JPH0980204A - 反射防止シート - Google Patents

反射防止シート

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JPH0980204A
JPH0980204A JP7262135A JP26213595A JPH0980204A JP H0980204 A JPH0980204 A JP H0980204A JP 7262135 A JP7262135 A JP 7262135A JP 26213595 A JP26213595 A JP 26213595A JP H0980204 A JPH0980204 A JP H0980204A
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antireflection sheet
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Hiroko Suzuki
裕子 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の使用においても、クラックや塗膜の
脱離がなく耐久性があり、耐擦傷性がある反射防止シー
トを提供する。 【解決手段】 離型フィルム6上に、接着剤層の屈折率
以上の屈折率を有する高屈折率層4を少なくとも1層以
上形成し、次いで該高屈折率層4に対しガラス転移温度
(Tg)20℃以上の接着剤層2を介して透明基材フィ
ルム1をラミネートする。接着剤層2を硬化させた後、
離型フィルム6を剥離し、露出した高屈折率層4上に低
屈折率層3を形成する。上記接着剤はウレタン系接着剤
が好ましく、さらにウレタン系接着剤中に、イソシアネ
ート基を有する化合物が10%以上含有されているこ
と、或いは電離放射線硬化型樹脂が含有されていること
が、Tg20℃以上とするために望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワープロ、コンピ
ュータ、テレビ、プラズマディスプレイパネル等の各種
ディスプレイ、液晶表示装置に用いる偏光板の表面、透
明プラスチック類サングラスレンズ、度付メガネレン
ズ、カメラ用ファインダーレンズ等の光学レンズ、各種
計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラス等の表面の反
射防止に優れた反射防止シート及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】カーブミラー、バックミラー、ゴーグ
ル、窓ガラス、パソコン・ワープロ等のディスプレイ、
その他種々の商業ディスプレイ等には、ガラスやプラス
チック等の透明基板が用いられており、これらの透明基
板を通して物体や文字、図形の視覚情報を或いはミラー
では透明基板を通して反射層からの像を観察する場合
に、これらの透明基板の表面が光で反射して内部の視覚
情報が見えにくいという問題があった。
【0003】従来、光の反射防止技術には、例えば、次
のような技術があった。すなわち、ガラスやプラスチッ
ク表面に反射防止塗料を塗布する方法、ガラス等の透明
基板の表面に膜厚0.1μm程度のMgF2 等の極薄膜
や金属蒸着膜を設ける方法、プラスチックレンズ等のプ
ラスチック表面に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、その
上に蒸着によりSiO2 やMgF2 の膜を形成する方
法、電離放射線硬化型樹脂の硬化膜上に低屈折率の塗膜
を形成する方法があった。
【0004】入射光が薄膜に垂直に入射する場合に、特
定の波長をλ0 とし、この波長に対する反射防止膜の屈
折率をn0 、反射防止膜の厚みをh、および基板の屈折
率をng とすると、反射防止膜が光の反射を100%防
止し、光を100%透過するための条件は、次の式
(1)および式(2)の関係を満たすことが必要である
ことは既に知られている(サイエンスライブラリ 物理
学=9「光学」70〜72頁、昭和55年,株式会社サ
イエンス社発行)。
【0005】
【数1】
【0006】
【数2】 ガラスの屈折率ng =約1.5であり、MgF2 膜の屈
折率n0 =1.38、入射光の波長λ0 =5500Å
(基準)と既に知られているので、これらの値を前記式
(2)に代入すると、反射防止膜の厚みhは約0.1μ
mが最適であると計算される。
【0007】前記式(1)によれば、光の反射を100
%防止するためには、上層塗膜の屈折率がその下層塗膜
の屈折率の約平方根の値になるような材料を選択すれば
よいことが分かる。このような原理を利用して、上層塗
膜の屈折率をその下層塗膜の屈折率よりも若干低い値と
なるようにして、光の反射防止を行うことが従来行われ
ていた。
【0008】透明基材フィルム上の最表面に低屈折率層
を形成した従来の反射防止シートは、低屈折率層の厚み
が約0.1μm前後と薄いため、形成された反射防止シ
ートはハード性能に劣り、傷付きやすいとう問題があっ
た。反射防止シートにハード性能を付与するために、従
来、透明基材フィルム上に熱硬化型樹脂や電離放射線硬
化型樹脂の塗膜を形成し、硬化させてハードコート層と
し、その上に低屈折率層を形成して得ていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のハードコート層を形成する硬化性の樹脂層は、架橋
密度が大きく、塗膜の内部凝集力が高いために、透明基
材フィルムであるプラスチックフィルムやシートとの密
着性に乏しく、表面保護を兼ね備えた反射防止シートと
して耐久性に優れているとは言いがたかった。例えば、
長期間経過後の反射防止シートにおいては、ハードコー
ト層にクラックが発生したり、或いはハードコート層の
塗膜が脱落するといった問題が生じることがあった。
【0010】また、密着生に乏しいが故に塗膜が剥離し
やすく、耐擦傷性に劣るという欠点があった。
【0011】また、透明基材フィルム上に、ハードコー
ト層や、高屈折率層や、低屈折率等の各層を順次積層し
ていく反射防止シートの製造方法は、各層を形成する毎
に、塗膜の硬化操作における熱が透明基材フィルムにダ
メージを与えられ、最終製品の完成に悪影響が及んでい
た。
【0012】また、反射防止シートの製造過程におい
て、透明基材フィルム上に電離放射線硬化型樹脂を直接
塗布して未硬化状態の塗膜とし、紫外線又は電子線照射
にて硬化させてハードコート層とした場合、透明基材フ
ィルムが紫外線又は電子線の照射のため着色されてしま
う欠点があった。
【0013】そこで、本発明の目的は、反射防止シート
を長期間使用しても、クラックや塗膜の脱離がなく耐久
性があり、耐擦傷性があり、また反射防止シートの製造
工程中に透明基材フィルムにダメージが与えられたり、
また着色することがない、反射防止シートを提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために、本発明のタイプIの反射防止シートは、後記
する接着剤層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層
が、ガラス転移温度20℃以上の接着剤層を介して透明
基材フィルムにラミネートされていることを特徴とす
る。
【0015】また、本発明のタイプIIの反射防止シート
は、後記する接着剤層の屈折率以上の屈折率を有する高
屈折率層と該高屈折率層の屈折率よりも低い屈折率の低
屈折率層からなる積層体が、ガラス転移温度20℃以上
の接着剤層を介して、前記高屈折率層を内側にして透明
基材フィルムにラミネートされていることを特徴とす
る。
【0016】また、本発明のタイプIII の反射防止シー
トは、ハードコート層と、該ハードコート層上に設けら
れた該ハードコート層の屈折率より高い屈折率の高屈折
率層と、該高屈折率層上に設けられた該高屈折率層の屈
折率より低い屈折率の低屈折率層とからなる積層体が、
ガラス転移温度20℃以上の接着剤層を介して、前記ハ
ードコート層側を内側にして透明基材フィルムにラミネ
ートされていることを特徴とする。
【0017】本発明の反射防止シートにおける接着剤層
は、ガラス転移温度20℃以上であるので、接着剤層は
密着性を有し同時に高い硬度を付与することができ、し
たがって、本発明の反射防止シートはハード性能を有
し、クラックや塗膜の脱離がなく耐久性や、耐擦傷性が
改善される。
【0018】本発明の反射防止シートにおける高屈折率
層は、それ自身がハード性能を有してもよい。本発明の
反射防止シートは、接着剤層、前記高屈折率層以外に、
さらにハード性能を付与するためのハードコート層を設
けてもよい。
【0019】本発明の反射防止シートにおいては、接着
剤層にイソシアネート基を有する化合物を10%以上含
有させることにより、接着剤層のガラス転移温度を20
℃以上とすることができる。
【0020】本発明の反射防止シートにおいては、接着
剤層に電離放射線硬化型樹脂を含有させることにより、
接着剤層のガラス転移温度を20℃以上とすることがで
きる。
【0021】本発明のタイプIの反射防止シートの製造
方法は、(1)離型フィルム上に、後記する接着剤層の
屈折率より低い屈折率の低屈折率層を形成し、(2)離
型フィルム上に形成された層に対して、硬化後のガラス
転移温度が20℃以上の接着剤を介して透明基材フィル
ムとラミネートし、(3)得られたラミネート物を硬化
させた後、前記離型フィルムを剥離することを特徴とす
る。
【0022】本発明のタイプIIの反射防止シートの製造
方法は、(1)離型フィルム上に、後記する高屈折率層
の屈折率より低い屈折率の低屈折率層を形成し、(2)
得られた低屈折率層上に、後記する接着剤層の屈折率以
上の屈折率を有する高屈折率層を形成し、(3)離型フ
ィルム上に形成された層に対して、硬化後のガラス転移
温度が20℃以上の接着剤を介して透明基材フィルムと
ラミネートし、(4)得られたラミネート物を硬化させ
た後、前記離型フィルムを剥離することを特徴とする。
【0023】本発明のタイプIIの反射防止シートの別の
製造方法は、(1)離型フィルム上に、後記する接着剤
層の屈折率以上の屈折率を有する高屈折率層を形成し、
(2)離型フィルム上に形成された層に対して、硬化後
のガラス転移温度が20℃以上の接着剤を介して透明基
材フィルムとラミネートし、(3)得られたラミネート
物を硬化させた後、前記離型フィルムを剥離し、(4)
前記透明基材フィルム上の高屈折率層上に、該高屈折率
層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を形成するこ
とを特徴とする。
【0024】本発明のタイプIII の反射防止シートの製
造方法は、(1)離型フィルム上に、後記する接着剤層
の屈折率より低い屈折率の低屈折率層を形成し、(2)
得られた低屈折率層上に、後記する接着剤層の屈折率よ
りも高い屈折率の高屈折率層を形成し、(3)得られた
高屈折率層上に、ハードコート層を形成し、(4)離型
フィルム上に形成された層に対して、硬化後のガラス転
移温度が20℃以上の接着剤を介して透明基材フィルム
とラミネートし、(5)得られたラミネート物を硬化さ
せた後、前記離型フィルムを剥離することを特徴とす
る。
【0025】本発明のタイプIII の反射防止シートの別
の製造方法は、(1)離型フィルム上に、後記する接着
剤層の屈折率よりも高い屈折率の高屈折率層を形成し、
(2)得られた高屈折率層上に、ハードコート層を形成
し、(3)離型フィルム上に形成された層に対して、硬
化後のガラス転移温度が20℃以上の接着剤を介して透
明基材フィルムとラミネートし、(4)得られたラミネ
ート物を硬化させた後、前記離型フィルムを剥離し、
(5)前記透明基材フィルム上の高屈折率層上に、該高
屈折率層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を形成
することを特徴とする。
【0026】上記各反射防止シートの製造方法において
使用する接着剤は、ウレタン系接着剤を主体としたもの
であることが、後記する理由により好ましい。また、本
発明で使用する接着剤は、硬化後のガラス転移温度が2
0℃以上であることことが後記する理由により好まし
い。
【0027】以下に本発明を更に詳しく説明する。
【0028】反射防止シート:図1は本発明のタイプI
の反射防止シートを示し、1は透明基材フィルムであ
り、この透明基材フィルム1上に接着剤層2を介して、
低屈折率層3が形成されている。図2は本発明のタイプ
IIの反射防止シートを示し、タイプIの反射防止シート
における接着剤層2と低屈折率層3との間に、さらに高
屈折率層4が設けられている。図3は本発明のタイプII
I の反射防止シートを示し、タイプIIの反射防止シート
における接着剤層2と高屈折率層4との間に、さらにハ
ードコート層5が設けられている。
【0029】反射防止シートの製造方法:図4は本発明
のタイプIの反射防止シートの製造方法の一例を示すプ
ロセス図である。図4(a)は、離型フィルム6上に、
低屈折率層3を形成した状態を示す。低屈折率層3の形
成は真空形成法又は塗布により行う。図4(b)は、前
記低屈折率層3を接着剤からなる接着剤層2を介して透
明基材フィルム1とラミネートしようとする状態を示
す。この接着剤層2の形成は接着剤を透明基材フィルム
1側或いは低屈折率層3側に塗布により形成することが
できる。接着剤はそのまま或いは溶媒に溶解、分散させ
て使用する。図4(c)は、ラミネート物から離型フィ
ルム6を剥離して、離型フィルム6上の塗膜を透明基材
フィルム1側に転写している状態を示し、転写されたシ
ートが本発明のタイプIの反射防止シートとなる。
【0030】図5は本発明のタイプIIの反射防止シート
の一番目の製造方法の一例を示すプロセス図である。図
5(a)は、離型フィルム6上に、低屈折率層3を形成
し、さらに低屈折率層3上に高屈折率層4を形成した状
態を示す。図5(b)は、離型フィルム6上に前記工程
で形成された各層を接着剤からなる接着剤層2を介して
透明基材フィルム1とラミネートしようとする状態を示
す。この接着剤層2の形成は接着剤を透明基材フィルム
1側或いは高屈折率層4側に塗布して形成することがで
きる。接着剤はそのまま或いは溶媒に溶解、分散させて
使用する。図5(c)は、ラミネート物から離型フィル
ム6を剥離して離型フィルム6上の塗膜を透明基材フィ
ルム1側に転写している状態を示し、転写されたシート
が本発明のタイプIIの反射防止シートとなる。
【0031】図6は本発明のタイプIIの反射防止シート
の二番目の製造方法の一例を示すプロセス図である。図
6(a)は、離型フィルム6上に、高屈折率層4を形成
した状態を示す。図6(b)は、前記高屈折率層4に対
して接着剤からなる接着剤層2を介して透明基材フィル
ム1とラミネートしようとする状態を示す。この接着剤
層2の形成は接着剤を透明基材フィルム1側或いは高屈
折率層4側に塗布により形成することができる。接着剤
はそのまま或いは溶媒に溶解、分散させて使用する。図
6(c)は、ラミネート物から離型フィルム6を剥離し
て、離型フィルム6上の塗膜を透明基材フィルム1側に
転写している状態を示す。図6(d)は、露出された高
屈折率層4上に、さらに低屈折率層3を形成した状態を
示し、本発明のタイプIIの反射防止シートとなる。
【0032】図7は本発明のタイプIII の反射防止シー
トの一番目の製造方法の一例を示すプロセス図である。
図7(a)は、離型フィルム6上に、低屈折率層3を形
成し、さらに低屈折率層3上に高屈折率層4を形成し、
さらにその上にハードコート層5を形成した状態を示
す。図7(b)は、離型フィルム6上に前記工程で形成
された各層を接着剤からなる接着剤層2を介して透明基
材フィルム1とラミネートしようとする状態を示す。こ
の接着剤層2の形成は接着剤を透明基材フィルム1側或
いはハードコート層5側に塗布して形成することができ
る。接着剤はそのまま或いは溶媒に溶解、分散させて使
用する。図7(c)は、ラミネート物から離型フィルム
6を剥離して離型フィルム6上の塗膜を透明基材フィル
ム1側に転写している状態を示し、転写されたシートが
本発明のタイプIII の反射防止シートとなる。
【0033】図8は本発明のタイプIII の反射防止シー
トの二番目の製造方法の一例を示すプロセス図である。
図8(a)は、離型フィルム6上に、高屈折率層4を形
成し、さらにその上にハードコート層5を形成した状態
を示す。図8(b)は、離型フィルム6上に前記工程で
形成された各層を接着剤からなる接着剤層2を介して透
明基材フィルム1とラミネートしようとする状態を示
す。この接着剤層2の形成は接着剤を透明基材フィルム
1側或いはハードコート層5側に塗布により形成するこ
とができる。接着剤はそのまま或いは溶媒に溶解、分散
させて使用する。図8(c)は、ラミネート物から離型
フィルム6を剥離して、離型フィルム6上の塗膜を透明
基材フィルム1側に転写している状態を示す。図8
(d)は、露出された高屈折率層4上に、さらに低屈折
率層3を形成した状態を示し、本発明のタイプIII の反
射防止シートとなる。
【0034】上記の本発明の反射防止シートの各製造方
法において、接着剤としてウレタン系の接着剤を用いた
場合、ウレタン系接着剤は、溶液で塗工し、溶媒を除去
した後、ラミネーションを行う時点では粘着性を示して
いるためラミネート直後でもある程度の接着強度を有す
るが、ラミネーションを行うロールを40〜80℃に加
温することによってラミネート直後の接着強度をより向
上させることができるので好ましい。また、反射防止シ
ートの透明基材フィルムとハードコート層間を十分な接
着強度とするには、接着剤層は乾燥厚みで0.5〜20
μm、好ましくは1〜10μmであることが必要であ
る。
【0035】離型フィルム:一般的にシート上にシリコ
ン、フッ素、アクリル−メラミンなど離型処理を施した
もの、または、未処理のものが使用される。その表面は
凹凸を有していてもよく、この場合、最終製品の表面に
凹凸が形成されるので、得られる反射防止シートの表面
に更に防眩効果を付与することができる。
【0036】透明基材フィルム:反射防止シートに適し
た透明基材フィルムには、透明性のあるフィルムであれ
ばよく、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ジ
アセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセ
ルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポ
リアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィル
ム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィル
ム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ト
リメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィル
ム、(メタ)アクリロニトリルフィルム等が使用できる
が、特に、トリアセチルセルロースフィルム、及び一軸
延伸ポリエステルが透明性に優れ、光学的に異方性が無
い点で好適に用いられる。その厚みは、通常は8μm〜
1000μm程度のものが好適に用いられる。
【0037】低屈折率層:低屈折率層は、少なくとも低
屈折率層に直接接する下層(タイプI では接着剤層、タ
イプIIとタイプIII では高屈折率層)の屈折率よりも低
いことが必要であり、無機材料、有機材料を問わず用い
ることができる。低屈折率層の厚みは約0.1μm前後
の薄膜で形成する必要がある。低屈折率層の屈折率は前
記式(1)又は式(2)に示した関係を有することが反
射防止効果を高める上で望ましい。低屈折率層の形成に
使用される低屈折率材料は前記式(1)又は式(2)の
条件を満足するものであればどのような材料でもよく、
無機材料、有機材料が使用できる。
【0038】低屈折率無機材料としては、例えば、Li
F(屈折率1.4)、MgF2 (屈折率1.4)、3N
aF・AlF3 (屈折率1.4)、AlF3 (屈折率
1.4)、Na3 AlF6 (氷晶石、屈折率1.3
3)、SiOX (x:1.50≦x≦2.00)(屈折
率1.35〜1.48)等の無機材料が使用される。低
屈折率無機材料で形成される膜は、硬度が高く、特にプ
ラズマCVD法で、SiOX(xは1.50≦x≦4.
00、望ましくは1.70≦x≦2.20)の膜を形成
したものは硬度が良好であり、且つハードコート層との
密着性に優れ、透明プラスチック基材フィルムの熱ダメ
ージを他の気相法に比べて軽減できるので好ましい。低
屈折率の無機材料を用いた低屈折率層の形成方法は、該
無機材料を蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グ、プラズマCVD等の気相法により皮膜を単層又は多
層形成するか、或いは、低屈折率の無機材料を含有させ
た低屈折率樹脂組成物又は低屈折率有機材料を塗布し単
層又は多層の塗膜を形成して行うことができる。
【0039】特に、プラズマCVD法により形成したS
iOx 膜は、通常の真空蒸着膜と比べて密度が高く、ガ
スバリヤー性が高い。そのため、防湿性に優れ、本発明
の反射防止シートを偏光素子にラミネートして使用する
場合に、湿気に弱いとされている偏光素子の防湿機能を
果たす利点がある。
【0040】低屈折率有機材料としては、フッ素原子の
導入されたポリマー等の有機物がその屈折率が1.45
以下と低い点から好ましい。溶剤が使用できる樹脂とし
てその取扱いが容易であることからポリフッ化ビニリデ
ン(屈折率n=1.40)が挙げられる。低屈折率の有
機材料としてこのポリフッ化ビニリデンを用いた場合に
は、低屈折率層の屈折率はほぼ1.40程度となるが、
さらに低屈折率層の屈折率を低くするためにはトリフル
オロエチルアクリレート(屈折率n=1.32)のよう
な低屈折率アクリレートを10重量部から300重量
部、好ましくは100重量部から200重量部添加して
もよい。
【0041】なお、このトリフルオロエチルアクリレー
トは単官能型であり、そのため低屈折率層の膜強度が十
分ではないので、さらに多官能アクリレート、例えば、
電離放射線硬化型樹脂であるジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレート(略号:DPHA,4官能型)を添加
することが望ましい。このDPHAによる膜強度は添加
量が多いほど高いが、低屈折率層の屈折率を低くする観
点からはその添加量は少ない方がよく、1〜50重量
部、好ましくは5〜20重量部添加することが推奨され
る。
【0042】高屈折率層:さらに反射防止性能を向上さ
せるため、低屈折率層の屈折率よりも高い屈折率の高屈
折率層を低屈折率層の下層に形成することが好ましい。
高屈折率層の厚みは約0.1μm前後の薄膜で形成する
と反射防止効果におてい有利である。例えば、高屈折率
の金属や金属酸化物を用いることにより高屈折率層を容
易に形成することができる。その成膜には真空形成法等
により薄膜を形成してもよい。或いは、バインダー樹脂
中に、下記に列挙する屈折率の高い微粒子を分散して用
いてもよい。或いは、前記高屈折率層に使用されるバイ
ンダー樹脂自体に高屈折率成分の分子や原子を含んだ樹
脂を用いてもよい。即ち、 ハードコート層用樹脂に、屈折率の高い微粒子を分散
させたものを用いる。 ハードコート層用樹脂を構成する分子或いは原子とし
て、屈折率の高い成分を多く導入した原子を含んだ屈折
率の高い樹脂を用いる。
【0043】前記屈折率の高い超微粒子としては、例え
ば、ZnO(屈折率1.90)、TiO2 (屈折率2.
3〜2.7)、CeO2 (屈折率1.95)、Sb2
5 (屈折率1.71)、SnO2 、ITO(屈折率1.
95)、Y2 3 (屈折率1.87)、La2 3 (屈
折率1.95)、ZrO2 (屈折率2.05)、Al2
3 (屈折率1.63)等が挙げられる。
【0044】また、前記屈折率を向上させる成分の分子
及び原子としては、芳香族環、F以外のハロゲン原子、
S、N、Pの原子等が挙げられる。
【0045】ハードコート層:本発明において、「ハー
ドコート層」或いは「ハード性を有する」とは、JIS
K5400で示される鉛筆硬度試験で、H以上の硬度
を示すものをいう。
【0046】ハードコート層を構成する材料は、無機材
料、有機材料問わず何でも用いることができる。無機材
料をハードコート層材料とする場合には、例えば、金属
酸化物を真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリ
ング、(プラズマ)CVD等の公知の方法で形成するこ
とができる。或いはゾル−ゲル法によって複合酸化物の
膜を形成してもよい。ハードコート層材料が有機材料の
場合には、バインダー樹脂には、透明性のあるものであ
ればどのような樹脂(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化型
樹脂、電離放射線硬化型樹脂等)でも使用することがで
きる。ハード性能を付与するためには、ハードコート層
の厚みは0.5μm以上、好ましくは、3μm以上とす
ることにより、硬度を維持することができ、反射防止シ
ートにハード性能を付与することができる。
【0047】また、ハードコート層の硬度をより向上さ
せるために、ハードコート層に使用するバインダー樹脂
には、反応硬化型樹脂、即ち、熱硬化型樹脂及び/又は
電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。生産
性、エネルギー効率、離型フィルムの熱ダメージ等を考
慮すると、電離放射線硬化型樹脂をハードコート層のバ
インダー樹脂に用いることが最適である。
【0048】前記熱硬化型樹脂には、フェノール樹脂、
尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グ
アナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン
−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が
使用され、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合
開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を
加えて使用する。
【0049】前記電離放射線硬化型樹脂には、好ましく
は、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比
較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッ
ド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、
ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能
化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプ
レポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)ア
クリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ス
チレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単
官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ
オール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用でき
る。
【0050】特に好適には、ポリエステルアクリレート
とポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。そ
の理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬
くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステ
ルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆く
なるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポ
リウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアク
リレート100重量部に対するポリウレタンアクリレー
トの配合割合は30重量部以下とする。この値を越える
と塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうから
である。
【0051】さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成
物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重
合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシ
ムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、
チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等
を混合して用いることができる。特に本発明では、オリ
ゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジ
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を
混合するのが好ましい。
【0052】ハードコート層に、特に、屈曲性を付与す
るためには、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し
溶剤乾燥型樹脂を1重量部以上100重量部以下含ませ
てもよい。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として熱可塑性
樹脂が用いられる。電離放射線硬化型樹脂に添加する溶
剤乾燥型熱可塑性樹脂の種類は通常用いられるものが使
用されるが、特に、電離放射線硬化型樹脂にポリエステ
ルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物を
使用した場合には、使用する溶剤乾燥型樹脂にはポリメ
タクリル酸メチルアクリレート又はポリメタクリル酸ブ
チルアクリレートが塗膜の硬度を高く保つことができ
る。しかも、この場合、主たる電離放射線硬化型樹脂と
の屈折率が近いので塗膜の透明性を損なわず、透明性、
特に、低ヘイズ値、高透過率、また相溶性の点において
有利である。
【0053】ハードコート層にバインダー樹脂として電
離放射線硬化型樹脂が使用される場合には、その硬化方
法は通常の電離放射線硬化型樹脂の硬化方法、即ち、電
子線または紫外線の照射によって硬化することができ
る。例えば、電子線硬化の場合にはコックロフトワルト
ン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器
型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子
線加速器から放出される50〜1000KeV、好まし
くは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線
等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高
圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアー
ク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等
が利用できる。
【0054】反射防止性能の向上のためには、透明基材
フィルムよりもハードコート層の屈折率が高いことが好
ましい。ハードコート層を高屈折率とするためには、前
記高屈折率層で述べた手法により行うことができる。ま
た、各層間の界面の反射を防止するためには、高屈折率
層の屈折率をハードコート層の屈折率よりも高い屈折率
とすることが好ましい。
【0055】接着剤:ハードコート層と透明基材フィル
ムの間に強固な着強を形成し、かつ、反射防止シートの
十分な硬度や耐久性を付与するためには、接着剤の架橋
密度を上げ、層間の密着性を高め、硬度の高い接着剤層
とすることが重要であり、そのためには、硬化後のガラ
ス転移温度が20℃以上となる接着剤を用いることによ
り達成される。このようなガラス転移温度を持つ接着剤
は、ウレタン系接着剤を挙げることができ、特に、ウレ
タン系接着剤中にイソシアネート基を有する化合物を1
0%以上含有させるか、或いは接着剤中に電離放射線硬
化型樹脂を含有させることによって調製することができ
る。接着剤中に電離放射線硬化型樹脂を含有させる場合
には、その電離放射線硬化型樹脂の添加量は、ラミネー
ト時に要する初期タックが失われない範囲とすることが
重要である。
【0056】このようにするためには、接着剤に含有さ
れる電離放射線硬化型樹脂の量が全体の10〜90%で
あることが望ましく、さらに望ましくは30〜70%で
ある。その理由は、電離放射線硬化型樹脂の量が10%
未満であると、架橋密度を十分に上げられず、耐久性が
付与できず、ガラス転移温度も20℃にならないからで
ある。また、その量が90%を越えるとラミネート時の
TAC性(粘性)が失われ、貼り合わせが不可となるか
らであり、さらに基材との層間密着性も悪くなり、所望
の接着性が得られなくなるからである。
【0057】本発明で使用されるウレタン系接着剤とし
て、例えば、湿気硬化型(1液型)、熱硬化型(2液
型)等の反応硬化型ウレタン系接着剤を用いることが好
ましい。即ち、湿気硬化型では、ポリイソシアネート化
合物のオリゴマー、プレポリマー、熱硬化型では、ポリ
イソシアネート化合物のモノマー、オリゴマー、プレポ
リマーと、ポリオール化合物のオリゴマー、プレポリマ
ーを混合して用いることができる。これらの反応硬化型
ウレタン系接着剤を用いる場合、ラミネートの後に、室
温から80℃程度の温度下でエージング処理を施すこと
が、反射防止シートに熱的影響を与えないために望まし
い。
【0058】透明基材フィルムにOH基が含まれている
場合、例えば、アルカリ処理されたトリアセチルセルロ
ースフィルム等の場合、ウレタン系接着剤中のイソシア
ネート基が透明基材フィルム等とのOH基と反応し、強
固な接着となる。
【0059】本発明で使用される接着剤に含有させるこ
とができるイソシアネート基を有する化合物には、トリ
レンジイソシアネート(TDI)、3,3’−トリレン
−4,4’−イソシアネート、ジフェニルメタン4,
4’−ジイソシアネート(MDI)、トリフェニルメタ
ンp,p' ,p" −トリイソシアネート(T.M)、
2,4−トリレンダイマー(TT)、ナフタレン−1,
5−ジイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシア
ネート)チオホスフェート、クルード(MDI)、TD
I三量体、ジシクロヘキサメタン4,4’−ジイソシア
ネート(HMDI)、水素添加TDI(HTDI)、メ
タキシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサヒド
ロメタキシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、トリメチルプロパン−1
−メチル−2−イソシアノ−4−カババメート、ポリメ
チレンポリフェニルイソシアネート、3,3' −ジメト
キシ4,4’−ジフェニルジイソシアネート、ジフェニ
ルエーテル2,4,1’−トリイソシアネート、m−キ
シリレンジイソシアネート(MXDI)、ポリメチレン
ポリフェニルイソシアネート(PAPI)等が挙げられ
る。
【0060】本発明で使用される接着剤に含有させるこ
とができる電離放射線硬化型樹脂には、好ましくは、ア
クリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低
分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹
脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ
チオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合
物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポ
リマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリ
レート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレ
ン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能
モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオー
ル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)
アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
【0061】さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫
外線硬化型樹脂とするには、この中に光重合開始剤とし
て、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベ
ンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テ
トラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン
類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルア
ミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いる
ことができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレ
タンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート等を混合するのが好ましい。
【0062】偏光板及び液晶表示装置:本発明の反射防
止シートの下面には、粘着剤が塗布されていてもよく、
この反射防止シートは反射防止すべき対象物、例えば、
偏光素子に貼着して偏光板とすることができる。
【0063】この偏光素子には、よう素又は染料により
染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、
ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタール
フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィ
ルム等を用いることができる。このラミネート処理にあ
たって接着性を増すため及び静電防止のために、反射防
止シートの透明基材フィルムが例えば、トリアセチルセ
ルロースフィルムである場合には、トリアセチルセルロ
ースフィルムにケン化処理を行う。このケン化処理はト
リアセチルセルロースフィルムにハードコートを施す前
または後のどちらでもよい。
【0064】図9に本発明の反射防止シートが使用され
た偏光板の一例を示す。図中11は反射防止性を有する
本発明の反射防止シートであり、トリアセチルセルロー
スフィルム(略:TACフィルム、本発明でいう透明基
材フィルムに相当する)7/接着剤層2/高屈折率層4
/低屈折率層3からなる層構成となっている。該反射防
止シート11が偏光素子8上にラミネートされており、
一方、偏光素子8の他面にはTACフィルム9がラミネ
ートされている。また偏光素子8の両面に本発明の反射
防止シート11がラミネートされてもよい。
【0065】図10に本発明の反射防止シートが使用さ
れた液晶表示装置の一例を示す。液晶表示素子10上
に、図9に示した偏光板、即ち、TACフィルム9/偏
光素子8/反射防止シート11からなる層構成の偏光板
がラミネートされており、また液晶表示素子10の他方
の面には、TACフィルム9/偏光素子8/TACフィ
ルム9からなる層構成の偏光板がラミネートされてい
る。なお、STN型の液晶表示装置には、液晶表示素子
と偏光板との間に、位相差板が挿入される。
【0066】
【実施例】
〔実施例1〕離型フィルムであるアクリル=メラミン処
理を施した50μmのポリエステルフィルム(MC−1
9:商品名、麗光(株)製)上に、ZnO超微粒子トル
エン分散液(住友大阪セメント(株)製)36重量部及
びカルボキシル基含有(メタ)アクリレート(三菱化学
(株)製)9重量部からなる高屈折率樹脂を膜厚が7μ
mとなるように塗工した。
【0067】前記工程で形成した塗膜上に、320mj
の紫外線照射を行った後、さらに175kv、7.5M
radで電子線照射を行い、塗膜を硬化して高屈折率層
を形成した。次いで、熱硬化2液型ウレタン系接着剤
〔LX660:大日本インキ(株)製)4重量部と、K
W75:芳香族系ポリイソシアネート、大日本インキ
(株)製1重量部、酢酸エチル16重量部からなる接着
剤〕を、前記高屈折率層上に、接着剤を厚さ3〜10μ
mとなるように塗工し、接着剤層を形成した。この接着
剤は硬化後のTg(ガラス転移温度)が43℃であっ
た。
【0068】次いで、接着剤層を介してTACフィルム
(FT−UV−80:膜厚80μm、富士写真フィルム
製)をラミネートし、40℃で3日間以上エージングし
た。次いで、前記離型フィルムを剥離して、前記高屈折
率層をTACフィルムに転写し、高屈折率層を形成し
た。得られた高屈折率層上に、真空蒸着法により低屈折
率層であるSiOX 膜を厚さ100nmとなるように形
成し、反射防止シートを得た。得られた反射防止シート
の鉛筆硬度、耐久性、密着性を下記の表1に、屈折率、
反射率を下記の表2に示す。
【0069】〔実施例2〕前記実施例1の反射防止シー
トの製造方法において、接着剤を構成する成分の組成比
を下記に示すように変えた以外は、前記実施例1と全く
同様にして本実施例2の反射防止シートを製造した。こ
の接着剤は硬化後のTgが45℃であった。得られた反
射防止シートの鉛筆硬度、耐久性、密着性を下記の表1
に、屈折率、反射率を下記の表2に示す。
【0070】熱硬化2液型ウレタン系接着剤 LX660:大日本インキ(株)製 4重量部 KW75:芳香族系ポリイソシアネート、大日本インキ
(株)製 3重量部 酢酸エチル 16重量部 〔実施例3〕前記実施例1の反射防止シートの製造方法
において、接着剤を熱硬化2液型ウレタン系接着剤に変
えて、湿気硬化1液型ウレタン系接着剤(下記組成の接
着剤)を用い、接着剤の塗工時に加湿した以外は、前記
実施例1と全く同様にして本実施例3の反射防止シート
を製造した。この接着剤は硬化後のTgが53℃であっ
た。得られた反射防止シートの鉛筆硬度、耐久性、密着
性を下記の表1に、屈折率、反射率を下記の表2に示
す。
【0071】湿気硬化1液型ウレタン系接着剤 A270L:ポリエステル芳香族系イソシアネート、武
田薬品(株)製 5重量部 酢酸エチル 7重量部 〔実施例4〕前記実施例1の反射防止シートの製造方法
において、接着剤を熱硬化2液型ウレタン系接着剤に変
えて、湿気硬化1液型ウレタン系接着剤と熱硬化2液型
ウレタン系接着剤の混合物(下記組成の接着剤)を用い
た以外は、前記実施例1と全く同様にして本実施例4の
反射防止シートを製造した。この接着剤は硬化後のTg
が45℃であった。得られた反射防止シートの鉛筆硬
度、耐久性、密着性を下記の表1に、屈折率、反射率を
下記の表2に示す。
【0072】湿気硬化1液型ウレタン系接着剤と熱硬化
2液型ウレタン系接着剤からなる混合接着剤 A270L:ポリエステル芳香族系イソシアネート、武
田薬品(株)製 7重量部 LX660:大日本インキ(株)製 4重量部 KW75:芳香族系ポリイソシアネート、大日本インキ
(株)製 3重量部 酢酸エチル 20重量部 〔実施例5〕前記実施例1の反射防止シートの製造方法
において、離型フィルム上に高屈折率樹脂組成物を塗布
硬化させて高屈折率層を形成するまでの工程は同一とし
た。得られた高屈折率層上に、接着剤として下記組成の
熱硬化2液型ウレタン系接着剤と電離放射線硬化型樹脂
の混合物を接着剤として用い、膜厚3〜10μmとなる
ように塗工し、接着剤層を形成した。本実施例5におけ
る接着剤層の硬化後のTgが50℃であった。
【0073】次いで、接着剤層を介して、TACフィル
ムをラミネートし、40℃で3日以上エージングした。
得られたラミネート物に対して、電子線を175kv,
5Mradで照射を行い、接着剤層を硬化した。この接
着剤は硬化後のTgが50℃であった。次いで、前記離
型フィルムを剥離して、前記高屈折率層をTACフィル
ムに転写し、高屈折率層を形成した。得られた高屈折率
層上に、真空蒸着法により低屈折率層であるSiOX
を厚さ100nmとなるように形成し、反射防止シート
を得た。得られた反射防止シートの鉛筆硬度、耐久性、
密着性を下記の表1に、屈折率、反射率を下記の表2に
示す。
【0074】熱硬化2液型ウレタン系接着剤と電離放射
線硬化型樹脂ウレタン系接着剤からなる混合接着剤 LX660:大日本インキ製 10重量部 KW75:芳香族系イソシアネート、大日本インキ
(株)製 1重量部 PPZ:ホスファゼン骨格多官能アクリレート:出光興
産(株)製 11重量部 〔実施例6〕前記実施例5の反射防止シートの製造方法
において、前記実施例5で使用した接着剤である熱硬化
2液型ウレタン系接着剤と電離放射線硬化型樹脂の混合
物中の電離放射線硬化型樹脂の種類を変更した以外は、
全て前記実施例5と同じようにして本実施例6の反射防
止シートを製造した。この接着剤は硬化後のTgが50
℃であった。得られた反射防止シートの鉛筆硬度、耐久
性、密着性を下記の表1に、屈折率、反射率を下記の表
2に示す。本実施例6で使用した接着剤の組成を下記に
示す。
【0075】熱硬化2液型ウレタン系接着剤と電離放射
線硬化型樹脂ウレタン系接着剤からなる混合接着剤 LX660:大日本インキ(株)製 10重量部 KW75:芳香族系イソシアネート、大日本インキ
(株)製 1重量部 カルボキシル基含有(メタ)アクリレート:三菱化学
(株)製 11重量部 〔比較例1〕前記実施例1の反射防止シートの製造方法
において、硬化後のTgが16℃である下記の組成の熱
硬化2液型ウレタン系接着剤に変えた以外は、全て前記
実施例1と同じようにして本比較例1の反射防止シート
を製造した。得られた反射防止シートの鉛筆硬度、耐久
性、密着性を下記の表1に、屈折率、反射率を下記の表
2に示す。
【0076】熱硬化2液型ウレタン系接着剤 A310:武田薬品製(株) 4重量部 A3:武田薬品製(株) 1重量部 酢酸エチル 7重量部 〔比較例2〕前記実施例1の反射防止シートの製造方法
において、硬化後のTgが16℃である下記の組成の熱
硬化2液型ウレタン系接着剤に変えた以外は、全て前記
実施例1と同じようにして本比較例2の反射防止シート
を製造した。得られた反射防止シートの鉛筆硬度、耐久
性、密着性を下記の表1に、屈折率、反射率を下記の表
2に示す。
【0077】熱硬化2液型ウレタン系接着剤 LX660:大日本インキ(株)製 12重量部 KW75:大日本インキ(株)製 1重量部 酢酸エチル 19重量部 〔比較例3〕前記実施例3の反射防止シートの製造方法
において、硬化後のTgが−23℃である下記の組成の
湿気硬化1液型ウレタン系接着剤に変えた以外は、全て
前記実施例3と同じようにして本比較例3の反射防止シ
ートを製造した。得られた反射防止シートの鉛筆硬度、
耐久性、密着性を下記の表1に、屈折率、反射率を下記
の表2に示す。
【0078】湿気硬化1液型ウレタン系接着剤 A281:ポリエーテル芳香族系イソシアネート、武田
薬品(株)製 5重量部 酢酸エチル 7重量部
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】上記表1によれば、接着剤層のTgが20
℃以上である本発明の反射防止シートは、鉛筆硬度が高
いことから耐擦傷性に優れ、また長期の保存においても
塗膜の耐久性及び密着性に優れていることがわかる。
【0082】
【発明の効果】本発明の反射防止シートは、長期間の使
用においても、クラックや塗膜の脱離がなく耐久性があ
り、耐擦傷性を有する。
【0083】また、本発明の反射防止シートは、離型フ
ィルム上に低屈折率層及び/又は高屈折率層等の各層を
形成した後に、透明基材フィルムにこれらの各層を転写
しているので、反射防止シートの製造工程中に、透明基
材フィルムは、加熱、電離放射線照射等によるダメージ
を受けたり、また着色されたりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイプIの反射防止シートを示す。
【図2】本発明のタイプIIの反射防止シートを示す。
【図3】本発明のタイプIII の反射防止シートを示す。
【図4】本発明のタイプIの反射防止シートの製造方法
の一例を示プロセス図である。
【図5】本発明のタイプIIの反射防止シートの一番目の
製造方法の一例を示すプロセス図である。
【図6】本発明のタイプIIの反射防止シートの二番目の
製造方法の一例を示すプロセス図である。
【図7】本発明のタイプIII の反射防止シートの一番目
の製造方法の一例を示すプロセス図である。
【図8】本発明のタイプIII の反射防止シートの二番目
の製造方法の一例を示すプロセス図である。
【図9】本発明の反射防止シートが使用された偏光板の
一例を示す。
【図10】本発明の反射防止シートが使用された液晶表
示装置の一例を示す。
【符号の説明】
1 透明基材フィルム 2 接着剤層 3 低屈折率層 4 高屈折率層 5 ハードコート層 6 離型フィルム 7,9 TACフィルム 8 偏光素子 10 液晶表示素子 11 反射防止シート

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後記する接着剤層の屈折率よりも低い屈
    折率の低屈折率層が、ガラス転移温度20℃以上の接着
    剤層を介して透明基材フィルムにラミネートされている
    ことを特徴とする反射防止シート。
  2. 【請求項2】 後記する接着剤層の屈折率以上の屈折率
    を有する高屈折率層と該高屈折率層の屈折率よりも低い
    屈折率の低屈折率層からなる積層体が、ガラス転移温度
    20℃以上の接着剤層を介して、前記高屈折率層を内側
    にして透明基材フィルムにラミネートされていることを
    特徴とする反射防止シート。
  3. 【請求項3】 ハードコート層と、該ハードコート層上
    に設けられた該ハードコート層の屈折率より高い屈折率
    の高屈折率層と、該高屈折率層上に設けられた該高屈折
    率層の屈折率より低い屈折率の低屈折率層とからなる積
    層体が、ガラス転移温度20℃以上の接着剤層を介し
    て、前記ハードコート層側を内側にして透明基材フィル
    ムにラミネートされていることを特徴とする反射防止シ
    ート。
  4. 【請求項4】 前記高屈折率層がハード性能を有する請
    求項2又は3記載の反射防止シート。
  5. 【請求項5】 前記接着剤層は、ウレタン系樹脂を主体
    としたものからなる請求項1、2、3又は4記載の反射
    防止シート。
  6. 【請求項6】 前記接着剤層は、イソシアネート基を有
    する化合物を10%以上含有している請求項1、2、
    3、4又は5記載の反射防止シート。
  7. 【請求項7】 前記接着剤層は、電離放射線硬化型樹脂
    を含有している請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    反射防止シート。
  8. 【請求項8】 前記接着剤層に含有される電離放射線硬
    化型樹脂の量は、全体の10〜90%である請求項7記
    載の反射防止シート。
  9. 【請求項9】 前記ハードコート層は、電離放射線硬化
    型樹脂を含んでいることを特徴とする請求項3、4、
    5、6、7又は8記載の反射防止シート。
  10. 【請求項10】 前記ハードコート層の屈折率は、透明
    基材フィルムの屈折率以上であることを特徴とする請求
    項3、4、5、6、7、8又は9記載の反射防止シー
    ト。
  11. 【請求項11】 前記透明基材フィルムがアルカリ処理
    されたトリアセチルセルロースフィルムであることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又
    は10記載の反射防止シート。
  12. 【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9又は10記載の反射防止シートにおいて、低屈折
    率層の表面層が微細な凹凸となっていることを特徴とす
    る反射防止シート。
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