JP3333077B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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JP3333077B2
JP3333077B2 JP26936395A JP26936395A JP3333077B2 JP 3333077 B2 JP3333077 B2 JP 3333077B2 JP 26936395 A JP26936395 A JP 26936395A JP 26936395 A JP26936395 A JP 26936395A JP 3333077 B2 JP3333077 B2 JP 3333077B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネートとゴム強化樹脂とからなる芳香族ポリカーボネー
ト樹脂組成物に関し、詳しくは、高分子量芳香族ポリカ
ーボネートを配合した分子量の異なる芳香族ポリカーボ
ネートの混合物とゴム強化樹脂とからなる耐薬品性、塗
装性、シート成形、ブロー成形などの成形加工性及び色
調や耐衝撃性に優れ、かつ成形加工時の安定性に優れた
新規な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは機械特性、電
気特性及び耐熱性に優れているが、比較的高い軟化温度
を有するために、成形加工性に劣っている。その為、こ
の欠点を改良するため、成形性に優れたゴム強化樹脂、
例えば、ABS樹脂を配合して成形加工性を改良するこ
とが知られている(特公昭38−15225号公報
等)。その結果、ポリカーボネートとABSとの混合物
は、携帯電話やパソコンのハウジングなどの広範な分野
で使用されるようになっている。しかしながら、これら
組成物に対しては、塗装性や耐衝撃性の改善、シート成
形やブロー成形などの成形加工性の改善、更に、成形時
に色調や耐衝撃性、塗装性が低下する等の成形加工時の
安定性の改善が強く望まれていた。
【0003】これらの欠点を改良するため、いくつかの
検討がなされている。例えば、特開平2−129260
号公報では、芳香族ポリカーボネートとして、重量平均
分子量が35,000以上の芳香族ポリカーボネートを
用ることで、芳香族ビニル化合物系樹脂とからなる組成
物の耐衝撃性を向上させた組成物が提案されている。ま
た、特開昭63−43949号公報では、芳香族ポリカ
ーボネートとして極限粘度の異なる2種類のポリカーボ
ネートの混合物を用いて成形加工性と耐衝撃性のバラン
スを改良する方法が提案されている。しかしながら、こ
れらの方法では、耐衝撃性や成形性の問題点はやや改善
できるものの、成形加工時の安定性の問題は改善されて
いない。
【0004】また、芳香族ポリカーボネートとゴム強化
樹脂とからなる樹脂組成物の成形加工時の安定性を改善
する試みも多くなされている。例えば、通常の分子量の
芳香族ポリカーボネートを用いた該樹脂組成物の押出あ
るいは成形加工時に種々の酸化防止剤を添加して、熱劣
化による着色を改善する方法(特開昭61−23640
号公報等)が提案されているが、その効果は十分ではな
く、また、通常の分子量のポリカーボネートを用いてい
るため、塗装性や耐衝撃性の改善や、シート成形やブロ
ー成形などの成形加工性の改善などの上記問題の解決は
できていなかった。
【0005】一方、ゴム強化樹脂の側から、芳香族ポリ
カーボネートとゴム強化樹脂とからなる樹脂組成物の加
工安定性を解決することも試みられている。一般に、ゴ
ム強化樹脂の代表であるABS樹脂等は、ポリブタジエ
ンに代表される共役ジエン系ゴムラテックスの存在下、
アクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル単量体と
スチレンに代表される芳香族ビニル単量体をバッチ重
合、セミバッチ重合、連続重合のいずれかで乳化グラフ
ト重合し、その後凝固、脱水、乾燥、押出工程を経て製
造されている場合が多い。この乳化グラフト重合では、
ラテックスの安定性を増し、凝固物の発生を抑えるため
に、一般的に乳化グラフト重合工程で非重合性のカルボ
ン酸金属塩、硫酸金属塩等からなる乳化剤を添加する方
法がとられている。しかし、非重合性乳化剤の使用は残
留モノマー回収工程での起泡の原因となるために、消泡
剤の使用を余儀なくされると共に、芳香族ポリカーボネ
ートとの組成物を加工する場合には、残留乳化剤や消泡
剤の影響で耐熱安定性が低下することが知られている。
その為、乳化グラフト重合時に特定の構造を有する乳化
剤を用いる方法(特開平3−2204号公報)が提案さ
れている。しかしながら、この方法においても、加工安
定性を十分に解決できるものではなかった。以上のよう
に、未だ上記の如き種々の問題点は解決されておらず、
その改善が強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
に対し、塗装性や耐衝撃性及びシート成形やブロー成形
などの成形加工性に優れ、更に、成形時の色調や耐衝撃
性、塗装性の低下が少ない成形加工安定性に優れたの芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、芳香族ポ
リカーボネートとゴム強化樹脂とからなる樹脂組成物の
上記問題を解決するために、鋭意研究を重ねたの結果、
特定の分子量範囲の芳香族ポリカーボネートを混合した
芳香族ポリカーボネートと、分子内にラジカル重合可能
な二重結合を有する特定の乳化剤を用いて製造されたグ
ラフト重合体からなるゴム強化樹脂とを組み合わせるこ
とで、上記問題の全てを解決できるという驚くべき事実
を見い出し本発明に到達した。
【0008】すなわち本発明は、(1)(A)(a1)
重量平均分子量が45,000以上である高分子量芳香
族ポリカーボネート30〜90重量部と(a2)重量平
均分子量7,000〜16,500である低分子量芳香
族ポリカーボネート70〜10重量部とからなる芳香族
ポリカーボネート2〜98重量部と、(B)ゴム状重合
体に、該ゴム状重合体と共重合可能な1種以上のビニル
化合物をグラフト重合して得られるグラフト重合体の製
造過程において、該ゴム状重合体にグラフト重合する該
ビニル化合物の内、少なくとも一種類が分子内にラジカ
ル重合可能な二重結合を有する乳化剤であるグラフト重
合体と、ビニル重合体とからなるゴム強化樹脂98〜2
重量部、とからなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物、であり、(2)(A)(a1)重量平均分子量が4
5,000以上である高分子量芳香族ポリカーボネート
10〜90重量部と(a2)重量平均分子量7,000
〜16,500である低分子量芳香族ポリカーボネート
10〜90重量部と(a3)重量平均分子量17,00
0〜35,000である中分子量芳香族ポリカーボネー
ト10〜50重量部とからなる芳香族ポリカーボネート
2〜98重量部と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重
合体と共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフト
重合して得られるグラフト重合体の製造過程において、
該ゴム状重合体にグラフト重合する該ビニル化合物の
内、少なくとも一種類が分子内にラジカル重合可能な二
重結合を有する乳化剤であるグラフト重合体と、ビニル
重合体とからなるゴム強化樹脂98〜2重量部、とから
なる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、であり、
(3)(A)芳香族ポリカーボネートが、(a2)の重
量平均分子量/(a1)の重量平均分子量の比が0.0
3〜0.37の範囲であることを特徴とする上記(1)
及び(2)項記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物、を提供するものである。
【0009】以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明で用いられるポリカーボネートは、下記の一般式
で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
【化1】 (式中、Arは、二価の芳香族残基であり、例えば、フ
ェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレンや、
次の一般式で表されるものが挙げられる。)
【0010】
【化2】 (式中、Ar1 及びAr2 は、それぞれアリーレン基で
ある。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、
ピリジレン等の基を表し、Yは次の一般式で表されるア
ルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原
子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、
アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、アル
コシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数で
あり、下段の一般式で示される化合物中の水素原子は、
低級アルキル基、アリール基、ハロゲン等で置換されて
も良い。)
【0013】また、次の一般式で示される二価の芳香族
残基を共重合体成分として含有していても良い。
【化5】 〔式中、Ar1 、Ar2 は前記とと同じ基であり、Zは
単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、−S
2 −、−CO2 −、−CON(R1 )−、(R1 は前
記と同じ基)等の二価の基である。〕
【0014】これら二価の芳香族残基の例としては、下
記の一般式で表されるもの等が挙げられる。
【化6】
【0015】
【化7】 (式中、R5 及びR6 は、それぞれ、水素、ハロゲン、
1 〜C10アルキル基、C1 〜C10アルコキシ基、C1
〜C10シクロアルキル基またはフェニル基であり、m及
びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R5
それぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2
〜4の場合は各R6 はそれぞれ同一でも異なるものであ
っても良い。)
【0016】なかでも、下記一般式で表される基の化合
物が好ましい一例である。
【化8】
【0017】特に、上記の一般式をArとする繰り返し
ユニットを85モル%以上含むものが好ましい。また、
本発明に用いられるポリカーボネートは、三価以上の芳
香族残基を共重合成分として含有していても良い。ポリ
マー末端の分子構造は特に限定されないが、ヒドロキシ
基、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基
から選ばれた1種以上の末端基を結合することができ
る。アリールカーボネート末端基は、下記一般式で表さ
れる。
【0018】
【化9】 (式中、Ar3 は一価の芳香族残基であり、該芳香環残
基は置換されていても良い。)
【0019】これら一般式で示される具体例としては、
例えば、下記の一般式で示される化合物が挙げられる。
【化10】
【0020】アルキルカーボネート末端基は、下記一般
式で表される基である。
【化11】 (式中、R7 は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アル
キル基)
【0021】これら一般式で示される具体例としては、
例えば下記一般式で示される化合物等が挙げられる。
【化12】
【0022】これらの中で、フェニルカーボネート基、
p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフ
ェニルカーボネート等が好ましく用いられる。また、ヒ
ドロキシ基末端と他の末端との比率は、特に限定され
ず、用途に応じて1:1000〜1000:1の範囲で
用いられる。また、本発明に用いられる芳香族ポリカー
ボネート中の微量成分、例えば、塩素、アルカリ金属化
合物、鉄化合物、ジヒドロキシ化合物、オリゴマー等の
量は特に限定されないが、一般に少ない方が好ましい。
【0023】本発明に用いられる芳香族ポリカーボネー
トは、(a1)高分子量芳香族ポリカーボネートと、
(a2)低分子量芳香族ポリカーボネートとを組み合わ
せて使用するか、又はその混合物に(a3)中分子量芳
香族ポリカーボネートを更に組み合わせて使用する。
【0024】(a1)高分子量芳香族ポリカーボネート
の分子量は、重量平均分子量が45,000以上であ
り、好ましくは45,000〜500,000の範囲で
あり、更に好ましくは45,000〜300,000の
範囲である。重量平均分子量が上記範囲より小さいと、
塗装性や耐衝撃性の改良効果が小さくなり好ましくな
い。重量平均分子量が500,000を越えると、次第
に成形加工性の改良効果が低下する傾向にあり好ましく
ない。また、(a1)中のゲル化物は少ない方が好まし
い。
【0025】(a2)低分子量芳香族ポリカーボネート
分子量は、重量平均分子量が7,000〜16,500
であり、好ましくは、10,000〜16,500の範
囲にある。重量平均分子量が上記範囲より小さいと、耐
衝撃性や熱変形温度の改良効果が小さく、上記範囲より
大きいと、成形加工性の改良効果が小さくなり、共に好
ましくない。
【0026】(a3)中分子量芳香族ポリカーボネート
は、重量平均分子量が17,000〜35,000の範
囲にあり、(a1)と(a2)とからなる組成物に、成
形加工性をあまり低下させずに、耐衝撃性を更に改良す
るために添加される。本発明においては、(a2)の重
量平均分子量/(a1)の重量平均分子量の比が0.0
3〜0.37の範囲にあることが、成形加工性を改良す
るために特に好ましい。
【0027】従来より、分子量の高い芳香族ポリカーボ
ネートを用いてゴム強化樹脂との組成物を製造する場
合、芳香族ポリカーボネートの分子量が高いほど、また
含有量が多いほど成形加工性が低下するとされていた。
しかし、(a1)の分子量が非常に高いポリカーボネー
トを30〜90重量部と多量に配合しても、(a2)の
分子量が(a1)に対して大きく異なるもの、すなわち
(a2)の重量平均分子量/(a1)の重量平均分子量
の比が0.03〜0.37の範囲であるものを用いた場
合にはその分子量の組み合わせによって、メルトフロー
インデックス測定時のSR値(オリフィス径と組成物の
径の比)が高くなり、加熱溶融時の特性が大幅に改善さ
れるため、ブロー成形性やシート成形性などの成形加工
性に優れた組成物となる。
【0028】しかも、塗装性や耐衝撃性に優れる組成物
が得られる。該比が上記範囲を越えると、低分子量成分
(a2)の効果が低下し成形加工性にの改善効果が小さ
くなる。また、上記範囲より小さい場合は、耐衝撃性や
塗装性の改善効果が小さくなる。
【0029】上記特定の分子量を持つ(a1)、(a
2)及び(a3)の使用割合は、(A)成分が(a1)
と(a2)からなる場合には、(a1)の量は30〜9
0重量部、好ましくは40〜90重量部、(a2)の量
は70〜10重量部、好ましくは60〜10重要部であ
る。(a1)が上記範囲未満では、耐衝撃性及び塗装性
が低下し、上記範囲を越えると成形加工性が低下し好ま
しくない。(a2)が上記範囲未満では成形加工性の改
良効果が小さく、上記範囲を越えると耐衝撃性及び塗装
性が低下し好ましくない。また、(a3)成分を使用す
る場合には、(a1)の量は10〜90重量部、(a
2)の量は10〜90重量部、(a3)の量は10〜5
0重量部である。
【0030】本発明における重量平均分子量(Mw)の
測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GP
C)を用いて行い、測定条件は次の条件によった。テト
ラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、標準
単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子
量較正曲線を用いて求めた。 MPC=0.3591MPS 1.0388 (MPCはポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレ
ンの分子量)
【0031】これらポリカーボネートは、公知の方法で
製造できる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物と
カーボネート前駆体と反応せしめる公知の方法、例え
ば、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを水酸化ナト
リウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させ
る界面重合法(ホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジフェニルカーボネートと反応させるエステル交換
法(溶融法)、結晶化カーボネートプレポリマーを固相
重合する方法(特開平1−158033号公報、特公平
1−271426号公報、特公平3ー68627号公報
等)等の方法により製造できる。
【0032】次に、本発明のゴム強化熱可塑性樹脂
(B)の組成および製造方法について述べる。本発明に
使用するゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリ
イソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン
共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体など
の共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、アク
リル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム
などが挙げられるが、好ましくは共役ジエン系ゴムのポ
リブタジエンとブタジエン−スチレン共重合体およびブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体である。また、こ
れらは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】ゴム強化熱可塑性樹脂組成物中のゴム状重
合体の含有量は5〜60重量%で、好ましくは10〜5
0重量%の範囲である。5重量%未満では耐衝撃性を得
ることができず、また60重量%を越えると成形加工時
の流動性や光沢値が低下し好ましくない。
【0034】ゴム強化熱可塑性樹脂組成物中のゴム状重
合体の好ましい粒子径については、マトリックスになる
ビニル重合体の種類により異なるため特に限定されない
が、例えばABS樹脂の場合、粒子径が150〜600
nmで、好ましくは200〜500nm、さらに好まし
くは250〜450nmの範囲である。粒子径が150
nmより小さいと耐衝撃性が得られず、また600nm
を越えると光沢値が低下する。
【0035】本発明に用いるゴム状重合体粒子にグラフ
ト重合可能なビニル化合物としては、スチレン、主鎖ま
たは側鎖置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビ
ニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチルなどのアクリル酸エステルや同様な置換
体のメタクリル酸エステル等が挙げられ、さらにアクリ
ル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類やN−フェニル
ナレイミド、N−メチルマレイミドなどのマレイミド系
単量体、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基
含有単量体なども使用可能である。またこれらは併用が
可能である。これら単量体のうち好ましくは芳香族ビニ
ル化合物、シアン化ビニル化合物が用いられる。
【0036】ここで言うビニル重合体とは、非晶性、結
晶性等のの限定はないが、好ましくは上記芳香族ビニル
化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルや
メタクリル酸エステルを少なくとも1種類含むものであ
る。
【0037】本発明におけるゴム強化熱可塑性樹脂組成
物の製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重
合で製造されたゴム状重合体ラテックスにビニル化合物
をグラフト重合させる乳化グラフト重合方式、ゴム状重
合体とビニル化合物を溶剤に溶かしグラフト重合させる
溶液重合法などがあり、連続式、バッチ式、セミバッチ
式いずれの方式も可能である。また、上記の方法であら
かじめ高ゴム含量のグラフト重合体をつくり、後で塊状
重合、乳化重合や懸濁重合で製造したグラフト重合時に
用いたビニル化合物を主成分とする熱可塑性樹脂を配合
して目的のゴム含有量にする方法もとられる。
【0038】本発明においては、乳化重合で製造された
ゴム状重合体にビニル化合物を開始剤、分子量調節剤等
とともに連続的に添加する乳化グラフト方式が好まし
い。本発明において使用する分子内にラジカル重合可能
な二重結合を有する乳化剤(以下、重合性乳化剤と略
す)とは、化合物中に親水基および疎水基を有し、気−
液、液−液、固−液界面張力を低下させる能力のある化
合物のうち、化合物中に二重結合を1つ以上有し、共役
ジエン系ゴム、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化
合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物
とラジカル重合可能なものをいう。重合性乳化剤の親水
基としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性のい
ずれでも良いが、好ましくはアニオン性、さらに好まし
くはノニオン性、アニオン性両方の性質を有する基であ
る。
【0039】乳化グラフト重合時に重合性乳化剤ととも
に非重合性乳化剤を用いても良いが、使用量はゴム由来
の非重合性乳化剤の合計が共役ジエン系ゴム100重量
部に対し4.0重量部以下にすべきである。4.0重量
部を越えると、ゴム強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性
の低下、剛性の低下、高温成形時の光沢の低下、成形時
の金型汚染や樹脂の着色の原因となり好ましくない。こ
こで言う非重合性乳化剤とは、一般に乳化重合用として
用いられる乳化剤であり、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、
アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン
酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、
ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤があ
げられる。本発明に使用する重合性乳化剤の例として
は、以下に示す乳化剤(化合物)が挙げられるが、本発
明はこれらにより限定されるものではない。
【0040】一般式(1)で表される、重合性乳化剤。
【化13】 (式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル
基または(1−プロペニル)ビニル基を示す。Yは水
素、または−SO3M(Mは水素、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒド
ロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル
塩、または−CH2COOM(Mは水素、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜
4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカル
ボン酸塩、または次の一般式(1’)で表されるリン酸
モノエステル塩を示す。
【0041】
【化14】 また、R1 は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル
基もしくはアラルキル、R2は水素または炭素数1〜1
8のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、
3は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のア
ルキレン基または置換アルキレン基、mは1〜200の
整数を示す。)
【0042】一般式(1)で表される重合性乳化剤の具
体例としては、下記一般式(5)〜(7)で示される化
合物が挙げられる。
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】次の一般式(2)で表される(メタ)アリ
ルグリシジルエーテル誘導体および(メタ)アクリルグ
リシジルエステル誘導体。
【化17】 〔式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロ
イル基を示す。Yは水素、または−SO3M(Mは水
素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムま
たは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)
で表される硫酸エステル塩、または−CH2COOM
(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属)で表さ
れるカルボン酸塩、または一般式(1’)で表されるリ
ン酸モノエステル、または、次の一般式(1”)で表さ
れる化合物を示す。
【0045】
【化18】 (式中、M1 は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、アンモニウム、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル
アンモニウムまたは炭素数2〜4のアルキレンオキサイ
ド基を有してもよい炭素数8〜30のアルキル基であ
り、M2 は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ア
ンモニウム、炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモ
ニウムである。)
【0046】Zは炭素数8〜30のアルキル基、置換ア
ルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキル
アリール基、置換アルキルアリール基、アラルキルアリ
ール基、置換アラルキルアリール基、アシル基または置
換アシル基を示す。Aは炭素数2〜4のアルキレン基ま
たは置換アルキレン基、mは0〜100、nは0〜50
の整数を示す。〕
【0047】上記一般式(2)で表される化合物の具体
例としては、下記一般式(9)〜(15)が挙げられ
る。
【化19】
【0048】
【化20】 〔一般式(11)中の、Y1 は下記一般式(11’)を
示す。〕
【0049】
【化21】
【0050】下記の一般式(3)で表されるコハク酸誘
導体。
【化22】 (式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロ
イル基を示す。B1 、B2 は次に表されるYまたはZを
示し、B1 、B2 は異なるものである。Yは、Mまたは
−SO3M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアル
キルアンモニウム)を示す。Zは、炭素数8〜30のア
ルキル基またはアルケニル基を示す。Aは炭素数2〜4
のアルキレン基、置換基を有するアルキレン基であり、
m、nは0〜50の整数である。) 一般式(3)で表される化合物の具体例としては、次の
一般式(16)〜(19)の化合物が挙げられる。
【0051】
【化23】
【0052】次の一般式(4)で表される化合物。
【化24】 (式中、Xは(メタ)アリル記または(メタ)アクリロ
イル基を示す。
【0053】Yは水素、または−SO3M(Mは水素、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは
炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表
される硫酸エステル塩、または−CH2COOM(Mは
水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム
または炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウ
ム)で表されるカルボン酸塩を示す。R1 、R3 は水
素、または炭素数1〜25のアルキル基でそれぞれ同一
であっても異なってもよく、R2 、R4 は炭素数1〜2
5のアルキル基、ベンジル基、またはスチリル基を示
し、それぞれ同一であっても異なってもよく、pは0〜
2の整数を示す。Aは炭素数2〜4のアルキレン基、置
換基を有するアルキレン基であり、m、nは0〜50の
整数を示す。) 一般式(4)で表される化合物の具体例としては、次の
一般式(20)、(21)の化合物が挙げられる。
【0054】
【化25】
【0055】次の一般式(22)で表される(メタ)ア
リルエーテル誘導体および(メタ)アクリルエステル誘
導体。
【化26】 (式中、Xは(メタ)アリル基または(メタ)アクリロ
イル基を示す。Yは水素、またはメチル基、または−S
O3M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル
アンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−C
H2COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシア
ルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩、または
式(1’)で表されるリン酸モノエステル塩を示す。Z
は、炭素数8〜30のアルキル基を示す。Aは炭素数2
〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、mは0〜
20、nは0〜50の整数を示す。)
【0056】一般式(22)で表される化合物の具体例
としては、次の一般式(23)、(24)で示される化
合物が挙げられる。
【化27】
【0057】次の一般式(25)で表されるジオール化
合物。
【化28】 (式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、R1
は炭素数8〜24の炭化水素基であり、R2は水素また
はメチル基であり、mおよびnはm+nが0〜100の
間の値となるようなそれぞれ0〜100の数であり、M
は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモ
ニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモ
ニウムである。)
【0058】一般式(22)で表される化合物の具体例
として、一般式(26)で示される化合物が挙げられ
る。
【化29】
【0059】次の一般式(27)で表される化合物。
【化30】 (式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)アリロキシ基
または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイル
オキシ基または次の一般式(27’)を示す。
【0060】
【化31】
【0061】Yは水素、または−SO3M(Mは水素、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは
炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表
される硫酸エステル塩、または−CH2COOM(Mは
水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム
または炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウ
ム)で表されるカルボン酸塩、または一般式(1’)で
表されるリン酸モノエステル、または、一般式(1”)
で表されるスルホコハク酸モノエステル塩を示す。Zは
炭素数6〜30の置換基を有してもよいアルキレン基を
示す。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アル
キレン基、nは0〜50の整数を示す。) 一般式(27)で表される化合物の具体例として、一般
式(28)〜(30)で示される化合物が挙げられる。
【0062】
【化32】
【0063】これらの重合性乳化剤のうち、好ましくは
前記の一般式(1)、(2)、(3)、(4)で表され
る重合性乳化剤であり、特に好ましくは一般式(1)で
表される重合性乳化剤である。一般式(2)で表される
重合性乳化剤のうち、好ましい構造は一般式(9)〜
(11)で表される重合性乳化剤であり、更に好ましい
具体例としては次の一般式(31)〜(36)で示され
る化合物が例示できる。
【0064】
【化33】
【0065】また、一般式(1)で表される重合性乳化
剤として、特に好ましい具体例としては、次の一般式
(37)〜(41)が特に好ましい。
【化34】
【0066】本発明によって得られた重合体ラテックス
は、通常無機系塩析剤により凝析し脱水回収される。用
いられる塩析剤に制限はないが、具体的には硫酸アル
ミ、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸等が挙げ
られる。脱水回収後に樹脂中に含まれる残留塩析剤由来
成分が少ないほど好ましい。
【0067】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、芳香族ポリカーボネート(A)2〜98重量部と
ゴム強化樹脂(B)98〜2重量部の配合比からなって
いる。好ましくは、成分(A)が10〜90、成分
(B)が90〜10重量部の範囲にあり、更に好ましく
は、成分(A)が20〜80、成分(B)が80〜20
重量部の範囲にある。上記範囲より、芳香族ポリカーボ
ネート(A)が少ない場合には、本発明による組成物の
塗装性が劣り、上記範囲より多い場合には、成形加工性
が低下する。最終的に、組成物に要求される物性に応じ
て、配合比率は決定される。
【0068】また、芳香族ポリカーボネート(A)とゴ
ム強化樹脂(B)とから本発明の樹脂組成物を製造する
方法は、従来から公知の方法で行うことが出来、特に限
定されない。例えば、各成分をヘンシェルミキサー、ス
ーパーミキサー、ターンブルミキサー、リボンブレンダ
ー等で均一に混合した後、単軸押出機や二軸押出機、バ
ンバリーミキサー等で溶融混練する方法や、溶融状態の
芳香族ポリカーボネートもしくはゴム強化樹脂に、混合
槽、スタチックミキサー、単軸押出機、二軸又は多軸押
出機等を用いてゴム強化樹脂もしくは芳香族ポリカーボ
ネートを混合する方法等がある。また、その際、本発明
の趣旨を妨げない範囲で、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐
候剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、可塑
剤、他樹脂やゴム等の重合体、顔料、染料、充填剤、強
化剤、難燃剤等を添加して用いても良い。
【0069】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、通常芳香族ポリカーボネートとゴム強化樹脂とか
らなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、例えば芳香
族ポリカーボネート/ABSアロイが用いられている用
途に好適に用いられ、ノート型パソコンや携帯電話等の
ハウジング用途をはじめ、自動車用途や電気電子用途等
幅広い用途分野に好適に用いられる。中でも、耐衝撃性
や塗装性の要求される用途に好適に用いられる。また、
ブロー成形性やシート成形性も優れているため、これら
成形用途にも好適に使用できる。
【0070】
【発明の実施の形態】以下実施例にて、本発明を更に詳
細に説明する。なお、本発明はこれら実施例により何ら
限定されるものではない。以下に用いる部数は重量部と
する。各項目の評価は、以下の方法で測定した。 (1)IZOD衝撃強度 ペレットを成形温度260℃、金型温度65℃で成形
し、試験片を得た。試験は、ASTM−D256に基づ
き、1/2インチ×1/4インチ×5/2インチのノッ
チ付き試験片にて実施した。(単位kg・cm/cm) (2)塗装性評価 ASTM1号ダンベル試験片に、塗料(ハイウレタンN
o5000:日本油脂性)をスプレー塗装して、塗装後
の外観を評価した。外観が良好なものを○、悪いものを
×とした。
【0071】(3)SR値 ブロー成形性やシート成形性の評価の一つとして測定し
た。一般に、SR値が大きいほど、ドローダウンが小さ
く成形しやすい。SR値は、メルトフローインデックス
(MFR)JIS K7210B法(240℃ 100
kg荷重)に準じた測定において、組成物のMFR測定
開始後、10秒経過したときに溶融して得られた樹脂組
成物片の径(r1)とオリフィスノズル径(r0)との
比r1/r0をいう。
【0072】(4)滞留IZOD衝撃強度 ペレットを260℃で成形機内に40分滞留させ、その
後金型温度65℃で成形し、試験片を得た。試験は、A
STM−D256にもとに、1/2インチ×1/4イン
チ×5/2インチのノッチ付き試験片にて実施した。
【0073】(5)滞留着色度 ペレットを成形温度260℃、金型温度65℃で成形
し、初期着色YIを測定した。続いて、240℃で成形
機内に40分滞留させ、同様に成形し試験片を得得て、
(ΔYI=滞留後のサンプルのYIー初期着色YI)の
測定を行った。 試験片: 縦216mm×横12.6mm×厚さ3.2
mm YIの測定は、スガ試験機社製SMカラーコンプュータ
ー、モデルSM−5を用い、測定位置はサンプルの中央
部とした。
【0074】(参考例1) 共役ジエン系ゴムラテック
ス(Sー1)の製造 以下の組成の物質(固形分基準)を、内部を真空に脱気
した50リットルオートクレーブに投入し、65℃にて
重合を行った。 1,3−ブタジエン 97.0 部 アクリロニトリル 3.0 部 t−ドデシルメルカプタン 0.2 部 ロジン酸カリウム 0.7 部 牛脂ケン化石ケン 0.3 部 過硫酸ナトリウム 0.25部 水酸化ナトリウム 0.1 部 炭酸水素ナトリウム 0.35部 脱イオン水 60.0 部
【0075】重合開始後10時間目から20時間目の間
に、以下の組成の溶液をオートクレーブに連続添加しな
がら重合を継続した。 ロジン酸カリウム 0.3 部 牛脂ケン化石ケン 0.1 部 過硫酸ナトリウム 0.1 部 水酸化ナトリウム 0.05部 炭酸水素ナトリウム 0.15部 脱イオン水 50.0 部 連続添加終了後、重合系を80℃に昇温し、重合開始後
26時間目に冷却し重合を終了した。重合後、未反応ブ
タジエンを除去した。電子顕微鏡写真により求めたラテ
ックスの重量平均粒子径は0.28ミクロンであった。
また、ラテックスのpHは10.1であった。
【0076】(参考例2) 共役ジエン系ゴムラテック
ス(Sー2、Sー3)の製造 表1に記載した以外は参考例1と同様に実施した。結果
をまとめて表1に記す。
【0077】
【表1】
【0078】(参考例3) ゴム強化樹脂(R1)の製
造 共役ジエン系ゴムラテックスS−1(固形分)40部、
イオン交換水100部、ロジン酸カリウム0.3部を1
0リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、こ
の初期溶液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成か
らなる水溶液(C)と単量体混合液(E)、さらに表2
の(1)式で表される重合性乳化剤を含んだ水溶液
(D)を反応器に5時間にわたり連続的に添加した。添
加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結させた。
【0079】溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部
【0080】水溶液(D)の組成は次の通りである。 重合性乳化剤 式(37) 1.0部 イオン交換水 20部 単量体混合液(E)の組成は次の通りである。 アクリロニトリル 24部 スチレン 36部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部
【0081】次に、作成したグラフト重合体ラテックス
に、酸化防止剤を添加した後、硫酸アルミニウムを加え
凝固させ、水洗浄、脱水した後、加熱乾燥し、グラフト
共重合体粉末を得た。該グラフト共重合体粉末75部と
アクリロニトリル・スチレン共重合体25部、エチレン
ビスステアリルアミド1.0部をシリンダー温度が24
0℃に設定された2軸押出機(ZSK−25、W&P社
製)で混練造粒し、ゴム含有量30部のゴム強化樹脂を
得た。
【0082】(参考例4) ゴム強化樹脂(R2)の製
造 参考例3で水溶液(D)中に含まれる重合性乳化剤を表
2に記したものにした以外は、参考例3と同様に行い、
ゴム強化樹脂を得た。
【0083】(参考例5) ゴム強化樹脂(R3)の製
造 共役ジエン系ゴムラテックスS−2を40部(固形
分)、イオン交換水100部を10リットル反応器に入
れた後、炭酸ガスを反応器内でバブルし、pHを約7に
調整した。さらに気相部を窒素置換した後、この初期溶
液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成からなる水
溶液(C)と単量体混合液(E)、さらに式(37)で
表される重合性乳化剤を含んだ水溶液(D)を反応器に
5時間にわたり連続的に添加した。添加終了後、1時間
温度を保ち、反応を完結させた。
【0084】水溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部
【0085】水溶液(D)の組成は次の通りである。 重合性乳化剤 表2(1) 1.0部 イオン交換水 20部 単量体混合液(E)の組成は次の通りである。 アクリロニトリル 24部 スチレン 36部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 1.0部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部 このグラフト共重合体ラテックスをR1と同様に処理し
て、ゴム強化樹脂を得た。
【0086】(参考例6) ゴム強化樹脂(R4)の製
造 共役ジエン系ゴムラテックスS−3を40部(固形分)
を用い、その他の条件を表2に記した以外は参考例3と
同様に行い、ゴム強化樹脂を得た。このグラフト共重合
体ラテックスを参考例3と同様に処理して、ゴム強化樹
脂を得た。
【0087】(参考例7) ゴム強化樹脂(R5)の製
造 共役ジエン系ゴムラテックスS−1(固形分)40部、
イオン交換水100部、ロジン酸カリウム0.3部を1
0リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、こ
の初期溶液を70℃に昇温した。次に以下に示す組成か
らなる水溶液(C)と単量体混合液(E)、水溶液
(D)を反応器に5時間にわたり連続的に添加した。添
加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結させた。
【0088】水溶液(C)の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部 イオン交換水 50部 水溶液(D)の組成は次の通りである。 ロジン酸カリウム 2.0部 イオン交換水 20部
【0089】単量体混合液(E)の組成は次の通りであ
る。 アクリロニトリル 24部 スチレン 36部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部 このグラフト共重合体ラテックスを参考例3と同様に行
い、ゴム強化樹脂を得た。得られた結果をまとめて表2
に示す。
【0090】
【表2】
【0091】(実施例1〜4、比較例1〜3)芳香族ポ
リカーボネート(A)として、重量平均分子量が55,
000の高分子量芳香族ポリカーボネート(PCー1)
及び重量平均分子量が16,000の低分子量芳香族ポ
リカーボネート(PCー2)と、ゴム強化樹脂(B)と
して、参考例で製造したRー1〜Rー5とを表3に掲げ
る組成(単位は重量部)でブレンドし、シリンダー温度
が260℃に設定された2軸押出機(ZSK−25、W
&P社製)で混練造粒し、ペレットを得て、評価を行っ
た。
【0092】(比較例4,5)芳香族ポリカーボネート
(A)の低分子量芳香族ポリカーボネートとして、重量
平均分子量が4,000のポリカーボネート(PCー
3)または、重量平均分子量が25,000のポリカー
ボネート(PCー4)を、ゴム強化樹脂(B)として、
参考例で製造したRー1を用いる以外は、実施例1と同
様に実施した。評価結果を表3に示す。
【0093】(実施例5)芳香族ポリカーボネート
(A)として、高分子量ポリカーボネートPCー1と低
分子量ポリカーボネートPCー2及び中分子量ポリカー
ボネートPCー4を、ゴム強化樹脂(B)として、参考
例で製造したRー1を用いる以外は、実施例1と同様に
して実施した。評価結果を表3に示す。
【0094】(実施例6,7)芳香族ポリカーボネート
(A)の高分子量芳香族ポリカーボネートとして、重量
平均分子量が87,000(PCー5)もしくは35
0,000(PCー6)のポリカーボネートを、低分子
量芳香族ポリカーボネートとして、重量平均分子量が1
0,000(PCー7)のポリカーボネートを用い、ゴ
ム強化樹脂(B)として、参考例で製造したRー1を用
いる以外は、実施例1と同様にして実施した。評価結果
を表3に示す。
【0095】
【表3】
【0096】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、塗装性や耐衝撃性及びシート成形やブロー成形など
の成形加工性に優れ、更に、成形時に色調や耐衝撃性、
塗装性の低下が少ない成形加工時の安定性に優れてお
り、ノート型パソコンや携帯電話等のハウジング用途を
はじめ、自動車用途や電気電子用途等幅広い用途分野に
好適に用いられる。中でも、耐衝撃性や塗装性の要求さ
れる用途に好適に用いることができる。また、ブロー成
形性やシート成形性も優れているため、これら成形用途
にも好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−279659(JP,A) 米国特許5066717(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/04 C08L 69/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a1)重量平均分子量が45,
    000以上である高分子量芳香族ポリカーボネート30
    〜90重量部と(a2)重量平均分子量7,000〜1
    6,500である低分子量芳香族ポリカーボネート70
    〜10重量部とからなる芳香族ポリカーボネート2〜9
    8重量部と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重合体と
    共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合し
    て得られるグラフト重合体の製造過程において、該ゴム
    状重合体にグラフト重合する該ビニル化合物の内、少な
    くとも一種類が分子内にラジカル重合可能な二重結合を
    有する乳化剤であるグラフト重合体と、ビニル重合体と
    からなるゴム強化樹脂98〜2重量部、とからなる芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)(a1)重量平均分子量が45,
    000以上である高分子量芳香族ポリカーボネート10
    〜90重量部と(a2)重量平均分子量7,000〜1
    6,500である低分子量芳香族ポリカーボネート10
    〜90重量部と(a3)重量平均分子量17,000〜
    35,000である中分子量芳香族ポリカーボネート1
    0〜50重量部とからなる芳香族ポリカーボネート2〜
    98重量部と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重合体
    と共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合
    して得られるグラフト重合体の製造過程において、該ゴ
    ム状重合体にグラフト重合する該ビニル化合物の内、少
    なくとも一種類が分子内にラジカル重合可能な二重結合
    を有する乳化剤であるグラフト重合体と、ビニル重合体
    とからなるゴム強化樹脂98〜2重量部、とからなる芳
    香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)芳香族ポリカーボネートが、(a
    2)の重量平均分子量/(a1)の重量平均分子量の比
    が0.03〜0.37の範囲であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
    物。
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