JPH10269637A - ガーネット単相記録媒体、およびその作製方法 - Google Patents

ガーネット単相記録媒体、およびその作製方法

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JPH10269637A
JPH10269637A JP6856597A JP6856597A JPH10269637A JP H10269637 A JPH10269637 A JP H10269637A JP 6856597 A JP6856597 A JP 6856597A JP 6856597 A JP6856597 A JP 6856597A JP H10269637 A JPH10269637 A JP H10269637A
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JP
Japan
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garnet
film
recording medium
substrate
heat treatment
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JP6856597A
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English (en)
Inventor
Ryuji Sato
龍二 佐藤
Kiichi Kawamura
紀一 河村
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Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱膨張率が100×10-7/℃以下で、かつ
軟化点が870℃以上の基板上に、結晶化度が100%
で、ガーネット以外の結晶相を含まないガーネット膜を
製膜する。 【解決手段】 板状に形成される基板1上にガーネット
膜2を製膜するとき、Bi(ビスマス)、希土類元素、
Ga(ガリウム)、Fe(鉄)、O(酸素)を含み、酸
素を除いたときのBiの組成比が15at.%から46
at.%の間の値である焼結ターゲットを用いて、基板
1上に非晶質膜を堆積させた後、図2のグラフに示す上
限温度、下限温度の範囲で、熱処理を施して、非晶質膜
を結晶化させてガーネット膜2を製膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に製膜する
磁性ガーネット膜または非磁性ガーネット膜に係わり、
特に磁性ガーネット膜、非磁性ガーネット膜を製膜する
ための製膜条件、製膜後の熱処理条件を最適化して、磁
性ガーネット膜または非磁性ガーネット膜の結晶化度を
100%に、かつ異相を含まないようにしたガーネット
単相記録媒体、およびその作製方法に関する。
【0002】[発明の概要]本発明は、基板上に作製す
る磁性ガーネット膜、非磁性のガーネット膜に係わるも
ので、熱膨張率が5×10-7/℃から98×10-7/℃
の間の値をとる基板を使用したときに、結晶化度が10
0%で、ガーネット以外の結晶相(異相)を含まないガ
ーネット膜の作製を可能にする。これによって、光磁気
記録用ガーネット膜の磁気特性および光学特性を均一化
し、かつ高C/N化を図ることができる。
【0003】
【従来の技術】基板上に製膜した非晶質の膜に熱処理を
行ってガーネットを結晶化させる方法については、これ
までに、文献「T.Suzuki:J.Appl.Phys.69,4756(199
1).」で、50℃/秒以上の速度で昇温する急速加熱法
(RTA法)が結晶粒微細化のために有効であること
や、文献「五味学、宇津木潔、阿部正紀:日本応用磁気
学会誌、10、173(1986)」で、膜中に含まれ
るBi量が多いほど、ガーネットの結晶に必要な温度が
低くなることが報告されている。
【0004】一方、ガーネット膜のための基板として
は、600℃以上の熱処理温度に耐えられなければなら
ないという条件から、コーニング0317、無アルカリ
ガラス、石英といったガラスや、GGG、NGGなどの
単結晶材料が使用可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来例においては、種々の基板および任意のBi量に
対応した、結晶化度が100%で、かつ異相を含まない
ガーネット膜を作製することができないという問題があ
った。
【0006】本発明は上記の事情に鑑み、結晶化度が1
00%で、かつ異相を含まない、Bi添加ガーネット膜
を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、請求項1では、板状に形成される基板
と、Bi(ビスマス)、希土類元素、Ga(ガリウ
ム)、Fe(鉄)、O(酸素)を含み、O(酸素)を除
いたときのBiの組成比が15at.%から46at.
%の間の値であるターゲットを用いて前記基板上に製膜
されるガーネット膜とを備えたことを特徴とする。
【0008】請求項2では、請求項1に記載のガーネッ
ト単相記録媒体において、前記基板は、石英ガラス、無
アルカリガラス、コーニング7059、コーニング03
17などのガラス、または熱膨張率が100×10-7
℃以下で、かつ軟化点が870℃以上のガラス、または
これらのガラスにガーネット膜を積層したもの、あるい
はGGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)、N
GG(ネオジム・ガリウム・ガーネット)などの単結晶
のいずれかによって構成されることを特徴とする。
【0009】請求項3では、基板上に、Bi、Dy(ジ
スプロシウム)、Ga、Fe、Oを含み、Oを除いたと
きの各元素の組成比がBi=25〜38at.%、Dy
=21〜8at.%(但し、Bi+Dy=46at.
%)、Ga=13at.%、Fe=41at.%である
ような焼結ターゲットを使用し、所定の膜堆積条件およ
び膜堆積後の表面エッチング条件によって非晶質膜を堆
積させた後、この非晶質膜を所定の熱処理条件で結晶化
してガーネット膜を形成することを特徴とする。
【0010】請求項4では、基板上に、Bi、Y(イッ
トリウム)、Ga、Fe、Oを含み、Oを除いたときの
組成比が、Bi=32at.%、Y=14at.%、G
a=22at.%、Fe=32at.%の焼結ターゲッ
トを使用し、所定の膜堆積条件および膜堆積後の表面エ
ッチング条件によって非晶質膜を製膜した後、所定の熱
処理条件で結晶化させて下地ガーネット膜を形成し、こ
の下地ガーネット膜上に、Bi、Dy、Ga、Fe、O
を含み、Oを除いたときの各元素の組成比がBi=2
8.7at.%、Dy=12.5at.%、Ga=8.
8at.%、Fe=50.0at.%であるような焼結
ターゲットを使用し、所定の膜堆積条件および膜堆積後
の表面エッチング条件によって非晶質膜を堆積させた
後、所定の熱処理条件で結晶化させてガーネット膜を形
成することを特徴とする。
【0011】請求項5では、請求項3、または4に記載
のガーネット単相記録媒体の作製方法において、前記基
板上にガーネット膜を製膜する方法として、高周波スパ
ッタ法(RFS)の他に、高周波マグネトロンスパッタ
法(RFMS)、DCマグネトロンスパッタ法(DCM
S)、レーザアブレーション法(LA)、イオンビーム
スパッタ法のうちのいずれかを使用することを特徴とす
る。
【0012】請求項6では、請求項3、または4に記載
のガーネット単相記録媒体の作製方法において、前記基
板上に製膜した膜をガーネット膜として結晶化させるた
めの熱処理条件は、製膜後に、空気、酸素、真空のうち
のいずれかの雰囲気中で、50℃/秒の速度で昇温させ
た後に、500℃から900℃の間の温度で10秒乃至
2時間、加熱することを特徴とする。
【0013】上記の構成によれば、熱膨張率が100×
10-7/℃以下で、かつ軟化点が870℃以上の基板上
に、酸素を除いたときのBi組成比が、15at.%か
ら46at.%の間であり、Bi、希土類元素、Fe、
Ga、Oを含む焼結ターゲットを用いて製膜された膜
を、結晶化度が100%で、ガーネット以外の結晶相を
含まない膜として、結晶化させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
《発明の概要》まず、課題を解決するために、本発明で
用いている方法を概要について簡単に述べる。
【0015】一般に、基板上に製膜された膜が結晶化す
るか否かは、膜に加えられるエネルギーの量、すなわち
熱処理温度と、時間との積で決まる。
【0016】そこで本発明では、Bi量の異なる試料に
対し、熱処理時間を1時間に固定したうえで、温度を変
えて熱処理を行い、X線回析測定と、顕微鏡観察とによ
って熱処理後におけるガーネット膜の結晶化度を測定
し、異相の有無を観察した。この結果から、結晶化度が
100%になり、異相が存在しないガーネット膜を結晶
化させるための温度の上限と下限を決定した。
【0017】《第1の実施の形態》次に、本発明による
ガーネット単相記録媒体の実施の形態について、図面お
よび表を参照しながら、詳細に説明する。
【0018】図1は、本発明によるガーネット単相記録
媒体の第1の実施の形態を示す構成図である。
【0019】この図に示すガーネット単相記録媒体11
aは、熱膨張率が40×10-7/℃の無アルカリガラス
を使用して形成された板状の基板1と、この基板1上に
積層されるガーネット膜2とによって構成されている。
【0020】ガーネット膜2は、Bi、Dy(ジスプロ
シウム)、Ga、Fe、Oを含み、Oを除いたときの各
元素の組成比がBi=25〜38at.%、Dy=21
〜8at.%(Bi+Dy=46at.%)、Ga=1
3at.%、Fe=41at.%であるような焼結ター
ゲットを使用し、表1に示す基板1への膜堆積条件およ
び膜堆積後の表面エッチング条件を使用したRFS法
で、基板1上に非晶質膜を堆積させた後、表2に示す熱
処理条件で非晶質膜を熱処理して形成したものである。
【0021】
【表1】
【表2】
【0022】そして、このようにして製膜されたガーネ
ット膜2について、X線回析測定と、顕微鏡観察とを行
い、設定されたBi量に対する、結晶化度が100%
で、異相を含まないガーネット膜2を結晶化させること
ができる温度範囲(上限と下限)を求めた。
【0023】この結果、基板1として、熱膨張率が40
×10-7/℃の無アルカリガラスをに用いたとき、図2
のグラフに示すような結果を得ることができた。
【0024】このグラフから理解できるように、下限温
度についは、Biの組成比が25at.%の焼結ターゲ
ットを使用したとき、670℃であった下限温度を、B
i組成比の増大とともに、単調に減少させることがで
き、Bi組成比を38at.%にしたとき、590℃に
することができる。
【0025】また、上限温度については、Bi組成比が
25at.%のときに、780℃であるが、32at.
%のとき、極大値の850℃にすることができ(従って
温度範囲は最も広くなる)、Bi組成比が38at.%
ときに640℃にすることができる。
【0026】これらのことから、基板1として、無アル
カリガラスを使用したときには、Bi(ビスマス)、希
土類元素、Ga(ガリウム)、Fe(鉄)、O(酸素)
を含み、酸素を除いたときのBiの組成比が15at.
%から46at.%の間の値である焼結ターゲットを用
い、基板1上に非晶質膜を堆積させ、この非晶質膜に図
2に示すグラフの上限温度、下限温度の範囲で、熱処理
を施すことにより、結晶化度を100%にし、かつ異相
を含まない、Biを添加したガーネット膜2を結晶化さ
せることができる。
【0027】《第2の実施の形態》図3は、本発明によ
るガーネット単相記録媒体の第2の実施の形態を示す構
成図である。
【0028】この図に示すガーネット単相記録媒体11
bが図1に示すガーネット単相記録媒体11aと異なる
点は、基板1として、コーニング0317ガラスを使用
し、表1に示す条件で、RFS法により、基板1上に非
晶質膜を積層した後、表2に示す条件で、熱処理を行っ
てガーネット膜2を製膜したことである。
【0029】そして、このようにして製膜されたガーネ
ット膜2について、上述した第1の実施の形態と同様
に、X線回析測定と、顕微鏡観察とを行い、設定された
Bi量に対する、結晶化度が100%で、異相を含まな
いガーネット膜2を結晶化させることができる温度範囲
(上限と下限)を求めた。
【0030】この結果、基板1として、コーニング03
17ガラスを用いたとき、図4のグラフに示すような結
果を得ることができた。
【0031】このグラフから理解できるように、基板1
として、コーニング0317ガラスを使用したとき、下
限温度については、熱膨張率が40×10-7/℃の無ア
ルカリガラスを使用したときと変わらないものの、上限
温度については、熱膨張率が40×10-7/℃の無アル
カリガラスを用いたときよりも低くすることができ、焼
結ターゲットのBi組成比が25at.%、32at.
%、38at.%のとき、各々、700℃、830℃、
625℃にすることができる。
【0032】これらのことから、基板1として、コーニ
ング0317ガラスを使用しても、Bi(ビスマス)、
希土類元素、Ga(ガリウム)、Fe(鉄)、O(酸
素)を含み、酸素を除いたときのBiの組成比が15a
t.%から46at.%の間の値である焼結ターゲット
を用いて、基板1上に非晶質膜を堆積させ、この非晶質
膜に、図4に示すグラフの上限温度、下限温度の範囲
で、熱処理を施すことにより、結晶化度を100%に
し、かつ異相を含まない、Biを添加したガーネット膜
2を結晶化させることができる。
【0033】《第3の実施の形態》図5は、本発明によ
るガーネット単相記録媒体の第3の実施の形態を示す構
成図である。
【0034】この図に示すガーネット単相記録媒体11
cが図1に示すガーネット単相記録媒体11aと異なる
点は、基板1として、石英ガラスを使用し、表1に示す
条件で、RFS法により、基板1上に非晶質膜を積層し
た後、表2に示す条件で、熱処理を行ってガーネット膜
2を製膜したことである。
【0035】そして、このようにして製膜されたガーネ
ット膜2について、上述した第1の実施の形態と同様
に、X線回析測定と、顕微鏡観察とを行い、設定された
Bi量に対する、結晶化度が100%で、異相を含まな
いガーネット膜2を結晶化させることができる温度範囲
(上限と下限)を求めた。
【0036】この結果、基板1として、石英ガラスを用
いたとき、図6のグラフに示すような結果を得ることが
できた。
【0037】このグラフから理解できるように、基板1
として、石英ガラスを使用したとき、下限温度について
は、焼結ターゲットのBi組成比が25at.%のとき
に650℃であった下限温度を、Bi組成比の増加とと
もに単調に減少させ、38at.%のとき、600℃に
することができる。
【0038】また、上限温度については、焼結ターゲッ
トのBi組成比が25at.%のとき、695℃である
が、32at.%で、極大値の700℃にすることがで
き、38at.%のとき、625℃にすることができ
る。
【0039】これらのことから、基板1として、石英ガ
ラスを使用しても、Bi(ビスマス)、希土類元素、G
a(ガリウム)、Fe(鉄)、O(酸素)を含み、酸素
を除いたときのBiの組成比が15at.%から46a
t.%の間の値である焼結ターゲットを用いて、基板1
上に非晶質膜を堆積し、この非晶質膜に、図6に示すグ
ラフの上限温度、下限温度の範囲で、熱処理を施すこと
により、結晶化度を100%にし、かつ異相を含まな
い、Biを添加したガーネット膜2を結晶化させること
ができる。
【0040】《第4の実施の形態》図7は、本発明によ
るガーネット単相記録媒体の第4の実施の形態を示す構
成図である。
【0041】この図に示すガーネット単相記録媒体11
dは、熱膨張率が40×10-7/℃の無アルカリガラス
を使用して形成された板状の基板3と、この基板3上に
積層される下地ガーネット膜4と、この下地ガーネット
膜4上に積層されるガーネット膜5とによって構成され
ている。
【0042】下地ガーネット膜4は、Bi、Y(イット
リウム)、Ga、Fe、Oを含み、Oを除いたときの組
成比が、Bi=32at.%、Y=14at.%、Ga
=22at.%、Fe=32at.%の焼結ターゲット
を使用し、表3に示す基板3上への膜堆積条件および膜
堆積後の表面エッチング条件を使用して、非晶質膜を製
膜した後、720℃で、45分間、空気中で、熱処理を
行なって結晶化させたものである。
【0043】
【表3】
【0044】また、ガーネット膜5は、Bi、Dy、G
a、Oを含み、Oを除いたときの各元素の組成比がBi
=28.7at.%、Dy=12.5at.%、Ga=
8.8at.%、Fe=50.0at.%であるような
焼結ターゲットを使用し、下地ガーネット膜4上に、表
4に示す下地ガーネット膜4への膜堆積条件および膜堆
積後の表面エッチング条件を使用したRFS法で非晶質
膜を堆積させた後、非晶質膜を熱処理して形成したもの
である。
【0045】
【表4】
【0046】この結果、熱膨張率が40×10-7/℃の
無アルカリガラスを使用した基板3上に、下地ガーネッ
ト膜4を製膜したものを基板にしたとき、図8のグラフ
に、◎で示す結果を得ることができた。
【0047】そして、このようにして製膜されたガーネ
ット膜5について、X線回析測定と、偏光顕微鏡観察と
を行ったところ、表5に示す条件、すなわち空気雰囲気
中で、670℃の温度で熱処理すると、20分で結晶化
を終了できることが分かった。
【0048】
【表5】
【0049】《他の実施の形態》また、上述した第1の
実施の形態乃至第4の実施の形態では、製膜方法とし
て、RFS法を使用しているが、このような方法以外の
製膜方法、例えばRFMS法、DCMS法、IBS法、
LA法などを使用して製膜を行なうようにしても良い。
【0050】また、上述した第1の実施の形態乃至第4
の実施の形態では、希土類元素として、Dyを含むガー
ネット膜2、5を結晶化させるようにしているが、この
元素のみならず、La(ランタン)、Ce(セリウ
ム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm
(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロ
ピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウ
ム)、Dy、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウ
ム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、L
u(ルテチウム)のうちのひとつ以上の元素を含むガー
ネット膜を結晶化させるようにしても良い。
【0051】また、上述した第1、第4の実施の形態で
は、基板1、3として、熱膨張率が40×10-7/℃の
無アルカリガラスを使用し、また第2の実施の形態で
は、基板1として、コーニング0317ガラスを使用
し、また第3の実施の形態では、基板1として、石英ガ
ラスを使用するようにしているが、これらの各基板1、
3の材料として、これら以外の材料、例えばコーニング
7059ガラスを使用しても、また熱膨張率が100×
10-7/℃以下で、かつ軟化点が870℃以上のガラス
を使用しても良い。あるいは、これらの基板1、3とし
て、熱膨張率が60×10-7/℃で、融点が1740℃
のGGGや熱膨張率が80×10-7/℃で、融点が15
70℃のNGGなどの単結晶を使用しても良い。
【0052】《請求項6に記載の熱処理について》次
に、請求項6に記載した熱処理温度および熱処理時間の
根拠について述べる。
【0053】まず、上述した第1の実施の形態乃至第4
の実施の形態では、基板1、3として、3種類の材料、
すなわち、熱膨張率が40×10-7/℃の無アルカリガ
ラス、コーニング0317、石英ガラスを使用し、これ
らの各材料を使用して、ガーネット膜2、5を製膜する
とき、上限温度が最も高くなるのは、基板1、3とし
て、無アルカリガラスを使用し、Bi組成比が32a
t.%の焼結ターゲットからガーネット膜2を製膜した
ときの850℃である。
【0054】この際、熱膨張率が40×10-7/℃の無
アルカリガラスは、軟化点が890℃であることから、
熱処理時間が短い場合、熱処理温度が850℃以上で
も、湾曲などの損傷が少なくないと考えられるので、熱
処理温度の上限を900℃にしている。
【0055】このように、熱処理時の上限温度を決めて
も、第3の実施の形態で使用した石英ガラスでは、軟化
点が1580℃であり、また請求項2に記載したGGG
やNGGなどの単結晶では、融点が1500℃以上であ
ることから、これらの基板1、3上に製膜されたガーネ
ット膜2、5を900℃に近い温度で熱処理しても、基
板1、3が損傷を受けることはない。
【0056】一方、図2のグラフから理解できるよう
に、熱膨張率が40×10-7/℃の無アルカリガラスを
使用した基板1上に、Bi組成比が38at.%の焼結
ターゲットからガーネット膜2を製膜したとき、下限温
度が590℃になり、また第1、第2、第3の実施の形
態の結果を表す図4、6、8のグラフを見ると分かるよ
うに、下限温度がBi量とともに単調に減少する。これ
らのことから、下限温度の傾向を考慮し、本発明では、
熱処理の下限温度を500℃に決めている。
【0057】また、第1の実施の形態乃至第4の形態の
形態では、熱処理時間として、図8内に◎印で示すデー
タ以外はすべて1時間にしている。
【0058】この際、熱処理を始めてから結晶化が完了
するまでに要する時間は、文献「R.Pascual,M.Sayer,A.
Lo,S.Herbert,L.C.Rolim,and N.Townley:J.Appl.Phys.7
9、493(1996) 」から明かなように、結晶核発生率Nと、
結晶成長速度Gによって決まる。
【0059】例えば、熱処理温度、あるいはBi組成比
を変えたときに、結晶核発生率Nが一定で、結晶成長速
度Gが半分になれば、結晶化に要する時間は、元の時間
の倍になる。
【0060】また、第4の実施の形態では、20分以下
で結晶化が完了することが確認されている。したがっ
て、熱処理時間は、最短で10秒、最長で2時間とし
た。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、熱
膨張率が100×10-7/℃以下で、かつ軟化点が87
0℃以上の基板上に、酸素を除いたときのBi組成比
が、15at.%から46at.%の間であり、Bi、
希土類元素、Fe、Ga、Oを含む焼結ターゲットを用
いて製膜された膜を、結晶化度が100%で、ガーネッ
ト以外の結晶相を含まない膜として、結晶化させること
ができる。これによって、光磁気記録用ガーネット膜の
磁気特性および光学特性を均一化し、かつ高C/N化を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガーネット単相記録媒体の第1の
実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に示すガーネット単相記録媒体を作製する
ときの、ターゲットのBi組成と、熱処理温度と、結晶
化率との関係を示すグラフである。
【図3】本発明によるガーネット単相記録媒体の第2の
実施の形態を示す構成図である。
【図4】図3に示すガーネット単相記録媒体を作製する
ときの、ターゲットのBi組成と、熱処理温度と、結晶
化率との関係を示すグラフである。
【図5】本発明によるガーネット単相記録媒体の第3の
実施の形態を示す構成図である。
【図6】図5に示すガーネット単相記録媒体を作製する
ときの、ターゲットのBi組成と、熱処理温度と、結晶
化率との関係を示すグラフである。
【図7】本発明によるガーネット単相記録媒体の第4の
実施の形態を示す構成図である。
【図8】図7に示すガーネット単相記録媒体を作製する
ときの、ターゲットのBi組成と、熱処理温度と、結晶
化率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2、5 ガーネット膜 3 基板 4 下地ガーネット膜 11a、11b、11c、11d ガーネット単相記録
媒体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状に形成される基板と、 Bi(ビスマス)、希土類元素、Ga(ガリウム)、F
    e(鉄)、O(酸素)を含み、O(酸素)を除いたとき
    のBiの組成比が15at.%から46at.%の間の
    値であるターゲットを用いて前記基板上に製膜されるガ
    ーネット膜と、を備えたことを特徴とするガーネット単
    相記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のガーネット単相記録媒
    体において、 前記基板は、石英ガラス、無アルカリガラス、コーニン
    グ7059、コーニング0317などのガラス、または
    熱膨張率が100×10-7/℃以下で、かつ軟化点が8
    70℃以上のガラス、またはこれらのガラスにガーネッ
    ト膜を積層したもの、あるいはGGG(ガドリニウム・
    ガリウム・ガーネット)、NGG(ネオジム・ガリウム
    ・ガーネット)などの単結晶のいずれかによって構成さ
    れることを特徴とするガーネット単相記録媒体。
  3. 【請求項3】 基板上に、Bi、Dy(ジスプロシウ
    ム)、Ga、Fe、Oを含み、Oを除いたときの各元素
    の組成比がBi=25〜38at.%、Dy=21〜8
    at.%(但し、Bi+Dy=46at.%)、Ga=
    13at.%、Fe=41at.%であるような焼結タ
    ーゲットを使用し、所定の膜堆積条件および膜堆積後の
    表面エッチング条件によって非晶質膜を堆積させた後、 この非晶質膜を所定の熱処理条件で結晶化してガーネッ
    ト膜を形成することを特徴とするガーネット単相記録媒
    体の作製方法。
  4. 【請求項4】 基板上に、Bi、Y(イットリウム)、
    Ga、Fe、Oを含み、Oを除いたときの組成比が、B
    i=32at.%、Y=14at.%、Ga=22a
    t.%、Fe=32at.%の焼結ターゲットを使用
    し、所定の膜堆積条件および膜堆積後の表面エッチング
    条件によって非晶質膜を製膜した後、所定の熱処理条件
    で結晶化させて下地ガーネット膜を形成し、 この下地ガーネット膜上に、Bi、Dy、Ga、Fe、
    Oを含み、Oを除いたときの各元素の組成比がBi=2
    8.7at.%、Dy=12.5at.%、Ga=8.
    8at.%、Fe=50.0at.%であるような焼結
    ターゲットを使用し、所定の膜堆積条件および膜堆積後
    の表面エッチング条件によって非晶質膜を堆積させた
    後、所定の熱処理条件で結晶化させてガーネット膜を形
    成することを特徴とするガーネット単相記録媒体の作製
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項3、または4に記載のガーネット
    単相記録媒体の作製方法において、 前記基板上にガーネット膜を製膜する方法として、高周
    波スパッタ法(RFS)の他に、高周波マグネトロンス
    パッタ法(RFMS)、DCマグネトロンスパッタ法
    (DCMS)、レーザアブレーション法(LA)、イオ
    ンビームスパッタ法のうちのいずれかを使用することを
    特徴とするガーネット単相記録媒体の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項3、または4に記載のガーネット
    単相記録媒体の作製方法において、 前記基板上に製膜した膜をガーネット膜として結晶化さ
    せるための熱処理条件は、製膜後に、空気、酸素、真空
    のうちのいずれかの雰囲気中で、50℃/秒の速度で昇
    温させた後に、500℃から900℃の間の温度で10
    秒乃至2時間、加熱することを特徴とするガーネット単
    相記録媒体の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007169779A (ja) * 2005-11-24 2007-07-05 Ricoh Co Ltd スパッタリングターゲット及びその製造方法、並びに光記録媒体及びその製造方法

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