JPH095715A - 高分子液晶デバイスの作製方法 - Google Patents

高分子液晶デバイスの作製方法

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JPH095715A
JPH095715A JP17043195A JP17043195A JPH095715A JP H095715 A JPH095715 A JP H095715A JP 17043195 A JP17043195 A JP 17043195A JP 17043195 A JP17043195 A JP 17043195A JP H095715 A JPH095715 A JP H095715A
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polymer liquid
roll
layer
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JP17043195A
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English (en)
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Kazushirou Akashi
量磁郎 明石
Masanobu Ninomiya
正伸 二宮
Takashi Uematsu
高志 植松
Yuichi Yashiki
雄一 矢敷
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子液晶層が基材裏面や高分子液晶層同士
と接着する等の問題を生じることがなく、生産性の向上
した高分子液晶デバイスの作製方法を提供する。 【構成】 連続したシート状基材の少なくとも一面に高
分子液晶を含む組成物よりなる組成物層を形成した後、
ロール状に巻き取り、ロール状物の状態で該組成物のガ
ラス転移点(Tg)以下の温度領域において該組成物が
所定の架橋反応率になるように予備架橋させ、次いでロ
ール状物の状態で該組成物の液晶相を示す温度領域にお
いてさらに架橋させることによって、高分子液晶デバイ
スを作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子液晶を含む組成
物を架橋してなる高分子液晶デバイスおよびその作製方
法に関するものである。本発明の高分子液晶デバイス
は、光変調素子、調光素子、リライタブル記録素子、光
散乱デバイス、光学補償素子、配向膜等に応用可能な有
用なものである。
【0002】
【従来の技術】高分子液晶は新規な機能材料として注目
されている。これを応用して外部刺激によって可逆的に
画像の記録を行うことができるリライタブル記録素子、
光記録素子、さらには光学補償素子、配向膜(特開昭6
3−223066号公報、特開昭63−14114号公
報、特開平2−42415号公報、特開平2−3021
号公報、特開平3−59622号公報参照)等が知られ
ている。一般に、これらの素子では基材の上に高分子液
晶よりなる層が形成された構成からなり、これらは、例
えば、Polym.Commun.Vol.24,36
4(1983)およびJapan Display,2
90(1986)等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、フィルム等の
シート上基材上に機能層を形成してデバイスを作製する
場合、機能層の構成材料を溶剤等に溶解させて塗布し、
或いは加熱溶融して塗布する方法が実施される。生産効
率上、フィルムはロール状に巻き取られた状態のものを
使用し、これから一定のフィルムを供給して機能層層を
形成する工程(塗布工程、乾燥工程)を経た後に、もと
の形状であるロール状に巻き取られて一旦保管される。
さらに、この機能層に上にさらに他の層を形成する場合
には、機能層を形成したロール状物からフィルムを供給
し、上記と同様に層形成工程を施した後、再びロール状
に巻き取られてロール状物として収納され、最後に所望
の大きさに切り出してデバイスとする。
【0004】しかしながら、高分子液晶を上記の方法に
適用すると種々の問題が発生する。例えば、シート基材
上に高分子液晶層を形成しロール状物とする工程におい
て、高分子液晶の種類によっては、ロール状態において
高分子液晶が隣接するシート基材裏面に接着してしま
い、次工程において高分子液晶層の剥離による脱離等に
よって、デバイスの作製が困難になる。この現象は、特
性向上を目的として熱処理(加熱)によって、高分子液
晶層を架橋させる場合に特に著しくなる。すなわち、高
分子液晶層の熱処理は一般にロール状物の状態で実施す
るために、高分子液晶層がシート基材裏面と接着する等
の現象が顕著になり、デバイスの作製が益々困難になる
という問題があった。
【0005】したがって、本発明は従来の技術における
上記の問題を解決することを目的としてなされたもので
ある。すなわち、本発明の目的は、重ねられた状態で架
橋処理が施される場合に、高分子液晶層が基材裏面や高
分子液晶層同士と接着する等の問題を生じることがな
く、生産性の向上した高分子液晶デバイスの作製方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の高分子液晶デバイスの作製方法は、基材の少なくと一
面に高分子液晶を含む組成物よりなる組成物層を形成
し、該組成物のガラス転移点(Tg)以下の温度領域に
おいて該組成物が所定の架橋反応率になるように予備架
橋させ、次いで該組成物の液晶相を示す温度領域におい
てさらに架橋させることを特徴とする。この場合、連続
したシート状基材の少なくとも一面に高分子液晶を含む
組成物よりなる組成物層を形成した後、ロール状に巻き
取り、ロール状物の状態で予備架橋させ、次いでロール
状物の状態でさらに架橋させることができる。
【0007】本発明の第2の高分子液晶デバイスの作製
方法は、基材の少なくと一面に、高分子液晶を含む組成
物よりなる組成物層を形成し、該組成物のガラス転移点
(Tg)以下の温度領域において該組成物が所定の架橋
度になるまで予備架橋を行い、該予備架橋させた組成物
層の上に保護層を形成し、次いで該組成物の液晶相を示
す温度領域においてさらに架橋させることを特徴とす
る。この場合、連続したシート状基材の少なくとも一面
に高分子液晶を含む組成物よりなる組成物層を形成した
後、ロール状に巻き取り、ロール状物の状態で予備架橋
を行い、次いで連続したシート状基材を送り出して予備
架橋させた組成物層の上に保護層を形成し、次いでロー
ル状に巻き取った後ロール状物の状態でさらに架橋させ
ることができる。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。図1
(a)〜(c)は、本発明によって作製された高分子液
晶デバイスの模式的断面図であって、1は基材、2は高
分子液晶を含む組成物よりなる組成物層(以下、「高分
子液晶層」という。)、3は保護層、4は光反射層であ
る。図1(a)は本発明の第1の高分子液晶デバイスの
作製方法によって得られた場合を示し、図1(b)およ
び(c)は本発明の第2の高分子液晶デバイスの作製方
法によって得られた場合を示す。
【0009】まず、本発明の高分子液晶デバイスを構成
する各層の構成成分について説明すると、基材として
は、シート状基材として、ポリエステル樹脂、ポリエー
テル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン
樹脂、ポリカーボネート樹脂、テフロン樹脂に代表され
る樹脂よりなるプラスチックフィルム、種々の金属より
なる金属フィルム、紙、コーティング紙等を用いること
が好ましい。その厚みは1〜1,000μmの範囲から
選択され、より好ましくは10〜200μmの範囲であ
る。また、シート以外の形状を有する基材を使用するこ
ともできる。シート状基材の場合、生産性の上から連続
したシート状基材をロール状に巻き取ったロール状物が
好ましく使用される。
【0010】基材の少なくとも一面に形成する高分子液
晶層は、高分子液晶を含む組成物(以下、「高分子液晶
組成物」という。)より構成される。高分子液晶として
は、主鎖または側鎖にメソゲン(液晶性を示す分子)が
結合された主鎖型および側鎖型分子液晶等が知られてい
るが、本発明の高分子液晶組成物では特に側鎖型高分子
液晶が好ましく使用される。本発明において使用する高
分子液晶は、熱、光、電子線等の外部刺激によって架橋
されるものであるが、架橋の目的に使用される高分子液
晶としては主鎖または側鎖の1成分として反応性基を含
有したものが好ましく使用され、この反応性基を利用し
て所望によって触媒や多官能反応性化合物を添加して架
橋を行うことが可能になる。反応性基としては、ビニル
基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシ基等
の複素環基およびやイソシアネート基等の付加や重合可
能な基、水酸基、アミノ基、酸アミド基、チオール基、
カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、金属アルコ
ラート基、マグネシウムハライド基(グリニヤール試
薬)等が好ましい。このような反応性基は反応性基をも
つモノマーを共重合や共付加等して高分子液晶に導入す
ることができる。
【0011】高分子液晶は、通常、重合可能なメソゲン
化合物(メソゲンモノマーと呼ぶ)を重合するか、ある
いは水素化ポリシリコーン等の反応性ポリマーに付加反
応可能なメソゲン化合物を付加させて製造することがで
きる。このような技術はMakromol.Che
m.,179,p273(1978)、Eur,Pol
ym.J.,18,p651(1982)およびMo
l.Cryst.Liq.Cryst.,169,p1
67(1989)等に開示されている。本発明に使用さ
れる高分子液晶も同様な方法で製造することができる。
メソゲンモノマーおよび付加反応可能なメソゲン化合物
としては、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、シ
クロヘキシルベンゼン系、アゾキシベンゼン系、アゾベ
ンゼン系、アゾメチン系、フェニルピリミジン系、ジフ
ェニルアセチレン系、ビフェニルベンゾエート系、シク
ロヘキシルビフェニル系、ターフェニル系等の剛直な分
子(メソゲン)に、好ましくは所定の長さのアルキルス
ペーサーを介して、アクリル酸エステル基、メタクリル
酸エステル基またはビニル基が結合した種々の化合物等
が代表的なものとしてあげられる。
【0012】これらの化合物の代表的な構造例を下記に
示す。これらは代表的な構造例であって本発明はこれに
限定されるものではない。 CH2 =C(R)−COO−(CH2 −O−A CH2 =C(R)−COO−A CH2 =CH−(CH2 −O−A 〔式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、lは1
〜30の中から選ばれる整数を表し、Aは下記構造のメ
ソゲン基を表す。
【0013】
【化1】 (式中、XおよびYは、それぞれ単結合、−N=N−、
−N(→O)=N−、−CH=N−、−N=CH−、−
COO−、−C−CO−、エチニレン基から選択される
基を表し、R1 はアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ
基、カルボキシル基、アルキル基から選択される基を表
し、pは1〜5の中から選択される整数を示し、pが2
以上の場合、それぞれのR1 は異なるものであってもよ
い。)〕
【0014】また、架橋可能にするために用いられる共
重合あるいは共付加させる反応性モノマー化合物として
は、例えば、(メタ)アクリル酸、ω−カルボキシ−ポ
リカプロラクトン−モノ(メタ)アクリレート、スルホ
ン酸ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メ
タ)アクリロキシエチルアシッドフォスフェート、2−
ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−(メタ)アクリロキシエチルサクシネート、
フタル酸モノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アク
リロキシエチル(2−ヒドロキシエチル)フタレート、
4−(メタ)アクリロキシアルキルオキシ−ベンゾイッ
クアシッド、グリセリル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシ基置換スチレン、メタ(アクリル)アミド、N,N
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N
−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、2−プロペン−1−オー
ル、5−ヘキセン−1−オール等をあげることができ
る。ここで例示したものは一例であって、特に限定する
ものではない。さらに、記録像のコントラストの向上や
熱特性の最適化に有益である化合物として、(メタ)ア
クリル酸アルキルおよびその誘導体、スチレンおよびそ
の誘導体、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロリドン、1−ヘ
キセン、1−オクテン等があげられ、これ等も好ましく
共重合あるいは共付加される。
【0015】上記した種々のモノマー化合物の、高分子
液晶中への共重合または共付加量は、単量体単位として
0.1モル%〜70モル%の範囲が好ましい。本発明の
高分子液晶は上記したメソゲンモノマーや種々反応性モ
ノマーや化合物を所定量配合し、ラジカル重合やイオン
重合あるいは反応性ポリマーに付加させることにより、
単独重合(付加)あるいは共重合(付加)して合成する
ことができる。高分子液晶の分子量は、重量平均分子量
で1,000〜100万の範囲、特に好ましくは1万〜
50万の範囲である。
【0016】高分子液晶組成物には、架橋のために触媒
または架橋剤である多官能反応性化合物が添加される。
好ましく添加される触媒としては、各種紫外線重合開始
剤、熱重合開始剤等が、多官能反応性化合物としては多
官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物、多
官能メラミン化合物、多官能アルデヒド化合物、多官能
アミン化合物、多官能カルボキシル化合物があげられ、
特に熱架橋に適した重合開始剤、多官能イソシアネート
化合物、多官能エポキシ化合物、多官能メラミン化合
物、多官能アルデヒド化合物、多官能アミン化合物、多
官能カルボキシル化合物が好ましい。触媒及び多官能反
応性化合物の添加量は、高分子液晶組成物に対して0.
1〜50重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは
0.5〜20重量%の範囲に設定される。
【0017】高分子液晶組成物には、耐候性の向上を目
的として、ヒンダードアミンやヒンダードフェノール等
の各種酸化防止剤を添加してもよく、また、アントラキ
ノン系、スチリル系、アゾメチン系やアゾ系等の各種二
色性色素や各種蛍光色素を添加してもよい。さらにま
た、各種レーザー光吸収色素(フタロシアニン、スクア
リリウムやアズレニウム等の近赤外吸収色素が使用可
能)を添加することが好ましい。以上に列挙した種々成
分の添加量は、組成物中に0.01〜5重量%の範囲が
好ましい。さらに、低分子液晶化合物を1〜20重量%
の範囲内で添加しても構わない。
【0018】高分子液晶層の上には、表面劣化を防止す
るための保護層を設けることができる。保護層は耐熱性
の高いものが望ましく、フッ素系樹脂、シリコーン系樹
脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹
脂等が使用可能である。保護層は複数層積層されていて
もよく、また、保護層の厚みは好ましくは0.1〜20
μmの範囲から選択される。
【0019】本発明において、光散乱型のデバイスの場
合に光散乱度を向上させるために好ましくは、光反射層
を設けてもよい。光反射層はシート状基材と高分子液晶
層との間、あるいはシート状基材の裏面に好ましく形成
される。その材料としてはアルミニウム、銀、錫、マグ
ネシウム、金、白金等の金属膜が好ましく使用され、蒸
着やスパッタリング法等により形成される。その好まし
い厚みは1nm〜100μmの範囲である。
【0020】次に、本発明の特徴である作製方法につい
てシート状基材上へ高分子液晶組成物を形成した高分子
液晶デバイスの作製を例に説明する。 (高分子液晶層の形成)シート状基材としては、生産性
の上から好ましくはロール(巻)状物を使用し、シート
状基材を一定速度で送り出し、その少なくとも一面に溶
剤を用いて作製された塗布液を塗布法等によって塗布
し、乾燥して高分子液晶層(高分子液晶および触媒等と
の混合物)を形成し、乾燥して巻き取り、再びロール状
物とする。上記高分子液晶層の形成には、ブレードコー
ター、グラビアコーター、ダイコーター等一般的な塗布
法を採用することができる。高分子液晶層の好ましい膜
厚は、0.1〜50μmの範囲から選択されるが、より
好ましくは1〜20μmの範囲である。
【0021】(高分子液晶層の予備架橋)ロール状物の
状態で、該高分子液晶組成物のガラス転移点(Tg)以
下の温度範囲において第1段目の予備架橋を実施する。
予備架橋および後述する第2段目の最終架橋は、熱、
光、電子線等の外部刺激によって架橋反応する方法が実
施される。高分子液晶を架橋させる技術の一例は、Ma
kromol.Chem.Rapid Commu
n.,Vol.2,317(1981)、Makrom
ol.Chem.Vol.188,667(198
7)、Angew.Chem.Adv.Mater.,
Vol.101,1437(1989)、Makrom
ol.Chem.Vol.187,1915(198
9)等に開示されている。また、本発明における予備架
橋および最終架橋においては好ましい特性をうるため
に、特に熱架橋反応が好ましく適用される。その際の架
橋反応する温度は、高分子液晶組成物の種類によって種
々選択されるが、予備硬化の場合には、使用される高分
子液晶組成物のTg以下の温度で行い、(Tg−80)
℃までの温度範囲が好ましい。(Tg−80)℃よりも
低い温度では架橋反応に時間を要し、生産効率が低下す
る恐れがある。架橋反応率、すなわち架橋反応の程度に
ついては、加える多官能化合物、つまり架橋剤の反応率
あるいは高分子液晶中の反応性基の反応率として捉える
ことが可能であるが、いずれの場合においても最終的に
100%反応した場合を基準にして、特定の反応率を架
橋反応率と定義する。予備架橋の段階のおける架橋反応
率は、5%〜80%の範囲が好ましく、より好ましくは
10%〜60%の範囲である。架橋反応率が5%よりも
低いと耐溶剤性、物理強度等が低く、次工程において種
々の問題が発生する危険がある。
【0022】(高分子液晶層の最終架橋)ガラス転移点
(Tg)よりも低い温度範囲においての予備架橋が終了
した後、ロール状物の状態で、該生成物の液晶相を示す
温度領域にてさらに架橋反応を行う。この場合、ガラス
転移点(Tg)よりも低い温度範囲から液晶相を示す温
度領域まで連続的に昇温させてもよく、不連続に昇温さ
せてもよい。液晶相を示す温度領域は、一般的にガラス
転移点(Tg)から透明化点(Tcl)の間の温度領域
を示す。これらの温度領域は使用する高分子液晶によっ
て異なるが、一般に0℃以上200℃以下の温度範囲が
好ましく、より好ましくは20℃以上150℃以下の温
度範囲である。液晶相を示す温度領域において架橋を行
うことによって、架橋反応が短時間に終了することのみ
ならず、高分子液晶組成物の物性に優れた作用を与え
る。Tg以下の温度では、反応速度が低いため、80%
以上の架橋反応率を得るのに時間を要し、生産性が悪化
する。この第2段目の最終架橋における架橋反応率は、
90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上であ
る。
【0023】本発明において作製される高分子液晶デバ
イスが、光散乱を利用する用途に使用されるものの場合
には、高分子液晶組成物のミクロ構造をマルチドメイン
構造の状態で予備架橋または最終架橋させることが好ま
しい。マルチドメイン構造とは光学異方性(複屈折率)
を持つ複数の微小なドメインの集合体からなる構造を呼
び、光を強く散乱する。高分子液晶組成物を光学異方性
を持つ特定の大きさのドメインの集合体からなるマルチ
ドメイン構造の状態で架橋させることにより、安定な光
散乱構造を得ることができる。このような構造はリライ
タブル記録素子への応用においては、優れた調光特性と
ともに高速かつ安定な消去特性が実現される。特にマル
チドメイン構造における、ドメインの大きさがドメイン
の分布数の極大において、その直径で0.2〜2.0μ
mの範囲にある場合、最も強く光を散乱することから好
ましい。
【0024】(保護層の形成)本発明においては、必要
により保護層を形成するが、その場合、最終的に架橋反
応の終了した後に高分子液晶層上に形成することも可能
であるが、第1段目の予備架橋が終了した時点で形成す
ることが好ましい。これによって、第2段目の最終架橋
に際して、高温で短時間に架橋反応を行うことができ
る。なお、保護層を形成せずに第2段目の最終架橋を実
施する場合には、基材裏面と高分子液晶層との接着が起
こりやすくなるので、保護層を設けた方が好ましい。上
記の保護層は、ブレードコーター、グラビアコーター、
ダイコーター等一般的な塗布法を用いて形成することが
できる。最後に、高分子液晶層を形成したロール状物か
らフィルム基材を所望の大きさに切り出して、高分子液
晶デバイスが作製される。
【0025】
【実施例】
実施例1 (基材)ロール状に巻き取られたアルミニウム蒸着ポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルム(長さ20
0m、幅40cm、厚み75μm)を使用した。 (高分子液晶組成物の調製)メソゲンモノマーとして、
4−アクリロキシヘキシルオキシ−4′−シアノ−ビフ
ェニルと、反応性モノマーとして、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートとを、AIBNを開始剤とし、メチル
エチルケトン(MEK)を溶媒として用いて重合した。
得られた生成物をエチルアルコールを用いて3回沈殿精
製し、分子量約10万の下記構造式(I)で示される高
分子液晶約1.0Kgを合成した。この高分子液晶のT
gは約40℃、液晶を示す温度範囲は40℃から115
℃の範囲であった。
【化2】 上記高分子液晶300gに、架橋剤として多官能イソシ
アネート化合物である4,4′−ジフェニルメタジイソ
シアネート12g、溶剤としてMEK/トルエン(重量
比1/1)900gを加えて高分子液晶組成物を調製し
た。架橋剤を加えた高分子液晶組成物のTgは約35
℃、液晶を示す温度範囲は35℃から105℃の範囲で
あった。
【0026】(高分子液晶組成物の塗布)ロール状に巻
き取られたアルミニウム蒸着PETフィルムのロール状
物からフィルムを送り出し、高分子液晶組成物の溶液を
グラビアロールを用いて約100mに連続して塗布し、
90℃の熱風で乾燥させて、膜厚約5μmの高分子液晶
層を形成した。次いでロール状に巻き取った。高分子液
晶組成物層は光を散乱させ、白濁していた。 (予備架橋)高分子液晶層が形成されたフィルムロール
を、使用した高分子液晶組成物のTg以下の温度である
25℃に設定された保温室に入れて、24時間保持して
予備架橋させた。処理後、高分子液晶組成物中の架橋剤
を定量分析した結果、架橋反応率(イソシアネートの反
応率)は約30%であった。 (最終架橋)予備架橋の終了したフィルムロールを、使
用した高分子液晶組成物の液晶相を示す温度である45
℃に設定された保温室に入れて、72時間保持して架橋
させた。熱処理後の高分子液晶組成物の架橋反応率(イ
ソシアネートの反応率)は約95%以上であった。熱処
理終了後、このフィルムロールからフィルムを切り出す
ことによって高分子液晶デバイスを作製することができ
た。この場合、フィルムを送り出した際にフィルム裏面
と高分子液晶組成物層との接着は起こらなかった。
【0027】実施例2 実施例1の予備架橋までの工程について同様な手順で処
理を行ない、フィルムロールを作製した。 (保護層の形成)予備硬化された高分子液晶層を有する
フィルムロールからフィルムを送り出し、高分子液晶層
上に紫外線硬化組成物(アロニックスUV、東亜合成社
製)をグラビアロールを用いて連続的に塗布し、高圧水
銀ランプを用いて硬化することによって、膜厚約2μm
の保護層を形成した。その後、ロール状に巻き取った。
上記のフィルムの送り出しにおいて、フィルム裏面と高
分子液晶組成物層との接着は起こらなかった。 (最終架橋)上記フィルムロールを、使用した高分子液
晶組成物の液晶相を示す温度である60℃に設定された
保温室に入れて、48時間保持し、高分子液晶組成物を
架橋させた。処理後、高分子液晶組成物の架橋反応率
(イソシアネートの反応率)は約99%であった。上記
のフィルムロールからフィルムを切り出すことにより、
高分子液晶デバイスを作製した。この高分子液晶デバイ
スは、サーマルヘッド方式の感熱プリンターを用いるこ
とにより、白濁した背景に銀色の画像を記録することが
可能であり、熱ローラーを用いて加熱することにより画
像を消去することができた。
【0028】比較例1 実施例1の予備架橋の工程において、使用した高分子液
晶組成物のTg以上の温度である45℃で架橋を実施し
た。その結果、フィルム裏面と高分子液晶組成物層が接
着し、次の工程においてフィルムを送り出すことができ
ず、高分子液晶デバイスを作製することができなかっ
た。 比較例2 実施例2において予備架橋の工程を実施せずに、高分子
液晶組成物層を形成後、直ちに保護層を形成し、最終架
橋の工程を実施したところ、作製されたものは高分子液
晶層が部分的に透明化したり、あるいは保護層に亀裂を
生じる現象が発生し、満足な特性を持つデバイスを得る
ことができなかった。 比較例3 実施例1および2の予備架橋の工程において、全く同一
の条件下で90%以上の架橋反応率を得る目的で処理し
た。しかしながら、1か月経過後の架橋反応率は約70
%であった。Tg以下の温度では架橋反応が非常に遅
く、作製に長時間を要し、効率が低いことが判明した。
【0029】
【発明の効果】本発明の高分子液晶デバイスの作製方法
によれば、高分子液晶組成物のガラス転移点(Tg)よ
りも低い温度範囲において予備架橋を行い、次いで液晶
相を示す温度領域において最終架橋を実施することによ
り、基材等の上に高分子液晶層が基材裏面や高分子液晶
層同士と接触しても接着したり剥離する等の問題を起こ
すことがなく、したがって、高分子液晶デバイスの作製
においてロール状に巻き取られた状態で一時保管された
り、処理することができ、熱処理される一般的な工程に
おける不良の発生の抑制や生産性の向上等の効果を奏す
る。本発明によって得られる高分子液晶デバイスは、光
変調素子、調光素子、リライタブル記録素子、光散乱デ
バイス、光学補償素子、配向膜等に応用可能な有用なも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によって作製された高分子液晶デバイ
スの模式的断面図を示す。
【符号の説明】
1…基材、2…高分子液晶層、3…保護層、4…光反射
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢敷 雄一 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくと一面に高分子液晶を含む
    組成物よりなる組成物層を形成し、該組成物のガラス転
    移点(Tg)以下の温度領域において該組成物を所定の
    架橋反応率になるように予備架橋させ、次いで該組成物
    の液晶相を示す温度領域においてさらに架橋させること
    を特徴とする高分子液晶デバイスの作製方法。
  2. 【請求項2】 基材の少なくと一面に高分子液晶を含む
    組成物よりなる組成物層を形成し、該組成物のガラス転
    移点(Tg)以下の温度領域において該組成物を所定の
    架橋反応率になるように予備架橋させ、該予備架橋させ
    た組成物層の上に保護層を形成し、次いで該組成物の液
    晶相を示す温度領域においてさらに架橋させることを特
    徴とする高分子液晶デバイスの作製方法。
  3. 【請求項3】 連続したシート状基材の少なくとも一面
    に高分子液晶を含む組成物よりなる組成物層を形成した
    後、ロール状に巻き取り、ロール状物の状態で該組成物
    のガラス転移点(Tg)以下の温度領域において該組成
    物が所定の架橋反応率になるように予備架橋させ、次い
    でロール状物の状態で該組成物の液晶相を示す温度領域
    においてさらに架橋させることを特徴とする請求項1記
    載の高分子液晶デバイスの作製方法。
  4. 【請求項4】 連続したシート状基材の少なくとも一面
    に高分子液晶を含む組成物よりなる組成物層を形成した
    後、ロール状に巻き取り、ロール状物の状態で該組成物
    のガラス転移点(Tg)以下の温度領域において該組成
    物が所定の架橋反応率になるように予備架橋させ、次い
    で連続したシート状基材を送り出して予備架橋させた組
    成物層の上に保護層を形成し、次いでロール状に巻き取
    った後、ロール状物の状態で該組成物の液晶相を示す温
    度領域においてさらに架橋させることを特徴とする請求
    項2記載の高分子液晶デバイスの作製方法。
  5. 【請求項5】 架橋された高分子液晶を含む組成物層が
    光学異方性をもつマルチドメイン構造を有していること
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載
    の高分子液晶デバイスの作製方法。
JP17043195A 1995-06-14 1995-06-14 高分子液晶デバイスの作製方法 Pending JPH095715A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008122962A (ja) * 2006-11-08 2008-05-29 Leonhard Kurz Stiftung & Co Kg Lcdの製造プロセス

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