JPH0985080A - 吸水性セルロース材料の製造方法 - Google Patents

吸水性セルロース材料の製造方法

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JPH0985080A
JPH0985080A JP24910895A JP24910895A JPH0985080A JP H0985080 A JPH0985080 A JP H0985080A JP 24910895 A JP24910895 A JP 24910895A JP 24910895 A JP24910895 A JP 24910895A JP H0985080 A JPH0985080 A JP H0985080A
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acid
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carboxyl group
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JP24910895A
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Kozo Tajiri
耕三 田尻
Kumiko Ren
久美子 廉
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い塩水吸水能力と生分解性を有するする吸
水性セルロース材料の製造方法の提供。 【解決手段】 カルボキシル基を有する水溶性セルロー
ス誘導体の水溶液に架橋剤と必要に応じて架橋助剤を反
応させて得られるハイドロゲルを、水と相溶性のある有
機溶媒、強酸及び水からなる混合溶媒中で粉砕し、カル
ボキシル基を酸型に変えた後、粉砕されたゲルを混合溶
媒から分離し、水を加えてゲル中の水溶性成分を除去
し、次いで水と相溶性を有する有機溶媒中でアルカリを
加えて、ゲル中の酸型のカルボキシル基を塩型に戻した
後、乾燥する。前記混合溶媒中に水と相溶性のある有機
溶媒が35〜100重量%、水が0〜65重量%の混合
物に、強酸が0.15〜4規定含まれる。強酸は、塩
酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸から選ばれた一
種、もしくはこれらの混合物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多量の塩水を吸収
するだけでなく、一旦吸収した塩水を保持する能力にも
優れており、各種の衛生材料、農業資材、食品包装材
料、土木・建築材料等の広い分野において有用な吸水性
セルロース材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水又は食塩水のように多くの塩類を含ん
だ水溶液の吸水材料としては、近年、高吸水性樹脂と呼
ばれる一群の材料が知られ、実用化に供されている。こ
れらの樹脂材料は、基本的には水溶性高分子化合物をわ
ずかに架橋し、水に対して不溶化した化学構造を有する
ものである。このような高吸水性材料としては、例えば
澱粉にアクリロニトリルをグラフト重合した後、これを
加水分解したもの、澱粉にアクリル酸金属塩をグラフト
重合したもの、アクリル酸を共重合性架橋剤とともに重
合した架橋樹脂、メタクリル酸メチル−酢酸ビニル共重
合体の加水分解物など数多くのものが提案されており、
これらの幾つかは実用化されている。
【0003】伝統的な吸水性材料として知られている
綿、パルプ、紙、布、不織布、スポンジ等は、毛細管現
象によって吸水するものであるが、これに対し、前記の
高吸水性樹脂は吸水の原理が浸透圧であるため、毛細管
現象よりもはるかに多量の水を吸収することができる。
又、高吸水性樹脂は、吸水状態で圧力がかかっても簡単
に水を再放出しないという優れた特徴を有している。こ
のため高吸水性樹脂の用途として、使い捨て紙おむつ、
生理用品等の衛生材料分野、土壌保水剤、育苗用シート
等の農業資材分野、食品鮮度保持材、脱水材等の食品分
野、トンネル掘削時の逸泥防止、建物の結露防止シート
等の土木・建築材料として広範囲に使用されている。
【0004】以上の説明からわかるように高吸水性樹脂
の用途の大部分は使い捨てであるが、これらの高吸水性
樹脂は生分解性がないので、環境を汚染する恐れがあ
り、環境保護に関する意識の高まりとともに生分解性の
ある高吸水性樹脂が望まれるようになってきた。
【0005】生分解性のある高吸水性樹脂としては、合
成高分子ではなく多糖類を架橋した吸水性材料が知られ
ており、特にカルボキシメチルセルロースを用いる方法
が数多く検討されている(特開昭49−128987号
公報、特開昭50−85689号公報、特開昭54−1
63981号公報、特開昭56−28755号公報、特
開昭58−1701号公報、特開昭60−94401号
公報、特開昭61−89364号公報)。又、本発明者
等もセルロース誘導体を用いた高吸水性セルロース材料
の製造方法を提案した(特願平6−174174号及び
特願平7−52545号)。しかしながら、これらの吸
水性材料を、最も多く使用されているポリアクリル酸系
の高吸水性樹脂と比較した場合、吸水量、吸水速度、ゲ
ル強度、べたつき感等の項目でいずれかが劣る場合がほ
とんどであった。
【0006】例えば特開昭58−1701号公報には、
カルボキシメチルセルロース水溶液に、アルカリ金属水
酸化物及びアルカリ性反応媒体中のセルロースに対し反
応性のある架橋剤を混合し、加熱して反応させた後、得
られたカルボキシメチルセルロースのハイドロゲルを、
水と相溶性を有する有機溶媒を用いて、脱水・脱塩する
ことを特徴とする吸水体の製造法が開示されている。こ
の製造法では高い吸水量を有する吸水性材料が得られる
が、脱塩を完全に行うことが難しく、そのためアルカリ
金属水酸化物が残留しがちで、衛生材料に用いるには問
題があるし、吸水させたゲルがべたつくという欠点があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記従
来技術の欠点を解決すべく鋭意研究した結果、カルボキ
シル基を有する水溶性セルロース誘導体水溶液を架橋し
て得られるハイドロゲルを、強酸と有機溶媒を含む特定
組成の混合溶媒中で粉砕した後、水でゲル中の水溶性成
分を除去し、水と相溶性を有する有機溶媒中で酸型のカ
ルボキシル基を塩型に戻すことによってポリアクリル酸
系高吸水性樹脂と同等の吸水能を有する吸水性セルロー
ス材料が得られることを見出し本発明を完成するに至っ
た。本発明の目的は、カルボキシル基を有する水溶性セ
ルロース誘導体から、ポリアクリル酸系高吸水性樹脂と
同等の吸水量、吸水速度、ゲル強度、べたつき感などを
有し、かつ生分解性であるというポリアクリル酸系高吸
水性樹脂にない特徴を備える吸水性セルロース材料を製
造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、カルボ
キシル基を有する水溶性セルロース誘導体の水溶液に架
橋剤と必要に応じて架橋助剤を反応させて得られるハイ
ドロゲルを、水と相溶性のある有機溶媒、強酸及び水か
らなる混合溶媒中で粉砕し、カルボキシル基を酸型に変
えた後、粉砕されたゲルを混合溶媒から分離し、水を加
えてゲル中の水溶性成分を除去し、次いで水と相溶性を
有する有機溶媒中でアルカリを加えて、ゲル中の酸型の
カルボキシル基を塩型に戻した後、乾燥することを特徴
とする吸水性セルロース材料の製造方法である。本発明
の第二は、水と相溶性のある有機溶媒、強酸及び水の中
から選ばれて構成される混合溶媒の組成が、水と相溶性
のある有機溶媒が35〜100重量%、水が0〜65重
量%の混合物に、強酸が0.15〜4規定含まれている
ことを特徴とする本発明の第一に記載の吸水性セルロー
ス材料の製造方法である。本発明の第三は、強酸が塩
酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸から選ばれた一
種、もしくはこれらの混合物であることを特徴とする本
発明第一又は第二に記載の吸水性セルロース材料の製造
方法である。
【0009】本発明に使用されるカルボキシル基を有す
る水溶性セルロース誘導体としては、カルボキシメチル
セルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルヒドロキシエチルセルロース等を挙げることがで
き、これらは単独で或いは適宜選択して混合して用いら
れる。又、これらのセルロース誘導体中に、水溶性を保
てる範囲内でカルボキシル基以外の置換基、例えばヒド
ロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基、エ
チル基、シアノエチル基、硫酸基、リン酸基等が存在し
てもよい。前記セルロース誘導体は、水溶性であれば置
換度の大小にかかわらずどのようなものでも使用できる
が、水溶液とした時の溶液の粘度があまり小さいものは
多量の架橋剤を使用してもハイドロゲルを生成し難く、
かつ吸水量が小さくなる傾向があり不適である。逆に、
溶液の粘度があまり高いものは均一な水溶液としたり、
架橋剤を均一に混合することが困難となるため好ましく
ない。実用的には溶液の粘度は、セルロース誘導体の1
重量%水溶液を25℃でB型粘度計により測定した値で
20〜1000cpの範囲のものを使用するのがよい。
【0010】本発明では、まず、前記のセルロース誘導
体を水に溶解し、均一な水溶液とする。この時、濃度が
低過ぎるとハイドロゲルを形成しなかったり、架橋剤を
多量に必要とするので、均一な水溶液を形成する限り高
めの濃度とするのがよい。この濃度は、用いる水溶性セ
ルロース材料の種類と溶液の粘度により異なるが、5〜
20重量%の範囲である。次に、セルロース誘導体の均
一な水溶液に、架橋剤と必要に応じて架橋助剤を添加、
混合し、反応させハイドロゲルを形成させる。
【0011】架橋剤としては水の中でセルロース誘導体
と反応できるものであればよく、ホルムアルデヒド、グ
リオキザール等のアルデヒド類;エチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ジエポキシブタン等の多価エポキシ化合
物類;ジビニルスルホン、メチレンビスアクリルアミド
等のジビニル化合物類;ジクロロアセトン、ジクロロプ
ロパノール、ジクロロ酢酸等の多価ハロゲン化合物類;
エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等のハロヒド
リン化合物類;並びにN,N’−ヘキサメチレン−1,
6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、テトラ
メチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネ
ート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニ
ルプロピオネート等の多価アジリジン化合物類等を挙げ
ることができ、1種以上が用いられる。
【0012】これらの化合物を用いて架橋を行う場合
に、架橋剤の種類によっては架橋助剤を必要とするもの
がある。例えば、アルデヒド類を用いる場合には架橋助
剤として塩酸のような酸が必要であるし、ジビニル化合
物類や多価ハロゲン化合物類を用いるにはアルカリ金属
水酸化物のようなアルカリが必要である。多価エポキシ
化合物や多価アジリジン化合物は、カルボキシル基が酸
型の場合には架橋助剤なしで架橋反応が進むが、塩型の
場合にはアルカリ金属水酸化物を架橋助剤に用いる必要
がある。架橋剤の添加率は、架橋剤の種類によっても異
なるがセルロース誘導体に対し5〜40重量%の範囲で
ある。添加量が少な過ぎるとハイドロゲルを形成しない
し、多すぎると得られる吸水材料の吸水量が低下する。
セルロース誘導体と架橋剤との反応条件も架橋剤の種類
によって変更すべきであるが、温度20〜90℃と1〜
24時間の組合せの範囲内で加熱なしに或いは加熱する
ことによって反応させ、ゲルを生成させることができ
る。
【0013】架橋により得られたハイドロゲルは、水、
水と相溶性のある有機溶媒及び強酸からなる混合溶媒中
に入れて粉砕する。粉砕の方法には、特に制限は無く、
ミキサーのような湿式粉砕機を用いればよい。粉砕する
目的は、ゲルの比表面積を大きくしてカルボキシル基の
酸型への変換を完全に行うこと、次工程で行うゲル中の
水溶性成分の除去を容易にすること及び乾燥後の吸水性
材料の粒径を調整することである。従って粉砕後のハイ
ドロゲルの粒径は吸水性材料の用途により決定すべきで
あるが、乾燥後の吸水性材料の粒径が50〜500μm
の範囲になるように粉砕すると、衛生材料として最適な
吸水速度を有する吸水材料を得ることができるので好ま
しい。前記混合溶媒中で粉砕した後、一定時間撹拌して
塩型のカルボキシル基を酸型に変換する。この変換は、
温度5〜30℃、10〜120分間で撹拌しながら行
う。撹拌時間が短過ぎると次工程で行うゲル中の水溶性
成分の除去の際、ゲルが膨潤し、逆に撹拌時間が長すぎ
るとセルロース誘導体の加水分解が生じて吸水量が低下
するので共に好ましくない。
【0014】水と相溶性のある有機溶媒としては、メタ
ノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、アセトン、ジオキサン、アセトニト
リル、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、安価なメ
タノールを使用するのがよい。強酸としては、塩酸、硫
酸、硝酸、臭化水素酸及びリン酸が最適であり、これら
の中から適宜選択して単独で或いは混合して用いる。酢
酸、クエン酸等の弱酸ではカルボキシル基を完全に酸型
に変えることができないので不適である。上記の水と相
溶性のある有機溶媒、強酸及び水を混合して混合溶媒と
するが、水と相溶性のある有機溶媒35〜100重量%
と水0〜65重量%からなる混合物に強酸が0.15〜
4規定含まれるように混合溶媒の組成を調節する。有機
溶媒の割合が35重量%未満では、ハイドロゲルを粉砕
する時にハイドロゲルが膨潤するので使用できない。酸
濃度が0.15規定未満ではハイドロゲルを粉砕する時
に、前記と同様にハイドロゲルが膨潤する。このような
膨潤は前記範囲の下限を外れると急激に生じ、その後の
取扱いが不能となり、結局吸水性セルロース材料を得る
ことができなくなる。酸濃度が4規定を越えると、原料
セルロース誘導体が加水分解され、吸水性材料の収率が
減少し、得られる吸水性材料の吸水量が小さくなり、更
に余分な酸の除去が困難になるため好ましくない。
【0015】前記組成の混合溶媒の添加量は、酸濃度と
の関係で決定されるが、用いたセルロース誘導体の1K
g当り20〜100Kg添加すればよい。酸はハイドロ
ゲル中の塩型のカルボキシル基を酸型に変えるため及び
架橋助剤としてアルカリを使用した場合には、アルカリ
の中和により消費されるため、酸濃度が低下する。カル
ボキシル基を完全に酸型に変換するためには混合溶媒の
pHを2以下に保つ必要があり、混合溶媒の酸濃度とそ
の添加量はこのような点も考慮して決める必要がある。
混合溶媒中で撹拌する時間は、酸濃度との関係で変化す
るが、10〜120分必要である。酸濃度が低い場合に
は撹拌に長時間が必要であるし、酸濃度が高い場合には
短い時間で十分である。混合溶媒の酸濃度は高い方が、
又浸漬する時間は長い方が得られる吸水性材料のゲル強
度が高く、吸水速度が速くなる傾向にあるが、同時に吸
水量が低下してくるので、吸水性材料に要求される性能
に応じて調節する必要がある。
【0016】粉砕と撹拌を行う時の温度は5℃〜30℃
である。ハイドロゲル中のセルロース誘導体は酸によっ
て加水分解を受け易く、温度が高いと加水分解速度は著
しく大きくなる。加水分解によって前記セルロース誘導
体の分子量が低下すると吸水量が低下するので、30℃
を越える温度は好ましくない。又、酸が氷結するような
極端な低温も好ましくない。上記方法で粉砕処理された
ハイドロゲルは、濾過により混合溶媒から分離され、水
の中に分散させて撹拌することにより、ゲル中の水溶性
成分を洗浄除去する。ゲル中の水溶性成分とは、架橋時
にセルロース誘導体に添加した架橋剤の残留物、架橋助
剤の残留物、粉砕時に使用した強酸、有機溶媒等の他
に、架橋が不十分でゲル化せず水溶性のままゲル中に残
存しているセルロース誘導体である。条件としては水の
添加量がハイドロゲル中のセルロース誘導体1Kg当り
20〜100Kg、温度15〜30℃で1〜5時間撹拌
すればよい。
【0017】次に、洗浄されたゲルを濾過により水と分
離し、水と相溶性のある有機溶媒中に分散させる。水と
相溶性のある有機溶媒としては、できるだけアルカリの
溶解度が高いものが望ましく、メタノール又はエタノー
ルが好適である。これらの有機溶媒はある程度の水を含
んでいてもよいが、その量は20重量%以下にすべきで
ある。水の混合量が多いと、アルカリで酸型のカルボキ
シル基を塩型に戻す際に、ゲルが膨潤を起こすことがあ
り、以後の処理が困難になる。水と相溶性のある有機溶
媒の添加量は、ハイドロゲル中のセルロース誘導体1K
g当り20〜100kgである。添加量が少ないと均一
な塩型にならず、又多過ぎると高価な有機溶媒の使用量
が増えるので好ましくない。続いて、水と相溶性のある
有機溶媒中に分散されたゲルにアルカリを加えて酸型の
カルボキシル基を塩型に戻す。アルカリとしては、アル
カリ金属水酸化物又はアミンを用いることができるが、
安価な水酸化ナトリウムを使うのが良い。アルカリの添
加量は、ゲルに含まれているカルボキシル基の量から必
要量を計算で求め、添加するのがよく、過剰のアルカリ
を添加することは未使用のアルカリを除去する工程が必
要になる。アルカリは固体のまま添加してもよいが、固
体の溶解に時間がかかるので、予め水と相溶性のある有
機溶媒に溶解しておいてから添加するのがよい。
【0018】カルボキシル基を塩型に戻した後は、濾
過、乾燥して吸水性セルロース材料を得ることができ
る。必要ならば乾燥の前に、水と相溶性のある有機溶媒
で吸水性セルロース材料を洗浄し、水分と残留アルカリ
を除去してもよい。特に水分の除去を完全に行うと、乾
燥後の吸水性セルロース材料が粉末状で得られるので好
都合である。本発明方法によって塩水吸水量とゲル強度
に優れた吸水性材料が得られる理由については、以下の
ように考えられる。水溶性セルロース誘導体を架橋して
高吸水性材料を製造しようとする場合、常に問題となる
のは架橋後の高吸水性材料の精製方法である。目的とす
る高吸水性材料を衛生材料用途に用いる場合には、架橋
後の高吸水性材料に含まれている不純物、即ち、架橋剤
や架橋助剤の残留物、それに架橋が不十分で水溶性のま
まゲル中に残存しているセルロース誘導体等を除去する
必要がある。これらが多量に残存すると衛生的にも好ま
しくないし、性能的にも吸水後のゲルのべたつきや、吸
水速度が遅くなる原因となる。しかしながら、これらの
除去すべき不純物は、水にはよく溶解するが、有機溶媒
には溶解し難い。特に、セルロース誘導体自身は水がほ
とんど唯一の溶媒であるが、水を用いて洗浄すると非常
に大きく膨潤するために、乾燥に莫大なエネルギーを要
することになり、現実的な方法ではない。
【0019】又、カルボキシル基が酸型であると親水性
が低下することを利用して酸の水溶液で洗浄することも
考えられる。しかしながら、セルロース誘導体がハイド
ロゲルの状態の時は、カルボキシル基が塩型の場合より
程度は低いが、酸の中でも膨潤は起こるので適当な方法
ではない。ハイドロゲルを水と相溶性を有する有機溶
媒、もしくはハイドロゲルを膨潤させない程度に少量の
水を混合した含水有機溶媒で洗浄することは公知の方法
であり、ハイドロゲルは水と相溶性を有する有機溶媒中
では脱膨潤して収縮するので、水や酸で洗浄した場合の
ような膨潤の問題は生じない。しかしながら、この方法
ではゲル中の不純物の溶解力が低いためにどうしてもゲ
ル中に不純物が残存するという問題がある。しかも本発
明者等が検討したところ、この洗浄方法で得られる吸水
性材料は吸水量が著しく低下する場合があることがわか
った。しかしながら、水と相溶性のある有機溶媒、強酸
及び水からなる本発明で開示した特定組成の混合溶媒中
で粉砕したゲルは、その後に水を加えて撹拌しても殆ど
膨潤しないという性質が付与されているので、水によっ
てゲル中の不純物を充分に除去することができ、かつ水
と相溶性を有する有機溶媒で洗浄した時に発現する吸水
量の低下も生じないので、不純物が殆ど含まれない優れ
た吸水性材料が得られるのである。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、もとより本発明は、これらの実施例によっ
て限定されるものではない。尚、実施例又は比較例中で
%とあるのは、全て重量%である。
【0021】実施例1 市販のCMC(セロゲンWS−A、1%水溶液の粘度6
6cps、第一工業製薬製、)20gを300mlビー
カーに入れ、3.5%水酸化ナトリウム水溶液(水16
3gとNaOH5.84gの混合物)を添加し、ガラス
棒で3時間攪拌してセロゲンを完全に溶解した。この溶
液にエピクロロヒドリン4gを添加し、1時間攪拌して
混合した後、ビーカーの口をラップで覆い、40℃のウ
ォーターバス中で2.5時間加熱してハイドロゲルを生
成させた。このハイドロゲルをカッターナイフで1cm
角に切断してミキサー(松下電器産業(株)製MX−1
50S)に仕込み、36%塩酸86ml、水272ml
及びメタノール642mlの混合溶媒(メタノール60
%、水40%、塩酸濃度1規定)を入れ、70Vの電圧
で90秒間高速撹拌して粉砕した。粉砕したスラリーを
直ちに2リットルビーカーに移し、撹拌機で30分ゆっ
くり攪拌してカルボキシル基を塩型から酸型に変えた。
【0022】次に、ハイドロゲル懸濁液をガラスフィル
ターを用いて濾過し、液と分離した後、2リットルビー
カーに移し、水1リットルを加えて撹拌機で1時間攪拌
した。撹拌後、ハイドロゲル懸濁液をガラスフィルター
を用いて濾過し、70%メタノール200mlで洗浄
し、1リットルビーカーに移し、塊を良くほぐした後、
メタノール600mlを添加した。続いて、1規定Na
OHーメタノール溶液54mlを添加し、2時間攪拌し
た。その後、ゲル懸濁液をガラスフィルターを用いて濾
過し、ゲルに再度メタノール400mlを加えて1時間
攪拌後、濾過し、50℃で真空乾燥して粉末状の吸水性
セルロース材料を得た。得られた吸水性セルロース材料
を用いて下記に示す試験法により人工尿液吸水量を測定
し、その品質を評価した。その結果を表1に示す。
【0023】人工尿液吸水量試験法 供試材料0.8gを大きさ10cm角の250メッシュ
のナイロンワイヤー製の袋に封入し、これを下記組成の
人工尿液中に10分間浸漬して吸水させた。その後、袋
を引き上げて吊り下げ、10分間水切りを行った後、重
量を測定し、試料絶乾1g当りに吸収した人工尿液の重
量をもって吸水量を表示した。人工尿液組成 成分 % 尿素 2.00 塩化ナトリウム 0.80 硫酸マグネシウム7水塩 0.08 塩化カルシウム2水塩 0.03 純水 97.09
【0024】実施例2 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、36%塩酸86mlとメタノール914
mlの混合溶媒(メタノール92%、水8%、塩酸濃度
1規定)を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で
粉末状の吸水性セルロース材料を製造した。得られた吸
水性セルロース材料の人工尿液吸水量を測定し、その品
質を評価した。
【0025】実施例3 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、36%塩酸86ml、水465ml及び
メタノール449mlの混合溶媒(メタノール40%、
水60%、塩酸濃度1規定)を使用したこと以外は、実
施例1と同じ方法で粉末状の吸水性セルロース材料を製
造した。得られた吸水性セルロース材料の人工尿液吸水
量を測定し、その品質を評価した。
【0026】実施例4 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、36%塩酸258ml、水128ml及
びメタノール614mlの混合溶媒(メタノール60
%、水40%、塩酸濃度3規定)を使用したこと以外
は、実施例1と同じ方法で粉末状の吸水性セルロース材
料を製造した。得られた吸水性セルロース材料の人工尿
液吸水量を測定し、その品質を評価した。
【0027】実施例5 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、36%塩酸17ml、水330ml及び
メタノール653mlの混合溶媒(メタノール60%、
水40%、塩酸濃度0.2規定)を使用したこと以外は
実施例1と同じ方法で粉末状の吸水性セルロース材料を
製造した。得られた吸水性セルロース材料の人工尿液吸
水量を測定し、その品質を評価した。
【0028】比較例1 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、水250mlとメタノール750mlの
混合溶媒(メタノール70%、水30%)を使用した。
粉砕したスラリーを直ちに2リットルビーカーに移し、
撹拌機で30分攪拌した。この時、ゲルは脱膨潤して収
縮した。次に、この収縮したゲルを濾過して2リットル
ビーカーに移し、再度、水250mlとメタノール75
0mlの混合溶媒を加えて撹拌機で1時間撹拌すること
によってゲル中の不純物を除去した。その後、ゲルを濾
過し、70%メタノール200mlで洗浄した後、1リ
ットルビーカーに移し、塊を良くほぐした後、メタノー
ル600mlを添加して2時間攪拌した。ゲルを濾過
し、再度メタノール400mlを加えて1時間攪拌後、
濾過し、50℃で真空乾燥して粉末状の吸水性セルロー
ス材料を得た。
【0029】比較例2 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、1規定塩酸1000mlを使用した。粉
砕したスラリーを直ちに2リットルビーカーに移し、撹
拌機で30分攪拌してカルボキシル基を塩型から酸型に
変えた。撹拌後のハイドロゲルは大きく膨潤し、濾過す
ることができず吸水性セルロース材料を得ることができ
なかった。
【0030】比較例3 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕するときに、36%塩酸86ml、水569ml及
びメタノール345mlの混合溶媒(メタノール30
%、水70%、塩酸濃度1規定)を使用した。粉砕した
スラリーを直ちに2リットルビーカーに移し、撹拌機で
30分攪拌してカルボキシル基を塩型から酸型に変え
た。次に、ハイドロゲルを濾過して2リットルビーカー
に移し、水1リットルを加えて撹拌機で1時間攪拌した
ところ、撹拌中にハイドロゲルが大きく膨潤し、ハイド
ロゲルを濾過することができず、吸水性セルロース材料
を得ることができなかった。
【0031】比較例4 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕するときに、36%塩酸9ml、水337ml及び
メタノール654mlの混合溶媒(メタノール60%、
水40%、塩酸濃度0.1規定)を使用した。粉砕した
スラリーを直ちに2リットルビーカーに移し、撹拌機で
30分攪拌してカルボキシル基を塩型から酸型に変え
た。次に、ハイドロゲルを濾過して2リットルビーカー
に移し、水1リットルを加えて撹拌機で1時間攪拌した
ところ、撹拌中にハイドロゲルが大きく膨潤し、ハイド
ロゲルを濾過することができず、吸水性セルロース材料
を得ることができなかった。
【0032】比較例5 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、酢酸57ml、水325ml及びメタノ
ール618mlの混合溶媒(メタノール60%、水40
%、酢酸濃度1規定)を使用した。粉砕したスラリーを
直ちに2リットルビーカーに移し、撹拌機で30分攪拌
してカルボキシル基を塩型から酸型に変えた。次に、ハ
イドロゲルを濾過して2リットルビーカーに移し、水1
リットルを加えて撹拌機で1時間攪拌したところ、撹拌
中にハイドロゲルが大きく膨潤し、ハイドロゲルを濾過
することができず、吸水性セルロース材料を得ることが
できなかった。
【0033】比較例6 実施例1と同じ方法で生成させたゲルを、ミキサー中で
粉砕する時に、36%塩酸430mlとメタノール57
0mlの混合溶媒(メタノール58%、水42%、塩酸
濃度5規定)を使用したこと以外は、実施例1と同じ方
法で粉末状の吸水性セルロース材料を製造した。得られ
た吸水性セルロース材料の人工尿液吸水量を測定し、そ
の品質を評価した。
【0034】実施例と比較例で得られた結果を表1に示
した。
【0035】
【表1】
【0036】表1からわかるように、水と相溶性のある
有機溶媒、強酸及び水からなる混合溶媒を用いて製造さ
れた本発明による吸水性セルロース材料はいずれも高い
人工尿液吸水量を示す(実施例1〜5)。これに対し
て、水と相溶性のある有機溶媒と水からの混合溶媒によ
ってハイドロゲルを洗浄することによって製造された塩
型のカルボキシル基を有する吸水性セルロース材料の人
工尿液吸水量は著しく低い(比較例1)。又、有機溶媒
を含まない酸水溶液では吸水性セルロース材料を製造す
ることができず(比較例2)、水と相溶性のある有機溶
媒、強酸及び水からなる混合溶媒を用いた場合でも、有
機溶媒濃度が低い場合(比較例3)、酸濃度が低い場合
(比較例4)、又強酸を用いないで弱酸を用いた場合
(比較例5)にはハイドロゲルが膨潤して、濾過が不能
となり、吸水性セルロース材料が製造できない。一方、
混合溶媒中の酸濃度が高過ぎる場合には、吸水性セルロ
ース材料は製造できるが、人工尿液吸水量が劣る(比較
例6)。
【0037】
【発明の効果】本発明は、人工尿のように各種の塩を含
む水溶液を素早く吸収することができ、広い分野での用
途、とりわけ衛生材料に好適に使用できる吸水性セルロ
ース材料の製造方法を提供するという効果を有する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を有する水溶性セルロー
    ス誘導体の水溶液に架橋剤と必要に応じて架橋助剤を反
    応させて得られるハイドロゲルを、水と相溶性のある有
    機溶媒、強酸及び水からなる混合溶媒中で粉砕し、カル
    ボキシル基を酸型に変えた後、粉砕されたゲルを混合溶
    媒から分離し、水を加えてゲル中の水溶性成分を除去
    し、次いで水と相溶性を有する有機溶媒中でアルカリを
    加えて、ゲル中の酸型のカルボキシル基を塩型に戻した
    後、乾燥することを特徴とする吸水性セルロース材料の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 水と相溶性のある有機溶媒、強酸及び水
    の中から選ばれて構成される混合溶媒の組成が、水と相
    溶性のある有機溶媒が35〜100重量%、水が0〜6
    5重量%の混合物に、強酸が0.15〜4規定含まれて
    いることを特徴とする請求項1記載の吸水性セルロース
    材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 強酸が塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、
    リン酸から選ばれた一種、もしくはこれらの混合物であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の吸水性
    セルロース材料の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5937066B2 (ja) * 2011-04-27 2016-06-22 独立行政法人国立高等専門学校機構 吸水性および吸液性高分子
JP2018030966A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 王子ホールディングス株式会社 繊維状セルロース含有物
CN110270317A (zh) * 2019-05-29 2019-09-24 绍兴文理学院元培学院 一种用于重金属废水处理的纤维素基水凝胶吸附剂的制备方法

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CN110270317B (zh) * 2019-05-29 2021-11-09 绍兴文理学院元培学院 一种用于重金属废水处理的纤维素基水凝胶吸附剂的制备方法

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