JPH0988957A - スピンドル装置 - Google Patents

スピンドル装置

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JPH0988957A
JPH0988957A JP24752695A JP24752695A JPH0988957A JP H0988957 A JPH0988957 A JP H0988957A JP 24752695 A JP24752695 A JP 24752695A JP 24752695 A JP24752695 A JP 24752695A JP H0988957 A JPH0988957 A JP H0988957A
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正和 上杉
Katsutoshi Ono
勝俊 大野
Shotaro Mizobuchi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スピンドル主軸たるロータをタービンによって
回転駆動するスピンドル装置において、僅かな流量の加
圧流体によってもロータに高速回転を与えることができ
ると共に、外力に対するロータの剛性を十分に確保する
ことができ、しかも極めて簡易な構成のスピンドル装置
を提供する。 【解決手段】固定軸1と、所定の軸受隙間を保って上記
固定軸1に遊嵌し、当該固定軸1との間でラジアル動圧
軸受を構成する円筒状のロータ4と、このロータ4の両
端面と所定の軸受隙間を保って配設され、当該ロータ4
との間でスラスト動圧軸受を構成する一対のスラスト板
6,6とからなり、上記ロータ4にはその内径から外径
にかけて加圧流体が噴き出すタービン11を内蔵し、上
記固定軸1を通してこのタービン11に上記加圧流体を
吹き込む一方、上記ラジアル動圧軸受は軸受隙間の潤滑
流体を上記ロータ4のタービン11に向けて押し込むポ
ンプイン型としたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械等におい
て工具もしくは被加工物をスピンドル主軸たるロータに
保持して回転するスピンドル装置に係り、詳細には、気
体又は液体の流体エネルギをタービンによってロータの
回転動力に変換するスピンドル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、研削盤等の工作機械に用いられる
スピンドル装置では、工具あるいは被加工物が固定され
るロータを転がり軸受で回転自在に支承すると共に、こ
のロータに対してプーリ及びベルトからなる動力伝達系
を介してモータの回転動力を伝達するものが一般的であ
った。
【0003】しかしながら、近年では被加工物に対する
高精密加工の要請から小型で且つ主軸回転数の高いスピ
ンドル装置が必要とされており、ベルトによってモータ
とロータを結合する従来のスピンドル装置では、このよ
うな小型化及び高速化の要求に十分に応えることかでき
なかった。また、従来のスピンドル装置ではロータの回
転数を高速化した場合に、ロータを支えている転がり軸
受に振動あるいは焼きつきが発生し、ロータの回転数を
高精密加工に十分な速度にまで高めることができなかっ
た。
【0004】そこで、このような小型化及び高速化の要
請に応えるものとして、ロータをタービンで駆動するス
ピンドル装置が提案されている。例えば、特開平4−2
56571号公報所載の研削スピンドルでは、タービン
を備えたタービンホイール(ロータに相当)に砥石を形
成し、上記タービンに加圧流体を噴きつけてタービンホ
イールを回転させると共に、上記加圧流体を共用した静
圧軸受で上記タービンホイールの回転を支承しており、
ベルトやプーリ等の大がかりな動力伝達系を設けること
なく、コンパクトな装置構成でタービンホイールに高速
回転を与えることができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、同公報のスピ
ンドル装置では、ロータに形成されたタービンが殆ど大
気中に露呈していることから、このタービンに向けて噴
出した加圧流体の圧力が直ぐに降下し易く、加圧流体の
有する圧力のエネルギをロータの回転運動のエネルギに
有効に変換することができなかった。このため、ロータ
を高速で回転させるには加圧流体の流量を大きめに設定
する必要があり、大量の加圧流体を作り出すのにその分
だけ大きな圧縮器が必要であった。
【0006】また、ロータの回転を静圧軸受で支承して
いることから、外力に対するロータの剛性が低く、十分
な剛性を確保するためには静圧軸受の潤滑流体としてオ
イルやクーラント等の液体を用いなければならず、取り
扱いの容易な空気を潤滑流体として用いることができな
かった。このため、装置を組み立てるに当たっては潤滑
流体の漏れを防止するオイルシール等が必要となる他、
ロータ回転時における周辺へのオイル飛散をも考慮しな
ければならず、装置が複雑化せざるを得なかった。
【0007】更に、上記加圧流体はロータの駆動流体と
静圧軸受の潤滑流体とを兼ねていることから、静圧軸受
の剛性を高めるためには加圧流体の圧力を大きめに設定
する必要があるが、前述のようにロータの回転数も高め
るためには加圧流体の流量を大きく設定しなければなら
ず、加圧流体の圧力を十分に高めることができなかっ
た。つまり、タービンで駆動されるロータを静圧軸受で
支承する従来のスピンドル装置では、ロータの高速回転
及び高剛性という二つの要求を同時に満足させることが
困難であった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、僅かな流量の加
圧流体によってもロータに高速回転を与えることができ
ると共に、外力に対するロータの剛性を十分に確保する
ことができ、しかも極めて簡易な構成のスピンドル装置
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願発明者らは鋭意検討を重ねた結果、構成の異な
る二つのスピンドル装置を案出するに至った。以下、こ
れらスピンドル装置を順番に説明する。
【0010】先ず、最初のスピンドル装置は、固定軸
と、所定の軸受隙間を保って上記固定軸に遊嵌し、当該
固定軸との間でラジアル動圧軸受を構成する円筒状のロ
ータと、このロータの両端面と所定の軸受隙間を保って
配設され、当該ロータとの間でスラスト動圧軸受を構成
する一対のスラスト板とからなり、上記ロータにはその
内径から外径にかけて加圧流体が噴き出すタービンを内
蔵し、上記固定軸を通してこのタービンに上記加圧流体
を吹き込む一方、上記ラジアル動圧軸受は軸受隙間の潤
滑流体を上記ロータのタービンに向けて押し込むポンプ
イン型としたことを特徴とするものである(請求項
1)。
【0011】このような技術的手段によれば、上記ロー
タには加圧流体が内径から外径に向けて噴き出すタービ
ンが内蔵されているので、固定軸を通してこのタービン
に上記加圧流体を吹き込むとロータが回転を開始する。
また、ロータは固定軸との間でラジアル動圧軸受を構成
する一方、一対のスラスト板との間でスラスト動圧軸受
を構成しているので、当該ロータが回転を開始すると、
各動圧軸受の軸受隙間に動圧が発生し、ロータは固定軸
及びスラスト板に非接触な状態でその回転を支承され
る。
【0012】このとき、上記タービンはロータに内蔵さ
れていることから大気中に露呈しておらず、タービンに
対しては固定軸から噴き出した加圧流体がそのままの圧
力で吹き込まれる。また、上記ラジアル動圧軸受は軸受
隙間の潤滑流体をロータのタービンに向けて押し込むポ
ンプイン型なので、固定軸から噴き出した加圧流体は上
記潤滑流体に支援されて高い圧力でタービンに吹き込ま
れる。
【0013】従って、加圧流体の有する圧力のエネルギ
をロータの回転運動のエネルギに有効に変換することが
でき、加圧流体の流量が僅かであってもロータを高速で
回転させることができる。
【0014】また、ロータは自らの回転によって生じた
潤滑流体の動圧によってその回転を支承されているの
で、加圧流体がタービンに噴き込まれる圧力に関係なく
ロータに十分な剛性を与えることができる。従って、ロ
ータの高速回転によってロータの支承に十分な動圧が発
生しさえすれば、動圧軸受の潤滑流体として取扱いの容
易な空気を使用することもでき、その分だけ装置構成を
簡易なものとすることができる。
【0015】ここで、上記スラスト動圧軸受は軸受隙間
の潤滑流体をロータの内径に向かって押し込むポンプイ
ン型、あるいはロータの外径に向かって押し出すポンプ
アウト型のいずれであっても差し支えないが、外部から
スラスト動圧軸受の軸受隙間に切削屑等の塵芥が入り込
むのを防止するという観点からすれば、後者のポンプア
ウト型とするのが好ましい(請求項2)。
【0016】また、ラジアル動圧軸受の軸方向の長さが
短く、ロータと固定軸との間に十分な動圧が発生しない
場合には、スラスト動圧軸受の内径側をポンプイン型と
し、スラスト動圧軸受からラジアル動圧軸受の軸受隙間
に向けて潤滑流体を押し込むようにするのが好ましい
(請求項3)。
【0017】更に、上記ロータの加圧流体と動圧軸受の
潤滑流体は同一のものであっても差し支えないが、同一
のものとすると、ロータの回転数を制御するために加圧
流体の流量や圧力を調整した際に動圧軸受の潤滑流体の
流量が変動し、ロータの回転抵抗が増減する懸念があ
る。従って、ロータの回転数を精度良く制御するという
観点からすれば、加圧流体と潤滑流体とは別流体とする
のが好ましい(請求項4)。
【0018】また、上記ロータはタービンを含む断面で
貼り合わせた一対の円筒半体から構成するのが好ましい
(請求項5)。このように構成すれば、上記円筒半体の
端面にタービンを形成すれば良く、ショットブラスト加
工等を用いて容易にタービンをロータに内蔵させること
ができる。
【0019】一方、前述の技術的課題を解決する第2の
スピンドル装置は、固定軸と、所定の軸受隙間を保って
上記固定軸に遊嵌し、当該固定軸との間でラジアル動圧
軸受を構成する円筒状のロータと、このロータの両端面
と所定の軸受隙間を保って配設された一対のスラスト板
とを備え、上記ロータの一方の端面とこれに対向するス
ラスト板との間でスラスト動圧軸受を構成すると共に、
上記ロータの他方の端面にはその内径から外径にかけて
加圧流体が噴き出すタービンを形成し、上記固定軸を通
してこのタービンに上記加圧流体を吹き込む一方、上記
ラジアル動圧軸受は軸受隙間の潤滑流体を上記タービン
に向けて押し出すポンプアウト型としたことを特徴とす
るものである。
【0020】このような技術的手段においても、上記ロ
ータの端面には加圧流体が内径から外径に向けて噴き出
すタービンが形成されているので、固定軸を通してこの
タービンに上記加圧流体を噴きこむとロータが回転を開
始し、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受の軸受隙
間に動圧が発生する。また、ロータが回転するとタービ
ンとこれに対向するスラスト板との間にも動圧が発生す
ることから、ロータは固定軸及び一対のスラスト板に非
接触な状態でその回転を支承される。
【0021】このとき、ロータの端面に形成されたター
ビンはロータとスラスト板との軸受隙間に開放されてお
り、前述の技術的手段のようにタービンが密閉された状
態にない。しかし、ロータの一方の端面はスラスト板と
相俟ってスラスト動圧軸受を構成しており、ロータの他
方の端面に形成されたタービンはかかるスラスト動圧軸
受の動圧によって対向するスラスト板に位置決めされ、
タービンとスラスト板との軸受隙間は常に10μm以下
に保持される。このため、固定軸からタービンに噴き込
まれた加圧流体はその圧力が大きく低下することはな
く、しかも上記ラジアル動圧軸受は軸受隙間の潤滑流体
をロータの端面に向けて押し出すポンプアウト型なの
で、固定軸から噴き出した加圧流体は上記潤滑流体に支
援されて高い圧力でタービンに噴き込まれる。
【0022】従って、このスピンドル装置においても、
加圧流体の有する圧力のエネルギをロータの回転運動の
エネルギに有効に変換することができ、加圧流体の流量
が僅かであってもロータを高速で回転させることができ
る。また、ロータは自らの回転によって生じた潤滑流体
の動圧によってその回転を支承されているので、加圧流
体がタービンに噴き込まれる圧力に関係なくロータに十
分な剛性を与えることができる。
【0023】ここで、タービンの回転による動圧の発生
が少ない場合には、タービンとスラスト板とが接触する
懸念があるので、タービン側のロータの端面とスラスト
板との間でもスラスト動圧軸受を構成するのが好まし
い。この場合、かかるスラスト動圧軸受の動圧発生用溝
はスラスト板に形成しも良いが、上記タービンと併せて
ロータの端面に形成することにより、ショットブラスト
加工等を用いて両者を同時に形成することができ、その
分だけ加工手間を省略することができる(請求項7)。
【0024】また、第1及び第2のスピンドル装置のい
ずれにおいても、装置周辺に対するオイル等の飛散防止
や取り扱い易さという観点からすれば、ロータの加圧流
体は液体ではなく気体であることが好ましいが、スラス
ト動圧軸受の軸受剛性の向上という観点からすれば、動
圧軸受の潤滑流体は液体であるのが好ましい。そこで、
上記加圧流体及び潤滑流体としては空気等の気体に水や
オイルなどの液体が霧状に分散された噴霧気体を使用す
るのが好ましい(請求項8)。かかる噴霧気体をタービ
ンに噴き込むと、タービンは気体によって駆動されるの
で、装置周辺に対する加圧流体の飛散が防止される一
方、軸受隙間が10μm以下のスラスト動圧軸受ではロ
ータとスラスト板との間に液体の潤滑膜が形成され、ス
ラスト動圧軸受の軸受剛性の向上を図ることができる。
すなわち、上記噴霧気体が清浄であれば、上記加圧流体
と潤滑流体とを兼用することがき、その分だけ装置の簡
略化が図れる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、添付素面に基づいて本発明
のスピンドル装置を詳細に説明する。図1は本発明を研
削加工用スピンドル装置に適用した第1実施例を示すも
のである。同図において、符号1はクイル2の先端に突
設された固定軸、符号3はこの固定軸1の外周に嵌合す
る軸受スリーブ、符号4は研削加工用の砥石5を備える
と共に上記軸受スリーブ3の周囲を回転する円筒状のロ
ータ、符号6,6は軸受スリーブ3及びロータ4を挟む
ようにして上記固定軸1に嵌合するドーナッツ状のスラ
スト板、符号7は上記固定軸1に螺合して軸受スリーブ
3及びスラスト板6,6をクイル2との間に挟み込む止
めナットである。
【0026】上記ロータ4と各スラスト板6との間には
10μmの軸受隙間が形成されており、これらロータ4
とスラスト板6とがスラスト動圧軸受を構成している。
図2に示すように、上記ロータ4と対向するスラスト板
6の端面にはスパイラル状の動圧発生用溝(以下、スパ
イラル溝と記す)8が形成されており、このスパイラル
溝8はロータ4の回転に伴って、軸受隙間に存在する潤
滑流体をロータ4の内径から外径へ向けて排出するポン
プアウト型に形成されている。従って、ロータ4が回転
すると、当該ロータ4とスラスト板6との軸受隙間に潤
滑流体の動圧が発生し、ロータ4がスラスト板6に対し
て非接触状態で保持される。尚、図2中の矢線はロータ
4に対するスラスト板の相対的な回転方向を示してい
る。
【0027】一方、上記ロータ4と軸受スリーブ3との
間にも10μmの軸受隙間が形成されており、これらロ
ータ4と軸受スリーブ3とがラジアル動圧軸受を構成し
ている。図3に示すように、上記ロータ4と対向する軸
受スリーブ3の外周面にはヘリングボーン状の動圧発生
用溝(以下、ヘリングボーン溝と記す)9が形成されて
おり、このヘリングボーン溝9はロータ4の回転に伴っ
て、軸受隙間に存在する潤滑流体をロータ4の両端面か
ら軸方向の中央に向けて押し込むポンプイン型に形成さ
れている。従って、ロータ4が回転すると、当該ロータ
4と軸受スリーブ3との軸受隙間に潤滑流体の動圧が発
生し、ロータ4が軸受スリーブ3に対して非接触状態で
保持される。尚、図3中の矢線はロータ4に対する軸受
スリーブ3の相対的な回転方向を示している。
【0028】また、上記スパイラル溝8及びヘリングボ
ーン溝9はいずれもショットブラスト加工を用いて形成
し、その溝深さは共に15μmとした。
【0029】上記軸受スリーブ3には、スラスト動圧軸
受及びラジアル動圧軸受の軸受隙間に潤滑流体を供給す
るための供給通路10が開設されており、ロータ4の回
転に伴って潤滑流体が各軸受隙間に自然吸引されるよう
になっている。この実施例において上記潤滑流体は気
体、液体のいずれであっても差し支えないが、空気を用
いる場合には上記供給通路10の一端を図示の如く大気
に開放すれば良く、潤滑流体のリザーブタンク等が不要
なので装置の構造は簡便なものとなる。また、水等の液
体を潤滑流体として用いれば、ロータの剛性を一層高め
ることができる。
【0030】また、上記軸受スリーブ3には、後述する
ロータ4のタービン11に向けて加圧流体を噴出する噴
出口12が形成されており、かかる噴出口12は上記ク
イル2及び固定軸1に形成された加圧流体の供給通路2
1に連通している。この噴出口12はタービン11の対
向位置に開設され、その開設数はタービンブレードの数
によって最適な値がある。この実施例では軸受スリーブ
3の外周を4等分するようにして、直径1mmの噴出口
12を4つ開設した。上記加圧流体は動圧軸受の潤滑流
体と同じものを使用することも可能であるが、潤滑流体
と全く関係なくこれを選定しても差し支えない。
【0031】上記ロータ4はセラミックス材から形成さ
れた円筒状の部材であり、本実施例では外径20mm、
内径10mm、軸方向の長さを15mmとした。このロ
ータ4の軸方向の中央には密閉型のタービン11が形成
され、上記軸受スリーブ3の噴出口12から噴き出され
た加圧流体がロータ4を内径から外径へ吹き抜けるよう
になっている。図4に示すように、上記タービン11に
は4枚のタービンブレード13が形成されており、かか
るタービンブレード13は互いに隣接するタービンブレ
ード13の間に幅1mmの翼間流路14を開設すること
で形成されている。また、かかる翼間流路14の内径側
には幅2.5mmのインデューサ室15が形成されてお
り、加圧流体を効率良くタービンブレード13に導くよ
うになっている。
【0032】また、この実施例では、タービン11の内
径側に加圧流体の流量調整溝16を形成し、この流量調
整溝16にはロータ4の回転時の遠心力によって弾性変
形するOリング17を収容した。これにより、ロータ4
の回転数が所定以上に高くなると、Oリング17が弾性
変形を生じてその一部がインデューサ室15に入り込む
ので、タービン11に噴き込まれる加圧流体の流量が絞
られ、結果的にロータ4の回転数を所定の回転数以下に
抑え込むことができるようになっている。この実施例で
は上記Oリング17として外径14mm、太さ1.5m
mのニトリルゴム製のものを使用し、上記流量調整溝1
6は外径14mm、幅1.5mmとした。
【0033】図5は上記ロータの加工工程を示すもので
ある。上記ロータ4は一対の円筒半体18,18を貼り
合わせて製作されており、各円筒半体18は外径20m
m、内径10mm、軸方向長さ7.5mmのAl23
ラミクス材で形成されている。先ずは各円筒半体18の
端面に上記タービンブレード13の形状に対応した紫外
線硬化型の樹脂マスクを貼りつけ、ショットブラスト加
工を用いて翼間流路14となる深さ0.5mmの溝を形
成する(図5(a),(b)参照)。次に、インデュー
サ室15に対応する箇所にだけショットブラスト加工で
追加工を行い、インデューサ室15となる深さ1.25
mmの溝を形成する(図5(c)参照)。更に、この加
工面に対して研削加工を行い、上記流量調整溝16とな
る外径14mm、深さ0.75mmの溝を形成した(図
5(d)参照)。上記ショットブラスト加工はセラミク
ス材の種類によって加工速度が異なり、Al23セラミ
クス材の場合は加工時間5分で、被削性セラミクス材で
は加工時間1分で夫々深さ0.5mmの溝を形成するこ
とができた。
【0034】最後に、このようにして加工された円筒半
体の加工面同士を接着した後(図5(e)参照)、スラ
スト動圧軸受を構成する両端面19並びにラジアル動圧
軸受を構成する内周面20を所定の面精度に最終加工す
ることで、タービン11を内蔵した上記ロータ4が完成
する(図5(f)参照)。また、完成した上記ロータの
外周面には90°Cのお湯嵌めによって砥石5を固定し
た。
【0035】そして、以上のように構成された本実施例
のスピンドル装置によれば、クイル2に形成された供給
通路21から加圧流体を圧送すると、軸受スリーブ3の
噴出口12から噴き出した加圧流体がロータ4のタービ
ン11に噴きこまれ、ロータ4が固定軸1に対して回転
を生じる。ロータ4が回転を生じると、スラスト動圧軸
受及びラジアル動圧軸受の各軸受隙間には潤滑流体の動
圧が発生し、ロータ4は極小さな回転抵抗で振動なく回
転する。
【0036】このとき、上記噴出口12は大気に対して
密閉された状態にあり、噴出口12から噴き出した加圧
流体はその圧力が降下することなくロータ4に内蔵され
たタービン11に噴きこまれる。このため、加圧流体の
有する圧力のエネルギが効率良くロータ4の回転運動の
エネルギに変換され、僅かな流量の加圧流体を噴きこむ
だけでロータ4を高速で回転させることができる。
【0037】また、ラジアル動圧軸受はロータ4の軸方
向の中央、すなわちタービン11に向けて潤滑流体を押
し込むので、この潤滑流体が噴出口12から噴き出した
加圧流体をタービン11に押し込む作用を発揮し、これ
によっても加圧流体の有する圧力のエネルギを有効にロ
ータ4の回転運動のエネルギに変換できるものである。
【0038】更に、本実施例では、スラスト動圧軸受が
潤滑流体をロータ4の外径に向かって排出するポンプア
ウト型に形成されているので、ロータ4とスラスト板
6,6の軸受隙間からスピンドル装置の内部に塵芥が入
り込む心配がなく、長期に亘って安定した性能を発揮し
得るようになっている。
【0039】以下の表1はこのスピンドル装置の回転試
験の結果を示すものである。かかる試験では加圧流体の
圧力を変化させた際のロータの回転数を計測し、加圧流
体及び潤滑流体として空気あるいは水を用いた場合の夫
々について計測を行った。
【0040】
【表1】
【0041】この試験結果から明らかなように、加圧流
体及び潤滑流体として空気を用いた場合には、動圧軸受
の回転抵抗が小さいことから、加圧流体の圧力0.3M
Paでロータ4に99,000rpmの超高速回転を与
えることができた。また、加圧流体及び潤滑流体として
水を用いた場合には、3MPaの高圧水でロータ4に4
4,000rpmの高速回転を与えることができた。更
に、加圧流体として空気を、潤滑流体として水を用いた
場合についても別途試験を行ったが、この場合でもスム
ーズな高速回転をロータ4に与えることができた。この
とき、潤滑流体である水の消費量はロータ4が40,0
00rpmで回転している際に24cc/minであっ
た。
【0042】次に、図6に示す本発明の第2実施例につ
いて説明する。この実施例では、第1実施例のスピンド
ル装置の一層の小型化を図るため、ロータの軸方向長さ
を短くすると共に、これに付随してスラスト動圧軸受の
改良を行った。尚、その他の構成は第1実施例と同一な
ので、図中に同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】この実施例のロータ22は、第1実施例と
同じ円筒半体23(外径20mm、内径10mm、軸方
向長さ7.5mm)の端面に対し、同一径で厚さ1.5
mmのドーナッツ状円板24を貼り合わせて形成されて
いる。ロータ22に対するタービン11の加工は第1実
施例と同じ手法により円筒半体23の端面に対してのみ
行い、円筒半体23と円板24とを貼り合わせることで
第1実施例と全く同じタービン11を形成した。その結
果、第1実施例よりも軸方向長さが6mm短いロータ2
2を製作することができた。
【0044】また、上記円板24と対向する側のスラス
ト板25には、図7に示すように、ポンプアウト型のス
パイラル溝26とポンプイン型のスパイラル溝27とが
組み合わされたヘリングボーン溝を形成し、ロータ22
の回転に伴ってスラスト動圧軸受の内径側の潤滑流体が
ラシアル動圧軸受に向かって押し込まれるように構成す
る一方、スラスト動圧軸受の外径側の潤滑流体がロータ
22の外径に向けて押し出されるように構成した。更
に、このように構成されたスラスト動圧軸受に十分な潤
滑流体が供給されるよう、潤滑流体の供給流路28はポ
ンプアウト型のスパイラル溝26とポンプイン型のスパ
イラル溝27との境界部に開設した。尚、もう一方のス
ラスト板6は第1実施例のものと全く同じである。
【0045】そして、この実施例においても上記タービ
ン11に加圧流体が噴きこまれるとロータ22が回転
し、スラスト動圧軸受及びラジアル動圧軸受の軸受隙間
に動圧が発生して、ロータは極小さな回転抵抗で振動な
く回転する。
【0046】このとき、ロータ22と軸受スリーブ3と
の軸受隙間には第1実施例と同じくタービン11に対し
て潤滑流体を押し込む方向の動圧が発生するが、ロータ
22を構成する円板24の厚さが1.5mmと小さいこ
とから、上記円板24と軸受スリーブ3とが対向する領
域ではロータ22の回転を支承するに十分な動圧を発生
させるのが困難である。しかし、本実施例では円板24
側のスラスト動圧軸受で潤滑流体をラジアル動圧軸受の
軸受隙間に押し込むように構成しているので、かかる円
板24と軸受スリーブとの間でも十分な動圧が発生し、
ロータの回転に対して十分な剛性を与えることができ
る。
【0047】また、円板24側のスラスト動圧軸受で潤
滑流体をラジアル動圧軸受の軸受隙間に押し込むことに
より、噴出口12から噴き出した加圧流体が円板24側
のスラスト動圧軸受に入り込むのをシールすることがで
きるので、やはり第1実施例と同様、噴出口12から噴
き出した加圧流体を積極的にロータ22のタービン11
に押し込むことができ、加圧流体の有する圧力のエネル
ギを有効にロータ22の回転運動のエネルギに変換でき
る。
【0048】そして、この実施例のスピンドル装置の回
転試験を行ったところ、ロータ22の軽量化が図られた
ことから、加圧流体の圧力0.3MPaでロータ22に
100,000rpmの超高速回転を与えることができ
た。
【0049】次に、図8に示す本発明の第3実施例につ
いて説明する。この実施例は前述の第1及び第2実施例
と異なり、ロータの端面にタービンが形成された研削加
工用スピンドル装置を示すものである。同図において、
符号30は固定軸1の外周に嵌合する軸受スリーブ、符
号31は研削加工用の砥石5を備えると共に一方の端面
にタービン34が形成された円筒状のロータ、符号3
2,33は軸受スリーブ30及びロータ31を挟むよう
にして上記固定軸1に嵌合するドーナッツ状のスラスト
板であり、上記軸受スリーブ30及びスラスト板32,
33は止めナット7によってクイル2との間に挟み込ま
れている。
【0050】上記ロータ31と軸受スリーブ30との
間、上記ロータ31と各スラスト板32,33との間に
は夫々10μmの軸受隙間が形成されており、ロータ3
1と軸受スリーブ30とがラジアル動圧軸受を構成する
一方、ロータ31と各スラスト板32,33とがスラス
ト動圧軸受を構成している。
【0051】図9に示すように、上記ロータ31と対向
する軸受スリーブ30の外周面にはヘリングボーン溝3
5が形成されており、このヘリングボーン溝35はロー
タ31の回転に伴い、軸受隙間に存在する潤滑流体をロ
ータ31端面のタービン34に向けて押し出すポンプア
ウト型に形成されている。従って、ロータ31が回転す
ると、第1実施例と同様、当該ロータ31と軸受スリー
ブ30との軸受隙間に潤滑流体の動圧が発生し、ロータ
31が軸受スリーブ30に対して非接触状態で保持され
る。尚、図9中の矢線はロータ31に対する軸受スリー
ブ30の相対的な回転方向を示している。
【0052】また、上記軸受スリーブ30にはロータ3
1のタービン34と対向する位置に加圧流体の噴出口3
6が形成されており、かかる噴出口36は上記クイル2
及び固定軸1に形成された加圧流体の供給通路21に連
通している。更に、上記タービン34と対向する軸受ス
リーブ30の外周面には圧力溜まりとなる環状のリセス
37が形成されており、上記噴出口36はこのリセス3
7内に開口している。このようにリセス37を設けたの
は、加圧流体の噴出による静圧がタービン34に直接作
用し、ロータ31に対して一方向の偏荷重が作用するの
を防止するためである。
【0053】一方、上記ロータ31はセラミックス材か
ら形成されると共に一方の端面にタービン34が形成さ
れた円筒状の部材であり、上記噴出口36から噴き出す
加圧流体によって回転駆動されるようになっている。図
10に示すように、上記タービン34には4枚のタービ
ンブレード38が形成されており、かかるタービンブレ
ード38は互いに隣接するタービンブレード38の間に
翼間溝39を刻設することで形成されている。
【0054】また、タービン34が形成されたロータ3
1の端面とスラスト板32との間でスラスト動圧軸受を
構成すべく、上記タービンブレード38にはポンプアウ
ト型のスパイラル溝40を形成した。従って、上記ター
ビン34に加圧流体が噴きこまれてロータ31が回転を
開始すると、タービンブレード38とスラスト板32と
の間に動圧が発生する。尚、上記スパイラル溝40に代
えて、図11に示すようなポンプアウト型のヘリングボ
ーン溝41を形成することも可能である。
【0055】この実施例では上記タービン34の翼間溝
39の深さを1.0mm、上記スパイラル溝40の深さ
を15μmとし、いずれもショットブラスト加工で形成
した。
【0056】このようにスパイラル溝40あるいはヘリ
ングボーン溝41をタービンブレード38と重ねて形成
したのは、ロータ31の端面に対するショットブラスト
加工のみで両者を形成し、加工工程の簡略化を図るため
である。従って、上記スパイラル溝40あるいはヘリン
グボーン溝41はスラスト板32の端面に形成し、ロー
タ31にはタービンブレード38のみを形成するように
しても良い。
【0057】一方、タービン34と反対側でロータ31
と対向するスラスト板33には、そのロータ31との対
向面に図2に示したものと同じポンプアウト型のスパイ
ラル溝42が形成されており、ロータ31が回転すると
当該ロータ31とスラスト板33との軸受隙間に潤滑流
体の動圧が発生する。また、このスラスト板33には潤
滑流体の供給通路43が開設されており、スラスト動圧
軸受及びラジアル動圧軸受に潤滑流体が自然吸引される
ようになっている。
【0058】そして、以上のように構成された本実施例
のスピンドル装置によれば、前述の第1実施例と同様、
軸受スリーブ30の噴出口36から噴き出した加圧流体
がロータ31のタービン34に噴きこまれて、ロータ3
1が固定軸1に対して回転を生じると、スラスト動圧軸
受及びラジアル動圧軸受の各軸受隙間には潤滑流体の動
圧が発生し、ロータ31は軸受スリーブ30及びスラス
ト板32,33に対して非接触状態で保持される。
【0059】これにより、上記ロータ31は一対のスラ
スト動圧軸受によって軸方向の移動を規制されるので、
ロータ31に形成されたタービンブレード38はスラス
ト動圧軸受の軸受隙間10μmを介してスラスト板32
と対向する。このため、上記噴出口36は大気に対して
殆ど密閉された状態にあり、噴出口36から噴き出した
加圧流体はその圧力が降下することなくロータ31の端
面に形成されたタービン34に噴きこまれる。このた
め、加圧流体の有する圧力のエネルギが効率良くロータ
31の回転運動のエネルギに変換され、僅かな流量の加
圧流体を噴きこむだけでロータ31を高速で回転させる
ことができる。
【0060】また、この際にラジアル動圧軸受は前述の
通りタービン34に向けて潤滑流体を押し込むので、こ
の潤滑流体が噴出口36から噴き出した加圧流体をター
ビン34に押し込む作用を発揮し、これによっても加圧
流体の有する圧力のエネルギを有効にロータ31の回転
運動のエネルギに変換できるものである。
【0061】更に、本実施例でも、スラスト動圧軸受が
潤滑流体をロータ31の外径に向かって排出するポンプ
アウト型に形成されているので、ロータ31と各スラス
ト板32,33の軸受隙間からスピンドル装置の内部に
塵芥が入り込む心配がなく、長期に亘って安定した性能
を発揮し得る。
【0062】以下の表2はこのスピンドル装置の回転試
験の結果を示すものである。かかる試験は種々の加圧流
体及び潤滑流体について、加圧流体の圧力を変化させた
際のロータの回転数を計測した。
【0063】
【表2】
【0064】この試験結果から明らかなように、加圧流
体及び潤滑流体として空気を用いた場合には、動圧軸受
の回転抵抗が小さいことから、加圧流体の圧力0.3M
Paでロータ31に100,000rpmの超高速回転
を与えることができた。また、回転時におけるロータ3
1の剛性を高めるために潤滑流体として10%のポリエ
チレン・グリコール液を用いた場合であっても、95,
000rpmの超高速回転をロータ31に与えることが
できた。一方、加圧流体及び潤滑流体として水を用いた
場合のロータ31の回転数は3MPaの圧力で44,5
00rpmとなったが、かかる場合にはロータの回転に
対して高トルクを与えることができた。
【0065】次に、図12は本発明の第4実施例を示す
ものである。前述の第3実施例のスピンドル装置ではロ
ータ31の一方の端面にのみタービン34を形成した
が、この実施例ではロータ50の両端面にタービン5
1,51を形成した。
【0066】各タービン51は図10に示す第3実施例
のものと略同じであるが、内径側に第1実施例と同じ手
法でインデューサ室52を形成し、このインデューサ室
にOリング53を収容した。従って、この実施例でも第
1実施例と同様に、ロータ50の回転数が所定値以上と
なると、タービン51に噴きこまれる加圧流体の流量が
自動的に絞られて、ロータ50の回転数が低下するよう
になっている。
【0067】また、図10に示す如く、タービン51に
重ねてスラスト動圧軸受のスパイラル溝を形成したの
で、ロータ50に対向するスラスト板54,54の端面
は平滑面とした。一方、軸受スリーブ55とロータ50
とが構成するラジアル動圧軸受では、軸受スリーブ55
の外周面にポンプアウト型のヘリングボーン溝56を形
成し、ロータ50の回転に伴って軸受隙間の潤滑流体が
各タービン51,51に向けて押し出されるようにし
た。
【0068】更に、上記軸受スリーブ55には各タービ
ン51に向けて加圧流体を噴き出す一対の噴出口57,
57を形成すると共に、上記ラジアル動圧軸受の軸受隙
間に潤滑流体を送り込む供給通路58を開設した。
【0069】そして、このように構成された本実施例の
スピンドル装置においても、加圧流体をタービン51に
噴きこむことで、ロータ50に高速回転を与えると共
に、その回転について高い剛性を得ることができた。ま
た、この実施例ではロータ50の両端面にタービン5
1,51を設けた結果、一方の端面にのみタービンを設
けた前述の第3実施例に比較してロータの回転が安定
し、振動のない高速回転をロータに与えることができ
た。
【0070】次に、図13に示す本発明の第5実施例に
ついて説明する。この実施例のスピンドル装置では、ロ
ータ60の一方の端面にのみタービン61を形成すると
共に、このタービン61と対向するスラスト板62には
加圧流体の噴出口63を開設し、ロータ60の軸方向か
らタービン61に加圧流体を噴きこむようにしたもので
ある。
【0071】上記タービン61に形成されるタービンブ
レードの形状は図10に示したものと略同じであるが、
ロータ60の外径に近づくほどタービンブレードが大き
くなるように形成した。これは、加圧流体をタービン6
1に噴きこんだ際に、ロータ60が軸方向に変位しよう
とする力、すなわちロータ60に作用する軸力を減じる
ためである。
【0072】また、タービン61と反対側でロータ60
と対向するスラスト板64には、図2に示したものと同
じポンプアウト型のスパイラル状溝65を形成する一
方、ロータ60の内周面と対向する軸受スリーブ66に
は、タービン61に向けて潤滑流体を押し出すヘリング
ボーン溝67を形成した。これにより、ロータ60と軸
受スリーブ66との間でラジアル動圧軸受が構成され、
ロータ60とスラスト板64との間でスラスト動圧軸受
が構成される。
【0073】更に、この実施例では一層の装置の小型化
を図るため、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受の
潤滑流体の供給通路68を加圧流体の供給通路21内に
形成した。
【0074】そして、このように構成された本実施例の
スピンドル装置においても、加圧流体をタービン61に
噴きこむことで、ロータ60に高速回転を与えると共
に、その回転について高い剛性を得ることができた。ま
た、この実施例ではタービン61側のロータ60の端面
にはスパイラル溝が形成されていないが、タービンブレ
ードの形状を前述の実施例のものと変更した結果、ター
ビン61が回転するとロータ60とスラスト板62との
軸受隙間にも十分な動圧が発生するので、両者を非接触
に保持することができた。
【0075】ところで、装置構成の簡略化や流体として
の取り扱い易さを考慮した場合には、前述の如く上記加
圧流体及び潤滑流体として空気を用いるのが好ましい。
しかし、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受の潤滑
流体としては水等の液体を用いた方が、空気等の気体を
用いた場合よりもロータの回転に対する剛性は向上す
る。
【0076】そこで、以上説明してきた各実施例のスピ
ンドル装置では、加圧流体及び潤滑流体として水を噴霧
した気体(以下、噴霧気体と記す)を用いると、これら
二つの利点を併せ持つことができる。すなわち、この噴
霧気体はクイル2や固定軸1に形成された加圧流体の供
給通路21あるいは潤滑流体の供給通路では気体として
取り扱うことができるので、シール等の複雑な構成が必
要なく、装置の簡略化を図ることが可能となる。また、
表1及び表2の試験結果から明らかなように、タービン
を駆動する加圧流体として気体を用いた方がロータに高
速回転を与えることができる。一方、動圧軸受の軸受隙
間は10μmと非常に狭く、しかも軸受隙間では高い動
圧が発生しているので、かかる軸受隙間に入り込んだ噴
霧気体は水分が凝集し、結果的に動圧軸受は水によって
潤滑されることとなる。
【0077】ここで、上記噴霧気体が清浄であれば、加
圧流体を動圧軸受の軸受隙間に導いて潤滑流体として使
用することもでき、潤滑流体の流路が不要になる分だけ
装置を簡略化することができる。このとき、ラジアル動
圧軸受及びスラスト動圧軸受の動圧発生用溝は加圧流体
をその噴出口から軸受隙間に吸引するパターンに形成さ
れていることが好ましく、例えば、前述の第1実施例で
はヘリングボーン溝9及びスパイラル溝8を共にポンプ
アウト型に形成し、第4実施例ではヘリングボーン溝5
6をポンプイン型、タービン51に重ねて形成したスパ
イラル溝をポンプアウト型に形成するのが好ましい。
【0078】従って、これら実施例では、加圧流体及び
潤滑流体として水の噴霧気体を用いることで、ロータの
回転に対して高剛性を与えながら装置構成を簡略化し、
しかもロータを高速で回転させることが可能となる。
【0079】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のスピ
ンドル装置によれば、タービンに対して噴きこまれる加
圧流体が大気中に漏れだすのを極力抑えると共に、ラジ
アル動圧軸受によって付勢された潤滑流体が加圧流体を
積極的にタービンに押し込むので、加圧流体の有する圧
力のエネルギを効率的にロータの回転運動のエネルギに
変換することができ、僅かな流量の加圧流体によっても
ロータに高速回転を与えることができると共に、外力に
対するロータの剛性を十分に確保することができる。、
しかも極めて簡易な構成のスピンドル装置を提供するこ
とにある。
【0080】また、ロータとタービンが一体に形成され
ると共に、ロータ自体がスラスト動圧軸受及びラジアル
動圧軸受の一部を構成しているので、極めて簡易な構成
でこのスピンドル装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスピンドル装置の第1実施例を示す
断面図である。
【図2】 第1実施例に係るスラスト板を示す平面図で
ある。
【図3】 第1実施例に係る軸受スリーブを示す切欠き
断面図である。
【図4】 第1実施例に係るロータを示す断面図である
【図5】 第1実施例に係るロータの加工工程を示す説
明図である。
【図6】 本発明のスピンドル装置の第2実施例を示す
断面図である。
【図7】 第2実施例に係るスラスト板を示す平面図で
ある。
【図8】 本発明のスピンドル装置の第3実施例を示す
断面図である。
【図9】 第3実施例に係る軸受スリーブを示す切欠き
断面図である。
【図10】 第3実施例に係るスラスト板を示す平面図
である。
【図11】 第3実施例に係るスラスト板の変形例を示
す平面図である。
【図12】 本発明のスピンドル装置の第4実施例を示
す断面図である。
【図13】 本発明のスピンドル装置の第5実施例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1…固定軸、4…ロータ、6…スラスト板、11…ター
ビン、18…円筒半体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定軸と、所定の軸受隙間を保って上記
    固定軸に遊嵌し、当該固定軸との間でラジアル動圧軸受
    を構成する円筒状のロータと、このロータの両端面と所
    定の軸受隙間を保って配設され、当該ロータとの間でス
    ラスト動圧軸受を構成する一対のスラスト板とからな
    り、 上記ロータにはその内径から外径にかけて加圧流体が噴
    き出すタービンを内蔵し、上記固定軸を通してこのター
    ビンに上記加圧流体を吹き込む一方、 上記ラジアル動圧軸受は軸受隙間の潤滑流体を上記ロー
    タのタービンに向けて押し込むポンプイン型としたこと
    を特徴とするスピンドル装置。
  2. 【請求項2】 上記スラスト軸受は軸受隙間の潤滑流体
    を上記ロータの外径に向けて押し出すポンプアウト型で
    あることを特徴とする請求項1記載のスピンドル装置。
  3. 【請求項3】 上記スラスト軸受の内径側は、軸受隙間
    の潤滑流体を上記ロータの内径に向けて押し込むポンプ
    イン型であることを特徴とする請求項2記載のスピンド
    ル装置
  4. 【請求項4】 上記ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧
    軸受の潤滑流体とロータの加圧流体とが異なることを特
    徴とする請求項1記載のスピンドル装置。
  5. 【請求項5】 上記ロータは上記タービンを含む断面で
    貼り合わせられた一対の円筒半体から構成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載のスピンドル装置。
  6. 【請求項6】 固定軸と、所定の軸受隙間を保って上記
    固定軸に遊嵌し、当該固定軸との間でラジアル動圧軸受
    を構成する円筒状のロータと、このロータの両端面と所
    定の軸受隙間を保って配設された一対のスラスト板とを
    備え、 上記ロータの一方の端面とこれに対向するスラスト板と
    の間でスラスト動圧軸受を構成すると共に、 上記ロータの他方の端面にはその内径から外径にかけて
    加圧流体が噴き出すタービンを形成し、上記固定軸を通
    してこのタービンに上記加圧流体を吹き込む一方、 上記ラジアル動圧軸受は軸受隙間の潤滑流体を上記ター
    ビンに向けて押し出すポンプアウト型としたことを特徴
    とするスピンドル装置。
  7. 【請求項7】 上記ロータの端面には、スラスト動圧軸
    受の動圧発生用溝が上記タービンと共に形成されている
    ことを特徴とする請求項6記載のスピンドル装置。
  8. 【請求項8】 上記ロータの加圧流体は噴霧気体である
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のス
    ピンドル装置。
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