JPH0971610A - 分子量分布が広いポリオレフィンの製造法 - Google Patents

分子量分布が広いポリオレフィンの製造法

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JPH0971610A
JPH0971610A JP25190095A JP25190095A JPH0971610A JP H0971610 A JPH0971610 A JP H0971610A JP 25190095 A JP25190095 A JP 25190095A JP 25190095 A JP25190095 A JP 25190095A JP H0971610 A JPH0971610 A JP H0971610A
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JP
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polymerization
slurry
molecular weight
polyolefin
polymerizer
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JP25190095A
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Toshifumi Morimoto
敏文 森本
Yasunosuke Miyazaki
泰之資 宮崎
Kunimichi Kubo
国道 久保
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Eneos Corp
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均質であり、溶融弾性、流動特性、機械的特
性等の各種物性のバランスに優れた、分子量分布が広い
ポリオレフィンを簡便かつ容易に製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 スラリー重合器内に供給する水素ガス供
給量を、重合器内における平均滞留時間の1/2未満の
時間間隔で、平均滞留時間内に3段階以上変化させなが
ら、固体触媒成分と有機金属化合物とからなる触媒を用
いて連続的にオレフィンを重合することを特徴とする分
子量分布が広いポリオレフィンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子量分布が広
く、流動特性等の物性に優れたポリオレフィンの製造法
に関するものである。さらに詳しくは、溶融弾性(メル
トテンション、ダイスウェル比等)、流動特性(N−
値、臨界せん断速度等)および機械的特性(引張衝撃
値、耐環境応力亀裂性等)などの各種物性のバランスに
優れた、分子量分布が広いポリオレフィンの製造法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィンの工業的製造は連
続生産により行われており、回分式の重合は工業的生産
において全く省みられていない。一方、例えばポリエチ
レンの流動特性を改良するために、分子量の異なる複数
のポリエチレンを混合して分子量分布を広げることが行
われている。具体的な方法としては、ポリマーブレンド
法や複数個の重合器を用いる多段重合法などがあるが、
機械的混合によるポリマーブレンド法は均質混合性に欠
けるため、得られたポリエチレン混合物の物性が劣るの
で、連続多段重合法が好ましいとされている。すなわ
ち、従来は別個の2基の反応器で重合を行って2成分を
製造することにより分子量分布を広げる連続2段重合法
が多数提案されている。例えば、特公昭60−3908
2号公報、特公昭60−39083号公報、特公昭60
−39084号公報、特公昭60−39085号公報、
特公昭46−11349号公報、特公昭48−4271
6号公報、特開昭51−47079号公報、特開昭52
−19788号公報、特開昭56−010506号公
報、特開昭59−193913号公報などが挙げられ
る。また、別個の反応器を3基用いて重合を行い、3成
分系とすることにより分子量分布を広げる連続3段重合
法も提案されている。例えば、特公昭59−10724
号公報、特公昭46−11349号公報、特公昭48−
42716号公報、特開昭62−25109号公報、特
開昭62−25105号公報、特開昭62−25106
号公報、特開昭62−25107号公報、特開昭62−
25108号公報、特開昭59−227913号公報、
特開昭61−130310号公報、特開昭61−142
07号公報、特開平2−235947号公報、特開昭5
7−141409号公報などが挙げられる。
【0003】上記のように複数基の重合器を用いる連続
重合法によると、分子量分布を一定の範囲に広げること
は可能であるが、分子量分布がある程度以上広い場合に
は、高分子量成分と低分子量成分の粘度差が大きくなり
すぎ、成形の際に押出機内で混練不良が生じ、衝撃強度
などの機械的特性が低下したり、未溶融ゲルが発生する
等、物性および加工性などに問題点が発生することがあ
る。この原因は、得られたポリマー粒子の不均一性にあ
る。すなわち、複数基の重合器を用いる上記多段重合法
は、機械的なポリマーブレンド法に比べて、一般にポリ
マーの均一性に優れているが、必ずしも十分ではない。
【0004】ここで、スラリー重合法により固体遷移金
属触媒を用いて、オレフィン、例えばエチレンを重合す
る場合を想定する。重合活性点は、固体触媒粒子の表面
上に存在するが、粒子表面の全面にわたって存在するの
ではなく、表面上の極く小部分にしか存在しないと考え
られている。このように重合活性点が分布する固体触媒
粒子を用いて、複数基の重合器により連続的に重合する
場合、最初の重合器内では一個の固体触媒粒子上の全て
の活性点において、ほぼ同一の性状を有するポリマーが
生成する。そして、次の重合器では別の重合条件が設定
されているので、最初のポリマーとは異なる物性のポリ
マーが、全ての重合活性点から設定された別の条件に従
って生成する。このような重合挙動から、複数基の重合
器を用いる連続重合においては、通常多層構造のポリマ
ー粒子が得られると考えられている。ただし、実際には
活性金属種から成長したポリマーの活性金属/ポリマー
間にエチレンなどのモノマーが侵入しながらポリマー鎖
が成長し重合が進行するとされているので、ポリマー粒
子が単純な多層構造を形成しているとはいい難い。しか
し、いかなる形態にせよ、一個の触媒粒子から生成する
ポリマー粒子の内部では、各重合器において生成した重
合体がそれぞれブロックを形成していると考えられる。
【0005】最終的な樹脂製品は、このような各粒子を
ペレタイザイーやホモジナイザー等による機械的な混合
によりペレット化した後、各種成形機により成形するこ
とにより得られる。重合器で得られるポリマー粒子の径
は最大数mm程度の大きさであり、その粒子の内部にお
いて互いに異なるポリマーがブロックを形成して局在す
る領域はさらに小さいため、このような粒子を機械的に
溶融混合する場合、ある程度までの混合は可能である
が、理想的な完全に均一な状態まで混合することはきわ
めて困難であると予想される。従って、重合器で得られ
るポリマー粒子内における異なるポリマーの分散状態
は、最終製品になんらかの影響を及ぼさざるを得ない。
得られたポリマー粒子の内部において、生成したポリマ
ーの分散がより微細な領域まで均一であるほど、それら
を溶融混合して得られる樹脂製品の物性が良好であると
考えられる。上記のように、複数基の重合器を用いる多
段重合法では、各ポリマー粒子の内部において、各重合
器で生成した異なるポリマーがそれぞれ一定の領域を占
めてブロックを形成しているので、粒子内の均一性は十
分でなく、ポリマー粒子を機械的に混合しても均質化に
は限界があるため、その改善が望まれている。
【0006】複数の重合器内で分子量の異なるポリマー
を製造することにより分子量分布が広い樹脂製品を得よ
うとする多段重合法の場合には、分子量の差による溶融
粘度の相違により、ポリマー粒子の溶融混合がさらに不
十分になり易く、ポリマー粒子内における生成ポリマー
の分散が不均一になるため物性低下が著しい。そのほ
か、重合器を複数個必要とするため、多額の設備投資が
必要であるばかりでなく、重合工程が複雑かつ煩雑であ
り、各反応器における重合系の制御および工程管理が極
めて難しいという問題点も存在する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑み、均質で溶融弾性(メルトテンション、ダイスウェ
ル比等)、流動特性(N−値、臨界せん断速度等)、機
械的特性(引張衝撃値、耐環境応力亀裂性等)などの各
種物性のバランスに優れた、分子量分布が広いポリオレ
フィンを簡便かつ容易に製造する方法を提供することを
目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に沿って鋭意検討した結果、同一の重合器に送入する
水素の供給量を、間欠的にあるいは周期的に変えること
により、同一触媒粒子の表面に異なる分子量を有するポ
リオレフィンを生成させて、分子量分布が広く、かつ均
質なポリオレフィンを連続的に製造し得ることを見出し
て本発明に到達した。すなわち、本発明の第1は、スラ
リー重合器内に送入する水素ガス供給量を、重合器内に
おける平均滞留時間の1/2未満の時間間隔で、平均滞
留時間内に3段階以上変化させながら、固体触媒成分と
有機金属化合物とからなる触媒を用いて連続的にオレフ
ィンを重合することを特徴とする分子量分布が広いポリ
オレフィンの製造法に関する。本発明の第2は、本発明
の第1において、スラリー重合器が液充満式であること
を特徴とする分子量分布が広いポリオレフィンの製造法
に関する。本発明の第3は、本発明の第1において、水
素ガス供給量の変化を不連続的に行うことを特徴とする
分子量分布が広いポリオレフィンの製造法に関する。さ
らに本発明の第4は、液充満式の第1のスラリー重合器
と、上部に気相部を有する第2のスラリー重合器とを直
列に連結した重合装置を用い、第1のスラリー重合器内
に送入する水素ガス供給量を、重合器内における平均滞
留時間の1/2未満の時間間隔で、平均滞留時間内に3
段階以上変化させながら、固体触媒成分と有機金属化合
物とを触媒として連続的にオレフィンを重合することを
特徴とする分子量分布が広いポリオレフィンの製造法に
関する。
【0009】前述のように、触媒表面の極く小部分にし
か重合活性点が存在しない場合には、各重合活性点を中
心として異なる分子量のポリオレフィン、例えばポリエ
チレンがそれぞれブロックを形成するが、本発明の方法
によれば、ペレタイザーなどにより機械的に溶融混合し
て得られる樹脂製品の分子量分布が広いにもかかわら
ず、均一なものが得られる。その理由は明かでないが、
異なる分子量のポリオレフィンからなる各ブロックが比
較的小さいために、ポリマー粒子内における分子量の異
なるポリマーの分散状態がより微細な領域まで均一にな
ることによると推定される。
【0010】以下、さらに本発明を詳述する。本発明に
おいては、固体触媒成分と有機金属化合物とからなり、
水素がオレフィン重合の連鎖移動作用を示すようなスラ
リー法オレフィン重合に適する触媒であればいずれも使
用することができる。好ましくは重合活性点が局在して
いる不均一系触媒である。上記固体触媒成分としては、
遷移金属化合物を含有するオレフィン重合用の固体触媒
として用いられるものであれば特に制限はない。遷移金
属化合物としては、周期律表第IV族〜第VIII族、好まし
くは第IV族〜第VI族の金属の化合物を使用することがで
き、具体例としては、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo等
の化合物が挙げられる。好ましい触媒の例としては、T
iおよび/またはVの化合物と周期律表第I族〜第III族
金属の有機金属化合物からなる固体チーグラー触媒があ
る。さらに、近年開発されたメタロセン触媒と呼ばれ
る、シクロペンタジエン骨格を有する配位子が遷移金属
に配位してなる錯体と助触媒とを組み合わせたものが例
示される。具体的なメタロセン触媒としては、Ti、Z
r、Hf、ランタニド系列などを含む遷移金属に、メチル
シクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、イ
ンダン等のシクロペンタジエン骨格を有する配位子が配
位してなる錯体触媒と、助触媒としてのアルミノキサン
等の周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物とを
組み合わせたものや、これらの錯体触媒をシリカ等の担
体に担持させた担持型のものが挙げられる。特に好まし
いオレフィン重合用の固体触媒成分としては、少なくと
もチタンおよび/またはバナジウムならびにマグネシウ
ムを含有するものが挙げられる。次に、この固体触媒成
分について説明する。
【0011】上記のように、オレフィン重合用触媒とし
ては、従来公知のチーグラー系触媒に用いられるチタン
およびマグネシウムを含有する固体触媒成分、バナジウ
ムおよびマグネシウムを含有する固体触媒成分、または
チタン、バナジウムおよびマグネシウムを含有する固体
触媒成分等を使用することができる。例えば金属マグネ
シウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化
マグネシウム、塩化マグネシウム等、また珪素、アルミ
ニウム、カルシウムから選ばれる元素とマグネシウムと
を含有する複塩、複酸化物、炭酸塩、塩化物あるいは水
酸化物等、さらにこれらの無機固体化合物を含酸素化合
物、含硫黄化合物、芳香族炭化水素、ハロゲン含有物質
で処理しまたは反応させたもの等のマグネシウムを含む
無機固体化合物に、チタン化合物および/またはバナジ
ウム化合物を公知の方法により担持させたものが挙げら
れる。
【0012】上記含酸素化合物としては、例えば水;ポ
リシロキサン;アルコール、フェノール、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、エステル、酸アミド等の有機含酸
素化合物;金属アルコキシド;金属のオキシ塩化物等の
無機含酸素化合物を例示することができる。含硫黄化合
物としては、チオール、チオエーテル等の有機硫黄化合
物あるいは二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸等の無機硫黄
化合物が挙げられる。また芳香族炭化水素としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、アントラセン、フェナン
トレン等の各種単環または多環芳香族炭化水素を例示す
ることができる。ハロゲン含有物質としては、塩素、塩
化水素、金属塩化物、有機ハロゲン化物等が挙げられ
る。
【0013】前記のチタン化合物としては、チタンのハ
ロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、
ハロゲン化酸化物等を挙げることができる。これらのう
ち、4価のチタン化合物と3価のチタン化合物が好適で
あり、4価のチタン化合物としては、具体的には一般式
Ti(OR)n4-n(ここでRは炭素数1〜20のアルキ
ル基、アリール基またはアラルキル基等の炭化水素残基
をを示し、Xはハロゲン元素を示す。nは0≦n≦4の
範囲の数である。)で示されるものが好ましく、具体的
には四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、モ
ノメトキシトリクロロチタン、ジメトキシジクロロチタ
ン、トリメトキシモノクロロチタン、テトラメトキシチ
タン、モノエトキシトリクロロチタン、ジエトキシジク
ロロチタン、トリエトキシモノクロロチタン、テトラエ
トキシチタン、モノイソプロポキシトリクロロチタン、
ジイソプロポキシジクロロチタン、トリイソプロポキシ
モノクロロチタン、テトライソプロポキシチタン、モノ
ブトキシトリクロロチタン、ジブトキシジクロロチタ
ン、トリブトキシモノクロロチタン、テトラブトキシチ
タン、モノペントキシトリクロロチタン、モノフェノキ
シトリクロロチタン、ジフェノキシジクロロチタン、ト
リフェノキシモノクロロチタン、テトラフェノキシチタ
ン等を挙げることができる。3価のチタン化合物として
は、一般式Ti(OR)m4-m(ここでRは炭素数1〜2
0のアルキル基、アリール基またはアラルキル基等の炭
化水素残基をを示し、Xはハロゲン元素を示す。mは0
<m<4の範囲の数である。)で示される4価のハロゲ
ン化アルコキシチタンを、水素、アルミニウム、チタン
あるいは周期律表第IからIII族金属の有機金属化合物に
より還元して得られる3価のチタン化合物が挙げられ
る。
【0014】上記のチタン化合物のうち、4価のチタン
化合物が特に好ましい。これらの触媒の具体的なものと
しては、例えばMgO−RX−TiCl4系(特公昭51−
3514号公報)、Mg−SiCl4−ROH−TiCl4
(特公昭50−23864号公報)、MgCl2−Al(O
R)3−TiCl4系(特公昭51−152号公報、特公昭
52−15111号公報)、MgCl2−SiCl4−ROH
−TiCl4系(特開昭49−106581号公報)、Mg
(OOCR)2−Al(OR)3−TiCl4系(特公昭52−1
1710号公報)、Mg−POCl3−TiCl4系(特公昭
51−153号公報)、MgCl2−AlOCl−TiCl4
(特公昭54−15316号公報)、MgCl2−Al(O
R)n3-n−Si(OR')m4-m−TiCl4系(特開昭56
−95909号公報)、MgCl2−ROH−シロキサン
−Ti(OR)m4-m−TiCl4系(特願平5−28409
5号公報)、MgCl2−ROH−界面活性剤−Ti(OR)
m4-m−TiCl4系(特願平5−284096号公報)
等の固体触媒成分(前記式中において、RおよびR'は
有機残基、Xはハロゲン原子を示す。)に有機アルミニ
ウム化合物を組み合わせたものが好ましい例として挙げ
られる。
【0015】前記バナジウム化合物としては、四塩化バ
ナジウム、四臭化バナジウム、四ヨウ化バナジウム等の
4価のバナジウム化合物、オキシ三塩化バナジウム、オ
ルソアルキルバナデート等の5価のバナジウム化合物、
三塩化バナジウム、バナジウムトリエトキシド等の3価
のバナジウム化合物などが挙げられる。バナジウム化合
物は、単独であるいはチタン化合物と併用して用いられ
る。
【0016】他の触媒系の例としては、固体触媒成分と
していわゆるグリニャール化合物などの有機マグネシウ
ム化合物とチタン化合物および/またはバナジウム化合
物との反応生成物を用い、これに有機アルミニウム化合
物を組み合わせた触媒系を例示することができる。有機
マグネシウム化合物としては、例えば一般式RMgX、
2Mg、RMg(OR) 等で示されるマグネシウム化合物
(ここで、Rは炭素数1〜20の有機残基、Xはハロゲ
ン原子を示す。)およびこれらのエーテル錯体、または
これらの有機マグネシウム化合物に、さらに他の有機金
属化合物、例えば有機ナトリウム、有機リチウム、有機
カリウム、有機ホウ素、有機カルシウム、有機亜鉛等を
加えて変性したものを用いることができる。上記触媒系
の具体的な例としては、例えば、RMgX−TiCl4
(特公昭50−39470号公報)、RMgX−フェノ
ール−TiCl4系(特公昭54−12953号公報)、
RMgX−ハロゲン化フェノール−TiCl4系(特公昭5
4−12954号公報)、RMgX−CO2−TiCl4
(特開昭57−73009号公報)等の固体触媒成分に
有機アルミニウム化合物を組み合わせたものを挙げるこ
とができる。
【0017】また他の触媒系の例としては、固体触媒成
分としてSiO2、Al23およびSiO2・Al23等の無
機酸化物と前記のチタンおよび/またはバナジウムなら
びにマグネシウムを含有する固体触媒成分とを接触させ
て得られる固体物質を用い、これに有機アルミニウム化
合物を組み合わせたものを例示することができる。無機
酸化物としては上記SiO2、Al23およびSiO2・Al
23等のほかにCaO、B23、SnO2等を挙げること
ができ、またこれらの酸化物の複酸化物も使用すること
ができる。これら各種の無機酸化物とチタンおよび/ま
たはバナジウムならびにマグネシウムを含有する固体触
媒とを接触させるためには公知の方法を採用することが
できる。すなわち、不活性炭化水素、アルコール類、フ
ェノール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミ
ン類、ニトリル類またはこれらの混合物などの有機溶媒
の存在下または不存在下で、温度20から400℃、好
ましくは50〜300℃において通常5分〜20時間反
応させる方法が用いられる。上記触媒系の具体的な例と
しては、例えばSiO2−ROH−MgCl2−TiCl4(特
開昭56−47407号公報)、SiO2−ROR'−Mg
O−AlCl3−TiCl4(特開昭57−187305号公
報)、SiO2−MgCl2−Al(OR)3−TiCl4−Si(O
R')4(特開昭58−21405号公報)、SiO2−Ti
Cl4−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n(特
開平3−35004号公報)、SiO2−TiCl4−Rn
lCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n−Si(OR'')m
Cl4-m(特開平3−64306号公報)、SiO2−Mg
Cl2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')4−RnAlCl
3-n(特開平3−153707号公報)、SiO2− Mg
Cl2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−Rn
lCl3-n(特開平3−18504号公報)、SiO2−Ti
Cl4−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')n Cl3-n
R''mSi(OR''')n4-(m+n)(特開平4−26140
8号公報)、SiO2−RnMgX2-n−Al(OR')nCl3-n
−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−Rn AlX3-n(特
開平5−117316号公報)、SiO2−MgCl2−Al
(OR')n Cl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−
nAlCl3-n(特開平5−194634号公報)(前記
式中においてR、R'、R''、R'''は炭化水素残基を示
す。)等に有機アルミニウム化合物を組み合わせたもの
を挙げることができる。
【0018】これらの触媒系において、チタン化合物お
よび/またはバナジウム化合物を有機カルボン酸エステ
ルとの付加物として使用することもでき、また前記のマ
グネシウムを含む無機固体化合物を有機カルボン酸エス
テルと接触処理した後使用することもできる。さらに、
有機アルミニウム化合物を有機カルボン酸エステルとの
付加物として使用することもできる。また、あらゆる場
合において、有機カルボン酸エステルの存在下に調製さ
れた触媒系を使用することができる。ここで使用する有
機カルボン酸エステルとしては、脂肪族、脂環族、芳香
族カルボン酸の各種エステルが挙げられ、好ましくは炭
素数8〜12の芳香族カルボン酸エステルが用いられ
る。具体的な例としては安息香酸、アニス酸、トルイル
酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げること
ができる。固体触媒成分は、反応系に供給する前に予備
重合に付して、ポリマーで被覆されたいわゆるプレポリ
マーの形態で使用することもできる。
【0019】本発明において、上記の少なくともチタン
および/またはバナジウムならびにマグネシウムを含有
する固体触媒成分と共に用いることのできる有機金属化
合物としては、特に有機アルミニウム化合物が好まし
い。有機アルミニウム化合物とは、分子内に少なくとも
一個のアルミニウム−炭素原子の結合を有する化合物を
いう。例えば、(i)一般式RmAl(OR')npq(こ
こで、RおよびR'は炭素原子を通常1〜15個、好ま
しくは1〜4個を含む炭化水素基、例えばアルキル基、
アリール基、アルケニル基、シクロアルキル基等であ
り、アルキル基の場合にはメチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、ヘキシル、オクチル等が挙げられる。RおよびR'
は同一であっても異なってもよい。Xはハロゲン原子を
示し、m、n、pおよびqはそれぞれ0<m≦3、0≦
n<3、0≦p<3および0≦q<3の範囲にあり、か
つm+n+p+q=3を満足する数である。)で表され
る有機アルミニウム化合物、(ii)一般式MAlR4(こ
こで、MはLi、Na またはKから選ばれる金属であ
り、Rは前記と同じ炭化水素基である。)で表される、
周期律表第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合
物などを挙げることができる。
【0020】前記(i)に属する有機アルミニウム化合
物としては、例えば 一般式 RmAl(OR')3-m (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。mは好ましくは1.5≦m≦3の範囲である。)、 一般式 RmAlX3-m (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。mは好ま
しくは0<m<3の範囲である。)、 一般式 RmAlH3-m (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。mは好ま
しくは2≦m<3の範囲である。)および 一般式 RmAl(OR')nq (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。Xはハロゲン原子を示し、m、nおよびqは好まし
くはそれぞれ0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3の範
囲にあり、かつm+n+q=3を満足する数である。)
で表されるものなどを例示することができる。
【0021】(i)に属する有機アルミニウム化合物と
して、具体的には、トリメチルアルミウム、トリエチル
アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイ
ソブチルアルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウ
ム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、トリヘキシルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキ
ルアルミニウム;トリアルケニルアルミニウム;ジエチ
ルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブト
キシド等のジアルキルアルニミウムアルコキシド;エチ
ルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウム
セスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアル
コキシドの他に、R2.5Al(OR)0.5などで表される平
均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルア
ルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチル
アルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド
等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニ
ウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリ
ド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルア
ルミニウムセスキハライドのような部分的にハロゲン化
されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒ
ドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキル
アルミニウムヒドリドおよびエチルアルミニウムジヒド
リド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルア
ルミニウムジヒドリドなど、部分的に水素化されたアル
キルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリ
ド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアル
ミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化お
よびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを例示
することができる。前記(ii)に属する有機アルミニウ
ム化合物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)
4等が挙げられる。また、(i)に類似する有機アルミニ
ウム化合物として、酸素原子や窒素原子を介して2個以
上のアルミニウム原子が結合した有機アルミニウム化合
物を用いることもできる。このような化合物として、例
えば(C25)2AlOAl(C25)2、(C49)2AlOAl
(C49)2、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2等を
例示することができる。これらの中でも、トリアルキル
アルミニウムが好ましい。
【0022】定常運転中における有機アルミニウム化合
物の使用量は特に制限されないが、用いる場合には、通
常チタン化合物1モルに対して0.05〜1000モル
の範囲が好ましい。
【0023】本発明の方法はすべてのオレフィンの重合
に適用することができるが、特に炭素数2〜12のα−
オレフィンの場合に適しており、例えばエチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフ
ィン類の単独重合ならびにエチレンとプロピレン、エチ
レンと1−ブテン、エチレンと1−ペンテン、エチレン
と1−ヘキセン、エチレンと4−メチル−1−ペンテ
ン、エチレンと1−オクテン等のエチレンと炭素数3〜
12のα−オレフィンとの共重合、プロピレンと1−ブ
テンとの共重合およびびエチレンと他の2種類以上のα
−オレフィンとの共重合等に好適に使用される。また、
ポリオレフィンの改質を目的とする場合のジエンとの共
重合にも好ましく用いられる。このとき使用されるジエ
ン化合物の例としては、ブタジエン、1,4−ヘキサジ
エン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン
等を挙げることができる。なお、重合の際のコモノマー
含有率は任意に選択することができるが、例えば、エチ
レンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合の場
合には、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オ
レフィン含有量は0〜40モル%、好ましくは0〜30
モル%である。
【0024】重合条件のうち重合温度としては、0〜3
00℃の範囲から選択することができる。スラリー重合
においては生成ポリマーの融点より低い温度で重合を行
う。重合圧力は、大気圧〜約100kg/cm2の範囲から選
択することができる。実質的に酸素、水等を断った状態
で、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等か
ら選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下でオレフィンの
スラリー重合を行う。
【0025】スラリー重合において重合器に供給される
水素は、連鎖移動剤として消費され、生成するポリオレ
フィンの平均分子量を決定するほか、一部は溶媒に溶解
して重合器から排出される。溶媒中への水素の溶解度は
小さく、重合器内に大量の気相部が存在しない限り、触
媒の重合活性点付近の水素濃度は低い。そのため、水素
供給量を変化させれば、触媒の重合活性点における水素
濃度が速やかに変化し、生成するポリオレフィンの分子
量は短時間の間に水素供給量に追随して変化する。従っ
て、短い周期で水素供給量を変化させれば、より均質な
製品を製造することができる。このような理由から、本
発明においては重合法としてスラリー重合法を採用す
る。
【0026】本発明において用いる重合器は、好ましく
は液充満型である。液充満型の場合には、気相部が存在
しないか、存在しても僅かであるため、前述のように水
素供給量を変化させれば生成するポリオレフィンの分子
量は短時間の内にこれに追随して変化する。このため、
気相部を有する重合器よりもさらに短い周期で水素供給
量を変化させることができる。ここで液充満型の重合器
とは、上部に気相部が実質的に存在しない形式のほか、
重合器上部に気相部が存在してもその容積が重合器全体
の10%以下のものも含む。
【0027】本発明においては、同一重合器内に送入す
る水素ガス供給量を、重合器内における平均滞留時間の
1/2未満の時間間隔で、平均滞留時間内に3段階以上
変化させながら、固体触媒成分と有機金属化合物とを触
媒として連続的にオレフィンを重合する方法を用いるこ
とが簡便であり好ましい。重合器に送入する水素供給量
を変化させる方法には特に制限はない。連続的または不
連続的に変化させることができ、適宜の水素供給手順に
従って行うことができる。変化させる時間間隔は、対象
重合器内における平均滞留時間の1/2未満であるが、
好ましくは1/5以下である。時間間隔が短すぎると、
応答時間の遅れもあるため、変化の効果が生じ難い。従
って、通常は平均滞留時間の1/50以上とする。上記
の範囲内であれば、各時間間隔は同一であっても異なっ
てもよい。なお、反応器容積、反応基質流量などにもよ
るが、通常工業的なスラリー重合器における平均滞留時
間は、数十分〜数十時間の範囲である。平均滞留時間は
ある程度長い方が、水素供給量を変化させた場合にその
効果が発現し易い。従って、通常は 30分以上の平均
滞留時間を有する重合器を用いて本発明を行うことが好
ましい。
【0028】水素供給量の変化の態様は、連続的に変化
させるよりも不連続的に変化させる方が分子量分布を広
げる効果が得られ易いので好ましい。図1は、本発明の
例における水素供給量と重合時間との関係を示す模式図
である。具体的には、図のように、水素供給量を矩形的
に変化させる。この場合、水素供給量の最低値を零にす
ることもできる。しかし水素供給量を完全に零にする
と、生成するポリオレフィンの分子量が高くなりすぎる
ことがある。従って、通常は、水素供給量の最低値を零
とせず、一定量を流すことが好ましい。このようにする
ためには、例えば、重合器に2本の水素供給ラインを設
け、一方のラインに一定量の水素を常に供給し、他方の
ラインの水素供給量を適宜の調節弁により調整する方法
を用いることができる。なお、1本の供給ラインまたは
複数本の供給ラインに適宜の調整弁を設けることによ
り、上記の態様を達成することも可能である。図1のよ
うに、矩形的に水素供給量を変化させ、かつ最低でも一
定量の水素を流入させる場合には、高供給量に対する低
供給量の比は0.1〜0.9が適当であり、好ましくは
0.1〜0.8の範囲である。
【0029】同一重合器内へ供給する水素量を上記のよ
うに矩形的に変化させる場合、水素供給量を変化させた
後に、生成するポリマーに実際に分子量変化が現れるま
でには、一定の時間遅れが生ずることがある。この対策
として、例えば水素供給量を増大する場合には、水素を
所定の高供給量よりさらに1〜200%程度高い供給量
で、所定の供給時間の1〜50%程度送入した後、所定
の高供給量および供給時間による水素供給に切り換え
る。反対に、水素供給量を減少する場合には、水素を所
定の低供給量よりさらに1〜100%程度低い供給量
で、所定の供給時間の1〜50%程度送入した後、所定
の低供給量および供給時間による水素供給に切り換え
る。このような方法により、水素供給量の変化に対応す
る効果の遅れを解消することが可能となる。図2は、上
記の方法を用いた例における水素供給量と重合時間との
関係を示す模式図である。
【0030】本発明においては、水素供給量を変化させ
ることが必要であるが、その他の重合条件、例えば重合
温度、触媒供給量、エチレンなどのオレフィンの供給
量、1−ブテンなどのコモノマーの供給量、溶媒の供給
量等を、適宜に水素の変化と同時にまたは別個に変化さ
せることも可能である。
【0031】本発明は、後記の実施例に示す方法の他、
種々の態様で実施することが可能である。1基のみの重
合器で連続的にポリオレフィンを製造する場合のほか、
複数基の重合器を直列もしくは並列、またはこれらを組
み合わせて用いるポリオレフィンの連続的製造方法にお
いて、重合器のいずれか1基または複数基において本発
明の方法を適用することができる。なお、1段目のスラ
リー重合器では一定の高い水素供給量により低分子量の
ポリオレフィンを製造し、そのスラリーをフラッシング
槽に導き、未反応ガスとして大部分の水素を除去してか
ら、2段目のスラリー重合器に導入し、ここで低い水素
供給量で高分子量のポリオレフィンを製造する際に水素
供給量を変化させる方法を採用することもできる。ま
た、複数基の重合器を用いる場合、初めの重合器は液充
満形式とし、次の重合器は気相部を有するスラリー重合
器とすることも可能である。この方法では、後段の重合
器へ移行する際に、未反応ガスの脱気を行うフラッシン
グ槽は不要となる。上記いずれの場合も、重合器のいず
れか1基または複数基において本発明の方法を適用する
ことができる。
【0032】本発明の方法により製造されたポリオレフ
ィンは、常法に従い、ペレタイザーやホモジナイザー等
による機械的な溶融混合によりペレット化した後、各種
成形機により成形を行って所望の成形品とする。また本
発明の方法により得られるポリオレフィンには、常法に
従い、他のオレフィン系重合体やゴム等のほか、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防
曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色顔料、架橋
剤、発泡剤、無機または有機充填剤、難燃剤等の公知の
添加剤を配合することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】スラリー重合器内に送入する水素
ガス供給量を、重合器内における平均滞留時間の1/2
未満の時間間隔で、平均滞留時間内に3段階以上変化さ
せながら、固体触媒成分と有機金属化合物とからなる触
媒を用いて連続的にオレフィンを重合することにより、
分子量分布が広く、流動特性や機械的特性など各種物性
のバランスに優れたポリオレフィンを製造することがで
きる。
【0034】
【実施例】次に本発明を実施例によって詳細に説明す
る。まず、本発明で使用する試験法を示す。 (1)極限粘度([η]) 135℃のデカリン溶液中で測定する。 (2)密度(d) JIS K6760の規定による密度勾配管法(23
℃)で測定する。 (3)N−値 高化式フローテスター(島津製作所製)を使用し、樹脂
温度170℃あるいは210℃で2mmφ×40mmの
ダイから押出し、低位試験圧力20kg/cm2および高位試
験圧力150kg/cm2での見かけのせん断速度を求め、次
式〔I〕により算出する。
【数1】 (4)メルトフローレート(MFR) JIS K6760の規定により測定する。(測定温度
190℃、荷重2.16kg) (5)引張降伏強さ(YTS) JIS K6760の規定による。(引張速度50mm/mi
n、試験片厚み2mm) (6)引張衝撃値(TIS) ASTM D1822に準拠して測定。(試験片厚み1.
5mm) (7)曲げこわさ JIS K7106の規定により測定する。(東洋精機
(株)製の曲げこわさ試験機を使用) (8)メルトテンション(MT) 東洋精機(株)製のメルトテンションテスターにより測
定。(測定温度190℃) (9)臨界せん断速度(γc) INTESCO(株)製のキャピラリーレオメーターによ
り測定する。(測定温度190℃) (10)耐環境応力亀裂性(ESCR) JIS K6760の規定による定ひずみESCRのF
50の値を求める。 (11)ダイスウェル比(DSR) 高化式フローテスターを用いて、温度170℃あるいは
210℃で試料を押出し、ストランドの径とダイの内径
との比を求める。せん断速度が100sec-1に相当する
押出速度で測定する。 (12)ゲル インフレーションフィルム成形装置で成形した厚み20
μmのフィルム100cm2(10cm×10cm)に存
在するゲルの全数を求める。
【0035】<触媒製造例>固体触媒成分として、溶解
析出法によるTi系触媒を使用した。その製造方法は以
下の通りである。攪拌機および冷却器を取り付けた容量
1リットルの三つ口フラスコの内部を十分に窒素置換し
た後、乾燥ヘキサン250ml、あらかじめ3リットル
振動ミルで1時間粉砕処理を行った無水塩化マグネシウ
ム11.4gおよびn−ブタノール110mlを入れ、
68℃で2時間加熱し均一な溶液(A)とした。この溶
液(A)を室温まで冷却した後、25℃の運動粘度が2
5cStであるメチルハイドロジェンポリシロキサン8g
を添加し、1時間攪拌して均一な溶液(B)を得た。溶
液(B)を水で冷却した後、この中へ四塩化チタン50
mlおよび乾燥ヘキサン50mlを、滴下漏斗を用い1
時間を費やして滴下し、溶液(C)を得た。溶液(C)
は均一であり、反応生成物の錯体は析出していなかっ
た。溶液(C)を還流しながら、68℃で2時間加熱処
理を行った。加熱を開始して約30分後に反応生成物錯
体(D)の析出が見られた。これを採取して乾燥ヘキサ
ン250mlで6回洗浄し、さらに窒素ガスで乾燥し
て、反応生成物錯体(D)19gを回収した。反応生成
物錯体(D)を分析したところ、Mg14.5wt%、n−
ブタノール44.9wt%およびTi0.3wt%を含有して
おり、その比表面積は17m2/gであった。また反応生成
物錯体(D)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したと
ころ、球に近い形状であった。反応生成物錯体(D)
4.5gを窒素雰囲気下で攪拌機および冷却器を取り付
けた容量1リットルの三つ口フラスコに採取し、これに
乾燥ヘキサン250mlおよび四塩化チタン25mlを
加えて還流下に68℃で2時間加熱処理を行い、室温ま
で冷却した後、乾燥ヘキサン250mlで6回洗浄し、
窒素ガスで乾燥して固体触媒成分(E)4.6gを回収
した。この固体触媒成分(E)を分析したところ、Mg
12.5wt%、n−ブタノール17.0wt%およびTi9.
0wt%を含有しており、その比表面積は29m2/gであっ
た。この固体触媒成分(E)をSEMで観察したとこ
ろ、粒径は均一であり球に近い形状であった。
【0036】<実施例1>図3は、使用したスラリー法
2段重合プロセスの概略工程図である。図において、第
1段反応器1として内容積30リットルの攪拌型反応器
を使用し、上記触媒製造例で得られた固体触媒成分
(E)を触媒供給ライン2から、またトリエチルアルミ
ニウム(TEA)を有機金属化合物供給ライン3から供
給して、表1に示す重合条件により連続的にエチレンと
1−ブテンとの重合を行った。図中で、符号4はエチレ
ン供給ライン、同5はコモノマー供給ライン、同6は水
素供給ライン(6aは水素連続供給ライン、6bは水素
間欠供給ラインを示す)および同7は重合溶媒供給ライ
ンを示す。この実験における第1段反応器1の重合条件
は、表1に示す通り重合温度70℃、全圧14.3kg/cm
2Gとし、反応器内は液充満に保った。水素は、連続水素
供給ライン6aから0.1Nl/hrで連続的に供給し、一
方、間欠水素供給ライン6bにおいては、3.5Nl/hrで
2分間供給した後、水素供給を2分間停止する操作を1
サイクルとして、このサイクルを連続的に繰り返した。
なお、水素間欠供給装置としては、マスフローメーター
(EP−TF−5310)、コントローラー(EP−T
C−1000)およびコンバータユニット(TM−74
20−23−1)からなる東京計装(株)製の熱式質量流
量計を用いた。第1段反応器の重合生成物を一部採取
し、重合物を回収して物性を測定した結果を、「高分子
量成分」として表3に示す。異なる時期に採取した試料
もほぼ同一の物性を示した。第1段反応器1で生成した
スラリー状重合生成物を、第1段重合生成物移送ライン
8を通して第2段反応器9(内容積70リットル、攪拌
型)へ差圧により導入した。エチレンおよび水素を表1
に示すように追加し、重合温度80℃、全圧14.1kg/
cm2G、液相50リットルに保って重合を継続した。第2
段反応器9から排出される重合生成物を、第2段反応生
成物移送ライン10を通してフラッシング槽11へ導入
し、重合生成物を連続的に重合物回収ライン12から抜
き出し、脱気ライン13から未反応ガスを除去した。重
合物回収ライン12から得られたポリマー粒子を、ペレ
タイザーで造粒した後、射出成形やインフレ成形により
試験片やフィルムを成形し、その物性を評価した。結果
を表3に示す。なお、表3において、第2段反応器で生
成した「低分子量成分」の物性は、最終製品であるポリ
エチレン組成物の物性と第1段反応器で得られた高分子
量成分の物性とから計算により求めたものである。
【0037】<実施例2>実施例1で用いたものと同様
の2段重合プロセスを用い、実施例1の場合と異なる水
素供給条件で連続重合を行った。すなわち、第1段反応
器1への水素のうち、連続水素供給ライン6aを停止し
て、間欠水素供給ライン6bのみを使用し、まず水素供
給量4.5Nl/hrで30秒間送入し、次いで水素供給量を
3Nl/hrに変更して2分間供給を続けた後、水素の送入
を停止して30秒経過後に水素供給量0.2Nl/hrで2分
間送入する操作を1サイクルとして、これを連続的に繰
り返した。なお、その他の条件は実施例1と同様にして
エチレンと1−ブテンとの重合を行った。各反応器の重
合条件を表1に、また得られたポリマーの物性の評価結
果等を表3に示す。
【0038】<実施例3〜7>実施例1と同様のプロセ
スを用い、水素供給条件や重合条件を変えて2段重合を
行った。各重合条件を表1および表2に示し、ポリマー
の物性評価結果を表3および表4に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】<実施例8および9>図4は、使用したス
ラリー法2段重合プロセスの概略工程図である。図にに
おいて、第1段反応器1aとして内容積70リットルの
撹拌型反応器を使用し、液相を50リットルに保って、
表5に示す重合条件で連続的に低分子量成分Bの重合を
行った。第1段反応器1aからスラリー状重合生成物を
フラッシング槽11aへ連続的に導入し、未反応ガスを
除去した後、昇圧ポンプ14で第2段反応器9aへ連続
的に導入し、ここで表5に示す条件により高分子量成分
Aの重合を行った。この際に、第2段反応器9aに送入
する水素の供給条件をそれぞれ変更した。第2段反応器
9aから排出される重合生成物を、フラッシング槽11
bを通してポリマー粒子として回収した。得られたポリ
マーの物性評価結果を表6に示す。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】<比較例1〜9>実施例1と同様のプロセ
スを用い、通常の方法、すなわち水素間欠供給を行わな
い方法により2段重合を実施した。各重合条件を表7お
よび表8に、ポリマーの物性評価結果を表9および表1
0に示す。
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】
【発明の効果】本発明による分子量分布の広いポリオレ
フィンは、それぞれ異なる分子量のポリオレフィンから
なるブロックが小さいために、ポリマー粒子内における
それらの分散状態が均一であり、その結果それらを含む
ポリオレフィン組成物は、以下の特長を有する。 (1)特にメルトテンション、ダイスウェル比等の溶融
弾性に優れている。 (2)引張衝撃値、曲げこわさ、耐環境応力亀裂性等の
機械的特性に優れている。 (3)臨界せん断速度などの流動特性に優れているた
め、高速成形等における成形加工性が良好である。 (4)高分子量ゲルやフィッシュアイの発生が極めて少
なく、均質性に優れている。 本発明により、均質であると共に各種物性のバランスに
優れたポリオレフィン組成物を、簡便かつ容易に製造す
ることが可能となった。本発明により得られる分子量分
布が広いポリオレフィンおよびそれを含むポリオレフィ
ン組成物は、上記の長所を有することにより、各種のフ
ィルム、シート、パイプ、中空容器、各種被覆材料、発
泡材料などに使用することができる。また、押出成形、
中空成形、射出成形などの全ての成形法に好適に使用す
ることができるため、広範な成形品とすることができ
る。本願の第1の発明は、水素供給条件を変化させて速
い応答を得るための方法を提供するものである。第2の
発明は、上記の応答をさらに迅速化することができる。
また第3の発明によれば、水素供給量の変化による効果
を顕著に発現させることができる。さらに本願の第4の
発明によれば、極めて分子量分布が広いにもかかわらず
高分子量成分の分散性の良好なポリマーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素供給量と重合時間との関係の例を示す模式
図である。
【図2】水素供給量と重合時間との関係の他の例を示す
模式図である。
【図3】本発明の2段重合プロセスの例の概略工程図で
ある。
【図4】本発明の2段重合プロセスの他の例の概略工程
図である。
【符号の説明】
1、1a 第1段反応器 2 触媒供給ライン 3 有機金属化合物供給ライン 4 エチレン供給ライン 5 コモノマー供給ライン 6 水素供給ライン 6a 水素連続供給ライン 6b 水素間欠供給ライン 7 重合溶媒供給ライン 8 第1段重合生成物移送ライン 9、9a 第2段反応器 10 第2段重合生成物移送ライン 11、11a、11b フラッシング槽 12 重合物回収ライン 13 脱気ライン 14 昇圧ポンプ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラリー重合器内に送入する水素ガス供
    給量を、該重合器内における平均滞留時間の1/2未満
    の時間間隔で、該平均滞留時間内に3段階以上変化させ
    ながら、固体触媒成分と有機金属化合物とからなる触媒
    を用いて連続的にオレフィンを重合することを特徴とす
    る分子量分布が広いポリオレフィンの製造法。
  2. 【請求項2】 前記スラリー重合器が液充満式である請
    求項1に記載の分子量分布が広いポリオレフィン製造
    法。
  3. 【請求項3】 前記水素ガス供給量の変化を、不連続的
    に行うことを特徴とする請求項1に記載の分子量分布が
    広いポリオレフィン製造法。
  4. 【請求項4】 液充満式の第1のスラリー重合器と、上
    部に気相部を有する第2のスラリー重合器とを直列に連
    結した重合装置を用い、第1のスラリー重合器内に送入
    する水素ガス供給量を、該重合器内における平均滞留時
    間の1/2未満の時間間隔で、該平均滞留時間内に3段
    階以上変化させながら、固体触媒成分と有機金属化合物
    とからなる触媒を用いて連続的にオレフィンを重合する
    ことを特徴とする分子量分布が広いポリオレフィンの製
    造法。
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