JPH0971859A - 貴金属膜被覆高分子基体及びその製造方法 - Google Patents

貴金属膜被覆高分子基体及びその製造方法

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JPH0971859A
JPH0971859A JP22870195A JP22870195A JPH0971859A JP H0971859 A JPH0971859 A JP H0971859A JP 22870195 A JP22870195 A JP 22870195A JP 22870195 A JP22870195 A JP 22870195A JP H0971859 A JPH0971859 A JP H0971859A
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film
noble metal
metal film
substrate
ion
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JP22870195A
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English (en)
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Yasushi Iwamoto
泰志 岩本
Akinori Ebe
明憲 江部
Satoru Nishiyama
哲 西山
Osamu Imai
今井  修
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Nissin Electric Co Ltd
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Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高分子基体上に貴金属膜が密着性良好に形成さ
れ、しかも経時的な膜密着性の低下が生じない貴金属膜
被覆高分子基体、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】高分子材料からなる被成膜基体S上に、チ
タン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(H
f)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タン
グステン(W)、アルミニウム(Al)及びシリコン
(Si)から選ばれた少なくとも一種の物質の窒化物又
は(及び)酸化物からなる中間膜S1が形成され、中間
膜S1上に、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、
パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(O
s)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(A
u)から選ばれた少なくとも一種の物質からなる貴金属
膜S2が形成されている貴金属膜被覆高分子基体及びそ
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線用の
基板、コンデンサ用フィルム、防湿容器、医療用品等と
して用いる高分子材料からなる物品基体上に貴金属膜を
被覆した貴金属膜被覆高分子基体及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線用の高分子基板上に例えば
銅(Cu)、金(Au)等の金属膜を形成したり、コン
デンサ用の高分子フィルム上にコンデンサを構成する例
えばアルミニウム(Al)等の金属膜を形成したり、高
分子材料からなる防湿容器やカテーテル、人工関節、ド
レインチューブといった医療用品上に抗菌作用等を有す
る例えば、金、銀(Ag)、白金(Pt)等の金属膜を
形成したりすることが行われている。
【0003】このような金属膜被覆高分子基体において
は、高分子材料と金属という性質が大きく異なる材料を
組み合わせているため該両者の十分な密着性を得ること
が難しい。中でも、金、銀、白金といった貴金属は化学
的に非常に安定であるため、高分子材料との密着性を十
分なものにすることが特に難しい。そこで、このような
金属膜形成に先立ち、高分子材料からなる被成膜基体を
酸素(O2 )ガス等のプラズマに曝して該基体表面を活
性化したり、高分子基体と金属膜の間に該両者に対し活
性で良好な密着性を有する金属中間膜を形成したりする
ことで、該両者間の密着性を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、成膜前にプラ
ズマ処理を行う方法によっては、例えばアルミニウム
膜、クロム(Cr)膜、ニッケル(Ni)−クロム磁性
膜等の高分子基体に対する密着性を向上させることはで
きるが、金、銀、白金等の貴金属膜の高分子基体に対す
る密着性を向上させることは困難である。
【0005】このような貴金属膜を高分子基体上に形成
する場合、前記の金属中間膜を形成する方法が用いら
れ、該貴金属膜と該基体との間に該両者に対し活性で良
好な密着性を示すチタン(Ti)、クロム等からなる中
間膜が形成される。しかしながら、チタン膜やクロム膜
等は、成膜後酸化すると、体積が膨張して該膜内に過大
な内部応力が発生するため、該中間膜ひいてはその外側
に形成される貴金属膜を含む膜全体の基体に対する密着
性が低下する。特に、高分子材料からなる基体では気体
が該基体を透過できるため、酸素(O2 )等が高分子基
体を通って前記中間膜に達し、該中間膜を酸化し易い。
【0006】このように、高分子基体上に貴金属の膜を
密着性良く形成する方法であって、その膜密着性を維持
できる貴金属膜形成方法が得られていないのが現状であ
る。そこで本発明は、高分子基体上に貴金属膜が密着性
良好に形成され、しかも経時的な膜密着性の低下が生じ
ない貴金属膜被覆高分子基体、及びその製造方法を提供
することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の貴金属膜被覆高分子基体は、高分子材料からなる被
成膜基体上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Z
r)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ
(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブ
デン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(A
l)及びシリコン(Si)から選ばれた少なくとも一種
の物質の窒化物又は(及び)酸化物からなる中間膜が形
成され、該中間膜上に、ルテニウム(Ru)、ロジウム
(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウ
ム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金
(Au)から選ばれた少なくとも一種の物質からなる貴
金属膜が形成されていることを特徴とする。
【0008】前記高分子基体の材質としては、天然ゴ
ム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコン
ゴム等のゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル等のプラスチック等を挙げることができるが、
特に限定されない。また、前記高分子基体の形状も膜被
覆基体の用途により異なり、チューブ状、袋状、フィル
ム状、繊維状等種々考えられるが、特に限定されない。
【0009】前記中間膜の膜厚は、前記貴金属膜の密着
性を十分に向上させるうえで、10nm以上が好まし
い。また、膜全体の内部応力が大きくなり過ぎないよう
にするうえで、前記中間膜の膜厚と前記貴金属膜の膜厚
との合計は100μm以下であることが好ましい。本発
明の貴金属膜被覆高分子基体によると、前記中間膜が貴
金属膜及び高分子基体の両者に対して良好な密着性を有
するため、前記貴金属膜は高分子基体上に密着性良好に
形成される。また、前記貴金属膜は膜形成後もその密着
性が低下し難い。これは、前記中間膜が窒化物又は(及
び)酸化物であって化学的に安定であるため、高分子基
体を通して酸素が湧き出しても、該酸素と反応し難く、
これにより、該中間膜の膨張及びこれに伴う内部応力の
発生が生じ難いからである。
【0010】また、前記課題を解決する本発明の貴金属
膜被覆高分子基体の製造方法は、高分子材料からなる被
成膜基体上に、物質蒸着とイオン照射を併用してチタ
ン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、
タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、アルミ
ニウム及びシリコンから選ばれた少なくとも一種の物質
の窒化物又は(及び)酸化物からなる中間膜を形成した
後、該中間膜上にルテニウム、ロジウム、パラジウム、
銀、オスミウム、イリジウム、白金及び金から選ばれた
少なくとも一種の原料物質からなる貴金属膜を形成する
ことを特徴とする。
【0011】本発明方法において、前記中間膜形成にあ
たり、物質蒸着とイオン照射を併用するとは、これらを
同時又は交互に行うことを指す。また、前記中間膜形成
にあたり、蒸着物質として、チタン、ジルコニウム、ハ
フニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モ
リブデン、タングステン、アルミニウム及びシリコンか
ら選ばれた少なくとも一種の物質を用いることが考えら
れる。
【0012】また、前記中間膜形成にあたり、照射イオ
ンとして、窒素(N)イオン又は(及び)酸素(O)イ
オンを用いることが考えられ、また、これらの一方又は
双方とアルゴン(Ar)ガスイオン等の不活性ガスイオ
ンとの混合イオンを用いることも考えられる。イオン照
射時の加速エネルギは100eV以上10keV以下、
好ましくは100eV以上5keV以下とすることが考
えられる。これは、イオン加速エネルギが100eVよ
り小さいとイオン照射による効果が十分に得られず、1
0keVより大きいと高分子基体に損傷を与えるためで
ある。
【0013】また、イオン照射量は、蒸着原子数(v)
と照射イオン数(i)との比(v/i輸送比)にして1
以上80以下とすることが考えられる。これは、v/i
輸送比が1より小さいと蒸着粒子がスパッタされて成膜
されない、或いは殆ど成膜されないからであり、80よ
り大きいとイオン照射による効果が十分に得られないか
らである。
【0014】いずれにしても中間膜の形成において、照
射イオン種、イオン加速エネルギ及びイオン照射量は、
中間膜の種類とその膜厚及び高分子基体の材質等を考慮
して、適宜定めればよい。前記貴金属膜の形成方法とし
ては、真空蒸着法(又はスパッタ蒸着法)、イオンプレ
ーティング法等を挙げることができる。
【0015】本発明の貴金属膜被覆高分子基体の製造方
法によると、前記中間膜形成を、イオン照射を併用して
行うため、前記中間膜と基体との間に該両者の混合層が
形成されて、該両者の密着性はより良好なものとなる。
また、比較的低温下で成膜を行うことができるため、基
体に与える熱的損傷が少なく、比較的耐熱性に劣る高分
子基体上への膜形成方法として適している。
【0016】本発明方法において、前記貴金属膜形成方
法として、特に前記の貴金属膜原料物質の蒸着(真空蒸
着、スパッタ蒸着等)に、イオン照射を併用したイオン
蒸着薄膜形成(IVD)法を採用することが考えられ、
このとき、前記貴金属膜と前記中間膜との間に該両者の
混合層が形成されて前記貴金属膜の密着性を向上させる
ことができる。また、これにより比較的低温での膜形成
が可能となるので、高分子基体に与える熱的損傷が一層
少なくなる。このとき、照射イオン種として、窒素イオ
ン、酸素イオン及びアルゴンガスイオン等の不活性ガス
イオンの中から1又は2以上を用いることができるが、
装置や成膜プロセスを簡単にするために前記中間膜形成
に用いたと同種のイオンを用いることが望ましい。
【0017】また、前記中間膜形成に先立ち、前処理と
して、高分子基体上にイオンを照射することが考えら
れ、このとき該基体表面を清浄化したり、活性化したり
することにより、前記中間膜と高分子基体との密着性を
一層向上させることができる。この場合も照射イオン種
として、窒素イオン、酸素イオン及び不活性ガスイオン
の中から1又は2以上を用いることができるが、装置や
成膜プロセスを簡単にするうえでは前記中間膜形成に用
いるのと同種のイオンを用いることが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明実施の形態を図面を
参照して説明する。図1は、本発明の貴金属膜被覆高分
子基体の製造方法の実施に用いる成膜装置の1例の概略
構成を示す図である。この装置は、真空容器1を有し、
容器1内には被成膜基体Sを支持するホルダ2が設置さ
れ、ホルダ2に対向する位置には蒸発源3及びイオン源
4が設置されている。また、ホルダ2付近には膜厚モニ
タ5及びイオン電流測定器6が配置されている。さら
に、容器1には排気装置11が付設されて、容器1内を
所定の真空度にすることができる。
【0019】この装置を用いて本発明方法を実施するに
あたっては、まず被成膜基体Sをホルダ2に支持させた
後、真空容器1内を所定の真空度にする。その後、基体
Sに対し、イオン源4から窒素イオン、酸素イオン及び
不活性ガスイオンのうち1又は2以上を照射して基体S
表面を清浄化、又は清浄化及び活性化する。次いで、蒸
発源3を用いて、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、
バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、
タングステン、アルミニウム及びシリコンの単体のうち
少なくとも一種の蒸着物質3aを、電子ビーム、抵抗、
レーザ、高周波等の手段で基体S上に真空蒸着させる。
なお、真空蒸着に代えて、蒸着物質3aをイオンビーム
等の手段でスパッタ蒸着させてもよい。この蒸着物質3
aの真空蒸着(又はスパッタ蒸着)と同時又は交互に、
イオン源4より窒素イオン若しくは(及び)酸素イオン
又はこれらと不活性ガスイオンとの混合イオンを当該蒸
着面に照射する。このとき、イオン加速エネルギは10
0eV〜10keVとし、イオン照射量は蒸着原子数v
/照射イオン数i輸送比にして1〜80とする。
【0020】このようにして、基体S上に膜厚10nm
〜10μmの中間膜を形成する。次いで、必要に応じ、
容器1内を再び所定の真空度とした後、前記中間膜が形
成された被成膜基体Sに対し、引き続き蒸発源3より、
ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、
イリジウム、白金及び金のうち少なくとも一種の蒸発物
質3bを真空蒸着(又はスパッタ蒸着)させる。
【0021】このようにして、前記中間膜の上に前記中
間膜の膜厚との合計で100μm以下となる膜厚で貴金
属膜を形成する。以上の操作により、図2に示すよう
に、高分子基体S上に中間膜S1が形成され、その外側
に貴金属膜S2が形成された貴金属膜被覆高分子基体が
得られる。また、中間膜S1形成に伴い、基体Sと中間
膜S1との界面において該両者の混合層Smが形成され
る。
【0022】このようにして得られた貴金属膜被覆高分
子基体は、中間膜S1が基体Sと貴金属膜S2の両者に
対し良好な密着性を有するため、中間膜S1が基体Sと
貴金属膜S2とを接合させる糊のような作用をして、貴
金属膜S2の基体Sに対する密着性は良好なものとな
る。また、中間膜S1が窒化物又は(及び)酸化物であ
って化学的に安定であるため、基体Sを通して酸素が中
間膜S1の方へ湧き出してきても、中間膜S1はこの酸
素と反応し難い。これにより、従来のチタンやクロム等
の金属からなる中間膜を有する貴金属膜被覆高分子基体
に見られるような、成膜後、中間膜が酸化することで膨
張して該膜内部に内部応力が発生し、膜密着性が低下す
るといった現象が生じ難い。
【0023】さらに、混合層Smの存在により、及び中
間膜S1形成に先立ち、前処理として基体Sに対しイオ
ン照射を行うことにより、中間膜S1の基体Sに対する
密着性は一層優れたものとなる。また、中間膜S1を物
質蒸着とイオン照射を併用して形成しているため、該膜
形成を比較的低温下で行うことができ、基体Sに与える
熱的損傷が少なくて済む。
【0024】なお、ここでは中間膜S1形成に先立ち、
前処理として、基体Sに対しイオン処理を行っている
が、この前処理を省略しても構わない。また、ここでは
貴金属膜S2形成を蒸着法により行っているが、これに
限らず、IVD法、イオンプレーティング法等により行
うこともできる。次に本発明方法の実施例及びそれによ
り得られる本発明の貴金属膜被覆高分子基体の具体例に
ついて説明する。併せて比較例についても説明する。 実施例1 ポリイミドからなる被成膜基体Sをホルダ2に支持させ
た後、容器1内を1×10-6Torrの真空度とした。
先ず、イオン源4に窒素(N2 )ガスを容器1内が8×
10-5Torrになるまで導入し、イオン化させ、該窒
素イオンを基体Sに対し200eVの加速エネルギで、
1×1017ions/cm2照射した。次いで、電子ビーム蒸発
源3を用いてチタンを蒸気化し、基体S上に成膜した。
それと同時に、イオン源4に窒素ガスを容器1内が8×
10-5Torrになるまで導入し、イオン化させ、該窒
素イオンを基体Sに対し1keVの加速エネルギでv/
i輸送比が8になるようにして照射した。このようにし
て、基体S上に膜厚50nmの窒化チタン膜を形成し
た。また、これに伴い、基体Sと窒化チタン膜S1との
界面に混合層Smが形成された。
【0025】次いで、電子ビーム蒸発源3を用いて銀を
蒸気化し、前記窒化チタン膜S1上に膜厚1μmの銀膜
S2を形成した。 実施例2 実施例1において、基体Sの前処理及び中間膜S1形成
に用いるイオンを、酸素ガスを原料ガスとする酸素イオ
ンとし、その他の条件は実施例1と同様にして、ポリイ
ミド基体S上に膜厚50nmの酸化チタン膜S1を形成
し、その外側に膜厚1μmの銀膜S2を形成した。ま
た、これに伴い基体Sと酸化チタン膜S1との界面に該
両者の混合層Smが形成された。 比較例1 実施例1において、窒化チタン膜S1を形成せず、その
他の条件は実施例1と同様にして、ポリイミド基体S上
に膜厚1μmの銀膜を形成した。 比較例2 実施例1において、中間膜形成時にイオン照射を行わ
ず、チタンの蒸着のみを行った。その他の条件は実施例
1と同様にして、ポリイミド基体S上に膜厚50nmの
チタン膜を形成し、その外側に膜厚1μmの銀膜を形成
した。
【0026】次に、実施例1、2及び比較例1、2によ
り得られた貴金属膜被覆高分子基体のそれぞれについ
て、膜密着性を引き剥がし試験により評価した。引き剥
がし試験は、成膜直後のサンプル及び大気中で100°
C、60時間加熱処理した後のサンプルについて行っ
た。結果を次表に示す。 なお、前記表中、○は「剥離せず」、×は「剥離し
た」、−は「試験せず」を表している。
【0027】実施例1及び実施例2により得られた貴金
属膜被覆高分子基体では、成膜直後及び加熱処理後共に
良好な膜密着性を示した。一方、比較例1では、成膜直
後でも前記引き剥がし試験により膜が剥離し、当初より
膜密着性が劣っていることが分かる。また、比較例2で
は成膜直後の膜密着性は良好であったが、加熱処理によ
り密着性が低下した。
【0028】次に、比較例2による貴金属膜被覆高分子
基体について、密着性低下の原因を明らかにするため
に、加熱処理後のサンプルの膜についてAES(Auger
Electron Spectroscopy )にて深さ方向に組成分析を行
ったところ、中間膜のチタン中に酸素元素が見出され
た。このように、中間膜として金属膜を形成した場合に
は、該金属膜の酸化により密着性が低下し易いことが分
かる。
【0029】なお、ここでは中間膜としてチタン酸化物
膜又はチタン窒化物膜を形成し、貴金属膜として銀膜を
形成した貴金属膜被覆高分子基体についての膜密着性の
検討結果を示したが、この他、中間膜の材質として、ジ
ルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタ
ル、クロム、モリブデン、タングステン、アルミニウ
ム、シリコンの窒化物、酸化物等を採用し、貴金属膜の
材質として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オス
ミウム、イリジウム、白金、金等を採用した貴金属膜被
覆高分子基体についても、本発明実施例1、2による貴
金属膜被覆高分子基体と同様の良好な膜密着性が得られ
た。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、高
分子基体上に貴金属膜が密着性良好に形成され、しかも
経時的な膜密着性の低下が生じない貴金属膜被覆高分子
基体、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる成膜装置の1例の概
略構成を示す図である。
【図2】本発明の1実施例である貴金属膜被覆高分子基
体の一部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器 11 排気装置 2 被成膜基体ホルダ 3 蒸発源 4 イオン源 5 膜厚モニタ 6 イオン電流測定器 S 被成膜基体 S1 中間膜 S2 貴金属膜 Sm 被成膜基体Sと中間膜S1との混合層
フロントページの続き (72)発明者 今井 修 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機 株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料からなる被成膜基体上に、チ
    タン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(H
    f)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル
    (Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タン
    グステン(W)、アルミニウム(Al)及びシリコン
    (Si)から選ばれた少なくとも一種の物質の窒化物又
    は(及び)酸化物からなる中間膜が形成され、該中間膜
    上に、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジ
    ウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリ
    ジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)から選ば
    れた少なくとも一種の物質からなる貴金属膜が形成され
    ていることを特徴とする貴金属膜被覆高分子基体。
  2. 【請求項2】 高分子材料からなる被成膜基体上に、物
    質蒸着とイオン照射を併用してチタン(Ti)、ジルコ
    ニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム
    (V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム
    (Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、
    アルミニウム(Al)及びシリコン(Si)から選ばれ
    た少なくとも一種の物質の窒化物又は(及び)酸化物か
    らなる中間膜を形成した後、該中間膜上にルテニウム
    (Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀
    (Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、
    白金(Pt)及び金(Au)から選ばれた少なくとも一
    種の原料物質からなる貴金属膜を形成することを特徴と
    する貴金属膜被覆高分子基体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記中間膜形成にあたり、照射イオンと
    して窒素イオン又は(及び)酸素イオン、又はこれらの
    一方若しくは双方と不活性ガスイオンとの混合イオンを
    用いる請求項2記載の貴金属膜被覆高分子基体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記中間膜形成に先立ち、窒素イオン、
    酸素イオン及び不活性ガスイオンから選ばれた少なくと
    も一種のイオンを前記被成膜基体上に照射する請求項2
    又は3記載の貴金属膜被覆高分子基体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記貴金属膜形成を、前記貴金属膜原料
    物質の蒸着とイオン照射とを併用して行い、該イオン照
    射にあたっては、窒素イオン、酸素イオン及び不活性ガ
    スイオンから選ばれた少なくとも一種のイオンを照射す
    る請求項2、3又は4記載の貴金属膜被覆高分子基体の
    製造方法。
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CN115832316A (zh) * 2022-10-11 2023-03-21 宁德时代新能源科技股份有限公司 复合膜及其制备方法、集流体、极片和电池

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