JP2887065B2 - 像形成方法および光学素子 - Google Patents

像形成方法および光学素子

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JP2887065B2 JP4800394A JP4800394A JP2887065B2 JP 2887065 B2 JP2887065 B2 JP 2887065B2 JP 4800394 A JP4800394 A JP 4800394A JP 4800394 A JP4800394 A JP 4800394A JP 2887065 B2 JP2887065 B2 JP 2887065B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子液晶からなる
晶層への新規な像形成方法およびそれによって消去不可
能な像が形成された光学素子に関する。本発明の像形成
方法およびそれを用いて作製された新規な光学素子は、
光記録媒体、表示媒体、光変調素子や可逆性感熱記録媒
体等として利用可能な有用なものである。
【0002】
【従来の技術】高分子液晶は新規な機能性材料として、
記録材料、表示材料への応用が検討されている。例え
ば、記録材料については、特開昭59−10930号公
報および特開昭63−223066号公報に、また、表
示材料については、特開昭62−14114号公報、特
開平2−2513号公報、およびPolym.Comm
un.Vol.24,364(1983)、Japan
Display,260(1986)等に開示がなさ
れている。これらの技術においては、熱、電界や磁界の
作用によって高分子液晶の液晶分子の配向状態や秩序を
変化させ、記録/表示およびその消去を繰り返し実施し
ている。また、高分子液晶を架橋させる技術は、Mak
romol.Chem.Rapid Commun.,
Vol.2,317(1981)、Makromol.
Chem., Vol.667,188(1987)、
Angew.Chem.Adv.Mater.,Vo
l.101,1437(1989)、Makromo
l.Chem.,Vol.187,1915(198
9)などに開示され、エラストマー、新規な光変調素子
や表示素子として応用が期待されている。また主鎖型高
分子液晶を架橋させてサーマルヘッドによるダメージを
低減させた表示素子に関する技術については、特開平2
−42415号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】高分子液晶を応用した
表示素子や記録媒体等の光学素子は、繰り返し表示/記
録およびその消去が可能であり、且つ記録が保存できる
という観点で応用が検討されている。しかしながら、繰
り返し記録/消去不可能な部分(消去不可能な像)と繰
り返し記録/消去可能な部分(消去可能な像)とを合わ
せ持った光学素子は、従来知られていなかった。したが
って、本発明は従来の技術における上記のような実情に
鑑みて、消去可能な像と消去不可能な像とを合せ持つ光
学素子を作製することを目的としてなされたものであ
る。すなわち、本発明の目的は、主鎖または側鎖に液晶
性を示す分子が結合した高分子液晶からなる光散乱性を
示す高分子液晶層を有する光学素子に、消去不可能な像
を形成する新規な像形成方法を提供することにある。本
発明の他の目的は、上記高分子液晶からなる光散乱性を
示す高分子液晶層を備えた消去不可能な像が形成された
記録可能な光学素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の像形成方法は、
主鎖または側鎖に液晶性を示す分子が結合した高分子液
晶からなる光散乱性を示す高分子液晶層を有する光学素
子に光散乱性を示さない像を形成した後、該高分子液晶
を架橋して、該光散乱性を示さない像を消去不可能な像
にすることを特徴とする。本発明の光学素子は、基材と
主鎖または側鎖に液晶性を示す分子が結合した高分子液
晶からなる高分子液晶層を有するものであって、その少
なくとも一部に光散乱性を示さない像を形成した後、該
高分子液晶を架橋し、光散乱性を示さない像を消去不可
能な像として設けたことを特徴とする。
【0005】先ず、本発明に使用される高分子液晶につ
いて説明する。高分子液晶については、主鎖または側鎖
にメソゲン(液晶性を示す分子)を結合した主鎖型およ
び側鎖型高分子液晶等が知られている。本発明では特に
側鎖型高分子液晶が好ましく使用される。また、本発明
では主鎖または側鎖の1成分として反応性基を含有する
高分子液晶が好ましく使用される。反応性基としてはビ
ニル基、アクリレート基、メタクリレート基等の重合性
基、エポキシ基等の複素環基、イソシアネート基、或い
は水酸基、アミノ基、酸アミド基、チオール基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、リン酸基、金属アルコラート
基、マグネシウムハライド(グリニヤール)基等が好ま
しいものとして利用できる。
【0006】次に、このような高分子液晶の製造方法に
ついて説明する。通常、側鎖型高分子液晶は重合可能な
メソゲン化合物を反応性モノマーと共重合するか、ある
いは水素化ポリシリコーンなどの反応性ポリマーに付加
反応可能なメソゲン化合物を付加させることによって製
造する。このような技術は、Makromol.Che
m.,p273,179(1978)、Eur,Pol
ym.J.,p651,18,(1982)およびMo
l.Cryst.Liq.Cryst.,p167,1
69(1989)等に開示されている。本発明の高分子
液晶も同様な方法で製造することができる。上記した重
合可能なメソゲン化合物や付加反応可能なメソゲン化合
物としては、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、
シクロヘキシルベンゼン系、アゾキシベンゼン系、アゾ
ベンゼン系、アゾメチン系、フェニルピリミジン系、ジ
フェニルアセチレン系、ビフェニルベンゾエート系、シ
クロヘキシルビフェニル系、ターフェニル系などの剛直
な分子(メソゲン)に、所定の長さのアルキルスペーサ
ーを介して、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル基やビニル基等が結合した種々化合物等が代表的なも
のとしてあげられる。
【0007】これらの化合物の代表的な構造例を下記に
示す。 CH2 =C(R)−COO−(CH2 k −O−A CH2 =CH−(CH2 k −O−A [式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、kは1〜
30の中から選ばれる整数を示し、Aは下記構造のメソ
ゲンを表す。
【化1】 (式中、XおよびYは、それぞれ単結合、−N=N−、
−N(→O)=N、−CH=N−、−N=CH、−CO
O−、−O(C=O)−およびエチニレン基から選択さ
れる基を表し、pは1〜5から選択される整数を示し、
1 はアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボ
キシル基およびアルキル基から選択される基を表し、p
が2以上の場合、それぞれのR1 は異なるものであって
もよい。)]
【0008】本発明に用いる高分子液晶は、上記のメソ
ゲン化合物に加えて、前記した重合性基および他の反応
性基を持つ非メソゲン化合物(反応性モノマー)を共重
合させるか、あるいは反応性基を持つ付加反応可能な非
メソゲン化合物を反応性ポリマーに共付加させることに
よって製造することができる。この際使用可能な反応性
基を持つこれら非メソゲン化合物の具体例としては、
(メタ)アクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラク
トン−モノ(メタ)アクリレート、スルホン酸ビニル、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキ
シエチルアシッドフォスフェート、2−ヒドロキシ−3
−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メ
タ)アクリロキシエチルサクシネート、フタル酸モノ
(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチ
ル(2−ヒドロキシエチル)フタレート、4−(メタ)
アクリロキシアルキルオキシ−ベンゾイックアシッド、
グリセリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基置換ス
チレン、メタ(アクリル)アミド、N,N−ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート、2−プロペン−1−オール、5−ヘキセ
ン−1−オール等が挙げられる。また、これらの化合物
を共重合あるいは共付加させた後に、他の反応性基を導
入して反応性基を変換しても構わない。例えば、ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレートを共重合して導入され
た水酸基に(メタ)アクリル酸等を付加させて高分子側
鎖に重合可能な基を導入することができる。ここで例示
したものは一例であって、特に限定するものではない。
また、共重合させることができる上記以外の非メソゲン
化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルおよびそ
の誘導体、スチレンおよびその誘導体、(メタ)アクリ
ロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレ
ン、ビニルピロリドン、1−ヘキセン、1−オクテン等
があげられる。これ等の化合物は、マルチドメイン構造
や熱特性の制御に有益であり、好ましく使用される。な
お、上記した各化合物はそれぞれ複数種用いても構わな
い。
【0009】高分子液晶における上記した非メソゲン化
合物の共重合比または共付加量は、単量体単位として
0.1モル%〜80モル%の範囲が好ましい。非メソゲ
ン化合物における反応性基を持つ非メソゲン化合物の割
合は、100モル%〜1モル%の範囲が好ましい。共重
合や共付加の形態は、ランダム、ブロック、グラフトな
ど公知の種々の形態をとることが可能である。また、高
分子液晶の分子量は、重量平均分子量で1000〜10
0万の範囲、特に好ましくは1万〜50万の範囲であ
る。
【0010】次に、本発明において使用される高分子液
よりなる高分子液晶層について説明する。本発明に使
用される高分子液晶は、上記した高分子液晶よりなる
光散乱性を示すものであって、マルチドメイン構造を持
ったものが好ましい。ここでいうマルチドメイン構造と
は、複数の微小なドメインの集合体或いは海島状に分散
されてなる構造を意味し、単位体積に占めるドメインの
密度については、種々の範囲のものから選択することが
できる。また、このようなドメインが高分子液晶中の側
鎖液晶分子(メソゲン)の集合体からなる配向方向がそ
ろった光学異方性のあるものが好ましく、また、各ドメ
インの光学異方性の方向(液晶分子の配向方向)はラン
ダムであることが好ましい。マルチドメイン構造におい
て、液晶成分が形成するドメイン径(液晶ドメイン径)
の好ましい大きさは、ドメイン分散数の極大におけるド
メイン径が3μm以下、好ましくは1μm以下、さらに
好ましくは100nm〜600nmの範囲である。ま
た、最大ドメイン径および最小ドメイン径との差である
ドメイン径の分布幅が3μm以下であるような、ドメイ
ン径の揃ったものが特に好ましい。このようなドメイン
径の大きさのものは、可視光を最も強く散乱させるため
に、光散乱性が高く、光学特性を大幅に向上させること
ができる。
【0011】本発明における上記高分子液晶層には、種
々の目的で他の成分を含有させることができる。例え
ば、上記した高分子液晶を架橋する目的で、種々の触媒
や多官能反応性化合物を添加した組成物とすることが好
ましい。触媒としては、各種紫外線重合開始剤、熱重合
開始剤などが、多官能反応性化合物としては多官能イソ
シアネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能メラ
ミン化合物、多官能アルデヒド化合物、多官能アミン化
合物、多官能カルボキシル化合物などが好ましく使用さ
れる。触媒や多官能反応性化合物の添加量は、高分子液
晶に対して0.01重量%〜20重量%の範囲が好まし
い。
【0012】さらに、本発明の上記高分子液晶には、
特性向上を目的として種々の成分を加えてもよい。例え
ば、耐候性の向上を目的としてヒンダードアミンやヒン
ダードフェノール等の各種酸化防止剤を添加してもよ
く、また、表示のコントラストを向上させる目的で、ア
ントラキノン系、スチリル系、アゾメチン系やアゾ系等
の各種二色性色素を添加してもよい。また、光散乱性の
向上を目的として、各種蛍光色素を添加してもよい。さ
らにまた、レーザー光による熱書き込みを効率的に行う
ために、各種レーザー光吸収色素(780〜830nm
の一般的な半導体レーザーを用いる場合は、フタロシア
ニン、スクアリリウムやアズレニウム等の近赤外吸収色
素が使用可能)を添加することも好ましい。以上に列挙
した種々の成分の添加量は、高分子液晶中に0.01
〜5重量%の範囲であることが好ましい。また、高分子
液晶には、低分子液晶化合物を1〜20重量%の範囲
内で添加しても構わない。
【0013】次に、本発明の像形成方法について説明す
る。本発明では、上記した光散乱性を示す高分子液晶
を有する光学素子の一部に光散乱性を示さない像を形成
した後に架橋させることにより、消去不可能な像を局所
的に形成することができる。光散乱性を示さない像の形
成は、熱、電界や磁界を単独に、或いは複合化させて高
分子液晶に付与し、高分子液晶の配向状態や秩序を
制御することにより達成される。特に、該光散乱性を示
さない像が光学的に透明な状態であることが好ましい。
このような状態は、高分子液晶が光学的に等方的であ
る場合の方が、形成される像の安定性が高いので好まし
い。ここで光学的に等方的であるとは、高分子液晶
含まれる側鎖液晶分子(メソゲン)の配向が分子レベル
に近いレベルでランダムであることを示す。このような
像は、上記高分子液晶よりなる光散乱性を示す高分子液
晶層を部分的に液晶相−等方相相転移点以上の温度(光
散乱性を示さない状態)に加熱し、ガラス相転移点以下
の温度まで急冷することによって形成することができ
る。このとき、光散乱性を示さない像は、高分子液晶
の側鎖液晶分子の配向が分子レベルに近いレベルでラン
ダムな状態になっており、光を散乱しない透明状態であ
り、その状態(透明)のまま、ガラス状に固定されてい
る。
【0014】次に上記した高分子液晶を架橋させて、光
散乱性を示さない像を消去不可能な像にする。高分子液
晶の架橋方法としては、熱、光、電子線等を付与するこ
とによって高分子液晶の反応性基を重合、或いは反応性
基と多官能反応性化合物を付加反応させることにより行
うことができる。架橋を実施する温度範囲は、該高分子
液晶の液晶相−等方相相転移点以下の温度範囲、より
好ましくは、ガラス相転移点以下の温度範囲である。液
晶相−等方相相転移点以上の温度に加熱すると、架橋す
る前に光散乱性を示さない像が失われてしまう。ガラス
相転移点以下の温度範囲では、光散乱性を示さない像が
安定に固定されたままで架橋を行うことが可能になり、
より鮮明な像を形成することが可能となる。
【0015】次に、本発明の光学素子の具体的な態様お
よびそれを用いる像形成方法について図面を参照して説
明する。上記した高分子液晶は、加熱混合物や溶媒を添
加した溶液として所望の形態に加工された後、部分的に
光散乱性を示さない像を形成し、架橋することが好まし
い。このようにして作製された本発明における高分子液
は、そのままの形態でも自己保持性があり、フィルム
状、ブロック状、繊維状等の各形態として利用可能であ
るが、好ましくは支持基材上に高分子液晶層として形成
したり、2枚の基材間にラミネートされた形態で光学素
子として使用される。
【0016】本発明の光学素子の好ましい構成例を図1
に示す。図1は、2枚の透明電極(ITO)付き基材間
に高分子液晶をラミネートした形態のもので、電界、
磁界や熱の作用を利用した光学素子に使用される。図2
は基材上に高分子液晶層および保護層を順次形成した形
態のもので、電界、磁界や熱の作用を利用した光学素子
に使用される。上記の光学素子において、高分子液晶層
の厚みは、特に限定されないが、目的とする光学特性に
よって種々設定され、好ましくは1〜100μmの範囲
から、特に好ましくは2〜30μmの範囲から選択され
る。基材としては、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(P
ET等)、ポリプロピレン、ポリイミド等の各種高分子
フィルム、金属層を形成した高分子フィルム、紙、金
属、セラミックやガラス等が使用できる。特に、透過型
の表示媒体に使用する場合には、透明な基材を使用する
ことが好ましい。また、基材として電極付き基材を用い
ることも好ましい。また、保護層は、耐熱性の高いもの
が望ましく、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマ
ー、熱硬化性ポリマー、紫外線硬化性ポリマー、電子線
硬化性ポリマー等が使用可能である。保護層は複数層積
層されていてもよく、また、保護層の厚みは、好ましく
は0.1〜20μmの範囲から選択される。
【0017】次に、本発明の像形成方法を用いて消去不
可能な像を部分的に形成した光学素子の一例について詳
細に説明する。図3は、図2に示す層構成からなる光学
素子に、部分的に消去不可能な像を形成したものの平面
図を示す。図3において、5は消去不可能な像、6は消
去可能な像、7は消去可能な像を記録できる部分を示
す。この光学素子への消去不可能な像5の形成は、架橋
前の一様に光散乱(白濁)した記録層へサーマルヘッド
やレーザー光を利用して部分的に加熱/急冷して光散乱
性を示さない像を形成し、素子全面に熱或いは光、電子
線を付与して架橋することにより実施される。架橋後に
おいては、この様にして形成された像は、液晶相−等方
相相転移点以上の温度に加熱/冷却しても再び白濁状態
には戻らず、像は半永久的に保存される。一方、この光
学素子において、消去不可能な像以外の、消去可能な像
を記録できる部分7は、上記サーマルヘッドやレーザー
光を用いて液晶相−等方相相転移以上の温度に加熱した
後、急冷することにより、記録を、また加熱後徐冷する
ことにより消去を繰り返し実現することが可能である。
以上のようにして同一素子上に消去不可能な像5と消去
可能な像6を合せ持った光学素子を得ることができる。
【0018】
【作用】本発明においては、主鎖または側鎖に液晶性を
示す分子が結合した高分子液晶からなる光散乱性を示す
高分子液晶層を有する光学素子に光散乱性を示さない像
を形成した後、その高分子液晶を架橋させることによ
り、光散乱性を示さない像の部分が半永久的にメモリー
化され、また、等方性状態まで加熱しても消去すること
ができないものとなる。これは、光散乱性を示さない像
を形成している液晶分子の配向状態や秩序が架橋によっ
て保持されるためであると考えられる。一方、光散乱性
を示す部分は、架橋後においても加熱/冷却等の手段に
よって繰り返し記録(透明)と消去(白濁)を実施する
ことができる。これは、光散乱性を示す光学異方性マル
チドメイン構造状態における架橋が、液晶分子の分子運
動を束縛しないためと考えられる。以上の作用によっ
て、光散乱性を示す光学素子上に消去不可能な像(情
報)と書き替え可能な像(情報)を一体化することがで
きる。
【0019】
【実施例】
(光学素子上への記録および消去方法)以下の実施例の
光学素子上への記録は、サーマルプリンター(8dot
s/mm,〜0.3mJ/dot)を用いて記録を行な
い(記録部分は透明)、また、繰り返し記録が可能な部
分への記録も同様に実施し、消去は、オーブン(120
℃)またはホットスタンプ(130°C)を用いて行っ
た。さらに、各記録部分の加熱前後の反射光学濃度
(O.D.値)をX−rite968(X−rite社
製)を用いて測定し、光学特性を評価した。
【0020】実施例1 メソゲンモノマーとして4−アクリロキシヘキシルオキ
シ−4′−シアノ−ビフェニルを1.9gおよび反応性
モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート0.
1gを用い、アゾビスイソブチロニトリル(ABIN)
を開始剤、テトラヒドロフランを溶媒として重合し、エ
チルアルコールを用いて3回沈殿精製して下記構造式
(I)で示される高分子液晶を1.9g得た。
【化2】 (重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算):
40000、Tg(ガラス転移点):40℃、Ti(液
晶相−等方相相転移点):110℃) 上記高分子液晶1.0gに、架橋剤として多官能イソシ
アネート化合物であるジフェニルメタンジイソシアネー
ト(東京化成社製)0.05g、溶媒としてメチルエチ
ルケトン(MEK)3.0gを加えた溶液を、厚み10
0μmのアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム上にブレードコーターを用いて塗布
し、乾燥させて、膜厚約6μmの高分子液晶層を形成し
た。さらに保護層として、紫外線硬化組成物(商品名:
アロニックスUV、東亜合成社製)を塗布、高圧水銀ラ
ンプを用いて硬化することにより、膜厚約2μmの層を
形成し、光学素子を作製した。作製後の光学素子は、白
濁していた。この光学素子上に、部分的に記録を行い、
透明な部分を形成した後、40℃のオーブン中で24時
間反応させて架橋させた。架橋後、この光学素子を12
0℃に加熱したところ、一様な透明状態となり、室温ま
で冷却すると、架橋前に記録した部分は透明なまま、他
の部分は白濁した。また、白濁したまま架橋した部分に
記録を行ったところ、光散乱性を示さない像を形成する
ことができた。さらに上記と同様にして加熱/冷却した
ところ、架橋後に記録した部分に形成された像は消去が
可能であり、消去によってもとの白濁した状態に戻すこ
とができた。表1に各記録部分の加熱(120℃)前後
の光学濃度を示す。
【0021】実施例2 実施例1と同じメソゲンモノマーを使用し、反応性モノ
マーとしてアクリル酸を用いた以外は、同様な方法で下
記構造式(II)で示される高分子液晶を合成した。
【化3】 (重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算):
40000、Tg(ガラス転移点):50℃、Ti(液
晶相−等方相相転移点):125℃) この高分子液晶1.0gに架橋剤として多官能イソシア
ネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアネート
0.03g、溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)
3.0gを加えた溶液を、厚み100μmのアルミニウ
ム蒸着PETフィルム上にブレードコーターを用いて塗
布し、乾燥させて、膜厚約6μmの高分子液晶層を形成
した。さらに実施例1と同様にして、膜厚約2μmの保
護層を形成し、光学素子を作製した。作製後の光学素子
は白濁していた。この光学素子上に部分的に記録を行
い、透明な部分を形成した後、40℃のオーブン中で、
24時間反応させて架橋させた。架橋後、この光学素子
を120℃に加熱したところ、一様な透明状態となり、
室温まで冷却すると架橋前に記録した部分は透明なま
ま、他の部分は白濁した。また、白濁したまま架橋した
部分に記録を行ったところ、光散乱性を示さない像を形
成することができた。さらに上記と同様にして加熱/冷
却したところ、架橋後に記録した部分に形成された像は
消去が可能であり、消去によってもとの白濁した状態に
戻すことができた。表1に各記録部分の加熱(120
℃)前後の光学濃度を示す。
【0022】実施例3 実施例1と同じメソゲンモノマー1.9g、反応性モノ
マーとしてアクリル酸グリシジル0.1gを実施例1と
同様に重合して下記構造式(III )で示される高分子液
晶を合成した。
【化4】 (重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算):
40000、Tg(ガラス転移点):36℃、Ti(液
晶相−等方相相転移点):95℃) この高分子液晶1.0gに架橋剤として多官能アミン化
合物であるヘキサメチレンジアミン0.04g、溶媒と
してメチルエチルケトン(MEK)3.0gを加えた溶
液を、厚み100μmのアルミニウム蒸着PETフィル
ム上にブレードコーターを用いて塗布し、乾燥させて、
膜厚約6μmの高分子液晶層を形成した。さらに、実施
例1と同様にして、膜厚約2μmの保護層を形成し、光
学素子を作製した。作製後の光学素子は、白濁してい
た。この光学素子上に部分的に記録を行い、透明な部分
を形成した後、50℃のオーブン中で、24時間反応さ
せて架橋させた。架橋後、この光学素子を120℃に加
熱したところ、一様な透明状態となり、室温まで冷却す
ると架橋前に記録した部分は透明なまま、他の部分は白
濁した。また、白濁したまま架橋した部分に記録を行っ
たところ、光散乱性を示さない像を形成することができ
た。さらに上記と同様にして加熱/冷却したところ、架
橋後に記録した部分に形成された像は消去が可能であ
り、消去によってもとの白濁した状態に戻すことができ
た。表1に各記録部分の加熱(120℃)前後の光学濃
度を示す。
【0023】実施例4 実施例1で合成した高分子液晶を塩化メチレン中でトチ
エチルアミンを用いて、アクリル酸クロリドと反応させ
て、側酸アクリレート基を導入した下記構造式(IV)で
示される高分子液晶を合成した。
【化5】 (重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算):
55000、Tg(ガラス転移点):33℃、Ti(液
晶相−等方相相転移点):85℃) この高分子液晶1.0gに、紫外線開始剤0.01g
(ダロキュア1173、チバガイギー社製)、溶媒とし
てメチルエチルケトン(MEK)3.0gを加えた溶液
を、厚み100μmのアルミニウム蒸着PETフィルム
上にブレードコーターを用いて塗布し、乾燥させて、膜
厚約6μmの高分子液晶層を形成した。さらに樹脂組成
物(サイマックUS−350,東亜合成社製)を塗布し
て、膜厚約2μmの保護層を形成し、光学素子を作製し
た。作製後の光学素子は白濁していた。この光学素子上
に部分的に記録を行い、透明な部分を形成した後、高圧
水銀ランプを用いて紫外線を照射して架橋させた。架橋
後、この光学素子を120℃に加熱したところ、一様な
透明状態となり、室温まで冷却すると架橋前に記録した
部分は透明なままに、他の部分は白濁した。また、白濁
したまま架橋した部分に記録を行ったところ、光散乱性
を示さない像を形成することができた。さらに上記と同
様にして加熱/冷却したところ、架橋後に記録した部分
に形成された像は消去が可能であり、消去によってもと
の白濁した状態に戻すことができた。表1に各記録部分
の加熱(120℃)前後の光学濃度を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明は、主鎖または側鎖に液晶性を示
す分子が結合した高分子液晶からなる光散乱性を示す高
分子液晶層を有する光学素子を使用し、光散乱性を示さ
ない像を形成した後、架橋させることによって局所的に
消去不可能な像を形成させることができる。したがっ
て、本発明の像形成方法を用いることによって消去不可
能な像と消去可能な像を合せ持つ光学素子を得ることが
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学素子の一例の模式的断面図を示
す。
【図2】 本発明の光学素子の他の一例の模式的断面図
を示す。
【図3】 本発明の光学素子の平面図であって、消去不
可能な像と消去可能な像とが形成された状態を示す。
【符号の説明】
1…基材、2…高分子液晶層、3…透明電極、4…保護
層、5…消去不可能な像、6…消去可能な像、7…消去
可能な像を記録できる部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1333 G02F 1/13 505 G02F 1/13 101 G09F 9/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖または側鎖に液晶性を示す分子が結
    合した高分子液晶からなる光散乱性を示す高分子液晶層
    を有する光学素子に光散乱性を示さない像を形成した
    後、該高分子液晶を架橋し、該光散乱性を示さない像を
    消去不可能な像にすることを特徴とする像形成方法。
  2. 【請求項2】 光学素子の少なくとも一部を、液晶相−
    等方相相転移点以上の温度に加熱し、ガラス相転移点以
    下の温度まで急冷することにより、光散乱性を示さない
    像を形成することを特徴とする請求項1記載の像形成方
    法。
  3. 【請求項3】 消去不可能な像が、光学的に等方的な状
    態で形成されていることを特徴とする請求項1記載の像
    形成方法。
  4. 【請求項4】 高分子液晶の架橋を、該組成物の液晶相
    −等方相相転移点以下の温度範囲で行なうことを特徴と
    する請求項1記載の像形成方法。
  5. 【請求項5】 高分子液晶層がメソゲン単量体単位およ
    び非メソゲン単量体単位の少なくとも2成分の共重合体
    からなる高分子液晶からなり、マルチドメイン構造を有
    することを特徴とする請求項1記載の像形成方法。
  6. 【請求項6】 マルチドメイン構造におけるドメイン分
    布数の極大におけるドメイン径が3μm以下であること
    を特徴とする請求項1記載の像形成方法。
  7. 【請求項7】 基材と主鎖または側鎖に液晶性を示す分
    子が結合した高分子液晶からなる高分子液晶層を有する
    光散乱性を示す光学素子において、該光学素子の少なく
    とも一部に光散乱性を示さない像を形成した後、該高分
    子液晶を架橋し、該光散乱性を示さない像を消去不可能
    な像として設けたことを特徴とする光学素子。
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