JPH0966308A - 厚板圧延方法 - Google Patents

厚板圧延方法

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JPH0966308A
JPH0966308A JP7225498A JP22549895A JPH0966308A JP H0966308 A JPH0966308 A JP H0966308A JP 7225498 A JP7225498 A JP 7225498A JP 22549895 A JP22549895 A JP 22549895A JP H0966308 A JPH0966308 A JP H0966308A
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禎夫 森本
Kenichi Oe
憲一 大江
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正樹 須藤
Shintaro Shimada
信太郎 島田
Keima Anraku
桂馬 安楽
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 統計的手法によらないモデル式を構築してロ
ールギャップを設定すること。 【解決手段】 厚板の圧延に際して、パススケジュール
を求めるとともに、該パススケジュールに従い各パスの
ロールギャップを設定して圧延する厚板圧延方法におい
て、圧延材とワークロール2 の間、及び、該ワークロー
ル2 とバックアップロール1 の間の幅方向荷重分布をい
ずれも4次以上の多項式で表示し、圧延材側の変形状態
と圧延ロール側の変形状態を適合させた場合に導出され
るロール変形量と圧延条件の関係を示すロール変形モデ
ル式を用いて、各パスの出側板厚に応じたロールギャッ
プを設定して圧延を行うこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚板の圧延に際し
て、パススケジュールを求めるとともに、該パススケジ
ュールに従い各パスのロールギャップを設定して圧延す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】厚板圧延においては、従来より、圧延の
各パスの出側板クラウンや板クラウン比率の変化を考慮
したパススケジュールの決定方法が用いられており(例
えば、特開昭55−81008号公報参照)、さらに、
このパススケジュールに従い各パスのロールギャップを
設定し圧延することが行われている。
【0003】しかしながら、前記従来のパススケジュー
ルの決定や各パスのロールギャップの設定に用いられて
きたモデル式、即ち、パススケジュールの決定では板ク
ラウン予測式、ロールギャップの設定ではゲージメータ
モデル式については、実際の圧延データあるいは大規模
な数値解析結果を統計処理してモデル化されているもの
である。
【0004】こうした統計モデル式には、圧延サイズ
(板厚、板幅)や圧延ロール径等の圧延条件が大きく変
化すると、その都度新たなモデル式を作成するか、ある
いはモデル式の係数を見直すかの措置を取らざるを得な
かった。また、統計モデル式であるが故に、各影響因子
間の相互作用が反映できないため、ある圧延条件下にお
いては大きな誤差が生じていた。
【0005】最近では、板クラウン予測式として、圧延
材とワークロールの間の幅方向荷重分布が一様の場合に
ついて圧延ロールの変形状態を理論的に取り扱うことに
よって、幅方向荷重分布が一様なときの出側板クラウン
を求め、この出側板クラウンに板クラウン補正係数を乗
じたものと、入側板クラウンに板クラウン遺伝係数を乗
じたものとの1次結合として構成されるモデル式が開示
されている(例えば、特公平6−2288号公報参
照)。
【0006】前記公告公報に記載のモデル式において
も、板クラウン補正係数と板クラウン遺伝係数について
は、実際の圧延データあるいは大規模な数値解析結果を
統計処理してモデル化されているため、前記のような圧
延条件が変化する際のモデル式の見直しに要する手間や
予測誤差の発生ということが避け得られなかった。以上
のように従来の板クラウン予測式について統計的手法に
よるモデル化が行われてきたのは、圧延材とワークロー
ルの間に生じる不均一な幅方向圧延荷重分布とそれによ
る圧延材と圧延ロールの変形状態を理論的に取り扱うこ
とができなかったためである。
【0007】そこで、圧延材とワークロールの間に生じ
る不均一な幅方向圧延荷重分布を考慮するとともに、そ
れによる圧延材の変形状態と圧延ロールの変形状態を適
合させ、且つ、統計的手法によらないオンライン用板ク
ラウン予測式が開発され、該予測モデルを用いてパスス
ケジュールを設定することが試みられた(「材料とプロ
セス」Vol.6(1993)No. 5 平成5年9月2日
社団法人日本鉄鋼協会発行参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、パススケジ
ュールにより出側板厚を設定すると、その次には、該板
厚に従い各パスのロールギャップを設定しなければなら
ない。このロールギャップの設定は、パススケジュール
で与えられた出側板厚が実現されるロールギャップにな
るよう、ゲージメータモデル式等を用いてスクリュー位
置を設定するのである。
【0009】しかし、前記開発された統計的手法によら
ないオンライン用板クラウン予測式によりパススケジュ
ールを設定しても、このロールギャップを求めるモデル
式が従来の統計的処理されたモデル式を用いるもでは、
板クラウンや板厚の目標値が満足できないか、あるいは
圧延形状として耳波や中波が発生するといった問題が生
じることがあった。
【0010】即ち、ロールギャップ設定に際しても、統
計的手法によらないモデル式の開発が望まれているとこ
ろである。そこで、本発明は、目標の板厚、板クラウン
を満足し且つ良好な圧延形状を確保するため、圧延材と
ワークロールの間に生じる不均一な幅方向圧延荷重分布
を考慮すると共に、それによる圧延材の変形状態と圧延
ロールの変形状態を適合させ、かつ統計的手法によらな
いオンライン用板クラウン予測式とゲージメータモデル
式を用いて、パススケジュールを決定すると共に各パス
のロールギャップを設定して圧延する方法を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本発明の特徴
とするところは、厚板の圧延に際して、パススケジュー
ルを求めるとともに、該パススケジュールに従い各パス
のロールギャップを設定して圧延する厚板圧延方法にお
いて、圧延材とワークロールの間、及び、該ワークロー
ルとバックアップロールの間の幅方向荷重分布をいずれ
も4次以上の多項式で表示し、圧延材側の変形状態と圧
延ロール側の変形状態を適合させた場合に導出されるロ
ール変形量と圧延条件の関係を示すロール変形モデル式
を用いて、各パスの出側板厚に応じたロールギャップを
設定して、圧延を行う点にある。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、パススケジュールの決定に
必要となる出側板クラウンと入側板クラウンの関係を示
すモデル式の導出について説明する。なお、以下の説明
では、圧延材とワークロールの間、およびバックアップ
ロールとワークロールの間の幅方向荷重分布がいずれも
4次の多項式(尚、4次式としたのは、2次式では精度
が良くなかったこと、及び6次以上の多項式では複雑に
なるためであり、また奇数次では左右の対称性が確保で
きないためである。)で表される場合について説明する
が、幅方向荷重分布が4次を越える多項式で表される場
合でも、同様な考え方によりモデル式の導出が可能であ
る。
【0013】また、導出に際しての座標系および記号、
符号の意味は、図1に示すとおりであり、導出のための
前提条件は以下の〜である。 ワークロール2 と板材間の幅方向荷重分布qWP、及
びワークロール2 とバックアップロール1 間の幅方向荷
重分布qWBは、次の4次多項式で表すものとする。即
ち、幅方向荷重を一様なものとせず、不均一なものとし
て取り扱う。
【0014】
【数1】 qWP(x) =A1 4 +A2 2 +A3 (0≦X≦LW /2)……(1) qWB(x) =B1 4 +B2 2 +B3 (0≦X≦LB /2)……(2) 但し、Ai 、Bi (i=1,2,3):未知定数 LW :ワークロール2 の胴長 LB :バックアップロール1 の胴長 X :幅方向位置(X=0 中央) ワークロール2 とバックアップロール1 間のロール
偏平変形量aWB(x) 、及びワークロール2 と板材間のロ
ール偏平変形量δ(x) は、それぞれTsu-Tao-Looの式、
中島らによる修正戸澤の式を適用する。
【0015】但し、aWB(x) =a1(x)+a2(x) a1 :バックアップロール1 の偏平変形量 a2 :ワークロール2 の偏平変形量 板材の入出側の板幅方向板厚分布H、hは、次式で
表す。
【0016】
【数2】 H(X) =H(0) −CH (X/Xe )4 ……(3) h(X) =h(0) −Ch (X/Xe )4 ……(4) Xe =(B/2)−β 但し、CH :入側板クラウン量 Ch :出側板クラウン量 B :板幅 Xe :板クラウンの板端部の定義位置 β :板端からの距離 圧延時の板幅方向における伸び歪差に起因した内部
応力分布は、板幅方向歪の影響を考慮して次式で示す。
【0017】
【数3】 σf (x) =ξEP ( h(X) /h(0) −H(X) /H(0) )+σ0 ……(5) 但し、ξ :形状変化係数 EP :板材のヤング率 σ0 :内部応力の釣り合い条件から決まる定数 板材において板幅方向への塑性流れが無い平面歪状
態とし、板幅方向の各位置で志田の圧下力関数式Q
P (X) が成り立ち、次式が成立するものとする。
【0018】
【数4】 qWP(x) =(kf −σf (x) )・QP (x) ・ld(x) ……(6) 但し、kf :板材の変形抵抗 QP :圧下力関数 ld :接触弧長 以上が前提条件である。
【0019】さて、式(6)は式(3)、(4)を用い
て変形し、2次以上の微小項を省略すると次の式(7)
のように近似表現できる。
【0020】
【数5】 qWP(x) =(kf −σf (x) )・QAP(x) ……(7) 但し、QAP(x) =ld(0) QP (0) +(Z1 h +Z2
H )(X/Xe )41 、Z2 :定数 更に、式(7)に式(5)を代入して求めた式と、前記
式(1)との間で係数比較すると、式(1)の未定定数
1 、A2 、A3 は次の式(8)のように具体的に求ま
る。
【0021】
【数6】 A1 =(ξEP ld(0) /h(0) +PZ1 /(ld(0) B))Ch ……(8) +(ξEP ld(0) /H(0) +PZ2 /(ld(0) B))CH 2 =0 A3 =2P/B2 (ξEP ld(0) /h(0) +PZ1 /(ld(0) B))Ch ’ +2/B(ξEP ld(0) /H(0) +PZ2 /(ld(0) B))CH ’ 但し、Ch ’=Ch 5 /(80Xe 4 ) CH ’=CH 5 /(80Xe 4 ) P:圧延荷重 すなわち、ワークロール2 と板材間の幅方向荷重分布q
WPを、式(1)の4次多項式(不均一な幅方向荷重分
布)で表示することにより、不均一な幅方向荷重分布q
WPが入側及び出側板クラウン Ch ,CH の関数として求め
られる。
【0022】次に、式(2)の未定定数B1 、B2 、B
3 は、曲げ変形と剪断変形を考慮した梁の変形解析によ
り求まるワークロール2 の軸芯変位量VW (x) とバック
アップロール1 の軸芯変位量VB (x) を用いて、圧延荷
重の釣り合い式と次式(9)に示す各胴長方向位置での
ロール表面変位の適合条件で構成される過剰系連立一次
方程式の最小2乗解として求めることができる。
【0023】
【数7】 F(B/4) =F(Xe ) =F((B+ LB )/4)=F(LB /2) =0 ……(9) 但し、F(X) =VB (x) −VW (x) −aWB(x) +a
WB(0)+(CB (0) +Cw (0) −CB (x) −Cw (x) )
/2 aWB:ワークロール2 の偏平変形量(a2 )とバックア
ップロール1 の偏平変形量(a1 )の和(aWB=a1
2 ) Cw :ワークロール2 のクラウン量 CB :バックアップロール1 のクラウン量 すなわち、ロールに作用する荷重分布を決めると、その
荷重分布の下で、VB、VW 、aWBが定まる。荷重分布
が前記(1)式、(2)式によって与えられると、
1 、A2 、A3 はCh とCH の関数であるから、簡単
な計算(式の展開)を行うと、
【0024】
【数8】 VB =g11×B1 +g12×B2 +g13×B3 +g14W =g21×B1 +g22×B2 +g23×B3 +g24WB=g31×B1 +g32×B2 +g33×B3 +g34 但し、gij=gij(Ch ,CH )となる。
【0025】これらを用いると(9)式は、
【0026】
【数9】 F(x) =f1 ×B1 +f2 ×B2 +f3 ×B3 +f4 ……(a) fi =fi (x,Ch ,CH ) x =B/4 ,X e ,(B+ L B )/4 ,L B /2 となる。
【0027】また、荷重の釣り合い式 ∫qWP(x)dx =
P/2 (積分範囲0からL B /2)より、
【0028】
【数10】 (L B /2)5 ×B1 /5+(L B /2)3 ×B2 /3 +(L B /2)2 ×B3 /2−P/2=0 ……(b) となる。ここで、B1 、B2 、B3 を未知数と考える
と、前記(a)式と(b)式から成る連立方程式は3つ
の未知数に対して式の数が5つあるので過剰系連立方程
式となり、B1 、B2 、B3 は、それぞれについての最
小2乗近似を行うことで容易に解くことができ、
【0029】
【数11】 B1 =b11×Ch +b12×CH +b132 =b21×Ch +b22×CH +b23 ……(c) B3 =b31×Ch +b32×CH +b33 となる。
【0030】この結果、ワークロール2 の軸芯変形量V
W 、および、板材との接触時のワークロール2 の偏平変
形量δは、入出側板クラウン量Ch 、CH の関数として
それぞれVW ( x, Ch ,CH ) 、δ( x, Ch , C H ) と表
され、次式に示す線型の関係式が求まる。
【0031】
【数12】 Ch /2=SW ( 0, Ch , C H ) −SW (Xe , C h , C H ) +(Cw (0) −CW (Xe ) )/2 ……(10) 但し、SW ( x, Ch , C H ) は、ロール胴長方向xにお
ける表面変位(ロール軸心の変位+ロール表面の偏平変
形)であるので、
【0032】
【数13】 SW ( x, Ch , C H ) =VW ( x, Ch ,CH ) −δ( x, Ch , C H ) 前記式(10)を解くことによって出側板クラウンCH
と入側板クラウンChの関係を与えるモデル式(板クラ
ウン予測式)は、次の式(11)のように求められる。
【0033】
【数14】 Ch ={(0.5b1+b2/B)P+b1F }/(0.5-b3/h(0)+b4P) −1/(0.5-b3/h(0)+b4P) ×CWE +(-b3/H(0)+b5P)/(0.5-b3/h(0)+b4P) ×CH ……(11) 但し、CWE=Cw (0) −CW (Xe ) :有効ワークロール
クラウン量 F:ロールバランス力 b1 〜b5 :既知定数 即ち、前記式(11)は、圧延材側の変形状態と圧延ロ
ール1,2 側の変形状態を適合させた場合に導出される出
側板クラウンCh と入側板クラウンCH の関係を示すモ
デル式である。
【0034】ここで重要なことは、ロールに作用する荷
重分布を4次近似して、圧延時の板材の変形状態から荷
重分布を決定し、次にその荷重分布の下でロールの変形
を力学的に求めることによって板クラウン予測モデルを
導出したことである。次に、各パスの出側板厚に応じた
ロールギャップの設定に必要となるロール変形量と圧延
条件の関係を示すモデル式の導出について説明する。
【0035】一般に、ロールギャップの設定には、次式
の示すゲージメータモデル式が用いられる。
【0036】
【数15】 h(Xe ) =S0 +YH +2YRR(Xe ) −2CW (0) −CB (0) ……(12) 但し、h :出側板厚 S0 :スクリュー位置 YH :ハウジング等ロール以外の変形量 YRR:ロール変形量 CW :ワークロール2 のクラウン量 CB :バックアップロール1 のクラウン量 前記式(12)において、ハウジング等ロール以外の変
形量YH を高精度に算出するモデル式については、本発
明者等の1人が既に開示(特開平6−254613号公
報参照)しているため、本発明では、ロール変形量YRR
のモデル式について導出方法を示す。導出に際しての座
標系と前提条件は前記板クラウン予測式の場合と同様で
ある。
【0037】前述したように、圧延材とワークロール2
の間及びバックアップロール1 とワークロール2 の間の
幅方向荷重分布qWP,qWBが入出側の板クラウン Ch ,C
H の関数として求められるので、バックアップロール1
の胴中央の軸芯変形量VB 、ワークロール2 とバックア
ップロール1 間の胴中央の偏平変形量aWB及び圧延材と
ワークロール2 の胴中央の偏平変形量δは、それぞれ VB (LB /2+LCH, Ch ,CH ) 、aWB( 0, Ch ,CH ) 、δ
( 0, Ch , C H ) として定まる。
【0038】従って、圧延荷重時のロールの力学的変形
と圧延の進行に伴うロール表面のプロフィールの変化に
よって生じる上下ワークロール間のロール間隙の変化を
考えれば、ロール変形量YRRのモデル式(ロール変形予
測式)は、次式で求められる。
【0039】
【数16】 YRR(Xe ) =VB (LB /2+LCH, Ch ,CH ) +aWB( 0, Ch ,CH ) +δ( 0, Ch , C H ) −Ch /2 ……(13) 但し、LCH:バックアップロール1 のチョック部の長さ
(片側) 尚、本発明における板クラウン予測式とゲージメータモ
デル式に含まれるワークロール2 とバックアップロール
1 のクラウン量CW 、CB は、圧延によって摩耗および
熱膨張によって次第に変化していくが、これらについて
はモデル式による推定あるいは直接測定等によって既知
であるとの取扱が可能である。
【0040】次に、本発明は、厚板の圧延に際し、パス
スケジュールを決定するとともに、各パスのロールギャ
ップを設定して圧延を行うものであるから、以上のモデ
ル式を用いたパススケジュール決定方法と各パスのロー
ルギャップ設定方法について、以下、説明する。パスス
ケジュール、即ち、各パスの圧延荷重と出側板厚につい
ては、次の〜の手順により決定する。
【0041】 与えられた目標板厚(最終パスの出側
板厚)と目標板クラウン(最終パスの出側板クラウン)
をもとに、最終パスの出側板クラウン比率を求めると共
に、最終パスの圧延荷重を設定する。 別途与えられている圧延荷重予測式(P=B×Qp
×ld×kf )により、最終パスの入側板厚H、即ち、最
終パスの1つ手前のパス(以下、この手前のパスを「該
パス」という)の出側板厚hを求める。
【0042】 前記式(11)で示される板クラウン
予測式により、最終パスの入側板クラウンCH 、即ち、
「該パス」の出側板クラウンCh を求める。 これらの値から最終パスの入側板クラウン比率、即
ち、「該パス」の出側板クラウン比率を求める。 「最終パス」と「該パス」の出側板クラウン比率の
差として求まる板クラウン比率の変化が、形状不感帯域
の所定の設定値を満たすように「該パス」の圧延荷重と
出側板厚とを決定する。
【0043】 前記からの操作を順次繰り返し
て、順次1つ手前のパスの圧延荷重と出側板厚を決定す
る。(このようにして圧延荷重と出側板厚を決定するパ
スを「形状調整パス」という) 前記形状調整パスの圧延荷重が圧延機の最大圧延荷
重を越えた時点で、上記からの操作を中止し、その
形状調整パスの圧延荷重を最大圧延荷重に置き換えるこ
とで(出側板厚はそのまま)、出側板厚と圧延荷重を決
定する。(このようにして決定するパスを「継ぎパス」
という) 以後のパスでは、別途与えられている圧延荷重予測
式と圧延トルク予測式により、圧延機の最大圧延荷重あ
るいは最大圧延トルクのより厳しい方の制約を満足する
ように、圧延荷重と出側板厚を決定する。(このように
して決定するパスを「ミル能力最大パス」という)
【0044】
【数17】ここで、板クラウン比率=板クラウン/板幅
中央位置の板厚 板クラウン比率変化=出側板クラウン比率−入側板クラ
ウン比率 形状不感帯:板クラウン比率変化が生じても波の発生し
ない領域 である。
【0045】次に、各パスのロールギャップ設定方法を
説明する。各パスのロールギャップは、次の〜の手
順により設定される。 当該パスについて、別途与えられている圧延荷重予
測式(P=B×Qp ×ld×kf )から求まる圧延荷重、
前記式(11)で示される板クラウン予測式から求まる
出側板クラウンCh をもとに、前記式(13)のロール
変形式と前記式(12)のゲージメータモデル式を用い
て、パススケジュールで与えられた出側板厚hが実現さ
れるロールギャップになるようにスクリュー位置S0
設定する。 当該パスの実測圧延荷重を基に、板クラウン予測式
(11)から、出側板クラウンCh 、ロール変形式(1
3)とゲージメータモデル式(12)から出側板厚hを
求め、これらを次パスの入側板クラウンCH と入側板厚
Hとして、前記の手順で次パスのロールギャップ、即
ち、スクリュー位置S0 を設定する。 最終パスまで前記、を繰り返す。
【0046】ここで、1パス目については、入出側板厚
H,hが厚く、出側板クラウンChにおよぼす入側板ク
ラウンCH の影響はほとんど無視できるため、入側板ク
ラウンCH =0 とすることができる。
【0047】
【実施例】本発明方法により決定したパススケジュール
と従来法によるそれとの比較を図2に示す。従来法で
は、実圧延データの統計処理によってモデル化した板ク
ラウン予測式を用いた。同図から明らかなように、本発
明法においては、目標板クラウンを満足し、かつ良好な
圧延形状を確保できるパススケジュールとなっている
が、従来法(前記特公平6−2288号公報に記載のも
の)では、板クラウン予測式の誤差のために、目標板ク
ラウンと圧延形状のいずれもが満たされていないパスス
ケジュールであることがわかる。
【0048】また、図3は、本発明法と従来法に用いる
ゲージメータ式の精度を比較したものであが、本発明方
法におけるそれは極めて高精度であることがわかる。こ
のことから、本発明のゲージメータ式(12)を用いる
ことによって、各パスのロールギャップ設定が高精度に
行えることがわかる。なお、従来法のゲージメータ式
(例えば、YH +2YRR(Xe )=M/P 但しM:定
数)は、板クラウン予測式と同様に統計モデル式であ
る。
【0049】以上のことから、本発明による厚板圧延法
によって、目標の板厚、板クラウンを満足し且つ良好な
圧延形状を確保することが可能であることが明らかであ
る。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、圧延材一本毎に目標の
板厚、板クラウンを満足し且つ良好な圧延形状を確保す
ために、各パスのロールギャップを高精度に設定するこ
とが可能になり、板厚、板クラウン、圧延形状の大幅な
改善が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モデル式導出のためのロールの座標系を示す説
明図である。
【図2】本発明方法により決定したパススケジュールと
従来法によるそれとの比較図である。
【図3】本発明法と従来法に用いるゲージメータ式の精
度比較図である。
【符号の説明】
1 バックアップロール 2 ワークロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 信太郎 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 安楽 桂馬 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚板の圧延に際して、パススケジュール
    を求めるとともに、該パススケジュールに従い各パスの
    ロールギャップを設定して圧延する厚板圧延方法におい
    て、 圧延材とワークロールの間、及び、該ワークロールとバ
    ックアップロールの間の幅方向荷重分布をいずれも4次
    以上の多項式で表示し、圧延材側の変形状態と圧延ロー
    ル側の変形状態を適合させた場合に導出されるロール変
    形量と圧延条件の関係を示すロール変形モデル式を用い
    て、各パスの出側板厚に応じたロールギャップを設定し
    て、圧延を行うことを特徴とする厚板圧延方法。
JP22549895A 1995-09-01 1995-09-01 厚板圧延方法 Ceased JP3406430B2 (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20020050348A (ko) * 2000-12-21 2002-06-27 이구택 두께 예측 모델식을 활용한 패스라인 계산방법 및 조정장치
JP2007130667A (ja) * 2005-11-10 2007-05-31 Nippon Steel Corp 平坦度の高い厚鋼板の製造方法
JP2015030035A (ja) * 2013-08-07 2015-02-16 株式会社神戸製鋼所 板クラウン予測モデルの決定方法

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