JPH0981978A - ガーネット膜を用いた光磁気記録媒体およびその作製方法 - Google Patents

ガーネット膜を用いた光磁気記録媒体およびその作製方法

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JPH0981978A
JPH0981978A JP23445695A JP23445695A JPH0981978A JP H0981978 A JPH0981978 A JP H0981978A JP 23445695 A JP23445695 A JP 23445695A JP 23445695 A JP23445695 A JP 23445695A JP H0981978 A JPH0981978 A JP H0981978A
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garnet
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magneto
optical recording
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JP23445695A
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Ryuji Sato
龍二 佐藤
Kiichi Kawamura
紀一 河村
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Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C15/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by etching

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガーネット膜の剥離や結晶化率の低下を招か
ずに、ガーネット膜の内部応力(σ)を大きくすること
及び、膜表面付近のビスマス(Bi)偏析を抑制するこ
と。 【解決手段】 ガラス基板1上にガーネット組成の非晶
質膜2を積層し、該非晶質膜2を結晶化した後、膜表面
にSiO2 (誘電体)膜3を積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気記録で使用
される記録媒体に係わり、特に記録媒体の記録層に用い
られる磁性ガーネット膜や、磁性ガーネット膜の下地層
として基板上にガーネット膜を積層した光磁気記録媒体
およびその作製方法に関する。
【0002】[発明の概要]本発明は情報の記録・再生
にレーザ光を用いる光磁気記録の記録媒体に使用され
る、希土類(R)と遷移金属(TM)およびビスマス
(Bi)を含むガーネット膜に関するもので、膜表面に
光を透過する誘電体膜を積層することによって、ガーネ
ット膜の内部応力(σ)を制御(増加または減少)する
こと及び、膜表面付近における組成の不均一性、すなわ
ち、ビスマス(Bi)の偏析を抑制するものである。
【0003】
【従来の技術】光磁気記録媒体を構成するガーネット膜
は、基板(ガラス基板等)上に膜を形成後、熱処理によ
って結晶化させることによって得られる。このガーネッ
ト膜は、製膜に用いる基板の種類や製膜条件によらず多
結晶となる。この場合、光磁気記録材料の必要条件であ
る垂直磁気異方性は、膜に存在する内部応力(σ)に起
因することが知られている(五味 学、宇都木 潔、阿
部 政紀:日本応用磁気学会誌、vol.10、NO.2、173(19
86).) 希土類(R)としてジスプロシウム(Dy)を含むガー
ネットの場合、膜の熱膨張率(α)より基板の熱膨張率
(α)が小さく、従って、膜自体に引っ張り方向の内部
応力(σ)が存在するときに垂直磁気異方性が発生す
る。また、熱膨張率(α)の差が大きいほど、内部応力
(σ)と磁気異方性エネルギー(Ku)が大きくなる。
【0004】製膜後に熱処理する方法でガーネット膜を
結晶化させるには、膜の組成(Bi量)にもよるが、5
00℃以上の温度で熱処理する必要がある。従って、製
膜に用いられる基板は、ガラスかGGG(ガドリニウム
・ガリウム・ガーネット)などの単結晶に限られる。
【0005】表1は、代表的な基板材料(コーニング0
317ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、および
GGG単結晶)とその熱膨張率(α)を示している。
【0006】
【表1】 表2は、石英ガラス(α=5×10-7/℃)および、無
アルカリガラス(α=40×10-7/℃)上に製膜し
た、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)添加Dy鉄
(Fe)ガーネット膜の内部応力(σ)の実測値を示
す。
【0007】
【表2】 表2に示されるように、石英ガラスを基板に用いたとき
の内部応力(σ)は、無アルカリガラスを用いたときの
1.5倍の値となっているが、この試料では膜の剥離が
起きていた。また、熱膨張率(α)の小さな基板を用い
ると、製膜条件が同じでも膜の結晶化率が低下する。従
って、熱膨張率(α)の小さな基板を用いることによっ
て内部応力(σ)を大きくする方法は、膜質の一様性と
いう点で限界がある。
【0008】基板と膜との間の熱膨張率の差を利用して
ガーネット膜に応力を付加する方法には、この他にも以
下のような欠点がある。
【0009】光磁気記録に使われるガーネット膜には、
媒体の記録感度、磁気特性、磁気光学特性、結晶化温度
を調節するためにビスマス(Bi)が添加される。基板
と膜との間の熱膨張率の差によって発生した応力は、基
板と膜との界面から遠くなるにつれて減少する。このこ
とは、格子間隔を広げる力、すなわちビスマス(Bi)
が結晶中から押し出されるのを抑制する力が弱くなるこ
とを意味する。このため、膜表面付近でビスマス(B
i)の濃度が高くなり、膜表面付近に組成勾配が生ず
る。ビスマス(Bi)が偏析している深さは50Å程度
であることが多い。
【0010】ところが、図6に示すGGG(ガドリニウ
ム・ガリウム・ガーネット)基板上に製膜したビスマス
(Bi)、Ga置換Dy鉄ガーネット膜の深さ方向の組
成分析の結果(横軸は膜表面からの深さ、縦軸は各元素
の濃度を示す)からも分かるように、ビスマス(Bi)
が偏析している深さは膜厚の1/3、すなわち300Å
程度の深さにまで達することもある。最表面でビスマス
(Bi)濃度が最大になっているが、ビスマス(Bi)
濃度が高くなるほど、ビスマス(Bi)やBi酸化物
(Bi2 3 )、ビスマスオルソフェライト(BiFe
3 )など、ガーネット以外の相が多くなる。
【0011】高濃度のビスマス(Bi)を含む、膜最表
面の非ガーネット層の下には、深さ方向に組成勾配を持
つガーネット領域が存在する。膜表面のビスマス(B
i)高濃度層は高周波スパッタ法(RFS)などの方法
を用いてエッチングすることによって除去できるが、同
時に、内部応力(σ)と保磁力(Hc)が低下してしま
うことが本発明者らによって確認されている(佐藤 龍
二、河村 紀一、玉城孝彦:第42回応用物理学関係連
合講演会講演予稿集NO.1、p79(1995).)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来にお
けるガーネット膜を用いた光磁気記録媒体においては、
ガーネット膜の剥離や結晶化率が低下するという問題が
あり、また、内部応力(σ)と保磁力(Hc)が低下し
てしまうという問題があった。
【0013】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、ガーネット膜の剥離や結晶化率の
低下を招来することなく、ガーネット膜の内部応力
(σ)を大きくすること及び、膜表面付近のビスマス
(Bi)偏析を抑制することを可能としたガーネット膜
を用いた光磁気記録媒体およびその作製方法を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、請求項1では、基板と、この基板上に製膜
されたガーネット膜と、このガーネット膜上に積層され
た誘電体膜とを備えたことを特徴としている。
【0015】請求項2では、請求項1記載のガーネット
膜を用いた光磁気記録媒体において、膜表面に積層され
る前記誘電体は、石英ガラス(SiO2 )、一酸化珪素
(SiO)、窒化アルミ(AlN)、窒化シリコン(S
iN)、酸化チタン(TiO2 )、無アルカリガラス、
コーニング0317ガラス(商品名)のうちのいずれ
か、または、これらを任意の割合、任意の種類混合した
もの、若しくは、任意の種類のものを任意の厚さずつ積
層した多層膜のいずれかであることを特徴としている。
【0016】請求項3では、請求項1または2記載のガ
ーネット膜を用いた光磁気記録媒体において、エッチン
グ処理をした、ガーネット膜の表面または熱処理前の膜
表面に誘電体を積層する時間が、5秒から10時間、若
しくは積層する誘電体の厚さが最大で1000Åである
ことを特徴としている。
【0017】請求項4では、基板上にガーネット組成の
非晶質膜を積層し、該非晶質膜を結晶化した後、膜表面
に誘電体を積層することを特徴としている。
【0018】請求項5では、基板上にガーネット組成の
非晶質膜を積層し、該非晶質膜表面に誘電体を積層した
後、該ガーネット膜を結晶化することを特徴としてい
る。
【0019】請求項6では、請求項4または5記載のガ
ーネット膜を用いた光磁気記録媒体の作製方法におい
て、膜表面に積層される前記誘電体は、石英ガラス(S
iO2)、一酸化珪素(SiO)、窒化アルミ(Al
N)、窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(Ti
2 )、無アルカリガラス、コーニング0317ガラス
(商品名)のうちのいずれか、または、これらを任意の
割合、任意の種類混合したもの、若しくは、任意の種類
のものを任意の厚さずつ積層した多層膜のいずれかであ
ることを特徴としている。
【0020】請求項7では、請求項4から6のいずれか
に記載のガーネット膜を用いた光磁気記録媒体の作製方
法において、エッチング処理をした、ガーネット膜の表
面または熱処理前の膜表面に5秒から10時間誘電体を
積層すること、または誘電体の厚さが最大で1000Å
積層することを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の発明の実施の形態
について、図面および表を参照して説明する。
【0022】《第1の実施形態》図1は、本発明に係る
ガーネット膜を用いた光磁気記録媒体の第1の実施形態
を示す構成図である。
【0023】この図に示すガーネット膜を用いた光磁気
記録媒体は、ガラスによって構成される平板状の基板1
と、この基板1上に積層された後、結晶化させられた膜
の表面がエッチングにより除去されて成るガーネット膜
2と、このガーネット膜2上に積層されたSiO2 膜3
とによって構成される。
【0024】次に、図1に示すガーネット膜を用いた光
磁気記録媒体の作製方法について、説明する。
【0025】まず、熱膨張率(α)が40×10-7/℃
のガラス(表1に示した無アルカリガラス)板によって
基板1を構成し、表3に示す堆積条件で、ビスマス(B
i)、ジスプロシウム(Dy)、ガリウム(Ga)、鉄
(Fe)、酸素(O)を成分とし、ビスマス(Bi)、
ジスプロシウム(Dy)、ガリウム(Ga)、鉄(F
e)の組成比が2.5:1.1:1.0:3.3である
焼結ターゲットを用いて、高周波スパッタ法(RFS)
でスパッタリングを行い、この焼結ターゲットの成分と
なっているビスマス(Bi)、ジスプロシウム(D
y)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、酸素(O)を成
分とする非晶質膜を形成する。
【0026】
【表3】 この後、この非晶質膜の表面に偏析したビスマス(B
i)を除去するために、表4に示すエッチング処理条件
で、この非晶質膜を堆積するのに要した時間の20%だ
け、すなわち12分間、非晶質膜の表面をエッチング処
理で除去した後、大気中で50℃/sの速度で720℃
まで昇温させる。次いで、720℃の状態で60分間保
持した後、3℃/sの速度で20℃まで冷却するという
熱処理によって、磁性を示すガーネット膜2を結晶化さ
せる。
【0027】
【表4】 この後、結晶化させたガーネット膜2の膜表面部分に生
じる組成不均一領域の除去および膜厚の低減化を図るた
めに、高周波スパッタ法(RFS)を使用し、表5に示
すエッチング条件で、結晶化後の膜表面を10分間エッ
チング処理してガーネット膜2を得る。
【0028】
【表5】 その後、表6に示す条件で、このエッチング処理された
ガーネット膜2上に高周波スパッタ法(RFS)を使用
してSi02 膜3を積層し、図1に示すようなガーネッ
ト膜を用いた光磁気記録媒体を作製した。
【0029】
【表6】 図3に、上述のようにして作製される第1の実施形態の
結果を示す。
【0030】第1の実施形態において、結晶化後に膜表
面を10分間エッチングすると、エッチング前に110
MPa(積層時間0分、図中○印で示す)であった引っ
張り方向の内部応力(σ)が70MPa(積層時間0
分、図中●印で示す)まで減少した。この後、表6の条
件でSiO2 を膜表面に積層すると、内部応力(σ)は
エッチング後の値よりも大きくなり、積層時間2分で最
大値130MPaとなる。この値は、エッチング前の値
よりも大きい。
【0031】結晶化後にSiO2 膜3を積層することに
よって内部応力(σ)が増加する理由について説明す
る。基板1上に製膜した膜に引っ張り応力が存在する
と、試料は、膜面側が凹む形に湾曲する。ガーネット膜
2の表面に積層したSiO2 自体に圧縮応力(基板が存
在しないと仮定したときに、膜を縮ませる力)が発生す
れば、試料は更に湾曲し、ガーネット膜2に加わる引っ
張り応力は増加する。SiO2 積層後の内部応力(σ)
が積層時間に対し単調に増加せずに最大値を持つのは、
積層時間が長くなると、膜面にSiO2 の粒子が衝突す
ることにより、ガーネット膜2の内部応力(σ)の緩和
(低下)が進行するためである。
【0032】なお、図1に示した実施形態において基板
1上に堆積させる膜は、ジスプロシウム(Dy)を含む
膜としたが、ガーネットとして結晶化させるための、ビ
スマス(Bi)および希土類元素(R)の何れか、或い
は複数を含む膜でよい。
【0033】《第2の実施形態》図2は、本発明に係る
ガーネット膜を用いた光磁気記録媒体の第2の実施形態
を示す構成図である。
【0034】この図に示すガーネット膜を用いた光磁気
記録媒体は、第1の実施形態と同様にガラスによって構
成される平板状の基板4と、この基板4上に積層された
ガーネット膜5と、このガーネット膜5上に積層された
SiO2 膜6とによって構成され、前記ガーネット膜5
は、この膜の表面に表6の条件でSiO2 膜6を積層し
た後に、第1の実施形態と同じ条件で熱処理して結晶化
させたことを特徴としている。
【0035】次に、図2に示すガーネット膜を用いた光
磁気記録媒体の作製方法について、説明する。
【0036】まず、熱膨張率(α)が40×10-7/℃
のガラス(表1に示した無アルカリガラス)板によって
基板4を構成し、表3に示す堆積条件で、ビスマス(B
i)、ジスプロシウム(Dy)、ガリウム(Ga)、鉄
(Fe)、酸素(O)を成分とし、ビスマス(Bi)、
ジスプロシウム(Dy)、ガリウム(Ga)、鉄(F
e)の組成比が2.5:1.1:1.0:3.3である
焼結ターゲットを用いて、高周波スパッタ法(RFS)
でスパッタリングを行い、この焼結ターゲットの成分と
なっているビスマス(Bi)、ジスプロシウム(D
y)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、酸素(O)を成
分とする非晶質膜を形成する。
【0037】この後、この非晶質膜の表面に偏析したビ
スマス(Bi)を除去するために、表4に示すエッチン
グ処理条件で、この非晶質膜を堆積するのに要した時間
の20%だけ、すなわち12分間、非晶質膜の表面をエ
ッチング処理で除去する。
【0038】その後、表6に示す条件で、非晶質のガー
ネット組成膜上に高周波スパッタ法(RFS)を使用し
てSi02 膜6を積層した後、大気中で50℃/sの速
度で720℃まで昇温させる。次いで、720℃の状態
で60分間保持した後、3℃/sの速度で20℃まで冷
却するという熱処理によって、磁性を示すガーネット膜
5を結晶化させ、図2に示すようなガーネット膜を用い
た光磁気記録媒体を作製した。
【0039】図4に、上述のようにして作製される第2
の実施形態の結果を示す。
【0040】第2の実施形態において、第1の実施形態
と同様に熱処理前に、膜表面を膜の堆積に要した時間の
20%だけエッチングすると、膜表面に存在する、ビス
マス(Bi)濃度が高い不均一組成領域は除去される。
この後SiO2 膜6を積層した後、熱処理によってガー
ネット膜5を結晶化させる。SiO2 膜6の熱膨張率は
5×10-7/℃程度と考えられるので、結晶化の過程で
膜表面側からも、ガーネット膜5に対し引っ張り応力が
加わる。この力は、試料を基板4側が凹むように湾曲さ
せる。
【0041】従って、SiO2 膜6を積層してから結晶
化させることによって、SiO2 膜6がない場合に比
べ、ガーネット膜5の内部応力(σ)は小さくなること
が予想される。
【0042】図4に示すように、SiO2 膜6を積層し
てから結晶化させたガーネット膜5の内部応力(σ)
は、SiO2 膜6を積層する時間に対して単調に減少し
ている。高保磁力状態を確保するためには、内部応力
(σ)の減少は不利な結果であるが、第2の実施形態で
基板4に使用しているガラスの熱膨張率が40×10-7
/℃と、ガーネット膜5の値(100×10-7/℃程
度)の1/2以下であるため、SiO2 積層時間が10
分の時点でも、第1の実施形態に係わる図3のSiO2
積層時間10分における内部応力(σ)と同程度の値と
なっている。SiO2膜6を積層してから結晶化させる
方法には、ガーネット膜5の内部応力(σ)を小さくす
る効果の他に、ガーネット膜5の組成を一様にする効果
もある。
【0043】図5に、図4のSiO2 積層時間10分の
膜の、各元素濃度の深さ方向の分析結果を示す。
【0044】この膜では、図6のような膜表面付近での
ビスマス(Bi)濃度の増加はみられない。図5の結果
は、膜表面付近に引っ張り応力を加えながら結晶化させ
ることによって、ビスマス(Bi)が希土類元素(R)
の格子位置から押し出される現象が抑制されることを示
している。
【0045】なお、図2に示した第2の実施形態の構成
においては、ガラス基板上に積層する膜をビスマス(B
i)、ジスプロシウム(Dy)、ガリウム(Ga)、鉄
(Fe)、酸素(O)から成る非晶質の膜としたが、ガ
ーネットとして結晶化させるための、ビスマス(Bi)
および、希土類(R)の何れか或いは複数を含む非晶質
膜でもよい。
【0046】また、上述の第1の実施形態および第2の
実施形態においては、膜上に積層する誘電体としてSi
2 を用いたが、一酸化珪素(SiO)、窒化アルミ
(AlN)窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(Ti
2 )、無アルカリガラス(熱膨張率40×10-7〜4
5×10-7/℃)、コーニング0317ガラス(熱膨張
率98×10-7/℃)のうちの何れかでもよく、また、
これらを任意の割合、種類混合したものでもよく、或い
は、任意の種類のものを任意の厚さずつ積層した多層膜
でもよい。
【0047】また、上述の第1の実施形態および第2の
実施形態においては、誘電体を積層する時間を最長10
分としたが、用いる誘電体の熱膨張率および製膜方法、
製膜条件によっては、最長10時間の間の任意の時間で
よい。
【0048】ここで、SiO2 積層時間の許容範囲の根
拠について説明する。
【0049】第1の実施形態および第2の実施形態にお
いて、SiO2 を製膜するに用いた方法は高周波スパッ
タ法(RFS)であるが、この方法のSiO2 に対する
スパッタレート(基板上堆積速度)は1Å/s程度であ
る。従って、この方法による積層時間10分でのSiO
2 膜厚は、600Åとなる。高周波スパッタ法(RF
S)の場合、スパッタレートはガス圧、投入電力に依存
する。これらの条件によってスパッタレートが1/60
になったとすれば、600Åの膜を積層するに要する時
間は10時間となる。マグネトロンスパッタ法(RFM
S)やイオンビームスパッタ法(IBS)は高周波スパ
ッタ法(RFS)よりスパッタレートが高く、数10Å
/sも可能である。100Å/sのスパッタレートが実
現できたとすれば、所用時間は6秒となる。
【0050】本発明の各実施形態では、積層するSiO
2 の厚さは最大で600Å程度であるが、膜面に誘電体
の粒子が衝突することによるガーネット膜の応力の緩和
が小さい製膜条件のもとでは、或いは、応力緩和の心配
がない、熱処理前に誘電体を積層する場合は、1000
Å程度でもよい。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ガ
ーネット膜の剥離や結晶化率の低下を招かずに、ガーネ
ット膜の内部応力(σ)を大きくすること及び、膜表面
付近のビスマス(Bi)偏析を抑制することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガーネット膜を用いた光磁気記録
媒体の第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係るガーネット膜を用いた光磁気記録
媒体の第2の実施形態を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態の結果である、結晶化後にSi
2 を積層したガーネット膜の内部応力(σ)の、Si
2 を積層する時間に対する依存性を示す図である。
【図4】第2の実施形態の結果である、SiO2 を積層
してから結晶化させたガーネット膜の内部応力(σ)
の、SiO2 を積層する時間に対する依存性を示す図で
ある。
【図5】第2の実施形態の結果である、SiO2 を積層
してから結晶化させたガーネット膜の、各元素濃度の深
さ方向の分析結果を示す図である。
【図6】GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネッ
ト)基板上に製膜したビスマス(Bi)、Ga置換Dy
鉄ガーネット膜の深さ方向の組成分析の結果を示す図で
ある。
【符号の説明】
1、4 基板 2、5 ガーネット膜 3、6 SiO2

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、この基板上に製膜されたガーネ
    ット膜と、このガーネット膜上に積層された誘電体膜と
    を備えたことを特徴とするガーネット膜を用いた光磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガーネット膜を用いた光
    磁気記録媒体において、 膜表面に積層される前記誘電体は、石英ガラス(SiO
    2 )、一酸化珪素(SiO)、窒化アルミ(AlN)、
    窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(TiO2 )、無
    アルカリガラス、コーニング0317ガラス(商品名)
    のうちのいずれか、または、これらを任意の割合、任意
    の種類混合したもの、若しくは、任意の種類のものを任
    意の厚さずつ積層した多層膜のいずれかであることを特
    徴とするガーネット膜を用いた光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のガーネット膜を
    用いた光磁気記録媒体において、 エッチング処理をした、ガーネット膜の表面または熱処
    理前の膜表面に誘電体を積層する時間が、5秒から10
    時間、若しくは積層する誘電体の厚さが最大で1000
    Åであることを特徴とするガーネット膜を用いた光磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 基板上にガーネット組成の非晶質膜を積
    層し、該ガーネット膜を結晶化した後、膜表面に誘電体
    を積層することを特徴とするガーネット膜を用いた光磁
    気記録媒体の作製方法。
  5. 【請求項5】 基板上にガーネット組成の非晶質膜を積
    層し、該非晶質膜表面に誘電体を積層した後、該ガーネ
    ット膜を結晶化することを特徴とするガーネット膜を用
    いた光磁気記録媒体の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載のガーネット膜を
    用いた光磁気記録媒体の作製方法において、 膜表面に積層される前記誘電体は、石英ガラス(SiO
    2 )、一酸化珪素(SiO)、窒化アルミ(AlN)、
    窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(TiO2 )、無
    アルカリガラス、コーニング0317ガラス(商品名)
    のうちのいずれか、または、これらを任意の割合、任意
    の種類混合したもの、若しくは、任意の種類のものを任
    意の厚さずつ積層した多層膜のいずれかであることを特
    徴とするガーネット膜を用いた光磁気記録媒体の作製方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項4から6のいずれかに記載のガー
    ネット膜を用いた光磁気記録媒体の作製方法において、 エッチング処理をした、ガーネット膜の表面または熱処
    理前の膜表面に5秒から10時間誘電体を積層するこ
    と、または誘電体の厚さが最大で1000Å積層するこ
    とを特徴とするガーネット膜を用いた光磁気記録媒体の
    作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000013178A1 (fr) * 1998-08-28 2000-03-09 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Support d'enregistrement opto-magnetique, son procede de fabrication et dispositif opto-magnetique d'enregistrement et de reproduction d'informations

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WO2000013178A1 (fr) * 1998-08-28 2000-03-09 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Support d'enregistrement opto-magnetique, son procede de fabrication et dispositif opto-magnetique d'enregistrement et de reproduction d'informations
US6759137B1 (en) 1998-08-28 2004-07-06 Centre National De La Recherche Scientifique, Inc. Opto-magnetic recording medium with a garnet ferrite recording layer, and opto-magnetic information recording/reproducing device

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