JP3168740B2 - 塩水吸水能力に優れた高吸水性セルロース材料の製造方法 - Google Patents

塩水吸水能力に優れた高吸水性セルロース材料の製造方法

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JP3168740B2 JP33049092A JP33049092A JP3168740B2 JP 3168740 B2 JP3168740 B2 JP 3168740B2 JP 33049092 A JP33049092 A JP 33049092A JP 33049092 A JP33049092 A JP 33049092A JP 3168740 B2 JP3168740 B2 JP 3168740B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高吸水性セルロース材料
の製造方法に関するものであり、特に塩水吸水能力に優
れた高吸水性セルロース誘導体材料の製造方法に関する
ものである。本発明で得られる高吸水性セルロース材料
は多量の水を吸水するばかりでなく、食塩000などの
ようにイオンを含んでいる水性溶液に対しても高い吸水
能力を示すものであって、各種の衛生材料、農業資材、
食品包装材料、土木・建築材料などの広い分野において
有用なものである。
【0002】
【従来の技術】水、または食塩水など塩類を含んだ水溶
液の吸水材料としては、近年、高吸水性樹脂と呼ばれる
一群の材料が知られ、実用に供されている。これらの高
吸水性樹脂材料は、基本的には、水溶性高分子をわずか
に架橋し、水に対して不溶化した化学構造を有するもの
である。このような高吸水性材料としては、例えば澱粉
にアクリロニトリルをグラフト重合した後、これを加水
分解したもの、澱粉にアクリル酸金属塩をグラフト重合
したもの、アクリル酸を共重合性架橋剤とともに重合し
た架橋樹脂、およびメタクリル酸メチル−酢酸ビニル共
重合体の加水分解物など、数多くのものが提案されてお
り、これらのいくつかは既に実用化されている。
【0003】伝統的な吸水性材料として知られている
綿、パルプ、紙、布、スポンジなどは毛細管現象によっ
て吸水するものであるが、これに対し、上記の高吸水性
樹脂は吸水の原理が浸透圧にあるため、毛細管現象より
もはるかに多量の水を吸収することができる。また、高
吸水性樹脂は、吸水状態で圧力がかかっても簡単に水を
再放出しないという優れた特徴を有している。このた
め、高吸水性樹脂の用途として、使い捨て紙おむつ、生
理用品などの衛生材料分野、土壌保水剤、育苗用シート
などの農業資材分野、食品鮮度保持材、脱水材などの食
品分野、トンネル掘削時の逸泥防止、建物の結露防止シ
ートなどの土木・建築材料として広範囲に使用されてい
る。
【0004】しかしこれら高吸水性樹脂は、食塩水や尿
など塩を含む溶液に対して用いられたとき、吸水の原動
力である浸透圧が減少するため、その吸水量が著しく低
下するという欠点を有している。しかし、上記の高吸水
性樹脂の応用分野においても、塩を含む溶液を対象にす
る場合が多いため、塩の存在下でも高い吸水量を示す材
料の開発が望まれている。
【0005】従来の高吸水性樹脂の上記の欠点を解決す
るために、ポリアクリル酸ナトリウムなどの合成高分子
とは異なり、塩水中でも分子が糸まり状とならず、比較
的広がったコンフォメーションを保持できる多糖類を利
用することが試みられている。例えば多糖類に親水性モ
ノマーをグラフト重合する方法(特開昭56−7641
9号、特開昭56−76481号)、多糖類そのものを
架橋する方法(特開昭56−5137号、特開昭58−
79006号、特開昭60−58443号)などが知ら
れている。また多糖類としてセルロース誘導体(特にカ
ルボキシメチルセルロースを用いることが多い)を用い
る方法(特開昭49−128987号、特開昭50−8
5689号、特開昭54−163981号、特開昭56
−28755号、特開昭58−1701号、特開昭60
−94401号、特開昭61−89364号)も数多く
検討されている。しかし上記何れの方法によっても塩水
吸収能力が十分改善されたとは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、各種塩を含
む水溶液に対しても吸水量の高いセルロース誘導体材料
を容易に、かつ低コストで製造し得る方法を提供しよう
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る、塩水吸水
能力に優れた高吸水性セルロース材料の製造方法は、水
不溶化されたセルロース誘導体を、水と有機溶媒との混
合液中において、その膨潤度が3g/g〜30g/gに
なるように膨潤させてセルロース誘導体ゲルを調製し、
このゲルを前記混合液から分離し、この分離されたゲル
中の水分を、水と相溶性を有する有機溶媒で置換し、こ
れを乾燥することを含み、前記混合液を構成する前記有
機溶媒が、炭素数3〜6の1価アルコール、および炭素
数4〜7のケトンから選ばれた少なくとも1種からな
り、かつ前記混合液中における前記有機溶媒の含有率が
15〜65重量%であることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明に使用される水不溶化されたセルロース
誘導体の原料セルロース誘導体としては、カルボキシメ
チルセルロースの(以後CMCと略する)アルカリ金属
塩およびアンモニウム塩、ヒドロキシエチルカルボキシ
メチルセルロースのアルカリ金属塩およびアンモニウム
塩、カルボキシエチルセルロースのアルカリ金属塩およ
びアンモニウム塩、硫酸セルロースのアルカリ金属塩お
よびアンモニウム塩などのような電解質水溶性セルロー
ス誘導体を用いることができる。
【0009】このような原料セルロース誘導体に架橋が
施され水不溶化される。この架橋方法に格別の限定はな
いが、加熱することによって架橋を行う方法(熱架橋)
や、架橋剤を反応させる方法などを用いることができ
る。上記セルロース誘導体の架橋に用いられる架橋剤と
しては、ホルムアルデヒド、およびグリオキザールなど
のアルデヒド類;ジメチロールウレア、ジメチロールエ
チレンウレア、およびジメチロールイミダゾリドンなど
のN−メチロール化合物類;蓚酸、マレイン酸、こはく
酸、およびポリアクリル酸などの多価カルボン酸類;エ
チレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテル、およびジエポキシブ
タンなどの多価エポキシ化合物類;ジビニルスルホン、
およびメチレンビスアクリルアミドなどのジビニル化合
物類、ジクロロアセトン、ジクロロプロパノール、およ
びジクロロ酢酸などの多価ハロゲン化合物類;エピクロ
ロヒドリン、エピブロモヒドリンなどのハロヒドリン化
合物類;並びに多価アジリジン化合物類などが使用され
る。
【0010】また本発明方法に用いられる水不溶化され
たセルロース誘導体は、セルロース又はセルロース誘導
体に単量体をグラフト共重合させ、さらに必要に応じて
これに加水分解及び架橋を行うことにより製造された吸
水性セルロース誘導体材料であってもよい。この場合の
原料セルロース誘導体としては、上記水溶性原料セルロ
ース誘導体のほか、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、シアノエチルセルロース、アセチルセルロ
ースなどのような非電解質セルロース誘導体も使用でき
る。
【0011】上記非電解質セルロース誘導体にグラフト
共重合される単量体としては、アクリル酸、メタクリル
酸およびこれらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム
塩などのようにカルボキシル基を有する単量体、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチルなどのように加水分解によって
カルボキシル基を生じる基を含んだ単量体などが使用で
きる。
【0012】セルロース誘導体に対する架橋処理は、グ
ラフト重合の前でもよく、或いは後でもよく、或いは電
解質系の水溶性セルロース誘導体の場合と同様な方法に
よって架橋してもよいし、グラフト共重合の過程で前記
単量体と共重合可能なジビニル化合物、例えばN,N′
−メチレンビスアクリルアミド、N,N′−メチレンビ
スメタアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレ
ートなどの存在下でグラフト共重合を行ってもよい。
【0013】水不溶化されたセルロース誘導体の形状
は、繊維状、粉末状、粒子状、フレーク状、およびシー
ト状などのいづれであってもよく、これに格別の限定は
ないが、繊維状のものを用いると、吸水速度に優れた繊
維状高吸水性材料が得られる。
【0014】本発明において使用される有機溶媒のう
ち、炭素数3〜6の1価アルコールとしては、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、イ
ソアミルアルコール、n−ヘキサノールなどが例示され
る。
【0015】また、有機溶媒として用いられる、炭素数
4〜7のケトンとしては、メチルエチルケトン、メチル
プロピルケトン、ジエチルケトン、ヘキサノン、ヘプタ
ノンなどが例示される。
【0016】これらの有機溶媒は水との相溶性が高いも
のではあるが、水と任意の割合で混合せず二層に分離し
てしまうものが多い。このような場合、補助溶媒として
メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、アセトニトリルなど、水と任意な割合
で混合できる有機溶媒を添加して、二層に分離しないよ
うにすればよい。このような補助溶媒は使用しても使用
しなくてもよいが、使用する場合でも、炭素数3〜6の
1価アルコール、もしくは炭素数4〜7のケトンから選
ばれる有機溶媒のうち少なくとも1種類が、混合溶媒中
に15〜65重量%含まれている必要がある。
【0017】水不溶化されたセルロース誘導体に対する
膨潤処理は、水と上記有機溶媒との混合液を用いて行わ
れる。水不溶化セルロース誘導体の膨潤は加熱により促
進されるため、加熱して行うことが有利である。このと
き、水不溶化セルロース誘導体の膨潤度が、3g/g〜
30g/gの範囲内にあるようにする必要がある。
【0018】ここで「膨潤度」とは、被膨潤材料が保持
している混合液の重量であって、具体的には、後に記載
される方法で測定される。膨潤度は様々な因子によって
決定されるが、主な因子は水と有機溶媒との混合割合、
添加量、及び架橋密度などである。これらの因子を適当
に調節することによって、上記膨潤度を有するゲルを調
製することができる。膨潤度が3g/g未満であると本
発明方法の効果がほとんど認められず、逆に30g/g
よりも高くなると、得られるゲルが柔らかくなり過ぎ
て、混合液からゲルをろ過などによって分離することが
困難になるので好ましくない。
【0019】水不溶化セルロース誘導体は、水を含まな
い有機溶媒中では膨潤しない。しかし有機溶媒に水を混
合して有機溶媒濃度を下げていくと、ある濃度で急激に
膨潤を起こす性質がある。この現象は「ゲルの体積相転
移」現象としてよく知られている。本発明方法では水不
溶化セルロース誘導体を膨潤させることが必要条件であ
るので、有機溶媒と水との混合割合は、この体積相転移
を起こす濃度、またはそれよりやや低い有機溶媒濃度を
用いる。この好適有機溶媒濃度は、架橋されたセルロー
ス誘導体の種類および有機溶媒の種類によって異なる
が、一般には15〜65重量%である。
【0020】有機溶媒濃度が高すぎると、先に述べたよ
うに水不溶化セルロース誘導体の膨潤がほとんど起こら
ないので使用できない。逆に低すぎると、ゲルが著しく
膨潤し、ゲルをろ過などによって分離することが困難に
なるので好ましくない。
【0021】また水と有機溶媒との混合液の添加量も、
水不溶化セルロース誘導体の種類、有機溶媒の種類、有
機溶媒濃度、及び架橋密度によって変化させるべきもの
であるが、一般的には20〜200kg/kgの割合で
添加すればよい。この添加量が過少であると、ゲルの膨
潤が不完全になって、高吸水性材料を得ることができ
ず、またそれが過多になると、有機溶媒の使用量増大に
伴う製造コストの増大を生ずるので好ましくない。
【0022】本発明方法の出発原料として用いられる水
不溶化セルロース誘導体における架橋密度又はグラフト
共重合の程度は、水及び有機溶媒の混合割合、及び添加
量を調節した時、上記膨潤度になるように調節すればよ
い。
【0023】混合液中で膨潤したゲルは、ろ過などによ
って大部分の溶媒を分離する。この操作は、水不溶化セ
ルロース誘導体から溶媒中に溶出した水溶性成分の除
去、及び乾燥に要する熱エネルギーを少なくするために
有効なものである。
【0024】ろ過されたゲルは水分を含んでいるので、
そのまま乾燥すると水によってゲルの粒子同士が付着
し、固い樹脂状物となる。このため高い吸水量を示さ
ず、粉砕及び分散のための余分なコストを必要とする。
そこで、この分離されたゲルを水と相溶性のある有機溶
媒で洗浄し、またはこれに浸漬したのち、ろ過すること
によって、ゲル中の水分を有機溶媒で置換することがで
きる。その後、このゲルを乾燥して高吸水性セルロース
材料を得ることができる。
【0025】セルロース誘導体系吸水性材料について
は、先に例示したように多くの研究がなされ報告されて
いるが、純水または人工尿液の吸水量の値においては、
架橋ポリアクリル酸ナトリウム系高吸水性樹脂に比較し
てあまり大きい値は報告されていない。しかし多くの水
溶性セルロース誘導体は、塩水中でも高い粘度を保持し
ているので、潜在的には高い塩水吸水能力を示すことの
可能な材料であると考えられる。
【0026】本発明方法によって優れた高吸水性材料が
得られる理由については、未だ十分に明らかではない
が、最も重要な点は、水不溶化セルロース誘導体を一旦
膨潤させることにあるものと考えられる。膨潤させるこ
とによって得られる効果の一つは、ゲル中の水溶性成分
が減少するということである。本発明方法で用いる水不
溶化セルロース誘導体は、先に述べたように水溶性高分
子に架橋又はグラフト共重合を施して合成する。この場
合確率上、水溶性高分子の一部が水不溶化されずに水溶
性成分としてゲル中に残ることは避けられない。この水
溶性成分がゲル中に多量に存在すると、ゲルを膨潤させ
た時にべたつき、ままこなどを形成する原因になり、実
用する上では好ましくない。
【0027】特に本発明の目的のように高い吸水量を示
す材料を得ようとする場合には、理論的に架橋密度を小
さくする必要があり、それとともに水溶性成分も増加す
る傾向がある。水溶性成分を除去するためには水不溶化
セルロース誘導体を水で洗浄する方法も考えられるが、
架橋密度の小さい水不溶化セルロース誘導体の場合、非
常に多量の水を吸収して膨潤するので、乾燥に莫大な熱
エネルギーを要し現実的ではない。従ってこの方法は架
橋密度の高い、すなわち吸水量の小さなセルロース誘導
体にしか適用できない。そこで架橋密度の小さいセルロ
ース誘導体の膨潤を抑制し、かつ均一に膨潤させて、水
溶性成分を除く方法が望まれる。そのような方法として
水の代わりに、水および水と相溶性のある有機溶媒の混
合物を用いて膨潤を抑制する方法や、水と塩の混合物を
用いて膨潤を抑制する方法も考えられるが、前者では前
述したように通常、体積相転移という現象によって不連
続に膨潤するので、膨潤度を任意に制御することはでき
ない。後者では多量の塩を混合しないと膨潤を効果的に
抑制することができず、またゲル中に多量の塩が残留す
るので好ましくない。
【0028】しかし、炭素数が3〜6の1価アルコー
ル、および炭素数が4〜7のケトンから選ばれた少なく
とも1種からなる有機溶媒が、15〜65重量%の含有
率で含まれる水/有機溶剤混合物中では、水不溶化セル
ロース誘導体の体積相移転による不連続な膨潤が大幅に
抑制され、膨潤度は、水と有機溶媒の混合割合を変える
ことにより、ほぼ連続的に変え得ることを見出された。
従って、本発明方法では、ゲルの膨潤度を小さく抑えな
がら、水溶性成分を効果的に除去できるので、低いコス
トで高吸水性材料が得られる。炭素数が2以下の1価ア
ルコール、もしくは炭素数が3以下のケトンではこの効
果は認められない。また炭素数が大きくなると、当該1
価アルコール又はケトンと水との相溶性が悪くなり、補
助溶媒を溶かしても15〜65重量%の濃度を保つこと
ができず、従って本発明方法に使用できなくなる。
【0029】本発明方法によって高吸水量の吸水材料が
得られる理由は、上記の水溶性成分の除去のみでは説明
できず、実際は水溶性成分の除去から推定される吸水量
よりはるかに高い吸水量が得られる。この効果は、膨潤
によってセルロース誘導体に発達した分子間水素結合の
切断、あるいは架橋点の切断が起こり、網目構造が変形
して分子の網目の間に水を取り込みやすい状態になるた
めと推定される。この状態のゲルを、水と相溶性のある
有機溶媒で洗浄するか、又は、その中に浸漬することに
よって、ゲル中の水分を有機溶媒で置換することがで
き、それによって容易に乾燥することができ、かつ、膨
潤によって形成された網目構造が保存されて、高い吸水
量が発現すると考えられる。有機溶媒による置換を行わ
ずに乾燥すると、ゲル中の水分の影響によって水素結合
が再形成され、網目構造を変形させた効果が減少するば
かりか、得られる吸水性材料が固い樹脂状物になるので
高い吸水性能は得られない。
【0030】
【実施例】本発明を下記実施例により具体的に説明す
る、しかし本発明の範囲は、これらの実施例によって限
定されるものではない。なお、実施例、比較例中の吸水
量は以下に述べる方法により測定した。
【0031】(1)人工尿液吸水量測定方法 供試材料1gを、大きさ10cm角の250メッシュナ
イロンワイヤー製の袋に封入し、これを下記組成の人工
尿液中に10分間浸漬して吸水させた。次いでこれを引
き上げて吊り下げ、10分間水切りを行った後、重量を
測定し、試料1g当たり吸収した人工尿液の重量をもっ
て吸液量として表示した。
【0032】
【0033】(2)膨潤度測定方法 供試材料0.5gをビーカーにとり、水と有機溶媒との
混合液を膨潤の条件に応じて調製添加し、供試材料を膨
潤させてゲル化させた。このゲルを大きさ10cm角の
250メッシュナイロンワイヤー製の袋に封入し、吊り
下げて10分間液を切り、ついで試料を上下10枚のろ
紙の間に挟んで水平な台の上に置き、上に直径16cm
で重量100gのステンレス板を重ね、さらにこの上に
1kgの重りをのせて5分間ゲルに圧力をかけてゲルと
ゲルの隙間に存在する液をろ紙に吸い取らせた。その
後、重量を測定し、試料1g当たり吸収した混合液の重
量をもって膨潤度として表示した。
【0034】実施例1 イミダゾリドン系架橋剤(住友化学製、商標:SUMI
TEX(NF−500K))3.33g、およびその助
剤(同、商標:SUMITEX AcceleratorMX)
1.25g、水295.42gを混合して混合液300
gを調製し、その中へ絶乾重量20gの針葉樹晒クラフ
トパルプ(NBKP)を30分間浸漬した。パルプ中に
混合液36gが含まれるように、余分な混合液をろ過、
及びプレスにより除去した。得られたパルプシートを、
室温で十分に乾燥させた後、これを140℃の送風乾燥
機中で30分間加熱して架橋を行った。
【0035】この架橋パルプを家庭用ミキサーで離解し
て綿状物とした。この綿状物を反応容器に入れ、これに
イソプロパノール400ml、水40ml、及び水酸化
ナトリウム5.93gを混合し、一時間攪拌してアルカ
リセルロースとした。これにモノクロロ酢酸ナトリウム
17.3gを添加し、30分間攪拌し、さらに30分間
放置した。次に反応容器に還流冷却器を取り付け、混合
液をオイルバスで3時間還流加熱した。反応生成物をガ
ラスフィルターでろ過し、70重量%メタノールで十分
洗浄後、100%メタノールで2回洗浄し、真空乾燥器
で乾燥して、繊維状の架橋CMCナトリウム塩30g
(置換度1.0)を得た。
【0036】別に200ml容三角フラスコに、水3
2.4ml、イソプロパノール39.6mlを入れて混
合し、濃度48.8重量%のイソプロパノール水溶液6
3.3gを調製した。この混合液に前記架橋CMC3g
を入れて1時間還流加熱し、攪拌しながら膨潤させた。
この膨潤条件下における架橋CMCの膨潤度を測定した
ところ、5g/gであった。この混合物をろ過してゲル
を分離し、このゲルを54重量%イソプロパノール水溶
液30ml中に分散させた後、これにイソプロパノール
30mlを添加した。1時間静置してゲル中の水分をイ
ソプロパノールにより置換した後、ゲルをろ過し、再度
イソプロパノールで洗浄後乾燥して、繊維状の高吸水性
材料を得た。その人工尿液吸液量を測定し、その結果を
表1に示す。
【0037】実施例2 200ml容三角フラスコに、水40.5ml、および
n−プロパノール49.5mlを入れて混合し、濃度4
9.6重量%のn−プロパノール水溶液80.3gを調
製した。この混合液に、実施例1と同じ方法で得られた
架橋CMC3gを入れて1時間還流加熱し、攪拌しなが
ら膨潤させた。この膨潤条件下における架橋CMCの膨
潤度を測定したところ、7g/gであった。この混合物
をろ過してゲルを分離し、このゲルを54重量%n−プ
ロパノール水溶液30ml中に分散させた後、これにn
−プロパノール30mlを添加した。1時間静置してゲ
ル中の水分をn−プロパノールにより十分に置換した
後、このゲルをろ過分離し、再度n−プロパノールで洗
浄後乾燥して、繊維状の高吸水性材料を得た。その人工
尿液吸液量を測定し、その結果を表1に示す。
【0038】実施例3 絶乾重量20gの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)
を家庭用ミキサーで離解して綿状物とした。この綿状物
を反応容器に入れ、これにイソプロパノール400m
l、水40ml、及び水酸化ナトリウム5.93gを混
合し、一時間攪拌してアルカリセルロースとした。これ
にモノクロロ酢酸ナトリウム17.3gを添加し、30
分間攪拌し、さらに30分間放置した。次に反応容器に
還流冷却器を取り付け、混合液をオイルバスで3時間還
流加熱した。反応生成物をガラスフィルターでろ過し、
70重量%メタノールで十分洗浄後、100%メタノー
ルで2回洗浄し、真空乾燥器で乾燥して、繊維状のCM
Cナトリウム塩30g(置換度1.0)を得た。
【0039】この繊維状のCMCナトリウム塩30gを
反応容器に入れ、これにイソプロパノール600ml、
水120ml、および濃度50g/1のエピクロルヒド
リンを含むイソプロパノール溶液18ml、および濃度
40g/1のNaOHを含む水溶液9.7mlを混合し
た。反応容器に還流冷却器を取り付け、混合物をオイル
バスで1時間還流加熱した。反応生成混合物をガラスフ
ィルターでろ過し、70重量%メタノールで十分洗浄
後、100%メタノールで2回洗浄し、真空乾燥器で乾
燥して繊維状の架橋CMCを得た。
【0040】次に200ml容三角フラスコに、水3
2.4ml、およびイソプロパノール39.6mlを入
れて混合し、濃度48.8重量%のイソプロパノール水
溶液63.3gを調製した。この混合液に、前記架橋C
MC3gを入れて1時間還流加熱し、攪拌しながら膨潤
させた。この膨潤条件下における架橋CMCの膨潤度を
測定したところ、5g/gであった。この混合物をろ過
してゲルを分離し、このゲルを75.9重量%メタノー
ル60ml中に分散させた後、これにメタノール20m
lを添加した。この混合物をろ過してゲルを分離し、こ
のゲルを100%メタノール60ml中に分散させて1
時間静置してゲル中の水分を、メタノールにより十分に
置換した後、ゲルをろ過し、乾燥して、繊維状の高吸水
性材料を得た。その人工尿液吸液量を測定し、その結果
を表1に示す。
【0041】実施例4 市販の粉末状CMCナトリウム塩(置換度0.8)30
gに、イソプロパノール333ml、水78ml、水酸
化ナトリウム2g、およびエチレンオキサイド22gを
混合してオートクレーブに仕込み、この混合物を70℃
で2時間反応させた。次に反応混合物を酢酸で中和した
後、ろ過して反応溶媒の大部分を除き、反応生成物を6
0℃で4時間乾燥してヒドロキシエチルカルボキシメチ
ルセルロースナトリウム塩(以下、HECMCと略)を
調製した。
【0042】このHECMC30gを反応容器に入れ、
これにイソプロパノール600ml、水120ml、及
びエチレングリコールジグリシジルエーテル3gを混合
した。上記反応容器に還流冷却器を取り付け、反応容器
内の混合物をオイルバスで2時間還流加熱した。反応生
成混合物をガラスフィルターでろ過し、得られた反応生
成物を100%メタノールで2回洗浄後、真空乾燥器で
乾燥して架橋HECMCを得た。
【0043】次に、200ml容三角フラスコに、イソ
ブタノール21.6ml、および水36.0mlを入れ
て混合した。このままでは、イソブタノールと水が均一
に混合せず二層に分離するため、補助溶媒としてエタノ
ール14.4mlをさらに加えて均一な混合溶媒とし
た。この混合溶媒中のイソブタノール濃度は26.9重
量%であった。これに前記架橋HECMC3gを入れて
1時間還流加熱し、攪拌しながら膨潤させた。この膨潤
条件下における架橋HECMCの膨潤度を測定したとこ
ろ、20g/gであった。この混合物をろ過してゲルを
分離し、このゲルをイソブタノール35.9ml、エタ
ノール24.1mlの混合有機溶媒中に分散させた。こ
れを1時間静置してゲル中の水分を上記混合アルコール
により十分置換した後、このゲルをろ過し、乾燥して、
粉末状の高吸水性材料を得た。その人工尿液吸液量を測
定し、その結果を表1に示す。
【0044】実施例5 絶乾重量7gの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)
に、0.1%硝酸154g、およびアクリロニトリル1
4gを加え、よく混合した。次にこの混合物にグラフト
重合開始剤として硝酸第二セリウムアンモニウム370
mgを添加し、室温で1時間グラフト重合を行った。反
応生成物を水で十分洗浄し、ろ過して脱水後、これに3
%水酸化ナトリウム水溶液1000mlを加えて、10
0℃で2時間加熱することにより、グラフト共重合パル
プに加水分解を施した。この反応生成物をろ過により分
離し、76重量%メタノール水溶液を洗浄後、真空乾燥
して、グラフト共重合パルプの加水分解物を得た。
【0045】次に、この加水分解物5gにイソプロパノ
ール50ml、水10ml、および水酸化ナトリウム
1.5gを混合し、この混合物を室温で1時間攪拌した
後、これにモノクロロ酢酸ナトリウム4.4gを加え、
さらにこの混合液を40℃で3時間加熱して前記加水分
解生成物にカルボキシメチル化を施し、70重量%メタ
ノールで洗浄後、真空乾燥した。カルボキシメチル化さ
れたグラフト共重合パルプの加水分解物が得られた。
【0046】次に200ml容三角フラスコに、水48
ml、およびメチルエチルケトン43.2mlを入れて
混合した。このままで均一に混合しないので、これに補
助溶媒としてメタノール28.8mlを加えて均一な混
合溶媒とし、メチルエチルケント濃度33重量%の水溶
液105gを調製した。これに、前記カルボキシメチル
化されたグラフト化物3gを入れて、1時間室温で放置
して膨潤させた。この膨潤条件における膨潤度を測定し
たところ、12g/gであった。この混合物をろ過して
ゲルを分離し、このゲルを100%メタノール60ml
中に分散させて1時間静置してゲル中の水分をメタノー
ルにより十分に置換した後、ゲルをろ過し、乾燥して、
繊維状の高吸水性材料を得た。その人工尿液吸液量を測
定し、その結果を表1に示す。
【0047】比較例1〜4 実施例1、実施例3、実施例4、及び実施例5のそれぞ
れにおいて、水及び有機溶媒の混合溶媒で膨潤させる前
の試料を、それぞれ比較例1、比較例2、比較例3、比
較例4の製品とし、これを、前記テストに供した。これ
らの人工尿液吸液量を表1に示す。
【0048】比較例5 比較例5において、実施例1と同じ操作を行った。但
し、架橋CMCを膨潤させる混合液として、48.8重
量%イソプロパノール水溶液に代えて、炭素数1の1価
アルコールであるメタノールの48.8重量%水溶液を
使用した。すると、得られた製品の膨潤度が大きくなり
すぎてゲルをろ過によって分離することができず、この
ため高吸水性材料を得ることができなかった。
【0049】比較例6 比較例6において、実施例1と同じ操作を行った。但
し、架橋CMCを膨潤させる混合液として、48.8重
量%イソプロパノール水溶液に代えて、炭素数2の1価
アルコールであるエタノールの48.8重量%水溶液を
使用した。すると、得られた製品の膨潤度が大きくなり
すぎてゲルをろ過によって分離することができず、この
ため高吸水性材料を得ることができなかった。
【0050】比較例7 比較例7において、実施例1と同じ操作を行った。但
し、架橋CMCを膨潤させる混合液として、48.8重
量%イソプロパノール水溶液に代えて、炭素数7の1価
アルコールであるn−ヘプタノール15重量%、メタノ
ール50重量%、および水が35重量%の混合液を使用
した。この場合膨潤度が過少であった。人工尿吸液量を
表1に示す。
【0051】比較例8 比較例8において、実施例1と同じ操作を行った。但
し、架橋CMCを膨潤させる混合液として、48.8重
量%イソプロパノール水溶液に代えて、炭素数3の3価
アルコールであるグリセリンの65重量%水溶液を使用
した。すると、膨潤度が大きくなりすぎてゲルをろ過に
よって分離することができず、このため高吸水性材料を
得ることができなかった。
【0052】比較例9 比較例9において、実施例1と同じ操作を行った。但
し、架橋CMCを膨潤させる混合液として、48.8重
量%イソプロパノール水溶液に代えて、10重量%イソ
プロパノール水溶液を使用した。すると膨潤度が大きく
なりすぎてゲルをろ過によって分離することができず、
このため高吸水性材料を得ることができなかった。
【0053】比較例10 比較例10において、実施例1と同じ操作を行った。但
し、架橋CMCを膨潤させる混合液として、48.8重
量%イソプロパノール水溶液に代えて、70重量%イソ
プロパノール水溶液を使用した。この場合膨潤度は実施
例1のそれよりも小さかった。人工尿吸液量を表1に示
す。
【0054】比較例11〜15 比較例11〜15の各々において、それぞれ実施例1〜
5と同じ操作を行った。但し、膨潤後ろ過して分離した
ゲルの水分を有機溶媒置換せず、そのまま乾燥させた。
これらの人工尿吸液量を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明方法によって得られた高吸水性材
料は、比較的少量の有機溶媒を用いて調製することがで
き、純水はもちろん塩水中においても優れた吸水性能を
示し、このため広い分野で好適に使用できる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08B 15/00 B01J 20/24 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶化されたセルロース誘導体を、水
    と有機溶媒との混合液中において、その膨潤度が3g/
    g〜30g/gになるように膨潤させてセルロース誘導
    体ゲルを調製し、このゲルを前記混合液から分離し、こ
    の分離されたゲル中の水分を、水と相溶性を有する有機
    溶媒で置換し、これを乾燥することを含み、前記混合液
    を構成する前記有機溶媒が、炭素数3〜6の1価アルコ
    ールおよび炭素数4〜7のケトンから選ばれる少なくと
    も1種からなり、かつ前記混合液中における前記有機溶
    媒の含有率が15〜65重量%であることを特徴とす
    る、塩水吸水能力に優れた高吸水性セルロース材料の製
    造方法。
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