JPH0965885A - エピモルフィン改変体 - Google Patents
エピモルフィン改変体Info
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- JPH0965885A JPH0965885A JP8099684A JP9968496A JPH0965885A JP H0965885 A JPH0965885 A JP H0965885A JP 8099684 A JP8099684 A JP 8099684A JP 9968496 A JP9968496 A JP 9968496A JP H0965885 A JPH0965885 A JP H0965885A
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Abstract
しかも調製及び精製が容易なエピモルフィン改変体及び
その変異体を提供すること。 【解決手段】 N末端側にコイルドコイル領域(1)、
中央部に機能ドメイン(2)、C末端側にコイルドコイ
ル領域(3)、及びC末端部に疎水性領域を有するエピ
モルフィンの全長から、C末端部の疎水性領域が削除さ
れていると共に、コイルドコイル領域(1)及び(3)
のうちの少なくとも一方の末端側から少なくとも一部の
アミノ酸が削除された構造のポリペプチドからなること
を特徴とするエピモルフィン改変体。該エピモルフィン
改変体のアミノ酸配列に、アミノ酸の部分的な置換、欠
失または挿入がなされた変異エピモルフィン改変体。ヒ
ト及びマウスエピモルフィン改変体及びその変異体をコ
ードするDNA、組換えベクター、形質転換体、及びエ
ピモルフィン改変体またはその変異体の製造方法。
Description
し、上皮組織の形態形成を制御するポリペプチドである
エピモルフィンを改変したエピモルフィン改変体に関
し、さらに詳しくは、上皮組織の形態形成異常に起因す
る疾患の診断法・治療法の開発、あるいは新たな創傷治
癒薬等の開発等に有用なエピモルフィン改変体、及びそ
の変異体に関する。また、本発明は、このようなエピモ
ルフィン改変体及びその変異体をコードするDNA、該
DNAを含有する組換えベクター、該組換えベクターを
導入した形質転換体、及び該形質転換体を用いたエピモ
ルフィン改変体またはその変異体の製造方法に関する。
なお、変異体とは、エピモルフィン改変体の元の配列が
有する機能を実質的に保持する程度において、そのアミ
ノ酸配列に、アミノ酸の部分的な置換、欠失または挿入
がなされた配列をいう。
胞由来の因子による制御を受けていること、また、上皮
組織の形態形成異常に起因する疾患の多くは、そのまわ
りに存在する間充織細胞が原因となることから、古くか
ら間充織細胞が上皮組織の形態形成を支持するメカニズ
ムについて研究がなされている。しかしながら、上皮組
織の形態形成を制御する分子の単離及びその解析は、研
究対象が複雑な系の中で時間的及び空間的な制限を受け
て発現する物質のために、単純化された実験系を作るこ
とができず、今日まで大きな進展は見られていない。上
皮組織の形態形成異常に起因する疾患の診断法・治療法
の開発のためには、このような上皮組織の形態形成を制
御する分子の単離、精製、構造解析等が不可欠の前提で
あり、当該物質の単離、精製、構造解析を早期に達成す
ることが、当該分野における重要課題となっていた。
は上皮組織の形態形成を制御する分子の単離に成功し、
当該分子をエピモルフィン(Epimorphin)と
命名した(特開平6−25295号公報)。本発明者ら
は、ヒト及びマウスのエピモルフィンの配列を決定する
ことに成功したが、エピモルフィンには、それぞれの遺
伝子のスプライシングにより、各々少なくとも3種のタ
イプが存在する。特開平6−25295号公報に示され
ているように、ヒトエピモルフィンには、288個の
アミノ酸からなるヒトエピモルフィン、287個のア
ミノ酸からなるヒトエピモルフィンのアイソフォーム
A、及び277個のアミノ酸からなるヒトエピモルフ
ィンのアイソフォームBが存在する。同様に、マウスエ
ピモルフィンには、289個のアミノ酸からなるマウ
スエピモルフィン、288個のアミノ酸からなるマウ
スエピモルフィンのアイソフォームA、及び279個
のアミノ酸からなるマウスエピモルフィンのアイソフォ
ームBが存在する。
は、生体内で複雑な高次構造を取り、かつ、C末端に存
在する疎水性の非常に強い領域で細胞膜と結合している
ため、活性を高いレベルで保持したまま分離、精製する
ことは困難であった。細胞膜結合部分が存在すると、培
養動物細胞により産生させたエピモルフィンを培養液中
に分泌させて、分離、精製することが困難である。その
ため、本発明者らは、C末端の疎水性の非常に強い領域
を取り除く方法を提案したが(特開平6−25295号
公報)、この方法は、高活性の維持と可溶性との両立の
点で、いまだ不十分であった。
し、しかも調製及び精製が容易なエピモルフィン改変体
を得ることができるならば、上皮組織の形態異常に起因
する疾患の発症機序の解明と治療法の開発などに有用で
ある。このようなエピモルフィン改変体は、火傷や手術
後の各種組織の治療、あるいは人工臓器等に直接利用す
ることができるほか、化粧品、育毛剤等の成分としても
利用可能である。
モルフィンの生理活性を高度に保持し、しかも調製及び
精製が容易なエピモルフィン改変体及びその変異体を提
供することにある。本発明の他の目的は、エピモルフィ
ン改変体及びその変異体をコードするDNA、該DNA
を含有する組換えベクター、該組換えベクターを導入し
た形質転換体、及び該形質転換体を用いたエピモルフィ
ン改変体またはその変異体の製造方法を提供することに
ある。
服するために鋭意研究した結果、C末端の疎水性部分が
削除されたエピモルフィンポリペプチドからコイルドコ
イル領域の少なくとも一部を削除することにより、生理
活性を高めることができ、その結果、生理活性と可溶性
とのバランスを所望のものにすることができることを見
いだした。この方法によれば、エピモルフィンの高次構
造や活性に悪影響を及ぼすことなく、上皮組織の形態形
成異常に起因する疾患の診断法・治療法の開発、あるい
は新たな創傷治癒薬等の開発のために有効なエピモルフ
ィン改変体を得ることができる。本発明は、これらの知
見に基づいて完成するに至ったものである。
ば、N末端側にコイルドコイル領域(1)、中央部に機
能ドメイン(2)、C末端側にコイルドコイル領域
(3)、及びC末端部に疎水性領域を有するエピモルフ
ィンの全長から、C末端部の疎水性領域が削除されてい
ると共に、コイルドコイル領域(1)及び(3)のうち
の少なくとも一方の末端側から少なくとも一部のアミノ
酸が削除された構造のポリペプチドからなることを特徴
とするエピモルフィン改変体が提供される。
ミノ酸配列にアミノ酸の部分的な置換、欠失または挿入
がなされた変異体(変異エピモルフィン改変体)であっ
てもよい。また、本発明によれば、前記エピモルフィン
改変体及びその変異体をコードするDNA、該DNAを
含有する組換えベクター、該組換えベクターを導入した
形質転換体、及び該形質転換体を用いたエピモルフィン
改変体またはその変異体の製造方法が提供される。
と、以下のとおりである。 1.N末端側からコイルドコイル領域(1)の少なくと
も一部のアミノ酸が削除された構造のポリペプチドから
なる前記のエピモルフィン改変体。 2.少なくとも機能ドメイン(2)を有する前記のエピ
モルフィン改変体。 3.エピモルフィンが、ヒトエピモルフィンである前記
のエピモルフィン改変体。 4.コイルドコイル領域(1)のN末端から1個以上2
8個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリペプ
チドからなる第3項に記載のエピモルフィン改変体。 5.コイルドコイル領域(1)のN末端から29個以上
77個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリペ
プチドからなる第3項に記載のエピモルフィン改変体。 6.コイルドコイル領域(1)のN末端から78個以上
103個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリ
ペプチドからなる第3項に記載のエピモルフィン改変
体。
ィンである前記のエピモルフィン改変体。 8.コイルドコイル領域(1)のN末端から1個以上2
9個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリペプ
チドからなる第7項に記載のエピモルフィン改変体。 9.コイルドコイル領域(1)のN末端から30個以上
78個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリペ
プチドからなる第7項に記載のエピモルフィン改変体。 10.コイルドコイル領域(1)のN末端から79個以
上104個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポ
リペプチドからなる第7項に記載のエピモルフィン改変
体。 11.配列表の配列番号9ないし11、及び配列番号1
1の1〜84位のいずれか1つのアミノ酸配列で示され
るヒトエピモルフィン改変体。 12.配列表の配列番号12ないし14、及び配列番号
14の1〜84位のいずれか1つのアミノ酸配列で示さ
れるマウスエピモルフィン改変体。
ノ酸配列に、該エピモルフィン改変体の元の配列が有す
る機能を保持する程度に、部分的なアミノ酸の置換、欠
失または挿入がなされた変異エピモルフィン改変体。 14.前記のエピモルフィン改変体をコードするDN
A。 15.前記の変異エピモルフィン改変体をコードするD
NA。 16.配列表の配列番号1ないし3のいずれか1つの塩
基配列で示されるヒトエピモルフィン改変体をコードす
るDNA。 17.配列表の配列番号5ないし7のいずれか1つの塩
基配列で示されるマウスエピモルフィン改変体をコード
するDNA。 18.第14項または第15項に記載のDNAを含有
し、ポリペプチドとして発現させることが可能な組換え
ベクター。
ポリペプチドとして発現させることが可能な組換えベク
ター。 20.第18項に記載の組換えベクターを導入した形質
転換体。 21.第19項に記載の組換えベクターを導入した形質
転換体。 22.形質転換体がE.coliである第20項に記載
の形質転換体。 23.形質転換体がE.coliである第21項に記載
の形質転換体。 24.第17項に記載のDNAを含有し、ポリペプチド
として発現させることが可能な組換えベクター。 25.第24項に記載の組換えベクターを導入した形質
転換体。 26.形質転換体がE.coliである第25項に記載
の形質転換体。 27.第20項に記載の形質転換体を用いたエピモルフ
ィン改変体または変異エピモルフィン改変体の製造方
法。 28.第21項に記載の形質転換体を用いたヒトエピモ
ルフィン改変体の製造方法。 29.第25項に記載の形質転換体を用いたマウスエピ
モルフィン改変体の製造方法。
エピモルフィンは、胎児期の上皮形成に必要な間充織細
胞膜分子であり、生体組織の構築にも関与していると推
定される。エピモルフィンは、各種の胎児組織の正常な
上皮形成を阻害するモノクローナル抗体MC−1〔Ce
ll,Vol.69,p.471−481(199
2)〕により認識される抗原分子として同定された膜タ
ンパク質である。エピモルフィンは、上皮組織を取り巻
く間充織細胞中に存在しており、上皮組織の形態形成を
制御する等の機能を有している。このようなエピモルフ
ィンは、通常、複雑な立体構造をとりながら、その分子
中のC末端の疎水性領域により細胞膜と結合した形で機
能している。エピモルフィンのcDNAから予測される
物質は、分子量が約33kDaの分子であるが、生体内
において、この分子は、SDS耐性の複合体を複数種形
成し、そのうちの分子量が約150kDaの物質が細胞
外に分泌してモノクローナル抗体MC−1によって認識
されることが判明している。
するアミノ酸配列をコンピューター解析した結果、図1
に示すように、エピモルフィンは、構造上大きく4個の
フラグメントに分けられることを見いだした。すなわ
ち、エピモルフィンの全長を構成するポリペプチドは、
N末端側より、コイルドコイル領域(1)、機能ドメイ
ン(2)、コイルドコイル領域(3)、及びC末端の疎
水性領域に分けることができる。C末端の疎水性領域
(膜貫通ドメイン)を除いた領域は、疎水性アミノ酸が
規則正しく並んで(heptad repeats)、
いわゆるコイルドコイル構造を取りやすいN,C両末端
のフラグメント〔コイルドコイル領域(1)及び
(3)〕と、それらとほぼ同じ大きさの中央のフラグメ
ント(2)から構成される。このフラグメント(1)及
び(3)は、各々さらに細かく、4つのサブフラグメン
トに分離可能なことを見いだした。図2にフラグメント
(1)の詳細について示す。
ン、エピモルフィンのアイソフォームA、及びアイソフ
ォームBに共通して、フラグメント(1)は、N末端か
らアミノ酸103個目までの領域であり、フラグメント
(2)は、N末端からアミノ酸104個目から187個
目までの領域であり、フラグメント(3)は、N末端か
らアミノ酸188個目からC末端の疎水性領域の直前ま
での領域である。C末端の疎水性領域は、一般に、アミ
ノ酸23〜24個程度から構成される。
ン、エピモルフィンのアイソフォームA、及びアイソフ
ォームBに共通して、フラグメント(1)は、N末端か
らアミノ酸104個目までの領域であり、フラグメント
(2)は、N末端からアミノ酸105個目から188個
目までの領域であり、フラグメント(3)は、N末端か
らアミノ酸189個目からC末端の疎水性領域の直前ま
での領域である。C末端の疎水性領域は、一般に、アミ
ノ酸23〜24個程度から構成される。
グメント(2)が機能ドメインであることが判明した。
エピモルフィンの中央部領域に機能ドメインが存在する
ことは、フラグメント(2)やフラグメント(23)、
フラグメント(123)などのフラグメント(2)を含
む各フラグメントと、フラグメント(13)などのフラ
グメント(2)を含まないフラグメントを作成し、それ
ぞれのモノクローナル抗体MC−1との反応性、細胞接
着能、あるいはサイトカインGM−CSFの分泌量を測
定することにより判定することができる。
ト(23)が、モノクローナル抗体MC−1と強い反応
性を示すことが分かっている。モノクローナル抗体MC
−1は、生体内でエピモルフィンの活性を阻害すること
が判明しているので、この中央フラグメント(2)がエ
ピモルフィンの生理活性と密接にかかわっていると推定
できる。
に溶解した各フラグメントをそれぞれ細胞培養用に処理
されていないディッシュ(dish)にコートし、8M
尿素とPBS(リン酸緩衝生理食塩水)にて十分に洗浄
して、各フラグメントを薄く均一にコートし、この上で
上皮細胞等を培養し、その応答性を調べることにより判
定することができる。中央フラグメント(2)をコート
したディッシュのみに、種々の上皮細胞が速やかに接着
することが分かった。この接着現象は、モノクローナル
抗体MC−1を添加することにより阻害される。つま
り、中央フラグメント(2)の部分が直接細胞に作用す
ることが明らかになっている。
が機能ドメインであることは、次の事実からも明らかで
ある。すなわち、特開平6−25295号公報に示され
ているように、エピモルフィンは、上皮組織の形態形成
を促進させる機能をもつが、このことは、分子生物学的
にみると、エピモルフィンが細胞の核内に何らかのシグ
ナルを伝達しているということである。このことを定量
的に確認するには、例えば、細胞が分泌する物質がエピ
モルフィンの投与により増減する現象を定量的に評価す
ればよい。後記の実施例4に示すように、フラグメント
(2)及びフラグメント(123)などのフラグメント
(2)を含む各フラグメントを作用させることにより、
細胞(例:C3H/10T1/2 clone 8細
胞)が分泌するサイトカインのGM−CSF(顆粒球−
マクロファージ−コロニー刺激因子)の分泌量が大幅に
増大することが確認されている。
ピモルフィンの機能ドメインであることは明らかであ
る。本発明では、エピモルフィンの機能ドメインの機能
について、細胞接着性、抗体MC−1との反応性、
及びGM−CSFの分泌量の変化により確認してい
る。エピモルフィン改変体やその変異体がエピモルフィ
ンが有する機能を実質的に保持しているか否かは、これ
らの機能〜の少なくとも一つを有することを指標と
して容易に確認することができる。ただし、これら〜
は、エピモルフィンの機能の例示であって、エピモル
フィン及びフラグメント(2)の機能は、これらに限定
されるものではない。
ン活性を利用して、各種用途に適用することが期待され
る。しかし、機能ドメイン(2)は、生理的溶液に対し
て殆ど溶けないものである。エピモルフィン全長からC
末端部の疎水性領域を削除すると、生理的溶液に対して
可溶性のポリペプチドを得ることができるが、活性の弱
いものである。
可溶性について詳細に解析を進めた結果、フラグメント
(123)は可溶性であるが、活性は極めて弱く、逆
に、フラグメント(23)は、不溶性であるが高活性で
あることを見いだした。このことから、本発明者らは、
フラグメント(1)の働きについて、以下のような仮説
を立てた。すなわち、フラグメント(1)は、活性につ
いては、機能ドメインをマスクするなどの作用によりネ
ガティブに働くが、可溶性の面では、フラグメント(2
3)の高次構造を変化させるなどの作用により、増大さ
せる働きを持っている。
に、エピモルフィン全長からC末端部の疎水性領域を
削除したフラグメント(123)のN末端からアミノ酸
を28個(ヒトエピモルフィンの場合)または29個
(マウスエピモルフィンの場合)を削除した2Mフラグ
メント、フラグメント(123)のN末端からアミノ
酸を77個(ヒトエピモルフィンの場合)または78個
(マウスエピモルフィンの場合)を削除した3Mフラグ
メント、及びフラグメント(123)のN末端からフ
ラグメント(1)を削除したフラグメント(23)を作
成し、各特性を解析した。
に、N末端から削除するアミノ酸の数を増やすことによ
り、活性が上昇し、一方では、可溶性が減少するという
関係が明らかになった。したがって、C末端部の疎水性
領域が削除されているエピモルフィンペプチドの活性と
可溶性の調節は、N末端から削除するアミノ酸の数の増
減により、コントロールできることが判明した。
形態形成異常に起因する疾患の診断法・治療法の開発、
あるいは新たな創傷治癒薬等の開発のために、活性と可
溶性を制御できるエピモルフィン改変体の提供が可能と
なった。すなわち、より活性を重視する場合には、N末
端から削除するアミノ酸の数を増やしたフラグメントを
作成すればよい。ヒトエピモルフィンの場合、活性の高
いエピモルフィン改変体を得るには、N末端より78個
以上103個までの範囲のアミノ酸が削除された構造の
ポリペプチド、より好ましくは、N末端より91個以上
103個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリ
ペプチドを作成すればよい。マウスエピモルフィンの場
合には、活性の高いエピモルフィン改変体を得るには、
N末端より79個以上104個までの範囲のアミノ酸が
削除された構造のポリペプチド、より好ましくは、N末
端より92個以上104個までの範囲のアミノ酸が削除
された構造のポリペプチドを作成すればよい。例えば、
フラグメント(23)を用いればよい。
ら削除するアミノ酸の数を少なくしたフラグメントを作
成すればよい。ヒトエピモルフィンの場合、可溶性の高
いエピモルフィン改変体を得るには、N末端より1個以
上28個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリ
ペプチド、より好ましくは、N末端より14個以上28
個までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリペプチ
ドを作成すればよい。マウスエピモルフィンの場合に
は、可溶性の高いエピモルフィン改変体を得るには、N
末端より1個以上29個までの範囲のアミノ酸が削除さ
れた構造のポリペプチド、より好ましくは、N末端より
14個以上29個までの範囲のアミノ酸が削除された構
造のポリペプチドを作成すればよい。例えば、フラグメ
ント(2M)を用いればよい。
保持されたフラグメントが使いたい場合には、N末端か
ら削除するアミノ酸の数が上記の中間に位置するフラグ
メントを作成すればよい。ヒトエピモルフィンの場合に
は、N末端より29個以上77個までの範囲のアミノ酸
が削除された構造のポリペプチド、より好ましくは、N
末端より61個以上77個までの範囲のアミノ酸が削除
された構造のポリペプチドを作成すればよい。マウスエ
ピモルフィンの場合には、N末端より30個以上78個
までの範囲のアミノ酸が削除された構造のポリペプチ
ド、より好ましくは、N末端より62個以上78個まで
の範囲のアミノ酸が削除された構造のポリペプチドを作
成すればよい。例えば、フラグメント(3M)を用いれ
ばよい。
体は、目的や用途によりその構造を変化させて、使い分
けることがきる。したがって、本発明のエピモルフィン
改変体を使用すれば、上皮組織の形態形成異常に起因す
る疾患の診断法・治療法の開発、あるいは新たな創傷治
癒薬等の開発を、より効率的に進めることが可能とな
る。エピモルフィンは、約280個のアミノ酸からなる
タンパク質であり、マウスエピモルフィンは、例えば、
モデル動物を用いた上皮組織の形態形成異常に起因する
疾患の発生メカニズムの解明等に有用である。ヒトエピ
モルフィンは、例えば、上記の疾患の診断・治療等に有
用である。これらの分子は、上皮組織を取り巻く間充織
細胞中に存在しており、上皮組織の形態形成を制御する
等の機能を有している。
除する方法としては、生化学的手法や遺伝子工学的手法
等の方法を採用することができる。生化学的手法を用い
た方法としては、エピモルフィンを化学的あるいは物理
的に切断し、上記フラグメントを得ることができる。遺
伝子工学的手法を用いた方法としては、各フラグメント
のエピモルフィンをコードするcDNAを適当なベクタ
ーに組み込んで宿主中で発現させる方法を例示すること
ができる。具体的な方法としては、例えば、次に示すよ
うな手法が簡便なものとして利用できる。
DNA(A)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により
合成し、一方、作成するエピモルフィンのN末端、C末
端の10ないし20塩基がつながった一本鎖DNA(B
およびC)を各々DNA合成装置により作成する。次
に、(A)をテンプレートとし、(B)及び(C)をプ
ライマーとし、PCRにより目的のエピモルフィン改変
体をコードする二本鎖DNAを得る。
造を備えたベクター、例えば、pET3C(RIKEN
DNA Bank RDB519)等に組み込み、組
換えベクターを作成する。次にこの組換えベクターを適
当な宿主、例えば、BL21(RIKEN DNA B
ank RDB022)等に導入し、形質転換体を得
る。さらに、この形質転換体を大量に増殖させた後、発
現を誘導する処置、例えば、IPTGを培地中に終濃度
1mMになるよう添加する等を行い、目的のエピモルフ
ィン改変体を得る。
フラグメント(2M)、(3M)、(23)、(2)、
及び(123)をコードするDNA配列が示されてい
る。配列番号1は、ヒトエピモルフィンのフラグメント
(2M)のDNA配列、配列番号2は、ヒトエピモルフ
ィンのフラグメント(3M)のDNA配列、配列番号3
は、ヒトエピモルフィンのフラグメント(23)のDN
A配列、そして、配列番号4は、ヒトエピモルフィンの
フラグメント(123)のDNA配列である。配列番号
3のフラグメント(23)のDNA配列の1位から25
2位までがフラグメント(2)のDNA配列である。
グメント(2M)、(3M)、(23)、及び(12
3)をコードするDNA配列が示されている。配列番号
5は、マウスエピモルフィンのフラグメント(2M)の
DNA配列、配列番号6は、マウスエピモルフィンのフ
ラグメント(3M)のDNA配列、配列番号7は、マウ
スエピモルフィンのフラグメント(23)のDNA配
列、そして、配列番号8はマウスエピモルフィンのフラ
グメント(123)のDNA配列である。配列番号7の
フラグメント(23)の1位から252位までがフラグ
メント(2)のDNA配列である。
メント(2M)、(3M)、(2)及び(23)のアミ
ノ酸配列が示されている。配列番号9は、ヒトエピモル
フィンのフラグメント(2M)のアミノ酸配列、配列番
号10は、ヒトエピモルフィンのフラグメント(3M)
のアミノ酸配列、そして、配列番号11は、ヒトエピモ
ルフィンのフラグメント(23)のアミノ酸配列であ
る。配列番号11のフラグメント(23)の1位から8
4位までがフラグメント(2)のアミノ酸配列である。
グメント(2M)、(3M)、(2)及び(23)のア
ミノ酸配列が示されている。配列番号12は、マウスエ
ピモルフィンのフラグメント(2M)のアミノ酸配列、
配列番号13は、マウスエピモルフィンのフラグメント
(3M)のアミノ酸配列、そして、配列番号14は、マ
ウスエピモルフィンのフラグメント(23)のアミノ酸
配列である。配列番号14のフラグメント(23)の1
位から84位までがフラグメント(2)のアミノ酸配列
である。
体を用いることにより、医療をはじめとする種々の用
途、例えば、火傷や手術後の各種組織の治療や人工臓器
等に直接利用できる。また、化粧品、育毛剤等の成分と
しても利用できるなどの利点を有する。本発明のエピモ
ルフィン改変体は、実質的にエピモルフィン活性を保持
している限り、そのアミノ酸配列中に、部分的なアミノ
酸の置換、欠失または挿入がなされた変異体であっても
よい。部分的なアミノ酸の置換、欠失または挿入は、そ
れぞれ単独でなされてもよいが、これらが組み合わされ
たものであってもよい。部分的なアミノ酸の置換、欠失
または挿入がなされるアミノ酸配列の箇所(変異箇所)
は、通常、エピモルフィンの機能ドメイン(2)を含む
ポリペプチドのアミノ酸配列である。この変異箇所は、
エピモルフィンの機能ドメイン(2)のアミノ酸配列で
あってもよい。このような変異体自体は、常法により容
易に作成することが可能である。一般に、蛋白質のアミ
ノ酸配列の一部を置換、欠失または挿入させて、該蛋白
質の変異体を得ること自体は、公知の技術であり、例え
ば、[PCR実験マニュアル」(1991年、HJB出
版局)第155〜160頁に記載されているリコンビナ
ントPCR法や「実験医学増刊Vol.8.No.9」
(1990、羊土社)第63〜67頁に記載されている
PCRを使った変異遺伝子の作製法により行うことがで
きる。本発明の変異エピモルフィン改変体は、細胞接着
性などのエピモルフィン改変体が有する機能を実質的に
保持しているものであることが好ましい。
体的に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定
されるものではない。
大日本製薬(株)で販売しているC3H/10T1/2
clone8(コード番号08−226)を購入し、説
明書通りに培養した。 (2)RNAの調製 RNAの調製には、ライフテックオリエンタル(株)で
販売しているTRIzol Reagent(Cat.
No.15596−026)を用いた。製品に添付され
ているプロトコルに従いRNAを調製した。調製後のR
NAは、ライフテックオリエンタル(株)製ampli
fication grade DNaseI(Ca
t.No.8068SA)で、製品添付のプロトコル通
り処理した。
cDNAの調製 調製したRNAを元にして宝酒造(株)が販売している
RNA PCR kit(Cat.No.R012)を
用いて、製品添付のプロトコル通り逆転写酵素反応を行
った。次に、エピモルフィンcDNAのみを増幅するた
めにエピモルフィン特異的上流プライマーと下流プライ
マー(5′ATGCGGGACCGGCTG3′及び
5′TCATTTGCCAACCGA3′)を用いて、
製品添付のプロトコル通りPCRを行い、エピモルフィ
ンcDNAを得た。エピモルフィン特異的上流プライマ
ーと下流プライマーは、ベックス(株)に製造を委託し
た。
(3M)、(23)、及び(123)をコードするcD
NAに関し、各々のフラグメント特異的なプライマーの
塩基配列を配列表の配列番号1(ヒト:2M)、配列番
号2(ヒト:3M)、配列番号3(ヒト:23)、及び
配列番号4(ヒト:123)より求めた。そして、上流
プライマーの5′側に制限酵素NdeIサイト(5′C
ATATG3′)を、また、下流プライマーの5′側に
制限酵素NheIサイト(5′GCTAGC3′)を付
加したプライマーを、ベックス(株)より購入した。同
様に、マウスエピモルフィンのフラグメント(2M)、
(3M)、(23)、及び(123)をコードするcD
NAに関し、各々のフラグメント特異的なプライマーの
塩基配列を配列表の配列番号5(マウス:2M)、配列
番号6(マウス:3M)、配列番号7(マウス:2
3)、及び配列番号8(マウス:123)より求めた。
そして、上流プライマーの5′側に制限酵素NdeIサ
イト(5′CATATG3′)を、また、下流プライマ
ーの5′側に制限酵素NheIサイト(5′GCTAG
C3′)を付加したプライマーを、ベックス(株)より
購入した。各々のプライマーのペアを用いて、PCRに
より、各フラグメントを得た。PCRは、宝酒造(株)
が販売しているTakara Taq(Cat.No.
R001A)を用いて、製品添付のプロトコル通りに行
った。
えば、pET3C(RIKEN DNA Bank R
DB519)の2つのEcoRVサイトの間の領域を欠
失させたものに、一般的な方法、例えば、「ラボマニュ
アル遺伝子工学」p.111〜114〔丸善(株)、1
988〕に記載されている方法によって組み込み、組換
えベクターを作成した。次に、このベクターを宿主であ
るBL21(RIKEN DNA BankRDB02
2)に、「ラボマニュアル遺伝子工学」p.108〜1
09に記載されているHanahan法により導入し、
形質転換体を得た。
Bacto tryptone、0.5%Bacto−
yeast extract、1%NaCl、1.5%
Bacto−agar)上で生育してくるコロニーを選
ぶことで、形質転換体の1次スクリーニングとした。さ
らに、組換えベクターを有する形質転換体の最終確認と
して、形質転換体に含まれる組換えベクターをテンプレ
ートとし、目的のエピモルフィン改変体特異的な上流プ
ライマーと下流プライマーを用いてPCRを行い、エピ
モルフィンcDNAの有無を確認した(この時点で10
ケ中9ケのクローンに該DNAがあった)。得られた形
質転換体は、50μg/mlアンピシリンを含む液体L
B培地(1%Bacto tryptone、0.5%
Bacto−yeast extract、1%NaC
l)で37℃で振盪培養により、大量に増殖させた後、
発現を誘導するための物質IPTGを培地中に終濃度1
mMになるように添加し、その後2時間、37℃で振盪
培養を続け、種々のヒト及びマウスエピモルフィン改変
体を大腸菌内で作成させた。大腸菌内の全タンパク質を
SDS−PAGEの電気泳動で解析した所、すべてのエ
ピモルフィン改変体がほぼ当量作成されていることがわ
かった。
の可溶性の検討 実施例1により調製した、ヒト及びマウスエピモルフィ
ン改変体を発現させた形質転換体をLysisバッファ
ー〔50mM Tris−HCl(pH8.0)、1m
M EDTA、100mM NaCl〕に懸濁して洗
い、遠心操作により菌体を沈澱させ、Lysisバッフ
ァーに懸濁後、Lysozyme(SIGMA L−6
876)を1mg/mlになるよう添加し、凍結融解を
3回繰り返して大腸菌を溶菌させ、超音波処理を行っ
た。その後、遠心で上清を除き、沈澱を2MUrea/
Lysisバッファーで4回洗った後、8MUrea/
Lysisバッファーに再懸濁し、遠心操作で上清画分
を得た。得られた上清画分を過剰量のPBSバッファー
に対して透析し、さらに遠心操作により上清と沈澱画分
に分離し、各々の画分に存在する種々のエピモルフィン
改変体の割合により可溶性を検討するため、SDS−P
AGEの電気泳動で解析した。その結果、図3に示した
ように、エピモルフィンポリペプチドのN末端から削除
するアミノ酸の数が多くなればなるほど溶けにくくなる
傾向が見られた。
の活性の検討 エピモルフィン改変体の活性評価の指標として、培養細
胞との結合性について検討した。実施例2で調製したエ
ピモルフィン改変体(8MUrea/Lysisバッフ
ァーに懸濁しているもの)を浮遊培養用ディッシュに塗
布し、乾燥後、8MUrea/Lysisバッファーで
1回洗った。その後PBSでディッシュを5回洗い、培
養細胞−C3H/10T1/2clone8(大日本製
薬(株) 08−226)をBSA(SIGMA−A−
7030)が20mg/ml添加されたD−MEM/F
−12培地(SIGMA D8900)を用い、ディッ
シュにまいた。1時間、1日後に、各々ディッシュをP
BSで3回荒い、次いで、0.5NNaOHを用いて細
胞を溶かした後、溶液を回収して更に超音波処理を行っ
た。その後、該溶液中のDNA量を分光光度計で測定す
ることによりディッシュに結合した細胞数を測定し、各
々のエピモルフィン改変体の活性評価の指標とした。結
果を図3に示すが、活性の程度は可溶性と反対の傾向を
示した。
分泌量測定 1. エピモルフィンのフラグメント(2)及び(12
3)のN末端にヒスチジンが6個連続したタグを付加し
たフラグメント(H2)及び(H123)を、それぞれ
以下のようにして作製した。ヒスチジンタグの付加は、
可溶性を更に高めるためと、精製目的のために行った。
ヒスチジンタグの付加による機能への影響はない。 (A):マウスエピモルフィンのフラグメント(2)を
コードするcDNA。 (B):(A)のセンス鎖の5′末端の10ないし20
塩基である一本鎖DNAに、該一本鎖DNAの5′末端
に制限酵素NdeIを認識する塩基配列、及びヒスチジ
ンをコードする塩基配列をつなげた一本鎖DNA。 (C):(A)のアンチセンス鎖の5′末端側の10な
いし20塩基である一本鎖DNAに、該一本鎖DNAの
5′末端に制限酵素NheIを認識する塩基配列をつな
げた一本鎖DNA。
により作成した。 (2)(A)をテンプレートとし、(B)及び(C)を
プライマーとして、PCR法により二本鎖DNAを得
た。これにより、(A)の塩基配列の5′側に6個のヒ
スチジンをコードする塩基配列をもち、さらに5′末端
にNdeIサイト、3′末端にNheIサイトをもつ二
本鎖DNAを得た。 (3)得られた二本鎖DNAを、pET3Cの2つのE
coRVサイト側の領域を欠失させたもののNdeI、
NheIサイトに組み込み、組換えベクターを作成し
た。次に、このベクターを宿主である大腸菌BL21に
Hanahan法により導入した。 (4)この大腸菌を、50μg/mlアンピシリンを含
むLBプレート(1%Bacto tryptone、
0.5%Bacto yeast extraxt、1
%NaCl、1.5%Bacto agar)上に巻き
込み、37℃で一晩培養した。
ターを有する形質転換体であることの確認として、通常
のPCR法を行い、目的の変異エピモルフィン改変体を
コードするDNAを増幅した後、アガロースゲル電気泳
動法でそのバンドを確認する操作を行った。 (6)得られた形質転換体は、50μg/mlアンピシ
リンを含む液体LB培地で37℃で振盪培養により、大
量に増殖させた後、発現を誘導するための物質IPTG
を培地中に終濃度1mMになるように添加し、その後2
時間振盪培養を続け、種々の変異エピモルフィン改変体
を大腸菌内で作成させた。 (7)(6)の大腸菌をLysisバッファーに懸濁し
て洗い、遠心操作により菌体を沈殿させ、上清を捨てた
後、再度回収し、Lysisバッファーに懸濁後Lyz
ozymeを1mg/mlになるように添加し、凍結融
解を3回繰り返して大腸菌を溶菌させ、超音波処理を行
った。その後、遠心操作で上清を除き、沈殿を2MUr
ea/Lysisバッファーで4回洗った後、8MUr
ea/Lysisバッファーに再懸濁し、遠心操作で上
清画分を得た。
−Agarose(Cat.No.30230)を用い
て、上清画分に含まれるフラグメント(H2)を添付の
プロトコールに従って精製した。フラグメント(H12
3)についても、同様に調製し、精製した。 2. フラグメント(H2)及び(H123)をそれぞ
れ8M Urea/Lysisバッファーを用いて、
0.5μg/μlの濃度に調整した。 3. 上記2で作製した液をそれぞれ5μlづつ、組織
培養用の24ウエルディッシュの各ウエルにコートし、
約10分間室温で乾燥させた。対照には、8MUrea
/Lysisバッファーのみを用いた。 4. 次に、各ウエルを8M Urea/Lysisバ
ッファーで1回洗浄し、尿素(Urea)を除くため、
さらにPBSで5回洗浄を繰り返した。 5. その後、10%の牛胎児血清を含むDH培地に懸
濁したC3H/10T1/2 clone 8細胞をコ
ンフルエントになるようにディッシュにまきこんだ。 6. 37℃、5%CO2の条件下で18時間培養後、
培養液を集めてGM−CSF(顆粒球−マクロファージ
−コロニー刺激因子)の含有量をenzyme−lin
ked immunoassay法を用いて説明書の操
作方法に従って定量した(ENDOGEN社のキットを
使用)。結果を表1及び図4に示す。
ト(2)及び(123)のN末端にヒスチジンが6個連
続したタグを付加したフラグメント(H2)及び(H1
23)の添加により、GM−CSFの分泌は、2倍以上
に増え、しかも両者は、バラツキの範囲を考慮して同程
度の分泌促進の効果を有していることが分かった。結
局、これらの実験結果から、エピモルフィンのフラグメ
ント(2)が機能ドメインであることが明らかである。
作製 (A):マウスエピモルフィンのフラグメント(2)を
コードするcDNA。 (B):(A)のセンス鎖の5′末端の10ないし20
塩基である一本鎖DNAに、該一本鎖DNAの5′末端
に制限酵素NdeIを認識する塩基配列をつなげた一本
鎖DNA。 (C):(A)のアンチセンス鎖の5′末端側の10な
いし20塩基である一本鎖DNAに、該一本鎖DNAの
5′末端に制限酵素NheIを認識する塩基配列をつな
げた一本鎖DNA。 (1)(B)及び(C)をDNA合成装置により作成し
た。 (2)(A)をテンプレートとし、(B)及び(C)を
プライマーとして、PCR法により二本鎖DNAを得
た。この際、PCR条件は、Technique−a
journal of methods in cel
l and molecular biology,V
ol.1,No.1(August),1989,p
p.11−15に記載の通り行った。これにより、
(A)の塩基配列の一部に置換変異を持つ変異エピモル
フィンフラグメント(2)をコードするDNA(複数)
を得た。 (3)得られたDNAをpET3Cの2つのEcoRV
サイト側の領域を欠失させたもののNdeI、NheI
サイトに組み込み、組換えベクターを作成した。次に、
このベクターを宿主である大腸菌BL21にHanah
an法により導入した。
シリンを含むLBプレート(1%Bacto tryp
tone、0.5%Bacto yeast extr
axt、1%NaCl、1.5%Bacto aga
r)上に巻き込み、37℃で一晩培養した。 (5)成育してくるコロニーが組換えベクターを有する
形質転換体であることの確認として、通常のPCR法を
行い、目的の変異エピモルフィン改変体をコードするD
NAを増幅した後、アガロースゲル電気泳動法でそのバ
ンドを確認する操作を行った。 (6)得られた形質転換体は、50μg/mlアンピシ
リンを含む液体LB培地で37℃で振盪培養により、大
量に増殖させた後、発現を誘導するための物質IPTG
を培地中に終濃度1mMになるように添加し、その後2
時間振盪培養を続け、種々の変異エピモルフィン改変体
を大腸菌内で作成させた。 (7)(6)の大腸菌をLysisバッファーに懸濁し
て洗い、遠心操作により菌体を沈殿させ、上清を捨てた
後、再度回収し、Lysisバッファーに懸濁後Lyz
ozymeを1mg/mlになるように添加し、凍結融
解を3回繰り返して大腸菌を溶菌させ、超音波処理を行
った。その後、遠心操作で上清を除き、沈殿を2MUr
ea/Lysisバッファーで4回洗った後、8MUr
ea/Lysisバッファーに再懸濁し、遠心操作で上
清画分を得た。
アミノ酸配列の決定 実施例5(5)のコロニーの大腸菌内のプラスミドDN
Aをアルカリ法(「ラボマニュアル遺伝子工学」丸善
(株)、第51〜53頁、1988)で調製し、変異エ
ピモルフィン改変体をコードするDNAの塩基配列をD
NAシークエンサーで解析した。これによってコードさ
れるアミノ酸配列を決定し、実施例5で得られた対応す
る変異エピモルフィン改変体のアミノ酸配列として決定
した。
細胞培養に評価 (1)実施例5で調製した変異エピモルフィン改変体
(8MUrea/Lysisバッファーに懸濁している
もの)を、浮遊培養ディッシュに10μg/cm2にな
るように塗布し、乾燥後、8MUrea/Lysisバ
ッファーで1回洗った。その後、PBSでディッシュを
5回洗い、培養細胞CH3/10T1/2clone8
を、BSAが20mg/ml添加されたD−MEM/F
−12培地(SIGMA D8900)を用いてディッ
シュにまいた。 (2)1時間後に、ディッシュをPBSで3回洗った
後、0.5N NaOHを用いって細胞を回収した。そ
のDNA量を反映するOD260nmの値を分光光度計
で測定した。その結果、変異していないエピモルフィン
改変体の吸光度が0.33±0.015であるのに対し
て、ほぼこの範囲の吸光度が得られた変異体は6種あっ
た。これより、エピモルフィン改変体には、一部のアミ
ノ酸配列を変異させたものが許容されることが判明し
た。実施例5〜7で作製し、評価したマウスエピモルフ
ィン改変体の変異体(a〜f)の変異した部分は、表2
に示す通りであった。
番号である。
れたエピモルフィン改変体、特に活性に特に優れたエピ
モルフィン改変体、あるいは特に可溶性に特に優れたエ
ピモルフィン改変体が提供される。また、本発明によれ
ば、エピモルフィン改変体のアミノ酸配列に、アミノ酸
の部分的な置換、欠失または挿入がなされた変異体が提
供押される。研究、医療分野等において、その目的によ
って、用いるエピモルフィン改変体またはその変異体を
使い分けることにより、上皮組織の形態形成異常に起因
する疾患の診断法・治療法の開発、あるいは新たな創傷
治癒薬等の開発をより効率的に進めることが可能となっ
た。また、これらのエピモルフィン改変体及びその変異
体は、医療をはじめとする種々の用途、例えば、火傷や
手術後の各種組織の治療や、人工臓器等に直接利用でき
る他、化粧品、育毛剤等の成分としても有用である。
徴を示す図である。
特徴を示す図である。
の関係を示す図である。
23)のN末端にヒスチジンが6個連続したタグを付加
したフラグメント(H2)及び(H123)の添加によ
り、細胞が分泌するGM−CSFの量が増大することを
示すグラフである。
Claims (13)
- 【請求項1】 N末端側にコイルドコイル領域(1)、
中央部に機能ドメイン(2)、C末端側にコイルドコイ
ル領域(3)、及びC末端部に疎水性領域を有するエピ
モルフィンの全長から、C末端部の疎水性領域が削除さ
れていると共に、コイルドコイル領域(1)及び(3)
のうちの少なくとも一方の末端側から少なくとも一部の
アミノ酸が削除された構造のポリペプチドからなること
を特徴とするエピモルフィン改変体。 - 【請求項2】 N末端側からコイルドコイル領域(1)
の少なくとも一部のアミノ酸が削除された構造のポリペ
プチドからなる請求項1記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項3】 少なくとも機能ドメイン(2)を有する
請求項1または2記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項4】 エピモルフィンがヒトエピモルフィンで
あって、そのコイルドコイル領域(1)のN末端から1
個以上28個までの範囲のアミノ酸が削除された構造の
ポリペプチドからなる請求項1ないし3のいずれか1項
に記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項5】 エピモルフィンがヒトエピモルフィンで
あって、そのコイルドコイル領域(1)のN末端から1
個以上29個以上77個までの範囲のアミノ酸が削除さ
れた構造のポリペプチドからなる請求項1ないし3のい
ずれか1項に記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項6】 エピモルフィンがヒトエピモルフィンで
あって、そのコイルドコイル領域(1)のN末端から1
個以上78個以上103個までの範囲のアミノ酸が削除
された構造のポリペプチドからなる請求項1ないし3の
いずれか1項に記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項7】 エピモルフィンがマウスエピモルフィン
であって、そのコイルドコイル領域(1)のN末端から
1個以上29個までの範囲のアミノ酸が削除された構造
のポリペプチドからなる請求項1ないし3のいずれか1
項に記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項8】 エピモルフィンがマウスエピモルフィン
であって、そのコイルドコイル領域(1)のN末端から
30個以上78個までの範囲のアミノ酸が削除された構
造のポリペプチドからなる請求項1ないし3のいずれか
1項に記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項9】 エピモルフィンがマウスエピモルフィン
であって、そのコイルドコイル領域(1)のN末端から
79個以上104個までの範囲のアミノ酸が削除された
構造のポリペプチドからなる請求項1ないし3のいずれ
か1項に記載のエピモルフィン改変体。 - 【請求項10】 配列表の配列番号9ないし11、配列
番号11の1〜84位、配列番号12ないし14、及び
配列番号14の1〜84位のいずれか1つのアミノ酸配
列で示されるエピモルフィン改変体。 - 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれか1項に
記載のエピモルフィン改変体のアミノ酸配列に、該エピ
モルフィン改変体の元の配列が有する機能を保持する程
度に、部分的なアミノ酸の置換、欠失または挿入がなさ
れた変異エピモルフィン改変体。 - 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれか1項に
記載のエピモルフィン改変体または変移エピモルフィン
改変体をコードするDNA。 - 【請求項13】 配列表の配列番号1ないし3、及び5
ないし7のいずれか1つの塩基配列で示されるエピモル
フィン改変体をコードするDNA。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8099684A JPH0965885A (ja) | 1995-03-31 | 1996-03-29 | エピモルフィン改変体 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9998095 | 1995-03-31 | ||
JP17554095 | 1995-06-19 | ||
JP7-175540 | 1995-06-19 | ||
JP7-99980 | 1995-06-19 | ||
JP8099684A JPH0965885A (ja) | 1995-03-31 | 1996-03-29 | エピモルフィン改変体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0965885A true JPH0965885A (ja) | 1997-03-11 |
Family
ID=27309015
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8099684A Pending JPH0965885A (ja) | 1995-03-31 | 1996-03-29 | エピモルフィン改変体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0965885A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000011146A1 (fr) * | 1998-08-20 | 2000-03-02 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Epimorphine destinee a des artiodactyles |
US6372890B1 (en) | 1996-11-18 | 2002-04-16 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Water-soluble polypeptides |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP8099684A patent/JPH0965885A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6372890B1 (en) | 1996-11-18 | 2002-04-16 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Water-soluble polypeptides |
WO2000011146A1 (fr) * | 1998-08-20 | 2000-03-02 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Epimorphine destinee a des artiodactyles |
US6838548B1 (en) | 1998-08-20 | 2005-01-04 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Artiodactyl epimorphine |
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RD07 | Notification of extinguishment of power of attorney |
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