JPH0987452A - 低溶出性ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

低溶出性ポリプロピレン樹脂組成物

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JPH0987452A
JPH0987452A JP24022795A JP24022795A JPH0987452A JP H0987452 A JPH0987452 A JP H0987452A JP 24022795 A JP24022795 A JP 24022795A JP 24022795 A JP24022795 A JP 24022795A JP H0987452 A JPH0987452 A JP H0987452A
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JP
Japan
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alkali metal
propylene
acid
ethylene
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Application number
JP24022795A
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English (en)
Inventor
Koji Okada
廣治 岡田
Hiroyuki Udagawa
博之 宇田川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Tonen Sekiyu Kagaku KK, Tonen Chemical Corp filed Critical Tonen Sekiyu Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に使い捨てシリンジ等医療用射出成形品の
材料に要求される熱水に対する溶出性が低く、耐放射線
性、透明性、耐熱性に優れ、かつ高速成形性が良好なポ
リプロピレン樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A)メルトフローレート(MFR)が
0.5〜15g/10分のプロピレン単独重合体又はエ
チレン含有量が1%(重量)以下のプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体と、MFRが0.5〜15g/10
分でエチレン含有量が2.5〜5.0%のプロピレン−
エチレンランダム共重合体との混合物であり、そのエチ
レン含有量が2.3〜3.5%の樹脂混合物100部
(重量)、(B)有機アルカリ金属塩0.01〜5部及
び(C)環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩0.
01〜5部を含有し、減成により調製された組成物のM
FRが25〜100g/10分であるポリプロピレン樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレン樹脂
組成物に関し、特に、熱水に対する抽出性が低い等低溶
出性で、しかも、耐放射線性に優れ、かつ、高速成形性
が良く、透明性、耐熱性に優れ、中でも、使い捨てシリ
ンジ製品等の医療用射出成形品に有用なポリプロピレン
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ンからなる成形品を医療器具、食品包装材などに使用す
る場合、煮沸或るいはガスによる殺菌の他に、γ線、電
子線等の放射線を照射して殺菌することが行われるよう
になってきている。
【0003】しかしながら、ポリオレフィンは、その分
子構造上、放射線により分子鎖が切断され易く、通常殺
菌線量の目安とされる2.5メガラッド程度の放射線照
射によっても、分解、劣化が著しく進行し、耐衝撃性等
の機械的特性が低下したり、低分子量の溶出成分が増加
したりする。又、一般に酸化防止等の目的で添加される
ている各種安定剤、改質剤等が変質して著しく変色する
という問題も生ずる。
【0004】そこで、以下のような各種提案がなされて
いる。即ち、特開昭60−55005号公報は、エチレ
ン含量2.8〜7.0重量%のエチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体樹脂からなる耐放射線性ポリプロピレン
組成物を開示している。
【0005】特開昭60−99147号公報は、ポリプ
ロピレン樹脂100重量部に対して、ソルビトール誘導
体0.01〜4重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト0.01〜4重量部、ジメチ
ルサクシネート−2−(4−ヒドロキシー2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペルジル)エタノール縮合物
0.01〜4重量部を混合してなる、放射線照射に対し
て安定性が良好で、かつ透明性に優れたポリプロピレン
樹脂組成物を開示している。
【0006】特開昭60−168740号公報は、
(A)ポリプロピレン又はエチレン含量2重量%以下の
エチレン−プロピレンランダム共重合体と、(B)エチ
レン含量4重量%以上のエチレン−プロピレンランダム
共重合体をブレンドすることにより得られるエチレン含
量2〜4重量%のエチレン−プロピレンランダム共重合
体混合物に0.01〜0.5重量%のジアリル(イソ)
フタレート又はトリアリル(イソ)シアヌレートを配合
してなる耐放射線性ポリプロピレン組成物を開示してい
る。
【0007】特開昭60−215047号公報は、ラジ
カル発生剤の存在下にメルトフローレートを0.05〜
10g/10分から10〜100g/10分に減成した
プロピレンの単独重合体ブロック5〜95重量%及びエ
チレン含量2〜15重量%のプロピレン・エチレンラン
ダム共重合体ブロック95〜5重量%からなるプロピレ
ン系ブロック共重合体100重量部、並びにソルビトー
ル系化合物0.05〜0.5重量部からなることを特徴
とするポリプロピレン組成物を開示している。
【0008】特開昭61−73711号公報は、ポリプ
ロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体1
00重量部、有機過酸化物0.005〜0.2重量部及
びトリアリル(イソ)シアヌレート又はジアリル(イ
ソ)フタレート0.01〜0.5重量部を配合してなる
耐放射線性ポリプロピレン組成物を開示している。
【0009】特開昭61−159437号公報は、
(A)プロピレン単独重合体又はエチレンの含有量が多
くとも3.0重量%であるエチレン−プロピレンランダ
ム共重合体、(B)エチレンの含有量が4.0〜15.
0重量%であるエチレン−プロピレンランダム共重合
体、及び(C)有機過酸化物からなる混合物であり、こ
れらの単独重合体及び共重合体の合計量中のエチレンの
含有量は1.5〜4.5重量%であり、かつ単独重合体
及び共重合体の合計量100重量部に対する有機過酸化
物の混合割合は0.001〜0.25重量部であるメル
トフローインデックスが15g〜10分以上であるプロ
ピレン系重合体組成物を開示している。
【0010】特開平3−281647号公報は、メルト
フローレートが0.5〜15g/10分のプロピレン単
独重合体又はエチレン含有量が1重量%以下のプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体と、メルトフローレート
が0.5〜15g/10分でエチレン含有量が2.5〜
5.0重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体
との樹脂混合物と、透明核剤として、前記樹脂混合物1
00重量部に対して、0.15〜0.35重量部のソル
ビトール系化合物を含有し、前記樹脂混合物中のエチレ
ン含有量が2.3〜3.5重量%であり、減成により調
製された組成物のメルトフローレートが25〜100g
/10分であることを特徴とする耐放射線性ポリプロピ
レン樹脂組成物を開示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭60−55005号、同60−99147号、同6
0−168740号、同61−159437号、同61
−73711号公報の耐放射線性ポリプロピレン樹脂組
成物は、透明性が十分でなく、γ線照射後の引張弾性
率、耐衝撃性等の低下の抑制効果も十分でないという問
題がある。
【0012】又、特開昭60−215047号公報のポ
リプロピレン樹脂組成物は、プロピレン単独重合体とプ
ロピレン・エチレンランダム共重合体とのブロック共重
合体を用いているので、注射器等の医療器具に用いるの
に十分な透明性を有しないという問題がある。
【0013】更に、特開平3−281647号公報のポ
リプロピレン樹脂組成物は、放射線照射後の耐衝撃性、
透明性、高速成形性が良好であるものの低溶出性に問題
がある。
【0014】従って、上記のような種々の樹脂設計上の
工夫や造核剤添加の工夫等による提案にもかかわらず、
低溶出性で、耐放射線性、透明性、耐熱性に優れ、か
つ、高速成形性が良いというバランスのとれた、十分満
足のゆく製品が得られていないのが現状である。
【0015】本発明はかかる現状に鑑み、低溶出性で、
耐放射線性、透明性、耐熱性に優れ、かつ、高速成形性
が良いというバランスのとれたポリプロピレン樹脂組成
物を提供することを目的とし、特に、使い捨てシリンジ
製品等の医療用射出成形品として好適なポリプロピレン
樹脂組成物を提供することを目的としたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、特定のエチレン含有量を有する
プロピレン−エチレンランダム共重合体と、プロピレン
単独重合体又は微量のエチレンを含有するプロピレン−
エチレンランダム共重合体とをエチレン含有量が特定の
範囲となるように混合し、更に特定の2種の化合物を添
加し、減成してメルトフローレートを調整した樹脂組成
物は、低溶出性で、透明性、耐熱性及び高速成形性に優
れていることを見出し、本発明に想到した。
【0017】すなわち本発明のポリプロピレン樹脂組成
物は、(A)(a)メルトフローレートが0.5〜15
g/10分のプロピレン単独重合体又はエチレン含有量
が1重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合
体と、(b)メルトフローレートが0.5〜15g/1
0分でエチレン含有量が2.5〜5.0重量%のプロピ
レン−エチレンランダム共重合体との混合物であり、そ
のエチレン含有量が2.3〜3.5重量%の樹脂混合物
100重量部、(B)アルカリ金属カルボン酸塩、アル
カリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢
酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも一種
の有機アルカリ金属塩0.01〜5重量部並びに(C)
次の[化2]([化1]と同じ)の一般式(I)で表さ
れる環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩の少なく
とも一種0.01〜5重量部を含有し、減成により調製
された組成物のメルトフローレイトが25〜100g/
10分であることを特徴するポリプロピレン樹脂組成物
である。
【0018】
【化2】
【0019】(式中、R1 は、水素原子又は炭素数1〜
4のアルキル基を示し、R2 及びR3は、それぞれ水素
原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周
期律表第III族又は第IV族の金属原子を示し、X
は、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合に
は、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を
示す場合には、0=又は(HO)2 −を示す。)
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において使用する(A)樹
脂混合物は、(a)プロピレン単独重合体又はエチレン
含有量が1重量%以下のプロピレン−エチレンランダム
共重合体と、(b)プロピレン−エチレンランダム共重
合体とからなる。
【0021】上記(a)プロピレン単独重合体又はエチ
レン含有量が1重量%以下のプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体は、0.5〜15g/10分のメルトフロ
ーレート(MFR、JIS K7210;230℃、
2.16kg荷重)を有するものである。上記プロピレ
ン単独重合体又は微量のエチレンを含有するプロピレン
−エチレンランダム共重合体のメルトフローレートが
0.5g/10分未満であると十分な透明性や成形性が
得られず、又15g/10分を超えると、γ線照射後の
耐衝撃性が低下する。好ましいメルトフローレートは1
〜9g/10分である。
【0022】又、(b)プロピレン−エチレンランダム
共重合体は、メルトフローレートが0.5〜15g/1
0分でエチレン含有量2.5〜5.0重量%のものであ
る。上記プロピレン−エチレンランダム共重合体のメル
トフローレートが0.5g/10分未満であると十分な
透明性と耐衝撃性や成形性が得られず、又15g/10
分を超えると、γ線照射後の耐衝撃性の低下が大きくな
る。好ましいメルトフローレートは1〜9g/10分で
ある。
【0023】又当該プロピレン−エチレンランダム共重
合体のエチレン含有量が2.5重量%未満では、得られ
る組成物のγ線照射後の耐衝撃性が低下する。一方、
5.0重量%を超えると、高速成形性が低下する。
【0024】本発明においては、このようなプロピレン
単独重合体又は微量のエチレンを含有するプロピレン−
エチレンランダム共重合体と、プロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体との樹脂混合物を使用する。ただし、上
記混合物中のエチレンの含有量が、2.3〜3.5重量
%となるように、両者の配合比を設定する必要がある。
上記混合物中のエチレンの含有量が、2.3重量%未満
では、γ線照射後の耐衝撃性が低下する。又3.5重量
%を超えると高速成形性が低下する。
【0025】本発明で使用される(B)成分であるアル
カリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート
又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩の各アルカリ
金属塩化合物を構成するアルカリ金属としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0026】上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成する
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン、アク
リル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキ
システアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、
β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプト
プロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、
β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸等
の脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピ
ン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ
ンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテト
ラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ナフテン酸、
シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタン
カルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シ
クロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、
1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシク
ロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサ
ンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、
4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセ
ンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボ
ン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸;安息香酸、ト
ルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチ
ル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、
ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が
挙げられる。
【0027】上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成
するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルア
セトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、
ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、
ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0028】又、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステ
ル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例え
ば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢
酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エ
チル、ベンゾイル酢酸ラウリル等が挙げられる。
【0029】上記(B)成分であるアルカリ金属カルボ
ン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金
属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属と
カルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エス
テルとの塩であり、従来周知の方法で製造することがで
きる。又、これら(B)成分の各アルカリ金属塩化合物
の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特
に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわ
け炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好まし
い。
【0030】上記(B)成分であるアルカリ金属カルボ
ン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金
属β−ケト酢酸エステル塩の添加量は、上記(A)樹脂
混合物100重量部に対して0.01〜5重量部であ
り、好ましくは0.05〜0.5重量部である。添加量
が0.01重量部未満では、透明性の向上効果及び高速
成形性が十分でなく、又5重量部を超えると逆に着色の
原因となるとともに添加量に見合った効果が期待できな
い。
【0031】又、本発明で用いられる(C)成分である
上記一般式(I)で表される環状有機リン酸エステル塩
基性多価金属塩において、R1 で示される炭素数1〜4
のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、s−ブチル、イソブチル等が挙げ
られ、R2 又はR3 で示される炭素数1〜12のアルキ
ル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、t−ア
ミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、
t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニ
ル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、t−
ドデシル等が挙げられる。
【0032】又、Mで示される周期律表III族又は第
IV族の金属原子としては、アルミニウム、ガリウム、
ゲルマニウム、錫、チタン、ジルコニウム等が挙げら
れ、特にアルミニウムが好ましい。
【0033】従って、(C)成分としては、例えば次の
[化3]〜[化8]に示す化合物(化合物No.1〜化
合物No.6)が挙げられる。
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】(C)成分は、例えば、酸性環状有機リン
酸エステルのアルカリ金属塩と多価金属ハロゲン化物或
るいは酸化多価金属ハロゲン化物とを反応させ、その後
必要に応じて加水分解する方法、酸性環状有機リン酸エ
ステルと多価金属アルコキサイドを反応させ、その後必
要に応じて加水分解する方法等により容易に製造するこ
とができる。
【0041】(C)成分は、その粒径についても特に制
限を受けず、例えば、平均粒径0.01〜50ミクロン
のものを用いることかできるが、均一な分散を図るため
には、平均粒径が10ミクロン以下、特に3ミクロン以
下の微粒子に粉砕して用いることが好ましい。
【0042】上記(C)成分の添加量は、上記(A)樹
脂混合物100重量部に対して、0.01〜5重量部で
あり、好ましくは0.05〜0.5重量部である。添加
量が0.01重量部未満では、透明性の向上効果及び高
速成形性が十分でなく、又5重量部を超えると逆に着色
の原因となるとともに添加量に見合った効果が期待でき
ない。
【0043】又、上記(B)成分と上記(C)成分との
比率は特に制限を受けないが、特に、上記(B)成分の
添加量が上記(C)成分の添加量の当量以上である場合
に本発明の効果が著しい。
【0044】又、各成分を添加する方法は特に制限を受
けず、一般に用いられる方法、例えば上記(A)樹脂混
合物粉末或いはペレットと、添加剤粉末をドライブレン
ドする方法、各成分を高濃度で含有するマスターバッチ
を作成し、これを上記(A)樹脂混合物に添加する方法
等を用いることができる。
【0045】本発明においては、上記(A)樹脂混合
物、上記(B)成分及び上記(C)成分からなる組成物
をラジカル発生剤の存在下において減成して、メルトフ
ローレートを25〜100g/10分とする。なお減成
は、(B)成分及び(C)成分の配合前又は配合後のい
ずれに行っても、本発明の目的を達成することができ
る。メルトフローレートが25g/10分未満では、高
速成形性が十分でなく、又γ線照射後の耐衝撃性も十分
でない。一方、100g/10分を超えると、組成物自
身の耐衝撃性が低下したり、スキン層厚や剛性が低下
し、高速成形性が達成できない。好ましいメルトフロー
レートは30〜80g/10分である。
【0046】なお、ラジカル発生剤による分子量の減成
は、通常の方法、例えば押出機中で上記混合物を過酸化
物等のラジカル発生剤の存在下に200〜280℃で、
1〜3分溶融混練することにより行えばよい。
【0047】上記ラジカル発生剤としては、有機過酸化
物を用いるのが好ましい。具体的な例としてはメチルエ
チルケトンパーオキシド、t−ブチルパーオキシドイソ
プロピルカーボネート、ジクミルパーオキシド、クメン
ヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、
ジ−t−ブチルパーオキシフタレート等がある。これら
の有機過酸化物の使用量は、所望のメルトフローレート
になるように適宜選択される。
【0048】本発明の組成物は、上記(A)樹脂混合
物、上記(B)成分及び上記(C)成分からなるが、そ
の他必要に応じてヒンダードアミン系化合物、リン系酸
化防止剤を含有することができる。これらの配合は、減
成の前後のいずれでも良いが、好ましくは減成前であ
る。
【0049】ヒンダードアミン系化合物としては、HA
LSと称されるヒンダードアミン系耐候・耐光安定剤を
用いることができる。当該HALSとしては、例えば、
ヒンダードアミン窒素原子及び任意に他の異原子好まし
くは窒素又は酸素を含む6員複素環からなるヘテロサイ
クリックヒンダードアミン系化合物が挙げられる。その
具体例としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイ
ルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
1,2,3,4−テトラキス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)−ブタンテトラカルボキシレ
ート、1,4−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)−2,3−ブタンジオン、トリス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ト
リメリテート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペン
タメチル−4−ピペリジルn−オクトエート、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、トリス(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)−ニトリルアセテート、4−ヒド
ロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4
−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペ
リジン、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス
[3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン、4−ベ
ンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン、ビス(1−オクチルオキシー2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸−
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)エステル、コハク酸−ビス(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル、2−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−
n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンチ
メチル−4−ピペリジル)、コハク酸ジメチル・1−
(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6
−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノー
1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}
ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミ
ノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブ
チル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリ
アジン縮合物、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}
エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,
7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8
−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオ
ン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テ
トラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デ
カン−ジオン、1,6,11−トリス[{4,6−ビス
(N−ブチル−N(1,2,2,6,6−ペンタメチル
ピペリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリア
ジン−2−イル}アミノ]ウンデカン、テトラキス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エステル、テ
トラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エ
ステル、N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジニル−N−アミノオキアザミド、ポリ[6−モリホ
リノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][4
−(2,2,6,6−テトラエチルピペリジル)イミ
ノ]ヘキサメチレン−[4−(2,2,6,6−テトラ
エチルピペリジル)イミノ]、ポリメチルプロピル−3
−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピ
ペリジニル]シロキサン、ポリメチルプロピル−3−オ
キシ−[4−(1,2,2,6,6−ペンタメチル)ピ
ペリジニル)]シロキサン、1,5−ジオキサスピロ
[5,5]ウンデカン−3,3−ジカルボン酸エステル
と2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−アー
ルとの縮合物、1,1′,1″−(1,3,5−トリア
ジン−2,4,6−トリイル−トリス{(シクロヘキシ
ルイミノ)−2,1−エタンジイル}]−トリス[3,
3,5,5−テトラメチルピペラジン−2−オン]、N
−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニ
ル)−3−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジニル)アミノ]−プロパナミド、N,N′−ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘ
キサメチレンジアミンと1,2−ジプロモエタンとの重
縮合物等が挙げられる。これらのヘテロサイクリックヒ
ンダードアミン系化合物は、単独で使用しても併用して
もよい。
【0050】ヒンダードアミン系化合物の使用量は、通
常、上記(A)樹脂混合物100重量部に対し、0.0
1〜1.5重量部である。
【0051】ヒンダードアミン系化合物の使用量が0.
01重量部未満だと、その添加による耐黄変性や機械的
強度の低下抑制効果が十分でなく、又、1.5重量部を
超えてもそれに見合う効果の向上が得られない。
【0052】リン系酸化防止剤の例としては、ジステア
リルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,
4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
−ルジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)−4,4′−ビフエニレンホスファ
イト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペン
タエリスリト−ル−ジホスファイト、2,2′−エチリ
デンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロ
ホスファイト、トリスノニルホスファイト、トリスフェ
ニルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、ト
リス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モ
ノ、ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ
−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル]
ホスファイト、トリス[2,4−ジ−(1,1−ジメチ
ルプロピル)フェニル]ホスファイト、トリス(2−シ
クロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリスフェニル
ホスファイト、トリス(オクチルチオエチル)ホスフア
イト、トリス(オクチルチオプロピル)ホスフゥアイ
ト、トリス(クレジルチオプロピル)ホスファイト、ト
リス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)ホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−
メチル−4,6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシ
ル)ホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−
メチル−4,6−t−ブチルフェニル−ジ−オクチル)
ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−
ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)
ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)スピ
ロペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)スピロペンタ
エリスリト−ル−ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−
t−ブチル−4−エチルフェニル)スピロペンタエリス
リト−ル−ジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−
t−ブチルフェニル)スピロペンタエリスリト−ル−ジ
ホスファイト等のホスファイト系化合物、テトラキス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフ
ェニレン−ジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−
t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4−ビフェニ
レンホスホナイト等のホスホナイト化合物等が挙げられ
る。
【0053】リン系酸化防止剤の使用量は、通常、上記
(A)樹脂混合物100重量部に対し、0.01〜0.
5重量部である。リン系酸化防止剤の使用量が0.01
重量部未満だと、その添加による耐黄変性やプロセス安
定性向上の効果が十分でなく、又、0.5重量部を超え
るとそれに見合う効果の向上が得られない。
【0054】本発明に係る組成物において、脱触工程を
通さずに製造されるプロピレン系樹脂を使用するような
場合には、触媒残渣の影響を回避する上で、中和剤を適
正量使用するとよい。その使用量は、通常、プロピレン
系樹脂100重量部に対し、0.01〜0.5重量部で
ある。その使用量が0.01重量部未満だと、その添加
による耐黄変性や耐熱性の向上効果が十分でなく、又、
0.5重量部を超えるとそれに見合う効果の向上が得ら
れない。
【0055】当該中和剤としては、金属石鹸、ハイドロ
タルサイト類、ケイ酸アルミニウムカルシウム、周期律
表第II族の金属及び亜鉛、アルミニウム、錫、鉛等の
金属の酸化物並びに水酸化物等を挙げることができる。
中和剤(分散剤をも兼ねる)としては、特に、金属石
鹸、ハイドロタルサイト類を使用することが好ましい。
金属石鹸としては、高級脂肪酸若しくは脂肪酸オキシ酸
とマグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミ
ニウム、錫、鉛等の金属との金属塩等が挙げられる。高
級脂肪酸としては、炭素数10〜22の鎖状モノカルボ
ン酸が挙げられ、ステアリン酸、ラウリン酸等が好まし
い。又、脂肪酸オキシ酸としては、脂肪族カルボン酸の
側鎖にアルコール性水酸基を有するものが挙げられ、乳
酸、クエン酸、ヒドロキシステアリン酸等が好ましい。
金属石鹸の好ましい例としては、ステアリン酸マグネシ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ク
エン酸カルシウム、乳酸カルシウム、12−ヒドロキシ
ステアリン酸カルシウム、ステアリル乳酸カルシウム、
ラウリル乳酸カルシウム等が挙げられる。ハイドロタル
サイト類としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、
アルミニウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩又は結晶
水を含まないもので、天然物及び合成品が含まれる。天
然物としては、Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2
Oの構造のものが挙げられる。また、合成品としては、
Mg0.7 Al0.3 (OH)2 (CO3 0.15・0.54
2 O、Mg4.5 Al2 (OH)13CO3 ・3.5H2
O、Mg4.2 Al2 (OH)12.4CO3 、Zn6 Al2
(OH)16CO3 ・4H2 O、Ca6 Al2 (OH)16
CO3 ・4H2 O、Mg14Bi2 (OH)29.6・4.2
2 O等が挙げられる。周期律表第II族の金属等の酸
化物及び水酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カ
ルシウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム等が特に好ましい。
【0056】本発明に係る組成物には、本発明の効果を
阻害しない範囲内で、更に、紫外線吸収剤、光安定剤、
帯電防止剤、防曇剤、滑剤等他の添加剤を適宜必要に応
じて添加してもよい。
【0057】本発明の組成物は、上記(A)樹脂混合物
に、上記(B)成分及び上記(C)成分並びにラジカル
発生剤、更に、必要に応じて用いられるヒンダードアミ
ン系化合物、リン系酸化防止剤、中和剤及び他の添加剤
を添加し、例えば、スーパーミキサー、ヘンシェルミキ
サー等でドライブレンドした後、押出機等でペレット化
することにより得ることができる。
【0058】本発明の組成物は、当該ペレットを用い
て、射出成形することにより得られる射出成形品に有効
である。射出成形は、通常180〜300℃の温度での
加熱下に行われる。射出成形品としては、射出成形時及
び/又は成形品の使用時に、特に、低溶出性で、かつ、
上記のようにバランスした特性を有することが求められ
る医療用射出成形品に有用で、中でも、使い捨てシリン
ジ用に好適である。
【0059】
【実施例】以下の具体的実施例により、本発明を更に詳
細に説明する。
【0060】なお、各実施例及び比較例において、添加
剤としては、以下のものを用いた。 (a)(B)成分と(C)成分の混合物[商品名:NA
−21 旭電化工業社製] (b)ソルビトール系化合物 (1,3)2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソル
ビトール[商品名:ゲルオールMD 新日本理化社製
(以下、ゲルオールMDという。)] (c)ヒンダードアミン系化合物 コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4
−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン重縮合物、[商品名:チヌビン622LDチバガイギ
ー社製] (d)リン系酸化防止剤 トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト[商品名:Mark2112 旭電化工業社製] (e)中和剤 ステアリン酸カルシウム(日東化成社製) (実施例1〜4及び比較例1〜4)プロピレン−エチレ
ンランダム共重合体と、プロピレン単独重合体と、上記
樹脂成分の合計100重量部に対して表1及び表2に示
す配合量の(B)成分と(C)成分の混合持と、ソルビ
トール系化合物と、ヒンダードアミン系化合物と、リン
系酸化防止剤と、中和剤とを配合し、更に減成のために
過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリ
−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製 商品
名:パーヘキサ2.5B)を表1及び表2に示すメルト
フローレートとなるように、600〜1500ppmの
範囲で配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合を行っ
た。次いでこの混合物を230℃の押出機(50mm
φ、単軸スクリュー、L/D=28)で溶融混練して減
成するとともにペレット化した。
【0061】プロピレン−エチレンランダム共重合体の
エチレン含有量及びメルトフローレート(MFR)、プ
ロピレン−エチレンランダム共重合体とプロピレン単独
重合体の混合物中のエチレン含有量、及び減成後の(M
FR)を表1及び表2に合わせて示す。なお、本実施例
においてはプロピレン単独重合体のMFRは、プロピレ
ン−エチレンランダム共重合体との混練を効率よく行う
ため、共重合体と同一とした。
【0062】又、上記各実施例及び比較例において、ヒ
ンダードアミン系化合物の添加量は樹脂成分100重量
部に対して0.05重量部であり、リン系酸化防止剤は
0.1重量部であり、中和剤は0.05重量部であっ
た。
【0063】次に、前記ペレットを住友重機(株)製8
オンス射出成形機により以上の条件でサンプルを作製し
た。 シリンダ温度・・250℃又は200℃ 射出圧・・・・・250kg/cm2 保圧・・・・・・250kg/cm2 保圧時間・・・・15秒 冷却時間・・・・10秒又は20秒 金型・・・・・・80mm×80mm×3mm、フィル
ムゲート2か所取り 金型温度・・・・60℃又は30℃ このようにして得られた試験片に対して、0.2Mra
d/時間で、2.5Mradの線量となるようにγ線を
照射した後、γ線照射後の耐衝撃性の測定を行った。
【0064】γ線照射後の耐衝撃性は、デュポン・イン
パクト法で行った。この方法はJIS K7211(硬
質プラスチックの落錐衝撃試験方法通則)に従い、重錘
100g、試験温度0℃の条件下で、50%破壊エネル
ギーを測定する方法である。
【0065】次に透明性の評価を行った。透明性は、J
IS K7105に従いスガ試験機(株)製カラーコン
ピュータSM−4−2型でヘイズ(曇価)を測定した。
なお上記透明性の測定においては、試験片として250
℃で射出成形した80mm×80mm×1mmの平板を
使用した。
【0066】更に高速成形性の評価を行った。高速成形
性は、ペレットを住友重機(株)製8オンスで射出成形
機により以下のA,B二つの条件で成形品を作製し、こ
の際成形品が離型する時の状況により、以下の基準で評
価した。 成形条件 金型・・・・・・80mm×80mm×3mm、フィルムゲート2か所取り シリンダ温度・・A:250℃ B:200℃ 金型・・・・・・A:60℃ B:30℃ 射出出力・・・・一次圧900kg/cm2 二次圧250kg/cm2 サイクル・・・・射出+保圧15秒、冷却10秒 評価基準 ◎:下記○を満たし、かつ、冷却時間が短縮できる(5
秒以下)。 ○:A,Bの両方の条件で突出しピンによる変形、ソ
リ、透明性不良がなく、良好な離型性を示す。 △:A及びBのいずれか一方の条件で突出しピンによる
変形、透明性不良が認められる。 ×:A,Bの両方の条件において、成形品の固化が不十
分のために金型から離型しない。
【0067】次に、以下の試験方法に従い、熱水抽出性
を測定した。300ccの熱水にペレット50gを添加
し、120℃、5時間抽出する。その後、室温まで冷却
し、一昼夜放置する。抽出液表面に析出した抽出物の有
無をもって評価した。 ○:抽出物無し ×:抽出物有り 結果を表1及び表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】表1及び表2の結果から明らかなように、
本発明の組成物は、γ線照射後の耐衝撃性、透明性、熱
水抽出性及び高速成形性のいずれも良好である。
【0071】これに対し、各比較例の組成物は、γ線照
射後の耐衝撃性、透明性、熱水抽出性及び高速成形性の
うち少なくともひとつが不十分であった。
【0072】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン組成物は、熱水
に対する抽出性が低い等低溶出性で、しかも、耐放射線
性に優れ、かつ、高速成形性が良く、透明性及び耐熱性
にも優れており、特に、ポリプロピレン樹脂の射出成形
時及び/又はその成形品の使用時に、これらのバランス
された特性の具備が求められている医療用射出成形品、
中でも、使い捨てシリンジ製品として極めて有用であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)メルトフローレートが0.
    5〜15g/10分のプロピレン単独重合体又はエチレ
    ン含有量が1重量%以下のプロピレン−エチレンランダ
    ム共重合体と、(b)メルトフローレートが0.5〜1
    5g/10分でエチレン含有量が2.5〜5.0重量%
    のプロピレン−エチレンランダム共重合体との混合物で
    あり、そのエチレン含有量が2.3〜3.5重量%の樹
    脂混合物100重量部、(B)アルカリ金属カルボン酸
    塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β
    −ケト酢酸エステル塩からなる群から選択される少なく
    とも一種の有機アルカリ金属塩0.01〜5重量部並び
    に(C)次の[化1]の一般式(I)で表される環状有
    機リン酸エステル塩基性多価金属塩の少なくとも一種
    0.01〜5重量部を含有し、減成により調製された組
    成物のメルトフローレイトが25〜100g/10分で
    あることを特徴するポリプロピレン樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1 は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
    基を示し、R2 及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素
    数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第II
    I族又は第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律
    表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示
    し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、
    0=又は(HO)2 −を示す。)
  2. 【請求項2】 前記有機アルカリ金属塩が、アルカリ金
    属カルボン酸塩であることを特徴とする請求項1に記載
    のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記環状有機リン酸エステル塩基性多価
    金属塩が、アルミニウム塩であることを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006016600A (ja) * 2004-06-04 2006-01-19 Mitsui Chemicals Inc プロピレン系樹脂組成物並びにその組成物からなる注射器外筒および食品容器
JP4628870B2 (ja) * 2004-06-04 2011-02-09 三井化学株式会社 プロピレン系樹脂組成物並びにその組成物からなる注射器外筒および食品容器

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