JPH0959193A - 不飽和アルコールの製造方法 - Google Patents

不飽和アルコールの製造方法

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JPH0959193A
JPH0959193A JP7217321A JP21732195A JPH0959193A JP H0959193 A JPH0959193 A JP H0959193A JP 7217321 A JP7217321 A JP 7217321A JP 21732195 A JP21732195 A JP 21732195A JP H0959193 A JPH0959193 A JP H0959193A
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JP
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group
compound
reaction
unsaturated alcohol
palladium
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JP7217321A
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English (en)
Inventor
Keiichi Sato
啓一 佐藤
陽子 ▲勢▼藤
Yoko Seto
Iwao Nakajima
巌 中嶋
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 共役アルカジエンと水との反応で、所望の不
飽和アルコールを高収率、高選択率で得る。 【解決手段】 触媒として、パラジウム化合物、リン原
子に異なる2種以上の原子が結合した3価リン化合物、
及び、Mab (OR)c R’defg で示され
る化合物を用いる。(Mは周期律表3A族〜6A族、
B、In、Ge、Sb又はTe、Rは水素、炭化水素
基、有機珪素基又はアシル基、R’は炭化水素基、Lは
中性配位子、Xは陰イオン、Zは水素又は金属陽イオ
ン、aは正の整数、b〜gは0又は正の整数、b+c+
dは1以上) 【効果】 低いパラジウム濃度でも触媒成分が効率良く
利用され、収率、選択率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和アルコール
の製造方法に関する。詳しくは本発明は、共役アルカジ
エンと水とを反応させて、共役アルカジエンの水和偶数
量化物である不飽和アルコールを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】不飽和アルコール類、特にオクタ−2,
7−ジエン−1−オールをはじめとするオクタジエノー
ル類は、n−オクタノール或いはそのエステル類を製造
するための中間体として、工業的に重要な化合物であ
る。
【0003】かかる不飽和アルコール類を製造する方法
として、従来、パラジウム化合物及びホスフィン化合物
を触媒として用い、二酸化炭素の存在下に、共役アルカ
ジエンと水とを反応させて、水和2量化物であるアルカ
ジエノール類を製造する方法が知られている(例えば、
“Chemical communications3
30(1971)”、及び特公昭50−10565号公
報等)。
【0004】また、二酸化炭素に由来する副生成物の生
成を防止して、高転化率かつ高選択率でアルカジエノー
ル類を製造する技術として、パラジウム化合物と、ホス
フィン化合物又はホスファイト化合物と、チタン化合物
等との組み合わせからなる触媒を用い、共役アルカジエ
ンと水とを反応させて、水和2量化物であるアルカジエ
ノール類を製造する方法が知られている(例えば、特開
昭54−141712号公報等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来方法は優れた
方法ではあるが、得られるアルカジエノール類の収率な
らびに所望のオクタ−2,7−ジエン−1−オールへの
選択性の点で更に改良が望まれている。
【0006】従って、本発明の目的は、パラジウム化合
物及びリン化合物を触媒として用いて共役アルカジエン
と水とを反応させることにより、所望の不飽和アルコー
ルをより一層高収率、高選択率で得ることができる、工
業的に有利な不飽和アルコール類の製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の不飽和アルコー
ルの製造方法は、共役アルカジエンと水とを触媒の存在
下に反応させて、該共役アルカジエンの多量化によって
得られた骨格を有する不飽和アルコールを製造する方法
において、触媒として、パラジウム化合物、リン原子に
異なる2種以上の原子が結合した3価リン化合物、及
び、下記一般式(1)で示される化合物を用いることを
特徴とする。
【0008】 Mab (OR)c R’defg ……(1) ((1)式中、Mは周期律表3A族、4A族、5A族、
6A族(ここで、周期律表はIUPAC Comptes Rend
us XXIII Conference を引用した。)、硼素、インジウ
ム、ゲルマニウム、アンチモン及びテルルよりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種であり、Rは水素、置換基を
有していても良い炭化水素基、有機珪素基又はアシル基
を表し、R’は置換基を有していても良い炭化水素基を
表し、Lは中性配位子を表し、Xは有機又は無機の陰イ
オンを表し、Zは水素又は金属陽イオンを表し、aは正
の整数、b,c,d,e,f及びgは0又は正の整数で
あり、b+c+dは1以上である。) 一般に、錯体触媒反応においては、触媒として用いる金
属成分が重要な役割を示すが、それと共に使用される配
位子の種類の選定が、当該触媒反応の活性及び選択性に
重大な影響を及ぼす。
【0009】本発明者らは、パラジウム化合物及びリン
化合物を触媒として用いる共役アルカジエンと水との反
応で、所望の不飽和アルコールをより一層高収率、高選
択率で得ることができる工業的に有利な不飽和アルコー
ル類の製造方法を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、
この反応において、従来、触媒としてパラジウム化合物
と組み合わせて用いられているホスフィン化合物又はホ
スファイト化合物の代わりに、リン原子に異なる2種以
上の原子が結合した3価リン化合物を用い、この3価リ
ン化合物をパラジウム化合物と組み合わせて用いると共
に、更に、上記一般式(1)で表される化合物の存在下
に、共役アルカジエンと水とを反応させることにより、
低いパラジウム濃度でも触媒成分が有効に、かつ効率良
く利用され、共役アルカジエンの多量化によって得られ
た骨格を有する不飽和アルコール、具体的には、共役ア
ルカジエンとして1,3−ブタジエンを使用する場合に
はオクタ−2,7−ジエン−1−オール、が高収率、か
つ高選択的に製造されることを見出した。
【0010】本発明において用いる3価リン化合物とし
ては、特に、ホスホナイト又はホスフィナイトが好まし
い。また、本発明の反応は、塩基性化合物の存在下に行
うのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明方法により不飽和アルコール類を製
造するための原料である共役アルカジエンとしては、例
えば、1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタ
ジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソ
プレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、1,3
−オクタジエン等が挙げられる。原料が1,3−ブタジ
エンである場合、通常入手可能なものとして、精製1,
3−ブタジエンや、いわゆるBB留分(BBP)、即ち
ナフサ分解生成物中のC4留分混合物等を用いることが
できる。
【0013】主に経済性を考慮してBBPを原料とする
場合においては、原料BBP中に含有されるアセチレン
類及びアレン類を予め分離除去しておくことが望まし
い。原料BBP中のアセチレン類及びアレン類を低減化
するための方法は特に限定されず、公知の諸方法が適宜
採用可能である。1,3−ブタジエンの水和偶数量化反
応(例えば、水和2量化、水和4量化)によりオクタジ
エノール類或いはヘキサデカエトラエノール類を製造す
る場合には、BBP中のアセチレン類及びアレン類を除
去ないし低減した後のアセチレン類及びアレン類の総濃
度は、可能な限り低いことが望ましく、通常1,3−ブ
タジエンに対して1.0重量%以下程度であることが望
ましい。
【0014】一方、他の原料である水としては、水和偶
数量化反応に影響を与えない程度の純度の水が適宜使用
される。水の使用量については特に限定的ではないが、
共役アルカジエン1モルに対して、通常0.5〜10モ
ル、好ましくは1〜5モルの範囲から選択される。
【0015】本発明においては、主触媒としてパラジウ
ム化合物を使用する。使用されるパラジウム化合物の形
態及びその原子価状態については限定的ではなく、0価
又は2価のいずれのパラジウム化合物も使用することが
できる。具体的には、硝酸パラジウム等のパラジウム無
機酸塩;酢酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩;ビス
(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(トリブチル
ホスフィン)パラジウム酢酸塩等の2価パラジウム錯体
や、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、
(1,5−シクロオクタジエン)(無水マレイン酸)パ
ラジウム等の0価パラジウム錯体が挙げられるが、最も
好ましいのは、共触媒として使用する、リン原子に異な
る2種以上の原子が結合した3価リン化合物のみを配位
子として持つパラジウム錯体である。この3価リン化合
物以外の配位子を持つパラジウム化合物を使用した場合
には、原料の共役アルカジエンと配位子との反応で、有
用ではない副生成物が生成し、原料の共役アルカジエン
が無駄に消費されるが、該3価リン化合物のみを配位子
として持つパラジウム錯体を使用した場合には、このよ
うな現象が起こらないため、原料の共役アルカジエンを
効率良く消費することができる。
【0016】このような3価リン化合物のみを配位子と
して持つパラジウム化合物の例としては、ビス(ホスフ
ィナイト)パラジウム錯体、トリス(ホスフィナイト)
パラジウム錯体、テトラキス(ホスフィナイト)パラジ
ウム錯体、ビス(ホスホナイト)パラジウム錯体、トリ
ス(ホスホナイト)パラジウム錯体、テトラキス(ホス
ホナイト)パラジウム錯体等が挙げられる。
【0017】これらのパラジウム化合物の使用量は広範
囲に変化させ得るが、通常、共役アルカジエン1モルに
対してパラジウムとして0.000002〜1モル、好
ましくは0.00002〜0.1モルの範囲内で選択さ
れる。
【0018】本発明においては、共触媒として使用す
る、リン原子に異なる2種以上の原子が結合した3価リ
ン化合物としては、好ましくは、ホスフィナイト(リン
原子に1つの酸素原子と2つの炭素原子がいずれも単結
合で結合した構造を有するリン化合物)、ホスホナイト
(リン原子に2つの酸素原子と1つの炭素原子がいずれ
も単結合で結合した構造を有するリン化合物)を挙げる
ことができ、これらの3価リン化合物は、従来知られて
いるホスフィンやホスファイトといったリン原子に同じ
元素が3つ結合した化合物と異なり、配位リン原子の周
りが非対称であることが特徴である。
【0019】本発明において、共触媒として用いられる
ホスホナイト化合物としては、下記一般式,,又
はで表されるホスホナイト化合物が挙げられる。
【0020】
【化1】
【0021】(上記一般式〜中、A1 ,A4 は独立
に、置換されていても良いアリール基又はアルキル基を
表し、A5 ,A6 ,A13,A14,A15及びA16は独立
に、置換されていても良いアリール基を表し、A2 ,A
3 ,A8 ,A9 ,A10及びA11は独立に、置換されてい
ても良いアリーレン基を表し、A7 及びA12は独立に、
置換されていても良い2価の炭化水素基を表し、x1,
y1,x2,y2,x3及びy3は独立に0又は1の整
数を表し、Q1 ,Q2 及びQ3 は独立に−CR12
−,−O−,−S−,−SO2 −,−NR3 −,−Si
45 −,又は−CO−で表される2価の架橋基を表
し(ただし、R1 及びR2 は独立に水素、炭素数1〜1
2のアルキル基、フェニル基、トリル基、又はアニシル
基を表し、R3,R4 及びR5 は独立に水素又はメチル
基を表す。)、n1,n2及びn3は0又は1の整数を
表す。) 上記一般式〜中、A1 及びA4 としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等の
アルキル基、ベンジル基等のアリール置換アルキル基等
の炭素数6〜30のアルキル基が挙げられ、これらのア
ルキル基はメトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ
基、デシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ
基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等の炭素数
2〜30のジアルキルアミノ基、−SO3 Na,−CO
ONa,−COOCH3 等の基等により置換されていて
も良い。A1 ,A4 ,A5 ,A6 ,A13,A14,A15
びA16におけるアリール基としては、フェニル基、ナフ
チル基、トリル基、キシリル基、アルキル置換ナフチル
基等の炭素数6〜30のアリール基が挙げられ、これら
のアリール基はメトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキ
シ基、デシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ
基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等の炭素数
2〜30のジアルキルアミノ基、−SO3 Na,−CO
ONa,−COOCH3 等の基により置換されていても
良い。A2 ,A3 ,A8 ,A9 ,A10及びA11における
アリーレン基としては、フェニレン基、アルキル置換フ
ェニレン基、アリール置換フェニレン基、ナフチレン
基、アルキル置換ナフチレン基、アリール置換ナフチレ
ン基等の炭素数6〜30のアリーレン基が挙げられ、こ
れらのアリーレン基はメトキシ基、エトキシ基、ヘキシ
ルオキシ基、デシルオキシ基等の炭素数1〜20のアル
コキシ基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等の
炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、−SO3 Na,
−COONa,−COOCH3 等の基により置換されて
いても良い。A7 及びA12における2価の炭化水素基と
しては、フェニレン基、アルキル置換フェニレン基、ア
リール置換フェニレン基、ナフチレン基、アルキル置換
ナフチレン基、アリール置換ナフチレン基等の炭素数6
〜30のアリーレン基、メチレン基、エチレン基、ブチ
レン基、ヘキサメチレン基、アリール置換ブチレン基等
の炭素数6〜30のアルキレン基、ならびに、上記アル
キレン基とアリーレン基が直列に接合した基が挙げら
れ、これらの基はメトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオ
キシ基、デシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキ
シ基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等の炭素
数2〜30のジアルキルアミノ基、−SO3 Na,−C
OONa,−COOCH3等の基により置換されていて
も良い。また、R1 及びR2 で表される炭素数1〜12
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ
る。
【0022】かかるホスホナイト化合物の具体例として
は、次のような化合物が例示される。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】前記一般式及びで示されるホスホナイ
ト化合物の中でも、A1 はアルキル基、アリール基、ア
ルコキシ基、ジアルキルアミノ基、−SO3 Na基で置
換されていても良い炭素数6〜30のアリール基である
ものが好ましい。又、Q1 ,Q2 ,Q3 としては−CR
12 −であって、R1 及びR2 は独立に水素原子又は
炭素数1〜6のアルキル基であるものが好ましい。A
2 ,A3 ,A8 ,A9 ,A10及びA11で示されるアリー
レン基は、置換されていても良い1,2−アリーレン基
であることが好ましく、特に6位に炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基等の置換基を
有し、3位、4位、及び5位の1箇所以上に炭素数1〜
20のアルキル基等の置換基を有していても良い1,2
−フエニレン基であることが好ましい。但し、ここで
1,2−フェニレン基の1位はリン原子と結合する酸素
原子と結合するものとする。
【0037】一方、前記一般式及びで示されるホス
ホナイト化合物の中でも、A5 ,A6 ,A13,A14,A
15及びA16は、o−位に炭素数1〜20のアルキル基を
有し、ベンゼン環上に他の置換基を有しても良いフェニ
ル基であるものが好ましい。また、A4 はアルキル基、
アリール基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、−S
3 Naで置換されていても良い炭素数6〜30のアリ
ール基が好ましい。
【0038】また、本発明において、共触媒として用い
られるホスフィナイト化合物としては、下記一般式で
表されるホスフィナイト化合物が挙げられる。
【0039】
【化15】
【0040】かかるホスフィナイト化合物の具体例とし
ては、次のような化合物が例示される。
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
【化19】
【0045】前記一般式で示されるホスフィナイト化
合物の中でも、A17,A18はアルキル基、アリール基、
アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、−SO3 Naで置
換されていても良い炭素数6〜30のアリール基である
ものが好ましい。また、A19は、置換されていても良い
アリール基であることが好ましく、特にo−位に炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基
等の置換基を有し、m−位又はp−位の1つ以上に炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ
基、−SO3 Naで示される基等の置換基を有していて
も良いフェニル基又はナフチル基であることが好まし
い。
【0046】本発明において、このようなリン原子に異
なる2種以上の原子が結合した3価リン化合物の使用量
は、通常パラジウム1モルに対して0.1〜250モル
(リン原子換算)程度の範囲から選択されるが、好まし
くは2モル〜150モル、更に好ましくは、2モル〜1
00モル程度であり、上記範囲の中で反応条件下におい
て、反応液中に3価リン化合物が溶解する範囲内が望ま
しい。
【0047】本発明においては、触媒として、前記パラ
ジウム化合物及び上記3価リン化合物と、前記一般式
(1)即ち、Mab (OR)c R’defg
(式中、記号は前記定義に同じ)で表される化合物とを
組み合わせて用いる。
【0048】この一般式(1)で示される化合物の作用
状態における有効な形態については必ずしも明確ではな
いが、Mで表される周期律表3A族、4A族、5A族又
は6A族の金属、硼素、インジウム、ゲルマニウム、ア
ンチモン又はテルルの酸化物、水酸化物、或いは場合に
よりアルコキシ化合物、及びそれらの混合状態であると
推察される。従って、この化合物は、供給形態又は反応
系内の存在形態のいずれかにおいて、一般式Mab
(OR)c R’defg の形態であれば良い。
【0049】本発明において、前記一般式(1)のう
ち、Rは水素、置換基を有していても良い炭化水素基、
有機珪素基又はアシル基である。従って、(OR)で示
される原子団の具体的な例としては、水酸基、アルコキ
シ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラル
コキシ基、有機シラノキシ基、アシルオキシ基等が挙げ
られる。このうち、アルコキシ基、シクロアルコキシ
基、アリールオキシ基、有機シラノキシ基、アシルオキ
シ基等は原料中の水によって加水分解され、水酸基に転
化される可能性のあることは良く知られている。また、
本発明の如きパラジウム化合物を触媒とする共役アルカ
ジエンのテロメリゼーション反応においては、アルコー
ル、アミン、有機シラノール、有機カルボン酸等がテロ
ーゲンになり得ることも公知の事実であり、これに類似
の反応形式で、金属原子等に配位したアルコキシ基、有
機シラノキシ基及びアシルオキシ基等がテローゲンとし
て働き、結果として金属の配位子に水酸基等が置き換わ
ることも良く知られている。
【0050】また、一般式(1)中、R’は置換基を有
していても良い炭化水素基であり、その具体例として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、t−ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等
のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、アリ
ル基等のアルケニル基或いはアラルケニル基等、その
他、これらの置換体等が挙げられる。該置換体の具体例
としては、ジアセチルメチル基、ベンゾイルアセチルメ
チル基、ジベンゾイルメチル基、ビス(トリフルオロア
セチル)メチル基、メトキシカルボニルアセトキシメチ
ル基等のアシル基、アシルオキシ基及びアルコキシカル
ボニル基から選ばれる2個の置換基を有するメチル基が
挙げられる。これらの炭化水素基は、例えばフェニルボ
ロン酸におけるフェニル基の如く、反応には直接関与し
ない場合もあり、また場合によっては、例えばジアセチ
ルメチル基のように前記テロメリゼーション反応のテロ
ーゲンとして失われ、結果として水酸基等に置換されて
触媒機能に直接関与するものもあり得る。
【0051】一般式(1)中、L,Xは、各々、中性配
位子,有機又は無機の陰イオンを示し、反応には直接無
関係の部分であるが、当該化合物の電荷を中和したり、
安定化に影響したり、或いは例えば反応系への溶解性を
向上させる等の機能を果たすものである。Lの中性配位
子の具体例としては、ホスフィン、ホスファイト、第三
級アミン、エーテル類等が挙げられる。Xの有機又は無
機の陰イオンの具体例としては、テトラフェニル硼酸イ
オン、テトラフルオロ硼酸イオン、塩素イオン、硝酸イ
オン、硫酸イオン、過塩素酸イオン等が挙げられる。な
お、これらのうち、塩素イオン及び硝酸イオンは、触媒
のパラジウム化合物と共存した場合、必ずしも良い反応
成績に結び付かないことがある。
【0052】一般式(1)中、Zは水素又は金属陽イオ
ンを表し、特に金属陽イオンとしてはナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属陽イオンが好適である。
【0053】また、一般式(1)中、aは正の整数、b
〜gは0又は正の整数で、b+c+dは1以上である
が、特に、b+c+d+eが10a以下で、f及びgが
各々6a以下であることが好ましい。
【0054】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がチタンのチタン化合物の具体例としては、二酸化チタ
ン等の酸化物類、四水酸化チタン又は二酸化チタン二水
和物、水酸化モノ(ジアセチルメチル)オキシチタン等
の水酸化物類、二(テトラフルオロ硼酸)オキシチタン
等の無機酸塩類、二酢酸三オキシ二チタン等の有機酸塩
類、テトラ(n−ブトキシ)チタン、イソプロポキシト
リ(ドデシルオキシ)チタン、ジ(シクロヘキシルオキ
シ)ジフェノキシチタン、ジ(t−ブトキシ)オキシチ
タン、トリエトキシモノ(ジアセチルメチル)チタン、
n−ブトキシモノ(8−キノリルオキシ)オキシチタ
ン、トリス(アミノエトキシ)アクリロニトリルオキシ
チタン等のアルコキシ化合物類、トリス(トリメチルシ
ラノキシ)n−ブトキシチタン等のシラノキシ化合物
類、ビス(アセチルアセトナト)オキソチタン、モノ
(η−シクロペンタジエニル)モノ[ビス(トリフルオ
ロアセチル)メチル]オキシチタン、トリス(η−シク
ロペンタジエニル)アセトキシチタン等の有機チタン錯
体類、或いは、例えば構造式[TiCl(acac)
22 O、[Ti(O−n−C3732 O、或い
は[(i−C37 O)2 TiO)2 Zn等で示される
2核以上の多核チタン化合物等が挙げられる(なお、a
cacはアセチルアセトナトを表す。)。チタン化合物
の原子価状態については必ずしも限定的ではないが、酸
化状態として安定な4価のチタン化合物を反応系に供給
することが望ましい。しかし、若干の副反応の併発の可
能性を考慮しながら敢てこれ以外の原子価状態のチタン
化合物を使用することも勿論可能である。
【0055】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がジルコニウムのジルコニウム化合物の具体例として
は、二酸化ジルコニウム、二水酸化オキシジルコニウ
ム、二酢酸三オキシ二ジルコニウム、テトラエトキシジ
ルコニウム、t−ブトキシトリフェノキシジルコニウ
ム、ジ(n−ブトキシ)オキシジルコニウム、n−プロ
ポキシトリス(ジベンゾイルメチル)ジルコニウム、ジ
(n−ブトキシ)ビス(トリエチルシラノキシ)ジルコ
ニウム、ビス(ベンゾイルアセチルメチル)オキシジル
コニウム等が挙げられる。ジルコニウム化合物の場合
も、前記のチタン化合物の場合と同様の理由から、4価
のジルコニウム化合物の使用が望ましい。
【0056】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がハフニウムのハフニウム化合物の具体例としては、二
酸化ハフニウム、ビス(ジベンゾイルメチル)モノ(η
−シクロペンタジエニル)フェノキシハフニウム、テト
ライソプロポキシハフニウム、ジ(n−ブトキシ)オキ
シハフニウム、ビス(ジアセチルメチル)モノ(η−シ
クロペンタジエニル)モノ(アセトキシ)ハフニウム等
が挙げられる。ハフニウム化合物の主な供給形態も4価
の化合物が好適である。
【0057】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がバナジウムのバナジウム化合物の具体例としては、五
酸化バナジウム、オルトバナジン酸、メタバナジン酸、
テトラ(t−ブトキシ)バナジウム、トリ(メトキシ)
オキシバナジウム、トリス(トリフェニルシラノキシ)
オキシバナジウム、ビス(ジアセチルメチル)オキシバ
ナジウム等が挙げられる。バナジウム化合物の原子価状
態については必ずしも限定的ではないが、4価又は5価
のバナジウム化合物の形態で供給することが望ましい。
【0058】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がニオブのニオブ化合物の具体例としては、五酸化ニオ
ブ、水酸化二オキシニオブ、酢酸二オキシニオブ、ペン
タイソプロポキシニオブ、テトラ(n−ブトキシ)(ジ
アセチルメチル)ニオブ、トリス(トリメチルシラノキ
シ)オキシニオブ、トリス(ジアセチルメチル)オキシ
ニオブ等が挙げられる。ニオブ化合物の原子価状態につ
いても必ずしも限定的ではないが、酸化状態として安定
な5価のニオブ化合物を反応系に供給することが望まし
い。
【0059】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がタンタルのタンタル化合物の具体例としては、五酸化
二タンタル、水酸化二(蓚酸)オキシタンタル、ペンタ
(n−ブトキシ)タンタル、トリス(ジベンゾイルメチ
ル)オキシタンタル等が挙げられる。タンタル化合物の
主な供給形態としては5価の化合物であることが望まし
い。
【0060】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がクロムのクロム化合物の具体例としては、三酸化二ク
ロム、三水酸化クロム、二水酸化モノ(ジアセチルメチ
ル)クロム、水酸化アジピン酸クロム、クロムトリアセ
テート、トリ(n−ブトキシ)クロム、テトラ(t−ブ
トキシ)クロム、ジ(t−ブトキシ)ビス(ジメチルエ
チルメトキシ)クロム、テトラキス(トリエチルシラノ
キシ)クロム、トリス(ジアセチルメチル)クロム、ビ
ス(メトキシカルボニルアセチルメチル)モノアセトキ
シクロム等が挙げられる。クロム化合物の原子価状態に
ついては必ずしも限定的ではないが、一般に3価又は4
価の酸化状態のクロム化合物の使用が好ましい。
【0061】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がモリブデンのモリブデン化合物の具体例としては、μ
−オキソビス[ビス(ジアセチルメチル)オキシモリブ
デン][(acac)2 (O)Mo−O−Mo(O)
(acac)2 ]、下記構造式のジ−μ−オキソビス
(蓚酸オキシモリブデン)、ペンタイソプロポキシモリ
ブデン、モリブデン酸、ビス(ジアセチルメチル)ジオ
キシモリブデン等が挙げられる。モリブデン化合物の原
子価状態については必ずしも限定的ではないが、5価又
は6価の化合物として反応系に供給することが望まし
い。
【0062】
【化20】
【0063】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がタングステンのタングステン化合物の具体例として
は、三酸化タングステン、タングステン酸、タングステ
ン酸ナトリウム、テトラフルオロオキシタングステン、
ジフルオロジオキシタングステン等が挙げられる。タン
グステン化合物の主な供給形態としては6価の化合物で
あることが望ましい。
【0064】一般式(1)で表される化合物のうち、M
が硼素の硼素化合物の具体例としては、三酸化二硼素、
硼酸、メタ硼酸ナトリウム、オルト硼酸カリウム、硼酸
トリn−ブチル、硼酸o−フェニレン、メチルボロン
酸、フェニルボロン酸ジエチル、ジフェニルボリン酸、
ジフェニルボリン酸フェニル、トリシクロヘキシルボロ
キシン等が挙げられる。硼素化合物の一般的な供給形態
については、3価の化合物であることが望ましい。
【0065】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がゲルマニウムのゲルマニウム化合物の具体例として
は、二酸化ゲルマニウム、二水酸化酸化ゲルマニウム、
四水酸化ゲルマニウム、テトラ(n−プロポキシ)ゲル
マニウム、トリ(n−ブトキシ)メチルゲルマニウム、
トリ(イソプロポキシ)水酸化ゲルマニウム等が挙げら
れる。ゲルマニウム化合物の一般的な供給形態は4価の
化合物であることが望ましい。
【0066】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がインジウムのインジウム化合物の具体例としては、三
酸化二インジウム、三水酸化インジウム、トリ(n−ブ
トキシ)インジウム等が挙げられる。インジウム化合物
の主な供給形態は3価の化合物であることが望ましい。
【0067】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がアンチモンのアンチモン化合物の具体例としては、三
酸化二アンチモン、酢酸オキシアンチモン、二カリウム
二酒石酸二アンチモン、トリエトキシアンチモン、五酸
化アンチモン、ピロアンチモン酸カリウム、アンチモン
酸等が挙げられる。アンチモン化合物の主な供給形態は
3価、4価又は5価の化合物であることが望ましい。
【0068】一般式(1)で表される化合物のうち、M
がテルルのテルル化合物の具体例としては、二酸化テル
ル、亜テルル酸、テルル酸、テトラエトキシテルル等が
挙げられる。テルル化合物の主な供給形態は4価又は6
価の化合物であることが望ましい。
【0069】一般式(1)で表される化合物のうち、M
が希土類元素の希土類元素化合物の具体例としては、主
にスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、
ネオジム、或いはこれらの希土類元素の混合物であると
ころのジジム等の化合物が使用される。希土類元素化合
物の具体例としては、三酸化二イットリウム、三水酸化
ランタン、四水酸化セリウム、酢酸ネオジム、トリイソ
プロポキシランタン、テトラ(n−ブトキシ)セリウ
ム、トリス(ジアセチルメチル)スカンジウム等が挙げ
られる。希土類元素化合物の主な供給形態は3価又は4
価の化合物であることが望ましい。
【0070】これら一般式(1)で表される化合物の使
用量は必ずしも限定的ではないが、通常、触媒としての
パラジウム化合物のパラジウム1モルに対して0.1〜
10000モル、好ましくは1〜1000モルの範囲か
ら選択される。
【0071】本発明方法においては、反応液中のパラジ
ウム化合物又はリン化合物を安定化させる目的で、或い
は、所望の不飽和アルコール化合物への反応性や選択性
を高める等の目的で、反応液中に塩基性化合物を存在さ
せることもできる。塩基性化合物としては、アミン化合
物、ピリジン誘導体、アミド類等が挙げられ、これらの
うち、特にアミン化合物が好ましい。使用するアミン化
合物は特に限定されないが、2級以下のアミン化合物を
用いた場合には共役アルカジエンとの反応副生成物を与
えることがあるので、3級アミン化合物が最も好まし
い。具体的なアミン化合物の例としては、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブ
チルアミン、トリオクチルアミンなどで代表されるトリ
アルキルアミン類、1−(N,N−ジメチルアミノ)−
2−プロパノール、1−(N,N−ジチメルアミノ)−
3−ブタノールなどのアミノアルコール類、ピリジン、
2,6−ジメチルピリジン等のヘテロ芳香族アミン、及
びN,N−ジメチル−2−メトキシエチルアミン、N,
N−ジメチル−3−エトキシプロピルアミン等のアルコ
キシアルキルアミン類、N−メチルピロリジン、N−メ
チルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジ
メチルピペラジン等の環状アミン類、N,N,N’,
N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,
N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン
等のアルキレンジアミン類などが挙げられる。これらの
うち反応成績、沸点、溶解性、価格などの諸点を考慮す
ると、トリエチルアミンが特に好ましい。
【0072】このようなアミン化合物の使用量は、通
常、共役アルカジエン1重量部に対して、0.01〜2
0重量部、好ましくは、0.1〜5重量部の範囲から任
意に選択される。
【0073】本発明において、共役アルカジエンと水と
の反応を行うに当って、反応をより円滑に行うためには
溶媒を使用するのが好適である。使用できる溶媒として
は、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチ
レングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケト
ン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニト
リル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン等のアルカン類、ヘキセン、オクテン等
のアルケン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
類、スルホラン等のスルホン類、ニトロベンゼン、ニト
ロメタン等のニトロ化合物、ピリジン、α−ピコリン等
のピリジン誘導体、アセトアミド、プロピオンアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド
類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−
ブタノール、n−アルカノール等のアルコール類、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸類などが
例示される。かかる溶媒は、各々単独で使用しても、2
種以上の混合溶媒として使用しても良い。溶媒として、
特に低級アルコールを使用する場合には、アルコキシア
ルカジエン等の副生成物の生成を伴い、低級カルボン酸
を使用する場合には、アシルオキシアルカジエン等の副
生成物の生成を伴い、反応系を複雑にする可能性がある
ので、いずれの場合も注意を要する。
【0074】溶媒を使用する場合、その使用量は必ずし
も限定的ではないが、通常、共役アルカジエン1重量部
に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量
部の範囲から任意に選択される。
【0075】共役アルカジエンと水とを反応させるため
の反応温度は、室温から180℃程度の範囲から選択す
ることができるが、一般的には50〜130℃程度の温
度範囲、好ましくは、75〜110℃の温度範囲で選択
される。反応圧力は常圧から200kg/cm2 程度の
範囲から選択される。この際、二酸化炭素の他に窒素、
ヘリウム、アルゴン等の反応に不活性な気体を共存させ
ることも可能である。
【0076】本発明においては、上記の反応原料、反応
条件にて共役アルカジエンと水とを反応させて共役アル
カジエンの多量化によって得られた骨格を有する不飽和
アルコール類を生成させる。なお、本発明の方法は、連
続式、半連続式、及び回分式操作を含む周知の技術を用
いて実施し得る。この反応により得られる反応生成液中
には、触媒、主生成物である不飽和アルコール、副生成
物の不飽和炭化水素類、不飽和エーテル類、有機カルボ
ン酸及びエステル類、並びに溶媒、未反応の共役アルカ
ジエンや水等が含有されている。
【0077】原料共役アルカジエンが、1,3−ブタジ
エンの場合、1,3−ブタジエンの偶数量化によって得
られた骨格を有する不飽和アルコールとしては、オクタ
−2,7−ジエン−1−オール、オクタ−1,7−ジエ
ン−3−オール、6−ビニル−2,8,13−テトラデ
カトリエン−1−オールが、副生成物としては、オクタ
トリエン類、ヘキサデカテトラエン類、ジオクタジエニ
ルエーテル類、有機カルボン酸及びエステル類が挙げら
れる。
【0078】本発明に方法によれば、パラジウム化合
物、リン原子に異なる2種以上の原子が結合した3価リ
ン化合物、及び、前記一般式(1)で表される化合物を
触媒として用いることにより、触媒成分が有効に作用す
るため、1,3−ブタジエンと水との反応において、従
来公知の不飽和アルコールであるオクタ−2,7−ジエ
ン−1−オール、及び、オクタ−1,7−ジエン−3−
オールを高収率で取得することが可能であり、しかも1
−オクタノールの原料となるオクタ−2,7−ジエン−
1−オールを高選択率で取得することができる。
【0079】反応後は、不飽和アルコール類を、例えば
特開昭54−144306号公報に記載されたような蒸
留法、特開昭57−134427号公報に記載されたよ
うな抽出法などを適用することにより、反応生成液中か
ら分離することができる。
【0080】
【実施例】次に実施例により本発明の具体的態様を更に
詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以
下の実施例によって限定されるものではない。
【0081】実施例1 内容積200mlのステンレス製オートクレーブに、窒
素ガス雰囲気下で0.125ミリモルの酢酸パラジウ
ム、2.06ミリモルのフェニル(2,2’−メチレン
ビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ))ホス
フィン、3.24ミリモルのビス(アセチルアセトナ
ト)オキソチタン、47mlのt−ブタノール、6.7
mlの水及びガスクロマトグラフィ分析のための内部標
準物質として1.5mlのo−キシレンを仕込み、更に
13.03gの1,3−ブタジエンを導入した。反応混
合液を800rpmの速度で撹拌しながら20分かけて
内温が75℃になるまで加温した。75℃で4時間反応
を継続した後、ガスクロマトグラフィで反応生成液を分
析した結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率とし
て、25.1%の2,7−オクタジエン−1−オール
(以下、「1−HOD」と記載する。)、2.2%の
1,7−オクタジエン−3−オール(以下、「3−HO
D」と記載する。)、3.6%の6−ビニル−2,8,
13−テトラデカトリエン−1−オール(以下、「1−
HHDT」と記載する。)が得られた。また、反応終了
後、反応生成液のP−NMRを測定したところ、1部、
使用したホスホナイト及びホスホナイトオキサイド以外
のリン化合物が検出された。
【0082】実施例2 実施例1において、リン化合物をフェニルジ(2,4−
ジメチル−6−(1,1,2−トリメチルプロピル)フ
ェノキシ)ホスフィンに変え、その使用量を1.0ミリ
モルとし、また、アセチルアセトンチタン(IV)塩の代
わりにテルル酸3.19ミリモルを用い、反応時間を1
時間とした他は同様に反応を行った。その結果、仕込
1,3−ブタジエン当りの収率として、11.6%の1
−HOD、0.7%の3−HOD、2.6%の1−HH
DTが得られた。
【0083】実施例3 実施例1において、リン化合物をジフェニル(2,6−
ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)ホスフィンに
変え、その使用量を1.0ミリモルとし、アセチルアセ
トンチタン(IV)塩の代わりにテトラ(n−ブトキシ)
チタン3.23ミリモルを使用し、反応時間を5時間と
した他は同様に反応を行った。その結果、仕込1,3−
ブタジエン当りの収率として、13.4%の1−HO
D、1.3%の3−HODが得られた。1−HHDTは
得られなかった。
【0084】実施例4 実施例1において、アセチルアセトンチタン(IV)塩の
代わりにモリブデン酸3.21ミリモルを使用し、更
に、トリエチルアミンを3ml添加し、反応時間を5時
間とした他は同様に反応を行った。その結果、仕込1,
3−ブタジエン当りの収率として、47.8%の1−H
OD、2.7%の3−HODが得られた。1−HHDT
は得られなかった。また、反応終了後、反応生成液のP
−NMRを測定したところ、使用したホスホナイト及び
ホスホナイトオキサイド以外のリン化合物は全く検出さ
れなかった。
【0085】比較例1 実施例1において、リン化合物をトリフェニルホスフィ
ンに変え、反応時間を3時間とした他は同様に反応を行
った。その結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率と
して、2.0%の1−HOD、0.6%の3−HODが
得られた。1−HHDTは得られなかった。
【0086】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の不飽和アル
コールの製造方法によれば、共役アルカジエンと水とを
反応させて、共役アルカジエンの水和偶数量化物である
不飽和アルコールを高収率かつ高選択率で得ることがで
きる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役アルカジエンと水とを触媒の存在下
    に反応させて、該共役アルカジエンの多量化によって得
    られた骨格を有する不飽和アルコールを製造する方法に
    おいて、触媒として、パラジウム化合物、リン原子に異
    なる2種以上の原子が結合した3価リン化合物、及び、
    下記一般式(1)で示される化合物を用いることを特徴
    とする不飽和アルコールの製造方法。 Mab (OR)c R’defg ……(1) ((1)式中、 Mは周期律表3A族、4A族、5A族、6A族、硼素、
    インジウム、ゲルマニウム、アンチモン及びテルルより
    なる群から選ばれる少なくとも1種であり、 Rは水素、置換基を有していても良い炭化水素基、有機
    珪素基又はアシル基を表し、 R’は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、 Lは中性配位子を表し、 Xは有機又は無機の陰イオンを表し、 Zは水素又は金属陽イオンを表し、 aは正の整数、b,c,d,e,f及びgは0又は正の
    整数であり、b+c+dは1以上である。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、該3価
    リン化合物が、ホスホナイトであることを特徴とする不
    飽和アルコールの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法において、該3価
    リン化合物が、ホスフィナイトであることを特徴とする
    不飽和アルコールの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の方法において、塩基性化合物の存在下に反応を行うこ
    とを特徴とする不飽和アルコールの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6168893B1 (en) 1998-11-04 2001-01-02 Fuji Electric Imaging Device Co., Ltd. Electrophotographic photoconductor and method for production thereof

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6168893B1 (en) 1998-11-04 2001-01-02 Fuji Electric Imaging Device Co., Ltd. Electrophotographic photoconductor and method for production thereof

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