JP2887070B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子の製造方法

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JP2887070B2 JP7294994A JP7294994A JP2887070B2 JP 2887070 B2 JP2887070 B2 JP 2887070B2 JP 7294994 A JP7294994 A JP 7294994A JP 7294994 A JP7294994 A JP 7294994A JP 2887070 B2 JP2887070 B2 JP 2887070B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は外的作用によって光散乱
性を制御することが可能な光学素子の製造方法、具体的
には少なくとも高分子液晶からなる光学素子の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高分子液晶は新規な機能性材料として、
記録材料、表示材料への応用が検討されている。例え
ば、記録材料については、特開昭59−10930号公
報および特開昭63−223066号公報に、表示材料
については、特開昭62−14114号公報、特開平2
−2513号公報、およびPolym.Commun.
Vol.24,364(1983)、Japan Di
splay,260(1986)等に開示がなされてい
る。また、高分子液晶を架橋させる技術は、Makro
mol.Chem.Rapid Commun.,Vo
l.2,317(1981)、Makromol.Ch
em.,Vol.667,188(1987)、Ang
ew.Chem.Adv.Mater.,Vol.10
1,1437(1989)、Makromol.Che
m.,Vol.187,1915(1989)等に開示
され、エラストマー、新規な光変調素子や表示素子とし
て応用が期待されている。また主鎖型高分子液晶を架橋
させてサーマルヘッドによるダメージを低減させた表示
素子に関する技術については、特開平2−42415号
公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術の高分子液
晶を光散乱層として用いた光学素子や媒体においては、
表示特性(光学特性)が低いばかりでなく、熱を利用し
た記録/表示および消去を実施する構成のものにおいて
は、温度むら、冷却速度のむらによって表示特性の再現
性が悪くなることがしばしばあった。つまり高分子液晶
を用いた光学素子においては、その光散乱性(白さ)が
加熱後の冷却速度に大きく依存することから、均一かつ
大きな光散乱性を得るためには精密な冷却速度の制御が
必要であり、また光学素子を大面積化した場合には、白
さにむらが発生しないように大面積にわたった精密な温
度制御が必要であるという問題があった。したがって、
本発明は従来の技術における上記の問題を解決すること
を目的としてなされたものである。すなわち、本発明の
目的は、表示特性や調光特性等の光学特性や、記録/消
去の再現性、表示の均一性を大幅に高めた、少なくとも
高分子液晶からなる光散乱性組成物を用いた光学素子の
製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の光学素子の製造
方法は、高分子液晶組成物を熱処理することによって、
マルチドメイン構造を制御し、該マルチドメイン構造を
保持した状態で高分子液晶を架橋させることを特徴とす
る。すなわち、本発明の光学素子は、少なくとも高分子
液晶からなる光散乱性組成物を熱処理することによっ
て、その高分子液晶の内部構造を所望のドメイン径分布
を持つマルチドメイン構造にし、このマルチドメイン構
造を保持した状態でその高分子液晶を架橋させることを
特徴とするものであり、熱処理によってドメイン径を制
御し、マルチドメイン構造を保持した状態で該高分子液
晶を架橋させることに特徴がある。
【0005】本発明における高分子液晶組成物である
「少なくとも高分子液晶からなる光散乱性組成物」は、
組成物が液晶相を示す温度領域においてはマルチドメイ
ン構造を形成する。本発明における「マルチドメイン構
造」とは、性質の異なる複数の相から構成される構造を
意味する。この「マルチドメイン」を構成する一つ一つ
の「ドメイン」は、主としてそのドメイン内部の側鎖液
晶分子の配向性の違いによって形成されている。つま
り、一つのドメイン内部は液晶分子がほぼ同一方向に配
向した状態であり、配向の結果、一つのドメインに光学
的な異方性が生じ、他のドメインとは光学的に区別する
ことができる。「マルチドメイン構造」はこのような光
学異方性を示すドメインの集合体である。光散乱性の向
上には、個々のドメインの配向方向がランダムであるこ
とが望ましい。
【0006】本発明において、マルチドメイン構造は、
光散乱層として用いられるために、個々のドメインの大
きさが可視光の波長程度の大きさの集合であることが望
ましい。具体的なドメイン径の好ましい大きさは、ドメ
インの数分布の極大値が3μm以下、更に好ましくは2
00nm〜1500nmの範囲である。また、ドメイン
径分布範囲も、最小ドメイン径と最大ドメイン径との差
が5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは
1μm程度にほぼ均一である。このようなオーダーの大
きさおよび分布範囲のドメインを有するマルチドメイン
構造は、可視光波長を強く散乱し、白濁度が大きいこと
から好ましい。
【0007】本発明における高分子液晶組成物におい
て、マルチドメイン構造は、架橋前においては外部温度
によってそのドメインの大きさや密度を変化させること
ができる。つまり熱処理を施すことによって所望のオー
ダーの大きさのドメインを有するマルチドメイン構造に
して、より光散乱性の高い光散乱層へと変えることがで
きる。
【0008】次に、高分子液晶組成物に用いられる高分
子液晶について説明する。一般に高分子液晶は主鎖型高
分子液晶と側鎖型高分子液晶とに分類されるが、本発明
においては側鎖型高分子液晶の方が好ましく使用され
る。また、本発明では主鎖または側鎖の1成分として架
橋するための反応性の基を含有する高分子液晶が好まし
い。反応性の基としては、ビニル基、アクリレート基、
メタクリレート基等の重合性基、エポキシ基等の複素環
基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基、酸アミド
基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン
酸基、金属アルコラート基、マグネシウムハライド(グ
リニヤール)基等の反応性基が好ましいものとして利用
できる。
【0009】次にこのような高分子液晶の製造方法につ
いて説明する。通常、側鎖型高分子液晶は重合可能なメ
ソゲン化合物を重合するか、あるいは水素化ポリシリコ
ーン等の反応性ポリマーに付加反応可能なメソゲン化合
物を付加させることによって製造することができる。こ
のような技術は、Makromol.Chem.,p2
73,179(1978)、Eur,Polym.
J.,p651,18,(1982)およびMol.C
ryst.Liq.Cryst.,p167,169
(1989)等に開示されている。本発明に用いる高分
子液晶もこれ等に開示されているのと同様な方法で製造
することができる。すなわち、重合可能なメソゲン化合
物(メソゲンモノマー)を反応性基を持つ重合可能な化
合物(反応性モノマー)と共重合させるか、或いは、付
加反応可能なメソゲン化合物および反応性化合物を反応
性ポリマーに付加することによって製造することができ
る。本発明において使用することができる重合可能なメ
ソゲン化合物および付加反応可能なメソゲン化合物とし
ては、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、シクロ
ヘキシルベンゼン系、アゾキシベンゼン系、アゾベンゼ
ン系、アゾメチン系、フェニルピリミジン系、ジフェニ
ルアセチレン系、ビフェニルベンゾエート系、シクロヘ
キシルビフェニル系、ターフェニル系等の剛直な分子
(メソゲン)に、所定の長さのアルキルスペーサーを介
して、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル基や
ビニル基が結合した種々化合物等が代表的なものとして
あげられる。
【0010】これらの化合物の代表的な構造例を下記に
示す。 CH2 =C(R)−COO−(CH2 k −O−A CH2 =CH−(CH2 k −O−A [式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、kは1〜
30の中から選ばれる整数を示し、Aは下記構造のメソ
ゲンを表す。
【化1】 (式中、XおよびYは、それぞれ単結合、−N=N−、
−N(→O)=N−、−CH=N−、−N=CH−、−
COO−、−O(C=O)−およびエチニレン基から選
択される基を表し、pは1〜5の中から選択される整数
を示し、R1 はアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ
基、カルボキシル基、アルキル基から選択される基を表
し、pが2以上の場合、それぞれのR1 は異なるもので
あってもよい。)]
【0011】本発明に用いる高分子液晶は、上記のメソ
ゲン化合物に加えて前記した反応性基を持つ化合物(反
応性モノマー)を共重合或いは共付加させることによっ
て製造することができる。その際に使用される反応性基
を持つ化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、
ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン−モノ(メタ)ア
クリレート、スルホン酸ビニル、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフォ
スフェート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチ
ルサクシネート、フタル酸モノ(メタ)アクリレート、
2−(メタ)アクリロキシエチル(2−ヒドロキシエチ
ル)フタレート、4−(メタ)アクリロキシアルキルオ
キシ−ベンゾイックアシッド、グリセリル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシ基置換スチレン、(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−プロ
ペン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等が挙げ
られる。また、これらの化合物を共重合或いは共付加さ
せた後に、他の反応性基を導入して反応性基を変換して
も構わない。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レートを共重合して導入された水酸基に(メタ)アクリ
ル酸等を付加させて高分子側鎖に重合可能な基を導入す
ることができる。さらにまた、上記の反応性基を持つ重
合或いは付加可能な種々のメソゲン化合物を使用するこ
とも可能である。例えば、前記したメソゲン化合物の構
造例において、置換基R1 として水酸基、カルボキシル
基やアミノ基を持った化合物等が使用できる。ここで例
示したものは一例であって、特に限定するものではな
い。
【0012】また、本発明に用いる高分子液晶を製造す
るためには、上記したメソゲン化合物と反応性基を持つ
非メソゲン化合物の2種類以外にも、第3成分として反
応性基を有していない種々の化合物を共重合または共付
加させることができる。第3成分として使用できる化合
物としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルおよ
びその誘導体、スチレンおよびその誘導体、(メタ)ア
クリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニル
ピロリドン、酢酸ビニル、1−ヘキセン、1−オクテン
等の非メソゲンモノマーが挙げられる。これらの非メソ
ゲン化合物は、マルチドメイン構造や熱特性の制御に有
益であり、好ましく使用される。これら第3成分の共重
比または共付加量は、0.01〜20重量%の範囲であ
る。なお、上記した各化合物はそれぞれを複数種類用い
ても構わない。
【0013】上記2つまたは3つの成分の共重合比は、
目的とする特性によって種々とり得るが、重合可能なメ
ソゲン化合物(メソゲンモノマ−)の含有量は高分子液
晶の40〜99重量%の範囲が好ましく、更に好ましく
は60〜99重量%の範囲である。また、共重合の形態
はランダム、グラフト、交互等公知の種々形態をとるこ
とが可能であり、特に限定されるものではない。また、
上記した反応性基を持つ化合物の、高分子液晶中への共
重合または共付加量は、単量体単位として0.1モル%
〜70モル%の範囲が好ましい。高分子液晶の分子量
は、重量平均で1000〜100万の範囲、特に好まし
くは1万〜50万の範囲である。
【0014】次に、本発明の高分子液晶組成物の特徴お
よび作製方法について説明する。上記した高分子液晶に
は、架橋の目的で種々の触媒や多官能反応性化合物を添
加した組成物として用いるのが好ましい。触媒として
は、各種紫外線重合開始剤、熱重合開始剤等が、多官能
反応性化合物としては多官能イソシアネート化合物、多
官能エポキシ化合物、多官能メラミン化合物、多官能ア
ルデヒド化合物、多官能アミン化合物や多官能カルボキ
シル化合物等好ましく使用される。触媒および多官能反
応性化合物については、例えば、触媒としては、アゾビ
スイソブチロニトリル(ABIN)等のアゾ系重合開始
剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系重合開始剤や、フ
ェニルケトン系等の紫外線重合開始剤等が挙げられ、多
官能反応性化合物としては、トルエンジイソシアネート
(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、3,4−ジクロロフェニルジイソシアネート、ポ
リメチレンポリフェニルイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート(HDI)、TDIまたはHDIと
トリメチロールプロパン等のポリオールとの付加物、ビ
スフェノールA−ジグリシジル、メラミン、エチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミ
ン、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、シュ
ウ酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、テレフタル
酸、ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物等が挙げら
れる。触媒や多官能反応性化合物の添加量は高分子液晶
に対して0.01重量%〜20重量%の範囲が好まし
い。
【0015】本発明における高分子液晶組成物には、特
性向上を目的として、上記以外の種々の成分を加えても
構わない。例えば、耐候性の向上を目的として、ヒンダ
ードアミンやヒンダードフェノール等の各種酸化防止剤
を添加してもよく、また、表示のコントラストを向上さ
せる目的で、アントラキノン系、スチリル系、アゾメチ
ン系やアゾ系等の各種二色性色素を添加してもよい。ま
た、光散乱性の向上を目的として、各種蛍光色素を添加
してもよい。さらにまた、レーザー光による熱書き込み
を効率的に行うために、各種レーザー光吸収色素(78
0〜830nmの一般的な半導体レーザーを用いる場合
は、フタロシアニン、スクアリリウムやアズレニウム等
の近赤外吸収色素が使用可能)を添加することも好まし
い。以上に列挙した種々の成分の添加量は、高分子液晶
組成物中に0.01〜5重量%の範囲であることが好ま
しい。また、高分子液晶組成物には低分子液晶化合物を
1〜20重量%の範囲内で添加しても構わない。
【0016】本発明において、熱処理の方法としては、
所定温度からの冷却速度の制御や所定温度におけるアニ
ール処理が好ましい方法として適用できる。特に、高分
子液晶の主鎖運動が許容され、かつ光散乱性が確認でき
る液晶相を示す温度範囲で、アニール処理を行う方法が
最も効果的である。高分子液晶組成物の液晶相を示す温
度範囲は、使用する高分子液晶の組成等によって種々異
なるが、本発明においてアニール処理は、一般に0℃〜
300℃、好ましくは20℃〜200℃の範囲の温度で
行うのが望ましい。またアニール時間も、高分子液晶組
成物の組成によって異なるが、5秒〜200時間程度が
適している。上記のように熱処理を行うことによって、
光散乱の高い「マルチドメイン構造」を形成してマル
チドメイン構造のドメイン径を制御した後、この高分子
晶を架橋させる。上記高分子液晶の架橋方法として
は、熱処理された高分子液晶組成物を、熱、光、電子線
等を付与することによって行われる。また、プロセスの
効率上からは、前記した熱処理によってドメイン径を制
御する過程と同時に、架橋を行うのが好ましい。架橋時
における温度は、該マルチドメイン構造が保持される温
度範囲ならば特に限定しないが、該組成物の液晶相−等
方相相転移点以下、ガラス転移点以上の温度範囲が好ま
しい。この様にして架橋させることにより、マルチドメ
イン構造を安定化させ、外部温度により構造が変化せ
ず、常に高い光散乱性を示す光散乱層を得ることができ
る。
【0017】本発明においては、上記の高分子液晶或い
はそれに触媒等を混合した組成物の溶液或いは加熱溶液
を用いて、所望の形態に加工された後に、熱処理および
架橋することが好ましい。このようにして作製された高
分子液晶組成物層(以下、「高分子液晶層」という。)
は、そのままでも自己保持性があり、フィルム状、ブロ
ック状、繊維状等の各形態で、光学素子として利用可能
であるが、好ましくは基材上に高分子液晶層を形成した
り、2枚の基材間のラミネートされた形態で光学素子と
して使用される。本発明によって作製された光学素子の
構成例を図1〜図4に示す。図1〜図3は、基材1上に
高分子液晶層(記録層)2を積層し、表面強度、耐熱性
の改善を目的として保護層3を設けた構成のものを示
す。また、図4は2枚の基材1、1間に、透明電極6を
介して高分子液晶層(記録層)2をラミネートした構成
のものである。なお、図中、4は着色層、5は光反射層
である。
【0018】基材としてはポリ塩化ビニル、ポリプロピ
レン、ポリエステル(PET等)やポリイミド等の各種
高分子フィルム、紙、金属、セラミックやガラス等が使
用できる。また、基材としてPET(ポリエチレンテレ
フタレート)フィルム等に色素を分散した着色フィルム
やPETフィルム等に着色層を設けたり、反射率の高い
金属を基材表面に蒸着した蒸着フィルム等を用いたりし
て、光吸収層や着色層、光反射層とすることもできる
(図2、図3)。光吸収層や光反射層の厚みは0.00
1〜100μmの範囲から選択される。また、基材とし
て電極付基材を用いることも好ましい。高分子液晶層
は、基材表面に溶剤を用いた塗布法や熱溶融塗布法等一
般的な方法によって形成することができる。この高分子
液晶層の膜厚は、特に限定されないが、目的とするコン
トラストによって種々変化させることができ、好ましく
は1〜100μmの範囲から、特に好ましくは5〜50
μmの範囲から選択される。また、保護層には広く一般
に用いられているオーバーコート材料が使用可能である
が、特に好ましい耐熱性の高いものとして、フッ素系ポ
リマー、シリコーン系ポリマー、熱硬化ポリマー、紫外
線硬化ポリマーや電子線硬化ポリマー等が使用可能であ
る。保護層は複数層積層されていてもよく、その厚みは
0.1〜20μmの範囲から選択される。これらの保護
層は溶剤を用いた塗布方法等で形成することができる。
【0019】次に、上記高分子液晶組成物を用いた光学
素子の光散乱性制御方法について、図1〜図3に示した
構成からるものを例に説明する。図1〜図3の構成にお
いて、光散乱性は熱のみを利用して制御できる。本発明
の製造方法によって作製された高分子液晶層は、マルチ
ドメイン構造に由来した光散乱状態(白濁状態)を呈す
る。ここにサーマルヘッドやレーザー光等を用いて部分
加熱して高分子液晶組成物を等方性状態とし、急冷する
ことにより加熱部分が等方性状態のまま固定され、その
領域は光散乱性の小さな透明状態となる。このようにし
て光散乱性を制御し情報の記録を行うことができる。一
方、光散乱性を大きくし、記録情報を消去する場合に
は、加熱後、記録時に比べてゆっくりと冷却することに
より、初期の光散乱の大きな状態へと戻すことができ
る。つまり可逆的に何度も光散乱状態を変化させること
ができ、情報の記録/消去が行える。このような光散乱
性制御の加熱手段として例えばサーマルヘッドやレーザ
ー光を用いる場合、印加するパルス幅やエネルギーを制
御することによって、光反射性の制御を実施することが
できる。
【0020】
【作用】本発明においては、高分子液晶組成物を用いた
光学素子の作製に際して、光学液晶組成物を熱処理する
ことによって、高分子液晶の内部構造を所望のドメイン
径を持つマルチドメイン構造にし、そのマルチドメイン
構造を保持した状態で高分子液晶を架橋させる。その結
果、マルチドメイン構造を効果的に可視光が散乱される
形態に制御し、その形態を保持したままで該組成物が安
定化される。すなわち、本発明の製造方法は、マルチド
メイン構造を光散乱性の高い状態に安定化、メモリー化
させる作用がある。光散乱性組成物の光散乱の大きさは
マルチドメイン構造におけるドメイン径や密度に依存す
るが、従来技術では光学特性が低いばかりでなく、加熱
/冷却(記録/消去等)の繰り返し過程においてドメイ
ン径や密度が初期状態から変化、或いは熱のむらによっ
て部分的に不均一化してしまい光学特性等が低下してい
たが、本発明によれば、ドメイン径が所定の大きさに制
御され、かつ架橋によって安定化されたマルチドメイン
構造が得られるので、その安定化されたマルチドメイン
構造の作用によって、優れた光学特性を獲得できると同
時に、繰り返し加熱/冷却(記録/消去)の過程におい
て優れた再現性を発現することが可能となる。
【0021】
【実施例】
実施例1 メソゲンモノマーとして4−アクリロキシヘキシルオキ
シ−4′−シアノ−ビフェニルを1.9gおよび反応性
非メソゲンモノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリ
レート0.1gをアゾビスイソブチロニトリル(ABI
N)を開始剤、テトラヒドロフランを溶媒として共重合
し、エチルアルコールを用いて3回沈殿精製して下記構
造式(I)で示される高分子液晶を1.9g得た。
【化2】 上記高分子液晶1.0gに架橋剤として多官能イソシア
ネート化合物(コロネートHX、日本ポリウレタン社
製)0.05g、溶媒としてメチルエチルケトン(ME
K)3.0gを加えた溶液を、厚み100μmのアルミ
ニウム蒸着PETフィルム上にブレードコーターを用い
て塗布し、乾燥させて、膜厚約6μmの高分子液晶層を
形成した。塗布、乾燥後の高分子液晶層は白濁してお
り、光散乱性制御膜となっていた。架橋前の組成物のT
i(液晶相−等方相転移点)は約90℃であった。次
に、60℃のオーブン中で、10分間加熱してアニール
処理を行った後、30℃のオープン中で72時間反応さ
せて架橋させた。更に保護層として紫外線硬化組成物
(アロニックスUV、東亜合成社製)を塗布、高圧水銀
ランプを用いて硬化することによって、約2μmの保護
層を高分子液晶層の上に形成し、光学素子を作製した。
このときのマルチドメイン構造におけるドメイン分布数
の極大におけるドメイン径は300nmであった。ま
た、最大ドメイン径と最小ドメイン径との差は0.9μ
mであった。
【0022】実施例2 実施例1と同じメソゲンモノマー1.8g、反応性非メ
ソゲンモノマー0.1gおよびアクリル酸ブチル0.1
gを実施例1と同様に重合して下記構造式(II)で示さ
れる高分子液晶を合成した。
【化3】 この高分子液晶1.0gに架橋剤として多官能イソシア
ネート化合物(コロネートHX、日本ポリウレタン社
製)0.05g、溶媒としてメチルエチルケトン(ME
K)3.0gを加えた溶液を、厚み100μmのアルミ
ニウム蒸着PETフィルム上にブレードコーターを用い
て塗布し、乾燥させて、膜厚約6μmの高分子液晶層を
形成した。塗布、乾燥後の高分子液晶層は白濁してお
り、光散乱性制御膜となっていた。また、架橋前の組成
物のTi(液晶相−等方相転移点)は約85℃であっ
た。次に、70℃のオーブン中で、24時間加熱して、
アニール処理と架橋反応を同時に行った。更に実施例1
と同様な方法で保護層を形成し、光学素子を作製した。
このときのマルチドメイン構造におけるドメイン分布数
の極大におけるドメイン径は330nmであった。ま
た、最大ドメイン径と最小ドメイン径との差は0.8μ
mであった。
【0023】実施例3 実施例1と同じメソゲンモノマー1.8g、反応性非メ
ソゲンモノマーとしてグリジルアクリレート0.1g、
非メソゲンモノマーとしてブチルメタクリレート0.1
gを実施例1と同様に重合して下記構造式(III )で示
される高分子液晶を合成した。
【化4】 この高分子液晶1.0gに架橋剤として多官能アミン化
合物であるヘキサメチレンジアミン0.02g、溶媒と
してメチルエチルケトン(MEK)3.0gを加えた溶
液を、厚み100μmのアルミニウム蒸着PETフィル
ム上にブレードコーターを用いて塗布し、乾燥させて、
膜厚約6μmの高分子液晶層を形成した。塗布、乾燥後
の高分子液晶層は白濁しており、光散乱性制御膜となっ
ていた。また、架橋前の組成物のTi(液晶相−等方相
転移点)は約90℃であった。次に、60℃のオーブン
中で、10分間加熱してアニール処理を行い、その後5
0℃のオーブン中で24時間反応させて架橋させた。更
に保護層として実施例1と同様な方法で形成し、光学素
子を作製した。このときのマルチドメイン構造における
ドメイン分布数の極大におけるドメイン径は280nm
であった。また、最大ドメイン径と最小ドメイン径との
差は1.0μmであった。
【0024】比較例1 実施例1で合成した高分子液晶(構造式(I))を用
い、イソシアネート化合物による架橋反応を行わない以
外は、実施例1と同じ操作によって、光学素子を作製し
た。作製後の高分子液晶層は白濁していた。 比較例2 実施例1で合成した高分子液晶(構造式I)を用い、ア
ニール処理を行わない以外は、実施例1と同じ操作によ
って、光学素子を作製した。作製後の高分子液晶層は白
濁していた。
【0025】(評価結果) 光散乱性制御の再現性評価 光学素子への情報記録として、サーマルプリンター(8
dots/mm,〜0.3mJ/dot)を用いて光散
乱性を小さくした領域(透明状態)を設けた。また光学
素子への情報消去として、ホットスタンプ(130℃)
を用いて光散乱性が大きい状態(光散乱状態)へと戻し
た。また、アニール処理を行う前後、および記録/消去
を1回と100回繰り返した後の反射光学濃度を、それ
ぞれX−rite968(X−rite社製)を用いて
測定し、繰り返し再現性、表示品質の安定性を評価し
た。それらの評価結果を表1に示す。なお、表1中光学
濃度は、反射光学濃度を意味する。
【0026】
【表1】
【0027】表1から明らかなように、実施例1〜2に
おいては、記録前、消去1回目および100回繰り返し
た後も、光散乱状態(反射光学濃度)には殆ど変化がな
く、優れた白さの再現性がある。一方、比較例1では、
架橋反応を行っていないのでアニールした効果が繰り返
し性の光学濃度に反映されていない。また比較例2の場
合は、アニール処理による効果がないために、初期状態
においても反射光学濃度が最適化されておらず、また、
反射光学濃度が記録前と消去後において差がないものと
なっており、表示(白濁)特性が悪いままである。以上
から、本発明の作製方法によって作製されたこの光学素
子は、記録/消去の再現性や表示特性に優れていること
が明らかである。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、高分子液晶組成物を熱
処理することによって、マルチドメイン構造を制御し、
該マルチドメイン構造を保持した状態で高分子液晶を架
橋させるから、得られた光学素子においては、高分子液
晶のマルチドメイン構造におけるドメイン径が所定の大
きさに制御され、効果的に可視光が散乱される形態に保
持されたまま、安定化される。したがって、本発明の方
法によって製造される光学素子は、その安定化されたマ
ルチドメイン構造の作用によって、優れた光学特性を有
すると同時に、繰り返し加熱/冷却(記録/消去)の過
程において優れた再現性を発現することが可能となり、
調光素子、光記録媒体、光変調素子、可逆性表示記録素
子等の光学素子として応用可能な有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によって製造された光変調素子の一例
の模式的断面図である。
【図2】 本発明によって製造された光変調素子の他一
例の模式的断面図である。
【図3】 本発明によって製造された光変調素子の他一
例の模式的断面図である。
【図4】 本発明によって製造された光変調素子のさら
に他一例の模式的断面図である。
【符号の説明】
1…基材、2…高分子液晶層、3…保護層、4…着色
層、5…光反射層、6…透明電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1333 G09F 9/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子液晶組成物を熱処理することによ
    って、マルチドメイン構造を制御し、該マルチドメイン
    構造を保持した状態で高分子液晶を架橋させることを特
    徴とする光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 マルチドメイン構造におけるドメイン分
    布数の極大におけるドメイン径が3μm以下であること
    を特徴とする請求項1記載の光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 マルチドメイン構造におけるドメイン分
    布数の極大におけるドメイン径が200nm〜1500
    nmであることを特徴とする請求項2記載の光学素子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 マルチドメイン構造における最大ドメイ
    ン径と最小ドメイン径の差が5μm以下であることを特
    徴とする請求項1記載の光学素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 高分子液晶組成物が、液晶性単量体およ
    び非液晶性単量体を含有する共重合体からなることを特
    徴とする請求項1記載の光学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 高分子液晶組成物が液晶相を示す温度で
    熱処理を行うことを特徴とする請求項1記載の光学素子
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 高分子液晶組成物の液晶相−等方相相転
    移温度以下の温度で架橋を行うことを特徴とする請求項
    1記載の光学素子の製造方法。
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