JP4008074B2 - 研削加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速回転する砥石によって被加工物の研削加工を行う研削加工装置に係り、特に、かかる砥石の形状を適宜修正若しくは成形するロータリドレッサを備えた研削加工装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の研削加工装置では、砥石が装着される砥石軸スピンドルを転がり軸受で回転自在に支承すると共に、この砥石軸スピンドルに対してプーリ及びベルトからなる動力伝達系を介してモータの回転動力を伝達するものが一般的であった。
【0003】
しかしながら、近年では被加工物に対する高精密加工、高速加工の要請から、砥石回転数の高い研削加工装置が必要とされており、ベルトによってモータと砥石軸スピンドルを結合した従来の研削加工装置では、かかる要請に十分に応えることかできなかった。また、従来の研削加工装置で砥石軸スピンドルの回転数を高速化した場合に、かかる砥石軸スピンドルを支えている転がり軸受に振動あるいは焼きつきが発生し、砥石軸スピンドルの回転数を高精密加工に十分な速度にまで高めることができなかった。
【0004】
そこで、このような高精密加工、高速加工の要請に応えるものとして、砥石軸スピンドルをタービンで駆動する研削加工装置が提案されている。例えば、特開平4−256571号公報所載の研削加工装置では、タービンブレードを備えたタービンホイール(砥石軸スピンドルに相当)に砥石を形成し、上記タービンブレードに加圧流体を噴きつけてタービンホイールを回転させると共に、上記加圧流体を共用した静圧軸受で上記タービンホイールの回転を支承しており、ベルトやプーリ等の大がかりな動力伝達系を設けることなく、コンパクトな装置構成でタービンホイールに高速回転を与える与えることができるようになっている。
【0005】
また、特開平8−21435号公報には、やはり砥石が装着された砥石軸スピンドルをタービンによって高速回転させると共に、静圧軸受ではなく動圧軸受によって砥石軸スピンドルの回転を支承した研削加工装置も開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、研削加工においては砥石の形状が被加工物の研削面に転写されるため、高精度の研削加工をなすためには所定の加工サイクル毎に砥石の形状を修正すると共に、該砥石に埋め込まれている砥粒の目立てを行う必要がある。かかる理由から、この種の研削加工装置には、通常、回転する砥石ドレッサ(以下、ロータリドレッサ)を適宜砥石に当接させて、かかる砥石の形状を所定の形状に修正又は成形するドレッシングユニットが備えられているのが一般的である。
【0007】
しかし、従来のドレッシングユニットにおいては、ロータリドレッサが装着されるドレッシング軸スピンドルを転がり軸受で回転自在に支承すると共に、このドレッシング軸スピンドルに対してプーリ及びベルトからなる動力伝達系を介してモータの回転動力を伝達していることから、タービンによって高速で駆動される砥石の回転数に見合う値にまで該ロータリドレッサの回転数を高めることができないといった問題点があった。特に、近年ではCBN砥粒をレジンボンド等で結合したCBNホイールが砥石として多用されており、かかるCBNホイールを使いこなすために砥石軸スピンドルの回転数も従来より著しく高速化していることから、これに伴いロータリドレッサの回転数の高速化の要請が大きい。
【0008】
また、ロータリドレッサによる砥石のドレッシング作業の際には、これらロータリドレッサと砥石との当接箇所にクーラント液を供給する必要があり、作業中にはクーラント液がロータリドレッサの周囲に飛散してしまうことから、該ロータリドレッサの回転を担う転がり軸受やモータ等の耐久性が著しく低下してしまうという問題点もあった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、砥石の形状を修正又は成形するドレッシングユニットを備えた研削加工装置において、ロータリドレッサの回転数を砥石の回転数に見合う程度にまで高速化し、上記砥石の修正、成形、目立てを効率良く行い得ると共に、かかるドレッシングユニットの耐久性を高めることが可能な研削加工装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の研削加工装置は、砥石が装着される砥石軸スピンドルを有すると共に、かかる砥石を回転させながら被加工物の研削加工を行う研削加工ユニットと、砥石ドレッサが装着されるドレッサ軸スピンドルを有すると共に、かかる砥石ドレッサを回転させ且つこれを適宜砥石に当接させながら該砥石形状の修正又は成形を行うドレッシングユニットとを備えた研削加工装置を前提とし、上記砥石軸スピンドル及びドレッサ軸スピンドルの夫々には高圧流体の供給によって回転する羽根車を装着すると共に、一つの加圧ポンプから圧送した高圧流体を各羽根車に供給し、これらスピンドルに装着された砥石及び砥石ドレッサの双方を回転駆動することを特徴とするものである。
【0011】
このような技術的手段によれば、砥石軸スピンドルのみならずドレッサ軸スピンドルにも羽根車を装着し、かかる羽根車に高圧流体を供給することによって砥石ドレッサ(ロータリドレッサ)を回転駆動しているので、砥石ドレッサの回転数を砥石の回転数と同程度にまで高速化することができる。また、一つの加圧ポンプから圧送した高圧流体を用いて砥石及び砥石ドレッサの双方を回転駆動するので、砥石軸スピンドル及びドレッサ軸スピンドルに対して個別に電動モータ等の駆動手段を設ける必要がなく、研削加工装置の構造を極めて簡易化することができる他、複数の砥石軸スピンドルやドレッサ軸スピンドルを一つの加圧ポンプからの高圧流体で同時に駆動することもでき、例えば三軸同時研削加工等によって極めて効率良く研削作業やドレッシング作業を行うことが可能となる。
【0012】
ここで、このような本発明の研削加工装置において、上記砥石軸スピンドル及びドレッサ軸スピンドルに装着する羽根車は如何なるものであっても差し支えないが、通常はロータリドレッサの直径が砥石のそれよりも大きい点、ドレッシング作業に要する時間を短縮化するためには砥石に対するロータリドレッサの切り込み量を大きく設定したい点等を考慮すると、ドレッサ軸スピンドルの回転には大きなトルクが必要となる。一方、CBNホイール等を砥石として用いて被加工物の研削加工を精度良く行うためにには、砥石軸スピンドルに対して超高速回転を与える必要もある。従って、かかる観点からすれば、ドレッサ軸スピンドルには高トルクを発生することが可能な反動型羽根車を装着する一方、砥石軸スピンドルには高速回転を発生することが可能な衝撃型羽根車を装着するのが好ましい。
【0013】
また、このようにドレッサ軸スピンドルに反動型羽根車を、砥石軸スピンドルに衝撃型羽根車を装着するのであれば、先ずは加圧ポンプから圧送される高圧流体をドレッシングユニットに導いてドレッサ軸スピンドルを回転させた後、かかるドレッシングユニットから回収された高圧流体を研削加工ユニットに導き、砥石軸スピンドルを回転駆動するのが好ましい。このように構成すれば、加圧ポンプから圧送されたばかりの高圧流体の大きな圧力ヘッドを利用して、砥石軸スピンドルに装着された反動型羽根車に大きな回転トルクを与えることができる。また、ドレッシングユニットから研削加工ユニットに送られる流体の圧力は加圧ポンプから送り出された当初よりも低下してはいるが、これをノズルから噴出して砥石軸スピンドルの衝撃型羽根車に供給することにより、噴出した流体の速度ヘッドの大きさを利用して砥石軸スピンドルを高速で回転させることができる。
【0014】
更に、このようにしてロータリドレッサの回転駆動に利用された高圧流体をドレッシングユニットから研削加工ユニットへ送る場合、これらユニットの間にはドレッシングユニットから研削加工ユニットへ流れる高圧流体の流量を調整する流量調整弁を設けるのが好ましい。かかる構成によれば、流量調整弁の開閉度に応じて研削加工ユニットへ供給される高圧流体の流量を任意に調整することができるので、衝撃型タービンによって回転駆動される砥石軸スピンドルの回転数を任意に制御することができる。また、このようにして砥石軸スピンドルの回転数を調整すれば、所謂ドレス比(ロータリドレッサの周速/砥石の周速)を砥石材質等に応じて任意に調整することができ、研削加工を効率良く行うことも可能となる。
【0015】
また更に、クーラント液を作動流体とする動圧軸受によって上記砥石軸スピンドル及びドレッサ軸スピンドルの回転を支承するように構成すれば、ドレッシング作業時や研削作業時にクーラント液がロータリドレッサや砥石の周辺に飛散しても、これらスピンドルの回転を支承する軸受の耐久性には何ら問題がなく、クーラント液を充分に供給しながら研削作業やドレッシング作業を高速で行うことが可能となる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の研削加工装置を詳細に説明する。
図1は本発明の研削加工装置の第1実施例の概略を示すものである。同図において、符号1は砥石を回転自在に保持した研削加工ユニットであり、かかる砥石を高速で回転させながら図示外の被加工物に対して進退し、被加工物の被研削面に対して研削加工を行うようになっている。また、符号2はロータリドレッサ(砥石ドレッサ)を回転自在に保持したドレッシングユニットであり、所定の加工時間の経過毎に上記砥石がロータリドレッサに対して突き当てられ、上記砥石形状の修正及び砥粒の目立てを行うように構成されている。
【0017】
これら研削加工ユニット1及びドレッシングユニット2には加圧ポンプ3から高圧のクーラント液が供給されるように構成されており、かかるクーラント液を各ユニット1,2に内蔵されたタービンブレードに吹き付けることによって、上記砥石及びロータリドレッサが所定の回転数で駆動されるようになっている。加圧ポンプ3から供給されたクーラント液は先ずドレッシングユニット2へ供給され、かかるユニット2でロータリドレッサを回転駆動した後に、ドレッシングユニット2から研削加工ユニット1へ供給されて砥石を回転駆動するようになっている。また、ドレッシングユニット2から研削加工ユニット1へ送られるクーラント液の一部は流量調整弁4及び浮子式流量計5を介して加圧ポンプ3へ循環するようになっており、かかる流量調整弁の開閉度を調整することによって研削加工ユニットに供給されるクーラント液の流量を調整し、砥石の回転数を任意に調整し得るようになっている。
【0018】
また、図1において、符号6は加圧ポンプ3からドレッシングユニット2に供給されるクーラント液の圧力を調整する圧力調整バルブ、符号7は供給されるクーラント液の圧力を表示する圧力計、符号8は光学式センサ9を用いてロータリドレッサ及び砥石の回転数を計測する回転数計測器である。
【0019】
図2は上記研削加工ユニット1を示すものである。
同図において符号11は砥石軸スピンドルであり、その両端にはホルダ13,13を介して一対の研削加工用砥石12,12が固定されている。また、上記砥石軸スピンドル11にはタービンロータ(羽根車)14が固定されており、このタービンロータ14はラジアル動圧軸受15及び一対のスラスト動圧軸受16,16を介してハウジング17に支承されている。上記砥石12,12はこのタービンロータ14を両側から挟むように配置されており、砥石軸スピンドル11の両端に螺合する止めナット18によって軸方向に移動不能に固定されている。
【0020】
また、上記タービンロータ14は、上記ハウジング17に対して回転自在に支承される軸受部14aと、タービン翼19が立設されたタービン基部14bとから構成されており、かかるタービン翼19に高速で吹き付けられるクーラント液の速度ヘッドを利用して砥石12を高速で回転させることができるよう、該タービン翼19は所謂衝撃型に形成されている。一方、ハウジング17にはドレッシングユニット2から送られてきたクーラント液をタービン翼19へ導くための流路20が形成されており、かかる流路20の先端にはクーラント液を高速で噴出するためのノズル21が固定されている。そして、このノズル21から噴きだしたクーラント液が上記タービン翼19に当たってタービンロータ14を回転させるようになっている。
【0021】
一方、上記ラジアル動圧軸受15は上記タービンロータ14の軸受部14aと、この軸受部14aと所定の軸受隙間(例えば、5μm)を保持して上記ハウジング17に焼き嵌めされた外輪22とから構成されており、上記軸受部14aの周面にはヘーリング・ボーン状パターンを有する動圧発生用溝が形成されている。この動圧発生用溝はタービンロータ14が正回転したときに、軸受隙間に存在する潤滑流体を軸受部14aの両端方向へ排出する所謂ポンプアウト型に形成されている。
【0022】
また、上記スラスト軸受16は、所定の軸受隙間(例えば、5μm)を保持して上記外輪22の軸方向端面と上記砥石ホルダ13あるいは上記タービン基部14bとを対向させて構成されており、上記外輪22の軸方向端面にはスパイラル状パターンを有する動圧発生用溝が形成されている。この動圧発生用溝はタービンロータ14が正回転したときに、軸受隙間に存在する潤滑流体を外輪22の外周方向へ排出する所謂ポンプアウト型に形成されている。
【0023】
上記外輪22が焼き嵌めされたハウジング17の内周面には円周方向に沿ってリング状溝23が形成されており、このリング状溝23はハウジング17に穿設された潤滑流体通路24によって潤滑流体用タンク25(図1参照)と連通連結されている。また、上記外輪22には上記リング状溝23とラジアル動圧軸受15の軸受隙間を連通連結する吸入口26が半径方向に貫通しており、潤滑流体用タンク25に貯留されたクーラント液が潤滑流体通路24、リング状溝23及びこの吸入口26を通してをラジアル動圧軸受15の軸受隙間に導入されるようになっている。
【0024】
そして、この研削加工ユニットにおいては、ドレッシングユニットから送られてきたクーラント液がタービン翼19に噴きつけられ、砥石軸スピンドル11に固定されたタービンロータ14が回転すると、上記ラジアル軸受15及びスラスト軸受16の軸受隙間に流入したクーラント液に動圧が発生し、砥石軸スピンドル11はハウジング17や外輪22に対して非接触となってその回転を支承される。尚、図2中の黒塗り矢印はタービンロータ14を回転駆動するためのクーラント液の流動経路を、白抜き矢印はラジアル動圧軸受15及びスラスト動圧軸受16の軸受隙間に供給されるクーラント液の流動経路を示している。
【0025】
一方、図3は上記ドレッシングユニットを示すものである。
同図において、符号31は該ユニットのハウジング、符号32はドレッサ軸スピンドル、符号33はこのドレッサ軸スピンドル32の先端に装着されたロータリドレッサ、符号34は上記ドレッサ軸スピンドル32の後端に固定されたタービンロータ(羽根車)、符号35、36は上記ドレッサ軸スピンドル32をハウジング31に対して回転自在に支承するラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受、符号37は上記タービンロータ34を覆うように該ハウジング31の一端開口に固定されたエンドキャップである。
【0026】
先ず、上記ハウジング31は、ラジアル動圧軸受35及びスラスト動圧軸受36を収容する軸受ケース31aと、上記タービンロータ34を収容するタービンケース31bとから構成されており、これらを相互に螺合して円筒状に形成されている。また、上記軸受ケース31aにはラジアル動圧軸受35に対して潤滑流体を供給するための供給ポート41が貫通形成される一方、上記タービンケース31bの内周面にはタービンロータ34から排出されたクーラント液を回収するための凹溝42が形成されている。尚、上記軸受ケース31aの供給ポート41には高圧フィルタ44を介して上記加圧ポンプ3からクーラント液が供給されており(図1参照)、かかるクーラント液がラジアル動圧軸受35及びスラスト動圧軸受36の潤滑流体として使用されている。
【0027】
更に、上記エンドキャップ37はタービンケース31bの開口縁に螺合する円盤状に形成され、上記タービンケース31bと相俟ってタービン室51を形成している。このエンドキャップ37の中心には加圧タンク3から供給されたクーラント液をタービン室51に向けて噴き出す噴出ノズル52が嵌合しており、かかる噴出ノズル52の先端は僅かな隙間を介してドレッサ軸スピンドル32の後端と対向している。また、このエンドキャップ37にはクーラント液を上記噴出ノズル52に送り込むための供給ポート53が半径方向に貫通形成される一方、タービンケース31bの凹溝42によって回収されたクーラント液をハウジング1外、ひいては研削加工ユニットへ送り出すための排出ポート54が形成されている。
【0028】
一方、上記ドレッサ軸スピンドル32にはその軸方向に沿って導通孔61が貫通形成されており、上記噴出ノズル52から噴き出した駆動流体はこの導通孔61に吹き込まれるようになっている。また、タービンロータ34の固定位置には上記導通孔61と連通する駆動流体の噴出口62が開設されており、ドレッサ軸スピンドル32の後端から上記導通孔61に吹き込まれたクーラント液が、かかる噴出口62を通してタービンロータ34に吹き込まれるようになっている。尚、この噴出口62はドレッサ軸スピンドル32の円周方向の4ヵ所に等配されている。
【0029】
また、このドレッサ軸スピンドル32の回転を支承する上記ラジアル動圧軸受35及びスラスト動圧軸受36は、上記ドレッサ軸スピンドル32の外径に焼き嵌めで固定されたジャーナル部37と、このジャーナル部37を挟むようにして上記ドレッサ軸スピンドル32に固定された一対のスラスト板38,38と、上記ハウジング1aの内径に接着で固定されると共に、上記ジャーナル部37及び各スラスト板38と所定の軸受隙間を介して対向する軸受リング39とから構成されており、ドレッサ軸スピンドル32の回転に伴い上記軸受隙間に発生する高圧の流体潤滑膜によって、該ドレッサ軸スピンドル32を浮揚状態で支承するようになっている。
【0030】
ここで、上記ジャーナル部37は軸受リング39と相俟ってラジアル動圧軸受を構成しており、かかるジャーナル部37の外周面にはヘリングボーン状の動圧発生用溝(以下、ヘリングボーン溝)が形成されている。このヘリングボーン溝は軸受隙間に介在する潤滑流体を軸端方向へ付勢する所謂ポンプアウト型に形成されており、ドレッサ軸スピンドル32の回転に伴って潤滑流体を加圧し、ジャーナル部37と軸受リング39との間に流体潤滑膜を形成する。尚、上記軸受リング39の軸方向の中央には上記ラジアル動圧軸受の軸受隙間と軸受ケース31aに開設された潤滑流体の供給ポート41とを連通する供給流路40が開設されている。
【0031】
また、各スラスト板38は軸受リング39と相俟ってスラスト動圧軸受を構成しており、スラスト板38の軸受リング39との対向面にはスパイラル状の動圧発生用溝(以下、スパイラル溝)が形成されている。このスパイラル溝は軸受隙間に介在する潤滑流体をスラスト板38の外径方向へ付勢する所謂ポンプアウト型に形成されており、ドレッサ軸スピンドル32の回転に伴ってスラスト板38と軸受リング39との間に流体潤滑膜を形成する一方、かかる潤滑流体を軸受隙間から軸受外へと排出する。
【0032】
また、一対のスラスト板38,38のうち、一方のスラスト板38はロータリドレッサ33とジャーナル部37との間に、他方のスラスト板38はタービンロータ34とジャーナル部37との間に夫々挟み込まれて固定されており、ロータリドレッサ33及びタービンロータ34をドレッサ軸スピンドル32に装着すると各スラスト板38,38の位置決めがなされるようになっている。
【0033】
一方、上記タービンロータ34はセラミクス材から形成された円筒状の部材であり、その内径に接着された金属製スリーブを介してドレッサ軸スピンドル32の後端に螺合している。このタービンロータ34の軸方向の中央には4枚のタービンブレード43が形成されており、上記ドレッサ軸スピンドル32の噴出口62から噴き出された高圧のクーラント液がこれらタービンブレード43の間を内径から外径へ吹き抜けるようになっている。また、かかるタービンブレード43は加圧ポンプ3から圧送されてきたクーラント液の圧力ヘッドを利用してドレッサ軸スピンドル32に対して大きな回転トルクを与えることができるよう、反動型の遠心羽根としてスパイラル状に形成されている。
【0034】
そして、このドレッシングユニット2においては、加圧ポンプ3によって圧送された高圧のクーラント液をエンドキャップ37に形成された供給ポート53に送り込むと、かかるクーラント液が噴出ノズル52及びドレッサ軸スピンドル32を通してタービンロータ34内に吹き込まれ、タービンロータ34で発生した回転動力によってドレッサ軸スピンドル32が回転を開始する。
【0035】
一方、ドレッサ軸スピンドル32が回転を開始すると、それに伴って上記ラジアル動圧軸受35及びスラスト動圧軸受36の軸受隙間では潤滑流体が加圧され、各軸受隙間には高圧の流体潤滑膜が形成される。これにより、上記ドレッサ軸スピンドル32は回転抵抗や振動が殆ど作用しない浮揚状態の下、タービンロータ34でその回転を加速され、先端に保持したロータリドレッサ33と共に高速で回転する。尚、図3中の黒塗り矢印はタービンロータ34を回転駆動するためのクーラント液の流動経路を、白抜き矢印はラジアル動圧軸受35及びスラスト動圧軸受36の軸受隙間に供給されるクーラント液の流動経路を示している。
【0036】
以上のように構成された本実施例の研削加工装置においては、圧力調整バルブ6を適度に開いて高圧のクーラント液を加圧ポンプ3からドレッシングユニット2へ供給してやると、かかるドレッシングユニット2においては前述の如くドレッサ軸スビンドル32に装着されたロータリドレッサ33が回転を開始する一方、このドレッシングユニット2からクーラント液が供給される研削加工ユニット1では、砥石軸スピンドル11に装着された研削加工用砥石12が回転を開始し、一つの加圧ポンプ3でロータリドレッサ33と砥石12の双方を同時に回転駆動することができるものである。
【0037】
また、このときに上記流量調整弁4を操作してドレッシングユニット2から加圧ポンプ3へ循環するクーラント液の流量を調整することにより、かかるドレッシングユニット2から研削加工ユニット1へ供給されるクーラント液の流量が変化するので、砥石軸スピンドル11のタービン翼19に向けて噴射されるクーラント液の噴出速度が調整され、砥石12の回転数を流量調整弁の開閉度に応じて任意に調整することができるものである。
【0038】
図4は、加圧ポンプ3の供給圧力の変化に対するロータリドレッサ33の回転数及び砥石12の回転数の変化を示したグラフであり、加圧ポンプ3へ循環するクーラント液の流量を5L/minと7L/minに変化させた場合の夫々についての回転数を示している。このグラフから明らかなように、本実施例の研削加工装置では加圧ポンプ3から供給するクーラント液の圧力を高く設定した方が砥石12及びロータリドレッサ33の回転数を高めることができる。
【0039】
一方、図5はクーラント液の供給圧力を一定にした状態でドレッシングユニット2から加圧ポンプ3へ循環するクーラント液の流量を変化させ、かかる場合のロータリドレッサ33の回転数及び砥石12の回転数の変化を計測した結果を示すグラフである。このグラフから明らかなように、加圧ポンプ3へ循環するクーラント液の流量を増加させると、ロータリドレッサ33の回転数は増加する一方、砥石の回転数は低下する。
【0040】
従って、本実施例の研削加工装置では加圧ポンプ3によるクーラント液の供給圧力を圧力調整バルブ6で任意に調整し、また、ドレッシングユニット2から加圧ポンプ3へ循環するクーラント液の流量を流量調整弁4で任意に調整することにより、ロータリドレッサ33の回転数及び砥石12の回転数を任意に設定することができる。それ故、この研削加工装置ではロータリドレッサ33の周速に対する砥石12の周速の比率を示す値、すなわちドレス比を任意に調整することができ、砥石材質等に応じて該ドレス比を調整することにより、ドレッシング作業を効率良く行うことができるものである。
【0041】
尚、図1に示した上記実施例では一つの加圧ポンプから供給される高圧のクーラント液を用いて一対の研削加工ユニット及びドレッシングユニットのみを駆動するように構成したが、図6に示す如くドレッシングユニットから排出されるクーラント液を異なる複数の研削加工ユニット1に供給し、これら研削加工ユニットを同時に駆動するように構成することもできる。
【0042】
また、図7に示す如く一つの加圧ポンプに対して複数対の研削加工ユニット及びドレッシングユニットを接続し、これら研削加工ユニット及びドレッシングユニットの全てを一つの加圧ポンプで駆動するように構成することもできる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の研削加工装置によれば、一つの加圧ポンプから圧送した高圧流体を用いて砥石及びロータリドレッサの双方を回転駆動しているので、砥石軸スピンドル及びドレッサ軸スピンドルに対して個別に電動モータ等の駆動手段を設ける必要がなく、研削加工装置の構造を極めて簡易化することができる他、ロータリドレッサの回転数を砥石の回転数に見合う程度にまで容易に高速化することができるので、かかる砥石の修正、成形、目立てを効率良く行うことが可能となる。
【0044】
また、砥石軸スピンドル及びドレッサ軸スピンドルを高圧流体によって回転駆動しているので、これらスピンドルの回転駆動に電動モータを使用する必要がなく、ドレッシング作業や研削作業中におけるクーラント液が周辺に飛散しても、かかる飛散によってドレッシングユニットの耐久性が低下する懸念がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の研削加工装置の実施例の概略構成を示す図である。
【図2】 実施例に係る研削加工ユニットの構成を示す断面図である。
【図3】 実施例に係るドレッシングユニットの構成を示す断面図である。
【図4】 加圧ポンプの供給圧力と砥石及びロータリドレッサとの回転数の関係を示すグラフである。
【図5】 ドレッシングユニットから加圧ポンプへ循環するクーラント液の流量と砥石及びロータリドレッサの回転数との関係を示すグラフである。
【図6】 本発明の研削加工装置の第2実施例を示す図である。
【図7】 本発明の研削加工装置の第3実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…研削加工ユニット、2…ドレッシングユニット、3…加圧ポンプ、4…流量調整弁、5…浮子式流量計、6…圧力調整バルブ、7…圧力計、8…回転数計測器
Claims (3)
- 砥石が装着される砥石軸スピンドルを有すると共に、かかる砥石を回転させながら被加工物の研削加工を行う研削加工ユニットと、砥石ドレッサが装着されるドレッサ軸スピンドルを有すると共に、かかる砥石ドレッサを回転させ且つこれを適宜砥石に当接させながら該砥石形状の修正又は成形を行うドレッシングユニットとを備えた研削加工装置において、
高圧流体を圧送する加圧ポンプを設ける一方、かかる高圧流体の供給経路に沿って上記ドレッシングユニット及び研削加工ユニットをこの順番で直列に配置し、
上記ドレッサ軸スピンドルには高圧流体の供給によって回転する反動型羽根車を装着する一方、上記砥石軸スピンドルには高圧流体の供給によって回転する衝撃型羽根車を装着し、上記高圧流体を各羽根車に供給して、これらドレッサ軸スピンドル及び砥石軸スピンドルに装着された砥石及び砥石ドレッサの双方を回転駆動することを特徴とする研削加工装置。 - 請求項1記載の研削加工装置において、上記ドレッシングユニットから研削加工ユニットへ流れる高圧流体の流量を調整する流量調整弁を設けたことを特徴とする研削加工装置。
- 請求項1又は2に記載の研削加工装置において、上記砥石軸スピンドル及びドレッサ軸スピンドルは共にクーラント液を作動流体とした動圧軸受によってその回転を支承されていることを特徴とする研削加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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