JPH0993845A - 表面磁石型ロータ - Google Patents

表面磁石型ロータ

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JPH0993845A
JPH0993845A JP7270601A JP27060195A JPH0993845A JP H0993845 A JPH0993845 A JP H0993845A JP 7270601 A JP7270601 A JP 7270601A JP 27060195 A JP27060195 A JP 27060195A JP H0993845 A JPH0993845 A JP H0993845A
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JP
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magnet
ring magnet
coefficient
rotor
temperature
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JP7270601A
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Masahiro Mita
正裕 三田
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】温度特性の悪い(温度係数が大きい)R−TM
−B系永久磁石を使用しても、温度上昇による磁気特性
の劣化を防止可能な表面磁石型ロータを提供することに
ある。 【構成】リング磁石4の内周側に緩衝剤層6を介してロ
ータコア3を固着すると共に、リング磁石4の径方向に
おける熱膨張係数が負でありかつロータコア3の熱膨張
係数が正である表面磁石型ロータ2であって、温度上昇
と共に、リング磁石4の動作点のパーミアンス係数が大
となるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばサーボモー
ター、スピンドルモーター等に用いられる表面磁石型ロ
ータに関する。特に、R−TM−B系磁石(ここで、R
はYを含むNd、Dy等の希土類元素の1種または2種
以上、Bはボロン元素、TMは鉄または鉄およびコバル
ト元素を主体とする合金からなる。)からなる永久磁石
を使用した表面磁石型ロータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ロボット、NC工作機械等に
おいて可動部材や非加工物の位置決めおよび速度制御用
としてサーボモータ等が使用されている。このモータの
界磁発生手段に永久磁石を使用し、外部から界磁エネル
ギーの供給を必要としない永久磁石界磁方式のモータ
は、巻線界磁方式のモータに比べて効率が良いため、そ
の省エネルギー性により小型モータあるいはロボット用
のサーボモータなどに多数使用されている。
【0003】この界磁発生手段として使用される永久磁
石として、R−TM−B系の希土類磁石が高磁気特性を
有するものとして注目されている。R−TM−B系磁石
は優れた磁気特性に加えて、機械的強度が大きく、脆く
なく焼結の収縮に伴う内部応力にも耐え得る。従って、
製造が困難と考えられていたリング磁石の径方向に放射
状に磁気異方性が付与されたラジアル異方性や多極異方
性等のリング磁石の製造が容易となり、モーターの高出
力化・小型化が実現できるようになった。これに関連す
る技術として、例えば、特開昭56−114309号、
特開平6−38417号、特開平5−22880号、特
開平6−38414号、特開平6−70495号、特開
平6−98489号等が挙げられる。
【0004】そして、上記R−TM−B系ラジアル異方
性焼結磁石(その代表例として、Nd−Fe−B系ラジ
アル異方性焼結磁石がある。)は、従来のSm−Co系
のラジアル異方性焼結磁石が割れてしまうのに対し、非
常に割れにくいとされている。その理由としては、Nd
−Fe−B系焼結磁石の機械的強度が、曲げ強さ250
MPa,引っ張り強さ80MPaであって、Sm−Co
系焼結磁石の120Mpa,45MPaに比べてほぼ倍
であることが挙げられる。さらに、Nd−Fe−B系磁
石合金はSm−Co系磁石合金ほどの脆さを持っていな
いことから、焼結の収縮にともなう内部応力に耐えるこ
とができることもその理由の一つであると考えられる。
このような理由から、R−TM−B系磁石は、ラジアル
異方性焼結磁石にしても極めて割れにくいとされてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のような利点を有
するR−TM−B系永久磁石だが、他材質の永久磁石に
比較して例えば残留磁束密度(以後Brと記す。)等の
温度係数が大きく、高温側では磁気特性が急激に劣化す
るという問題点を有する。例えば、電気自動車等に用い
られるブラシレスDCモータを例にとると、その使用温
度範囲は、−40℃〜200℃程度にもなるので、上記
モータに組込まれたR−TM−B系永久磁石の高温側で
の熱減磁による磁気特性の急激な劣化は大きな問題であ
る。
【0006】そこで、本発明は、前記従来技術の問題点
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、磁
石特性に関して温度特性の悪い(例えばBr等の温度係
数が大きい)R−TM−B系永久磁石を使用しても、温
度上昇によるモータ特性の劣化を抑制可能な表面磁石型
ロータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、リング磁石の内周側に緩衝剤層を介し
てロータコアを固着すると共に、前記リング磁石の径方
向における熱膨張係数が負でありかつ前記ロータコアの
径方向における熱膨張係数が正である表面磁石型ロータ
において、温度上昇と共に、前記リング磁石の動作点の
パーミアンス係数が大となるように構成した。また、前
記リング磁石として、R−TM−B系磁石(ここで、R
はYを含むNd、Dy等の希土類元素の1種または2種
以上、Bはボロン元素、TMは鉄または鉄およびコバル
ト元素を主体とする合金からなる。)からなるラジアル
異方性または極異方性磁石を使用した。ここで、前記ラ
ジアル異方性または極異方性磁石は焼結磁石であっても
ボンド磁石であってもよい。また、前記緩衝剤層の厚み
を、20〜1000μmの範囲内に設定した。さらに、
低温度(T1)におけるリング磁石の径方向の磁石厚み
をLm、低温度(T1)におけるギャップ厚み(すなわ
ち、緩衝剤層の厚みとステータとロータ間の空隙の和)
をLg’、リング磁石の低温度(T1)から高温度(T
2)に至るBrの可逆温度係数をK1,(ロータコアの
径方向の熱膨張係数)−(リング磁石の径方向の熱膨張
係数)=K2、低温度(T1)におけるロータの直径を
Dとした時に、 (Lm+1.05Lg’)/(1.05D)≧(−K2
/K1) の関係式を満足させるようにした。また、(Lm+1.
05Lg’)/(1.05D)=A(−K2/K1)で
あり、かつ相関係数Aが3≦A≦5を満たすようにし
た。
【0008】上記本発明では、R−TM−B系のリング
磁石が磁気異方性化すなわち、ラジアル異方性または極
異方性の付与によって径方向の熱膨張係数が負になるこ
と、および内部のロータコア(強磁性のものが好まし
い。)は径方向の熱膨張係数が正であることを利用し
て、表面磁石型ロータを構成するリング磁石の温度上昇
によるモータ特性の劣化分を、パーミアンス係数の増加
による増磁分で補償し得るようにした。すなわち、本発
明では、リング磁石の内周側に緩衝剤層を介してロータ
コアを固着した。このような構成の下、温度が上昇する
と、径方向において負の熱膨張係数を有するリング磁石
は内径側に収縮する。一方、径方向において正の熱膨張
係数を有する内部のロータコアは、外径側に膨張する。
この結果、緩衝剤層の厚み(リング磁石と内部のロータ
コア間のギャップ間隔)が減少する。なお、緩衝剤層は
リング磁石とロータコアの熱膨張および熱収縮を破断す
ることなく伸縮自在に吸収し得る応力−変位特性を有す
る公知の接着剤で構成される。このようにして緩衝剤層
の厚みが減少するとリング磁石とロータコア間の磁気抵
抗が減少して、ロータに組込まれたリング磁石の動作点
におけるパーミアンス係数が大きくなる分増磁し、温度
上昇によるリング磁石の磁気特性の低下が補償される。
このように、本発明では、温度上昇と共にリング磁石と
内部のロータコアとの間のギャップ間隔(緩衝剤層の厚
み)が減少することに着目して、温度上昇による表面磁
石型ロータの磁気特性の劣化を抑制し得る。
【0009】上記R−TM−B系のリング磁石として
は、ラジアル異方性または極異方性磁石のどちらも使用
可能である。また、上記緩衝剤層の厚み(リング磁石と
内部のロータコア間のギャップ間隔)は、20〜100
0μmの範囲内にあることが好ましい。というのは、緩
衝剤層の厚みが20μmより小さいと、わずかな温度上
昇でもって、径方向におけるリング磁石の熱収縮および
内部ロータコアの熱膨張によって緩衝剤層の厚み0、す
なわちリング磁石と内部ロータコアとが接触してしま
う。接触後、さらに温度上昇があるとリング磁石とロー
タコアとは相互に熱応力を受けるが、この場合、相対的
に脆いリング磁石が割れてしまうといった問題が多発す
るからである。また、緩衝剤層の厚みが1000μmよ
り大きいと、磁気抵抗が非常に大となり、表面磁石型ロ
ータの表面磁束密度の低下を招来し、モータ特性が著し
く低下してしまうからである。
【0010】また、温度上昇による表面磁石型ロータの
磁気特性低下を補償するためには、低温度(T1)にお
けるリング磁石の径方向の磁石厚みをLm、低温度(T
1)におけるギャップ厚み(すなわち、接着剤層の厚
み、およびロータとステータ間のエアギャップの厚みの
合計)をLg’、リング磁石の低温度(T1)から高温
度(T2)に至るBrの可逆温度係数をK1,(ロータ
コアの径方向の熱膨張係数)−(リング磁石の径方向の
熱膨張係数)=K2、低温度(T1)におけるロータの
直径をDとした時に、 (Lm+1.05Lg’)/(1.05D)≧(−K2
/K1) という関係式を満足させることが、温度上昇に伴うロー
タの磁気特性低下を抑制し得る点からより好ましい。ま
た、(Lm+1.05Lg’)/(1.05D)=A
(−K2/K1)であり、かつ相関係数Aが3≦A≦5
を満たすように構成すると特に好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図により説明す
る。まず、本発明の表面磁石型ロータが適用されるブラ
シレスDCモータの一例を図1に示す。ブラシレスDC
モータAは、ステータ1とロータ2とから成り、ロータ
2はステータ1内に回転可能に支持されている。ロータ
2は、ロータコア3の外周に、例えば常温硬化型のエポ
キシ系接着剤(商品名アラルダイトAV138等)から
なる緩衝剤層6を介してリング磁石4を設けると共に、
ロータ2の回転軸としてのシャフト5を設けて構成され
ている。上記リング磁石4は日立金属(株)製Nd−F
e−B系ラジアル異方性焼結リング磁石:HS−30B
Rであり、表面に耐酸化性の被覆層(例えばNiメッキ
等)が形成されるとともに、磁場中成形手段を用いて半
径方向にラジアル異方性が付与され、さらに適宜の着磁
手段によって図1に示す通りリング磁石4の外周面に4
磁極が形成されている。また、ラジアル異方性を有する
リング磁石4に、磁極境界10が形成されている。ロー
タコア3は、例えば強磁性材料(S45C等)により中
空円筒状に形成されている。
【0012】上記緩衝剤層6は、リング磁石4とロータ
コア3との間に適当な隙間(好ましくは20〜1000
μm)を設けて、その隙間を接着力に優れかつ伸縮自在
の上記の接着剤で隙間のないように充填することにより
形成される。この緩衝剤層6を形成する接着剤として
は、公知の接着剤を用い得るが、リング磁石4とロータ
コア3の接着に際して接着剤の加熱を必要としない常温
硬化型の接着剤がリング磁石4への熱減磁を発生させな
い点で好ましい。この常温硬化型の具体例として、上述
のエポキシ系接着剤の他、例えば、嫌気性の常温硬化型
接着剤(商品名ロックタイト325UV等)、紫外線硬
化型接着剤等が挙げられる。ステータ1の内周面には、
複数個のスロット7が設けられており、このスロット7
内に巻線8が介装されている。また、ステータ1とロー
タ2の間には、エアギャップ9が形成されている。
【0013】本発明の表面磁石型ロータに使用するリン
グ磁石として、R−TM−B系磁石(ここで、RはYを
含むNd,Dy等の希土類元素の1種または2種以上、
Bはボロン元素、TMは鉄または鉄およびコバルト元素
を主体とする合金からなる。)からなるラジアル異方性
または極異方性を有する焼結磁石を使用できる。また、
例えば、R−TM−B系の永久磁石粉末をエポキシ樹脂
等の熱硬化性樹脂中に均一分散させた混練物を作製し、
この混練物を用いて、公知のラジアル異方性または極異
方性を付与し得る成形手段によって、ラジアル異方性ま
たは極異方性が付与されたボンド磁石製のリング磁石を
製作し、本発明の表面磁石型ロータに用いてもよい。そ
して、ラジアル異方性または極異方性のリング磁石(焼
結磁石でもボンド磁石でもよい。)を、例えば、ブラシ
レスDCモータ用の表面磁石型ロータに用いた場合、モ
ータの使用温度範囲(例えば、−40〜200℃)にお
いて、このリング磁石の径方向の熱膨張係数が負とな
る。具体的には、例えば−40〜200℃において、熱
膨張率はR−TM−B系の焼結磁石タイプで−2×10
-6/℃程度、R−TM−B系のボンド磁石タイプで−6
×10-6/℃程度である。これに対して、通常使用され
ている鉄系のロータコアは径方向の熱膨張係数が+10
×10-6/℃程度である。
【0014】本発明では、例えば、電気自動車等に用い
られるブラシレスDCモータの使用温度範囲(−40〜
200℃)において、ブラシレスDCモータ用の表面磁
石型ロータに用いられるリング磁石における高温側での
磁気特性の熱減磁分を、このリング磁石とロータコア間
のギャップ間隔減少によるパーミアンス係数増加分によ
る増磁分で補うことによって、ブラシレスモータの温度
特性を補償改善するようにした。
【0015】この状況を図2により具体的に説明する。
図2は、本発明のリング磁石の熱減磁と径方向における
熱収縮、及びロータコアの径方向における熱膨張による
リング磁石の動作点におけるパーミアンス係数の増加の
状態を示す。なお、図2の縦軸は磁束密度Bを、横軸は
磁界の強さHを各々表わしている。ここでは、図1のよ
うに、ラジアル異方性のリング磁石4とシャフト5付き
ロータコア3(例えば、鉄系のヨーク材SS41等を用
いる。)とを、緩衝剤層6(例えば、アラルダイトAV
−138等の接着剤。)を介して固着した場合におい
て。温度上昇とともにこのラジアル異方性リング磁石4
(径方向の熱膨張係数は−2×10(-6/deg.)で
ある。)は内径側に収縮し、かつロータコア3(径方向
の熱膨張係数は10×10-6(/deg.)である。)
は外径側に膨張する結果、緩衝剤層6の厚みが減少して
ロータ2を構成するリング磁石4の動作点におけるパー
ミアンス係数が大となる。以下、この現象を図2を参照
して説明する。
【0016】図2において、(イ)は温度T1(低温
度)における図1のブラシレスDCモータを構成するリ
ング磁石4のB−Hカーブを示し、(ロ)は温度T2
(高温度)における図1のリング磁石4のB−Hカーブ
をそれぞれ示す。また、直線(ハ)はパーミアンス係数
Pc=C1=B1/H1の場合(ここでB1,H1は各
々図2のP(T1)点におけるBおよびHの値。)を示
し、直線(ニ)はパーミアンス係数Pc=C2の場合を
それぞれ示す。低温度(T1)においては、ロータ2の
リング磁石4の動作点は、B−Hカーブ(イ)とパーミ
アンス係数(C1)の直線(ハ)との交点であるP(T
1)点にある。そして、温度が低温度(T1)から高温
度(T2)に上昇すると、B−Hカーブ(イ)は、リン
グ磁石4の熱減磁分だけ下方にずれてB−Hカーブ
(ロ)となる。この温度上昇と共に、上述の通り、緩衝
剤層6の厚みが減少してリング磁石4のパーミアンス係
数がC1からC2に増加する。この結果、高温度(T
2)におけるロータ2のリング磁石4の動作点は、B−
Hカーブ(ロ)とパーミアンス係数(C2)の直線
(ニ)との交点であるQ(T2)点に移る。このよう
に、本発明の表面磁石型ロータ2は温度上昇とともに緩
衝剤層6の厚み減少によるリング磁石4の動作点におけ
るパーミアンス係数の増加があるため、図2においてΔ
B13=B3−B1分の磁束密度増磁分を獲得できる。
一方、温度上昇に伴って、モータ用ロータに組込まれた
永久磁石の動作点におけるパーミアンス係数の実質的な
増加のない従来のモータでは、図2において、P(T
1)点からR(T2)点への磁束密度の熱減磁分ΔB1
2=B1−B2がロータの永久磁石に発生してしまい、
モータ特性を低下させてしまうのである。なお、本発明
の表面磁石型ロータにおいては、上述した通りのパーミ
アンス係数の増加によって、低温度(T1)から高温度
(T2)への温度変化において、リング磁石4の動作点
におけるパーミアンス係数がR(T2)点より高磁束密
度側、すなわち高パーミアンス係数側にずれるのである
が、より好ましくはP(T1)点における磁束密度B1
よりもQ(T2)点における磁束密度B3を大にする、
すなわちB1≦B3とすることも可能である。
【0017】本発明のロータ2の好ましい構成は、低温
度(T1)におけるリング磁石の径方向の磁石厚みをL
m、低温度(T1)におけるギャップ厚み(すなわち、
緩衝剤層6の厚み+コアギャップ9の厚み)をLg’、
ラジアル異方性または極異方性を有するリング磁石4の
低温度(T1)から高温度(T2)に至るBrの可逆温
度係数をK1,(ロータコア3の径方向における熱膨張
係数)−(リング磁石4の径方向における熱膨張係数)
=K2、低温度(T1)におけるロータの直径Dとした
時に、 (Lm+1.05Lg’)/(1.05D)≧(−K2
/K1) となる場合である。そして、上記式の成立する場合にお
いて、上述した図2におけるリング磁石4のP(T1)
点からQ(T2)点への動作点の変化が起こるととも
に、Q(T2)点の磁束密度B3をP(T1)点の磁束
密度B1以上、すなわちB1≦B3とでき得るのであ
る。このような関係式を満たすことにより、熱減磁作用
をパーミアンス係数の増加で補償し、温度によらずほぼ
一定の磁束密度を得ることができる。
【0018】また、上述の通り本発明では、緩衝剤層6
の厚み(リング磁石4とロータコア3間のギャップ間
隔)を、20〜1000μmの範囲内に設定した。これ
は、緩衝剤層6の厚みが20μmより小さいと、リング
磁石4内に大きな応力が発生して割れてしまうからであ
る。また、緩衝剤層6の厚みが1000μmより大きい
と、磁気抵抗が大となりリング磁石4の表面磁束密度の
低下を招来しモータの特性が低下してしまうからであ
る。例えば、直径50mmのロータ2で120℃まで温
度補償すると、約50μmの隙間(緩衝剤層6の厚み)
が必要である。次に、本発明の表面磁石型ロータの具体
例を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】ここで表1のリング磁石およびロータコア
3を図1のロータ2に各々組込んで評価を行っている。
リング磁石4として、実施例1では、HS−30BR
(日立金属(株)製のNd−Fe−B系ラジアル異方性
焼結磁石、4極着磁)を使用し、実施例2では、実施例
1と同一の磁石原料を用いて製作した極異方性焼結磁石
(4極着磁)を使用した。また、比較例1では、実施例
1と同様に、HS−30BR(日立金属(株)製のNd
−Fe−B系ラジアル異方性焼結磁石、4極着磁)をリ
ング磁石4として使用した。また、比較例2では、アー
クセグメント形状で半径方向にラジアル異方性が付与さ
れた日立金属(株)製の異方性焼結磁石(H−23C
V;2−17型Sm−Co−Fe−Cu−Zr系磁石)
を4個貼合せて一体リング磁石形状のラジアル異方性磁
石としたものを4極着磁してロータ2に組み込んだ。な
お、実施例1、2および比較例1、2において、上記各
リング磁石の寸法は同一である他、実施例1、2および
比較例1のリング磁石の表面には数十μmの厚さでNi
メッキが施されている。また、各例の緩衝剤(アラルダ
イトAV138)層厚は各々T1(℃)において表1の
値に設定された。
【0021】実施例1では、低温度(T1)におけるロ
ータ直径Dすなわちリング磁石4の直径Dは100m
m、低温度(T1)におけるリング磁石4の径方向の磁
石厚み(Lm)は0.8mm、低温度(T1)における
ギャップ厚み(Lg’)=0.15mm+50μmであ
る。ここで、前記ギャップ厚み(Lg’)はエアギャッ
プ9の厚み0.15mmと、低温度(T1)における緩
衝剤6の厚み50μmとの合計値である。そして、実施
例1では、表1に示す通り、上記リング磁石4の径方向
の熱膨張係数(αmag )=−2×10-6(/℃)であ
り、ロータコア3(SS41を使用)の径方向の熱膨張
係数(αcore)=10×10-6(/℃)である。また、
ロータ2に組込まれたリング磁石4の温度上昇に伴うパ
ーミアンス係数(Pc)およびロータ2の表面の最大磁
束密度(Bo)の変化を表1に示している。この結果よ
り、実施例1では低温度T1=20℃でPc=4である
のに対し、高温度T2=70℃でPc=5.3というよ
うに、温度上昇とともにPcが大となることがわかる。
さらに、低温度T1=20℃でBo=0.89(T)で
あるのに対し、高温度T2=70℃でもBo=0.89
(T)であって、温度上昇に伴うロータ2の磁気特性の
低下が抑制されていることがわかる。また、(Lm+
1.05Lg’)/(1.05D)および(−K2/K
1)の換算値を表1に記載しているが、実施例1におい
ては、(Lm+1.05Lg’)/(1.05D)=
0.010および(−K2/K1)=0.010であっ
て、(Lm+1.05Lg’)/(1.05D)=(−
K2/K1)を満足しており、本発明の表面磁石型ロー
タとして、極めて理想的な条件を満足していることがわ
かる。
【0022】次に、実施例2では、上記極異方性焼結型
リング磁石を用いたこと、および低温度(T1)におけ
る緩衝剤層6の厚みを100μmとした以外は、実施例
1と同様にして評価を行ったところ、表1に示す結果を
得た。この結果より、極異方性焼結型リング磁石を用い
てかつ100μmの厚みを有する緩衝剤層6を介在させ
ることによって、実施例1と同様の作用効果が得られる
ことがわかる。
【0023】次に、比較例1では、上記緩衝剤層6の厚
みを10μmとした以外は実施例1と同様にして評価を
行ったところ、表1に示すように、45℃でラジアル異
方性焼結型リング磁石に割れを生じた。このことから、
実施例2の条件で50℃以上の温度に耐えるには緩衝剤
層6の厚みを10μmより大とする必要があることがわ
かる。
【0024】次に、比較例2では、上述した通り、2−
17型Sm−Co系の希土類磁石からなるアークセグメ
ント形状の永久磁石をエポキシ系接着剤(例えばアラル
ダイトAV138等)で貼合わせて一体のリング磁石4
形状に形成したラジアル異方性リング磁石4を用いて、
図1のブラシレスDCモータ用ロータ2を構成した。こ
の貼合わせリング磁石4の径方向の熱膨張係数(αmag
)=11×10-6(/℃)であり、ロータコア3は実
施例1と同様のSS41を使用した。そして、ロータ2
に組込まれたこのリング磁石4の温度上昇に伴うPcの
変化は、表1に示すように、低温度T1=20℃および
高温度T2=100℃でPc=4であり、変化しないこ
とがわかる。また低温度T1=20℃でBo=0.74
(T)であるのに対し、高温度T2=100℃ではBo
=0.71(T)というように、2−17型Sm−Co
系希土類磁石のBrの可逆温度係数に見合う熱減磁を生
ずることが確認された。表1の実施例3に、Nd−Fe
−B系ラジアル異方性焼結リング磁石(日立金属(株)
製)を用いた更に異なる実施例を示している。実施例3
では、図1の表面磁石型ロータ2を構成するリング磁石
4として寸法が異なる以外は実施例1と同様のリング磁
石を用いた。この実施例3のリング磁石を用いたロータ
は比較例2に示した2−17型Sm−Co系の希土類磁
石を用いたロータと、20℃から100℃への温度上昇
に伴う熱減磁率(表面磁束密度変化)を同等にすること
ができている。この場合、(Lm+1.05Lg’)/
(1.05D)=0.04および(−K2/K1)=
0.01である。したがって、(Lm+1.05L
g’)/(1.05D)=A(−K2/K1)、Aは相
関係数とすると、A=4すなわち、(Lm+1.05L
g’)/(1.05D)=4(−K2/K1)の関係に
ある。Sm−Co系希土類磁石の径方向の熱膨張係数お
よびロータコアの材質などの種類の多さ(すなわち熱膨
張係数の範囲を考えると、Sm−Co系の希土類磁石製
のリング磁石を用いた表面磁石型ロータ(例えば、比較
例2)の熱減磁率に対して、Br等の可逆温度係数が大
きく、磁石単体ではより熱減磁し易いNd−Fe−B系
ラジアル異方性または極異方性リング磁石を用いた表面
磁石型ロータ(例えば、実施例3)の熱減磁率を合わせ
るためには、相関係数Aが、3≦A≦5の範囲内である
ことが好ましい。なお実施例3において、Lm=2(m
m)、Lg’=0.5(mm)、D=60(mm)、緩
衝剤(アラルダイトAV138)層厚は50μm、ロー
タコア3はSS41である。
【0025】また、上記緩衝剤層6の厚みを1100μ
mとした以外は実施例1と同様とした比較例3のもの
で、上記と同様の評価を行ったところBoが実用に耐え
ないレベルまで低下していた。
【0026】上述の結果から、リング磁石の内周側に緩
衝剤層を介してロータコアを固着するとともに、前記リ
ング磁石の径方向における熱膨張係数が負であり、かつ
前記ロータコアの径方向における熱膨張係数が正である
ように表面磁石型ロータを構成し、かつ接着剤からなる
緩衝剤層の厚みを20〜1000μmに設定すること
が、本発明の表面磁石型ロータとして極めて好ましいこ
とがわかる。
【0027】なお、本発明における低温度(T1)およ
び高温度(T2)としては各々任意の温度を選択できる
が、実用上、例えばT1は本発明のロータが組込まれた
モータが停止した状態(例えば、T1=20(室温)
等。)、およびT2はモータの駆動状態により、本発明
のロータが昇温されている状態であると言えるが、これ
らに限定されるものではない。
【0028】本発明のロータに使用できるリング磁石と
しては、R−TM−B系永久磁石材料からなるラジアル
異方性や極異方性の永久磁石に代表される、径方向に負
の熱膨張係数を有するものであれば使用可能である。し
たがって、上述の実施例に記載された焼結磁石型のリン
グ磁石の他、ボンド磁石型のリング磁石を本発明のロー
タに用いた場合において、上述の実施例と同様の作用効
果を期待できる。また、本発明のリング磁石の寸法およ
び、着磁による磁極数、磁極パターン等の変化について
は、例えば、本発明のロータが組込まれるモータや発電
機、リターダー等への用途に応じて適宜決定し得るもの
である。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、温度特性の悪い(温度
係数が大きい)R−TM−B系永久磁石材料を適当な厚
みを有する緩衝剤層を介してロータコアに固着すること
によって、1−5系や2−17系のSm−Co系希土類
磁石製のリング磁石を用いた場合に匹的する温度特性を
有する表面磁石型ロータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面磁石型ロータが使用されるブラシ
レスDCモータの一例を示す図である。
【図2】リング磁石の熱減磁と熱収縮及びロータコアの
熱膨張によるパーミアンス係数の増加の状態を示す図で
ある。
【符号の説明】
A ブラシレスDCモータ 1 ステータ 2 ロータ 3 ロータコア 4 リング磁石 5 シャフト 6 緩衝剤層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リング磁石の内周側に緩衝剤層を介してロ
    ータコアを固着すると共に、前記リング磁石の径方向に
    おける熱膨張係数が負でありかつ前記ロータコアの径方
    向における熱膨張係数が正である表面磁石型ロータにお
    いて、 温度上昇と共に、前記リング磁石の動作点のパーミアン
    ス係数が大となることを特徴とする表面磁石型ロータ。
  2. 【請求項2】前記リング磁石が、R−TM−B系磁石
    (ここで、RはYを含むNd、Dy等の希土類元素の1
    種または2種以上、Bはボロン元素、TMは鉄または鉄
    およびコバルト元素を主体とする合金からなる。)から
    なるラジアル異方性または極異方性磁石であることを特
    徴とする請求項1に記載の表面磁石型ロータ。
  3. 【請求項3】前記緩衝剤層の厚みが、20〜1000μ
    mであることを特徴とする請求項1に記載の表面磁石型
    ロータ。
  4. 【請求項4】低温度(T1)におけるリング磁石の径方
    向の磁石厚みをLm、低温度(T1)におけるギャップ
    厚みをLg’、リング磁石の低温度(T1)から高温度
    (T2)に至る残留磁束密度(Br)の可逆温度係数を
    K1,(ロータコアの径方向の熱膨張係数)−(リング
    磁石の径方向の熱膨張係数)=K2、低温度(T1)に
    おけるロータの直径をDとした時に、 (Lm+1.05Lg’)/(1.05D)≧(−K2
    /K1) てあることを特徴とする請求項1に記載の表面磁石型ロ
    ータ。
  5. 【請求項5】(Lm+1.05Lg’)/(1.05
    D)=A(−K2/K1)であり、かつ相関係数Aが3
    ≦A≦5を満たすことを特徴とする請求項1に記載の表
    面磁石型ロータ。
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