JP3569668B2 - 空気動圧スピンドル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、工作機械等において工具若しくは工作物を主軸端に保持して回転するスピンドル装置に係り、詳細には、精密加工用スピンドル装置の主軸を支承する軸受の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のスピンドル装置としては、その主軸の回転を、玉軸受あるいはころ軸受に代表される転がり軸受や、油又は空気に代表される作動流体の静圧を利用した静圧軸受で支承しているものが主流であった。
【0003】
しかし、前者の転がり軸受はボールあるいはころが内外輪の間を転走しているので、低速回転においては特に問題が生じないものの、高速回転においては振動や摩擦熱が発生し、スピンドル主軸の振れ回りや発熱を避けることができなかった。また、内外輪の転走面を潤滑する必要があり、ランニングコストが嵩む他、メインテナンスに手間がかかるという問題点もあった。
【0004】
一方、後者の静圧軸受は作動流体の潤滑膜によって軸を支承するので、前者の転がり軸受よりは高い回転精度を期待できるが、その反面として剛性が低く、加えて油又は空気を加圧するためのポンプやコンプレッサが必要であり、装置が大がかりにならざるを得ないという問題点があった。
【0005】
また、作動流体として油を用いた静圧軸受では空気を用いたものに比較してその剛性は高くなるが、粘性の影響から高速回転時での発熱量が大きく、主軸を高速回転させるためには強制冷却装置が必要であった。作動流体の発熱量を軽減する対策としては、作動流体の潤滑膜の厚さすなわち軸受クリアランスを大きく設定する方法もあるが、これでは剛性が低下し且つ主軸の振れ回りも大きくなるという問題点があった。
【0006】
そこで、本願発明者らはこのような従来のスピンドル装置の問題点を解決するものとして、空気動圧軸受によってスピンドル主軸の回転を支承するスピンドル装置を以前に提案している(特願平5−30531号)。この提案によれば、スピントル主軸の回転をラジアル空気動圧軸受及びスラスト空気動圧軸受で支承しているので、転がり軸受を用いた従来のスピンドル装置のように高速回転時に振動を生じることがなく、また静圧軸受を用いた従来のスピンドル装置のように装置が大型化することもなく、回転精度が高く且つ小型なスピンドル装置を得ることができた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の精密加工用スピンドルは、荒加工あるいは仕上げ加工等の各種加工形態に応じ、低速回転(約3000rpm)から高速回転(約50000rpm)までの様々な回転数で使用される。従って、一つのスピンドル装置で各種加工形態に対応するためには、いずれの使用回転数においてもスピンドル主軸が十分な剛性を有している必要がある。
【0008】
しかし、空気動圧軸受は回転数に比例して荷重の負荷容量が増加するので、この軸受を用いたスピンドル装置では、スピンドル主軸の回転数が低いと当該軸に十分な剛性を与えることができないといった問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、低速回転から高速回転までのいずれの回転数においてもスピンドル主軸が十分な剛性を備え、スピンドル主軸の回転数が異なる各種加工形態に幅広く対応することが可能な空気動圧スピンドル装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、本願発明者らは以下に示す二つの発明を案出するに至った。
先ず、第一の発明は空気動圧軸受の動圧発生効果を高めることによって低回転数における当該軸受の負荷容量の増加を図り、以てスピンドル主軸の剛性の向上を図ることを狙いとするものである。
すなわち、第一の発明に係る空気動圧スピンドル装置は、駆動手段に連結されて回転する主軸と、この主軸の周囲に介装されて当該軸をハウジングに対して回転自在に支持するラジアル空気動圧軸受と、上記主軸の周囲に介装されて当該軸の軸方向への移動を規制するスラスト空気動圧軸受とから構成され、上記ラジアル及び/又はスラスト空気動圧軸受には動圧発生用溝と同一面上で且つ当該溝と連通する静圧発生用リセスを形成し、またこれら空気動圧軸受に静圧を与える静圧付与手段を設け、静圧及び動圧を共働させながら上記主軸の回転を支承することを特徴とするものである。
【0011】
このような技術的手段において、上記ラジアル及び/又はスラスト空気動圧軸受に静圧を与える場合には、静圧付与手段から送出される加圧空気をこれら軸受の軸受クリアランスに噴出する静圧孔をこれら軸受に形成しなければならないが、この静圧孔の配置及び個数は適宜設計変更して差し支えない。但し、主軸の振れを防止するという観点からすれば、上記静圧孔は各軸受の円周を三等分乃至五等分あるいはそれらの整数倍分に分割するように配置されることが好ましい。
【0012】
また、上記技術的手段においては、主軸の回転に伴い発生する動圧と静圧付与手段によって与えられた静圧とが共働して主軸の回転を支承しているので、主軸の回転数が高くなって大きな動圧が動圧軸受に発生しているのであれば、動圧軸受に付与する静圧は小さくても何ら差し支えない。従って、この装置ではラジアル及び/又はスラスト空気動圧軸受から流出する静圧空気の流量を制御する絞り弁を設け、この絞り弁の開閉に応じてこれら軸受に作用する静圧の大きさを調整するのが好ましく、更にこの絞り弁の開閉量は主軸の回転数及び/又は主軸温度に基づいて制御されるのが好ましい。
【0013】
更に、上記ラジアル空気動圧軸受に静圧を付与する場合、当該軸受の動圧発生用溝と同一面上には静圧発生用リセスが形成されるが、このリセスの外に静圧付与手段から送出された加圧空気を当該軸受の円周方向に導く空気流入溝を動圧発生用溝と同一面上に形成し、加圧空気がラジアル空気動圧軸受の円周方向に円滑に拡散するように構成するのが好ましい。また、この空気流入溝を絞り溝によって静圧発生用リセスと連通させ、空気流入溝から静圧発生用リセスに流入する空気の圧力をこの絞り溝によって高め、静圧の発生効果の向上を図るのが好ましい。
【0014】
次に、上記目的を達成する第二の発明は空気動圧軸受で発生する動圧の分布を最適化し、動圧の発生効果を高めることなくスピンドル主軸の剛性の向上を図ることを狙いとするものである。
すなわち、第二の発明に係る空気動圧スピンドル装置は、駆動手段に連結されて回転する主軸と、この主軸の周囲に介装されて当該軸をハウジングに対して回転自在に支持するラジアル空気動圧軸受と、上記主軸の周囲に介装されて当該軸の軸方向への移動を規制するスラスト空気動圧軸受とから構成され、上記スラスト空気動圧軸受に隣接配置されたラジアル空気動圧軸受の動圧発生用溝をスラスト空気動圧軸受側に空気を送り込むポンプアウト型のヘーリングボーン状溝とする一方、上記スラスト空気動圧軸受のラジアル空気動圧軸受側に形成された動圧発生用溝をポンプアウト型のスパイラル状溝としたことを特徴とするものである。
【0015】
【作用】
これら発明によれば、ラジアル及びスラスト空気動圧軸受は主軸の回転に伴って動圧を発生し、空気潤滑膜によって主軸の回転を非接触に支承する。
【0016】
第一の発明によれば、動圧発生用溝と同一面上で且つ当該溝と連通する静圧発生用リセスが形成され、また静圧付与手段がこれら空気動圧軸受に静圧を与えているので、主軸は動圧及び静圧の共働によってその回転が支承される。このとき、静圧発生用リセスに溜まった高圧空気は圧力の低い動圧発生用溝に流入していくので、主軸の回転に伴って動圧発生用溝が空気を加圧する効果、すなわち動圧の発生効果が高まって空気潤滑膜の圧力が上昇し、空気動圧軸受の荷重の負荷容量が増大する。
【0017】
従って、本発明の空気動圧スピンドル装置によれば、静圧が付与されているラジアル及び/又はスラスト空気動圧軸受は主軸が低速で回転している場合にも十分な負荷容量を発揮するので、低速回転であっても主軸の剛性が十分に確保される。
【0018】
また、本発明では静圧が付与されているラジアル及び/又はスラスト空気動圧軸受から流出する静圧空気の流量を制御する絞り弁を設けると、この絞り弁を操作することにより空気動圧軸受に付与する静圧の大きさを自在に調整することができる。従って、動圧の発生効果が低い主軸の低速回転時にはこの絞り弁を絞って静圧を高め、これによって動圧の発生効果を高めて主軸に十分な剛性を与える一方、動圧の発生効果が高く且つ発熱量が大きい主軸の高速回転時にはこの絞り弁を解放して空気流量を増加し、これによって軸受の冷却効果を高めて熱膨張による主軸の変位を防止することができる。
【0019】
更に、このとき絞り弁の開閉量を主軸回転数及び/又は主軸温度に基づいて制御すれば、回転数に応じた剛性を主軸に与え且つ熱膨張による主軸の変位を所定の値以下に抑え込むことができる。
【0020】
また、第二の発明によれば、ラジアル空気動圧軸受に形成されたポンプアウト型のヘーリングボーン状溝が空気をスラスト空気動圧軸受に押し込む一方、スラスト空気動圧軸受に形成されたポンプアウト型のスパイラル状溝はラジアル空気動圧軸受から押し込まれた空気を外周方向に向かって加圧するので、スラスト空気動圧軸受の外周側で高い動圧が発生する。すなわち、主軸中心から離れた位置で高い動圧が発生しているので、主軸が低速回転している場合であっても当該軸に作用する曲げモーメントに対して高い剛性を得ることができる。
【0021】
【実施例】
以下、添付図面に基づいて本発明の空気動圧スピンドル装置を詳細に説明する。
図1は研削盤の研削軸として用いられる空気動圧スピンドル装置に本発明を適用した第一実施例を示すものであり、符号1は軸端に砥石(図示せず)が装着される主軸を、符号2はハウジングを、符号3及び符号4は上記主軸1をハウジング2に対して回転自在に支持するラジアル空気動圧軸受(以下、ラジアル軸受)及びスラスト空気動圧軸受(以下、スラスト軸受)を夫々示している。
【0022】
また、符号5,6はハウジング2の両端に固定されたエンドキャップ、符号7は工作物研削時のクーラントがハウジング2内に浸入するのを防止するラビリンスシール、符号8は主軸1に螺合して上記ラビリンスシール7を固定する止め金具である。
【0023】
上記ラジアル軸受3は上記主軸1に接着接合された内輪31と、この内輪31と所定の軸受クリアランスを保持して上記ハウジング2に焼き嵌めされた外輪32とから構成されている。図3に示すように、上記内輪31の周面には二重のヘーリング・ボーン状パターンを有する動圧発生用溝33,33が形成されており、その溝深さは10μm、主軸回転方向(矢線A方向)に対する溝角度β=30°である。また、上記内輪31の周面には動圧発生用溝33,33と連通する静圧発生用リセス34も形成されている。このリセス34は二重に形成されたヘーリング・ボーン状溝33,33の中央及びこれら溝33,33の両端に形成されており、内輪31の周面を6分割するように円周方向に延びている。また、各リセス34の溝深さは10μmである。
【0024】
従って、この内輪31が主軸1と共に矢線A方向へ回転すると、ヘーリングボーン状溝33,33が各リセス34に溜まっている空気を各ヘーリング・ボーン状溝33の中央部(矢線B位置)へ流動させ、この位置で高い動圧が発生する。尚、この実施例では主軸1に作用するモーメント荷重に抗するため、所定の間隔をおいて上記ラジアル軸受3を2つ配設したが、個々のラジアル軸受3のモーメント荷重の負荷能力が高い場合にはこれには及ばない。
【0025】
更に、上記スラスト軸受4は上記主軸1に嵌め合い接合されたカラー41と、このカラー41と所定の軸受クリアランスを保持して配設されたスラスト板42とから構成されている。図4に示すように、上記カラー41の両表面にはポンプイン型のスパイラル状パターンを有する動圧発生用溝43が形成されており、その溝深さは15μm、円周方向に対する溝角度α=16°である。また、上記カラー41の両表面には動圧発生用溝43と連通する静圧発生用リセス44も形成されている。このリセス44はスパイラル状溝43の外周を囲むようにして環状に形成されており、その溝深さは15μmである。
【0026】
従って、スラスト軸受4が主軸1と共に矢線C方向へ回転すると、ポンプイン型スパイラル状溝42がリセス44に溜まっている空気を内周方向へ吸い込み、スパイラル状溝43の内側で高い動圧が発生する。
【0027】
上記カラー41は主軸1上で上記ラジアル軸受3の内輪31と当接しており、カラー41の一方の表面に形成された動圧発生用溝43はハウジング2に固定されたラジアル軸受3の外輪32と対向している。また、カラー41の他方の表面に形成された動圧発生用溝43はスラスト板42と対向しており、上記スラスト板42とラジアル軸受3の外輪32との間にはスペーサ45が配設されている。これにより、外輪32とスラスト板42との間隔は所定値に保持され、主軸1の回転時にカラー45と外輪32、カラー41とスラスト板42とが夫々に形成する軸受クリアランスを所定値に維持することができる。
【0028】
また、作動流体である空気の動圧が発生する軸受クリアランスはラジアル軸受3で8μm、スラスト軸受4で4μmとした。このようにスラスト軸受4の軸受クリアランスをラジアル軸受3の軸受クリアランスよりも小さく設定したのは、スラスト軸受4の剛性を高めることによって砥石が装着されるスラスト軸受側の主軸1の軸端の変位を小さくし、研削加工における加工精度の向上を図るためである。
【0029】
上記ラジアル軸受3の内外輪31,32、スラスト軸受4のカラー41及びスラスト板42にはアルミナ焼結体のセラミクス材を用いた。上記ヘーリングボーン状溝33、スパイラル状溝41及びリセス34,44の加工は内輪31あるいはカラー41の溝加工面に樹脂製マスクを貼り付け、350メッシュのAl砥粒を用いたショットブラストにより行った。尚、内外輪31,32、カラー41及びスラスト板42の材料としては、Alの焼結体の他、Al−SiO系、Al−ZrO系、Al−SiO−MgO系の複合セラミクス材も適用できる。
【0030】
また、図2に示すように、上記ラジアル軸受3の外輪32には円周を三等分するようにして静圧孔35が形成され、更に互いに隣接する静圧孔35の間を二分するようにして吐出孔36が形成されている。これら静圧孔35及び吐出孔36は外輪32を半径方向に貫通しており、静圧孔35はハウジング2に形成された流体供給通路21とラジアル軸受3の軸受クリアランス37とを、吐出孔36は軸受クリアランス37とハウジング2に形成された流体排出通路22とを連通している。また、これら静圧孔35及び吐出孔36の内周側の開口は、ラジアル軸受3の内輪31に形成されたヘーリング・ボーン状溝33,33の中央に位置するリセス34に対向している。
【0031】
更に、図1に示すように、スラスト軸受4においてはスペーサ45を半径方向に貫通する静圧孔46及び吐出孔47が形成されており、静圧孔46はエンドキャップ6に形成された流体供給通路61とスラスト軸受4の軸受クリアランスとを、吐出孔47はスラスト軸受4の軸受クリアランスとエンドキャップ6に形成された流体排出通路62とを連通している。またラジアル軸受3と同様に、上記静圧孔46は円周を三等分するように形成され、吐出孔47は互いに隣接する静圧孔46の間を二分するように形成されている。
【0032】
そして、図1に示すように、流体供給通路21,61にはコンプレッサ等の静圧付与手段10が接続され、静圧付与手段10から送出された加圧空気がラジアル軸受3の静圧孔35及びスラスト軸受4の静圧孔46を介して夫々の軸受の軸受クリアランスに噴出し、各軸受3,4に静圧が作用するようになっている。尚、上記静圧付与手段10は図示外のエアフィルタを介して加圧空気を送出し、各軸受3,4に供給される空気から塵芥を取り除いている。
【0033】
一方、流体排出通路22,62にはラジアル軸受3の吐出孔36及びスラスト軸受4の吐出孔47から吐出される空気の流量を調整する絞り弁20が接続されている。この絞り弁はコントローラ30によってその開閉量が制御される電磁弁であり、ラジアル軸受3及びスラスト軸受4の夫々について吐出空気の流量を調整している。また、コントローラ30は図示外のセンサによって検出された主軸1の回転数及び/又は主軸温度に基づき、その時点での最適な吐出空気の流量を予め定められたプログラムに従って演算し、これに応じて絞り弁20の開閉量を調整する。
【0034】
更に、この実施例では主軸1の起動時及び停止時にスラスト軸受4のカラー41とスラスト板42とが接触するのを防止するため、カラー41とスラスト板42との間には主軸1の自重のみを支える低圧の静圧を付与している。図5及び図6に示すように、スラスト板42には図示外のコンプレッサに連通する静圧孔48が穿設され、カラー41に面した静圧孔48の周囲には深さ20μmのリセス49が設けられている。これにより主軸1は静圧によって自重を下方から支えられているので、起動時及び停止時にもカラー41をスラスト板42に接触させることなく回転することができる。
【0035】
以上のように構成された本実施例の空気動圧スピンドル装置は、図7に示すように、スピンドル装置のハウジング2をブラケット11で固定部12に固定し、やはりこの固定部12に固定されたモータ13の出力をベルト14でスピンドル装置の主軸1に伝達して使用される。このとき、上記ベルト14は直接主軸1に架け回されるのではなく、カップリング15を介して主軸1に連結されたサポートベアリング16に架け回され、これによってモータ13の起動時や増減速時の衝撃力が主軸1に伝達されるのを防止している。
【0036】
本実施例のスピンドル装置は空気動圧軸受ではあるが、その使用に当たっては静圧付与手段10によって加圧空気をラジアル軸受3及びスラスト軸受4に供給して使用される。このため、各軸受3,4では供給された加圧空気が静圧発生用リセス34,44に溜まって静圧が発生する。一方、これらリセス34,44は動圧発生用溝33,43と夫々連通しているので、これらリセス34,44に溜まっている加圧空気は主軸1の回転に伴って動圧発生用溝33,43に流れ込み、これら動圧発生用溝33,43で加圧されて動圧が発生する。つまり、主軸1は静圧及び動圧の共働によってその回転を支承される。
【0037】
このとき、動圧発生用溝33,43に流れ込む空気は静圧を発生させている加圧空気なので、静圧を作用させていない場合に比較して動圧発生用溝33,43に対する空気の流れ込みが促進され、主軸1が低速で回転している場合であっても高い動圧が発生する。図8は主軸1の軸方向に沿った各位置での動圧の発生分布を示すグラフであり、実線が静圧を作用させた場合を、破線が静圧を作用させていない場合を示している。また、グラフ中で高圧力の発生位置が二つのラジアル軸受3,3の配設位置と対応している。このグラフから明らかなように、静圧を作用させると、作用させない場合に比較してΔPだけ高い動圧が発生する。また、二つのラジアル軸受3,3の境界位置の圧力は静圧分Pだけ上昇する。
【0038】
従って、本実施例の空気動圧スピンドル装置によれば、低速回転時の主軸1の負荷容量が増大し、低速回転でも高い主軸剛性を得ることができる。
【0039】
また、本実施例では絞り弁20によってラジアル軸受3及びスラスト軸受4から吐出される空気の流量を調整しているので、絞り弁20の開閉量に応じて各軸受3,4に作用する静圧の大きさを調整し、動圧の発生効果を制御することができる。すなわち、吐出空気の流量を少なくすれば大きな静圧が発生するので、動圧の発生効果が高まる一方、吐出空気の流量を多くすれば静圧は小さくなるので、動圧の発生効果は低くなる。また、吐出空気の流量を多くすれば主軸1の冷却効果を高めることもできる。
【0040】
従って、主軸1の低速回転時には絞り弁20を絞るようにすれば、空気動圧軸受には不適とされていた低い回転数でも高い動圧発生効果を得ることができ、また高速回転時には絞り弁20を開けるようにすれば、空気の剪断摩擦熱による主軸1の加熱を防止することができる。
【0041】
また、本実施例ではこのような絞り弁20の開閉を主軸1の回転数及び主軸温度に基づいて行っているので、いずれの主軸回転数でも最適な剛性を主軸に与え、且つ、主軸の熱膨張による研削加工精度の悪化を防止することができる。
【0042】
尚、本実施例ではラジアル軸受3の内輪31に二重のヘーリングボーン状溝33,33を形成したが、主軸に要求される負荷容量に応じて一重のヘーリングボーン状溝としても差し支えない。その場合、静圧発生用リセスはヘーリングボーン状溝の両端に形成するものとし、更に外輪32を貫通する静圧孔35及び吐出孔36は互いに隣接するラジアル軸受3,3の間に形成される。
【0043】
次に、本発明の第二実施例について説明する。
この実施例では第一実施例に係るラジアル軸受3の内輪31に形成された溝パターンを図9に示すものとした。すなわち、内輪31の外周面には、第一実施例と同様に二重のヘーリングボーン状の動圧発生用溝50,50が形成され、更に各ヘーリングボーン状溝50の両端には主軸1の回転方向(矢線A方向)に延びる静圧発生用リセス51,51,…が形成されている。また、二重に形成されたヘーリングボーン状溝50,50の境界部には外輪32に形成された静圧孔35及び吐出孔36に対向する円周溝52が形成され、この円周溝52は隣接するリセス51,51,…と絞り溝53,53,…によって連通されている。更に、これら溝パターンの両端に位置するリセス51,51,…にも絞り溝53,53,…が設けられている。
【0044】
上記絞り溝53の深さはリセス51と同じ10μmであるが、円周溝52の深さはこれよりも大きい3mmとした。これは、静圧孔35から噴出された空気を効率良く円周方向へ拡散させるためである。従って、静圧孔35から噴出された空気は断面積の大きな円周溝52を伝わって軸受クリアランス内を円周方向へ拡散し、絞り溝53を通ってリセス51に流入する。このとき、絞り溝53は円周溝52に拡散して低下した空気の圧力を高め、リセス51における静圧の効果を高める。
【0045】
尚、ラジアル軸受3の溝パターンを変更した以外は第一実施例と同じ構成なので、その説明は省略する。
【0046】
次に、図10に示す第三実施例について説明する。
この実施例は第二の発明に対応するものであり、スラスト軸受4のカラー41のラジアル軸受70側の表面には図11(a)に示すようなポンプアウト型のスパイラル状動圧発生用溝61が形成される一方、スラスト板42側の表面には図11(b)に示すようなポンプイン型のスパイラル状動圧発生用溝62が形成されている。これら図中においてカラー41の回転方向は矢線D方向である。
【0047】
また、スラスト軸受4に隣接したラジアル軸受3aの内輪31には、図12に示すように、その外周面に一重のヘーリングボーン状溝63が形成されると共に、上記スラスト軸受3に空気を送り込むポンプアウト型のヘーリングボーン状溝64が上記ヘーリングボーン状溝63に沿って形成されている。また、ヘーリングボーン状溝63の両端には静圧発生用リセス65が形成され、互いに隣接するリセス65とヘーリングボーン状溝63あるいはヘーリングボーン状溝64は連通している。この図中において内輪31の回転方向は矢線A方向である。また、スラスト軸受4に隣接していないラジアル軸受3bは第一実施例と全く同じ構成である。
【0048】
更に、この実施例においては、ラジアル軸受3aに形成された静圧孔35及び吐出孔36は互いに隣接するヘーリングボーン状溝63,64の間に位置するリセス65に対向して設けられている。
【0049】
従って、この実施例では主軸1が回転するとポンプアウト型のヘーリングボーン状溝64が静圧発生用リセス65に溜まった空気をスラスト軸受4に送出し、更にカラー41のラジアル軸受3a側に形成されたポンプアウト型のスパイラル状溝61がこの空気をカラー41の外周に向かって加圧する。このため、スラスト軸受4では主軸1の軸心から離れたカラー41の外周側で高い動圧が発生するので、主軸に作用する曲げモーメントに対して高い剛性を発揮することができる。
【0050】
尚、カラー41のスラスト板42側の動圧発生用溝をポンプイン型のスパイラル状溝62としたのは、主軸1の回転時におけるカラー41のスラスト板42に対する浮上力を増強するためである。
【0051】
この第三実施例において上記以外の構成は全て第一実施例と同じなので、図10に第一実施例と同一符号を付してその説明は省略する。
【0052】
また、この第三実施例においてラジアル軸受3aの溝パターンは図13に示すものであっても差し支えない。すなわち、ポンプアウト型ヘーリングボーン状溝66と一重のヘーリングボーン状溝67の間に静圧孔35から噴出した空気を円周方向へ拡散させる円周溝68を形成し、絞り溝69を通して静圧発生用リセス70に空気が流れ込むように構成しても良い。
【0053】
【発明の効果】
以上説明してきたように、第一の発明に係る空気動圧スピンドル装置によれば、ラジアル空気動圧軸受及び/又はスラスト空気動圧軸受の動圧発生用溝と連通する静圧発生用リセスに静圧を与えながらこれら軸受に動圧を発生させているので、動圧の発生効果を高めてその分だけ空気動圧軸受の荷重の負荷容量を増大させることができ、低速回転から高速回転までのいずれの回転数においてもスピンドル主軸に対して十分な剛性を与えることが可能となる。
【0054】
また、第二の発明に係る空気動圧スピンドル装置によれば、スラスト空気動圧軸受の外周側で高い動圧が発生し、主軸中心から離れた位置で主軸の回転が支承されるので、当該軸に作用する曲げモーメントに対して高い剛性を得ることができ、やはり低速回転から高速回転までのいずれの回転数においてもスピンドル主軸に対して十分な剛性を与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気動圧スピンドル装置の第一実施例を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】第一実施例に係るラジアル空気動圧軸受に形成された溝パターンを示す図である。
【図4】第一実施例に係るスラスト空気動圧軸受に形成された溝パターンを示す図である。
【図5】第一実施例に係るスラスト板を示す平面図である。
【図6】第一実施例に係るスラスト板を示す断面図である。
【図7】第一実施例に係る空気動圧スピンドル装置の使用例を示す概略図である。
【図8】第一実施例に係る空気動圧スピンドル装置の動圧発生効果を示すグラフである。
【図9】第二実施例に係るラジアル空気動圧軸受に形成された溝パターンを示す図である。
【図10】本発明の空気動圧スピンドル装置の第三実施例を示す断面図である。
【図11】第三実施例に係るスラスト空気動圧軸受に形成された溝パターンを示す図である。
【図12】第三実施例に係るラジアル空気動圧軸受に形成された溝パターンを示す図である。
【図13】第三実施例に係るラジアル空気動圧軸受の溝パターンの他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…主軸、2…ハウジング、3…ラジアル空気動圧軸受、4…スラスト空気動圧軸受、10…静圧付与手段、20…絞り弁、30…コントローラ、35…静圧孔、33…動圧発生用溝、34…静圧発生用リセス

Claims (1)

  1. 駆動手段に連結されて回転する主軸と、この主軸の周囲に介装されて当該軸をハウジングに対して回転自在に支持するラジアル空気動圧軸受と、上記主軸の周囲に介装されて当該軸の軸方向への移動を規制するスラスト空気動圧軸受とから構成され、
    上記スラスト空気動圧軸受に隣接配置されたラジアル空気動圧軸受の動圧発生用溝をスラスト空気動圧軸受側に空気を送り込むポンプアウト型のヘーリングボーン状溝とする一方、上記スラスト空気動圧軸受のラジアル空気動圧軸受側に形成された動圧発生用溝をポンプアウト型のスパイラル状溝としたことを特徴とする空気動圧スピンドル装置。
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