JP2001225337A - セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、偏光板及びバーティカルアラインメント(va)型液晶表示装置 - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、偏光板及びバーティカルアラインメント(va)型液晶表示装置

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JP2001225337A
JP2001225337A JP2000040949A JP2000040949A JP2001225337A JP 2001225337 A JP2001225337 A JP 2001225337A JP 2000040949 A JP2000040949 A JP 2000040949A JP 2000040949 A JP2000040949 A JP 2000040949A JP 2001225337 A JP2001225337 A JP 2001225337A
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JP
Japan
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cellulose ester
film
mass
soluble component
liquid crystal
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Application number
JP2000040949A
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English (en)
Inventor
Takatoshi Yajima
孝敏 矢島
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バーティカルアラインメント型液晶表示装置
の視野角を更に向上させることが可能で、フィルムの厚
さが薄くとも厚さ方向のレターデーション値が大きい偏
光板用保護フィルムを提供する。 【解決手段】 溶液流延製膜方法によりセルロースエス
テルフィルムを製造する方法において、アシル基の置換
度が2.50以上2.86未満であり、アシル基がアセ
チル基及び/またはプロピオニル基であり、且つ熱水可
溶分を5質量%以上含有するセルロースエステルを非溶
媒に接触させて熱水可溶成分を減少させた後、熱水可溶
成分を減少させたセルロースエステルを用いて熱水可溶
性分が5質量%未満のセルロースエステルフィルムを溶
液流延製膜方法により製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶型表示装置に
用いる偏光板用保護フィルムとしてのセルロースエステ
ルフィルムの製造方法及びセルロースエステルフィル
ム、このフィルムを用いた偏光板、更にはこの偏光板を
用いたバーティカルアラインメント(VA)型液晶表示
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶型表示装置は、低電圧、低消費電力
で、IC回路への直結が可能であり、そして、特に薄型
化が可能であることから、ワードプロセッサやパーソナ
ルコンピュータ等の表示装置として広く採用されてい
る。この液晶表示装置は、基本的な構成としては、例え
ば液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。
【0003】この様な液晶表示装置においては、コント
ラスト等の観点から、ツイスト角が90度のツイステッ
ドネマティック(TN)を用いた液晶表示装置からツイ
スト角が160度以上のスーパーツイステッドネマティ
ック(STN)を用いた液晶表示装置に移行してきてい
る。
【0004】しかし、STNを用いた液晶表示装置は、
液晶の複屈折を利用したものであることから、TNを用
いた液晶表示装置におけるノーマリーホワイトでは白だ
った背景が青色或いは黄色に着色する問題があり、この
ため、白黒表示ではコントラスト、視野角が狭く、ま
た、カラー化が困難という問題がある。
【0005】この問題を解決するため、即ち複屈折分を
補償するため、上記の偏光板の下に位相差板を用いる技
術が提案された。この技術によれば、前記着色の問題は
解決されるものの、視野角については殆ど改善されてい
ない。
【0006】この問題を解決するため、厚さ方向の屈折
率が複屈折の光軸に垂直な方向の屈折率よりも大きな複
屈折フィルムを作製し、これを位相差板として用いる技
術が提案された。更には、固有複屈折値が正と負のフィ
ルムを各々一枚ずつ、或いは積層したものを位相差板と
して用いる技術が提案された。
【0007】また、特開平7−218724号公報に示
される如く、偏光子の少なくとも一面にある偏光板用保
護フィルムのレターデーション値が波長590nmの光
で測定した面内の値として30〜70nmのトリアセチ
ルセルロースを用いた偏光板が提案された。
【0008】これら提案の技術によって、視野角による
コントラストの変化が小さくなり、視野角特性が向上し
たが、しかしながら、低電圧、低消費電力、薄型化の上
で他の表示装置にはない大きな特徴を有する液晶表示装
置における最大の問題としての視野角が狭いという問題
の改善にまでは至らず、更に視野角を広くしたいという
要求はますます強まる一方であり、更なる開発が進めら
れている。
【0009】この様な開発の一つとして、TNやSTN
タイプとは異なるタイプの液晶が提案されるに至った。
即ち、TNやSTNタイプの液晶セルは電圧オフ時に、
液晶分子が配向板に平行で、電圧オン時に、液晶分子が
配向板に垂直に配向するタイプの液晶であるのに対し、
電圧のオフ時に、液晶分子が配向板に垂直で、電圧オン
時に配向板に平行となるタイプ、例えば、負の誘電異方
性のネガ型液晶を用いた、いわゆる、バーティカルアラ
インメント型のものが開発されるに至った。この様なバ
ーティカルアラインメント型液晶表示装置は、例えば特
開平2−176625号公報に開示されている。このバ
ーティカルアラインメント(Vertical Ali
gnment、略してVA、以降VAと表示することが
ある)型液晶表示装置は、液晶分子が電圧オフ時に配向
板に垂直で、電圧オン時に配向板に平行に配向させる、
いわゆる垂直配向モードの液晶セルであることから、黒
がしっかり黒として表示され、コントラストが高く、T
NやSTN型のものに比べて、視野角が比較的広いとい
う特徴を持っている。
【0010】しかしながら、液晶画面が大きくなるに従
って、更に視野角を広げたいという要望が高まってい
る。
【0011】ところで、偏光子を保護する目的で、偏光
子の少なくとも1面に保護フィルムを貼り合わせて偏光
板を形成することが行われている。この保護フィルムを
偏光板用保護フィルムというが、この偏光板用保護フィ
ルムには、従来から、その優れた光学的等方性や透明性
からセルローストリアセテートフィルムが使用されてい
る。ところがセルローストリアセテートフィルムでは、
厚み方向のレターデーション値を大きくするには上限が
あり、視野角を大きくすることが難しく、更に大きな厚
み方向のレターデーション値を得るためには、フィルム
の厚みを厚くする必要があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、昨今では、液
晶表示装置も携帯性が要求されており、小型化、特に薄
くすることが求められており、バーティカルアラインメ
ント型液晶表示装置の視野角を更に向上させることが可
能で、フィルムの厚さが薄くとも厚さ方向のレターデー
ション値が大きい偏光板用保護フィルムを開発すること
が求められている。
【0013】従って、本発明は上記の如き事情に鑑みな
されたものであって、その目的は、厚さ方向のレターデ
ーションが大きく、従来より薄膜化が可能な偏光板用保
護フィルムを提供し、それを用いた偏光板と視野角が非
常に広いVA型液晶表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、VA型液
晶表示装置においては、特開平7−218724号公報
に記載されているような、面内方向のレターデーション
をコントロールしたフィルムを用いてもその効果は低
く、従来検討されてきた様な面内のレターデーション値
ではなく、面方向と厚み方向の異方性を表す値である厚
み方向のレターデーション値(Rt値:下記式)に注目
し、厚み方向のレターデーションを大きくするのを阻害
している因子の一つとして、セルロースエステル中に含
まれる熱水可溶成分の含有率に関係することを突き止め
た。
【0015】厚み方向のレターデーション値(Rt:デ
ィメンションはnm)は、 Rt=〔{(nx+ny)/2}−nz〕×d で表され、式中、nxはフィルムの流延方向の屈折率、
nyはフィルムの流延方向に対して直角の幅方向の屈折
率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルム
の厚さ(nm)を表す。
【0016】そして、本発明者は、特定の範囲のアシル
基の置換度を有するセルロースエステルで、且つ熱水可
溶成分が5質量%未満の含有量のセルロースエステルを
使用したセルロースエステルフィルムが、厚み方向のレ
ターデーション値が大きいことを確かめ、これを偏光板
用保護フィルムとして形成した偏光板を使用した視野角
の広いVA型液晶画像表示装置を得ることに成功した。
【0017】本発明は以下の構成よりなる。 (1) 溶液流延製膜方法によりセルロースエステルフ
ィルムを製造する方法において、アシル基の置換度が
2.50以上2.86未満であり、アシル基がアセチル
基及び/またはプロピオニル基であり、且つ熱水可溶分
を5質量%以上含有するセルロースエステルを非溶媒に
接触させて熱水可溶成分を減少させた後、熱水可溶成分
を減少させたセルロースエステルを用いて熱水可溶性分
が5質量%未満のフィルムを形成することを特徴とする
セルロースエステルフィルムの製造方法。
【0018】(2) 溶液流延製膜方法によりセルロー
スエステルフィルムを製造する方法において、アシル基
の置換度が2.50以上2.86未満であり、アシル基
がアセチル基及び/またはプロピオニル基であり、且つ
熱水可溶分を5質量%以上含有するセルロースエステル
を用いてフィルムを形成した後、非溶媒に接触させて熱
水可溶成分を減少させ熱水可溶成分が5質量%未満のフ
ィルムとすることを特徴とするセルロースエステルフィ
ルムの製造方法。
【0019】(3) 溶液流延製膜方法によりセルロー
スエステルフィルムを製造する方法において、アシル基
の置換度が2.50以上2.86未満であり、アシル基
がアセチル基及び/またはプロピオニル基であり、且つ
熱水可溶分を5質量%未満含有するセルロースエステル
を用いてフィルムを形成することを特徴とするセルロー
スエステルフィルムの製造方法。
【0020】(4) 溶液流延製膜方法の金属支持体か
ら剥離する時点でのウェブの剥離残留溶媒量を5〜10
0質量%とすることを特徴とする(1)乃至(3)の何
れか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
法。
【0021】(5) (1)乃至(4)の何れか1項に
記載の方法で製造したことを特徴とするセルロースエス
テルフィルム。
【0022】(6) (5)に記載のセルロースエステ
ルフィルムを偏光膜の少なくとも1面に貼り合わせたこ
とを特徴とする偏光板。
【0023】(7) (6)に記載の偏光板を用いたこ
とを特徴とするバーティカルアラインメント(VA)型
液晶表示装置。
【0024】本発明を詳述する。本発明のセルロースエ
ステルフィルムに用いられるセルロースエステルは、ア
シル基の置換度が2.50以上2.86未満のもので、
アシル基がアセチル基及び/またはプロピオニル基のも
のであり、且つセルロースエステル中に含まれる熱水可
溶成分が5質量%未満である。このような熱水可溶成分
が5質量%未満のセルロースエステルフィルムを得る方
法としては、熱水可溶成分が5質量%未満のもの入手し
てフィルムを形成するか、入手したセルロースエステル
が熱水可溶成分を5質量%以上含んでいる場合には、セ
ルロースエステルをその非溶媒に接触させて熱水可溶成
分を5質量%未満に減少させた後にフィルムを形成する
か、また、セルロースエステルフィルムを形成した後
に、該非溶媒に接触させて、熱水可溶成分を5質量%未
満に減少させたものでもよい。
【0025】アシル基の置換度が2.50以上2.86
未満であって、且つアシル基がアセチル基及び/または
プロピオニル基であるセルロースエステルは、セルロー
スの水酸基を無水酢酸及び/または無水プロピオン酸を
用いて常法の反応によりアセチル基及び/またはプロピ
オニル基の全アシル基を上記の範囲内に置換したもので
ある。具体的には、セルロースジアセテート、セルロー
スアセテート(本発明ではセルロースジアセテートとセ
ルローストリアセテートとの間にある置換度のものをい
う)、セルローストリアセテート、セルロースアセテー
トプロピオネート、セルロースプロピオネート等が挙げ
られ、何れも好ましく用いることが出来る。セルロース
アセテートプロピオネートの場合、アセチル基の置換度
としては、フィルムの機械的強度の点から1.4以上が
好ましい。セルロースエステルの合成方法は、特に限定
はないが、例えば、特開平10−45804号公報に記
載の方法で合成することが出来る。アシル基の置換度の
測定方法は、ASTM−D817−96により測定する
ことが出来る。セルロースエステルの数平均分子量は、
偏光板用保護フィルムとして好ましい機械的強度を得る
ためには、70,000〜300,000が好ましく、
更に80,000〜200,000が好ましい。
【0026】本発明のセルロースエステル中の熱水可溶
成分は、少なければ少ない方がよく、5%未満が好まし
い。より好ましくは1%未満であり、更に0.01%未
満では効果がほぼ飽和するので、処理とのバランスから
0.01%〜0.9%であることが特に好ましい。熱水
可溶成分と厚み方向のレターデーション値の大きさには
相関関係があり、少ないものほど、視角特性に優れた偏
光板用保護フィルムが得ることが出来る。
【0027】本発明でいう熱水可溶成分は、セルロース
エステルを100℃の熱水中で1時間撹拌して熱水中に
抽出される成分をいう。上出健二、真鍋征一:繊維学会
誌、34巻、T−53頁(1978)の中でセルロース
ジアセテートを失透させる原因物質として熱水可溶成分
のことが詳細に検討されている。この熱水可溶成分は、
置換度の比較的小さい成分で水酸基を多く含むセルロー
スに近いセルロースエステル、または分子量の小さい成
分と考えられている。この熱水可溶成分はセルロースエ
ステル反応製造時の最終的な高温水洗処理において除か
れるか、あるいは減少させることが好ましいが、それが
十分でない場合、あるいは減少されないまま入手する場
合には、前述の如くドープ製造前、あるいはフィルム製
造時または製造後にセルロースエステルの非溶媒に接触
させて減少させるのがよい。
【0028】セルロースエステルと非溶媒とを接触させ
る方法としては、前述のように温〜熱水でセルロースエ
ステル製造時に減少させること以外に、例えば、セルロ
ースエステルと非溶媒とを混合して撹拌する方法、セル
ロースエステルに非溶媒を散布する方法などがある。ま
た、セルロースエステルがフィルム状であれば、非溶媒
を塗布したり、非溶媒中、あるいは非溶媒の蒸気中を通
過させるなどの方法がある。接触させる時間は、所望す
る抽出量が得られる時間である。通常、10分から1日
程度の範囲でよい。接触させる時の非溶媒の温度は、高
い方が抽出時間が短縮出来好ましい。特に非溶媒の沸点
近傍またはそれ以上の温度が好ましい。なお、本発明に
おいて、接触すると言う語は処理するという語と同義語
である。
【0029】本発明のセルロースエステルを処理する非
溶媒は、常温でセルロースエステルを溶解させない溶媒
であり、例えば、炭素原子数5以下のアルコール、水な
どが挙げられる。用いる非溶媒は、熱水可溶成分を抽出
出来れば特に制限はないが、乾燥負荷の点から沸点があ
まり高くなく、水以外では、セルロースエステルの良溶
媒との相溶性に優れることが好ましい。本発明において
は、水、メタノール、エタノール、あるいはこれらの混
合液が好ましい。セルロースエステルの良溶媒との相溶
性が悪いと、この非溶媒が除去されずにセルロースエス
テルを有機溶媒に溶解させた溶液中に混入したときに不
透明なフィルムとなってしまう場合がある。また、非溶
媒だけでは、熱水可溶成分の抽出に時間が掛かりすぎる
場合がある。この場合は、セルロースエステルの溶媒を
少し併用することで、非溶媒のセルロースエステルへの
浸透性を促進でき抽出時間を短縮することが出来るので
好ましい。セルロースエステルの溶媒としては、アセト
ン、酢酸メチル、フルオロアルコール類、ジオキソラン
類、塩化メチレンなどが挙げられる。これら溶媒を併用
する量としては、セルロースエステルが溶解しないで少
し膨潤する程度がよい。通常、10〜70質量%の範囲
である。本発明においては、セルロースエステルフィル
ムを処理する際、フィルムに含まれる可塑剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤等の添加剤を溶出しない条件がよく、
このような意味からは、製膜する前のセルロースエステ
ルを処理する方法が好ましい。
【0030】次に、溶液流延製膜方法によるセルロース
エステルフィルムの製造方法について述べる。
【0031】本発明のセルロースエステルフィルムに使
用するセルロースエステルの原料となるセルロースは特
に限定はなく綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを
用いることが出来る。これらを混合して使用してもよ
い。ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターか
ら合成されたセルロースエステルを多く使用した方が生
産性効率が高く好ましい。綿花リンターから合成された
セルロースエステルの比率は60質量%以上で剥離性の
効果が顕著になるため、60質量%以上が好ましく、よ
り好ましくは85質量%以上、更には、単独で使用する
ことが最も好ましい。本発明に使用するセルロースエス
テルについては、アセチル基及び/またはプロピオニル
基のアシル基の置換度、また数平均分子量は前述の通り
である。
【0032】先ず、セルロースエステルを溶解し得る有
機溶媒に溶解してドープを形成する。セルロースエステ
ルのフレークに対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解
釜中で該フレークを攪拌しながら溶解し、ドープを形成
する。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で
行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開
平9−95544号、同9−95557号または同9−
95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、
特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う
方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾
過し、脱泡してポンプで次工程に送る。ドープ中のセル
ロースエステルの濃度は10〜35質量%程度である。
【0033】セルロースエステルを溶解し得る有機溶媒
としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ギ酸
エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸メチ
ル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,
4−ジオキサン、2,2,2−トリフルオロエタノー
ル、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノー
ル、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プ
ロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフル
オロ−1−プロパノール、ニトロエタン、塩化メチレン
等を挙げることが出来る。塩化メチレンのような塩素系
有機溶媒は、昨今の厳しい環境問題の中では、使用を見
合わせた方が良い場合もあり、非塩素系の有機溶媒の方
が好ましい。中でも酢酸メチル、アセトンが好ましく使
用出来る。また、これらの有機溶媒に、メタノール、エ
タノール、ブタノール等の低級アルコールを併用する
と、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上し
たりドープ粘度を低減出来るので好ましい。特に沸点が
低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。
【0034】ドープ中には、フタル酸エステル、リン酸
エステルなどの可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マ
ット剤などの添加剤を加えてもよい。
【0035】本発明において、セルロースエステルフィ
ルム中に可塑剤を含有させることが好ましい。用いるこ
との出来る可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エ
ステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オ
クチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニル
ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチル
ホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフ
タレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタ
レート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、
ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エ
ステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリ
コレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチル
フタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用する
のが好ましい。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併
用して用いてもよい、セルロースエステルに用いる場
合、リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は50%以下
が、セルロースエステルフィルムの加水分解を引き起こ
しにくく、耐久性に優れるため好ましい。リン酸エステ
ル系の可塑剤比率は少ない方がさらに好ましく、フタル
酸エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤だけを
使用することが特に好ましい。
【0036】また、本発明において、セルロースエステ
ルフィルム中に紫外線吸収剤を含有させることが好まし
く、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波
長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な
液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収
が可及的に少ないものが好ましく用いられる。特に、波
長370nmでの透過率が、10質量%以下である必要
があり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質
量%以下である。用いられるものとしては、例えば、オ
キシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化
合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系
化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系
化合物などがあげられるが、これらに限定されない。紫
外線吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のド
ープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロライ
ド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してから添加す
るか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機
粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤と
セルロースエステル中にデゾルバやサンドミルを使用
し、分散してからドープに添加する。本発明において、
紫外線吸収剤の使用量はセルロースエステルに対し、
0.1〜5.0質量%、好ましくは、0.5〜2.0質
量%、より好ましくは0.8〜2.0質量%である。
【0037】更に、本発明のセルロースエステルフィル
ム中には、酸化防止剤を含有させることが好ましく、酸
化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が
好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3
−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチ
ルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブ
チルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チ
オ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレン
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒド
ロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が
挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の
金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用しても
よい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステル
に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、1
0〜1000ppmが更に好ましい。
【0038】また本発明において、セルロースエステル
フィルム中に、取扱性を向上させる為、例えば二酸化ケ
イ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニ
ウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸
カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微
粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好
ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さ
く出来るので好ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は
0.01〜1.0μmの範囲で、その含有量はセルロー
スエステルに対して0.005〜0.3質量%が好まし
い。二酸化ケイ素のような微粒子には有機物により表面
処理されている場合が多いが、このようなものはフィル
ムのヘイズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ま
しい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン
類、シラザン、シロキサンなどが挙げられ、表面にメチ
ル基が存在するような処理が好ましい。微粒子の平均粒
径が大きい法がマット効果は大きく、平均粒径の小さい
方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の
平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜14n
mである。これらの微粒子はフィルム中では、通常、凝
集体として存在しフィルム表面に0.01〜1.0μm
の凹凸を生成させることが好ましい。二酸化ケイ素の微
粒子としてはアエロジル(株)製のAEROSIL 2
00、200V、300、R972、R972V、R9
74、R202、R812、OX50、TT600等を
挙げることが出来、好ましくはAEROSIL R97
2、R972V、R974、R202、R812であ
る。これらのマット剤は2種以上併用してもよい。2種
以上併用する場合、任意の割合で混合して使用すること
が出来る。この場合、平均粒径や材質の異なるマット
剤、例えばAEROSIL 200VとR972Vを質
量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使
用出来る。
【0039】溶液流延製膜方法は、上記のドープを濾過
して、定量ポンプでダイに送り、表面研磨されているス
テンレスベルトあるいは金属ドラム上にダイからドープ
を流延し、その金属支持体上で、有機溶媒を蒸発あるい
は冷却して固化させて、金属支持体が一周する前にウェ
ブを剥離し、乾燥工程で乾燥してフィルムを形成させる
ものである。
【0040】ウェブを金属支持体から剥離するまでの工
程において、レターデーション値(Rt値)を増加させ
る手段としては、剥離時の残留溶媒量を少なくすること
がよく、残留溶媒量5〜100質量%が好ましく、より
好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜45
質量%である。
【0041】なお、残留溶媒量は下記の式で表せる。 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを11
0℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0042】剥離する際、剥離張力を出来るだけ低くす
るようにコントロールすることもレターデーション値
(Rt値)を増加させるのに効果があり、剥離張力を5
0〜390N/m程度にすることが好ましく、より好ま
しくは、100〜300N/m、更に好ましくは、10
0〜250N/mである。
【0043】乾燥工程では、剥離したウェブをロール搬
送乾燥機及び/またはテンター乾燥機に通し乾燥し、最
終的にフィルムの残留溶媒量を2質量%以下にするが、
好ましくは0.4質量%以下である。テンターで乾燥す
る際には、乾燥によってウェブが収縮するのをクリップ
で幅を保持する程度にクリップ間の張力を掛ければよい
が、延伸倍率を大きくすると、レターデーション値(R
t値)を増加させる場合もあり、延伸してもよい。延伸
する場合、延伸倍率は2〜50%が好ましい。
【0044】また、ロール搬送による乾燥工程において
も、搬送張力をコントロールすることによりレターデー
ション値(Rt値)を増加させることが出来、搬送張力
を低くすることによって増加させることが出来る。搬送
張力としては50〜200N/mの範囲とするのが好ま
しく、より好ましくは、75〜150N/m、更に好ま
しくは、75〜120N/mである。
【0045】本発明のセルロースエステルフィルムは、
前記式で表される厚み方向のレターデーション値(Rt
値)の絶対値として、100nm以上であることが好ま
しく、好ましくは100〜200nmである。
【0046】本発明のセルロースエステルフィルムの厚
み方向のレターデーション値は、大きければ大きいほど
よく、薄いフィルムでも視野角が広く、形態によっては
薄いフィルムを使用する液晶画像表示装置もあり、これ
らにも本発明の偏光板用保護フィルムを使用することが
出来る。またVA型液晶画像表示装置のように特に広い
視野角を要求される場合には本発明のセルロースエステ
ルフィルムの厚さを若干増して視野角を更に広くするこ
とが出来る。
【0047】また、本発明の偏光板板用保護フィルム
は、その厚さが40〜165μmであることが好まし
く、更に60〜165μmが好ましく、VA型液晶画像
表示装置用にはより好ましくは75〜140μmであ
る。
【0048】上記の如く製造された本発明のセルロース
エステルフィルムは偏光板用保護フィルムとして偏光板
に好ましく用いられる。偏光板は前述の如く、偏光子の
少なくとも一面に偏光板用保護フィルムを貼り合わせ積
層することによって形成される。偏光子は従来から公知
のものを用いることが出来、例えば、ポリビニルアルコ
ールフィルムの如きの親水性ポリマーフィルムを、沃素
のような二色性染料で処理して延伸したものである。セ
ルロースエステルフィルムと偏光子との貼り合わせは、
特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接
着剤により行うことが出来る。本発明においては、この
水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコ
ール水溶液が好ましく用いられる。
【0049】このようにして得られた偏光板は、種々の
液晶表示装置に使用出来るが、本発明の偏光板用保護フ
ィルムのセルロースエステルフィルムは高いレターデー
ション値が得られることからVA型液晶表示装置に特に
有用である。
【0050】本発明のセルロースエステルフィルムを用
いた偏光板を、VA型液晶セルの一面側または両面側に
設けることにより、VA型液晶表示装置を得ることが出
来る。偏光板用保護フィルムのセルロースエステルフィ
ルムの厚み方向のレターデーション値を上記の範囲とす
ることにより、本発明のVA型液晶表示装置は視野角の
広い特性を有することが出来る。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、これらに限定されるものではない。
【0052】実施例1 数平均分子量170,000、アセチル置換度2.65
の熱水可溶成分6.0質量%を含有するセルロースアセ
テートをエタノールに混合してエタノールの沸点にて還
流器を付けて5時間撹拌処理し、濾過して乾燥した。処
理済みのセルロースアセテート100質量部、2−
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール1質量部、エチルフタリルエ
チルグリコレート4質量部及びAEROSIL R97
2V(日本アエロジル(株)製)0.1質量部を酢酸メ
チル450質量部とアセトン50質量部の混合溶媒に混
合し膨潤させた。
【0053】次に、この混合物を二重構造の密閉容器に
入れ、混合物をゆっくり攪拌しながら外側のジャケット
に冷媒を導入した。これにより内側容器内の混合物を−
70℃まで冷却した。混合物が均一に冷却されるまで3
0分冷却した。密閉容器の外側のジャケット内の冷媒を
排出し、代わりに温水をジャケットに導入した。続いて
内容物を攪拌し、40分かけて80℃まで上げた。容器
内は2気圧となった。攪拌しながら50℃まで温度を下
げ常圧に戻し、一晩そのまま放置しドープを得た。この
ドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使
用して濾過し、製膜に供した。得られたドープを、ダイ
からステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルト
の裏面から35℃の温度の温水を接触させて温度制御さ
れたステンレスベルト上で1分間乾燥した後、更にステ
ンレスベルトの裏面に、15℃の冷水を接触させて15
秒間保持した後、ステンレスベルトから剥離した。剥離
時のウェブ中の残留溶媒量は40質量%であった。次い
で剥離したウェブの両端を固定しながら130℃で10
分間乾燥させ、膜厚100μmのセルロースアセテート
フィルムを得た。得られたセルロースアセテートフィル
ムを60℃、2mol/lの濃度の水酸化ナトリウム水
溶液中に2分間浸漬し水洗した後、100℃で10分間
乾燥しアルカリ鹸化処理セルロースアセテートフィルム
を得た。
【0054】また、これとは別にVA型液晶セルを以下
の手順で作製した。ポリビニルアルコール3質量%の水
溶液に、カップリング剤としてオクタデシルジメチルア
ンモニウムクロライド1質量%を添加し、ITO電極付
きのガラス基板上にスピンコートし、160℃で加熱処
理を施した後、更にラビング処理を施し垂直配向膜を形
成させた。ラビング処理は2枚のガラス基板がそれぞれ
反対方向になる様に行った。2枚のガラス基板を向かい
合わせてセルギャップが5.5μmとし、エステル系と
エタン系を主成分とする液晶性化合物を注入し、セルギ
ャップと液晶性化合物の複屈折の積が280nmのVA
型液晶セルを得た。
【0055】また、別に、厚さ120μmのポリビニル
アルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を
含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸
して偏光膜(偏光子)を作った。この偏光膜の両面に前
記アルカリ鹸化処理セルロースアセテートフィルムを完
全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤とし
て各々貼り合わせ偏光板を作製した。
【0056】この偏光板を前記のVA型液晶セルの両面
側に設け、液晶表示装置を作製した。
【0057】比較例1 エタノール処理を行なわなかった以外は、実施例1と同
様にしてフィルムを作製し、更に実施例1と同様にして
液晶表示装置を作製した。
【0058】実施例2 数平均分子量を200,000、アセチル置換度2.5
5の熱水可溶成分10質量%を含有するセルロースアセ
テートを用い、このセルロースアセテートをアセトンと
水の混合溶媒(質量比50/50)でアセトンの沸点で
処理をし、処理済みのセルロースアセテートを用いて、
乾燥後の膜厚を80μmとした以外は実施例1と同様に
行い、液晶表示装置を作製した。
【0059】比較例2 熱水可溶成分の処理を行なわなかった以外は、実施例2
と同様にしてフィルムを作製し、液晶表示装置を作製し
た。
【0060】実施例3 数平均分子量100,000、アセチル置換度2.00
及びプロピオニル置換度0.80の熱水可溶成分5質量
%を含有するセルロースアセテートプロピオネートをエ
タノールに混合してエタノールの沸点にて還流器を付け
て5時間撹拌処理し、濾過して乾燥した。処理済みのセ
ルロースアセテートプロピオネート100質量部、2−
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール1質量部、エチルフタリルエ
チルグリコレート4質量部及びAEROSIL R97
2V(日本アエロジル(株)製)0.1質量部、酢酸メ
チル210質量部、エタノール90質量部を加圧密閉容
器に投入し、80℃に加温して容器内圧力を5気圧と
し、撹拌しながらセルロースアセテートプロピオネート
を完全に溶解させドープを得た。ドープ温度を40℃ま
で下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積
濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し
製膜に供した。得られたドープを用いて実施例1と同様
にして、130μmのセルロースアセテートプロピオネ
ートフィルムを作製し、液晶表示装置を作製した。
【0061】比較例3 熱水可溶成分の処理を行なわなかったセルロースアセテ
ートプロピオネートを使用した以外は、実施例3と同様
にフィルムを作製し、液晶表示装置を作製した。
【0062】比較例4 数平均分子量200,000、アセチル置換度2.92
の熱水可溶成分2質量%のセルローストリアセテート1
00質量部、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ
−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール1質量部、
エチルフタリルエチルグリコレート4質量部、塩化メチ
レン450質量部、エタノール50質量部を加圧密閉容
器に投入し、80℃に加温して容器内圧力を5気圧と
し、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させ
ドープを得た。ドープ温度を40℃まで下げて一晩静置
し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安
積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した。得
られたドープを用いて実施例1と同様にして、乾燥後の
厚さが130μmになるようにセルローストリアセテー
トフィルムを作製し、液晶表示装置を作製した。
【0063】上記実施例1〜3及び比較例1〜4につい
て、それぞれ得られた、セルロースエステルのアシル基
置換度、熱水可溶成分量、偏光板用保護フィルム(セル
ロースエステルフィルム)の厚さ(μm)、下記の評価
方法による偏光板用保護フィルム(セルロースエステル
フィルム)レターデーション値(Rt値、ディメンショ
ン(nm))及び下記の評価方法による液晶表示装置の
視野角特性について結果を表1に示した。
【0064】〔評価方法〕 〈厚み方向レターデーション値(Rt値)の測定〉自動
複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)
製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が
590nmにおいて、3次元屈折率測定を行い、屈折率
nx、ny、nzを求め、前記式に従って、レターデー
ション値(Rt値)を算出した。
【0065】〈視野角特性の評価〉得られた液晶表示装
置に、(株)エーエムティ製VG365Nビデオパター
ンジェネレーターにて、白色表示、黒色表示及びグレー
8階調表示を行い、白色/黒色表示時のコントラスト比
を大塚電子(株)製LCD−7000にて、上下左右角
度60度の範囲で測定した。コントラスト比≧10を示
す角度を視野角とした。角度が大きいほど視野角特性に
優れていることを表す。
【0066】
【表1】
【0067】ここで、表中セルロースエステル種類の記
号のCAはセルロースアセテート、CAPはセルロース
アセテートプロピオネート、またTACはセルロースト
リアセテートを示している。
【0068】(結果)熱水可溶成分が5質量%未満で、
且つアシル基置換度が2.86未満のセルロースエステ
ルを用いたセルロースエステルフィルムのRt値及び視
野角特性は、上記条件外比較試料より大きな値が得ら
れ、優れた偏光板用保護フィルムと液晶画像表示装置で
あることが明確になった。
【0069】
【発明の効果】レターデーション値が大きい偏光板用保
護フィルムを得ることが出来、これらを使用し視野角特
性が優れた液晶表示装置を提供出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 1:08 C08L 1:08 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA25 BB02 BB33 BB43 BB51 BB62 4F071 AA09 AA80 AF05 AG01 AH12 BB02 BC01 BC17 4F073 AA14 AA23 AA24 BA03 BB01 EA01 EA11 EA23 4F205 AA01A AG01 GA07 GB02 GC02 GC07 GE21 GF24 GN22 GN24 GN29

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液流延製膜方法によりセルロースエス
    テルフィルムを製造する方法において、アシル基の置換
    度が2.50以上2.86未満であり、アシル基がアセ
    チル基及び/またはプロピオニル基であり、且つ熱水可
    溶分を5質量%以上含有するセルロースエステルを非溶
    媒に接触させて熱水可溶成分を減少させた後、熱水可溶
    成分を減少させたセルロースエステルを用いて熱水可溶
    性分が5質量%未満のフィルムを形成することを特徴と
    するセルロースエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 溶液流延製膜方法によりセルロースエス
    テルフィルムを製造する方法において、アシル基の置換
    度が2.50以上2.86未満であり、アシル基がアセ
    チル基及び/またはプロピオニル基であり、且つ熱水可
    溶分を5質量%以上含有するセルロースエステルを用い
    てフィルムを形成した後、非溶媒に接触させて熱水可溶
    成分を減少させ熱水可溶成分が5質量%未満のフィルム
    とすることを特徴とするセルロースエステルフィルムの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 溶液流延製膜方法によりセルロースエス
    テルフィルムを製造する方法において、アシル基の置換
    度が2.50以上2.86未満であり、アシル基がアセ
    チル基及び/またはプロピオニル基であり、且つ熱水可
    溶分を5質量%未満含有するセルロースエステルを用い
    てフィルムを形成することを特徴とするセルロースエス
    テルフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 溶液流延製膜方法の金属支持体から剥離
    する時点でのウェブの剥離残留溶媒量を5〜100質量
    %とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項
    に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか1項に記載の方
    法で製造したことを特徴とするセルロースエステルフィ
    ルム。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のセルロースエステルフ
    ィルムを偏光膜の少なくとも1面に貼り合わせたことを
    特徴とする偏光板。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の偏光板を用いたことを
    特徴とするバーティカルアラインメント(VA)型液晶
    表示装置。
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