本発明の有機溶媒の割合は、10乃至99.5重量
%であることが好ましく、20乃至99重量%であるこ
とがより好ましく、40乃至98.5重量%であること
がさらに好ましく、60乃至98重量%であることが最
も好ましい。
冷却溶解法により、以上のような混合溶媒中にセルロー
スアセテートを溶解して、溶液(ドープ)を形成する。
溶液の調製においては、最初に、室温で有機溶媒中にセ
ルロースアセテートを攪拌しながら徐々に添加する。こ
の段階では、セルロースアセテートは、一般に有機溶媒
中で膨潤するが溶解しない。なお、室温でセルロースア
セテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によ
ると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。セル
ロースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40
重量%含まれるように調整する。セルロースアセテート
の量は、10乃至30重量%であることがさらに好まし
い。混合溶媒中には、後述する任意の添加剤を添加して
おいてもよい。次に、混合物を−100乃至−10℃
(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−
50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30
℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタ
ノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール
溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このよう
に冷却すると、セルロースアセテートと混合溶媒の混合
物は固化する。
と、混合溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇
温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温し
てもよい。このようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は、冷却、加温の操作を繰
り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視に
より溶液の外観を観察するだけで判断することができ
る。冷却溶解方法においては、冷却時の結露による水分
混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。
また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時
の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧
および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いるこ
とが望ましい。なお、セルロースアセテート(酢化度:
60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法に
よりメチルアセテート中に溶解した20重量%の溶液
は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍
にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この
温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液
は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラ
ス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、こ
の疑似相転移温度は、セルロースアセテートの平均酢化
度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒によ
り異なる。
ステル溶液は、フイルムの製造に用いることができる。
具体的には、溶液をソルベントキャスト法におけるドー
プとして利用する。ドープは、支持体上に流延し、溶媒
を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、
固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整する
ことが好ましい。支持体表面は、鏡面状態に仕上げてお
くことが好ましい。支持体としては、ドラムまたはバン
ドが用いられる。ソルベントキャスト法における流延お
よび乾燥方法については、米国特許2336310号、
同2367603号、同2492078号、同2492
977号、同2492978号、同2607704号、
同2739069号、同2739070号、英国特許6
40731号、同736892号各明細書、特公昭45
−4554号、同49−5614号、特開昭60−17
6834号、同60−203430号、同62−115
035号各公報に記載がある。
上に流延することが好ましい。流延した2秒上風に当て
て乾燥することが好ましい。得られたフイルムを支持体
から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度
を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることも
できる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に
記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまで
の時間を短縮することが可能である。この方法を実施す
るためには、流延時の支持体表面温度においてドープが
ゲル化することが必要である。本発明に従い製造したド
ープは、この条件を満足する。本発明に従い製造するフ
イルムの厚さは、5乃至500μmであることが好まし
く、20乃至200μmであることがさらに好ましく、
60乃至120μmであることが最も好ましい。
フイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥
速度を向上するために、可塑剤を添加することができ
る。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸
エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリ
フェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジル
ホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステ
ルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステル
が代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチル
フタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DE
P)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタ
レート、(DOP)およびジエチルヘキシルフタレート
(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、
クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)およびクエ
ン酸アセチルトリブチル(OACTB)が含まれる。そ
の他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチ
ル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチ
ル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル
酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DO
P、DEHP)が好ましく用いられる。DEPが特に好
ましい。
I)で示される化合物を添加してもよい。
4のアルキル基である。上記化合物は、一般に結晶核形
成剤(核剤)として知られている。結晶核形成剤は、従
来から、結晶性高分子(特にポリプロピレン)を溶融成
型する場合に、その光学的性質、機械的性質、熱的性質
や成型性の向上するための改質剤として使用されてい
る。本発明では、上記化合物を結晶核形成剤として使用
するのではなく、ドープのゲル化温度を高くするために
使用することができる。上記化合物は、その両親媒性の
ある化学構造から、セルロースアセテートとの相互作用
を有する。一方、上記化合物の自己凝集作用がアセチル
セルロースよりも高いため、結果としてアセチルセルロ
ースの凝集を促し、ゲル化温度が高くなると考えられ
る。上記化合物は、ドープの粘度を下げる効果がある。
上記化合物は、有機溶媒とセルロースアセテートの水酸
基との溶媒和を妨害するため、ポリマーの広がりを抑え
るためであると考えられる。
れる化合物の例には、リン酸2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム(アデ
カスタブNA−11、旭電化(株)製)、リン酸ビス
(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム(アデカスタブ
NA−10、旭電化(株)製)、ビス(p−メチルベン
ジリデン)ソルビドール(ゲルオールMD、新日本理化
(株)製)およびビス(p−エチルビンジリデン)ソル
ビトール(NC−4、三井東圧化学(株)製)が含まれ
る。セルロースアセテートフイルムには、劣化防止剤
(例、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化
剤、酸捕獲剤)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化
防止剤については、特開平5−1907073号公報に
記載がある。紫外線防止剤については、特開平7−11
056号公報に記載がある。
溶液およびフイルムの化学的性質および物理的性質は、
以下のように測定および算出した。
(%) 酸化度はケン化法により測定した。乾燥したセルロース
アセテートを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシド
との混合溶媒(容量比4:1)に溶解した後、所定量の
1N−水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時
間ケン化した。フェノールフタレインを指示薬として添
加し、1N−硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸
化ナトリウムを滴定した。また、上記と同様の方法によ
り、ブランクテストを行った。そして、下記式に従って
酢化度(%)を算出した。 酢化度(%)=(6.005×(B−A)×F)/W 式中、Aは試料の滴定に要した1N−硫酸量(ml)、
Bはブランクテストに要した1N−硫酸量(ml)、F
は1N−硫酸のファクター、Wは試料重量を示す。
および分子量分布 ゲル濾過カラムに、屈折率、光散乱を検出する検出器を
接続した高速液体クロマトグラフィーシステム(GPC
−LALLS)を用い測定した。測定条件は以下の通り
である。 溶媒: メチレンクロリド カラム: GMH×1(東ソー(株)製) 試料濃度: 0.1W/v% 流量: 1ml/min 試料注入量:300μl 標準試料: ポリメタクリル酸メチル(Mw=188,
200) 温度: 23℃
合度(DP) 絶乾したセルロースアセテート約0.2gを精秤し、メ
チレンクロリド:エタノール=9:1(重量比)の混合
溶媒100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計
にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式によ
り求めた。 ηrel =T/T0 T: 測定試料の落
下秒数 [η]=(1nηrel )/C T0 :溶剤単独の落
下秒数 DP=[η]/Km C: 濃度(g/l) Km:6×10-4
度(η) セルロースアセテートを15重量%となるように、メチ
レンクロリド:メタノール=8:2(重量比)の混合溶
媒に溶解し、溶液を内径2.6cmの粘度管に注入し、
25℃に調温後、溶液中に直径3.15mm、0.13
5gの剛球を落下させて、間隔10cmの標線管を通過
する時間(秒)を粘度とした。
量(ΔHc) セルロースアセテートを、メチレンクロリド:エタノー
ル=9:1(重量比)の混合溶媒に溶解して、セルロー
スアセテート15重量%のドープを調製した。ドープを
不織布を用いて加圧濾過し、平滑なガラス板上にバーコ
ーターを用いて流延した。一日風乾後、ガラス板から剥
離して80℃で4時間真空乾燥した。得られたフイルム
試料10mgを標準アルミパンに詰め、熱補償型示差走
査熱量計(DSC)の試料台に載せた。溶融温度で短時
間保持して、試料を溶融させた後、降温速度4℃/mi
nで室温まで冷却して結晶化させた。このようにして得
られたDSC曲線の発熱ピーク面積から結晶化発熱量
(ΔHc)を求めた。DSC測定は窒素雰囲気下で行な
い、温度較正は、In(融点:156.60℃)、Sn
(融点:231.88℃)の二点較正で、熱量較正は、
In(融解熱量:28.45J/g)の一点較正で、そ
れぞれ行なった。また、結晶化温度の解析法は、JIS
−K−7121(1987)の規定に、結晶化発熱量の
解析法は、JIS−K−7122(1987)の規定
に、それぞれ準拠した。
出分(%) セルロースアセテートの重量(A)を測定した後、10
倍重量のアセトン中、室温で30分間攪拌した後、フィ
ルターにて加圧濾過した。得られた濾液を乾燥し、固形
分重量(B)を計量した。アセトン抽出分は、下記式に
より計算した。 アセトン抽出分=(B÷A)×100
定 粘度計(HAAKE社製)により、下記アンドレードの
式における係数Aの変化点を求めた。変化点と到達粘度
からゲル化を判断した。 ローター:sv−DIN 剪断速度:0.1(1/sec) 降温速度:0.5℃/min η=Aexp(B/T) 式中、Tは測定温度、AおよびBは、それぞれポリマー
の状態により決まる任意の定数である。ゲル化の有無
は、係数Aの変化点の有無(粘度と温度のグラフが屈曲
点を有するか否か)で判断できる。
4時間放置した後、平衡に達した試料の水分量をカール
フィッシャー法で測定した。得られた水分量(g)を試
料重量(g)で除して、平衡水分率を算出した。測定装
置としては、三菱化学(株)製の水分測定装置CA−0
3、同試料乾燥装置VA−05を用いた。カールフィッ
シャー試薬としては、同社製のAKS、CKSを用い
た。
−1983の規格に従い、初期試料長50mm、引張速
度20mm/minにて測定し、弾性率および破断伸度
を求めた。
3/2−1983の規格に従い、引裂に要した引裂荷重
を求めた。
988の規格に従い、折り曲げよって切断するまでの往
復回数を求めた。
温度90℃、相対湿度100%条件下で調湿した後、密
閉した。これを90℃で経時して200時間後に取り出
した。フイルムの状態を目視で確認し、以下の判定をし
た。 A:特に異常が認められない B:分解臭または分解による形状の変化が認められる
e)値 エリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島津製
作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにおける
フイルム面に垂直方向から測定した正面レターデーショ
ン値を求めた。
用いて測定した。
体から剥ぎ取ったときのフイルムの性状を評価した。フ
イルムの剥ぎ取り性は以下の二段階に分類できた。 A:20秒以内で剥ぎ取りができるもの B:60秒以上経過しても剥げ残りがあるもの
スエステル試料を投入し、常温(23℃)で3時間攪拌
した。得られた溶液またはスラリーの状態を、常温(2
3℃)で静置保存したまま観察し、以下のA、Bおよび
Cの三段階で評価した。 A:10日間経時しても、透明性と均一性を保持し、良
好な溶解性と溶液安定性を示す。 B:攪拌終了時には透明性と均一性を呈して良好な溶解
性を示すが、一日経時すると相分離を生じ、不均一な状
態となる。 C:攪拌終了直後から不均一なスラリーを形成し、透明
性と均一性のある溶液状態を示さない。
0.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセテー
ト100重量部およびメチルアセテート400重量部を
混合した。混合物中のセルロースアセテートの割合は、
20重量%である。室温では、セルロースアセテートは
溶解せずにメチルアセテート中で膨潤した。得られた膨
潤混合物は、溶解せずにスラリーを形成していた。次
に、膨潤混合物を二重構造の容器に入れた。混合物をゆ
っくり攪拌しながら外側のジャケットに冷媒として水/
エチレングリコール混合物を流し込んだ。これにより内
側容器内の混合物を−30℃まで冷却した。混合物が均
一に冷却されて固化するまで(30分間)、冷媒による
冷却を継続した。
し、代わりに温水をジャケットに流し込んだ。内容物の
ゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の攪拌を開始し
た。このようにして、30分間かけて室温まで加温し
た。得られたドープを目視により観察したところ、セル
ロースアセテートが全て混合溶媒中に溶解しており、均
一なドープが得られた。ドープを(7)の測定方法で、
ゲル化の有無の判定したところ、低温でのゲル化が認め
られた。以上のようにして、均一なドープが得られた
が、念のためさらに、以上の冷却および加温の操作をも
う一回繰り返した。
いて、乾燥膜厚が100μmになるように流延した。バ
ンド温度は0℃とした。乾燥のため、2秒風に当てた
後、フイルムをバンドから剥ぎ取り、さらに100℃で
3分、130℃で5分、そして160℃で5分、フイル
ムの端部を固定しながら段階的に乾燥して、残りの溶剤
を蒸発させた。このようにして、セルロースアセテート
フイルムを製造した。
400重量部から、エチルホルメート400重量部に変
更した以外は、実施例1と同様に室温で膨潤混合物を調
製した。得られた膨潤混合物は、いずれも溶解せずにス
ラリーを形成していた。次に、膨潤混合物を実施例1と
同様に冷却溶解法により処理してドープを形成した。得
られたドープを目視により観察したところ、セルロース
アセテートが全てエチルホルメート中に溶解しており、
均一なドープが得られた。また、低温でのゲル化も認め
られた。ドープを実施例1と同様に流延、乾燥し、セル
ロースアセテートフイルムを製造した。
0.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセテー
ト100重量部およびメチルアセテート400重量部を
混合した。混合物中のセルロースアセテートの割合は、
20重量%である。室温では、セルロースアセテートは
溶解せずにメチルアセテート中で膨潤した。得られた膨
潤混合物は、溶解せずにスラリーを形成していた。有機
溶媒をメチルアセテート400重量部から、シクロヘキ
サノン100重量部に変更した以外は、実施例1と同様
に室温で膨潤混合物を調製した。得られた膨潤混合物
は、いずれも溶解せずにスラリーを形成していた。次
に、膨潤混合物を実施例1と同様に冷却溶解法により処
理してドープを形成した。得られたドープを目視により
観察したところ、セルロースアセテートが全てメチルア
セテート中に溶解しており、均一なドープが得られた。
また、低温でのゲル化も認められた。ドープを実施例1
と同様に流延、乾燥し、セルロースアセテートフイルム
を製造した。
0.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセテー
ト100重量部および1,3−ジオキソラン400重量
部を混合した。混合物中のセルロースアセテートの割合
は、20重量%である。混合物を室温で4時間攪拌した
ところ、セルロースアセテートは全て1,3−ジオキソ
ラン中に溶解した。別に混合物(セルロースアセテート
の一部が溶解し、残りが膨潤している状態)を、実施例
1と同様に冷却溶解法により処理してドープを形成し
た。得られたドープを目視により観察したところ、セル
ロースアセテートが全て1,3−ジオキソラン中に溶解
しており、均一なドープが得られた。また、低温でのゲ
ル化も認められた。冷却溶解法を用いると、室温で攪拌
を継続する場合よりも短時間(1時間)で、セルロース
アセテートを全て溶解することできた。
0.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセテー
ト100重量部および1,4−ジオキサン400重量部
を混合した。混合物中のセルロースアセテートの割合
は、20重量%である。混合物を室温で5時間攪拌した
ところ、セルロースアセテートは全て1,4−ジオキサ
ン中に溶解した。別に混合物(セルロースアセテートの
一部が溶解し、残りが膨潤している状態)を、実施例1
と同様に冷却溶解法により処理してドープを形成した。
得られたドープを目視により観察したところ、セルロー
スアセテートが全て1,4−ジオキサン中に溶解してお
り、均一なドープが得られた。また、低温でのゲル化も
認められた。冷却溶解法を用いると、室温で攪拌を継続
する場合よりも短時間(1時間)で、セルロースアセテ
ートを全て溶解することできた。ドープを実施例1と同
様に流延、乾燥し、セルロースアセテートフイルムを製
造した。
度60.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセ
テート100重量部および第1表に示すアルコール類4
00重量部を混合した。混合物中のセルロースアセテー
トの割合は、20重量%である。セルロースアセテート
は、いずれのアルコール類にも溶解せず、ほとんど膨潤
もしなかった。セルロースアセテートとアルコール類の
混合物を実施例1と同様に冷却溶解法により処理したと
ころ、セルロースアセテートは、いずれのアルコール類
にも溶解せず、ほとんど膨潤もしなかった。以上の実施
例1〜5および比較例1〜6の結果を下記第1表にまと
めて示す。
60.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセテ
ート100重量部およびメチルアセテート350重量部
に変更した以外は実施例1と同様にして、ドープを形成
した。得られたドープを目視により観察したところ、セ
ルロースアセテートが全てメチルアセテート中に溶解し
ており、均一なドープが得られた。また、低温でのゲル
化も認められた。ドープを実施例1と同様に流延、乾燥
し、セルロースアセテートフイルムを製造した。
60.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセテ
ート100重量部およびシクロヘキサノン400重量部
に変更し、さらに冷却温度を−70℃に変更した以外は
実施例1と同様にして、ドープを形成した。得られたド
ープを目視により観察したところ、セルロースアセテー
トが全てシクロヘキサノン中に溶解しており、均一なド
ープが得られた。また、低温でのゲル化も認められた。
ドープを実施例1と同様に流延、乾燥し、セルロースア
セテートフイルムを製造した。
60.9%、粘度平均重合度299のセルロースアセテ
ート100重量部、エチルホルメート400重量部に変
更し、さらに冷媒としてメタノール/ドライアイスを用
い冷却温度を−70℃に変更した以外は実施例1と同様
にして、ドープを形成した。得られたドープを目視によ
り観察したところ、セルロースアセテートが全てエチル
ホルメート中に溶解しており、均一なドープが得られ
た。また、低温でのゲル化も認められた。ドープを実施
例1と同様に流延、乾燥し、セルロースアセテートフイ
ルムを製造した。以上の実施例6〜8の結果を下記第2
表にまとめて示す。
平均重合度:323のセルロースアセテートを用いた以
外は、実施例1と同様にして、ドープを形成した。得ら
れたドープを目視により観察したところ、セルロースア
セテートが全てメチルアセテート中に溶解しており、均
一なドープが得られた。また、低温でのゲル化も認めら
れた。ドープを実施例1と同様に流延、乾燥し、セルロ
ースアセテートフイルムを製造した。
度平均重合度:395のセルロースアセテートを用い、
冷却温度を−20℃に変更した以外は、実施例1と同様
にして、ドープを形成した。得られたドープを目視によ
り観察したところ、セルロースアセテートが全てメチル
アセテート中に溶解しており、均一なドープが得られ
た。また、低温でのゲル化も認められた。ドープを実施
例1と同様に流延、乾燥し、セルロースアセテートフイ
ルムを製造した。以上の実施例9および10の結果を下
記第3表にまとめて示す。
ルアセテート400重量部中に、平均酢化度60.9
%、粘度平均重合度299のセルロースアセテート10
0重量部を混合した。得られた膨潤混合物は、溶解せず
にスラリーを形成していた。膨潤混合物を実施例1で用
いた二重容器に投入した。混合物をゆっくり攪拌しなが
ら、外側のジャケットに室温(20℃)の水を流し込ん
だ。このようにして混合物を室温で30分間攪拌を続け
た。膨潤混合物は依然として、溶解せずにスラリーを形
成していた。30分間の攪拌操作をさらに3回繰り返し
たが、膨潤混合物は依然として、溶解せずにスラリーを
形成していた。
平均重合度:280のセルロースアセテートを用いた以
外は、比較例7と同様にして、室温において溶液の作成
を試みたところ、セルロースアセテートをメチルアセテ
ート中に溶解することができた。ドープを(7)の測定
方法で、ゲル化の有無の判定したところ、低温でのゲル
化は認められなかった。ドープを実施例1と同様に流
延、乾燥し、セルロースアセテートフイルムを製造した
ところ、低温でのゲル化がないため、フイルムの乾燥が
ほぼ終了するまでフイルムを支持体から剥離することが
できなかった。また、乾燥工程の間、フイルムが支持体
上に置かれているため、厚み方向にのみ収縮が生じ、平
面方向に延伸したフイルムが得られた。このフイルム
は、破断しやすく、物性強度が不充分であった。以上の
比較例7および8の結果を下記第4表にまとめて示す。
アセテート(平均酢化度:60.9%、粘度平均重合
度:299)100重量部、メチルアセテート525重
量部およびジエチルフタレート(DEP)15重量部を
混合した。混合物を、実施例1と同様に、水/エチレン
グリコール系の冷媒(−30℃)を用いた冷却溶解法で
処理して、ドープを形成した。得られたドープについ
て、(7)の測定方法に従い、粘度とゲル化温度を測定
したところ、粘度は90Pas(40℃)、ゲル化温度
は11℃であった。ドープを実施例1と同様に流延、乾
燥し、セルロースアセテートフイルムを製造した。
アセテート(平均酢化度:60.9%、粘度平均重合
度:299)100重量部、メチルアセテート525重
量部、ジエチルフタレート(DEP)15重量部および
リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ナトリウム(アデカスタブNA−11、旭
電化(株)製)0.4重量部を混合した。混合物を、実
施例1と同様に、水/エチレングリコール系の冷媒(−
30℃)を用いた冷却溶解法で処理して、ドープを形成
した。得られたドープについて、(7)の測定方法に従
い、粘度とゲル化温度を測定したところ、粘度は80P
as(40℃)、ゲル化温度は15℃であった。ドープ
を実施例1と同様に流延、乾燥し、セルロースアセテー
トフイルムを製造した。実施例11および12の結果を
下記第5表に示す。第5表に示される結果から明らかな
ように、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−
t−ブチルフェニル)ナトリウム(NA−11)を添加
すると、ゲル化温度の上昇とドープ粘度の低下が認めら
れる。
アセテート(平均酢化度:60.2%、粘度平均重合
度:323)100重量部、メチルアセテート470重
量部およびジエチルフタレート(DEP)15重量部を
混合した。混合物を、実施例8と同様に、メタノール/
ドライアイス系の冷媒(−70℃)を用いた冷却溶解法
で処理して、ドープを形成した。得られたドープの溶液
としての安定性は良好であった。ドープを実施例1と同
様に支持体上に流延、乾燥し、セルロースアセテートフ
イルムを製造した。なお、フイルムの支持体からの剥ぎ
取る前に、60秒以上の乾燥が必要であった。
アセテート(平均酢化度:60.2%、粘度平均重合
度:323)100重量部、メチルアセテート400重
量部、エタノール70重量部およびジエチルフタレート
(DEP)15重量部を混合した。混合物を、実施例8
と同様に、メタノール/ドライアイス系の冷媒(−70
℃)を用いた冷却溶解法で処理して、ドープを形成し
た。得られたドープの溶液としての安定性は良好であっ
た。ドープを実施例1と同様に支持体上に流延、乾燥
し、セルロースアセテートフイルムを製造した。なお、
フイルムの支持体からの剥ぎ取る前に、60秒以上の乾
燥が必要であった。
アセテート(平均酢化度:60.2%、粘度平均重合
度:323)100重量部、メチルアセテート375重
量部、エタノール95重量部およびジエチルフタレート
(DEP)15重量部を混合した。混合物を、実施例8
と同様に、メタノール/ドライアイス系の冷媒(−70
℃)を用いた冷却溶解法で処理して、ドープを形成し
た。得られたドープの溶液としての安定性は良好であっ
た。ドープを実施例1と同様に支持体上に流延、乾燥
し、セルロースアセテートフイルムを製造した。フイル
ムは、流延してから20秒以内で支持体から剥ぎ取るこ
とができた。
セテート(平均酢化度:60.2%、粘度平均重合度:
323)100重量部、アセトン470重量部およびジ
エチルフタレート(DEP)15重量部を混合した。混
合物を、実施例8と同様に、メタノール/ドライアイス
系の冷媒(−70℃)を用いた冷却溶解法で処理して、
ドープを形成した。得られたドープは、溶液として安定
であったが、安定性としては実施例13〜15のドープ
よりも劣っていた。ドープを実施例1と同様に支持体上
に流延、乾燥し、セルロースアセテートフイルムを製造
した。なお、フイルムの支持体からの剥ぎ取る前に、6
0秒以上の乾燥が必要であった。
アセテート(平均酢化度:60.2%、粘度平均重合
度:323)100重量部、アセトン400重量部、エ
タノール70重量部およびジエチルフタレート(DE
P)15重量部を混合した。混合物を、実施例8と同様
に、メタノール/ドライアイス系の冷媒(−70℃)を
用いた冷却溶解法で処理して、ドープを形成した。得ら
れたドープは、溶液として不安定で、白濁が生じてい
た。ドープを実施例1と同様に支持体上に流延、乾燥
し、セルロースアセテートフイルムを製造した。なお、
フイルムの支持体からの剥ぎ取る前に、60秒以上の乾
燥が必要であった。
アセテート(平均酢化度:60.2%、粘度平均重合
度:323)100重量部、アセトン375重量部、エ
タノール95重量部およびジエチルフタレート(DE
P)15重量部を混合した。混合物を、実施例8と同様
に、メタノール/ドライアイス系の冷媒(−70℃)を
用いた冷却溶解法で処理して、ドープを形成した。得ら
れたドープは、溶液として不安定で、白濁が生じてい
た。ドープを実施例1と同様に支持体上に流延、乾燥
し、セルロースアセテートフイルムを製造した。なお、
フイルムの支持体からの剥ぎ取る前に、60秒以上の乾
燥が必要であった。実施例13〜15および比較例9〜
11の結果を下記第6表に示す。
例12において得られたセルロースアセテートフイルム
について、前記の測定方法に従い、(8)平衡水分率の
測定、(9)引張試験、(10)引裂試験、(11)耐
折試験、(12)耐湿熱性、(13)レターデーション
(Re)値の測定および(14)ヘイズの測定を行なっ
た。結果を下記第7表に示す。第7表に示される結果
は、本発明に従い製造したセルロースアセテートフイル
ムは、良好な物理的および化学的性質を有していること
を示している。
ロースアセテートの割合を18.5重量%に変更した以
外は、実施例1と同様にして、冷却溶解法によりドープ
を形成した。さらに、得られたドープを用いて実施例1
と同様にして、厚さが100μmのセルロースアセテー
トフイルムを製造した。
スアセテート(平均酢化度:60.9%、粘度平均重合
度:299)を、10倍量のアセトン中、室温で30分
間攪拌し、脱液および乾燥させた。得られた(低分子成
分を除去した)セルロースアセテート(平均酢化度:6
0.9%、粘度平均重合度:322)を用い、混合物中
のセルロースアセテートの割合を18.5重量%に変更
した以外は、実施例1と同様にして、冷却溶解法により
ドープを形成した。さらに、得られたドープを用いて実
施例1と同様にして、厚さが100μmのセルロースア
セテートフイルムを製造した。
0重量部を、硫酸11.7重量部、無水酢酸260重量
部および酢酸450重量部を用いて、通常の方法により
エステル化および加水分解を行ない、平均酢化度:6
0.2%、粘度平均重合度:313のセルロースアセテ
ートを合成した。得られた(低分子成分の少ない)セル
ロースアセテートを用い、混合物中のセルロースアセテ
ートの割合を18.5重量%に変更した以外は、実施例
1と同様にして、冷却溶解法によりドープを形成した。
さらに、得られたドープを用いて実施例1と同様にし
て、厚さが100μmのセルロースアセテートフイルム
を製造した。
粘度平均重合度:291のセルロースアセテートをを用
い、混合物中のセルロースアセテートの割合を18.5
重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、冷却
溶解法によりドープを形成した。さらに、得られたドー
プを用いて実施例1と同様にして、厚さが100μmの
セルロースアセテートフイルムを製造した。
に用いたメチルアセテートに代えて、メチルアセテート
/エタノール(混合比87/13)の混合溶媒を用い、
混合物中のセルロースアセテートの割合を17.5重量
%に変更した以外は、実施例16と同様にしてして、厚
さが100μmのセルロースアセテートフイルムを製造
した。
に用いたメチルアセテートに代えて、メチルアセテート
/エタノール(混合比87/13)の混合溶媒を用い、
混合物中のセルロースアセテートの割合を17.5重量
%に変更した以外は、実施例17と同様にしてして、厚
さが100μmのセルロースアセテートフイルムを製造
した。
6(実施例20も同じ)、実施例17(実施例21も同
じ)、実施例18および実施例19で用いたセルロース
アセテートについて、前記の測定方法に従い、(1)酢
化度、(2)分子量分布(Mw/Mn)、(3)粘度平
均重合度(DP)、(4)濃厚溶液粘度(η:秒)、
(5)結晶化発熱量(ΔHc)および(6)アセトン抽
出分を測定した。さらに(15)として、(4)の粘度
の結果から、ln(η)の実測値を計算した。別に、
(3)の重合度の結果および前記(2)の式で定義する
重合度と濃厚溶液粘度との関係から、ln(η)の好ま
しい値の下限(16)と好ましい値の上限(17)を求
めた。以上の結果を第8表に示す。
1で得られたドープを、45℃の恒温槽に保存して経時
変化を観察した。その結果、実施例16および20で得
られたドープは、製造後長時間、均一な溶液相を保って
いたが、96時間保存後にセルロースアセテートの不溶
化により相分離が生じた。これに対して、実施例17お
よび21で得られたドープは、240時間保存しても、
均一な溶液相を保っていた。
いて得られたセルロースアセテートフイルムについて、
前記の測定方法に従い、(9)引張試験(弾性率および
破断伸度)、(10)引裂試験、(11)耐折試験、
(13)レターデーション(Re)値の測定および(1
4)ヘイズの測定を行なった。結果を下記第9表に示
す。
アセテート(平均酢化度:60.9%、粘度平均重合
度:299)100重量部、メチルアセテート385重
量部、トリフェニルホスフェート(TPP)15重量部
を混合した。混合物を実施例11と同様に、水/エチレ
ングリコール系の冷媒(−30℃)を用いた冷却溶解方
で処理して、ドープを形成した。得られたドープについ
て、前記の測定方法に従い(8)平衡水分率の測定、
(4)引張試験、(10)引裂試験、(11)耐折試
験、(12)耐湿熱性、(13)レターデーション値の
測定および(14)ヘイズの測定を行なった。結果を下
記第10表に示す。第10表に示される結果から明らか
なように、本発明に従い製造したセルロースアセテート
フイルムは、良好な物理的および化学的性質を有してい
る。
施例11および12と比較すると、耐湿熱性(12)の
点で、性能が少し劣る。従って、特に耐湿熱性が要求さ
れる光学フイルムの用途においては、実施例11および
12のフイルムを適用することが望ましい。
スエステル溶液を得ることができる。また、本発明のセ
ルロースエステル溶液は、粘度が低く、取り扱いが容易
であるとの効果もある。さらに、本発明に従うと、メチ
レンクロリドのようなハロゲン化炭化水素系有機溶媒を
使用しなくても、優れたセルロースアセテートフイルム
を製造することができる。
トン中に溶解した溶液について、濃度と保存温度との関
係を示したグラフである。
Claims (9)
- 【請求項1】 58.0乃至62.5%の平均酢化度を
有するセルロースアセテートが溶媒中に溶解しているセ
ルロースアセテート溶液であって、該溶媒がハロゲン化
炭化水素を実質的に含まない有機溶媒であり、かつ該有
機溶媒が、炭素原子数が3乃至12のエーテル類、炭素
原子数が4乃至12のケトン類および炭素原子数が3乃
至12のエステル類から選ばれることを特徴とするセル
ロースアセテート溶液。 - 【請求項2】 有機溶媒が、2−メトキシエチルアセテ
ート、シクロヘキサノン、エチルホルメートおよびメチ
ルアセテートから選ばれる請求項1に記載のセルロース
アセテート溶液。 - 【請求項3】 セルロースアセテートが10乃至40重
量%の濃度で溶解している請求項1に記載のセルロース
アセテート溶液。 - 【請求項4】 有機溶媒がさらに炭素原子数が1乃至6
のアルコール類を含む請求項1に記載のセルロースアセ
テート溶液。 - 【請求項5】 セルロースアセテートが、250乃至4
00の粘度平均重合度を有する請求項1に記載のセルロ
ースアセテート溶液。 - 【請求項6】 さらに可塑剤を、セルロースアセテート
100重量部に対して0.1乃至20重量部の量で溶解
させる請求項1に記載のセルロースアセテート溶液。 - 【請求項7】 58.0乃至62.5%の平均酢化度を
有するセルロースアセテートおよび有機溶媒との混合物
であって、ハロゲン化炭化水素を実質的に含まず、かつ
該有機溶媒が炭素原子数が3乃至12のエーテル類、炭
素原子数が4乃至12のケトン類および炭素原子数が3
乃至12のエステル類から選ばれる混合物を−100乃
至−10℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0
乃至50℃に加温して、有機溶媒中にセルロースアセテ
ートを溶解する工程からなるセルロースアセテート溶液
の調製方法。 - 【請求項8】 請求項7に記載の方法で調製したセルロ
ースアセテート溶液を支持体上に流延する工程および溶
媒を蒸発させてフイルムを形成する工程からなるセルロ
ースアセテートフイルムの製造方法。 - 【請求項9】 セルロースアセテートを流延する支持体
が、10℃以下の表面温度を有している請求項8に記載
の製造方法。
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