JPH0972442A - 封入圧を緩和できるユニット型逆止弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水道用配管に使用して、末端機器が急速に閉
じられたときに発生する水撃及び封入圧の緩和を図るこ
とのでき、全体寸法が短く、構成が簡単で、取り付け作
業効率の優れたユニット型逆止弁を提供する。 【解決手段】 中心の流体入口を形成する円環状の弁座
部材３と、該弁座部材に結合され、前記入口から流入す
る流体の通過を許容する非閉鎖状の形態をしたハウジン
グ５と、該ハウジング内に設けられ、付勢手段により前
記弁座部材に押圧される弁体７とを備え、前記弁座部材
が、金属製のリング２３と、該リングの少なくとも前記
弁体と係合すべき封止部２７、内径面を覆う内径被覆部
２９、外方に面する外端面を覆う外端面被覆部３１とを
備えてリングに一体に被覆形成されたゴム製の被覆体２
５とにより形成されている。そして、外端面被覆部の外
面上に、外方に突出するゴム製の圧縮可能な緩衝部材３
５が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、流体の導管中に挿
入し、適宜位置に固定するのみで流体の逆流を阻止でき
るユニット型逆止弁に関し、さらに詳細に言えば、下流
側における栓の閉鎖により、この逆止弁と栓との間に封
入された二次側流体の封入圧力を緩和できる逆止弁に関
する。

【０００２】

【従来の技術】水道配管、特に各家庭へ配水する給水管
の施設に当たり、断水時或いは給水圧低下による下流側
からの汚水の逆流を防止するために、逆止弁が使用され
る。このような逆止弁としては取付けの簡単なユニット
型逆止弁の利用度が高く、特に弁体をバネで弁座へ向け
て押圧している、所謂ピストン式の逆止弁の利用度が高
い。このような逆止弁は、通常メータボックス内にメー
タに接続して配置されている。

【０００３】本願出願人は、このようなユニット型逆止
弁として、実公平３−１４６０７号に示される逆止弁を
提案した。この逆止弁は、きわめてシール機能が向上さ
れている。

【０００４】ところで下流側末端での給水栓が急に閉じ
られたりすると、所謂水撃が発生する。そして逆止弁を
使用した場合、逆止弁が閉じることにより水撃波は一次
側へ逃げられず、末端機器と逆止弁との間を往復する波
動となる。この波動は徐々に減衰し、消滅するが、末端
機器と逆止弁との間に水撃発生以前より高い圧力が封じ
込められる結果となる。この封入圧は、水撃波のピーク
が高いほど大きくなる。特に近年では、ワンタッチ式の
シングルレバー式給水栓或いは自動洗濯機の普及に伴
い、末端の機器が急激に閉じられて大きな水撃が生じ、
逆止弁を使用した場合、高い封入圧が問題となってい
る。この高い封入圧は、末端機器のパッキン等を損傷
し、水漏れの原因となる。

【０００５】実公平３−１４６０７号に示された逆止弁
は、弁座部材を金属製のリングと、該リングの少なくと
も弁体と係合すべき面、内径面及び外方に面する外端面
を覆うようにリングに一体に被覆形成されたゴム製の被
覆体とにより形成しているので、この被覆体のリングの
外端面を覆う部分が緩衝材として作用するが、上述の如
き高い封入圧に対処するには不十分であることが判明し
た。

【０００６】ところで、このような封入圧を緩和する構
成を備えた逆止弁として、例えば実開昭５５−３４０３
６に示されるようなものがある。しかしながらこの逆止
弁においては封入圧を緩和するためにスプリングを筒の
中に配置しているので、逆止弁全体の寸法が長くなり、
狭いメータボックス内に配置する場合には望ましくな
い。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本願発明は、上記課題
に鑑みなされたものであり、実公平３−１４６０７号に
示される逆止弁をさらに改良し、高い封入圧を緩和する
ことができ、メータボックス内に設置する為の最大の要
求である逆止弁の全体寸法を短くできる、構成が簡単
で、取付け作業能率に優れた逆止弁を提供することを目
的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のユニット型逆止弁においては、弁座部材とハ
ウジングと弁体とで構成し、弁座部材は円環状に形成さ
れて中心の流体入口を形成する。ハウジングは流体の通
過を許容する非閉鎖状の形態をして、この弁座部材に結
合される。弁体はハウジング内に設けられ、付勢手段に
より弁座部材に押圧される。弁座部材は、金属製のリン
グと、該リングの少なくとも前記弁体と係合すべき面、
内径面及び外方に面する外端面を覆うようにリングに一
体に被覆形成されたゴム製の被覆体とにより形成されて
いる。そしてこの逆止弁は、被覆体の外端面被覆部の外
面上に、外方に突出するゴム製の圧縮可能な緩衝部材が
設けられており、この緩衝部材が圧縮されることによ
り、封入圧を緩和するようになっている。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本願発明の具
体的な実施の形態を説明するが、本願発明の範囲は以下
に説明される実施の形態に限定されるものではない。

【００１０】図１は、本発明の第１の実施の形態にかか
る逆止弁１の断面図であり、図２及び図３はその右及び
左側面図である。逆止弁１は、円環状の弁座部材３と、
ハウジング５と、弁体７とを備えている。ハウジング５
は、その底部はハブ部９とこのハブ部９から半径方向に
延びるアーム部１１より構成され、その側部はアーム部
１１の外端部からアーム部１１に直交する方向に延びる
リブ１３で構成され、リブ１３の他端部は円環状の取付
け部１４に結合している。従ってハウジング５は、弁座
部材３の流体入口１５から流入する流体が、リブ１３の
間及びアーム部１１の間を通って流れる非閉鎖状の形態
をしている。ハブ部９に立設されたポスト１７に弁体７
の中央部に形成された盲孔１９が嵌まり、弁体７はポス
ト１７に沿って摺動自在になっている。そして付勢手段
としてのバネ２１により、弁座部材３に向けて押圧され
ている。

【００１１】弁座部材３は、例えばステンレス鋼やりん
青銅等の材料で作られる金属製リング２３と、これに一
体に被覆成形されたゴム製の被覆体２５とで構成されて
いる。この被覆体２５は、弁体７が当接する封止部２７
と、リングの内径部を被覆する内径被覆部２９と、リン
グの外側端面を被覆する外端面被覆部３１とを備え、図
示の如くリング２３を抱き込むように形成されている。
また、外端面被覆部３１はその外周部はリング２３の外
周を越えて延びており、この逆止弁１が取り付けられる
給水管４１の内周との間をシールするシール部３３を形
成している。

【００１２】本発明の逆止弁１はさらに、被覆体２５の
外端面被覆部３１の外面上に配置され、その外面から突
出する、ゴム製の圧縮可能な緩衝部材を備えている。本
実施例におけるその緩衝部材は、図１及び図３から明ら
かなように、被覆体２５と一体に成形された、入口１５
の円周方向に所定の長さで円弧状に延びる、複数の円弧
状突起３５である。

【００１３】本実施例においては、被覆体２５は内周溝
３９を備えた取付け部３７も形成されており、これに対
応する形状の取付け部１４を有するハウジング５は、弁
座部３に強く押しつけることにより、図示の如く弁座部
３と結合することができる。

【００１４】そして本実施例においては、逆止弁１は、
段部４３を有する給水管４１内に、ハウジング５の底部
のアーム部１１の外端部がその段部４３に当接するよう
にして挿入され、反対側に押さえリング４５を配置し、
さらに止めリング４７を用いて位置決め、配置されてい
る。

【００１５】上記の如く構成された本実施例の逆止弁で
は、末端機器が閉じられると弁体７が速やかにバネ２１
により弁座部材３の封止部２７に着座させられ、水撃が
上流側へ伝わり、メータ等に損傷を与えるのを防止す
る。そして、水撃により生じ、末端機器と逆止弁１との
間に封じ込められた水の高い封入圧は、その圧力により
緩衝部材３５が圧縮され、末端機器と逆止弁１との間の
容積が大きくなることにより、減圧される。

【００１６】本実施例においては、緩衝部材３５を被覆
体２５と一体にして形成したので、部品点数も増加する
こと無く、また取付け作業での工数も格別増加せず、簡
単に行うことができる。

【００１７】緩衝部材は円環状に形成しても良いが、本
実施例では前述の如く円弧状の複数の突出部材で構成し
ている。これは、突出部材３５の圧縮がより容易に行わ
れるようにするためである。即ち、本実施例の被覆体２
５は、封止部２７とシール部３３とを備えているので、
その液密性を確保するためにはその素材のゴムに一定の
硬度が要求される。他方、緩衝部材はその機能の点から
十分な圧縮性が要求される。そこで、液密性を確保する
に十分な硬度のゴムを使用し、緩衝部材を上述の如く構
成することにより、その圧縮性を確保したものである。
なお、緩衝部材を複数の円弧状突起で構成したので、そ
の圧縮時に被覆体２５には円周方向で部分的に力が作用
するが、その力は金属製のリング２３により受け止めら
れるので、封止部２７或いはシール部３３に部分的変形
が生じることはない。

【００１８】図４は、他の実施の形態による弁座部材の
例を示す縦断面図である。この例での弁座部材５１も、
先の例の弁座部材３と同様に、金属リング５３とこれを
被覆する被覆体５５とからなり、その被覆体５５が封止
部５７、内径被覆部５９、外端面被覆部６１、シール部
６３、取付け部６４を備えていることも同様である。し
かしこの実施の形態では、先の実施の形態と異なり、緩
衝部材が被覆体５５とは別体に構成されている。すなわ
ちこの実施形態における緩衝部材は、やはりゴム製では
あるが、被覆体５５より柔らかいゴムで作られた緩衝リ
ング６７である。そして、被覆体５５の外端面被覆部６
１の内周部に、この緩衝リング６７を取り付けるための
環状の取付け部６５が形成されている。この取付け部６
５の丈は当然緩衝リング６７の幅より短い。この緩衝リ
ング６７は、逆止弁の取付けに際して事前に取付け部６
５に取り付けておくことが可能なので、作業効率が低下
することがない。そして、緩衝リング６７を被覆体５５
と別体に構成することにより、緩衝リング６７と被覆体
５５用の材料として、それぞれの機能を考慮して最適の
硬度のゴムを選ぶことができる。

【００１９】なお、上記の実施の態様においては、緩衝
部材を弁座部材に設けたが、他の実施の形態において
は、この緩衝部材を図１に点線で示した押さえリング４
５に設けてもよい。すなわち、ユニット型逆止弁を、上
記実施の形態で説明した逆止弁から緩衝部材を除いて形
成した逆止弁本体と、この逆止弁本体の弁座部材に対向
して配置される押さえリングで構成し、この押さえリン
グの弁座部材に対する面上に、上記の実施の形態で説明
した緩衝部材を設けるものである。この場合、その緩衝
部材は押さえリングと一体にゴムで成形することがで
き、必要に応じてリング状に成形し、或いは複数の円弧
状突起とし、或いは弁座部材の被覆体より柔らかいゴム
を使用することができる等は、先述の実施の形態と同様
である。

【００２０】このように本体と押さえリングとで構成す
ることにより、封入圧が問題にならない配管部分では逆
止弁本体のみを使用し、封入圧を軽減する必要が有る場
合におさえリングと併用することができ、同一の逆止弁
本体で多様に対応することが可能となる。

【００２１】

【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
おいては、弁座部材の被覆体の外端面被覆部の外面上に
ゴム製の圧縮可能な緩衝部材を設けたので、この緩衝部
材が圧縮されることにより、水撃及び封入圧の緩和を図
ることができる。しかも構成がきわめて簡単で、逆止弁
の取り付け作業も容易に行える。また、逆止弁全体の寸
法が小さくでき、これは、この種の逆止弁が狭い水道用
のメータボックス内に設置されることを考慮すると、き
わめて好都合である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態にかかる逆止弁の縦
断面図である。

【図２】図１の右側面図である。

【図３】図１の左側面図である。

【図４】第２の実施の形態にかかる弁座部材と緩衝部材
を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ ユニット型逆止弁 ３、５１ 弁座部材 ５ ハウジング ７ 弁体 ２３、５３ 金属リング ２５、５５ 被覆体 ２７、５７ 封止部 ２９、５９ 内径被覆部 ３１、６１ 外端面被覆部 ３５ 円弧状突起（緩衝部材） ６５ 取付け部 ６７ 緩衝リング（緩衝部材）

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心の流体入口を形成する円環状の弁座
   部材と、該弁座部材に結合され、前記入口から流入する
   流体の通過を許容する非閉鎖状の形態をしたハウジング
   と、該ハウジング内に設けられ、付勢手段により前記弁
   座部材に押圧される弁体とを備え、前記弁座部材が、金
   属製のリングと、該リングの少なくとも前記弁体と係合
   すべき面、内径面及び外方に面する外端面を覆うように
   リングに一体に被覆形成されたゴム製の被覆体とにより
   形成されている、水道の配管に挿入して使用する逆止弁
   において、前記リングの前記外端面を被覆する前記被覆
   体の外端面被覆部の外面上に、外方に突出するゴム製の
   圧縮可能な緩衝部材が設けられていることを特徴とす
   る、ユニット型逆止弁。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のユニット型逆止弁にお
   いて、前記緩衝部材は、前記被覆体と一体に形成され
   た、前記流体入口の円周方向に円弧状に延びる、複数の
   突起部からなることを特徴とする、ユニット型逆止弁。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のユニット型逆止弁にお
   いて、前記緩衝部材は、前記弁座部材の前記被覆体より
   柔らかいゴムで作られていることを特徴とする、ユニッ
   ト型逆止弁。
4. 【請求項４】 請求項３に記載のユニット型逆止弁にお
   いて、前記緩衝部材はリング状に形成され、前記被覆体
   は、前記外端面被覆部に設けられた、前記緩衝部材を取
   り付けるための環状の取付け部を備えていることを特徴
   とする、ユニット型逆止弁。
5. 【請求項５】 水道の配管に挿入して使用する、逆止弁
   本体と該逆止弁本体に対向配置される押さえリングとに
   より構成される逆止弁において、前記逆止弁本体は、中
   心の流体入口を形成する円環状の弁座部材と、該弁座部
   材に結合され、前記入口から流入する流体の通過を許容
   する非閉鎖状の形態をしたハウジングと、該ハウジング
   内に設けられ、付勢手段により前記弁座部材に押圧され
   る弁体とを備え、前記弁座部材が、金属製のリングと、
   該リングの少なくとも前記弁体と係合すべき面、内径面
   及び外方に面する外端面を覆うようにリングに一体に被
   覆形成されたゴム製の被覆体とにより形成されており、
   前記押さえリングは、前記逆止弁本体の前記弁座部材に
   対向して配置され、該押さえリングの前記弁座部材に対
   する面に、前記弁座部材に向かって突出するゴム製の圧
   縮可能な緩衝部材が設けられていることを特徴とする、
   ユニット型逆止弁。