JPH0987503A - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物

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JPH0987503A
JPH0987503A JP26805695A JP26805695A JPH0987503A JP H0987503 A JPH0987503 A JP H0987503A JP 26805695 A JP26805695 A JP 26805695A JP 26805695 A JP26805695 A JP 26805695A JP H0987503 A JPH0987503 A JP H0987503A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ポリカーボネートとゴム強化樹脂
とからなるポリカーボネート系樹脂組成物に関し、金型
や成形機の腐食が少なく、且つ成形加工時の着色の少な
いポリカーボネート系樹脂組成物を提供することを目的
とする。 【解決手段】 (A)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸
ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的
に塩素原子を含まないポリカーボネート5〜98重量部
と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重合体と共重合可
能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合して得られ
るグラフト重合体の製造過程において、該ゴム状重合体
にグラフト重合する該ビニル化合物の内、少なくとも一
種類が分子内にラジカル重合可能な二重結合を有する乳
化剤であるグラフト重合体と、ビニル重合体とからなる
ゴム強化樹脂95〜2重量部、とからなるポリカーボネ
ート系樹脂組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
とゴム強化樹脂とからなるポリカーボネート系樹脂組成
物に関し、詳しくは、金型や成形機の腐食が少なく、且
つ成形加工時の着色の少ないポリカーボネート系樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートとゴム強化樹脂とから
なる樹脂組成物、特にポリカーボネート/ABSアロイ
は、ポリカーボネートの短所である成形流動性や耐衝撃
強度の厚み依存性を改良できるため、現在、幅広い用途
に用いられ、近年はノート型パソコンや携帯電話等のハ
ウジング用途が近年増加している。しかしながら、ポリ
カーボネートとゴム強化樹脂とからなる樹脂組成物は、
成形加工時の着色が大きいため、外観を重視するハウジ
ング用途に用いる場合は、製品の色調が変動して製品収
率が低下する問題や、長期間連続成形を実施している
と、金型のガス抜き部に腐食が発生するために、製品の
表面光沢が減少したり、製品寸法が変化する問題があっ
た。
【0003】その為、これまでに、ポリカーボネートと
ゴム強化樹脂とからなる樹脂組成物、特にポリカーボネ
ート/ABSアロイの熱安定性を改善するために、多く
の試みがなされている。例えば、該樹脂組成物の押出あ
るいは成形加工時に種々の酸化防止剤を添加し、熱劣化
による着色を改善する方法(特開昭61−23640号
公報等)が提案されているが、上記問題の解決はできて
いなかった。
【0004】また、ポリカーボネート側からは、その多
くが、ポリカーボネートの共重合等によって該樹脂組成
物の機械的物性の改良を提案しているにすぎず、ポリカ
ーボネートとゴム強化樹脂とからなる樹脂組成物の上記
問題を解決する試みは、ほとんど行われていないのが現
状である。エステル交換法ポリカーボネートとゴム強化
樹脂とのアロイについては、例えば、特開平5−239
331号公報では、重合後の溶融状態にあるポリカーボ
ネートにABSを混合することで、溶融混合時の熱劣化
を防止して熱安定性に優れた樹脂組成物が提案されてい
るが、必ずしも上記問題の解決はできていなかった。
【0005】一方、ゴム強化樹脂の側から、ポリカーボ
ネートとゴム強化樹脂とからなる樹脂組成物の上記問題
を解決することも試みられている。一般に、ゴム強化樹
脂の代表であるABS樹脂等は、ポリブタジエンに代表
される共役ジエン系ゴムラテックスの存在下、アクリロ
ニトリルに代表されるシアン化ビニル単量体とスチレン
に代表される芳香族ビニル単量体をバッチ重合、セミバ
ッチ重合、連続重合のいずれかで乳化グラフト重合し、
その後凝固、脱水、乾燥、押出工程を経てつくられてい
る場合が多い。
【0006】この乳化グラフト重合では、ラテックスの
安定性を増し、凝固物の発生をおさえるために、一般的
に乳化グラフト重合工程で非重合性のカルボン酸金属
塩、硫酸金属塩等からなる乳化剤を添加する方法がとら
れている。しかし、非重合性乳化剤の使用は残留モノマ
ー回収工程での起泡の原因となるために、消泡剤の使用
を余儀なくされると共に、ポリカーボネートとの組成物
を加工する時には、残留乳化剤や消泡剤の影響で耐熱安
定性が低下することが知られている。その為、乳化グラ
フト重合時に特定の構造を有する乳化剤を用いる方法
(特開平3−2204号公報)が提案されている。しか
しながら、この方法においても、上記問題を解決できる
ものではなかった。以上のように、未だ上記の問題点は
解決しておらず、改善が強く望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
に対し、金型や成形機の腐食が少なく、且つ成形加工時
の着色の少ないポリカーボネートとゴム強化樹脂とから
なるポリカーボネート系樹脂組成物を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために、鋭意研究を重ねたの結果、塩素原子
含有量が特定量以下のポリカーボネートと分子内にラジ
カル重合可能な二重結合を有する特定の乳化剤を用いて
製造されたグラフト重合体からなるゴム強化樹脂とを組
み合わせることで、上記問題が解決できるという驚くべ
き事実を見い出し本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明は、(A)芳香族ジヒドロ
キシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて
製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネー
ト5〜98重量部と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状
重合体と共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフ
ト重合して得られるグラフト重合体の製造過程におい
て、該ゴム状重合体にグラフト重合する該ビニル化合物
の内、少なくとも一種類が分子内にラジカル重合可能な
二重結合を有する乳化剤であるグラフト重合体と、ビニ
ル重合体とからなるゴム強化樹脂95〜2重量部、とか
らなるポリカーボネート系樹脂組成物を提供するもので
ある。
【0010】以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明に用いられるポリカーボネート(A)は、芳香族
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交
換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカ
ーボネートである。
【0011】本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合
物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である(式
中、Arは二価の芳香族残基であり、例えば、フェニレ
ン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレンや、−Ar
1 −Y−Ar2 −で表される2価の芳香族基である。A
1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70
を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、
Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表
す。)
【0012】2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、
1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の
置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミ
ド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても
良い。
【0013】複素環式芳香族基の好ましい具体例として
は、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄
原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。2価の芳香
族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェ
ニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非
置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前
述のとおりである。2価のアルカン基Yは、例えば、下
記化1で示される有機基である。
【0014】
【化1】
【0015】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて
個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1
〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、
1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以
上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置
換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良
い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2で示されるものが挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2
−で示されるものであっても良い。(式中、Ar1 、A
2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO
−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、−C
ON(R1 )−などの2価の基を表す。ただし、R1
前述のとおりである。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化3で示されるものが挙げられる。
【0018】
【化3】 (式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述のとおりであ
る。)
【0019】本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化
合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香
族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノ
ールAが挙げられる。また、これら芳香族ジヒドロキシ
化合物は、塩素原子とアルカリまたはアルカリ土類金属
の含有量が少ない方が好ましく、出来れば実質的に含有
していないことが好ましい。本発明で用いられる炭酸ジ
エステルは、下記化4で表される。
【0020】
【化4】 (式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表
す。)
【0021】Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は
複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 におい
て、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない
他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、
アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっ
ても良い。Ar3 、Ar4 は同じものであっても良い
し、異なるものであっても良い。
【0022】1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例
としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピ
リジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以
上の置換基で置換されたものでも良い。好ましいAr3
及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5などが
挙げられる。
【0023】
【化5】
【0024】炭酸ジエステルの代表的な例としては、下
記化6で示される置換または非置換のジフェニルカーボ
ネート類を挙げる事ができる。
【0025】
【化6】
【0026】(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素
原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜
10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜
5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ
異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、
各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)。
【0027】このジフェニルカーボネート類の中でも、
非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネ
ート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低
級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジ
アリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単
な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカー
ボネートが好適である。
【0028】これらの炭酸ジエステル類は単独で用いて
も良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。ま
た、これらジアリールカーボネートは、塩素原子とアル
カリまたはアルカリ土類金属の含有量が少ない方が好ま
しく、出来れば実質的に含有していないことが好まし
い。
【0029】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重
合温度その他の重合条件及び得ようとするポリカーボネ
ートの分子量や末端比率によって異なり、特に限定され
ない。ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化
合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好まし
くは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜
1.5モルの割合で用いられる。また、本発明において
は、本発明の目的を損なわない範囲で、分岐構造を導入
するための芳香族多価ヒドロキシ化合物を併用してもよ
いし、末端変換や分子量調節のために芳香族モノヒドロ
キシ化合物を併用してもよい。
【0030】本発明のポリカーボネートの分子量は特に
限定されないが、一般に重量平均分子量で通常1000
〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜1
00000の範囲であり、特に好ましくは12000〜
80000の範囲にある。また、末端構造も特に限定さ
れない。
【0031】本発明のポリカーボネート(A)は実質的
に塩素原子を含まないものであり、具体的には、硝酸
銀溶液を用いた電位差滴定法もしくはイオンクロマト法
による塩素イオンの測定方法で、塩素イオンが0.5p
pm以下であり、同時に燃焼法による塩素原子の測定
方法で、塩素原子が検出限界の10ppm以下である。
好ましくは、塩素イオンが、上記測定法の検出限界以
下の0.1ppm以下であり、同時に、塩素原子が1
0ppm以下である。塩素原子が上記範囲より多い場
合、成形機素材を腐食しやすい傾向にあり、そのため鉄
イオンが本発明樹脂組成物に混入し、溶融時の着色が増
加する傾向にあり好ましくない。
【0032】本発明において、エステル交換法とは、上
記化合物を触媒の存在もしくは非存在下で、減圧下もし
くは/及び不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態
でエステル交換反応にて重縮合する方法をいい、その重
合方法、装置等には制限はない。例えば、攪拌槽型反応
器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二
軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、
自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤー
に沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板
型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせる
ことで容易に製造できる。
【0033】また、溶融状態でエステル交換反応を行い
プレポリマーを製造した後、固相状態で減圧下もしくは
/及び不活性ガスフロー下で重合度を高める固相重合法
でも製造できる。エステル交換の反応の温度は、通常5
0〜350℃、好ましくは100〜300℃の温度の範
囲で選ばれ、特に制限はない。一般に、上記範囲より高
い温度では、得られるポリカーボネートの着色が大きく
且つ熱安定性にも劣る傾向にある。また、上記範囲より
低い温度では、重合反応が遅く実用的でない。反応圧力
は、溶融重合中のポリカーボネートのの分子量によって
も異なり、数平均分子量が1000以下の範囲では、5
0mmHg〜常圧の範囲が一般に用いられ、数平均分子
量が1000〜2000の範囲では、3mmHg〜80
mmHgの範囲が、数平均分子量が2000以上の範囲
では、10mmHg以下、特に5mmHg以下が用いら
れる。
【0034】また、エステル交換法による重合は、触媒
を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるた
め、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒と
しては、この分野で用いられているものであれば特に制
限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及び
アルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリ
チウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラ
メチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素
化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級ア
ンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、
水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類
金属の水素化合物類;
【0035】リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアル
カリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシ
ド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシ
ド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(A
rはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類
金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウ
ム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカ
リ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フ
ェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、
ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチ
ル、ホウ酸トリフェニル、(R1 2 34 )NB
(R1 2 3 4 )または(R1 2 3 4 )PB
(R1 2 3 4 )で表されるアンモニウムボレート
類またははホスホニウムボレート類(R1 、R2
3 、R4 は前記化3の説明通り)などのホウ素の化合
物類;
【0036】酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラア
ルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エ
チル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲ
ルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキ
シド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの
化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアル
キルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリ
ブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と
結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合
物類;
【0037】酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、
鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなど
の鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニ
ウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物
類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン
の化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マン
ガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンの
アルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合
物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニ
ウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウム
アセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの
触媒を挙げる事ができる。
【0038】触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だ
けで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好
ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。
【0039】次に、本発明のゴム強化熱可塑性樹脂
(B)の組成および製造方法について述べる。本発明に
使用するゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリ
イソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン
共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体など
の共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、アク
リル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム
などであるが、好ましくは共役ジエン系ゴムのポリブタ
ジエンとブタジエン−スチレン共重合体およびブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体である。また、これらは
2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】ゴム強化熱可塑性樹脂組成物中のゴム状重
合体の含有量は5〜60重量%で、好ましくは10〜5
0重量%である。5重量%未満では耐衝撃性が得られ
ず、また60重量%を越えると成形加工時の流動性や光
沢が低下し好ましくない。ゴム強化熱可塑性樹脂組成物
中のゴム状重合体の好ましい粒子径については、マトリ
ックスになるビニル重合体の種類により異なるため特に
限定されないが、例えばABS樹脂の場合、粒子径が1
50〜600nmで、好ましくは200〜500nm、
さらに好ましくは250〜450nmである。粒子径が
150nmより小さいと耐衝撃性が得られず、また60
0nmを越えると光沢値が低下する。
【0041】本発明に用いるゴム状重合体粒子にグラフ
ト重合可能なビニル化合物としては、スチレン、主鎖ま
たは側鎖置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビ
ニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチルなどのアクリル酸エステルや同様な置換
体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタ
クリル酸などのアクリル酸類やN−フェニルナレイミ
ド、N−メチルマレイミドなどのマレイミド系単量体、
グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有単量
体なども使用可能である。またこれらは併用が可能であ
る。これら単量体のうち好ましくは芳香族ビニル化合
物、シアン化ビニル化合物である。
【0042】ここで言うビニル重合体とは、非晶性、結
晶性の限定はないが、好ましくは上記芳香族ビニル化合
物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルやメタ
クリル酸エステルを少なくとも1種類含むものである。
【0043】本発明におけるゴム強化熱可塑性樹脂組成
物の製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重
合で製造されたゴム状重合体ラテックスにビニル化合物
をグラフト重合させる乳化グラフト重合方式、ゴム状重
合体とビニル化合物を溶剤に溶かしグラフト重合させる
溶液重合法などがあり、連続式、バッチ式、セミバッチ
式いずれも可能である。また、上記の方法であらかじめ
高ゴム含量のグラフト重合体をつくり、後に塊状重合、
乳化重合や懸濁重合で製造したグラフト重合時に用いた
ビニル化合物を主成分とする熱可塑性樹脂を配合して目
的のゴム含有量にする方法もとられる。本発明において
は、乳化重合で製造されたゴム状重合体にビニル化合物
を開始剤、分子量調節剤等とともに連続的に添加する乳
化グラフト方式が好ましい。
【0044】本発明に使用する、分子内にラジカル重合
可能な二重結合を有する乳化剤(以下、重合性乳化剤と
略す)とは、化合物中に親水基および疎水基を有し、気
−液、液−液、固−液界面張力を低下させる能力のある
化合物のうち、化合物中に二重結合を1つ以上有し、共
役ジエン系ゴム、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル
化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合
物とラジカル重合可能なものを言う。重合性乳化剤の親
水基はアニオン性、ノニオン性、カチオン性のいずれで
も良いが、好ましくはアニオン性、さらに好ましくはノ
ニオン性、アニオン性両方の性質を有するものである。
【0045】乳化グラフト重合時に重合性乳化剤ととも
に非重合性乳化剤を用いても良いが、使用量はゴム由来
の非重合性乳化剤の合計が共役ジエン系ゴム100重量
部に対し4.0重量部以下にすべきである。4.0重量
部を越えると、ゴム強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性
の低下、剛性の低下、高温成形時の光沢の低下、成形時
の金型汚染や樹脂の着色の原因となり好ましくない。こ
こで言う非重合性乳化剤とは、一般に乳化重合用として
用いられる乳化剤でよく、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、
アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン
酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、
ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤があ
げられる。
【0046】本発明に使用する重合性乳化剤の例として
は、以下のものがあげられるが、これらにより限定され
るものではない。化7で表される、重合性乳化剤。
【0047】
【化7】
【0048】(式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)
アクリロイル基または(1−プロペニル)ビニル基を示
す。Yは水素、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ
金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1
〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫
酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは水素、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭
素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表さ
れるカルボン酸塩、または化8で表されるリン酸モノエ
ステル塩を示す。R1 は炭素数1〜18のアルキル基、
アルケニル基もしくはアラルキル基、R2 は水素または
炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基もしくはア
ラルキル基、R3 は水素またはプロペニル基、Aは炭素
数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、mは
1〜200の整数を示す。)
【0049】
【化8】
【0050】化7で表わされる重合性乳化剤の具体例と
しては、化9及び化10があげられる。
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】化11式で表される(メタ)アリルグリシ
ジルエーテル誘導体および(メタ)アクリルグリシジル
エステル誘導体。
【0054】
【化11】
【0055】(式中、Xは(メタ)アリル基または(メ
タ)アクリロイル基を示す。Yは水素、または−SO3
M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アン
モニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアン
モニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2
COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金
属)で表されるカルボン酸塩、または化8で表されるリ
ン酸モノエステル、または、化12で表される化合物を
示す。Zは炭素数8〜30のアルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキルアリー
ル基、置換アルキルアリール基、アラルキルアリール
基、置換アラルキルアリール基、アシル基または置換ア
シル基を示す。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または
置換アルキレン基、mは0〜100、nは0〜50の整
数を示す。)
【0056】
【化12】
【0057】化11の例として化13及び化14があげ
られる。
【0058】
【化13】 (式中、Yは化15を示す。)
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】化16で表されるコハク酸誘導体。
【0062】
【化16】
【0063】(式中、Xは(メタ)アリル基または(メ
タ)アクリロイル基を示す。B1 、B2 は次に表される
YまたはZを示し、B1 、B2 は異なるものである。Y
は、Mまたは−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒ
ドロキシアルキルアンモニウム)を示す。Zは、炭素数
8〜30のアルキル基またはアルケニル基を示す。Aは
炭素数2〜4のアルキレン基、置換基を有するアルキレ
ン基であり、m、nは0〜50の整数である。) 化16の具体例としては、化17があげられる。
【0064】
【化17】
【0065】化18で表される化合物。
【0066】
【化18】
【0067】(式中、Xは(メタ)アリル記または(メ
タ)アクリロイル基を示す。Yは水素、または−SO3
M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アン
モニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアン
モニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2
COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアル
キルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩を示す。R
1 、R3 は水素、または炭素数1〜25のアルキル基で
それぞれ同一であっても異なってもよく、R2 、R4
炭素数1〜25のアルキル基、ベンジル基、またはスチ
リル基を示し、それぞれ同一であっても異なってもよ
く、pは0〜2の整数を示す。Aは炭素数2〜4のアル
キレン基、置換基を有するアルキレン基であり、m、n
は0〜50の整数を示す。)化18の具体例としては、
化19があげられる。
【0068】
【化19】
【0069】化20で表される(メタ)アリルエーテル
誘導体および(メタ)アクリルエステル誘導体。
【0070】
【化20】
【0071】(式中、Xは(メタ)アリル基または(メ
タ)アクリロイル基を示す。Yは水素、またはメチル
基、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒド
ロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル
塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜
4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカル
ボン酸塩、または化8で表されるリン酸モノエステル塩
を示す。Zは、炭素数8〜30のアルキル基を示す。A
は炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン
基、mは0〜20、nは0〜50の整数を示す。) 化20の具体例としては化21があげられる。
【0072】
【化21】
【0073】化22で表されるジオール化合物。
【0074】
【化22】
【0075】(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基
であり、R1 は炭素数8〜24の炭化水素基であり、R
2 は水素またはメチル基であり、mおよびnはm+nが
0〜100の間の値となるようなそれぞれ0〜100の
数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシア
ルキルアンモニウムである。) 化22の具体例として、化23があげられる。
【0076】
【化23】
【0077】化24で表せる化合物。
【0078】
【化24】
【0079】(式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)
アリロキシ基または(メタ)アクリロイル基、(メタ)
アクリロイルオキシ基または化25を示す。Yは水素、
または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキ
シアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、
または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒ
ドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸
塩、または化8で表されるリン酸モノエステル、また
は、化12で表されるスルホコハク酸モノエステル塩を
示す。Zは炭素数6〜30の置換基を有してもよいアル
キレン基を示す。Aは炭素数2〜4のアルキレン基また
は置換アルキレン基、n、mは0〜50の整数を示
す。)。
【0080】
【化25】
【0081】化24の具体例として、化26が挙げられ
る。
【0082】
【化26】
【0083】これらの重合性乳化剤のうち、好ましくは
化7、化11、化16、化18で表される重合性乳化剤
であり、特に好ましくは化7で表される重合性乳化剤で
ある。化11で表される重合性乳化剤のうち、好ましい
構造は化13で表される重合性乳化剤であり、更に好ま
しい具体例としては化27が例示できる。
【0084】
【化27】
【0085】また化7で表される重合性乳化剤は、特に
好ましく、具体例としては下記化28が特に好ましい。
【0086】
【化28】
【0087】本発明によって得られた重合体ラテックス
は、通常無機系塩析剤により凝析し脱水回収される。用
いられる塩析剤に制限はないが、具体的には硫酸アル
ミ、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸等が挙げ
られる。脱水回収後に樹脂中に含まれる残留塩析剤由来
成分が少ないほど好ましい。
【0088】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、ポリカーボネート(A)2〜98重量部とゴム強化
樹脂(B)98〜2重量部の配合比からなっている。好
ましくは、(a)が5〜95、(B)が95〜5重量部
の範囲にあり、更に好ましくは、(A)が10〜90、
(B)が90〜10重量部の範囲にある。上記範囲よ
り、ポリカーボネート(A)が少ない場合には、ゴム強
化樹脂の耐熱性の改善が十分でなく、上記範囲より多い
場合には、ポリカーボネートの成形流動性の改善や耐衝
撃強度の厚み依存性の改善が十分ではない。最終的に、
組成物に要求される物性に応じて、配合比率は決定され
る。
【0089】また、ポリカーボネート(A)とゴム強化
樹脂(B)とから本発明の樹脂組成物を製造する方法
は、従来から公知の方法で行うことが出来、特に限定さ
れない。例えば、各成分をヘンシェルミキサー、スーパ
ーミキサー、ターンブルミキサー、リボンブレンダー等
で均一に混合した後、単軸押出機や二軸押出機、バンバ
リーミキサー等で溶融混練する方法や、溶融状態のポリ
カーボネートもしくはゴム強化樹脂に、混合槽、スタチ
ックミキサー、単軸押出機、二軸又は多軸押出機等を用
いてゴム強化樹脂もしくはポリカーボネートを混合する
方法等がある。また、その際、本発明の趣旨を妨げない
範囲で、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収
剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、他樹脂やゴム
等の重合体、顔料、染料、充填剤、強化剤、難燃剤等を
添加して用いても良い。
【0090】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、通常ポリカーボネートとゴム強化樹脂とからなるポ
リカーボネート系樹脂組成物、例えばポリカーボネート
/ABSアロイが用いられている用途に好適に用いら
れ、特に金型や成形機の腐食や成形加工時の着色が少な
いことから、成形品の外観が重要視されるノート型パソ
コンや携帯電話等のハウジング用途をはじめ、自動車用
途や電気電子用途等幅広い用途分野に好適に用いられ
る。
【0091】
【発明の実施の形態】以下実施例にて、本発明を更に詳
細に説明する。なお、本発明は実施例により限定される
ものではない。以下に用いる部数は重量部とする。各項
目の評価は、以下の方法で測定した。
【0092】(1)金型の腐食評価 ガス抜き部に、腐食評価用金属試験片を設置した金型を
用いて、成形温度260℃、金型温度65℃で7万ショ
ットの連続成形を実施した。該金属試験片を金属顕微鏡
を用いて観察し、腐食の有無を確認した。 ○:ほとんど腐食は認められない。 ×:腐食が認められる。
【0093】(2)成形加工時の着色評価 ペレットを成形温度260℃、金型温度65℃で、縦2
16mm×横12.6mm×厚さ3.2mm大きさの試
験片を連続成形し、連続成形時の着色(YI)を評価し
た。その後、260℃で成形機内に25分滞留させた
後、同様に成形し滞留後の試験片を得、連続成形時の色
調からの着色増加(△YI)を評価した。た。なお、Y
Iの測定には、スガ試験機社製SMカラーコンプュータ
ー、モデルSM−5を用いた。
【0094】(参考例1)ポリカーボネート(PCー
1)の製造 芳香族ジヒドロキシ化合物として塩素原子を実質的に含
有しないビスフェノールAを、炭酸ジエステルとして塩
素原子を実質的に含有しないジフェニルカーボネート
(対ビスフェノールAモル比1.10)を、触媒として
ビスフェノールAのジナトリウム塩(対ビスフェノール
Aモル比2.8×10-8)を用いて、溶融エステル交換
法でポリカーボネートを製造した。製造は、攪拌槽型反
応器3基とワイヤー付き多孔板型反応器2基からなる連
続重合装置を用い、段階的に温度と減圧度を上げながら
実施した。最高重合温度は250℃であった。得られた
芳香族ポリカーボネートには実質的に塩素原子は含まれ
ておらず、塩素イオン及び塩素原子共に検出限界以下で
あり、重量平均分子量が25100であった。
【0095】(参考例2)共役ジエン系ゴムラテックス
(Sー1)の製造 以下の組成の物質(固形分基準)を、内部を真空に脱気
した50リットルオートクレーブに投入し、65℃にて
重合を行った。 1,3−ブタジエン 97.0 部 アクリロニトリル 3.0 部 t−ドデシルメルカプタン 0.2 部 ロジン酸カリウム 0.7 部 牛脂ケン化石ケン 0.3 部 過硫酸ナトリウム 0.25部 水酸化ナトリウム 0.1 部 炭酸水素ナトリウム 0.35部 脱イオン水 60.0 部。
【0096】重合開始後10時間目から20時間目の間
に、以下の組成の溶液をオートクレーブに連続添加しな
がら重合を継続した。 ロジン酸カリウム 0.3 部 牛脂ケン化石ケン 0.1 部 過硫酸ナトリウム 0.1 部 水酸化ナトリウム 0.05部 炭酸水素ナトリウム 0.15部 脱イオン水 50.0 部。
【0097】連続添加終了後、重合系を80℃に昇温
し、重合開始後26時間目に冷却し重合を終了した。重
合後、未反応ブタジエンを除去した。電子顕微鏡写真に
より求めたラテックスの重量平均粒子径は0.28ミク
ロンであった。また、ラテックスのpHは10.1であ
った。
【0098】(参考例3)共役ジエン系ゴムラテックス
(Sー2、Sー3)の製造 表1に記載した以外は参考例2と同様に実施した。結果
をまとめて表1に記す。
【0099】
【表1】
【0100】(参考例4)ゴム強化樹脂(R1)の製造 共役ジエン系ゴムラテックスS−1(固形分)40部、
イオン交換水100部、ロジン酸カリウム0.3部を1
0リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、こ
の初期溶液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成か
らなる水溶液(C)と単量体混合液(E)、さらに表2
の(1)式で表される重合性乳化剤を含んだ水溶液
(D)を反応器に5時間にわたり連続的に添加した。添
加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結させた。
【0101】水溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部 水溶液(D)の組成は次の通りである。 重合性乳化剤 表2の(1)式 1.0部 イオン交換水 20部 単量体混合液(E)の組成は次の通りである。 アクリロニトリル 24部 スチレン 36部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部
【0102】次に、作成したグラフト重合体ラテックス
に、酸化防止剤を添加した後、硫酸アルミニウムを加え
凝固させ、水洗浄、脱水した後、加熱乾燥し、グラフト
共重合体粉末を得た。該グラフト共重合体粉末75部と
アクリロニトリル・スチレン共重合体25部、エチレン
ビスステアリルアミド1.0部をシリンダー温度が24
0℃に設定された2軸押出機(ZSK−25、W&P社
製)で混練造粒し、ゴム含有量30部のゴム強化樹脂を
得た。
【0103】(参考例5)ゴム強化樹脂(R2)の製造 参考例4で水溶液(D)中に含まれる重合性乳化剤を表
2に記したものにした以外は、参考例4と同様に行い、
ゴム強化樹脂を得た。
【0104】(参考例6)ゴム強化樹脂(R3)の製造 共役ジエン系ゴムラテックスS−2を40部(固形
分)、イオン交換水100部を10リットル反応器に入
れた後、炭酸ガスを反応器内でバブルし、pHを約7に
調整した。さらに気相部を窒素置換した後、この初期溶
液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成からなる水
溶液(C)と単量体混合液(E)、さらに式(37)で
表される重合性乳化剤を含んだ水溶液(D)を反応器に
5時間にわたり連続的に添加した。添加終了後、1時間
温度を保ち、反応を完結させた。
【0105】水溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部 水溶液(D)の組成は次の通りである。 重合性乳化剤 表2(1) 1.0部 イオン交換水 20部 単量体混合液(E)の組成は次の通りである。 アクリロニトリル 24部 スチレン 36部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 1.0部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部 このグラフト共重合体ラテックスをR1と同様に処理
し、ゴム強化樹脂を得た。
【0106】(参考例7)ゴム強化樹脂(R4)の製造 共役ジエン系ゴムラテックスS−3を40部(固形分)
を用い、その他の条件を表2に記した以外は参考例4と
同様に行い、ゴム強化樹脂を得た。このグラフト共重合
体ラテックスを参考例4と同様に処理し、ゴム強化樹脂
を得た。
【0107】(参考例8)ゴム強化樹脂(R5)の製造 共役ジエン系ゴムラテックスS−1(固形分)40部、
イオン交換水100部、ロジン酸カリウム0.3部を1
0リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、こ
の初期溶液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成か
らなる水溶液(C)と単量体混合液(E)、水溶液
(D)を反応器に5時間にわたり連続的に添加した。添
加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結させた。
【0108】水溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部 水溶液(D)の組成は次の通りである。 ロジン酸カリウム 2.0部 イオン交換水 20部 単量体混合液(E)の組成は次の通りである。 アクリロニトリル 24部 スチレン 36部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部 このグラフト共重合体ラテックスを参考例4と同様に行
い、ゴム強化樹脂を得た。
【0109】
【表2】
【0110】
【実施例1〜6、比較例1,2】ポリカーボネート
(A)として、参考例で製造したポリカーボネート(P
C−1)及び市販のホスゲン法ポリカーボネート(PC
−2)と、ゴム強化樹脂(B)として、参考例で製造し
たR−1〜R−5とを表3に掲げる組成(単位は重量
部)でブレンドし、シリンダー温度が240℃に設定さ
れた2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で混練造
粒し、ペレットを得て、評価を行った。評価結果を表3
に示す。本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、金
型腐食性及び成形加工時の着色安定性に優れている。
【0111】
【表3】
【0112】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、金型腐食性及び成形加工時の着色安定性に優れてお
り、成形品の外観が重要視されるノート型パソコンや携
帯電話等のハウジング用途をはじめ、自動車用途や電気
電子用途等幅広い用途分野に好適に用いることができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸
    ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的
    に塩素原子を含まないポリカーボネート2〜98重量部
    と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重合体と共重合可
    能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合して得られ
    るグラフト重合体の製造過程において、該ゴム状重合体
    にグラフト重合する該ビニル化合物の内、少なくとも一
    種類が分子内にラジカル重合可能な二重結合を有する乳
    化剤であるグラフト重合体と、ビニル重合体とからなる
    ゴム強化樹脂98〜2重量部、とからなるポリカーボネ
    ート系樹脂組成物。
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