JP3663701B2 - 制電性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネートとゴム強化熱可塑性樹脂とからなり、持続性帯電防止能を有し、かつ熱安定性に優れた制電性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂組成物に帯電防止能を付与する方法としては、ポリアルキレンオキシドのような吸水性の化合物や帯電防止剤等を、熱可塑性樹脂に練り込む方法や界面活性剤等を成型品表面に塗布する方法などが一般に行われている。しかし、いずれの方法においても充分な帯電防止性能は実現されていない。
【0003】
また、ポリカーボネートとゴム強化熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物、特にポリカーボネート/ABSアロイは、ポリカーボネートの短所である成形流動性や耐衝撃強度の厚み依存性を改良できるため、現在、幅広い用途に用いられ、近年はノート型パソコンや携帯電話等のハウジング用途が増加している。しかしながら、ポリカーボネートとゴム強化熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物は、成形加工時の着色が大きいため、外観を重視するハウジング用途に用いる場合は、製品の色調が変動して製品収率が低下する問題や、長期間連続成形を実施していると、金型のガス抜き部に腐食が発生するために、製品の表面光沢が減少したり、製品寸法が変化する問題があった。
【0004】
これに対応するために、ポリカーボネートとゴム強化熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物、特にポリカーボネート/ABSアロイの熱安定性を改善するために多くの試みがなされている。例えば、該樹脂組成物の押出あるいは成形加工時に種々の酸化防止剤を添加し、熱劣化による着色を改善する方法(特開昭61−23640号公報等)が提案されているが、上記問題の解決はできていなかった。
【0005】
また、ポリカーボネート側からの解決策は、その多くが、ポリカーボネートの共重合等によって該樹脂組成物の機械的物性の改良を提案しているにすぎず、ポリカーボネートとゴム強化熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物の上記問題を解決する試みは、ほとんど行われていないのが現状である。エステル交換法ポリカーボネートとゴム強化樹脂とのアロイについては、例えば、特開平5−239331号公報では、重合後の溶融状態にあるポリカーボネートにABSを混合することで、溶融混合時の熱劣化を防止して熱安定性に優れた樹脂組成物が提案されているが、必ずしも上記問題の解決はできていなかった。
【0006】
一方、ゴム強化熱可塑性樹脂の側から、ポリカーボネートとゴム強化樹脂とからなる樹脂組成物の上記問題を解決することも試みられている。一般に、ゴム強化樹脂の代表であるABS樹脂等は、ポリブタジエンに代表される共役ジエン系ゴムラテックスの存在下、アクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル単量体とスチレンに代表される芳香族ビニル単量体をバッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれかで乳化グラフト重合し、その後凝固、脱水、乾燥、押出工程を経てつくられている場合が多い。この乳化グラフト重合では、ラテックスの安定性を増し、凝固物の発生をおさえるために、一般的に乳化グラフト重合工程で非重合性のカルボン酸金属塩、硫酸金属塩等からなる乳化剤を添加する方法がとられている。
【0007】
しかし、非重合性乳化剤の使用は残留モノマー回収工程での起泡の原因となるために、消泡剤の使用を余儀なくされると共に、ポリカーボネートとの組成物を加工する時には、残留乳化剤や消泡剤の影響で耐熱安定性が低下することが知られている。その為、乳化グラフト重合時に特定の構造を有する乳化剤を用いる方法(特開平3−2204号公報)が提案されている。しかしながら、この方法においても、上記問題を解決できるものではなかった。
以上のように、未だ上記の問題点は解決されておらず、改善が強く望まれているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に対し、金型や成形機の腐食が少なく、且つ成形加工時の着色の少ないポリカーボネートとゴム強化熱可塑性樹脂とからなる制電制樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネート5〜98重量部と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重合体と共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合して得られるグラフト重合体と、ビニル重合体を含むゴム強化熱可塑性樹脂95〜2重量部、および(A)と(B)の合計100重量部に対して(C)ポリアミドイミドエラストマー0.5〜30重量部とからなる制電性樹脂組成物に関する。
【0010】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明に用いられるポリカーボネート(A)は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネートである。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)
【0011】
芳香族基Arは、好ましくは例えば、−Ar1 −Y−Ar2 −で示される2価の芳香族基である(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0012】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記一般式で示される有機基である。
【0013】
【化1】
Figure 0003663701
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記一般式で示されるものが挙げられる。
【0014】
【化2】
Figure 0003663701
(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2 −で示されるものであっても良い。
(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記一般式で示されるものが挙げられる。
【0015】
【化3】
Figure 0003663701
(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述のとおりである。)
【0016】
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。また、これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、塩素原子とアルカリまたはアルカリ土類金属の含有量が少ない方が好ましく、出来れば実質的に含有していないことが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる炭酸ジエステルは、下記一般式で表される。
【0018】
【化4】
Figure 0003663701
(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3 及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記一般式などが挙げられる。
【0019】
【化5】
Figure 0003663701
【0020】
炭酸ジエステルの代表的な例としては、下記一般式で示される置換または非置換のジフェニルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0021】
【化6】
Figure 0003663701
(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
【0022】
このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。
これらの炭酸ジエステル類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらジアリールカーボネートは、塩素原子とアルカリまたはアルカリ土類金属の含有量が少ない方が好ましく、出来れば実質的に含有していないことが好ましい。
【0023】
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件及び得ようとするポリカーボネートの分子量や末端比率によって異なり、特に限定されない。ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
また、本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、分岐構造を導入するための芳香族多価ヒドロキシ化合物を併用してもよいし、末端変換や分子量調節のために芳香族モノヒドロキシ化合物を併用してもよい。
【0024】
本発明のポリカーボネートの分子量は特に限定されないが、一般に重量平均分子量で通常1000〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜100000の範囲であり、特に好ましくは12000〜80000の範囲にある。また、末端構造も特に限定されない。
【0025】
本発明のポリカーボネート(A)は実質的に塩素原子を含まないものであり、具体的には、(1)硝酸銀溶液を用いた電位差滴定法もしくはイオンクロマト法による塩素イオンの測定方法で、塩素イオンが0.5ppm以下であり、同時に(2)燃焼法による塩素原子の測定方法で、塩素原子が検出限界の10ppm以下である。好ましくは、(1)塩素イオンが、上記測定法の検出限界以下の0.1ppm以下であり、同時に、(2)塩素原子が10ppm以下である。塩素原子が上記範囲より多い場合、成形機素材を腐食しやすい傾向にあり、そのため鉄イオンが本発明樹脂組成物に混入し、溶融時の着色が増加する傾向にあり好ましくない。
【0026】
本発明において、エステル交換法とは、上記化合物を触媒の存在もしくは非存在下で、減圧下もしくは/及び不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法をいい、その重合方法、装置等には制限はない。例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせることで容易に製造できる。また、溶融状態でエステル交換反応を行いプレポリマーを製造した後、固相状態で減圧下もしくは/及び不活性ガスフロー下で重合度を高める固相重合法でも製造できる。
【0027】
エステル交換の反応の温度は、通常50〜350℃、好ましくは100〜300℃の温度の範囲で選ばれ、特に制限はない。一般に、上記範囲より高い温度では、得られるポリカーボネートの着色が大きく且つ熱安定性にも劣る傾向にある。また、上記範囲より低い温度では、重合反応が遅く実用的でない。反応圧力は、溶融重合中のポリカーボネートのの分子量によっても異なり、数平均分子量が1000以下の範囲では、50mmHg〜常圧の範囲が一般に用いられ、数平均分子量が1000〜2000の範囲では、3mmHg〜80mmHgの範囲が、数平均分子量が2000以上の範囲では、10mmHg以下、特に5mmHg以下が用いられる。
【0028】
また、エステル交換法による重合は、触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;
【0029】
リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1 2 3 4 )NB(R1 2 3 4 )または(R1 2 3 4 )PB(R1 2 3 4 )で表されるアンモニウムボレート類またははホスホニウムボレート類(R1 、R2 、R3 、R4 は前述の説明通り)などのホウ素の化合物類;
【0030】
酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;
【0031】
酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0032】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。
【0033】
本発明のゴム強化熱可塑性樹脂(B)の組成および製造方法について述べる。本ゴム強化熱可塑性樹脂はゴム状重合体にグラフト重合可能なビニル化合物をグラフト重合させて得ることができるが、この重合過程において同時に重合されるビニル重合体が含まれていてもかまわない。また、ビニル重合体を同時または別に重合して配合してもよい。
【0034】
本発明に使用するゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などの共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴムなどであるが、好ましくは共役ジエン系ゴムのポリブタジエンとブタジエン−スチレン共重合体およびブタジエン−アクリロニトリル共重合体である。また、これらは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴム状重合体の含有量は5〜60重量%で、好ましくは10〜50重量%である。5重量%未満では耐衝撃性が得られず、また60重量%を越えると成形加工時の流動性や光沢が低下し好ましくない。
ゴム強化熱可塑性樹脂組成物中のゴム状重合体の好ましい粒子径については、マトリックスになるビニル重合体の種類により異なるため特に限定されないが、例えばABS樹脂の場合、粒子径が150〜600nmで、好ましくは200〜500nm、さらに好ましくは250〜450nmである。粒子径が150nmより小さいと耐衝撃性が得られず、また600nmを越えると光沢値が低下する。
【0036】
本発明に用いるゴム状重合体粒子にグラフト重合可能なビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有化合物があげられるが、好ましくは、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物であり、さらに好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ブチルアクリレートである。
これらのビニル化合物は単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
ゴム強化熱可塑性樹脂(B)に含むことのできるビニル重合体とは、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系化合物、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有化合物があげられるが、好ましくは、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物であり、さらに好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ブチルアクリレートからなる重合体である。 これらのビニル化合物は単独あるいは2種以上を組み合わせたり、共重合して用いることができる。
【0038】
本発明におけるゴム強化熱可塑性樹脂の製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重合で製造されたゴム状重合体ラテックスにビニル化合物をグラフト重合させる乳化グラフト重合方式、および、乳化グラフト重合と溶液重合や懸濁重合を組み合わせた、二段重合法などが例示される。これらは、連続式、バッチ式、セミバッチ式いずれも可能である。また、上記の方法であらかじめ高ゴム含量のグラフト重合体をつくり、後に塊状重合、乳化重合や懸濁重合で製造したグラフト重合時に用いたビニル化合物を主成分とする熱可塑性樹脂を配合して目的のゴム含有量にする方法もとられる。
【0039】
本発明においては、乳化重合で製造されたゴム状重合体にビニル化合物を開始剤、分子量調節剤等とともに連続的に添加する乳化グラフト方式が好ましい。
また、重合時のpHにも特に限定はないが、中性付近(pH7〜9)がグラフト反応の面から好ましい。
【0040】
本発明において使用する、分子内にラジカル重合可能な二重結合を有する乳化剤(以下、重合性乳化剤と略す)とは、化合物中に親水基および疎水基を有し、気−液、液−液、固−液界面張力を低下させる能力のある化合物のうち、化合物中に二重結合を1つ以上有し、特に、共役ジエン系ゴム、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物とラジカル重合可能なものを言う。重合性乳化剤の親水基はアニオン性、ノニオン性、カチオン性のいずれでも良いが、好ましくはアニオン性、さらに好ましくはノニオン性、アニオン性両方の性質を有するものである。
【0041】
乳化グラフト重合時に重合性乳化剤とともに非重合性乳化剤を用いても良いが、使用量はゴム由来の非重合性乳化剤の合計が共役ジエン系ゴム100重量部に対し4.0重量部以下にすべきである。4.0重量部を越えると、ゴム強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の低下、剛性の低下、高温成形時の光沢の低下、成形時の金型汚染や樹脂の着色の原因となり好ましくない。ここで言う非重合性乳化剤とは、一般に乳化重合用として用いられる乳化剤でよく、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤があげられる。
【0042】
本発明に使用する重合性乳化剤の例としては、以下のものがあげられるが、これらにより限定されるものではない。
下記(1)式で表される重合性乳化剤、
【0043】
【化7】
Figure 0003663701
式中、R1 は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R2 は水素または炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R3 は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、nは1〜200の整数を示す。
Xは(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基または(1−プロペニル)ビニル基を示す。
Yは水素、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩、または下記(1’)式で表されるリン酸モノエステル塩を示す。
【0044】
【化8】
Figure 0003663701
【0045】
(1)式で表される重合性乳化剤の具体例としては、下記(5)〜(8)式があげられる。
【0046】
【化9】
Figure 0003663701
【0047】
【化10】
Figure 0003663701
【0048】
下記(2)式で表される(メタ)アリルグリシジルエーテル誘導体および(メタ)アクリルグリシジルエステル誘導体、
【0049】
【化11】
Figure 0003663701
式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロイル基を示す。
Yは水素、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属)で表されるカルボン酸塩、または(1’)式で表されるリン酸モノエステル、または、(1”)式で表される化合物を示す。
Zは炭素数8〜30のアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキルアリール基、置換アルキルアリール基、アラルキルアリール基、置換アラルキルアリール基、アシル基または置換アシル基を示す。
Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、mは0〜100、nは0〜50の整数を示す。
【0050】
【化12】
Figure 0003663701
【0051】
(2)式の例として下記(9)〜(15)式があげられる。
【0052】
【化13】
Figure 0003663701
(Y1 は下記(11’)式を示す。)
【0053】
【化14】
Figure 0003663701
【0054】
下記(3)式で表されるコハク酸誘導体、
【0055】
【化15】
Figure 0003663701
式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロイル基を示す。
1 、B2 は次に表されるYまたはZを示し、B1 、B2 は異なるものである。
Yは、Mまたは−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)を示す。
Zは、炭素数8〜30のアルキル基またはアルケニル基を示す。
Aは炭素数2〜4のアルキレン基、置換基を有するアルキレン基であり、m、nは0〜50の整数である。
【0056】
(3)式の具体例としては、下記式(16)〜(19)があげられる。
【0057】
【化16】
Figure 0003663701
【0058】
下記(4)式で表される化合物、
【0059】
【化17】
Figure 0003663701
式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロイル基を示す。
Yは水素、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩を示す。
1 、R3 は水素、または炭素数1〜25のアルキル基でそれぞれ同一であっても異なってもよく、R2 、R4 は炭素数1〜25のアルキル基、ベンジル基、またはスチリル基を示し、それぞれ同一であっても異なってもよく、pは0〜2の整数を示す。
Aは炭素数2〜4のアルキレン基、置換基を有するアルキレン基であり、m、nは0〜50の整数を示す。
【0060】
(4)式の具体例としては、下記式(20)、(21)があげられる。
【0061】
【化18】
Figure 0003663701
【0062】
下記(22)式で表される(メタ)アリルエーテル誘導体および(メタ)アクリルエステル誘導体、
【0063】
【化19】
Figure 0003663701
式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロイル基を示す。
Yは水素、またはメチル基、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩、または式(1’)で表されるリン酸モノエステル塩を示す。
Zは、炭素数8〜30のアルキル基を示す。
Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、mは0〜20、nは0〜50の整数を示す。
【0064】
式(22)の具体例としては下記式(23)、(24)があげられる。
【0065】
【化20】
Figure 0003663701
【0066】
下記式(25)で表されるジオール化合物、
【0067】
【化21】
Figure 0003663701
式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、R1 は炭素数8〜24の炭化水素基であり、R2 は水素またはメチル基であり、mおよびnはm+nが0〜100の間の値となるようなそれぞれ0〜100の数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムである。
【0068】
式(25)の具体例として、下記式(26)があげられる。
【0069】
【化22】
Figure 0003663701
【0070】
下記式(27)で表せる化合物、
【0071】
【化23】
Figure 0003663701
式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)アリロキシ基または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基または下記式(27’)を示す。
Yは水素、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩、または式(1’)で表されるリン酸モノエステル、または、式(1”)で表されるスルホコハク酸モノエステル塩を示す。
Zは炭素数6〜30の置換基を有してもよいアルキレン基を示す。
Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、n、mは0〜50の整数を示す。
【0072】
【化24】
Figure 0003663701
式(27)の具体例として、下記式(28)〜(30)があげられる。
【0073】
【化25】
Figure 0003663701
【0074】
これらの重合性乳化剤のうち、好ましくは(1)式、(2)式、(3)式、(4)式で表される重合性乳化剤であり、特に好ましくは(1)式で表される重合性乳化剤である。
(2)式で表される重合性乳化剤のうち、好ましい構造は(9)式および(11)式で表される重合性乳化剤であり、(9)式の更に好ましい具体例としては(31)〜(34)式が、(11)式の更に好ましい具体例としては(35)式、(36)式が例示できる。
【0075】
【化26】
Figure 0003663701
【0076】
また(1)式で表される重合性乳化剤は、特に好ましく、具体例としては下記(37)〜(41)式が特に好ましい。
【0077】
【化27】
Figure 0003663701
【0078】
本発明によって得られた重合体ラテックスは、通常無機系塩析剤により凝析し脱水回収される。用いられる塩析剤に制限はないが、具体的には硫酸アルミ、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸等があげられる。脱水回収後に樹脂中に含まれる残留塩析剤由来成分が少ないほど好ましい。
【0079】
本発明で用いる(C)成分のポリアミドイミドエラストマーとしては、(a)カプロラクタム、(b)三価または四価のポリカルボン酸、及び(c)ポリオキシエチレングリコール叉はポリオキシエチレングリコールを主体とするポリオキシアルキレングリコールとの混合物から成り、しかも、(a)成分と(b)成分とからハードセグメントとなるポリアミドイミドが得られ、これらがソフトセグメントである(c)成分のグリコールとエステル結合で連結されてマルチブロック型の共重合体となる。
【0080】
この(b)成分としては、アミノ基と反応して少なくとも1つのイミド環を形成しうる三価または四価の芳香族ポリカルボン酸、あるいはこれらの酸無水物が用いられる。
(b)成分として用いる三価のトリカルボン酸としては、具体的には、1,2,4−トリメット酸、1,2,5−ナフタレントリカルボン酸、2,6,7−ナフタレントリカルボン酸、3,3’,4−ジフェニルトリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,4−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4−トリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4−トリカルボン酸などが挙げられる。
【0081】
また、四価のテトラカルボン酸としては、具体的にはピロメリット酸、ジフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ベンゾフェノン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ジフェニルスルホン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸などが挙げられる。
これらのポリカルボン酸は、グリコール成分(c)に対して実質上等モル、すなわち、0.9〜1.1倍モルの範囲で用いられる。
【0082】
ハードセグメントであるポリアミドイミドは、エラストマーの耐熱性、強度、硬度、ポリアミドイミドエラストマーを混練する熱可塑性樹脂との相溶性に寄与するものであり、このエラストマー中のポリアミドイミド含有量は、15〜70重量%であることが必要である。この含有量が15%重量未満ではエラストマーの強度が低くなり、ポリアミドイミドエラストマーを熱可塑性樹脂に混練したとき、衝撃強度が低くなるので好ましくないし、70重量%を超えると相溶性が悪くなったり、帯電防止効果が低くなったりするので好ましくない。
【0083】
また、ポリアミドイミドの数平均分子量は、500以上、3000以下であることが好ましく、より好ましくは500以上、2000以下である。ポリアミドイミドの数平均分子量が500未満となると融点が低くなり、耐熱性が低下するし、また3000を超えると混練する熱可塑性樹脂との相溶性が低くなるので好ましくない。
【0084】
耐熱性を向上させるため、ポリアミドイミドに更にイミド環を導入するのに(d)ジアミンを併用する場合には、前記ポリカルボン酸はグリコール成分(c)とジアミン成分(d)の合計モル数に対して0.9〜1.1倍モルで用いる。
この(d)成分のジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミンなどが挙げられる。この使用量はグリコール成分(c)の1倍モル以下とすることが好ましく、これよりも多く用いると均質なエラストマーが得られにくくなり、混練する熱可塑性樹脂との相溶性が低下するので好ましくない。
【0085】
ポリアミドイミドエラストマー中の(c)成分としては、ポリオキシエチレングリコールあるいはポリオキシエチレングリコールとポリオキシエチレングリコール以外のポリオキシアルキレングリコールとの混合物が用いられる。
使用するポリオキシエチレングリコールの数平均分子量は、特に制限はないが、500〜5000の範囲内であるのが好ましい。500より小さいと、エラストマーの成分にもよるが、融点が低くなったりして耐熱性が不足してくることがあるので好ましくない。また、5000を超えると、強靭なエラストマーを形成しにくくなり、熱可塑性樹脂に混練したときに、衝撃強度の低下や剛性の低下などが生じることがあるので好ましくない。
【0086】
ポリオキシエチレングリコールと併用することのできるポリオキシアルキレングリコールとしては、グリコール成分の50重量%未満で、数平均分子量が500〜5000のポリオキシテトラメチレングリコール、変性ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどを用いることができる。
【0087】
変性ポリオキシテトラメチレングリコールとしては、通常のポリオキシテトラメチレングリコールの−(CH2 4 −O−の一部を−R−O−で置き換えたものが挙げられる。ここで、Rは炭素数2〜10のアルキレン基であり、例えば、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。変性量については特に制限はないが、通常3〜50重量%の範囲で選ばれる。また、この変性量や前記アルキレン基の種類は、熱可塑性樹脂に混練したものの要求特性、例えば低温耐衝撃性、帯電防止性、耐熱性などによって適宜選ばれる。
【0088】
この変性ポリオキシテトラメチレングリコールは、例えばヘテロポリ酸を触媒とするテトラヒドロフランとジオールとの共重合や、ジオール叉はジオールの縮合物である環状エーテルとブタンジオールとの共重合などによって製造することができる。
【0089】
ポリアミドイミドエラストマーの製造法に関しては、均質なアミドイミドエラストマーが製造できる方法であればどのような方法でもよく、例えば、次の方法などが用いられる。
カプロラクタム成分(a)、芳香族ポリカルボン酸成分(b)及びグリコール成分(c)とを、(b)成分と(c)成分が実質上等モルになる割合で混合し、生成する重合体中の水分含有量を0.1〜1重量%に保ちながら、150〜300℃、より好ましくは180〜280℃で重合する方法である。本方法では、脱水縮合させる際に、反応温度を段階的に昇温させることもできる。
【0090】
この際、一部のカプロラクタムは未反応で残るが、これは減圧下に留去して反応混合物から除く。この未反応のカプロラクタムを除いた後の反応混合物は、必要に応じて減圧下200〜300℃、より好ましくは230〜280℃で後重合することによりさらに重合させることができる。
この反応方法では脱水縮合の過程でエステル化とアミド化を同時におこさせることにより、粗大相分離することを防止し、これにより均質で透明なエラストマーを生成させる。これがポリアミドイミドエラストマーを熱可塑性樹脂に混練した場合に、優れた相溶性を発揮し、良好な帯電防止性、機械的特性、表面光沢などをもたらす要因の1つでもあると考えられる。
【0091】
エステル化反応とカプロラクタムの重合とを同時に起こさせ、しかもそれぞれの反応速度をコントロールして、透明性を有し、かつ均質なエラストマーを得るためには、生成する水を系外に除去して、反応系の水分含有量を0.1〜1重量%の範囲に保持して重合させるのが好ましい。この水分含有量が1重量%を超えるとカプロラクタムの重合が優先して粗大相分離を生じ、一方、0.1重量%未満ではエステル化が優先してカプロラクタムが反応せず、所望の組成のエラストマーが得られない。この水分含有量はエラストマーに望まれる物性に応じて前記範囲内で適宜選ばれる。
【0092】
また、この反応では、所望に応じ、反応の進行に伴い反応系中の水分含有量を漸次減少させるようにしてもよい。この水分含有量のコントロールは、例えば反応温度、不活性ガスの導入流量、減圧度のような反応条件の制御や反応器構造の変更によって行うことがでる。
【0093】
ポリアミドイミドエラストマーの重合度は、必要に応じて任意に変えることができるが、メタクレゾール中0.5%(重量/容量)で30℃で測定した相対粘度が1.5以上になるようにするのが好ましい。1.5より低いと、機械的物性を十分に発現することができないし、熱可塑性樹脂に混錬した場合に、機械的物性が不足することがある。好ましい相対粘度は1.6以上である。
【0094】
ジアミン(d)を併用する場合に、1段で反応させる方法と2段で反応させる方法のいずれかで行うことができる。前者はカプロラクタム(a)、ポリカルボン酸成分(b)、グリコール成分(c)、及びジアミン成分(d)を同時に仕込み、反応させる方法である。また、後者は、ポリカルボン酸成分(b)とジアミン成分(d)を先に反応させ、次いでカプロラクタム(a)とグリコール成分(c)とを合わせて反応させる方法である。
【0095】
ポリアミドイミドエラストマーを製造する際に、エステル化触媒を重合促進剤として用いることができる。
この重合促進剤としては、例えばリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などのリン化合物;テトラブチルオルソチタネートなどのテトラアルキルオルソチタネート;ジブチルスズラウレートなどのスズ系触媒;酢酸マンガンなどのマンガン系触媒;三酸化アンチモンなどのアンチモン系触媒;酢酸鉛などの鉛系触媒などが好適である。触媒の添加時期は重合初期でもよいし、また重合中期でもよい。
【0096】
また、得られたポリアミドイミドエラストマーの熱安定性を高めるために、各種の耐熱老化防止剤、酸化防止剤などの安定剤を用いることができ、これらは重合の初期、中期、末期のどの段階で添加してもよい。
この耐熱安定剤としては、例えばN,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシケイ皮酸アミド)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)などの各種ヒンダードフェノール類;N,N’−ビス(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)などの芳香族アミン類;塩化銅、ヨウ化銅などの銅塩;ジラウリルチオジプロピオネートなどのイオウ化合物やリン化合物などが挙げられる。
【0097】
本発明において、()有機電解質または無機電解質を、本発明の樹脂と併用することにより、帯電防止性能が著しく向上する。
該有機電解質としては、酸性基を有する有機化合物及びその金属塩、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩等が挙げられる。該酸性基を有する有機化合物及びその金属塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸とホルマリンの縮合物、ポリスチレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、ラウリルスルホン酸等のアルキルスルホン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸等の有機カルボン酸、亜リン酸ジフェニル、リン酸ジフェニル等の有機リン酸及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0098】
遊離酸の形でも効果を発現するが、好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩の形で用いた方がよく、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩等が好ましい。
有機アンモニウム塩としては、例えば、トリメチルオクチルアンモニウムブロミド、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩が挙げられ、有機ホスホニウム塩としては、例えば、アミルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド等の四級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0099】
また、無機電解質としては、例えば、AgNO3 、BeSO4 、CaCl2 、Ca(NO3 2 、CdCl2 、Cd(NO3 2 、CoCl2 、CrCl2 、CsCl、CuCl2 、Cu(NO3 2 、CuSO4 、FeCl2 、KBr、KH2 PO4 、KSCN、KNO3 、LiCl、LiOH、LiNO3 、MgCl2 、Mg(NO3 2 、MgSO4 、MnCl2 、MnSO4 、NH4 Cl、NH4 NO3 、(NH4 2 SO4 、NaBr、Na2 CO3 、NaH2 PO4 、NaNO3 、NiSO4 、Pb(NO3 2 、PrCl3 、RbCl、RbNO3 、Zn(NO3 2 、ZnSO4 等が挙げられる。
【0100】
ポリカーボネート(A)とゴム強化熱可塑性樹脂(B)の割合は、必要とする機械的強度、剛性、成形加工性、耐熱性に応じて決められ、(A)が5〜98重量部、(B)は2〜95重量部の範囲にあることが必要である。好ましくは、成分(A)が20〜80重量部、成分(B)が20〜80重量部であり、さらに好ましくは、成分(A)が25〜75重量部、成分(B)が75〜25重量部である。
【0101】
(C)ポリアミドイミドエラストマーの配合量は、(A)ポリカーボネートと(B)ゴム強化熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、0.5〜30重量部であり、好ましくは、3〜20重量部である。0.5重量部未満では帯電防止性が不足し、30部を越えると樹脂が柔軟になり、機械的物性が劣る。
【0102】
(D)有機電解質または無機電解質の配合量は、(A)ポリカーボネートと(B)ゴム強化熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは、0.1〜5重量部である。0.01重量部未満では帯電防止効果が充分発現せず、10重量部を越えると機械的物性の低下、金型腐食、モールドデポジットの発生等を生じる。
【0103】
また、本発明の樹脂組成物に対し、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、難燃剤、着色剤または、ガラスファイバー、ガラスフレーク、カーボンファイバー、タルク、マイカ等の無機フィラーを加えることは任意である。
さらに、これらの熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の成型方法は、押し出し成形、圧縮成型、射出成形、ガスアシスト成形等があり、特に限定されない。成形品の例としては、パソコン等の筐体、キーボード等が挙げられる。
【0104】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は実施例により限定されるものではない。以下に用いる部数は重量部とする。
【0105】
(ポリカーボネート樹脂の製法)
(PC−1)
芳香族ジヒドロキシ化合物として塩素原子を実質的に含有しないビスフェノールAを、炭酸ジエステルとして塩素原子を実質的に含有しないジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.10)を、触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩(対ビスフェノールAモル比2.8×10-8)を用いて、溶融エステル交換法でポリカーボネートを製造した。製造は、攪拌槽型反応器3基とワイヤー付き多孔板型反応器2基からなる連続重合装置を用い、段階的に温度と減圧度を上げながら実施した。最高重合温度は250℃であった。
得られたポリカーボネートには実質的に塩素原子は含まれておらず、ヒドロキシ基末端比率は72%、重量平均分子量が22300であった。
(PC−2)
ホスゲン法で製造したポリカーボネート樹脂で重量平均分子量は、22500であった。
【0106】
(共役ジエン系ゴムの製法):
(ゴムラテックス(S−1))
以下の組成の物質(固形分基準)を、内部を真空に脱気した50リットルオートクレーブに投入し、65℃にて重合を行った。
1,3−ブタジエン 97.0 部
アクリロニトリル 3.0 部
t−ドデシルメルカプタン 0.2 部
ロジン酸カリウム 0.7 部
牛脂ケン化石ケン 0.3 部
過硫酸ナトリウム 0.25部
水酸化ナトリウム 0.1 部
炭酸水素ナトリウム 0.35部
脱イオン水 60.0 部
【0107】
重合開始後10時間目から20時間目の間に、以下の組成の溶液をオートクレーブに連続添加しながら重合を継続した。
ロジン酸カリウム 0.3 部
牛脂ケン化石ケン 0.1 部
過硫酸ナトリウム 0.1 部
水酸化ナトリウム 0.05部
炭酸水素ナトリウム 0.15部
脱イオン水 50.0 部
連続添加終了後、重合系を80℃に昇温し、重合開始後26時間目に冷却し重合を終了した。重合後、未反応ブタジエンを除去した。電子顕微鏡写真により求めたラテックスの重量平均粒子径は0.28ミクロンであった。また、ラテックスのpHは10.1であった。結果を表1に記す。
【0108】
ゴム強化樹脂R−1〜3は以下の方法によって得た。
(R−1)
ゴムラテックスS−1(固形分)40部、イオン交換水100部、ロジン酸カリウム0.3部を10リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、この初期溶液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成からなる水溶液(C)と単量体混合液(E)、さらに式(37)で表される重合性乳化剤を含んだ水溶液(D)を反応器に5時間にわたり連続的に添加した。添加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結させた。
水溶液(C)の組成は次の通りである。
硫酸第一鉄 0.005部
ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部
エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部
イオン交換水 50部
【0109】
水溶液(D)の組成は次の通りである。
重合性乳化剤 式(37) 1.0部
イオン交換水 20部
単量体混合液(E)の組成は次の通りである。
アクリロニトリル 24部
スチレン 36部
t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部
クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部
次に、作成したグラフト重合体ラテックスに、酸化防止剤を添加した後、硫酸アルミニウムを加え凝固させ、水洗浄、脱水した後、加熱乾燥し、グラフト共重合体粉末(GRCと称す)を得た。
【0110】
(R−2)
R−1で水溶液(D)中に含まれる重合性乳化剤を表2に記したものにした以外は、R−1と同様に重合した。
【0111】
(R−3)
ゴムラテックスS−1(固形分)40部、イオン交換水100部、ロジン酸カリウム0.3部を10リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、この初期溶液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成からなる水溶液(C)と単量体混合液(E)、水溶液(D)を反応器に5時間にわたり連続的に添加した。添加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結させた。
水溶液(C)の組成は次の通りである。
硫酸第一鉄 0.005部
ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部
エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部
イオン交換水 50部
【0112】
水溶液(D)の組成は次の通りである。
ロジン酸カリウム 2.0部
イオン交換水 20部
単量体混合液(E)の組成は次の通りである。
アクリロニトリル 24部
スチレン 36部
t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部
クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部
【0113】
(ビニル重合体(T−1))
共重合体T−1中の組成は、IRスペクトルより、アクリロニトリル40重量%、スチレン60重量%、またメチルエチルケトン中で測定した極限粘度(共重合体T−1、0.617重量%中、30℃)は0.41であった。
(ポリアミドイミドエラストマー)
日精化学工業(株)社製ポリアミドイミドエラストマー
(アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ)
東京化成工業(株)社製ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ハード型)
(その他の添加剤)
EBSはエチレンビスステアリルアミドである。
【0114】
【表1】
Figure 0003663701
【0115】
【表2】
Figure 0003663701
【0116】
【実施例】
実施例1〜9、比較例1〜6
以上のように調製した樹脂を表3〜5に掲げる組成(単位は重量部)でブレンドし、シリンダー温度が240℃に設定された2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で混練造粒し、ペレットを得て、以下の評価を行った。
なお、本発明の実施例における測定方法は以下の通りである。
(ポリカーボネート樹脂の特性)
(1)重量平均分子量
ゲルパーミエーション クロマトグラフィー(GPC)にて測定した。
カラム:ポリスチレンゲル、溶媒:THF。
【0117】
(物性評価方法)
(2)IZOD衝撃強度
ペレットを成形温度260℃、金型温度65℃で成形し、試験片を得た。試験は、ASTM−D256に基づき、1/2インチ×1/4インチ×5/2インチのノッチ付き試験片にて実施した。(単位はKg・cm/cm)
(3)滞留IZOD衝撃強度
ペレットを260℃で成形機内に40分滞留させ、その後金型温度65℃で成形し、試験片を得た。試験は、ASTM−D256にもとに、1/2インチ×1/4インチ×5/2インチのノッチ付き試験片にて実施した。(単位はKg・cm/cm)
【0118】
(4)滞留着色度
ペレットを成形温度260℃、金型温度65℃で成形し、参照試験片とした。続いて、260℃で成形機内に30分滞留させ、同様に成形し試験片を得た。
試験片:縦216mm×横12.6mm×厚さ3.2mm
試験は、スガ試験機社製SMカラーコンプューター、モデルSM−5を用い、参照試験片に対する該試験片のイエローインデックス(滞留前のサンプルのYI)−(滞留後のサンプルのYI)(ΔYI)の測定を行った。サンプルの測定位置は中央部とした。
(5)表面抵抗率
1/8インチ厚の平板を用い、室温23℃、湿度50%RH雰囲気下で測定した。測定には、東亜電波工業(株)社製の極絶縁計SM−10E型を用いた。(単位はΩ/□)
これらの結果を表3〜4にまとめる。
【0119】
【表3】
Figure 0003663701
【0120】
【表4】
Figure 0003663701
【0121】
実施例および比較例より次のことが明らかである。
該グラフト共重合体を用いてなるゴム強化熱可塑性樹脂とエステル交換法で合成した該ポリカーボネート樹脂との制電性樹脂組成物(実施例1〜9)は、いずれも耐衝撃性(IZOD衝撃強度)に優れ、滞留時の着色及び衝撃強度、分子量の低下が抑えられ、機械的強度とリサイクル牲に優れている。
【0122】
【発明の効果】
本発明は、ゴム強化熱可塑性樹脂の遊離残留乳化剤が配合するポリカーボネート樹脂へ拡散することが極めて少なく、熱可塑性樹脂組成物の熱分解を起こしにくい、また、ポリカーボネートも熱的安定性が高い。その結果、混練時、成形加工時の樹脂の熱劣化が抑えられ、機械的強度と、リサイクル性に優れる制電性樹脂組成物を得ることができる。

Claims (3)

  1. (A)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネート5〜98重量部と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重合体と共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合して得られるグラフト重合体と、ビニル重合体を含むゴム強化熱可塑性樹脂95〜2重量部、および(A)と(B)の合計100重量部に対して、(C)ポリアミドイミドエラストマー0.5〜30重量部とからなる制電性樹脂組成物。
  2. (A)ポリカーボネートと(B)ゴム強化熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(D)有機電解質または無機電解質の中から選ばれた少なくとも1種の電解質0.01〜10重量部を含む請求項1に記載の制電性樹脂組成物。
  3. (B)のゴム強化樹脂が、ゴム状重合体に、該ゴム状重合体と共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合して得られるグラフト重合体の製造過程において、該ゴム状重合体にグラフト重合する該ビニル化合物の内、少なくとも一種類が分子内にラジカル重合可能な二重結合を有する乳化剤であるグラフト重合体と、ビニル重合体とからなるゴム強化熱可塑性樹脂である、請求項1または2に記載の制電性樹脂組成物。
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