JPH0987327A - 亜鉛含有樹脂の製造方法 - Google Patents

亜鉛含有樹脂の製造方法

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JPH0987327A
JPH0987327A JP24804195A JP24804195A JPH0987327A JP H0987327 A JPH0987327 A JP H0987327A JP 24804195 A JP24804195 A JP 24804195A JP 24804195 A JP24804195 A JP 24804195A JP H0987327 A JPH0987327 A JP H0987327A
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zinc
carboxylic acid
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organic carboxylic
acid
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JP24804195A
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English (en)
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Seiichi Tejima
成市 手嶋
Minoru Aoki
稔 青木
Yoshinobu Asako
佳延 浅子
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、表面硬度などの機械的性質、成形加
工性および透明性に優れた汎用性に富む亜鉛含有樹脂の
製造方法を提供する。 【解決手段】 上記課題は、重合性二重結合を持つ有機
カルボン酸化合物およびカルボキシル基を持たないビニ
ル単量体からなる重合性単量体混合物を亜鉛化合物の存
在下に共重合して亜鉛含有樹脂を製造するにおいて、該
重合性二重結合を持つ有機カルボン酸化合物が異なる2
種以上からなると共に、最も多く用いる有機カルボン酸
化合物が該有機カルボン酸化合物全量に対し70モル%
以下であり、該亜鉛化合物が共重合の際に該有機カルボ
ン酸化合物の2価の亜鉛塩に移行しうる亜鉛化合物であ
ると共に、該亜鉛化合物と該有機カルボン酸化合物全量
の当量比が1:1〜2であることを特徴とする亜鉛含有
樹脂の製造方法により達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛含有樹脂の新
規な製造方法に関する。より詳しくは、機械的性質に優
れた亜鉛含有樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属塩を含有する(メタ)アクリ
ル系樹脂を製造する方法としては、例えば、特開昭56
−74110号公報に、(メタ)アクリル酸のアルキル
エステルと、重合性不飽和カルボン酸の金属塩(Mg、
Al、Sn、Pb、Zn、Ce、Ti、Zr、Hf、
V、Cr)と、別のコモノマーとからなるモノマー混合
物を塊状でラジカル重合することによりイオン架橋アク
リル樹脂を製造する方法が記載されている。上記公報に
おいて、メタクリル酸メチルを主成分とする(メタ)ア
クリル系樹脂は、耐候性および透明性に優れ、また機械
的性質、熱的性質にバランスがとれているため、照明用
部品、自動車用部品、電気機器部品などに広く使用され
るとするものである。
【0003】しかしながら、上記公報による(メタ)ア
クリル系樹脂の製造方法では、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルに、溶解性の低い重合性不飽和カルボン酸
金属塩を溶解させたモノマー混合物を用いて共重合を行
っており、得られる樹脂中への該金属塩の含有量はモノ
マーへの該金属塩の溶解度以上に高濃度で含有すること
はできず、導入できる金属塩の量が制限されていた。そ
のため、該金属由来の耐熱性などの諸特性は十分とは言
えないものであり、得られる樹脂の利用にも一定の制限
があり汎用的に使用できないものであった。なお、可溶
化剤を用いることもできるが、多量の可溶化剤を要する
ため、該モノマー混合物を重合して得られる重合体の物
性が損なわれるなどの問題がある。さらに上記公報の製
造方法により得られる該(メタ)アクリル系樹脂ではそ
の架橋構造により成形加工性が十分でなく、こうした
(メタ)アクリル系樹脂に熱可塑性を付与し、成形加工
性を向上させることは上記公報による方法では困難であ
った。
【0004】さらに、特開昭53−63310号、特開
昭55−92340号公報には、(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレ
ンからなる群から選ばれた少なくとも1種のモノマーを
必須成分として含むモノマー中において、一般式R1
OOH(R1 =C5-20の飽和もしくは不飽和の炭化水素
基)で表される少なくとも1種の有機酸を必須成分と
し、さらに(メタ)アクリル酸および必要に応じて一般
式R2 COOH(R2 =C2-4 の(メタ)アクリル基以
外の飽和もしくは不飽和の炭化水素基)を含む有機酸混
合物と一酸化鉛とを所定の割合となるように調製して反
応させて鉛を含有するモノマー組成物を製造する方法、
およびこの鉛を含有するモノマー組成物を重合させるこ
とを特徴とする放射線遮蔽性能を有する重合体の製造方
法が記載されている。上記公報の製造方法により得られ
る重合体では、放射線遮蔽性能に加えて透明性、機械的
強度を有するため、原子炉などに用いる放射性物質を取
り扱う際に、該放射性物質からの放射線を遮蔽し、かつ
遠隔操作での作業内容が確認できるように透視性に優れ
た部材として利用し得る極めて特定な分野に用いられる
ものである。
【0005】しかしながら、上記製造方法では、可溶化
剤を用いなくとも鉛塩の導入量を増やすことはできるも
のの、利用可能な金属化合物が一酸化鉛のみに限定され
るほか、利用できる有機カルボン酸の種類および量が極
めて狭い範囲に制限されており、汎用性に乏しいもので
ある(すなわち、金属種や各モノマー組成成分間での配
合比率が相互に狭い範囲に限定された製造条件は、特に
優れた放射線遮蔽性能と良好な透明性および機械的強度
を発現するためのものである)。さらに、上記製造方法
は、放射線遮蔽性能を利用する特定用途に適した重合体
を得るためのものであり、さらに成形加工性を付与させ
るのは困難であった。
【0006】従って、こうした従来法からは、S、N、
P化合物などの可溶化剤を用いずとも多価金属塩の導入
量を増やすことができ、かつ表面硬度などの機械的性
質、透明性に加え、金属塩由来の耐熱性および成形加工
性を有し、汎用性に富む樹脂の製造方法を見出だすこと
は困難であるといえる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、従来の(メタ)アクリル系樹脂が有していた上記諸
問題を一度に解決するものである。すなわち、本発明の
目的は、S、N、P化合物などの可溶化剤を用いずとも
多価金属塩の導入量を増やすことができ、耐熱性、表面
硬度などの機械的性質、透明性および成形加工性に優れ
た汎用性に富む樹脂の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルに溶解性の低い重合性不飽和カル
ボン酸の金属塩を溶解するのではなく、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルやスチレンなどのカルボキシル基
を持たないビニル単量体および比較的溶解しやすい形態
の異なる2種以上の重合性二重結合を持つ有機カルボン
酸化合物(ただし、最も多く用いるものでも70モル%
以下とする)からなる重合性単量体混合物を金属種の中
でも特に優れた特性が得られる亜鉛化合物の存在下、共
重合反応前ないし共重合反応時にこれらを加熱条件下で
該有機カルボン酸化合物の2価の亜鉛塩(以下、単に有
機カルボン酸亜鉛塩ともいう)に移行させ、該有機カル
ボン酸亜鉛塩を該重合性単量体混合物中に均質に相溶化
し溶解させた状態でそのまま(好ましくは相溶化し透明
な溶液の状態として)適当な重合形態により共重合を行
うことにより、得られる樹脂中に高濃度で亜鉛塩を含有
することができることを見出だし、これにより透明性お
よび表面硬度などの機械的性質および成形加工性などの
特性を損なうことなく、亜鉛由来の耐熱性を付与してな
る汎用性に富む亜鉛含有樹脂が得られ、さらに、重合性
二重結合を持たない有機カルボン酸化合物を重合性単量
体混合物中に共存させて重合することで、上記諸特性を
保持したまま成形加工性の著しく向上した汎用性に富む
亜鉛含有樹脂が得られることを見出だし、本発明を完成
するに至った。
【0009】すなわち、本発明の目的は、(1) 重合
性二重結合を持つ有機カルボン酸化合物およびカルボキ
シル基を持たないビニル単量体からなる重合性単量体混
合物を亜鉛化合物の存在下に共重合して亜鉛含有樹脂を
製造するにおいて、該重合性二重結合を持つ有機カルボ
ン酸化合物が異なる2種以上からなると共に、最も多く
用いる有機カルボン酸化合物が該有機カルボン酸化合物
全量に対し70モル%以下であり、該亜鉛化合物が共重
合の際に該有機カルボン酸化合物の2価の亜鉛塩に移行
しうる亜鉛化合物であると共に、該亜鉛化合物と該有機
カルボン酸化合物全量の当量比が1:1〜2であること
を特徴とする亜鉛含有樹脂の製造方法により達成され
る。
【0010】また、本発明の他の目的は、(2) 上記
亜鉛化合物が、酸化亜鉛および/または水酸化亜鉛であ
る上記(1)に示す亜鉛含有樹脂の製造方法によっても
達成される。
【0011】さらに、本発明の他の目的は、(3) 上
記カルボキシル基を持たないビニル単量体から得られる
ポリマーのガラス転移温度が、20〜130℃であるこ
とを特徴とする上記(1)または(2)に示す亜鉛含有
樹脂の製造方法によっても達成される。
【0012】さらにまた、本発明の他の目的は、(4)
上記亜鉛化合物を、上記重合性単量体混合物に溶解さ
せた後に共重合することを特徴とする上記(1)ないし
(3)のいずれか1つに示す亜鉛含有樹脂の製造方法に
よっても達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る亜鉛含有樹脂の製造
方法における実施の形態について以下に詳述する。
【0014】まず、本発明に用いられるカルボキシル基
を持たないビニル単量体としては、特に制限されるもの
でなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)
アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸
オクタデシルおよび(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
エチルなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル化合
物、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
フェニルなどの(メタ)アクリル酸の芳香族エステル化
合物、エチレン、プロピレン、塩化ビニルなどのオレフ
ィン系の炭化水素またはこれらのハロゲン置換体、スチ
レン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどの1価のカルボン酸の
ビニルエステル化合物、(メタ)アリルアルコール、ク
ロトンアルコールなどの不飽和アルコール化合物、ジビ
ニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート、マレイン酸ジアリルなどのポリビニル
化合物、2(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレ
ート、2(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレ
ート、2(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレー
ト、2(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレー
トなどのアミン化合物、2−ビニルピリジン、3−ビニ
ルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビ
ニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、2−
ビニル−5−エチルピリジン、2−ビニルキリノン、1
−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、1−
メチル−3−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾ
ール、2−ビニルイミダゾール、4−ビニルイミダゾー
ル、4−ビニルピリミジン、1−メタクリロイルアジリ
ジン、2−(1−アジリジニル)エチルメタクリレー
ト、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイ
ルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジ
ン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−
ペンタメチルピペリジン、9−アザ−3−アクリロイル
オキシメチル−3−エチル−8,8,10,10−テト
ラメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[5.5]ウンデ
カンなどの窒素原子含有有機複素環化合物などを挙げる
ことができ、これらの中から1種または2種以上用いる
ことができる。このうち好ましくは、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、
メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、
アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、
メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、
メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チルなどの該(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル化合
物、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
フェニルなどの(メタ)アクリル酸の芳香族エステル化
合物、ならびにスチレン、メチルスチレンなどの芳香族
ビニル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を
主成分とする単量体であり、より好ましくは、メタクリ
ル酸メチルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル
化合物である。
【0015】また、上記ビニル単量体の好適なものとし
て例示した主成分(ないし全成分)が、通常80〜10
0モル%、好ましくは90〜100モル%の割合で含ま
れることが望ましい。該主成分の割合が上記範囲にある
場合には、当該主成分に基づく耐候性や透明性などの特
性が向上した樹脂を形成できるからである。
【0016】また、重合性単量体混合物に対する上記ビ
ニル単量体の割合は、通常60〜99.8モル%、好ま
しくは70〜99.0モル%の範囲である。該ビニル単
量体の割合が60モル%未満の場合には、該ビニル単量
体の重合により得られる亜鉛含有樹脂本来の特性を維持
できないため好ましくなく、99.8モル%を越える場
合には、亜鉛塩の含有量が制限されるため、本発明の特
徴である透明性、成形加工性、表面硬度などの機械的強
度に加えて亜鉛由来の優れた耐熱性、耐候性が十分に付
与されないため好ましくない。
【0017】さらに、上記ビニル単量体としては、該ビ
ニル単量体から得られるポリマーのガラス転移温度が2
0〜130℃であるものを用いることが望ましい。これ
により得られる亜鉛含有樹脂に汎用性の成形材料(構造
体)に求められる衝撃強度や表面硬度などの機械的性
質、耐熱性、成形加工性、透明性などを付与できるもの
である。こうしたガラス転移温度(20〜130℃)を
有するビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸メ
チル(104℃)、メタクリル酸エチル(66℃)、メ
タクリル酸n−プロピル(35℃)メタクリル酸イソプ
ロピル(81℃)、メタクリル酸t−ブチル(107
℃)、アクリル酸t−ブチル(43℃)、メタクリル酸
sec−ブチル(60℃)、メタクリル酸シクロヘキシ
ル(66℃)、メタクリル酸ベンジル(54℃)、メタ
クリル酸フェニル(110℃)、メタクリル酸2−ヒド
ロキシエチル(55℃)、スチレンないしメチルスチレ
ンなどを挙げることができる(なお、例示物質の後のカ
ッコ内の温度は、当該例示物質によるホモポリマーのガ
ラス転移温度を表わす)。なお、上記ビニル単量体がn
成分(nは2以上の整数)以上の混合物(成分1〜成分
n)の場合、該ビニル単量体から得られるポリマーのガ
ラス転移温度は、Foxの式(1) 1/Tg=W1 /Tg1 +W2 /Tg2 +… …+Wn /Tgn …(1) (式中、Tgはビニル単量体の混合物から得られるポリ
マーのガラス転移温度、Tg1 はビニル単量体の成分1
のホモポリマーのガラス転移温度、Tg2 はビニル単量
体の成分2のホモポリマーのガラス転移温度、Tgn
ビニル単量体の成分nのホモポリマーのガラス転移温度
を示す。また、W1 はビニル単量体の成分1の重量分
率、W2 はビニル単量体の成分2の重量分率、Wn はビ
ニル単量体の成分nの重量分率を示す。)で計算した結
果により与えられる値とする。
【0018】続いて、本発明に用いられる重合性二重結
合を持つ有機カルボン酸化合物としては、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸、4−ペンテン酸、
5−ヘキセン酸、3−メチル−3−ブテン酸、4−メチ
ル−4−ペンテン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、ケ
イヒ酸、3−ペンテン酸、3−メチル−4−ペンテン
酸、2−アクリロイル酢酸、3−アクリロイルプロピオ
ン酸、2−メタクリロイル酢酸、3−オキソ−5−メチ
ル−5−ヘキセン酸、3−オキソ−4−メチル−4−ヘ
キセン酸、3−アクリロイルブタン酸、2−アクリロイ
ルアミノ酢酸、3−アクリロイルアミノプロピオン酸、
2−メタクリロイルアミノ酢酸、2−メタクリロイルア
ミノプロピオン酸、2−(2−ブテノイル)アミノ酢
酸、2−アクリロイルチオ酢酸、3−アクリロイルチオ
プロピオン酸、2−メタクリロイルチオ酢酸、2−メタ
クリロイルチオプロピオン酸、2−(2−ブテノイル)
チオ酢酸、2−アクリロイルオキシ酢酸、3−アクリロ
イルオキシプロピオン酸、2−メタクリロイルオキシ酢
酸、3−メタクリロイルオキシプロピオン酸、4−メタ
クリロイルオキシシクロヘキサンカルボン酸、4−メタ
クリロイルオキシ安息香酸、2−(2−ブテノイル)オ
キシ酢酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、3
−アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−メタクリ
ロイルオキシエチルコハク酸、3−メタクリロイルオキ
シプロピルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフ
タル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2
−(2−ブテノイル)オキシエチルコハク酸、1,15
−ジカルボキシ−4,9,12−トリオキサ−3,8,
13−トリオキソ−6−ペンタデケン、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸などの不飽和二塩基カルボン酸、マ
レイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノアリルエ
ステルなどの1価のアルコールと不飽和二塩基カルボン
酸とのモノエステル化合物などが挙げられ、本発明で
は、これらの中から任意の異なる2種以上のものを用い
ることを特徴とするものである。こうした異なる2種以
上のものを利用することで、重合性単量体混合物中で合
成される重合性二重結合を持つ有機カルボン酸の2価の
亜鉛塩として、例えば、亜鉛化合物とアクリル酸とメタ
クリル酸の2種の酸との間に形成された亜鉛塩、亜鉛化
合物とアクリル酸とイソ吉草酸の2種の酸との間に形成
された亜鉛塩などのように亜鉛化合物と異なる複数の酸
との間で形成された亜鉛塩(本明細書中では、当該塩を
非対称亜鉛塩とも称する)を形成することができるため
である。したがって、かかる非対称亜鉛塩の合成比率を
高めるため、異なる2種以上からなる重合性二重結合を
持つ有機カルボン酸化合物のうち、最も多く用いる有機
カルボン酸化合物であっても、該有機カルボン酸化合物
全量に対し70モル%以下となるようにする必要があ
る。上記範囲を外れる場合には、亜鉛化合物と有機カル
ボン酸化合物との間で形成される亜鉛塩のうち、特に亜
鉛化合物と異なる2種の有機カルボン酸化合物との間で
形成される非対称亜鉛塩の合成比率が極めて低くなるた
め、上記ビニル単量体中での非対称亜鉛塩の優れた凝集
阻害作用および溶解安定性の向上促進作用が十分に発揮
されなくなる恐れがあるほか、重合性単量体混合物中に
不溶物が生成して均一な重合ができなくなり、得られる
樹脂が不透明になったりするという問題が生ずるためで
ある。
【0019】次に、本発明に用いられる亜鉛化合物とし
ては、該亜鉛化合物が共重合の際に異なる2種以上から
なる重合性二重結合を持つ有機カルボン酸化合物との間
で該有機カルボン酸化合物の2価の亜鉛塩(有機カルボ
ン酸亜鉛塩)に移行しうる亜鉛化合物であればよいこと
から、重合性単量体混合物中で重合温度範囲内の温度条
件下において有機カルボン酸亜鉛塩に移行しうる亜鉛化
合物もこれに含まれるものである。こうした亜鉛化合物
としては、例えば、亜鉛の酸化物、水酸化物、ハロゲン
化物、酢酸塩および硝酸塩などを挙げることができる。
中でも亜鉛の酸化物および/または水酸化物を用いるこ
とが好ましい。該亜鉛化合物を用いることにより従来法
で用いられている鉛化合物等の耐熱性、耐候性に加え
て、より優れた成形加工性や表面硬度などの機械的性質
等を発現できるものである。
【0020】また、上記亜鉛化合物と上記有機カルボン
酸化合物全量の当量比は、1:1〜2である。これは、
化学量論的に有機カルボン酸亜鉛塩を合成するには、亜
鉛化合物1当量に対して少なくとも1当量の有機カルボ
ン酸化合物(全量)が必要であり、さらに実際に有機カ
ルボン酸亜鉛塩の生成効率を高める、すなわち、反応を
完全に進行させるためには、亜鉛化合物1当量に対して
1〜2当量の有機カルボン酸化合物(全量)を用いるこ
とが必要となることによる。なお、上記範囲を外れる場
合には、亜鉛化合物と有機カルボン酸化合物との間で形
成される亜鉛塩(好ましくは亜鉛化合物と異なる2種の
有機カルボン酸化合物との間で形成される亜鉛塩である
非対称亜鉛塩)の形成が不十分となるため、上記重合性
単量体混合物中での該亜鉛塩、特に非対称亜鉛塩による
凝集阻害作用および溶解安定性の向上促進作用が十分に
発揮されないなど好ましくない。
【0021】なお、本発明に係る亜鉛含有樹脂の製造方
法では、必要に応じて、重合性二重結合を持たない有機
カルボン酸化合物を前述の重合性単量体混合物に添加し
て共重合を行っても良い。これにより得られる亜鉛含有
樹脂の成形加工性をより一層高めることができるもので
ある。こうした重合性二重結合を持たない有機カルボン
酸化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、クロトン
酸、ナグリン酸、セネシオン酸、ヘキサン酸、オクチル
酸、ステアリン酸、パルミチン酸、リノレイン酸、ナフ
テン酸などの飽和脂肪族モノカルボン酸類、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸類、
シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、サ
ルチル酸、ナフトエ酸、フタル酸、ケイヒ酸などの炭酸
環カルボン酸類、フランカルボン酸、チオフェンカルボ
ン酸、ピリジンカルボン酸などの複素環カルボン酸類、
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの高分子カルボ
ン酸類などが挙げられ、これらの化合物の中の1種また
は2種以上を用いることができる。特に飽和脂肪族モノ
カルボン酸類および炭素環カルボン酸類が好ましい。ま
た、該重合性二重結合を持たない有機カルボン酸化合物
の分子量は、1万未満のものが好ましい。分子量が1万
を越える場合には、立体障害などにより十分な反応性を
発現できないおそれがある。
【0022】また、上記亜鉛化合物1モルに対する上記
重合性二重結合を持たない有機カルボン酸化合物の割合
は、通常0.1〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの
範囲とすることが好ましい。該重合性二重結合を持たな
い有機カルボン酸化合物の割合が0.1モル未満の場合
には、得られる樹脂の成形加工性への寄与が不十分とな
り所望の成形加工性を発現することができず、2モルを
越える場合には、重合性単量体混合物中に不溶物が生成
して均一な重合ができなくなったり、得られる樹脂が不
透明になったりするという問題が生ずる。
【0023】次に、本発明に係る亜鉛含有樹脂の製造方
法では、上述の要件を備えるように調製された重合性単
量体混合物を亜鉛化合物の存在下に共重合するものであ
るが、好ましくは、該重合性単量体混合物を撹拌しなが
ら加熱して透明で均質な溶液とし、すなわち有機カルボ
ン酸亜鉛塩に移行させて共重合を行う方法が望ましい。
すなわち、共重合反応の際の加熱により、重合性単量体
混合物中で有機カルボン酸亜鉛塩を合成して共重合を行
ってもよいが、この場合、重合系内が不均質な状態を生
じ易く、得られる亜鉛含有樹脂の品質にバラツキを生じ
るおそれがあることから、事前に加熱により亜鉛化合物
の存在下で重合性単量体混合物中で該有機カルボン酸亜
鉛塩(好ましくは非対称亜鉛塩)を合成し(該有機カル
ボン酸亜鉛塩を(凝集させることなく)均質に相溶化
(溶解)した透明な溶液とし)、そのまま共重合を行う
ことができるものであり、これにより極めて均質で安定
な品質の亜鉛含有樹脂を得ることができるものである。
ここで、事前に加熱により亜鉛化合物の存在下で重合性
単量体混合物中で該有機カルボン酸亜鉛塩(好ましくは
非対称亜鉛塩)を合成する場合の加熱温度としては、後
述する重合温度の範囲内であればよく、また加熱時間と
しては、通常0.2〜2時間、好ましくは0.5〜1時
間である。該加熱温度が重合温度の範囲を外れる場合に
は、重合性単量体混合物中での亜鉛化合物の有機カルボ
ン酸亜鉛塩への移行(すなわち合成反応)が起こらなか
ったり進行しにくかったりするため、その後の共重合の
際にも亜鉛塩への移行が行われるため重合系内が不均質
な状態を生じ易く、得られる亜鉛含有樹脂の品質にバラ
ツキを生じるおそれがあったり、重合性単量体混合物の
一部が変性もしくは分解を受けたり、重合反応を引き起
こすなど好ましくない。また加熱時間が0.2時間未満
の場合には、重合性単量体混合物中での亜鉛化合物の亜
鉛塩への移行(すなわち合成反応)が完了しておらず、
その後の共重合の際にも亜鉛塩への移行が行われるため
重合系内が不均質な状態を生じ易く、得られる亜鉛含有
樹脂の品質にバラツキを生じるおそれがあるなど好まし
くなく、また2時間を越える場合には、すでに亜鉛塩へ
の移行(合成反応)が完了し透明な溶液となっており、
さらに加熱を継続するに見合うだけの効果が得られず不
経済である。
【0024】本発明における共重合は、公知の重合方法
を用いて行うことができるが、ラジカル重合法を用いる
ことが好ましい。共重合の際に添加する重合開始剤とし
ては、通常公知のフリーラジカル触媒、例えば、過酸化
ベンゾイル、過酸化ラウロイル、第三級ブチルヒドロキ
シパーオキサイド、過酸化クメン、過酸化メチルエチル
ケトン、第三級ブチルパーフタレート、カプロイルパー
オキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫
酸ナトリウム、過酸化水素などの無機酸化物、アゾビス
イソブチロニトリル、アゾビスイソブチルアミド、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
アゾビス(α−メチルバレロニトリル)、アゾビス(α
−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物などを挙げ
ることができ、これらの中から1種または2種以上用い
ることができる。これらの重合開始剤は、重合性単量体
混合物全体に対して通常0.01〜10重量%、好まし
くは0.15重量%の範囲内で適宜使用できる。該重合
開始剤が0.01重量%未満の場合には、重合系におけ
る開始剤濃度が十分でなく、系全体での反応収率が低く
なるため好ましくなく、また10重量%を越える場合に
は、添加に見合うだけのさらなる効果が得られず不経済
である。
【0025】本発明においては、共重合により得られる
樹脂の分子量を調節するために、ラウリルメルカプタ
ン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノー
ル、2−メルカプト酢酸、四塩化炭素および四臭化炭素
などの連鎖移動剤を使用してもよい。
【0026】さらに、上記重合開始剤や連鎖移動剤など
の種類や使用量、重合温度、時間および圧力などの重合
条件は適宜決定すればよいが、とりわけ、事前に加熱し
て重合性単量体混合物中で有機カルボン酸亜鉛塩を合成
することなく共重合を開始する場合においては、事前に
有機カルボン酸亜鉛塩が合成されていないため共重合反
応時に重合性単量体混合物中で有機カルボン酸亜鉛塩を
合成し、これとビニル単量体との間で共重合を促進する
ことが好ましく、そのためには該共重合反応における重
合温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜70℃
であり、重合時間は、通常0.2〜2時間、好ましくは
0.5〜1時間である。該重合温度が30℃未満の場合
には、重合性単量体混合物中での亜鉛化合物の有機カル
ボン酸亜鉛塩への移行(すなわち合成反応)が不十分と
なるため共重合により得られる樹脂への有機カルボン酸
亜鉛塩の含有量が低下し、また未反応な重合性単量体混
合物が樹脂内に混入することによる透明性の低下などが
生じ好ましくなく、また90℃を越える場合には、重合
性単量体混合物の一部が変性もしくは分解を受けるなど
好ましくない。また重合時間が0.2時間未満の場合に
は、重合性単量体混合物中での亜鉛化合物の有機カルボ
ン酸亜鉛塩への移行(すなわち合成反応)および共重合
反応が完了しておらず、未反応な重合性単量体混合物が
樹脂内に混入することによる透明性の低下などが生じ好
ましくなく、また2時間を越える場合には、すでに共重
合反応が完了しており、さらに加熱を加えるに見合うだ
け効果が得られず不経済である。
【0027】また、本発明に係る亜鉛含有樹脂の製造方
法で利用可能な重合形態としては、特に制限はなく、例
えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合
法などの公知の重合形態を採用することができる。例え
ば、共重合により合成される亜鉛含有樹脂を亜鉛含有微
粒子の形で得るには、懸濁重合法または乳化重合法(分
散重合法)を用いるのが望ましく、これにより均質な微
粒子を容易に得ることができ、熱可塑性の亜鉛含有樹脂
を共重合により得るには、塊状重合法の1つである注型
重合法を用いるのが望ましく、これにより透明性の高い
亜鉛含有樹脂を容易に得ることができる。さらに、こう
した重合形態に応じて懸濁剤や乳化剤などの各種添加剤
が使用できる。例えば、共重合の前または後工程で、必
要に応じて、補強性充填剤としてカーボン、ヒュームド
シリカ、湿式シリカ、タルク、クレー系充填剤、石英粉
末、けいそう土などの1種または2種以上を混合使用す
ることができる。また、可塑剤としてコモレックNo.
2オイル、サンパー2280、PW−380などの1種
または2種以上を混合使用することができる。老化防止
剤としてナウガード455、イルガノックス1010、
ノクラック224、ノクラックWhite、ノクラック
630F、ノクラック810NA、アンチージODなど
の1種または2種以上を混合使用することができる。ま
た、上述の亜鉛含有微粒子を得る際に用いることのでき
る分散剤としては、例えば、低分子シロキサン、シラノ
ール基含有シラン、アルコキシシランなどが挙げられ、
こられを1種または2種以上を混合使用することができ
る。この他、必要に応じて、着色剤、改質剤、安定剤、
増量剤、離型剤などの各種添加剤を混合使用することが
できる。また、本発明では、特に可溶化剤を用いずとも
樹脂中への亜鉛導入量を増やすことができるが、可溶化
剤を用いてはならないというわけでもなく、従来法のよ
うに多量に用いることによる弊害がでない程度の範囲内
であれば、その使用に何ら問題はない。該可溶化剤とし
ては、例えば、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,
6,6−ペンタメチルピペリジンなどの窒素原子を有す
る有機化合物、アリールメルカプタンなどのチオール基
を含む化合物などを用いることができる。また重合性単
量体混合物に対する該可溶化剤の割合は、0〜3モル%
の範囲である。
【0028】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】実施例1 メタクリル酸メチル99g(0.99モル、Tg=10
4℃)に酸化亜鉛0.81g(0.01モル)、メタク
リル酸1.0g(0.012モル)およびアクリル酸
0.58g(0.008モル)を添加した。この混合液
を70℃で30分間加熱撹拌して均一透明な溶液にし
た。この溶液にラジカル重合開始剤として過酸化ラウロ
イル0.5gを添加溶解した。この混合物を2枚のガラ
ス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセル中
に注入し、70℃で4時間重合後、120℃で2時間、
後硬化して樹脂(1)を得た。
【0030】実施例2 メタクリル酸メチル95g(0.95モル)に水酸化亜
鉛5.0g(0.05モル)、メタクリル酸5.7g
(0.066モル)、アクリル酸3.2g(0.044
モル)およびヘキサン酸2.9g(0.025モル)を
添加した。この混合液を70℃で30分間加熱撹拌して
均一透明な溶液にした。この溶液にラジカル重合剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル0.5gを添加溶解し
た。この混合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケッ
トを用いて組み立てたセル中に注入し、70℃で4時間
重合後、120℃で2時間、後硬化して樹脂(2)を得
た。
【0031】実施例3 メタクリル酸メチル90g(0.90モル)に水酸化亜
鉛9.9g(0.10モル)、2−メタクリロイルオキ
シエチルフタル酸27.8g(0.1モル)およびメタ
クリル酸3.9g(0.045モル)を添加した。この
混合液を70℃で30分間加熱撹拌して均一透明な溶液
にした。この溶液にラジカル重合開始剤として過酸化ベ
ンゾイル0.5gを添加溶解した。この混合物を2枚の
ガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセ
ル中に注入し、70℃で4時間重合後、120℃で2時
間、後硬化して樹脂(3)を得た。
【0032】実施例4 メタクリル酸メチル100g(1.0モル)に水酸化亜
鉛30g(0.3モル)、メタクリル酸26g(0.3
0モル)およびアクリル酸22g(0.31モル)を添
加した。この混合液を70℃で30分間加熱撹拌して均
一透明な溶液にした。この溶液にラジカル重合開始剤と
して過酸化ラウロイル0.5gを添加溶解した。この混
合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて
組み立てたセル中に注入し、70℃で4時間重合後、1
20℃で2時間、後硬化して樹脂(4)を得た。
【0033】比較例1 メタクリル酸メチル90g(0.90モル)にメタクリ
ル酸6.0g(0.07モル)およびアクリル酸2.2
g(0.03モル)を添加した。この溶液にラジカル重
合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5gを
添加溶解した。この混合物を2枚のガラス板とテフロン
製ガスケットを用いて組み立てたセル中に注入し、70
℃で4時間重合後、120℃で2時間、後硬化して比較
用の樹脂(1)を得た。
【0034】比較例2 メタクリル酸メチル100g(1.0モル)に水酸化亜
鉛30g(0.3モル)、メタクリル酸6.0g(0.
07モル)およびアクリル酸38.9g(0.54モ
ル)を添加した。この混合液を70℃で30分間加熱撹
拌したが溶液は透明にならず沈澱物が残った。この混合
物にラジカル重合剤として過酸化ベンゾイル0.5gを
添加溶解した。この混合物を2枚のガラス板とテフロン
製ガスケットを用いて組み立てたセル中に注入し、70
℃で4時間重合後、120℃で2時間、後硬化して比較
用の樹脂(2)を得た。この樹脂は白濁していた。
【0035】実施例5 実施例1〜4で得られた本発明の樹脂(1)〜(4)
と、比較例1で得られた比較用の樹脂(1)を用いて耐
熱性、成形加工性、表面硬度(機械的性質)および透明
性の評価を行った。結果は表1に示す通りであった。
【0036】[評価方法]耐熱性は、熱機械的分析装置
(セイコー電子工業株式会社製TMA120C)を用い
て厚さ1mmの樹脂でガラス転移温度を測定して評価し
た。
【0037】成形加工性は、メルトインデクサー(株式
会社東洋精機製作所製)を用いて210℃、10kgf
の条件下で10分間に流動した樹脂の重量(MI値)を
測定して評価した。
【0038】表面硬度は、電動式鉛筆硬度試験機(株式
会社安田精機製作所製)を用いて厚さ1mmの樹脂につ
いて表面硬度を測定して評価した。
【0039】透明性は、ヘイズメーター(日本電色工業
株式会社製SZ−シグマ90型)を用いて厚さ2mmの
樹脂について全光線透過率を測定して評価した。これら
の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1から明らかなように、本発明の製造方
法で得られた亜鉛含有のメタクリル系樹脂(1)〜
(4)は、耐熱性、硬度が共に優れていた。さらに、透
明性が優れていた。
【0042】しかし、比較用の亜鉛含有のないメタクリ
ル系樹脂(1)は、耐熱性、硬度ともに劣っていた。ま
た、比較用の亜鉛含有のメタクリル系樹脂(2)は不透
明であった。
【0043】
【発明の効果】本発明に係る亜鉛含有樹脂の製造方法で
は、重合性多価金属塩をビニル単量体に溶解させる方法
を用いる場合に比して樹脂中に亜鉛塩を高濃度に導入で
きる、すなわち、可溶化剤を用いずとも重合性単量体混
合物中に亜鉛塩を高濃度に溶解(相溶化)できる(重合
性単量体混合物中に最大で40モル%程度溶解可能であ
る)ため、表面硬度などの機械的性質、透明性に優れ、
さらに亜鉛塩に由来する優れた耐熱性および成形加工性
を備えた汎用性に富む亜鉛含有樹脂を得ることができる
ものである。また、可溶化剤を用いる場合でも、多量に
用いなくとも十分にその効果が現れるため、亜鉛含有樹
脂の物性の低下を招くこともない。
【0044】また本発明では、重合性単量体混合物中で
加熱条件下で亜鉛化合物と重合性二重結合を持つ有機カ
ルボン酸化合物との間で有機カルボン酸亜鉛塩(好まし
くは非対称亜鉛塩)の合成を行うことで、重合性単量体
混合物中での該有機カルボン酸亜鉛塩の凝集が阻害で
き、かつ溶解安定性が向上でき、さらに用いる有機カル
ボン酸化合物の種類もビニル単量体および亜鉛化合物の
種類などに応じて適宜選択することができるなど、きわ
めて汎用性に富む亜鉛含有樹脂を製造することができ
る。
【0045】さらに、共重合反応前に重合性単量体混合
物中で加熱条件下で有機カルボン酸亜鉛塩(好ましくは
非対称亜鉛塩)を合成してもよく、この場合には、共重
合に際して該重合性単量体混合物中に均質に有機カルボ
ン酸亜鉛塩を溶液化(溶解)した状態にあるため、該樹
脂中に亜鉛塩を高濃度に含有でき、かつ該亜鉛含有樹脂
の品質をより高めることができるため、高品質であっ
て、耐熱性、耐候性、表面硬度などの機械的性質、成形
加工性および透明性に優れた亜鉛含有樹脂を得ることが
でき、また重合形態を任意に選択することが可能である
ほか、必要に応じて、重合性二重結合を持たない有機カ
ルボン酸化合物を重合性単量体混合物中に共存させて共
重合することで、上記諸特性を保持したまま成形加工性
の著しく向上した汎用性に富む亜鉛含有樹脂をも得るこ
とができることから、使用用途に応じて、板材やフィル
ム材などの成形材状あるいは微粒子状など様々な形状の
樹脂材を得ることができ、例えば、照明用部品、自動車
など輸送機用部品、電気機器部品、建築関連部品、計器
用部品、パネルなどの広告・標示用部品などなど幅広い
分野に汎用性のある材料として利用できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性二重結合を持つ有機カルボン酸化
    合物およびカルボキシル基を持たないビニル単量体から
    なる重合性単量体混合物を亜鉛化合物の存在下に共重合
    して亜鉛含有樹脂を製造するにおいて、 該重合性二重結合を持つ有機カルボン酸化合物が異なる
    2種以上からなると共に、最も多く用いる有機カルボン
    酸化合物が該有機カルボン酸化合物全量に対し70モル
    %以下であり、 該亜鉛化合物が共重合の際に該有機カルボン酸化合物の
    2価の亜鉛塩に移行しうる亜鉛化合物であると共に、該
    亜鉛化合物と該有機カルボン酸化合物全量の当量比が
    1:1〜2であることを特徴とする亜鉛含有樹脂の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記亜鉛化合物が、酸化亜鉛および/ま
    たは水酸化亜鉛である請求項1に記載の亜鉛含有樹脂の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記カルボキシル基を持たないビニル単
    量体から得られるポリマーのガラス転移温度が、20〜
    130℃であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の亜鉛含有樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記亜鉛化合物を、前記重合性単量体混
    合物に溶解させた後に共重合することを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれか1項に記載の亜鉛含有樹脂の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023058077A (ja) * 2021-10-13 2023-04-25 浅田化学工業株式会社 樹脂改質用モノマー組成物

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