JPH0954152A - 電子海図の重畳表示可能なレーダ装置 - Google Patents

電子海図の重畳表示可能なレーダ装置

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JPH0954152A
JPH0954152A JP7208652A JP20865295A JPH0954152A JP H0954152 A JPH0954152 A JP H0954152A JP 7208652 A JP7208652 A JP 7208652A JP 20865295 A JP20865295 A JP 20865295A JP H0954152 A JPH0954152 A JP H0954152A
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Akio Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自船の実際の移動に伴い、表示器上で自船は固
定し、相対的かつ連続的に海図を移動(更新)すること
が必要な相対運動モード時においても、レーダ映像に対
して電子海図を重畳表示可能にする。 【解決手段】設定された方位表示モードAZDMに応じ
て、海図メモリ部8aからの読み出し角度を回転させた
読み出しアドレスを海図メモリ部読み出し制御部5bに
より生成し、この生成した読み出しアドレスにより、海
図メモリ部8aから1水平走査分の海図映像データMv
dcを読み出して水平走査メモリ部12に記憶させ、混
合器9により、海図映像データMvdcとレーダ映像デ
ータRvdcとを混合することにより、自船の位置が表
示器10上で固定される相対運動モード時においても、
海図映像とレーダ映像との重畳表示が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーダ映像と電
子海図とを重畳して表示することの可能なレーダ装置に
関し、特に、自船の位置がレーダスコープ(表示器)の
画面上で固定される、いわゆる相対運動モード時に適用
して好適な電子海図の重畳表示可能なレーダ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】レーダ装置は、電波の送受信により周囲
の状況を画像として表示器の画面上に表示する装置であ
る。このため、海岸線などのように反射の弱い物標や反
射波の届かない物標は画面上に表示されない。
【0003】近年、海岸線などを明瞭に表示することを
目的として、レーダ映像といわゆる電子海図とを重畳表
示することが行われている。これにより、レーダ映像と
海図とが対応付けられ、陸地と自船位置の位置関係が明
確に把握されて座礁の防止等を図ることができる。
【0004】ところで、レーダ装置においては、周知の
ように、空中線を水平方向に回転させながら、所定のタ
イミングで電波を送出し、他船等の物標による反射波を
空中線により受信する方式を採用している。このため、
反射波から得られる情報は、極座標形式の情報となる。
【0005】一方、レーダ映像を表示する表示器は、直
交座標形式のラスタスキャン方式の表示器が一般的であ
る。したがって、表示器上にレーダ映像を映出する際に
は、レーダ装置から得られる極座標形式の情報を直交座
標形式の情報に変換する座標変換が必須の処理となって
おり、直交座標系への座標変換後の受信信号がレーダ映
像データとして画像メモリ部に書き込まれる。
【0006】レーダ映像に重畳される電子海図情報は、
メモリカード、CD−ROM、磁気媒体等のメモリ媒体
により緯度・経度に対応した直交座標系の情報であり、
海図映像データとして提供される。この場合、航法装置
から供給される緯度・経度による自船位置情報とレーダ
装置の使用距離縮尺(設定距離縮尺)に応じて、レーダ
映像に対応する面積分の所定範囲の電子海図データが海
図メモリ部に書き込まれる。
【0007】そして、画像メモリ部に係るレーダ映像と
海図メモリ部に係る電子海図映像(以下、単に、海図映
像ともいう。)とが、同時に読み出されて混合器により
混合された後、表示器に供給されることで、レーダ映像
と海図映像とが重畳表示されることになる。
【0008】次に、背景技術を説明する前に、レーダ装
置において慣用されている、運動モード、方位表示モー
ド、および表示器上の表示を理解する上での基本的事項
について説明する。
【0009】運動モードには、相対運動モードと真運動
モードとの2つの選択乃至設定可能なモードがある。相
対運動モードは、表示器上で自船の位置が、所望の位
置、例えば、中心位置に固定され、物標が相対速度で移
動する表示モードである。これに対して、真運動モード
は、表示器上で自船の位置が自船の運動にしたがって移
動する表示である。
【0010】方位表示モードには、ヘッドアップ表示モ
ード(相対表示モード、または単に、ヘッドアップモー
ドともいう。)とノースアップ表示モード(単に、ノー
スアップモードともいう。)とコースアップ表示モード
(単に、コースアップモードともいう。)とがある。ヘ
ッドアップ表示モードは、表示器上で船首線(船首輝線
ともいう。)が画面の真上(固定方位メモリの0°)に
なるように表示されるモードであり、目で観測した状況
と表示器上の映像の方位関係が一致する。ノースアップ
表示モード(真方位表示モードともいう。)は、表示器
上で画面の真上が真北に表示されるモードであり、海図
との対比が容易である。コースアップ表示モードは、設
定時点における針路が表示器の画面上で真上になるよう
に表示されるモードである。したがって、コースアップ
表示モードに設定した瞬間の表示は、ヘッドアップ表示
モードと同一であり、船首線が真上に表示される。ただ
し、設定の後に自船が針路を変更した場合、いわゆる変
針した場合には、その変針量に応じて船首線も回転する
ので、設定針路からの偏位を視認することができる。
【0011】次に、各方位表示モードにおいて、表示器
上に表示される船首線と掃引線について説明する。
【0012】図8は、空から平面的に観測した仮想的状
況を表し、自船201が真北から時計方向45°の方向
へ進行している様子を示している。このとき、ジャイロ
コンパスから得られる針路(ジャイロコンパスの針路、
ジャイロコンパスの針路指示値または単に、ジャイロ針
路ともいう。)θG はθG =45°になる。すなわち、
ジャイロコンパスの針路θG は、真北を0°として時計
方向に計測された船の進路を表す角度になる。図1中、
符号202は、自船201の進行方向、すなわち船首方
向を表す。
【0013】図9に示すように、自船201には、水平
時計方向に回転する空中線(レーダアンテナ)203が
搭載され、自船201の船首方向202を基準として、
電波が輻射される輻射面204の輻射方向205との間
で時計方向に採った角度を空中線203の角度θA とい
う。したがって、空中線の角度θA は、空中線203の
輻射方向205が、船首方向202から何度回転してい
るのかを示す角度になる。
【0014】図8および図9の状態において、自船20
1に搭載されたレーダ装置の表示器上の画面を図10
A、図10Bに示す。
【0015】図10Aは、ヘッドアップ表示モードにお
ける画面D上の表示を示し、船首線SHMは、真上を向
き、掃引線SWPは、船首線SHMの位置から時計方向
に空中線の角度θA だけ回転した位置に表示される。こ
の場合、掃引線SWPは連続的に時計方向に回転する。
【0016】図10Bは、ノースアップ表示モードにお
ける画面D上の表示を示し、船首線SHMは、真上(真
北)からジャイロ針路θG だけ回転した方向を向き、掃
引線SWPは、その船首線SHMから空中線の角度θA
だけ回転した位置に表示される。この場合においても、
掃引線SWPは、連続的に時計方向に回転する。なお、
図10B中、点線は仮想的に描いた線であり、真北方向
を示す線である。
【0017】次に、図11に示すように、図8に示す状
態の時点t1において、コースアップ表示モードに設定
し、その後、時点t2において自船201の針路を60
°に変針した場合の動作について、時点t2以降の状態
における船首線SHMと掃引線SWPとの各方位表示モ
ードにおける画面D上の表示位置について説明する。な
お、図11において、符号θC は、コースアップの針路
を表し、時点t1でコースアップ表示モードに設定した
時の針路(ジャイロコンパスの針路指示値)θ G であっ
て、真北を基準(0°)として時計方向に計測した角度
である。
【0018】図12Aは、ヘッドアップ表示モードにお
ける画面D上の表示を示し、船首線SHMは真上を向
き、掃引線SWPは、船首線SHMの位置から時計方向
に空中線の角度θA だけ回転した位置に表示される。
【0019】図12Bは、ノースアップ表示モードにお
ける画面D上の表示を示し、船首線SHMは、真上の真
北位置からジャイロ針路θG だけ回転した方向を向き、
掃引線SWPは、その船首線SHMから空中線の角度θ
A だけ回転した位置に表示される。
【0020】図12Cは、コースアップ表示モードにお
ける画面D上の表示を示し、船首線SHMは、真上方向
を示す2点鎖線の位置から変針角度分(θG −θC )だ
け回転した位置に表示され、掃引線SWPは、その回転
位置から空中線の角度θA だけ回転した位置に表示され
る。
【0021】以上の説明が、この発明の理解の前提とな
る、レーダ装置において慣用されている、運動表示モー
ド、方位表示モード、およびレーダスコープ(表示器)
上の表示の基本的事項についての説明である。
【0022】次に、この出願人による背景技術について
説明する。
【0023】(背景技術)図13は、この出願人による
レーダ装置の構成例を示している。
【0024】空中線203(図9参照)により受信され
たアナログの受信信号であるビデオ信号VDは、端子2
1を通じてA/D変換部1に供給され、このA/D変換
部1でアナログビデオ信号からデジタルビデオ信号に変
換され、図示しないサンプリングクロック毎にリアルタ
イム(実時間)でレーダ映像データRvdaとしてバッ
ファメモリ部2へ順次記憶される。
【0025】この場合、レーダ映像データRvdaのバ
ッファメモリ部2への記録は、図14に模式的に示すよ
うに、空中線203の角度θA が、点線の矢印に示すよ
うに、θA =0°の列から順に列毎に、極座標形式
(r,θA )(図15に示すXY軸上での極座標表示参
照)に応じて与えられるメモリアドレスにサンプリング
クロック毎に、自船201の位置を距離r=0値とし
て、その距離r=0値から、任意の距離R(r=R)を
経て設定されたレーダ装置の使用距離縮尺Rmax(r
=Rmax)まで、360°方向の全てのレーダ映像デ
ータRvdaが記憶される。すなわち、メモリアドレス
(r,θA )として(0,0)→(0,1)→…→
(0,R)→…(0,Rmax)→(1,0)→…→
(A,R)→…→(Amax,Rmax)の順でバッフ
ァメモリ部2に記憶される。なお、図14中、数値1[
m] と1[ °] は、仮想的な値であって、実際の値では
ない。
【0026】このようにしてバッファメモリ部2に記憶
された極座標形式のレーダ映像データRvdaを、フレ
ームバッファである画像メモリ部6に書き込む際には、
極座標形式(r,θA )から直交座標形式(x,y)に
変換して格納し直す必要がある。ここで、フレームバッ
ファとは、周知のように、ラスタスキャン方式のディス
プレイ(表示器)の画面イメージをピクセル単位で保持
するXYメモリであり、例えば、1280×1024箇
のピクセル数(メモリアドレス数)を有し、各ピクセル
(メモリアドレス)当たり、例えば、8ビットのデータ
を記憶することができるようになっている。
【0027】極座標形式(r,θA )から直交座標形式
(x,y)に変換する場合には、基本的には、次の
(1)式に基づいて行えばよい(図15参照)。
【0028】 x=r・sinθA y=r・cosθA…(1) ただし、この変換式は、空中線の角度θA の0°が表示
器上の真上に表示される、上述のヘッドアップ表示モー
ドの場合にのみ適用される。
【0029】他の方位表示モードにも適用し得る座標変
換のための基準角度を、θZ で表す。この座標変換用の
基準角度θZ は、方位演算部3で計算される。
【0030】この場合、空中線203の向いている方位
角(上述の空中線の角度)θA を示す方位信号(この方
位信号の符号もθA とする。)は端子22を通じて方位
演算部3に供給される。また、方位演算部3には、ジャ
イロコンパスから出力される針路信号である上述のジャ
イロコンパスの針路θG が供給されるとともに、図示し
ない操作パネル上で設定された方位表示モードAZDM
が端子26を通じて供給される。
【0031】方位演算部3は、方位表示モードAZDM
の内容に応じて、空中線の角度θA、ジャイロコンパス
の針路θG 、コースアップの針路θC を以下の(2)式
に示すように所定演算して、座標変換用の基準角度θZ
を得、座標変換部4に送出する。
【0032】 ヘッドアップモード時:θZ =θA (図12A参照) ノースアップモード時:θZ =θA +θG (図12B参照) コースアップモード時:θZ =θA +θG −θC (図12C参照) …(2) この座標変換用の基準角度θZ は、上述したように、極
座標から直交座標に変換する際に使用する角度であり、
図12A〜図12Cから分かるように、画面Dの真上か
ら掃引線SWPまでの時計方向の回転角度を表してい
る。したがって、以下の説明において、座標変換用の基
準角度θZ を掃引角度θZ ともいう。
【0033】制御部5は、端子27を通じて操作パネル
により設定される運動モードMMに応じて座標変換部4
へ画像メモリ部6上の以下に説明する座標変換開始アド
レス(XS ,YS )を設定する。なお、座標変換開始ア
ドレス(XS ,YS )は、自船201の現位置の座標に
対応する。
【0034】したがって、運動モードMMが相対運動モ
ードに選択されているときには、自船201の画面D上
の位置は移動しないので、座標変換開始アドレス
(XS ,Y S )は、例えば、図16に示すように、画像
メモリ部6の中心Cに設定され、自船201が移動して
も一定である。
【0035】運動モードMMが真運動モードに選択され
ているときには、図示しないリセットスイッチ等が操作
されて、画像メモリ部6の中心Cに戻されるまでは、自
船201の移動位置に応じてこの座標変換開始アドレス
(XS ,YS )を移動させる必要がある。
【0036】この場合、自船201の針路、すなわちジ
ャイロコンパスの針路θG と図示しない速力計から端子
24を通じて取り込まれる速度信号Svにより計算され
る自船201の速度Vと、時間t前の自船位置、言い換
えれば、読み出し開始アドレス(XS-1 ,YS-1 )とか
ら、現時点における座標変換開始アドレス(XS
S )が次の(3)式に示すように表される。
【0037】 XS =XS-1 +V・sinθG ・t YS =YS-1 +V・cosθG ・t…(3) なお、座標変換開始アドレス(XS ,YS )は、通常、
1スキャン(空中線203の1回転)に対応する時間経
過毎に1回更新される。ただし、相対運動モードにおい
ては、上述したように、中心Cが座標変換開始アドレス
(XS ,YS )であり変化しない。
【0038】座標変換部4は、方位演算部3から供給さ
れる座標変換用の基準角度θZ と、制御部5から供給さ
れる座標変換開始アドレス(XS ,YS )と図示しない
タイミングジェネレータから端子29を通じて供給され
るクロック(座標変換クロックともいう。)とにより画
像メモリ部6へのレーダ映像データRvdbの書き込み
アドレス(X,Y)を発生し、バッファメモリ部2より
クロックに同期してレーダ映像データRvdbを読み出
して画像メモリ部6に書き込む。
【0039】この場合、画像メモリ部6への書き込みア
ドレス(X,Y)は、自船201の位置からの(掃引)
距離をrとするとき、次の(4)式で与えられる。
【0040】 X=XS +r・sinθZ Y=YS +r・cosθZ…(4) 制御部5は、海図入力部7からメモリカード、CD−R
OM、磁気媒体等で提供される緯度・経度によりアドレ
スの定まる電子海図情報Mvdaを取り込み、図示しな
い航法装置から端子25を通じて供給される自船位置信
号Spにより分かる緯度・経度の自船位置情報と、レー
ダ装置の使用距離縮尺Rmaxに応じて、電子海図情報
Mvdaの切り取り範囲を計算し、海図メモリ部8に対
する書き込みアドレスを発生させて、海図映像データM
vdbを書き込む。海図メモリ部8の構成は、通常、画
像メモリ部6と同一の構成である。なお、レーダ装置の
使用距離縮尺(レンジスケール)Rmaxとは、レーダ
の観測範囲を示すもので、表示器内に表示している範囲
が何マイル分表示しているのかを示す値である。
【0041】海図映像の表示器上への描画のために取り
扱われるデータ量が膨大であることから、従来、自船2
01の移動に従って海図映像を連続的に変更する必要の
ないノースアップ・真運動モードまたはコースアップ・
真運動モードのときのみ描画を行うようにしていた。そ
して、描画または描画の更新は、レーダ装置の使用距離
縮尺Rmaxの変更時、離心(オフセンタ)モード変更
時、表示モード変更時、真運動のリセット時等に1回の
み実施される。なお、真運動のリセットとは、自船20
1が移動して自船201の位置が表示領域外にはみ出す
ことを回避するために、表示器上の予め決められた位置
に自船201が到達したとき、自船201の位置を表示
器の中心または予め定められた離心に自動的にまたは手
動により引き戻す処理をいう。
【0042】制御部5は、画像メモリ部6と海図メモリ
部8へ表示器10上の表示ドットに対応して発生される
ドットクロック毎に表示アドレス(表示のためのリード
アドレス)を設定する。この場合、表示アドレスは、表
示器10に供給される図示しない水平同期信号に同期し
て列アドレスおよび行アドレスが1列毎に画像メモリ部
6と海図メモリ部8に与えられる。
【0043】これにより、画像メモリ部6と海図メモリ
部8とからそれぞれレーダ映像データRvdcと海図映
像データMvdcとが読み出され、混合器9で混合さ
れ、表示器10上にレーダ映像(レーダエコー)と海図
映像とが重畳して表示されることになる。
【0044】この場合、画像メモリ部6と海図メモリ部
8には、表示時にも、制御部5がランダムアクセス(ラ
ンダムにリード/ライト)できるように、並列データの
ランダムアクセス可能なリードライトメモリと直列デー
タを転送するためのシリアルアクセスメモリを搭載した
マルチポートRAMが使用されている。
【0045】図17に、画像メモリ部6と海図メモリ部
8と混合器9(表示器10)のそれぞれの概念的構成図
を示す。
【0046】図17から分かるように、画像メモリ部6
と海図メモリ部8とは、それぞれ、1辺が長さL(L
は、L箇のメモリアドレスと考えることができる。)の
正方形で構成されているものと考えている。したがっ
て、メモリアドレス数(メモリエリアともいう。)は、
L×L箇である。画像メモリ部6には、映像表示枠11
内に自船201の位置と船首線SHMとレーダ映像Rv
とが書き込まれ、海図メモリ部8には、海図映像Mcが
書き込まれ、これらの映像が同時に読み出されて混合器
9内で混合され表示器10上に表示される。なお、図1
7の表示例は、ノースアップ・真運動モードによる表示
の場合を示している。また、自船201の位置は画面の
中心である。
【0047】
【発明が解決しようとする課題】ところで、レーダ映像
Rvに重畳して表示される海図映像Mcの元の電子海図
情報Mvdaは、上述したように、緯度・経度の絶対位
置情報で与えられ、また、海岸線の地形、航路情報、等
深線、沈没船、灯台、ブイ等の各種情報が含まれる膨大
な情報量である。このため、制御部5における電子海図
情報Mvdaの切り取り範囲の計算を行い海図メモリ部
8への書き込みアドレスを発生させ、海図メモリ部8か
ら読み出して表示器10上に表示するまでに相当の時間
を必要とする。
【0048】一般的に、表示器10上に海図映像を表示
するには、単位をポイント(2ポイントで1線分)とし
て計算すると、数千ポイントから数万ポイントが必要と
され、実際上、数秒の表示時間が必要となる。したがっ
て、海図映像(海図情報)を頻繁に更新することは不可
能に近い。
【0049】このような理由から、従来は、海図の連続
的な更新の不要な、言い換えれば、陸地、海岸線等の固
定物標が表示器上で基本的には固定される真運動モー
ド、具体的には、ノースアップ・真運動モードとコース
アップ・真運動モードのときにのみ、レーダ映像と海図
映像との重畳表示が可能となっていた。換言すれば、連
続的に海図を更新することの必要な相対運動モードにお
いて、レーダ映像と海図映像とを重畳表示することが相
当に困難であった。上述したように、相対運動モードと
は、表示器上で自船の位置が、例えば、中心位置に固定
され、物標が相対速度で移動し、海図を自船の速力に比
例して自船の針路方向(進行方向)と反対方向に移動さ
せることの必要な表示モードである。
【0050】この場合、ヘッドアップ・真運動モード
は、真運動モードが、そもそも海図が表示器上で固定さ
れる表示方法と定義しており、波等の影響で自船の船首
方向が絶えずふらつく場合等を想定すると、ヘッドアッ
プ表示モードはこのような場合にも、常に、船首線を表
示器の真上に表示しようとする表示モードと定義してい
ることから、その場合には、海図を回転させなければな
らず、結局、両方の定義を同時に満足させるには矛盾が
起こり、したがって、レーダ装置では、ヘッドアップ・
真運動モードは設定されていない。
【0051】この発明はこのような課題を考慮してなさ
れたものであり、自船の実際の移動に伴い、表示器上で
自船は固定し、相対的かつ連続的に海図を移動する(更
新する)ことの必要な相対運動モード時においても、簡
単な構成で、レーダ映像に対して電子海図の重畳表示可
能なレーダ装置を提供することを目的とする。
【0052】
【課題を解決するための手段】この発明は、海図メモリ
部の読み出しアドレスを生成する海図メモリ部読み出し
制御部と、ラスタスキャンの1水平走査分の海図映像デ
ータを記憶する水平走査メモリ部とを備え、海図メモリ
部読み出し制御部は、設定された方位表示モードに応じ
て、海図メモリ部からの読み出し角度を回転させた読み
出しアドレスを生成し、この生成した読み出しアドレス
により、海図メモリ部からラスタスキャンの1水平走査
分の海図映像データを読み出して水平走査メモリ部に記
憶させ、混合器により、水平走査メモリ部に記憶された
海図映像データとレーダ映像データとを混合して、自船
の位置が表示器上で固定される相対運動モード時におい
ても、海図映像とレーダ映像との重畳表示を行うように
している。
【0053】この場合、頻繁な海図映像の更新を防止す
るため、海図メモリ部のメモリエリアを、画像メモリ部
のメモリエリアより大きくしておく。好適には、画像メ
モリ部のメモリエリアをL×L箇とするとき、海図メモ
リ部のメモリエリアは、その4倍のメモリアドレスを有
する2L×2L箇とする。
【0054】さらに、具体的な例により説明すると、座
標変換開始アドレス(XS ,YS )の更新は、自船の針
路・速度に応じて1スキャンに1回実施し、海図映像
は、レーダ装置の使用距離縮尺Rmaxの2倍程度の範
囲をノースアップで表示器上に描画する。画像メモリ部
からのレーダ映像データの読み出しは、表示器の水平同
期信号に同期させて1列毎に読み出す。一方、海図メモ
リ部からの読み出しは、列単位ではなく、運動モードに
対応して読み出し位置より、方位表示モードに応じてメ
モリアドレスを回転させ、1アドレス毎に1水平走査分
のデータを読み出して1水平走査メモリ部に格納し、表
示器の水平同期信号に同期させて水平走査メモリ部より
読み出し、画像メモリ部から読み出したレーダ映像デー
タと混合して、表示器に送出するようにする。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図面を参照して説明する。なお、以下に参照する
図面において、上記図8〜図17に示したものと対応す
るものには同一の符号を付けて簡明に説明する。また、
必要に応じて図8〜図17をも参照して説明する。
【0056】図1は、この発明の実施の形態の構成例を
示すブロック図である。
【0057】図1において、端子21を通じて供給され
たビデオ信号VDは、A/D変換部1でレーダ映像デー
タRvdaに変換され、図示しないサンプリングクロッ
クによりバッファメモリ部2へ記憶される。バッファメ
モリ部2には、空中線203(図9参照)の1スイープ
(掃引)分のレーダ映像データRvdbが記憶される。
【0058】船首方向202(図9参照)を基準とし
て、空中線203の電波輻射面の向いている方位を表
す、空中線の角度θA が、端子22を通じて方位演算部
3と制御部5aとに供給される。
【0059】方位演算部3には、空中線の角度θA とと
もに、端子23を通じてジャイロコンパスの針路θG
供給され、かつ端子26を通じて方位表示モードAZD
Mが供給される。
【0060】方位演算部3は、上述したように、方位表
示モードAZDMの内容(ヘッドアップモード、ノース
アップモードまたはコースアップモード)に対応して、
空中線の角度θA 、ジャイロコンパスの針路θG 、コー
スアップの針路θC を以下の(2)式{上述の(2)式
を再掲示した式}に示すように所定演算して、座標変換
用の基準角度θZ として座標変換部4に送出する。
【0061】 ヘッドアップモード時:θZ =θA ノースアップモード時:θZ =θA +θG コースアップモード時:θZ =θA +θG −θC …(2) 制御部5aは、端子27を通じて供給される運動モード
MMの内容(真運動モードまたは相対運動モード)に応
じて座標変換部4へ画像メモリ部6上の座標変換開始ア
ドレス(XS ,YS )を設定する。この場合、相対運動
モードに選択されているとき、座標変換開始アドレス
(XS ,YS )は、例えば、画像メモリ部6の中心C
(図16参照)に設定される一定値であり、真運動モー
ドに選択されているときには、自船201の針路、すな
わちジャイロコンパスの針路θG と速力計から端子24
を通じて取り込まれる速度信号Svにより計算される自
船201の速度Vと、時間t前の自船位置、言い換えれ
ば、読み出し開始アドレス(X S-1 ,YS-1 )とから、
現時点における座標変換開始アドレス(XS ,YS )が
次の(3)式{上述の(3)式を再掲示した式}に示す
ように表される。
【0062】 XS =XS-1 +V・sinθG ・t YS =YS-1 +V・cosθG ・t…(3) 座標変換部4は、方位演算部3から供給される座標変換
用の基準角度θZ と、制御部5aから供給される座標変
換開始アドレス(XS ,YS )と図示しないタイミング
ジェネレータから供給される座標変換クロックとにより
画像メモリ部6へのレーダ映像データRvdbの書き込
みアドレス(X,Y)を発生し、バッファメモリ部2よ
りその座標変換クロックに同期してレーダ映像データR
vdbを読み出して画像メモリ部6に書き込む。
【0063】この場合、画像メモリ部6への書き込みア
ドレス(X,Y)は、自船201の位置からの(掃引)
距離をrとするとき、次の(4)式{上述の(4)式を
再掲示した式}で与えられる。
【0064】 X=XS +r・sinθZ Y=YS +r・cosθZ…(4) 制御部5aは、海図入力部7から緯度・経度によりアド
レスの定まる電子海図情報Mvdaを取り込み、端子2
5を通じて供給される自船位置信号Spにより分かる緯
度・経度の自船位置情報と、レーダ装置の使用距離縮尺
Rmaxに応じて、電子海図情報Mvdaの切り取り範
囲を計算し、海図メモリ部8aに対する書き込みアドレ
スを発生させて、海図映像データMvdbを書き込む。
なお、この海図メモリ部8aへの海図映像データMvd
bの書き込み処理を、表示器10上での表示と対応して
考える利便性を考慮して、便宜上、海図メモリ部8aに
海図映像を描画するともいう。
【0065】図2Aに画像メモリ部6の構成例を示し、
図2Bに海図メモリ部8aの構成例を示している。画像
メモリ部6は、1辺の長さがL(したがって、メモリア
ドレス数としては、L×L箇)の正方形で構成され、自
船201の位置と船首線SHMと映像表示枠11とレー
ダ映像Rvが書き込まれる。海図メモリ部8aは、この
実施の形態では、1辺の長さが2L(したがって、メモ
リアドレス数としては、2L×2L箇)の正方形で構成
されている。このように海図メモリ部8aを画像メモリ
部6より大きく選んだ理由は、海図メモリ部8aの任意
の点から任意の方向に海図映像Mcを読み出したとき
に、海図映像Mcの欠けを防止するためと自船201の
移動に伴い頻繁に海図入力部7から海図メモリ部8aへ
の再描画処理を行う必要性を回避するためである。
【0066】海図メモリ部8aへの海図入力部7からの
電子海図情報Mvdaの再書き込みは、レーダ装置の使
用距離縮尺Rmaxを変更したときその縮尺に応じた大
きさの海図映像Mcを取り込むとき、自船201の位置
を変更する離心(オフセンタ)モードへ変更したときに
その離心量に応じてオフセットさせた海図映像Mcを取
り込むとき、運動モードを変更したとき、真運動モード
でリセットしたとき、および以下に説明するような海図
メモリ部8aに欠けが生じたとき等に1度だけ座標変換
開始アドレス(XS ,YS )を中心として、運動モー
ド、方位表示モードに拘わらず、ノースアップで描画が
行われる。
【0067】海図メモリ部8aの欠けとは、この実施の
形態では、海図メモリ部8aの読み出し中心アドレス
(XO ,YO )を自船201の移動に連動して変更する
ようにしているため、自船201の位置が移動したとき
に、直径Lの円内に海図情報が記憶されていない部分が
含まれる場合をいい、その部分について海図メモリ部8
aから海図情報が読み出せない場合をいう。
【0068】具体的には、図3に示すように、自船20
1の位置が、速度V、ジャイロコンパスの針路θG で点
Aから点Bに移動した場合には、海図メモリ部8aの読
み出しアドレスが点Aの中心アドレスから点Bに対応す
るアドレスに移動して、その点Bを映像表示枠11に一
致する円の中心とする直径Lの範囲内で海図情報に欠け
が発生する場合をいう。
【0069】この発明の特徴的な構成の1つである読み
出し制御部5bは、使用している(選択している)運動
モード・方位表示モードに応じて海図メモリ部8aへ読
み出しアドレス(XH ,YH )を送出し、海図メモリ部
8aから読み出した海図映像データMvdcを、ラスタ
スキャンの1水平走査分の海図映像データMvdcを記
憶可能な水平走査メモリ部12へ転送する。
【0070】次に、読み出し制御部5bによる海図メモ
リ部8aからの海図映像データMvdcの読み出し方法
について、運動モードが相対運動モードであり、方位表
示モードがヘッドアップ表示モードである場合について
説明する。
【0071】読み出し方向は、ノンインターレース・ラ
スタスキャン方式の表示器10に与える垂直同期信号V
syncと水平同期信号Hsyncに同期して水平同期
信号Hsync毎に、図4に示すように、読み出し開始
アドレスR1 {R1 =R1 (XR ,YR )}からアドレ
スR2 へ、次にアドレスR3 からアドレスR4 の順に海
図メモリ部8aからの読み出し角度を真北方向0°から
読み出し角度θだけ回転させた読み出しアドレスを生成
して読み出す。XR 、YR は、それぞれ、読み出し開始
Xアドレス 読み出し開始Yアドレスという。
【0072】この実施の形態においては、相対運動・ヘ
ッドアップ表示モードであるので、読み出し角度θは、
ジャイロコンパスの針路θG に等しい角度θ=θG にな
る。
【0073】この場合、読み出し開始アドレスR1 =R
1 (XR ,YR )は、海図メモリ部8aの読み出し中心
アドレスを(XO ,YO )として、以下の(5)式に示
すように与えられる。
【0074】 XR = XO ・cosθ+YO ・sinθ−(L/2) YR =−XO ・sinθ+YO ・cosθ+(L/2) …(5) 読み出し開始アドレスR1 =R1 (XR ,YR )からア
ドレスR2 までの水平走査方向の読み出しアドレス(X
H ,YH )は、転送クロックをCK、そのカウント値を
n・CKとすると、次の(6)式に示すように得られ
る。
【0075】 XH =XR +n・CK・cosθ (n=0,1,2,…L) YH =YR −n・CK・sinθ (n=0,1,2,…L) …(6) また、読み出し開始アドレスR1 =R1 (XR ,YR
からアドレスR3 までの垂直走査方向の読み出しアドレ
ス(XV ,YV )は、図示しないタイミングジェネレー
タから送出される水平同期信号Hsync毎に更新さ
れ、水平同期信号Hsyncのカウント値をm・HCK
として、次の(7)式に示すように与えられる。 XV =XR +m・HCK・cos{θ+(π/2)}(m=0,1,2,…L) YV =XR −m・HCK・sin{θ+(π/2)}(m=0,1,2,…L) …(7) 図5は、海図メモリ部8aの水平走査方向の読み出しア
ドレス(XH ,YH )と垂直走査方向の読み出しアドレ
ス(XV ,YV )を生成する読み出し制御部5bの詳細
な構成例を示している。制御部5aから端子31、32
を通じて送出される読み出し開始アドレスR1 =R
1 (XR ,YR )と、端子33、34を通じて送出され
る水平走査方向の読み出しアドレス(XH ,YH )の変
化率cosθ、sinθと、端子35、36を通じて送
出される垂直走査方向の読み出しアドレス(XV
V )の変化率cos{θ+(π/2)}、sin{θ
+(π/2)}とを読み出し制御部5bに与えるだけ
で、図4に示したアドレスを回転させた読み出し動作が
可能なように構成されている。
【0076】なお、図5において、XV アドレスドライ
バ66、YV アドレスドライバ67、XH アドレスドラ
イバ68およびYH アドレスドライバ69は、データの
表示画面上の表示位置を指定するカウンタである、いわ
ゆるアドレスポインタとして動作する。
【0077】すなわち、制御部5aは、海図メモリ部8
aの読み出し開始アドレスR1 (X R ,YR )をラッチ
60、61に記憶させる。また、水平走査方向の読み出
しアドレス(XH ,YH )の変化率cosθ、sinθ
を、それぞれ、XH 乗算器62とYH 乗算器63に設定
する。さらに、垂直走査方向の読み出しアドレス
(X V ,YV )の変化率cos{θ+(π/2)}、s
in{θ+(π/2)}を、それぞれ、XV 乗算器64
とYV 乗算器65に設定する。
【0078】さらにまた、図示しないタイミングジェネ
レータから端子37〜39を通じて、それぞれ、所定の
タイミングで海図メモリ部8aから海図映像データMv
dcを読み出して水平走査メモリ部12に格納するため
の転送クロックCKと垂直同期信号Vsyncと水平同
期信号Hsyncとが送出され、それらは、それぞれ、
H 乗算器62、YH 乗算器63と、XV アドレスドラ
イバ66、YV アドレスドライバ67と、XV 乗算器6
4、YV 乗算器65、XH アドレスドライバ68、YH
アドレスドライバ69とに供給される。垂直同期信号V
syncにより、ラッチ60、61の出力である読み出
し開始アドレスR1 (XR ,YR )が、垂直走査方向の
読み出しアドレス(XV ,YV)を発生させるXV アド
レスドライバ66とYV アドレスドライバ67にそれぞ
れロードされる。この後、XV アドレスドライバ66と
V アドレスドライバ67にそれぞれロードされた読み
出し開始アドレスR1 (XR ,YR )が、水平同期信号
Hsyncにより水平走査方向の読み出しアドレス(X
H ,YH )を発生させるXH アドレスドライバ68とY
H アドレスドライバ69にロードされる。
【0079】転送クロックCKによりXH 乗算器62、
H 乗算器63は設定された変化率cosθ、sinθ
に応じてUPクロックもしくはDOWNクロックを発生
し、これらのクロックによりXH アドレスドライバ6
8、YH アドレスドライバ69はUPカウントもしくは
DOWNカウントして海図メモリ部8aへ読み出しアド
レス(XH ,YH )を送出する。L箇の転送クロックC
Kにより図4に示した読み出し開始アドレスR1 からア
ドレスR2 までの水平走査方向の読み出しが完了する。
【0080】そして、次の水平同期信号Hsyncによ
りXv乗算器64、YV 乗算器65は設定された変化率
cos{θ+(π/2)}、sin{θ+(π/2)}
に応じてUPクロックもしくはDOWNクロックを発生
し、これらのクロックによりXV アドレスドライバ6
6、YV アドレスドライバ67はUPカウントもしくは
DOWNカウントして水平走査方向のXH アドレスドラ
イバ68、YH アドレスドライバ69へ次の水平走査の
読み出しの始点となる図4に示すアドレスR3 を次の読
み出し開始アドレスR1 (XR ,YR )として送出す
る。
【0081】このようにして水平同期信号Hsync毎
に図4に示す読み出し開始アドレスR1 からアドレスR
3 方向への海図メモリ部8aからの海図映像データMv
dcの読み出しが順次行われ、いわゆる1フレーム(1
画面)分の表示画面の読み出しが完了する。
【0082】そして、次の垂直同期信号Vsyncによ
りXV アドレスドライバ66、YVアドレスドライバ6
7に、再度読み出し開始アドレスR1 (XR ,YR )が
ロードされ、次のフレーム用の読み出しが読み出し開始
アドレスR1 から実施される。
【0083】この実施の形態においては、空中線203
の1回転(1スキャン)に1回読み出し中心アドレス
(XO ,YO )の更新が実施される。この場合、読み出
し中心アドレス(XO ,YO )の更新は、自船201の
ジャイロコンパスの針路θG と速度Vと時間t前の読み
出し中心アドレスR1 (XO-1 ,YO-1 )から次の
(8)式に示すように与えられる。
【0084】 XO =XO-1 +V・sinθG ・t YO =YO-1 +V・cosθG ・t…(8) このようにして、自船201の針路θG と速度Vに応じ
て海図メモリ部8aからの読み出し中心アドレス
(XO ,YO )を更新し、さらに読み出し中心アドレス
(XO ,YO )に連動して読み出し開始アドレスR
1 (XR ,YR )を更新することにより、ヘッドアップ
・相対運動表示モードでレーダ映像Rvと海図映像Mc
とを表示器10上に重畳して表示することができる。
【0085】次に、他の方位表示・運動モードにおける
重畳表示のための読み出しについて説明する。この場
合、コースアップの針路θC も考慮する。
【0086】 ノースアップ・相対運動表示モードで
は、読み出し開始アドレスR1 (X R ,YR )を回転さ
せて読み出す必要がないので、上記(5)式において、
読み出し角度θをθ=0°とすればよく、(9)式に示
すように与えられる。相対運動表示モードであるので、
この読み出し開始アドレスR1 (XR ,YR )は1スキ
ャン毎に更新される。
【0087】 XR = XO −(L/2) YR = YO +(L/2)…(9) コースアップ・相対運動表示モードでは、上記
(5)式において、読み出し角度θをθ=θG −θC
すればよく、(10)式に示すように与えられる。この
場合にも、相対運動表示モードであるので、読み出し開
始アドレスR1 (X R ,YR )は1スキャン毎に更新さ
れる。
【0088】XR = XO ・cos(θG −θC )+Y
O ・sin(θG −θC )−(L/2) YR =−XO ・sin(θG −θC )+YO ・cos
(θG −θC )+(L/2)…(10) ノースアップ・真運動表示モードでは、読み出し開
始アドレスR1 (XR,YR )を回転する必要もなく、
また固定であり、上記(9)式に示す読み出し開始アド
レスが使用される。
【0089】 コースアップ・真運動表示モードで
は、読み出し開始アドレスR1 (XR,YR )は、上記
(10)式に示す値に固定される。
【0090】なお、上述したように、ヘッドアップ・真
運動表示モードは存在しない。
【0091】さらに、この発明の特徴的な構成である水
平走査メモリ部12は、1水平走査分の海図映像データ
Mvdcを格納するためのメモリであり、例えば、FI
FO方式のメモリで構成される。水平走査は、図6bに
示すブランク信号BKにより、水平同期信号Hsync
(図6a参照)を含む非表示期間NDSPと、水平同期
信号Hsync間の表示期間DSPとに分けられる。
【0092】非表示期間NDSPに転送クロックCK
(図6c参照)により、海図メモリ部8aから読み出さ
れた1水平走査分の海図映像データMvdcが、水平走
査メモリ部12に転送され、表示期間DSPに水平走査
の読み出しクロックであるドットクロックDK(図6d
参照)により、転送された順に読み出されて混合器9に
供給される。
【0093】水平走査メモリ部12は、画像メモリ部6
と同時にドットクロックDKで読み出され、混合器9を
通じて表示器10へ送出され、レーダ映像Rvと海図映
像Mcとが重畳表示される。
【0094】図7に、この実施の形態における重畳表示
の例を示す。
【0095】図7において、自船201は、針路θG
方向へ速度Vで移動しているものとする。また、レーダ
装置は、ヘッドアップ・相対運動表示モードに設定され
ているものとする。
【0096】画像メモリ部6には、映像表示枠11内に
船首線SHMとレーダ映像Rvとが書き込まれている。
海図メモリ部8aには、海図映像Mcが書き込まれ、領
域L×L箇で示す読み出し範囲41が示されている。こ
の読み出し範囲41の海図映像Mcとレーダ映像Rvと
が混合器9で混合されることで、表示器10上にレーダ
映像Rvと海図映像Mcとの重畳表示が描出される。な
お、表示器10上の映像は、不要な部分を表示させない
ため、映像表示枠11に対応する円形等のマスク処理が
施されている。
【0097】また、この発明は上述の実施の形態に限ら
ず、この発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、海図メモリ部からの海図映像データの読み出しの高
速化を簡単な構成で図り、これにより、自船の位置が表
示器上で固定され、海図映像の連続的な更新の必要な相
対運動モード時においても、海図映像とレーダ映像との
重畳表示を行うことができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の構成例を示すブロック
図である。
【図2】図2Aは、画像メモリ部の構成例を示す図、図
2Bは、海図メモリ部の構成例を示す図である。
【図3】海図映像に欠けが生じる寸前の状態の説明に供
される図である。
【図4】回転して読み出しアドレスを生成する動作の説
明に供される図である。
【図5】読み出し制御部の詳細な構成例を示すブロック
図である。
【図6】水平走査メモリ部等の読み出し書き込み動作の
説明に供されるタイミング図である。
【図7】この発明の実施の形態による重畳表示の説明に
供される図である。
【図8】一般的に、空から自船を見た状態を示す模式図
である。
【図9】空中線の角度の説明に供される図である。
【図10】図10Aは、ヘッドアップモード時の掃引線
等の表示説明に供される図、図10Bは、ノースアップ
モード時の掃引線等の表示説明に供される図である。
【図11】コースアップモードに設定した後、自船の針
路を変針した場合の説明に供される図である。
【図12】変針後の掃引線等の表示の説明に供される図
であって、図12Aは、ヘッドアップモード時、図12
Bは、ノースアップモード時、図12Cは、コースアッ
プモード時を表す図である。
【図13】この発明の背景技術の構成を示すブロック図
である。
【図14】バッファメモリ部への映像データの格納方法
の説明に供される図である。
【図15】極座標の説明に供される図である。
【図16】画像メモリ部の中心に設定される座標変換ア
ドレスの説明に供される図である。
【図17】図13例に基づく、レーダ画面の映像表示例
を示す図である。
【符号の説明】
5a…制御部 5b…読み出し制御
部 6…画像メモリ部 7…海図入力部 8a…海図メモリ部 9…混合器 10…表示器 11…映像表示枠 12…水平走査メモリ部 201…自船 202…船首方向 203…空中線 204…輻射面 205…輻射方向 VD…ビデオ信号 θA …空中線の角度 θZ …座標変換用の基準角度 θG …ジャイロ針路 Sv…速度信号 Sp…位置信号 AZDM…方位表示モード MM…運動モード Rvda、Rvdb、Rvdc…レーダ映像データ Mvda…電子海図情報 Mvdb、Mvdc
…海図映像データ SHM…船首線 Rv…レーダ映像 Mc…海図映像 R1 …読み出し開始
アドレス XR …読み出し開始Xアドレス YR …読み出し開始
Yアドレス Vsync…垂直同期信号 Hsync…水平同
期信号 CK…転送クロック BK…ブランク信号 NDSP…非表示期間 DSP…表示期間 DK…ドットクロック SWP…掃引線 Rmax…レーダ装置の使用距離縮尺

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画像メモリ部から出力されるレーダ映像デ
    ータと、海図メモリ部から出力される海図映像データと
    を混合器により混合して表示器の画面上にレーダ映像と
    海図映像とを重畳してラスタスキャン方式により表示す
    るレーダ装置において、 前記海図メモリ部の読み出しアドレスを生成する海図メ
    モリ部読み出し制御部と、 前記海図メモリ部と前記混合器との間に接続され、ラス
    タスキャンの1水平走査分の海図映像データを記憶する
    水平走査メモリ部とを備え、 前記海図メモリ部読み出し制御部は、設定された方位表
    示モードに応じて、前記海図メモリ部からの読み出し角
    度を回転させた読み出しアドレスを生成し、この生成し
    た読み出しアドレスにより、前記海図メモリ部からラス
    タスキャンの1水平走査分の前記海図映像データを順次
    読み出して前記水平走査メモリ部に記憶させ、 前記混合器により、前記水平走査メモリ部に記憶された
    海図映像データと前記レーダ映像データとを混合して、
    自船の位置が表示器上で固定して表示される相対運動モ
    ード時においても、海図映像とレーダ映像との重畳表示
    を行うようにしたことを特徴とする電子海図の重畳表示
    可能なレーダ装置。
  2. 【請求項2】前記海図メモリ部のメモリエリアは、前記
    画像メモリ部のメモリエリアより大きく選定されている
    ことを特徴とする請求項1記載の電子海図の重畳表示可
    能なレーダ装置。
  3. 【請求項3】前記海図メモリ部のメモリエリアは、前記
    画像メモリ部のメモリエリアをL×L箇とするとき、2
    L×2L箇に選定されていることを特徴とする請求項2
    記載の電子海図の重畳表示可能なレーダ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001042026A (ja) * 1999-07-27 2001-02-16 Japan Radio Co Ltd ナビゲータ
KR100436922B1 (ko) * 2001-12-01 2004-06-22 한국해양연구원 선박 추적정보 위성 전송 방법
JP2009047550A (ja) * 2007-08-20 2009-03-05 Tokyo Keiki Inc 不要追尾目標除去装置

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