JPH0994372A - 全自動洗濯機の運転制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】極低水位にて洗濯行程を行うと洗剤の泡立ちが
よくなり、脱水行程時に洗濯槽と外槽の間に泡が発生
（洗剤発泡障害）する現象が起こり、モータにかかる負
担が大きくなる。 【解決手段】極低水位による洗濯に相当するコース選択
された場合、洗濯行程後排水し排水後給水して、注水す
すぎ行程もしくは再度排水し脱水行程を行うものであ
る。 【効果】脱水行程にて発生しやすい洗剤発泡障害による
モータからの異臭，発煙等の発生やモータ内のプロテク
ター作動による洗濯運転停止等の問題の発生率の低減を
図る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、全自動洗濯機にお
ける、例えば、Ｙシャツの衿，袖や靴下，運動着の泥汚
れ等の頑固な汚れをきれいに洗濯するコースの運転方法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在、洗濯機では衿，袖，どろんこ汚れ
等のような頑固な汚れを十分に落すことができず、消費
者の洗濯機に対する大きな不満点となっている。

【０００３】このような頑固汚れの洗濯物の量は、家族
構成によってまちまちであるが、１日あたり平均１kg，
最大でも約２kgと比較的少量である。

【０００４】このような頑固汚れに対処した洗濯機とし
ては、例えば、特開平2−29295号公報に記載されている
ように、洗濯兼脱水槽(以後洗濯槽)の底部からの水深が
１０cm以下の低水位で運転し、少量の衣類を洗濯する洗
濯機がある。

【０００５】この洗濯機によれば、洗濯水中での衣類の
浮遊が少なくなり、回転翼と衣類との接触頻度が増加す
るため、洗濯機の機械作用が増加し、洗浄力を向上させ
ることができる。

【０００６】また、現在の洗濯機の洗濯コースのほとん
どが、洗濯行程後排水し脱水行程を行い、衣類に残留し
た洗剤分を極力少なくし、すすぎ行程に進むことで、す
すぎ時間の短縮を図っている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記極低水位
にて洗濯行程を行うと、低水位かつ洗濯機の機械作用が
増加するため、洗剤の泡立ちがよくなり、洗濯行程後排
水し脱水行程を行うと、洗濯槽と外槽の間に泡が発生
（洗剤発泡障害）する現象が起こり、モータにかかる負
担が大きくなる。

【０００８】しかし、脱水行程は強制的に行われるた
め、モータに流れる電流の増大から、モータから異臭，
発煙等が発生したりモータ内のプロテクターが作動し洗
濯運転停止したり等の問題が生じる。

【０００９】本発明の目的は、極低水位による洗濯に相
当するコースの脱水行程にて発生しやすい洗剤発泡障害
が起こらないように、発生した泡を消すようにすること
で、以降の脱水行程において、洗剤発泡障害によるモー
タからの異臭，発煙等の発生及びモータ内のプロテクタ
ー作動による洗濯運転停止等の発生率を低減できるよう
な運転制御を提供するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する手段
として、極低水位による洗濯に相当するコースが選択さ
れた場合、洗濯行程後排水し、排水後給水を行い、すす
ぎ行程に移るか、もしくは設定水位となってから再度排
水し脱水行程に移るような手段を設けるものである。

【００１１】そして、極低水位による洗濯に相当するコ
ースが選択された場合、洗濯行程後排水し、排水後給水
してすすぎ行程、もしくは再度排水することで、上記極
低水位による洗濯に相当するコースの洗濯行程にて発生
しやすい洗剤発泡障害が起こらないように、発生した泡
を消すようにすることで、以降の脱水行程において、洗
剤発泡障害によるモータからの異臭，発煙等の発生及び
モータ内のプロテクター作動による洗濯運転停止等の発
生率の低減を図れるようにする。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図面に基づい
て説明する。

【００１３】本発明の一実施例を採用した洗濯機は図１
に示すように、鋼板製の外枠１内の吊り棒２及びコイル
バネや弾性ゴムからなる防振装置３を設け、上記防振装
置３によって合成樹脂製の外槽４を吊架する構成となっ
ており、吊り棒２及び防振装置３は４個設けている。

【００１４】洗濯するための水を溜める外槽４内には、
合成樹脂製の洗濯槽５を回転自在に設ける。洗濯槽５に
は多数の脱水孔５ａを設け、中央底部にはパルセータも
しくはアジテータからなる撹拌翼６を回転可能に設け
る。

【００１５】洗い行程、及びすすぎ行程時には洗濯槽５
を静止させ撹拌翼６を時計方向及び反時計方向に回転さ
せる。

【００１６】また、脱水回転時は洗濯槽５を一方向に回
転させる。撹拌翼６及び、洗濯槽５の回転は、駆動装置
７により行われる。

【００１７】駆動装置７は、モータ８と上記モータ８の
回転を撹拌翼６もしくは洗濯槽５に伝達するためのプー
リ９ａ、９ｂやベルト９ｃからなる伝達手段９と洗い及
びすすぎ行程時に撹拌翼６のみを回転させたり、あるい
は脱水行程時に洗濯槽５を回転させたりするクラッチ装
置１０とその切り換えを行うソレノイド１１，排水を司
る排水装置１５からなる。

【００１８】駆動装置７は外槽４の底面に鋼板製の支持
板１２を用いて固定する。外槽４には外槽４内の水の圧
力を水位センサ１３に伝達するＰＳチューブ１４を接続
する導入口４ａが設けてある。

【００１９】外枠１の上部には洗濯物を投入する投入口
１７ａとコントローラ等の電気部品を収納する操作箱１
７ｂとを形成した合成樹脂製のフタ１８を設ける。

【００２０】操作箱１７ｂの上面には操作パネル２１が
取り付けてあり、操作箱１７ｂ内には給水電磁弁２４を
設ける。

【００２１】操作箱１７ｂ内に配置した水位センサ１３
は外槽４内の水の圧力を検出することにより、規定水位
まで水が溜ったかどうか判定する。

【００２２】水位センサ１３はコア，コイル，ばね等か
ら構成されている。

【００２３】洗濯，すすぎ，脱水行程等を制御するコン
トローラ部は収納箱３１内に配置する。

【００２４】操作パネル２１には、電源スイッチボタン
２９及び外部操作スイッチ３０が配置されている。

【００２５】図２は操作パネル２１を示したものであ
る。この操作パネル２１には表示部３２，外部操作スイ
ッチ３０，スタートボタン３３が設けられている。

【００２６】表示部３２には、水位，洗い，すすぎ，脱
水，予約時間，コース設定の情報が表示される。

【００２７】外部操作スイッチ３０には水位切り換え，
洗い，すすぎ，脱水，予約時間，各洗濯コースを選択設
定するセレクトスイッチのボタンが設けられている。

【００２８】さらに、外部操作スイッチ３０の洗濯コー
スには、極低水位による洗濯に相当するコースが設けら
れている。

【００２９】図３は洗濯機全体の回路を簡略化して示し
ており、中央処理回路３４，駆動回路３５は、コントロ
ーラ部としてまとめられて洗濯機本体の収納箱３１に配
置されている。

【００３０】モータ８，給水電磁弁２４としての給水
弁，排水装置１５としての排水弁，洗濯，すすぎ，脱
水，洗濯コース等のセレクトスイッチ３６，水位センサ
１３，布量・布質を判定するための布量・布質センサ３
７，脱水中の異常振動防止等を図る安全スイッチ５０を
持っている。

【００３１】図４は布量・布質検知を行う布量・布質セ
ンサ３７の回路を示している。

【００３２】布量検知制御とは、まず洗濯槽５内に適当
な衣類を投入し、電源スイッチボタン２９を押し、スタ
ートボタン３３を押すことによりモータ８が運転する。

【００３３】モータ８の運転は中央処理回路３４の指令
によりトライアック３７ａと３７ｂのゲートに必要に応
じ、交互に信号を送ることによりモータ８が正逆回転を
行う。モータ８の正逆回転から、図１に示す回転伝達方
式で撹拌翼６を正逆回転させ衣類を動かす。

【００３４】この時、モータ８のＯＦＦ時に発生する逆
起電力の駆動用コンデンサ８ａの端子間電圧をホト−ト
ライアックカプラ３８より直流矩形波パルスに変換し、
インバータ３９で直流矩形波を反転させ、その信号を中
央処理回路３４に送る。

【００３５】これらの制御により、衣類の大小から撹拌
翼６に加わる抵抗が変化し、この変化の度合いを検知し
布量判定を行うものである。

【００３６】布量判定後、布質検知制御を行う。コント
ローラ部からの信号で給水電磁弁２４に通電され、洗濯
槽５内に給水される。

【００３７】規定水位まで給水したことを水位センサ１
３が検知すると、布量検知制御と同様に、モータ８が正
逆回転を行い、発生する逆起電力の駆動用コンデンサ８
ａの端子間電圧の信号（Ｔ₁ ）を中央処理回路３４に送
る。

【００３８】次に布量検知制御により判定した水位まで
給水したことを、水位センサ１３が検知すると、布量検
知制御と同様、モータ８が正逆回転を行い、発生する逆
起電力の駆動用コンデンサ８ａの端子間電圧の信号（Ｔ
₂ ）を中央処理回路３４に送る。

【００３９】これらＴ₁及びＴ₂の信号の変化から布質の
判定を行ったあと洗い撹拌を行う。以上の様に構成され
た全自動洗濯機においての、少量（〜２kg）の頑固汚れ
の洗濯物を洗濯する場合について、図５の運転行程図を
もとに説明する。

【００４０】頑固汚れ（衿袖汚れ，どろんこ汚れ等）の
洗濯物を洗濯槽５の中に投入し、外部操作スイッチ３０
のセレクトスイッチ３６により極低水位で洗濯する頑固
汚れコースを選び、スタートボタン３３を押すと、まず
洗濯物の布量を検出する。そして、洗濯物の布量に応じ
て、概略洗濯物が半分程度水に浸かるような極低水位Ｈ
となった時点で給水を停止する。

【００４１】このような極低水位では、洗濯物は洗濯水
中に浮遊することはなく、洗濯物は常に回転翼６と接触
した状態を保てる。

【００４２】給水停止し洗濯行程に入ると、モータ８は
時計方向回転−休止−反時計方向回転−休止を繰返し、
従って回転翼６が回転し、洗濯物と洗濯水，洗剤が撹拌
され、洗濯物が洗浄される。

【００４３】洗濯行程終了後排水を行い、排水終了後給
水を行う。給水は、布量検知により設定した水位まで給
水を行う。

【００４４】この時の給水方法は、洗濯槽５を回転させ
ながらの給水でもよい。

【００４５】給水停止後は、注水すすぎ行程を行い洗濯
行程時に発生した泡を消すようにすることで、脱水行程
時の洗剤発泡障害によるモータ８からの異臭，発煙等の
発生やモータ８内のプロテクター作動による洗濯運転停
止等の問題の発生率の低減を図るようにする。そして、
以下の運転は脱水行程−２回目のすすぎ行程−最終脱水
と進み運転を終了する。

【００４６】

【発明の効果】本発明は、極低水位による洗濯に相当す
るコースが選択された場合、洗濯行程後排水し、排水後
給水して、注水すすぎ行程もしくは再度排水し、脱水行
程を行うことで、脱水行程にて発生しやすい洗剤発泡障
害によるモータからの異臭，発煙等の発生やモータ内の
プロテクター作動による洗濯運転停止等の問題の発生率
の低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全自動洗濯機の断面
図。

【図２】本発明の一実施例を示す操作パネルの詳細図。

【図３】全自動洗濯機全体の概略回路図。

【図４】布量・布質検知の一実施例の回路図。

【図５】本発明の一実施例を示す運転行程図。

【符号の説明】

１…外枠、５…洗濯槽、６…撹拌翼、８…モータ、１１
…ソレノイド、１３…水位センサ、２１…操作パネル、
２４…給水電磁弁、３０…外部操作スイッチ、３７…布
量・布質センサ。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】洗濯兼脱水槽と、上記洗濯兼脱水槽の底部
   に設けられた回転翼と、上記回転翼を正転及び反転させ
   るモータと、給水の実行及び停止を指示する制御部とを
   備え、複数の洗濯コースを選択する機能を有し、上記洗
   濯コースとして極低水位による洗濯に相当するコースを
   有する全自動洗濯機において、 上記極低水位による洗濯に相当するコースが選択される
   と、洗濯行程の後の排水終了後に給水を行うことを特徴
   とした全自動洗濯機の運転制御方法。
2. 【請求項２】請求項１において、給水を洗濯兼脱水槽を
   回転させながらの給水とすることを特徴とする全自動洗
   濯機の運転制御方法。
3. 【請求項３】請求項１において、給水後すすぎ行程を行
   うことを特徴とした全自動洗濯機の運転制御方法。
4. 【請求項４】請求項１において、給水後注水すすぎ行程
   を行うことを特徴とした全自動洗濯機の運転制御方法。
5. 【請求項５】請求項１において、給水後設定した水位ま
   で達した後、排水し脱水行程に進むことを特徴とした全
   自動洗濯機の運転制御方法。