JPH0992828A - 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ及びその製造方法

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JPH0992828A
JPH0992828A JP24943995A JP24943995A JPH0992828A JP H0992828 A JPH0992828 A JP H0992828A JP 24943995 A JP24943995 A JP 24943995A JP 24943995 A JP24943995 A JP 24943995A JP H0992828 A JPH0992828 A JP H0992828A
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base
conductivity
type base
emitter
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JP24943995A
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Akihiro Tanba
昭浩 丹波
Yasuhiro Nemoto
康宏 根本
Mutsuhiro Mori
森  睦宏
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低オン電圧と低飽和電流の特性を持つIGBT
を提供する。 【解決手段】トレンチゲート型IGBTにおいて、P−
ベース14の領域側に傾斜したテーパー形状の溝を設け
て、ここにトレンチゲート10を構成する。溝の底面は
開口部よりも広く且つ、ゲート酸化膜11’と同等の厚
みの酸化膜11が形成されている。本構造によると、オ
ン状態でエミッタ12からP−ベース14に形成される
反転層を介してN−ベース15中に流れ込む電子は、コ
レクタ電圧が低い定格電流の動作時は、ゲート酸化膜1
1’や酸化膜11下に生成されるN−ベース15中の電
子の蓄積層を通して、N−ベース15の全域に流れ、ベ
ース15の抵抗が減少して低オン電圧化を可能にする。
一方、コレクタ電圧が増大して、電子の蓄積層が消滅す
ると、電子の流れは主としてP−ベース14下に限定さ
れ、N−ベース15の抵抗が増大して低飽和電流を実現
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インバータ等、電
力変換装置を構成する絶縁ゲート制御バイポーラトラン
ジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor;以下で
は、IGBTと略称する)において、低損失と高負荷短
絡耐量を実現する構造及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】IGBTは電圧制御のためゲートドライ
ブ回路を簡略化でき、安全動作領域(SOA)が広い等
の長所により、その応用範囲を着実に広げている。しか
し、非ラッチアップ型素子であるため、オン電圧の高い
ことが唯一の欠点である。これを改善するために、オン
電圧低減の各種の試みがなされている。
【0003】その一つに、負荷短絡時にIGBTの電流
を制限して短絡耐量を増大する、過電流保護回路内蔵の
IGBTが提案されている。
【0004】また、IGBTのゲートの構造を従来のプ
レーナ型からトレンチ構造に換えるものがある。トレン
チ構造は1986年に、最初の文献(D.Ueda, K. Kitam
ura,H. Takagi, G. Kano, "A New Injection Supressio
n Structure for Conductivity Modulated Power MOSFE
Ts," in SSDM Tech. Dig., 1986,P. 97.)が発表されて
いる。
【0005】図13に、従来のトレンチ型IGBTの構
造を示す。図示のように基板に対して垂直(U溝)なト
レンチゲート10を有している。この構造によるメリッ
トは、プレーナ型で問題となる寄生JFETを削減で
き、この効果により電圧降下を低減できることである。
また、単位セル幅を小さくできるので、MOSチャネル
密度を高くできる。これらの結果として、素子の電圧降
下を小さくしオン電圧Vfを大幅に低減できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】IGBTはトレンチゲ
ート構造による低オン電圧化により、損失を低減できる
ようになった。しかし、一方で飽和電流が増大して、短
絡耐量の劣化による信頼性の低下が問題となり、製品化
の上で大きな障害になっている。
【0007】そこで、プレーナ型に用いられている過電
流保護回路を、トレンチ型IGBTに採用することが考
えられるが、保護回路は発振等の問題があり、現状では
安定動作を確保することが困難である。仮に、保護回路
の動作特性を実用レベルまで改善できるとしても、保護
回路を内蔵することにより、チップ面積が増大してしま
う問題は残る。このため、単位セル幅の縮小によりチッ
プ面積を縮小できることが大きなメリットとなるトレン
チIGBTにおいて、相反する問題を抱えることにな
る。
【0008】本発明の目的は、上記した従来のトレンチ
IGBTの問題点を克服し、保護回路なしで負荷短絡耐
量を確保でき、低オン電圧と低飽和電流を同時に達成で
きるIGBTとその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
は、エミッタ電極とコレクタ電極との間に第一導電型エ
ミッタ、第二導電型ベース、第一導電型ベース及び第ニ
導電型コレクタの4層を含み、前記エミッタ電極は前記
第二導電型ベースと前記第一導電型エミッタを短絡する
ように設け、前記第二導電型ベースに第一導電型の反転
層を形成して前記第一導電型エミッタから前記第一導電
型ベースに第一導電型のキャリアを注入して素子をオン
できるように、前記第二導電型ベースにゲート電圧を印
加する所定トレンチ構造の絶縁ゲート電極を設け、この
所定トレンチ構造の作用により、コレクタ電圧の増大に
伴う前記第一導電型ベースを流れるコレクタ電流の領域
が減少するようにしたことを特徴とする。
【0010】または、コレクタ電圧の増大に伴うコレク
タ電流の増加に対して前記第一導電型ベースに蓄積され
るキャリアの増加の割合が減少するようにしたことを特
徴とする。
【0011】あるいは、コレクタ電圧の増大に伴って前
記第一導電型ベース中の第一導電型の蓄積層と前記第二
導電型ベース中の前記第一導電型の反転層を合わせた長
さが増加するようにしたことを特徴とする。
【0012】上記の所定トレンチ構造は、前記第一導電
型エミッタ及び前記第二導電型ベースを貫通して前記第
一導電型ベースに達する溝を設けてなり、該溝の開口部
よりも前記第一導電型ベース領域側の底部を広くするよ
うに、テーパー形状としたことを特徴とする。
【0013】そのため、前記テーパー形状は、基板の深
さ方向から前記第一導電型エミッタ領域側へ傾斜するこ
とを特徴とする。
【0014】さらに、前記溝の底部の表面に絶縁ゲート
の酸化膜と同程度の厚さの酸化膜を形成したことを特徴
とする。
【0015】上記した本発明の構成による作用は、トレ
ンチ構造を上記のようにテーパー溝造としたことによ
り、コレクタ電圧の低圧領域、すなわち定格電流領域で
は、従来のU溝に比べて前記第一導電型ベースにキャリ
アが効率よく蓄積され、コレクタ電圧が増大するに従っ
て蓄積されずらくなる。この結果、定格電流領域では第
一導電型ベース層の抵抗を小さくして低オン電圧、コレ
クタ電圧が増大するに従ってベース抵抗が増大して、飽
和領域での低飽和電流化を実現する。
【0016】また、溝の底部にゲート酸化膜と同程度の
厚さの酸化膜を形成したことにより、コレクタ電圧の低
いときのみ、第一導電型ベースとの間にキャリアの蓄積
層が形成されて、オン電圧をより低下させるとともにコ
レクタ電圧の変化に応じた素子抵抗の変化が顕著とな
り、飽和電流抑制の性能を向上する。
【0017】このように、本発明のIGBTは定格の低
圧領域では低抵抗となって低オン電圧、高圧の飽和領域
では高抵抗となって低飽和電流をそれぞれ実現できるの
で、低損失と短絡耐量の大きなIGBTを保護回路なし
に実現できる。
【0018】さらに、上記した本発明の目的は、エミッ
タ電極とコレクタ電極との間に第一導電型エミッタ、第
二導電型ベース、第一導電型ベース及び第二導電型コレ
クタの4層を含み、前記エミッタ電極は前記第二導電型
ベースと前記第一導電型エミッタを短絡して設けると共
に、前記第一導電型エミッタ及び前記第二導電型ベース
を貫通して前記第一導電型ベースに達する溝を形成して
絶縁ゲートを設けるバイポーラトランジスタの製造方法
において、第一導電型の半導体基板に、開口部幅よりも
底部幅が狭いテーパ型溝を成形する工程1、第一導電型
の第一の半導体基板と、前記テーパ型溝が形成された第
二の半導体基板で前記溝が形成された面を圧接する工程
2、工程2で製造された半導体基板を前記第二の半導体
基板の表面から研磨して、開口部幅よりも底部幅が広い
テーパ型溝を露出させる工程3、工程3で形成されたテ
ーパ型溝に酸化膜を形成する工程4、前記酸化膜が形成
されたテーパ型溝に多結晶Siを埋め込む工程5、前記
多結晶Siを半導体基板表面まで平坦化する工程6を含
むことにより達成される。
【0019】これによれば、エッチングでテーパー形状
の溝を形成し、溝側面と他の基板との圧接後に、溝側面
の反対側の表面から研磨して開口部よりも底部の広い所
望のテーパー形状を、高精度且つ容易に形成できる。ま
た、ゲート酸化膜と溝底部の酸化膜を一工程で処理でき
るので、ほぼ同等の薄い膜厚を容易に形成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
用いて詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明の一実施形態によるIGB
Tの構造を示す断面図である。このIGBTはエミッタ
電極19からコレクタ電極18に向けて、第一導電型
(N)エミッタ12、第二導電型(P)ベース14、第
一導電型(N)ベース15、第ニ導電型(P)コレクタ
17を含む4層構成からなる。エミッタ電極19は第一
導電型エミッタ12とP+層13を短絡して設けてい
る。絶縁ゲート電極10のトレンチ形状は、開口部より
底面が広い逆テーパ型とし、トレンチ底面に酸化膜11
を設け、その厚さをゲート酸化膜11’と同程度にして
いる。
【0022】ここで、P+層13はPベース14の表面
を高濃度にして、エミッタ電極19のコンタクト抵抗を
小さくするための層、N+バッファ層16はP+コレク
タ17からのホールの注入量を調節するための層で、と
もに存在しなくても本IGBTの基本的な動作には何ら
影響がない。
【0023】絶縁ゲート10に電圧を印加して第二導電
型ベース14に第一導電型(N)の反転層を形成し、第
一導電型エミッタ12から第一導電型ベース15に第一
導電型のキャリア(電子)を注入することにより素子を
オンする。本構造によれば、コレクタ電圧が低い定格電
流の動作時は素子抵抗が低く維持され、コレクタ電圧が
増大するに従い、第一導電型ベース15に流れる電流領
域を狭くして素子抵抗が高くなる。
【0024】図2に定格電流密度における電流流線の模
式図、図3に飽和領域における電流流線の模式図をそれ
ぞれ示し、本実施形態によるIGBTの動作のメカニズ
ムを説明する 図2に示すように、逆テーパ型に加工されたトレンチゲ
ート10は、コレクタ電圧が低い(例えば、オン電圧
1.4V)定格電流の動作条件では、従来のU溝に比べ
てN−ベース15にホールが効率よく蓄積され、コレク
タ電圧が増大するとホールが蓄積されずらくなる。この
ことは、コレクタ電圧に応じてN−ベース15の抵抗が
定格では低い値、飽和領域では高い値に遷移することを
意味し、低オン電圧と低飽和電流を同時に達成できる特
性を実現している。
【0025】さらに、酸化膜11の下部の第一導電型ベ
ース15に、電子の蓄積層31が形成される。これによ
って、電子電流は第二導電型ベース14の下面のみなら
ず、蓄積層31を通して第一導電型ベース15のほぼ全
域に、電流流線32のように流れる。一方、図3に示す
ように、コレクタ電圧が高い(例えば、20V)飽和領
域の動作条件では、図2の電子層31が消滅し、電子電
流は第二導電型ベース14の領域に流れて電流流線32
を偏在させる。
【0026】低オン電圧化のIGBTのメカニズムによ
れば、第一導電型ベース15に電子が注入すると第二導
電型コレクタ17からホールが注入し、ベース15が導
電率変調を起こして低抵抗化する。従って、図3のよう
に、電子電流の流れる領域が制限されると、ベース15
の導電率変調を起こす領域も制限される。この結果、素
子の抵抗が高くなって低飽和電流を実現できる。
【0027】本実施形態のIGBTにとって、トレンチ
ゲート10の底部に設けた酸化膜11は、その膜厚をゲ
ート酸化膜11’と同程度にすることが重要である。も
し、トレンチゲート下面の酸化膜が厚すぎる場合は、コ
レクタ電圧が低い場合にも電子の蓄積層31が形成され
ない。従って、コレクタ電圧に応じて蓄積層が生成また
は消滅して、電流領域を顕著に可変する本実施例の作用
は期待できない。
【0028】ところで、図1のIGBTのトレンチゲー
ト10のテーパー構造は、底部に酸化膜11がない構成
においても、低オン電圧と低飽和電流の作用をもたら
す。すなわち、第二導電型ベース14と第一導電型ベー
ス15によるPN接合に形成される空乏層幅は、コレク
タ電圧が増大するとトレンチ構造がU溝の場合に比べて
増大する。
【0029】これは、ベース14とベース15がベベル
構造を構成していることによる。このため、テーパー型
溝のIGBTはU溝の場合に比べて、コレクタ電流の流
れる領域がコレクタ電圧が上昇するのに従って狭くな
り、IGBTの素子抵抗が高くなる。もちろん、低オン
電圧化と低飽和電流化の効果は、底部に酸化膜11を設
けた方がより顕著となることは言うまでもない。
【0030】図4は、コレクタ電圧に応じてコレクタ電
流の通電領域の変化の様子を示す模式図である。図示
で、電流の広がる角度を450と仮定している。電子の
蓄積層が形成される低コレクタ電圧では、コレクタ電流
は主な通電領域50を流れる。一方、蓄積層が消滅する
高コレクタ電圧では、コレクタ電流の流れは通電領域5
1となり、トレンチのテーパー角θだけ減少する。この
ことから、θ=0°のU溝の場合は低飽和電流化が実現
できないことが分かる。
【0031】次に、上記したトレンチ構造IGBTの製
造方法の一実施形態を説明する。
【0032】図9、図10、図11は、一実施形態によ
るIGBTの製造方法を示すプロセス図である。以下、
各図を通し(a)〜(m)の工程をプロセス順に説明す
る。
【0033】(a)N−ベース15の濃度にドーピング
されたSi基板に、テーパー型溝(V型溝)を形成する
ため、マスク材となる酸化膜(SiO2)110をパタ
ニングする。
【0034】(b)エッチング液(KOH)により、開
口部より底部が狭いテーパー型溝(V型溝)を形成す
る。
【0035】(c)P+コレクタ17、N−バッファ1
6及びN−ベース15が積層されたSi基板200と、
工程2でテーパー型溝が形成されたSiウエハ100の
溝側の面を圧接する。
【0036】(d)圧接されたウエハ100の表面から
研磨して、開口部より底部が広い逆テーパー型溝(テー
パー型溝が逆転)を露出させる。
【0037】(e)逆テーパー型溝の全表面にゲート酸
化膜(SiO2)110を形成する。
【0038】(f)逆テーパー型溝が埋まるようにPo
ly−Si111を堆積する。
【0039】(g)その上に、レジスト112を堆積す
る。
【0040】(h)レジスト112とPoly−Si1
11の等速エッチングによりPoly−Si111を平
坦化エッチバックする。
【0041】(i)P−ベース14を形成する。
【0042】(j)N+エミッタ12を形成する。
【0043】(k)PSG113を堆積してコンタクト
ホールを形成する. (l)P+層13を形成する。
【0044】(m)電極となるAlを堆積する。
【0045】これによれば、KOHのエッチングでまず
テーパー形状の溝を形成し、このSi基板100の溝の
開口側の面と他のSi基板200を圧接後に、基板10
0側の表面から研磨して逆テーパーの所望の形状を形成
するので、容易に且つ高精度に所望のテーパー溝を形成
できる。また、ゲート酸化膜とトレンチ底面下の酸化膜
は一工程(e)で処理できるので、膜厚のほぼ均一な薄
い膜を底面まで容易に形成できる。
【0046】
【実施例】本発明の一実施例を図5〜9を用いて説明す
る。
【0047】図5は、本発明によるIGBTの効果を確
認するために実施した、デバイスシミュレーションの断
面構造を示している。素子幅7.5μm、トレンチ開口
部幅5μm、エミッタコンタクト領域幅2.5μm、ト
レンチ深さ5.5μm、P−ベース深さ2.3μm、エ
ミッタ深さ0.3μm、N−バッファ幅18μm、P+
コレクタ幅20μmである。
【0048】また、エミッタ濃度2×1020cm~3
P−ベース濃度5×1017cm~3、N−ベース濃度
1.3×1014cm~3、N−バッファ濃度1.2×1
017cm~3、P+コレクタ濃度7.5×1018cm
~3である。さらに、ゲート酸化膜厚及び、トレンチゲー
ト下の酸化膜厚は共に70nmである。
【0049】本構造の効果を確認するために、θが負の
逆テーパ構造からθが正の順テーパ構造までシミュレー
ションした。トレンチゲートのテーパ角θは、図示のよ
うにトレンチが垂直のとき00で、反時計周り方向を正
とした。
【0050】図6に、テーパー角θをパラメータとした
オン電圧Vf及びコレクタ飽和電流ICsatのシミュ
レーション結果を示す。図示より、オン電圧Vfはθ=
0のとき(垂直溝)最小で、θが正に増大するととも
にVfは急増する。しかし、θが負に増大する場合のV
fの変化は小さい。ちなみに、θ=00のVf=1.3
5Vに対し、θ=150では約0.1V増加するが、θ
=−150ではわずかに0.01Vしか増加しない。
【0051】一方、コレクタ飽和電流ICsatはθ=
0で最大となり、θが正、負どちらの場合にもほぼ同
様な傾向で減少する。ここで注目すべきはθが負の場合
である。たとえば、θ=−150のICsatはθ=00
から約1000A/cm2も減少している。しかも、オ
ン電圧Vfの変化は小さな値に止まっている。
【0052】図7に、上述のシミュレーション結果をオ
ン電圧と飽和電流の関係によって示す。U溝(θ=
0)とθが正の場合の結果で決まるトレードオフ曲線
よりも、θ=−150の場合は低飽和電流となることが
わかる。これより、実用的なテーパー角θは−150
下程度となる。
【0053】次に、トレンチゲート下の酸化膜厚の影響
を調べるために、トレンチゲート下の酸化膜厚を700
nmとしたデバイスシミュレーションを実施した。その
結果、θ=00、−150いずれの場合にもVf=1.5
V、ICsat=1500A/cm2となり、テーパ角
依存特性は現れなかった。これより、トレンチゲート下
の設ける酸化膜が、コレクタ電圧が低い場合に電子の蓄
積層を形成する薄い膜厚とすることが必要であることを
確認できた。
【0054】図8に、図5のX−X’断面のホール密度
の分布を示す。同図(a)は、コレクタ電圧VC=2V
の場合である。U溝(θ=00)に比べて、θ=−150
のトレンチ構造のホール濃度は約1.5倍大きく、その
分低抵抗化している。これが本実施例のIGBTで、V
fの増大しない原因である。同図(b)は、飽和領域で
あるVC=20Vの場合である。ホール濃度の大小関係
はVC=2Vの場合とは逆転し、θ=−150の方が高抵
抗化し、これによって低飽和電流化を達成している。
【0055】以上の結果より、本実施例のトレンチ構造
IGBTは、コレクタ電圧の変化に応じた素子抵抗の変
化が顕著であり、定格電圧の低圧領域では低抵抗となっ
て低オン電圧、高圧の飽和領域では高抵抗となって低飽
和電流となる特性を有し、低損失で短絡耐量の大きなI
GBTを実現していることが認められる。
【0056】本実施例に示したIGBTを、上記の実施
形態に示した製造方法に従って製造した結果、定格電流
密度200A/cm2におけるオン電圧=1.4Vと、
飽和電流=1000A/cm2を実現し、従来のプレー
ナIGBTやトレンチIGBTでは不可能な低オン電圧
・飽和電流IGBTを達成できた。
【0057】図12に、他の実施例によるIGBTの構
造を示す。図1の構造との相違点は、トレンチ形状がP
−ベース14までは垂直で、N−ベース15に達した
後、逆テーパになることが特徴である。本構造によれ
ば、図1に示した逆テーパ型と比べチャネル長が短くで
きるので、より低いオン電圧Vfを実現できる。
【0058】
【発明の効果】本発明のIGBTによれば、テーパー形
状のトレンチゲートを設けているので、低オン電圧と低
飽和電流の特性を持たせることができ、さらに、トレン
チ底部にゲートと同程度の酸化膜を形成して前記特性を
より高めることができるので、保護回路なしに低損失と
高短絡耐量を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるIGBTの構造を示
す断面模式図。
【図2】定格電流密度におけるIGBT内部の電流流線
を示す模式図。
【図3】飽和電流領域におけるIGBT内部の電流流線
を示す模式図。
【図4】コレクタ電圧に応じたIGBT内部の電流領域
の変化を説明する模式図。
【図5】一実施例のIGBTの寸法や角度を示す断面模
式図。
【図6】テーパー角に応じたオン電圧、飽和電流の変化
を示す特性図。
【図7】オン電圧、飽和電流の関係を示す特性図。
【図8】図5のX−X’断面深さとホール濃度の関係を
示す特性図。
【図9】本発明の一実施形態によるIGBTの製造工程
の一部をプロセス図。
【図10】図9の続きの製造工程を示すプロセス図。
【図11】図10の続きの製造工程を示すプロセス図。
【図12】本発明の他の実施例によるIGBTの構造を
示す断面模式図。
【図13】従来のトレンチ型(U溝)IGBTの構造を
示す断面模式図。
【符号の説明】
10…ゲート電極(Poly−Si)、11…酸化膜
(SiO2)、11’…ゲート酸化膜、12…第一導電
型エミッタ(N+エミッタ)、13…P+層、14…第
二導電型ベース(P−ベース)、15…第一導電型ベー
ス(N−ベース)、16…N−バッファ、17…第二導
電型コレクタ(P+コレクタ)、18…コレクタ電極、
19…エミッタ電極、31…蓄積層、32…電流流線、
50…主な通電領域(低コレクタ電圧)、51…主な通
電領域(高コレクタ電圧)、100…Siウエハ、11
0…酸化膜(SiO2)、111…Poly−Si、1
12…レジスト、113…PSG、200…Si基板。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エミッタ電極とコレクタ電極との間に第
    一導電型エミッタ、第二導電型ベース、第一導電型ベー
    ス及び第ニ導電型コレクタの4層を含み、前記エミッタ
    電極は前記第二導電型ベースと前記第一導電型エミッタ
    を短絡するように設け、前記第二導電型ベースに第一導
    電型の反転層を形成して前記第一導電型エミッタから前
    記第一導電型ベースに第一導電型のキャリアを注入して
    素子をオンできるように、前記第二導電型ベースにゲー
    ト電圧を印加する所定トレンチ構造の絶縁ゲート電極を
    設け、この所定トレンチ構造の作用により、コレクタ電
    圧の増大に伴う前記第一導電型ベースを流れるコレクタ
    電流の領域が減少するようにしたことを特徴とする絶縁
    ゲート型バイポーラトランジスタ。
  2. 【請求項2】 エミッタ電極とコレクタ電極との間に第
    一導電型エミッタ、第二導電型ベース、第一導電型ベー
    ス及び第ニ導電型コレクタの4層を含み、前記エミッタ
    電極は前記第二導電型ベースと前記第一導電型エミッタ
    を短絡するように設け、前記第二導電型ベースに第一導
    電型の反転層を形成して前記第一導電型エミッタから前
    記第一導電型ベースに第一導電型のキャリアを注入して
    素子をオンできるように、前記第二導電型ベースにゲー
    ト電圧を印加する所定トレンチ構造の絶縁ゲート電極を
    設け、この所定トレンチ構造の作用により、コレクタ電
    圧の増大に伴うコレクタ電流の増加に対して前記第一導
    電型ベースに蓄積されるキャリアの増加の割合が減少す
    るようにしたことを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラ
    トランジスタ。
  3. 【請求項3】 エミッタ電極とコレクタ電極との間に第
    一導電型エミッタ、第二導電型ベース、第一導電型ベー
    ス及び第ニ導電型コレクタの4層を含み、前記エミッタ
    電極は前記第二導電型ベースと前記第一導電型エミッタ
    を短絡するように設け、前記第二導電型ベースに第一導
    電型の反転層を形成して前記第一導電型エミッタから前
    記第一導電型ベースに第一導電型のキャリアを注入して
    素子をオンできるように、前記第二導電型ベースにゲー
    ト電圧を印加する所定トレンチ構造の絶縁ゲート電極を
    設け、この所定トレンチ構造の作用により、コレクタ電
    圧の増大に伴って前記第一導電型ベース中の第一導電型
    の蓄積層と前記第二導電型ベース中の前記第一導電型の
    反転層を合わせた長さが増加するようにしたことを特徴
    とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3において、 前記所定トレンチ構造は、前記第一導電型エミッタ及び
    前記第二導電型ベースを貫通して前記第一導電型ベース
    に達する溝を設けてなり、該溝の開口部よりも前記第一
    導電型ベース領域側の底部を広くするように、テーパー
    形状としたことを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラト
    ランジスタ。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記テーパー形状は、基板の深さ方向から前記第一導電
    型エミッタ領域側へ傾斜することを特徴とする絶縁ゲー
    ト型バイポーラトランジスタ。
  6. 【請求項6】 請求項5おいて、 前記傾斜の角度は、15度以上とすることを特徴とする
    絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  7. 【請求項7】 請求項4、5または6において、 前記溝の底部の表面に絶縁ゲートの酸化膜と同程度の厚
    さの酸化膜を形成したことを特徴とする絶縁ゲート型バ
    イポーラトランジスタ。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項7のいずれか1項にお
    いて、 前記第一導電型はN型、前記第二導電型はP型であるこ
    とを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  9. 【請求項9】 エミッタ電極とコレクタ電極との間に第
    一導電型エミッタ、第二導電型ベース、第一導電型ベー
    ス及び第ニ導電型コレクタの4層を含み、前記エミッタ
    電極は前記第二導電型ベースと前記第一導電型エミッタ
    を短絡して設けると共に、前記第一導電型エミッタ及び
    前記第二導電型ベースを貫通して前記第一導電型ベース
    に達する溝を形成して絶縁ゲートを設けるバイポーラト
    ランジスタの製造方法において、 第一導電型の半導体基板に、開口部幅よりも底部幅が狭
    いテーパ型溝を成形する工程1、 第一導電型の第一の半導体基板と、前記テーパ型溝が形
    成された第二の半導体基板で前記溝が形成された面を圧
    接する工程2、 工程2で製造された半導体基板を前記第二の半導体基板
    の表面から研磨して、開口部幅よりも底部幅が広いテー
    パ型溝を露出させる工程3、 工程3で形成されたテーパ型溝に酸化膜を形成する工程
    4、 前記酸化膜が形成されたテーパ型溝に多結晶Siを埋め
    込む工程5、 前記多結晶Siを半導体基板表面まで平坦化する工程
    6、を含むことを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラト
    ランジスタの製造方法。
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