JPH0963241A - 磁気ディスクカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録容量をディスク駆動装置に自動識別させ
ることができ、しかも記録容量識別のために大きなスペ
ースを必要としない磁気ディスクカートリッジを得る。 【解決手段】 磁気ディスクシート12を回転可能に収容
し、一部に表裏を貫通する誤消去防止孔20が設けられた
ケース10と、このケース10に取り付けられて、誤消去防
止孔20を開閉するように移動可能な誤消去防止部材21と
を有する磁気ディスクカートリッジ15において、誤消去
防止孔20の近傍においてケース10に、表裏を貫通する記
録容量識別孔22を設ける一方、誤消去防止部材21を、誤
消去防止孔20を開く状態および閉じる状態のいずれにお
いても記録容量識別孔22内に位置する大きさとして、磁
気ディスクカートリッジ15の記録容量に応じて個別の波
長領域の光のみを透過させる材料から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクシー
トをケース内に収容してなり、この磁気ディスクシート
を高速回転させて磁気記録再生に利用する磁気ディスク
カートリッジに関し、特に詳細には、記録容量をディス
ク駆動装置に識別させるようにした磁気ディスクカート
リッジに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、フレキシブルなポリエステル
シート等からなる円盤状のベースの両面に磁性体層が形
成され、高速回転させながら磁気ヘッドにより上記磁性
体層に磁気記録がなされる磁気ディスク（いわゆるフロ
ッピー・ディスク）が提供され、その取扱いの容易性、
低コストといった利点から、主としてコンピュータ用の
記録媒体として用いられている。

【０００３】近時、この種の磁気ディスクは、いわゆる
３．５インチタイプのもので代表されるように、小型の
ハードケース内に回転可能に収容されて、磁気ディスク
カートリッジとして使用されることが多くなっている。

【０００４】この種の磁気ディスクカートリッジにおい
ては一般に、記録した内容を誤まって消去または再記録
することを防止するために、ケースの一部にケース表裏
を貫通する誤消去防止孔が設けられた上で、このケース
内には、上記誤消去防止孔を開閉するように移動可能な
誤消去防止部材が配設される。そしてこのような磁気デ
ィスクカートリッジを駆動するディスク駆動装置には、
誤消去防止孔が開かれているか、あるいは誤消去防止部
材によって閉じられているかを例えば機械的あるいは光
電的に検出する手段が設けられる。

【０００５】そこで、この検出手段が例えば誤消去防止
孔の開状態を検出した際はディスク駆動装置を記録不可
能な状態に設定するようにしておけば、磁気ディスクカ
ートリッジの誤消去防止部材を操作して誤消去防止孔を
開いておくことにより、記録内容を誤まって消去または
再記録してしまうことがなくなる。

【０００６】一方、このような磁気ディスクカートリッ
ジに対しては、常に大容量化が求められており、３．５
インチタイプで記憶容量１ＭＢ（メガ・バイト）や２Ｍ
Ｂのものが既に実用化され、現在では記憶容量 100ＭＢ
以上のものも提供されるに至っている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のように、記録容
量が従来品よりも高められた磁気ディスクカートリッジ
が提供されると、その大容量タイプの磁気ディスクカー
トリッジを駆動するためのディスク駆動装置が新たに提
供されることがある。この新たなディスク駆動装置は、
新規の大容量タイプの磁気ディスクカートリッジを駆動
できることは勿論、多くの場合は、ユーザーの便宜を図
っていわゆる「下位互換」の機能、つまり記録容量の点
で下位となる従来の磁気ディスクカートリッジも駆動
し、使用できる機能を備えるように形成されることが多
い。

【０００８】このように、記録容量が互いに異なる複数
種類の磁気ディスクカートリッジを、共通のディスク駆
動装置で駆動使用させる場合は、記録容量のいかんを問
わず記録内容を読み出し、また記録できることが必要と
なることがある。その際は、ディスク駆動装置が、装填
された磁気ディスクカートリッジの記録容量を識別でき
るようにしておけば、転送レート変更や、記録済みトラ
ックへの位置制御等の操作を自動的に行なうことが可能
となり、実用上極めて便利である。

【０００９】従来、磁気テープカセット等の記録媒体の
タイプを識別する方法として、そのケースに各タイプ毎
に設置位置や個数が異なる識別孔を設けておき、記録媒
体が装填される装置において、この識別孔を例えば主と
して機械的あるいは光電的に検出させる、という方法が
広く知られている。

【００１０】このような方法は、原理的には、磁気ディ
スクカートリッジの記録容量を識別する上でも適用可能
であるが、識別すべき記録容量の種類が多い場合は、磁
気ディスクカートリッジへの適用が困難になることもあ
る。つまり、識別すべき記録容量の種類が多いとそれに
つれて識別孔の個数も多くなるが、３．５インチタイプ
等の小型の磁気ディスクカートリッジでは、ケースに多
くの記録容量識別孔を設けるためのスペースを確保する
のが難しい場合が多い。

【００１１】そこで本発明は、記録容量識別のために大
きなスペースを必要とせずに、記録容量をディスク駆動
装置に識別させることができる磁気ディスクカートリッ
ジを提供することを目的とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明による磁気ディス
クカートリッジは、前述したように円盤状の磁気ディス
クシートをケース内に回転可能に収容してなり、ケース
の一部に表裏を貫通する誤消去防止孔が設けられ、そし
てこのケースに、上記誤消去防止孔を開閉するように移
動可能な誤消去防止部材が取り付けられた磁気ディスク
カートリッジにおいて、ケースの誤消去防止孔の近傍部
分に、表裏を貫通する記録容量識別孔が設けられる一
方、上記誤消去防止部材が、磁気ディスクカートリッジ
の記録容量に応じて個別の波長領域の光のみを透過させ
る材料から形成されて、誤消去防止孔を開く状態および
閉じる状態のいずれにおいても上記記録容量識別孔内に
位置する大きさとされていることを特徴とするものであ
る。

【００１３】

【発明の効果】上記の誤消去防止部材は、従来のものと
同様にケースの誤消去防止孔を開閉できるので、誤消去
防止のために機能し得る。それに加えてこの誤消去防止
部材は、常に記録容量識別孔内にあるので、ディスク駆
動装置においてこの記録容量識別孔の部分に例えば白色
光を照射する手段と、記録容量識別部材を兼ねる誤消去
防止部材を透過した光の波長を峻別する手段とを設けて
おけば、峻別された光の波長によって磁気ディスクカー
トリッジの記録容量を識別可能となる。

【００１４】そして上記記録容量識別孔は、記録容量の
種類数にかかわらず１つ設けるだけでよいから、本発明
の磁気ディスクカートリッジは記録容量識別のために大
きなスペースを必要としないで、記録容量の種類数が多
い場合にも対処できるものとなる。

【００１５】なお、現在の３．５インチタイプ等の磁気
ディスクカートリッジにおいて、ケースの誤消去防止孔
の近傍部分に１つの記録容量識別孔を設ける程度のスペ
ースは十分確保可能である。

【００１６】また本発明の磁気ディスクカートリッジ
は、上述した通り、従来から一般に設けられている誤消
去防止部材を透過する光の波長領域によって記録容量を
識別させるものであるから、ケース本体は記録容量にか
かわらず共通形状で１つの金型で形成可能となり、さら
に記録容量識別のためにカートリッジ組立ての工数が増
加するようなこともないから、本発明の磁気ディスクカ
ートリッジは記録容量識別機能を備えながら比較的低コ
ストで製造できるものとなる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図１と図２はそれぞれ、本
発明の一実施の形態である磁気ディスクカートリッジを
表側、裏側から見た状態を示すものである。図示される
ように例えば合成樹脂から形成されたハードケース10内
には、センターコア11が回転自在に保持され、このセン
ターコア11に、中央円孔を有する磁気ディスクシート12
が貼着されている。この磁気ディスクシート12は、フレ
キシブルなポリエステルシート等からなる円盤状のベー
スの両面に磁性体層が形成されたものである。

【００１８】ハードケース10は２つのシェルハーフ10
Ａ、10Ｂが蓋合わせ状に固着されてなるものであるが、
どちらのシェルハーフ10Ａ、10Ｂにも、磁気ヘッド挿入
用開口10ａが設けられている。またこのハードケース10
には、シェルハーフ10Ｂに形成された案内溝10ｂに係合
する係合部（図示せず）を有して、図中左右方向に滑動
自在とされたシャッタ13が組み付けられている。このシ
ャッタ13は例えばステンレス鋼板もしくはアルミニウム
板から、またはポリアセタール樹脂等のプラスチックか
ら断面略コの字状に形成されたもので、シェルハーフ10
Ａ、10Ｂそれぞれの上部を外側から覆う状態に取り付け
られている。またシャッタ13のシェルハーフ10Ａを覆う
部分、シェルハーフ10Ｂを覆う部分には、それぞれ開口
13ａが設けられている。

【００１９】上記シャッタ13には、ハードケース10内に
一端が係止されたトーションばね14の他端が係止されて
いる。そこでシャッタ13は、このトーションばね14によ
り図中矢印Ａ方向に付勢され、シェルハーフ10Ａ、10Ｂ
に各々形成された段部10ｃに当接して、常時は閉状態
（図示の状態）を保つ。シャッタ13の開口13ａは、シャ
ッタ13がこの閉状態にあるとき、シェルハーフ10Ａ、10
Ｂの各磁気ヘッド挿入用開口10ａから外れる位置に設け
られている。したがって、常時は各磁気ヘッド挿入用開
口10ａがシャッタ13によって閉じられ、そこからゴミ等
の異物がハードケース10内に侵入することが防止され
る。

【００２０】ハードケース10の一部には表裏を貫通する
誤消去防止孔20が設けられており、そしてこのハードケ
ース10内には、誤消去防止孔20を開閉するように図中上
下方向に移動可能な、記録容量識別部材を兼ねる誤消去
防止部材21が配設されている。図１では、この誤消去防
止部材21が誤消去防止孔20を閉じる位置（閉位置）にあ
る状態を示しているが、この状態から誤消去防止部材21
が誤消去防止孔20の上下寸法程度の距離だけ上方に動か
されると、図２に示す開位置に設定されて誤消去防止孔
20が開かれる。

【００２１】なお誤消去防止部材21の閉位置および開位
置は、ハードケース10側と係合する適当な係合部によっ
て保持され、この係合を解除し得る力を加えて誤消去防
止部材21を操作することにより、該誤消去防止部材21が
閉位置から開位置に、あるいは開位置から閉位置に動か
される。

【００２２】またハードケース10には、誤消去防止孔20
のやや上の位置において、表裏を貫通する記録容量識別
孔22が設けられている。そして記録容量識別部材を兼ね
る誤消去防止部材21は、それが上記閉位置にあるときも
また開位置にあるときも、記録容量識別孔22内に位置す
る大きさとされている。

【００２３】上記構成を有する磁気ディスクカートリッ
ジ15は、いわゆる３．５インチタイプのものであるが、
従来から知られている３．５インチタイプの磁気ディス
クカートリッジよりも格段に大きい記録容量、例えば 1
28ＭＢの記録容量を有する。

【００２４】磁気ディスクカートリッジ15が、この記録
容量 128ＭＢのものであることを後述のディスク駆動装
置に識別させるために、上記誤消去防止部材21は、一例
として緑色領域の光のみを透過させるプラスチックから
形成されている。この誤消去防止部材21を利用した記録
容量識別については、後に詳しく説明する。

【００２５】磁気ディスクカートリッジ15が図３に示し
た所定の装填位置に装填されると、図４に示すように、
ディスク駆動装置に設けられた光源23および光検出器24
が、ハードケース10の記録容量識別孔22に対向する位置
に来る。光源23は一例として緑色光を発するＬＥＤ（発
光ダイオード）と赤色光を発するＬＥＤ、およびそれら
の光を合波する手段からなり、このようにして合波され
た光25を記録容量識別孔22の部分に照射する。一方光検
出器24は、赤色領域の光に対しては比較的高感度で、緑
色領域の光に対しては比較的低感度の分光感度特性を有
するフォトダイオード等からなり、記録容量識別孔22内
の記録容量識別部材を兼ねる誤消去防止部材21を透過し
た光25を検出するように配置されている。

【００２６】上記ディスク駆動装置は、磁気ディスクカ
ートリッジ15の他に、それと外形はほぼ同一で記録容量
が１あるいは２ＭＢの磁気ディスクカートリッジや、記
録容量が 256ＭＢの磁気ディスクカートリッジも駆動す
るように形成されている。この記録容量が１あるいは２
ＭＢの磁気ディスクカートリッジにも、上記誤消去防止
部材21および記録容量識別孔22とそれぞれ同様の誤消去
防止部材および記録容量識別孔が設けられるが、この場
合誤消去防止部材は光を完全に遮断する黒色のプラスチ
ックから形成される。一方記録容量が 256ＭＢの磁気デ
ィスクカートリッジにも、上記誤消去防止部材21および
記録容量識別孔22とそれぞれ同様の誤消去防止部材およ
び記録容量識別孔が設けられるが、この場合誤消去防止
部材は赤色領域の光のみを透過させるプラスチックから
形成される。

【００２７】記録容量が 128ＭＢの磁気ディスクカート
リッジ15がディスク駆動装置に装填された場合は、図４
に示した光25のうち主に緑色領域の光が誤消去防止部材
21を透過する。そこで光検出器24からは比較的低い出力
が得られ、それにより、装填された磁気ディスクカート
リッジの記録容量が 128ＭＢであると識別することがで
きる。

【００２８】一方、記録容量が 256ＭＢの磁気ディスク
カートリッジがディスク駆動装置に装填された場合は、
図４に示した光25のうち主に赤色領域の光が誤消去防止
部材を透過する。そこで、光検出器24からは比較的大き
な出力が得られ、それにより、装填された磁気ディスク
カートリッジの記録容量が 256ＭＢであると識別するこ
とができる。

【００２９】また、記録容量が１あるいは２ＭＢの磁気
ディスクカートリッジがディスク駆動装置に装填された
場合は、それらの磁気ディスクカートリッジには記録容
量識別孔22がないため、図４に示した光25は遮断され
る。そこで光検出器24から出力が生じないので、それに
より、装填された磁気ディスクカートリッジの記録容量
が１あるいは２ＭＢであると識別することができる。

【００３０】なお、磁気ディスクカートリッジの記録容
量が１ＭＢであるか、あるいは２ＭＢであるかを識別す
る必要がある場合は、それらのうちの一方にのみ、例え
ば図１に破線Ｑで示すような位置に記録容量識別孔を設
ける等してもよい。また、記録容量が１ＭＢの磁気ディ
スクカートリッジと、記録容量が２ＭＢの磁気ディスク
カートリッジとで、互いに異なる波長領域の光を透過さ
せる誤消去防止部材を設けて、透過光の波長峻別により
記録容量を識別することも勿論可能である。

【００３１】以上のようにして磁気ディスクカートリッ
ジの記録容量を識別できれば、ディスク駆動装置におい
て、記録容量に応じて変えなければならない例えば転送
レート等の条件やトラック位置条件を自動設定すること
も可能となる。

【００３２】なお図４では、誤消去防止孔20が閉じられ
ているか、あるいは開かれているかを検出する手段は特
に示していないが、この検出は先に説明したように、例
えば機械的あるいはフォトカプラ等の光電的な手段によ
ってなされ得る。フォトカプラを用いる場合、記録容量
が 128ＭＢの磁気ディスクカートリッジ15がディスク駆
動装置に装填された際に、誤消去防止孔20が誤消去防止
部材21によって閉じられていたとしても、フォトカプラ
の受光素子の検出光量はゼロにはならない。そうであっ
ても、このときの受光素子の検出光量は、誤消去防止孔
20が開かれている場合と比べれば明らかに低下するの
で、この検出光量の差により、誤消去防止孔20が開かれ
ているか否かを検出可能である。

【００３３】また光源23としては、前述したようなもの
に限らず、例えば白色光を発する光源等を用いることも
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態である磁気ディスクカー
トリッジの表側を示す平面図

【図２】上記磁気ディスクカートリッジの裏側を示す平
面図

【図３】上記磁気ディスクカートリッジを、下位互換機
能を有するディスク駆動装置に装填した状態を示す平面
図

【図４】上記磁気ディスクカートリッジおよびディスク
駆動装置の要部を示す斜視図

【符号の説明】

10 ハードケース 10Ａ、10Ｂ シェルハーフ 11 センターコア 12 磁気ディスクシート 15 磁気ディスクカートリッジ 20 誤消去防止孔 21 誤消去防止部材 22 記録容量識別孔 23 光源 24 光検出器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円盤状の磁気ディスクシートと、 この磁気ディスクシートを回転可能に収容し、一部に表
   裏を貫通する誤消去防止孔が設けられたケースと、 このケースに取り付けられて、前記誤消去防止孔を開閉
   するように移動可能な誤消去防止部材とを有する磁気デ
   ィスクカートリッジにおいて、 前記誤消去防止孔の近傍において前記ケースに、表裏を
   貫通する記録容量識別孔が設けられ、 前記誤消去防止部材が、磁気ディスクカートリッジの記
   録容量に応じて個別の波長領域の光のみを透過させる材
   料から形成されて、前記誤消去防止孔を開く状態および
   閉じる状態のいずれにおいても前記記録容量識別孔内に
   位置する大きさとされていることを特徴とする磁気ディ
   スクカートリッジ。