JPH0953003A - 液晶ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂組成物

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JPH0953003A
JPH0953003A JP8128301A JP12830196A JPH0953003A JP H0953003 A JPH0953003 A JP H0953003A JP 8128301 A JP8128301 A JP 8128301A JP 12830196 A JP12830196 A JP 12830196A JP H0953003 A JPH0953003 A JP H0953003A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形品から発生する腐食性ガスの量が極めて少
なく、液晶ポリエステル樹脂が本来持つ機械的強度、耐
熱性を有する、電気、電子部品用として好適な液晶ポリ
エステル樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】液晶ポリエステル100重量部に対し、カ
ルシウム、ナトリウム、バリウムまたは亜鉛の酸化物、
過酸化物、複酸化物、水酸化物から選ばれた少なくとも
1種以上の化合物を0.1〜50重量部添加してなるこ
とを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術】本発明は、成形品から発生する腐
食性ガスの量が極めて少ない電気、電子部品として好適
な液晶ポリエステル樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶ポリエステルは、分子が剛直なため
溶融状態でも絡み合いを起こさず、液晶状態を有するポ
リドメインを形成し、剪断により分子鎖が流れ方向に著
しく配向する挙動を示し、一般に溶融型液晶(サーモト
ロピック液晶)ポリマーと呼ばれている。この特異的な
挙動のため溶融流動性が極めて優れ、構造によっては高
い荷重たわみ温度、連続使用温度を有し、260℃以上
の溶融ハンダ温度においても変形や発泡を生じない。
【0003】このことから液晶ポリエステルに、ガラス
繊維に代表される繊維上の補強材やタルクに代表される
無機充填材、さらに熱安定剤などを充填した樹脂組成物
は、薄肉あるいは複雑な形状をした電気、電子部品とし
て好適な材料となり、例えばリレー部品、コイルボビ
ン、コネクター、ボリューム部品、コンミテーター、モ
ーター部品などに使用されている。
【0004】しかしながら、液晶ポリエステルは一般に
高い成形温度を必要とする。このため、成形時に液晶ポ
リエステル樹脂組成物の分解等によりガスが発生し、こ
のガスの一部が成形品中に包埋されることがあり、該包
埋ガスは実際の使用に当たって、電気、電子部品によっ
ては種々の問題を起こすことがある。特に電子部品がリ
レー(ケース、ベース、アーマチュア、コイルボビンな
ど)である場合においては、該包埋ガス、特にその成分
中の酢酸等の腐食性ガスが成形品から極微量でも発生し
た場合、金属接点周辺に堆積し、接点開閉時のアークの
作用で炭化したり、金属接点を腐食させたりすることに
よって絶縁不良を起こすことがある。
【0005】また、表面実装用の電子部品として用いら
れる場合、はんだ付けのリフロー工程では250℃以上
の高温度下におかれるため、成形品中に包埋されている
腐食性ガスが成形品中から発生しやすくなり、周囲に実
装された他電子部品の金属部分の腐食の原因となる可能
性がある。
【0006】また、リレーコイルやICチップの封止成
形等の特に高流動性が要求される用途に対しては、分子
量を低く調整された液晶ポリエステル等が用いられるこ
とがある。その場合、ポリマー合成時に生成する化合
物、例えば酢酸、安息香酸等の腐食性ガス成分の、ポリ
マー中への残存量が増加し、最終製品としての使用時に
前述のような問題を起こす可能性がある。
【0007】液晶ポリエステル樹脂組成物から発生する
ガスは、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、酢酸、フェ
ノールなどのような低沸点物であることが、ガスクロマ
トグラフィー質量分析などにより確認されている。該発
生ガスは液晶ポリエステル、各種充填剤およびその処理
剤、あるいは各種安定剤等に由来するガスであり、成形
加工時の熱分解によって発生し、成形品中に包埋される
ものと考えられる。また、前述の流動性が良好な液晶ポ
リエステル樹脂組成物の成形品から発生するガスの主成
分は、酢酸であることが多い。しかし、発生機構の詳細
については明かではない。
【0008】一方、液晶ポリエステル樹脂組成物からの
発生ガス量を低減する方法として、特開平6−5711
7号公報には、液晶ポリエステル樹脂組成物に対し、活
性炭や特定のゼオライト類を添加する方法が開示されて
いる。しかし、本発明の比較例中にも記載したように活
性炭や特定のゼオライト類を添加した該液晶ポリエステ
ル樹脂組成物は、発生ガス中の低沸点成分を低減する効
果はみられたものの酢酸を低減する効果は劣ることが明
らかになった。
【0009】また、特公平5−71630号公報にはサ
ーモトロピック液晶ポリマーに特定の酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウムを混合し、該サーモトロピック液
晶ポリマー樹脂組成物の熱伝導率を向上させる方法が開
示されている。しかし、発生ガス量を低減させる効果に
ついての記載はない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成形品から
発生する腐食性ガスの量が極めて少なく、液晶ポリエス
テル樹脂が本来持つ機械的強度、耐熱性を有する電気、
電子部品用として好適な液晶ポリエステル樹脂組成物を
提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、液晶ポリエステル
樹脂にカルシウム、ナトリウム、バリウムまたは亜鉛の
酸化物、過酸化物、複酸化物、水酸化物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物を添加させることにより、上
記目的が達成されることを見い出し、本発明に到達した
ものである。すなわち、本発明は、液晶ポリエステル1
00重量部に対し、カルシウム、ナトリウム、バリウム
または亜鉛の酸化物、過酸化物、複酸化物、水酸化物か
ら選ばれた少なくとも1種以上の化合物を0.1〜50
重量部添加してなることを特徴とする液晶ポリエステル
樹脂組成物に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用される液晶ポリエス
テルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリ
エステルであり、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジ
オールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせか
らなるもの、(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸
からなるもの、(3)芳香族ジカルボン酸と各置換芳香
族ジオールからなるもの、(4)ポリエチレンテレフタ
レートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン
酸を反応させたものなどが挙げられ、400℃以下の温
度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これら
の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成
誘導体が使用されることもある。該液晶ポリエステルの
繰り返し構造単位としては下記のものを例示することが
できるが、これらに限定されるものではない。芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0013】
【化2】 芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0014】
【化3】 芳香族ジオールに由来する繰り返し単位:
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】 耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから特に好まし
い液晶ポリエステルは、下式(A1 )で表される繰り返
し構造単位を少なくとも30モル%含むものである。
【0017】
【化6】 具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下式(a)
〜(f)のものが好ましい。
【0018】(a):(A1 )、(B1 )または
(B1 )と(B2 )の混合物、(C1 )。 (b):(A1 )、(A2 )。
【0019】(c):(a)の構造単位の組み合わせの
ものにおいて、A1 の一部をA2 で置き換えたもの。 (d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、C1 の一部をC3 で置き換えたもの。
【0020】(e):(a)の構造単位の組み合わせの
ものにおいて、C1 の一部をC3 で置き換えたもの。 (f):(b)の構造単位の組み合わせたものにB1
2 の構造単位を加えたもの。
【0021】また、これらの液晶ポリエステルの下記に
記す方法で測定した流動温度は、200℃〜400℃で
あることが好ましく、250℃〜350℃のものがより
好ましい。流動温度が400℃を超えると成形性が悪化
し、250℃以下のものは耐熱性が不足する。基本的な
構造となる(a)、(b)の液晶ポリエステルについて
は、例えば特公昭47−47870号公報、特公昭63
−3888号公報などに記載されている。
【0022】本発明で用いられる、カルシウム、ナトリ
ウム、バリウムまたは亜鉛の酸化物、過酸化物、複酸化
物、水酸化物等の無機化合物としては、酸化カルシウ
ム、酸化バリウム、酸化亜鉛、過酸化バリウム、ケイ酸
カルシウム(ウォラストナイト)、チタン酸バリウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛など
が挙げられる。具体的には酸化カルシウム、水酸化カル
シウムが好ましく、酸化カルシウムであることがより好
ましい。たとえば、酸化カルシウムは、和光純薬工業
(株)からは平均粒径が13.2μmである試薬 酸化
カルシウム(99.9%)、井上石灰工業(株)からは
平均粒径が9.6μmである商品名 VESTA PP
を入手することができる。また、酸化亜鉛としては、堺
化学工業(株)から平均粒径が0.3μmである1号亜
鉛華や平均粒径が0.02μmである商品名FINEX
−50などが入手できるが、これらに限定されるもので
はない。
【0023】本発明で用いられる、カルシウム、ナトリ
ウム、バリウムまたは亜鉛の酸化物、過酸化物、複酸化
物、水酸化物から選ばれた少なくとも1種以上の無機化
合物は、吸水率が2%以下のものが好ましい。さらに好
ましくは吸水率が1.5%以下のものであり、1%以下
のものならばさらに好ましい。また吸水率が2%を超え
るようなものを、加熱、減圧などの手段によって脱水さ
せることにより2%以下として好ましく使用することが
できる。吸水率が2%を超えるものは、成形品から発生
する腐食性ガスの量の低減効果が不十分となり、造粒性
が悪化するので好ましくない。
【0024】本発明で用いられる上記無機化合物の添加
量は、液晶ポリエステル樹脂100重量部に対し0.1
〜50重量部であり、0.2〜30重量部であることが
好ましく、0.3〜20重量部であることがさらに好ま
しい。上記無機化合物の添加量が0.1重量部よりも少
ない場合には、成形品から発生する腐食性ガスの量の低
減効果はほとんどみられない。また、50重量部より多
く添加しても成形品から発生する腐食性ガスの低減効果
はそれほど向上せず、成形品の機械物性や耐熱性が低下
し、樹脂混合物の押出機へのかみ込み性が悪化したり、
押し出されたストランドが良好に引き取れないなどの造
粒性の困難を招くので好ましくない。
【0025】本発明で用いられる上記無機化合物は、平
均粒径が0.01μm〜100μmであるものが好まし
く、0.1〜50μmであるものがさらに好ましい。平
均粒径が0.01μmより小さい場合は、これらの無機
化合物が、組成物の造粒時に凝集し好ましくない。また
平均粒径が100μmより大きい場合は、これらの無機
化合物の、重量あたりの表面積が減少することから、成
形品から発生する腐食性ガスの低減効果が不十分となり
好ましくない。
【0026】さらに本発明においては、必要に応じてガ
ラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊
維、ホウ酸アルミニウムウイスカーなどの繊維状あるい
は針状の補強材、タルク、マイカ、クレー、ガラスビー
ズなどの無機充填材、フッ素樹脂などや金属石鹸類など
の離型改良剤、染料、顔料などの着色剤、酸化防止剤、
熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤など
の通常の添加剤を1種以上添加することができる。特
に、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に対し、ゼオ
ライト、活性炭等の低分子化合物を吸着する作用を有し
ている充填剤を添加混合することは、成形品から発生す
る腐食性ガスを含む全てのガスの低減に対し効果的であ
る。
【0027】また、少量の熱可塑性樹脂、例えば、ポリ
アミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリサルホン、
ポリフェニレンエーテルおよびその変成物、ポリエーテ
ルイミドなどや、少量の熱硬化性樹脂、例えば、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの一種ま
たは、二種以上を添加することもできる。
【0028】本発明の樹脂組成物を得るための原材料の
配合手段は特に限定されない。液晶ポリエステル、カル
シウム、ナトリウム、バリウム、亜鉛の酸化物、過酸化
物、複酸化物、水酸化物から選ばれた少なくとも1種以
上の化合物、必要に応じてガラス繊維などの補強剤や無
機充填剤、離型改良剤、熱安定剤などをヘンシェルミキ
サー、タンブラー等を用いて混合した後、押出機を用い
て溶融混練することが一般的である。そのときの溶融混
練法としては、全ての原材料を一括して混合した後で押
出機へフィードしてもかまわないし、必要に応じてガラ
ス繊維などの補強材や無機充填材などの原材料を、樹脂
を主体とする原材料とは別にフィードしてもかまわな
い。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成形品か
ら発生する腐食性ガスが極めて少ないことから、金属と
接する、あるいは近接するような形状の電気、電子部品
に好適に用いることができる。そのような電気、電子部
品としては、例えばリレー部品、コイルボビン、コネク
ター、ボリューム部品、モーター部品などを挙げること
ができるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。 実施例1〜8、比較例1〜3 繰り返し構造単位が前記のA1 、B1 、B2 、C1 から
なり、A1 :B1 :B 2 :C1 のモル比が60:11:
9:20であり、流動温度が290℃である液晶ポリエ
ステル(液晶ポリエステルAとする)100重量部、ガ
ラス繊維(セントラルガラス(株)製、商品名EFH7
5−01)67重量部、およびカルシウム、ナトリウ
ム、バリウムまたは亜鉛の酸化物、過酸化物、複酸化
物、水酸化物から選ばれた少なくとも1種以上の無機化
合物を表1に示す組成でヘンシェルミキサーで混合後、
二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30)を用い
て、シリンダー温度300℃で造粒し、液晶ポリエステ
ル樹脂組成物を得た。本実施例に用いた上記無機化合物
の平均粒径は、いずれも0.01μm〜100μmであ
った。同様にして上記無機化合物を含まない液晶ポリエ
ステル樹脂組成物(比較例1)を得た。
【0030】実施例9〜12、比較例4〜6 繰り返し構造単位が前記のA1 、B1 、B2 、C1 から
なり、A1 :B1 :B 2 :C1 のモル比が60:15:
5:20であり、流動温度が315℃である液晶ポリエ
ステル(液晶ポリエステルBとする)100重量部、ガ
ラス繊維(セントラルガラス(株)製、商品名EFH7
5−01)67重量部、および酸化カルシウムまたは酸
化亜鉛を表2に示す組成でヘンシェルミキサーで混合
後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30)を用
いて、シリンダー温度340℃で造粒し、液晶ポリエス
テル樹脂組成物を得た。本実施例に用いた酸化カルシウ
ムの平均粒径は9.6μmであり、酸化亜鉛の平均粒径
は0.3μmであった。同様にして酸化カルシウムおよ
び酸化亜鉛を含まない液晶ポリエステル樹脂組成物(比
較例4)を得た。
【0031】これらの樹脂組成物を造粒するとき、以下
に記す方法で造粒性を判定した。また、これらの樹脂組
成物を以下に記す方法により射出成形し(ただし、その
際のシリンダー温度は、実施例1〜8、比較例1〜3の
場合、各310℃;実施例9〜12、比較例4〜6の場
合、各350℃である)、得られた成形品からの酢酸の
量、成形品の引張強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を
以下に記す方法で測定した。結果を表1および表2に示
す。
【0032】(1)成形品から発生するガスの相対量:
液晶ポリエステル樹脂組成物から射出成形機(日精樹脂
工業(株)製PS40E5ASE)を用いて金型温度1
30℃でJIS1(1/2)号ダンベル(厚み0.8m
m)を成形し、得られた成形品を長さ5mm、幅5m
m、厚み0.8mmのチップに切削した。このチップ4
gを精秤し、蒸留水で洗浄後真空乾燥した25ccのバ
イアル瓶にいれ、ポリテトラフルオロエチレンからなる
パッキングでシール後、120℃に設定した熱風乾燥記
の中で20時間加熱し、成形品からガスを発生させた。
このバイアル瓶を、(株)島津製作所製ヘッドスペース
ガスクロ(GC−15A/HSS−3A)に装着し、1
20℃に保ちながら、充填剤としてDBWAX(J&W
SCIENTIFIC社製)を用いた15m長のカラ
ムに注入し、注入と同時にカラム温度を80℃から2℃
/分で昇温させ、保持時間25分までのガスをディテク
ターで検出した。ディテクターにはFID型を用い、キ
ャリアガスにはヘリウムを用いた。検出されたガスのピ
ークから、あらかじめ標準物質で確認しておいた酢酸の
保持時間におけるピークの相対量で、成形品から発生す
るガス中の酢酸の相対量を比較した。なお、液晶ポリエ
ステル樹脂のチップをバイアル瓶に入れない場合は、す
なわち空瓶からは、酢酸のピークは認められなかった。 (2)引張強度:液晶ポリエステル樹脂組成物から、金
型温度130℃で、ASTM4号ダンベルを成形し、A
STM D638に準拠して測定した。 (3)曲げ弾性率:液晶ポリエステル成形材料から、金
型温度130℃で長さ127mm、幅12.7mm、厚
み6.4mmの試験片を成形し、ASTM D−790
に準拠して測定した。 (4)荷重たわみ温度:液晶ポリエステル成形材料か
ら、金型温度130℃で長さ127mm、幅12.7m
m、厚み6.4mmの試験片を成形し、ASTM D−
648に準拠して測定した。 (5)流動温度:(株)島津製作所製の高化式フローテ
スター CFT−500型で測定され、4℃/分の昇温
速度で加熱溶融された樹脂を荷重100kg/cm2の
下で内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すと
きに、該溶融粘度が48000ポイズを示す点における
温度である。この温度の低い樹脂ほど流動性に優れる。 (6)造粒性の優劣:上記実施例、比較例に示す方法で
液晶ポリエステル樹脂組成物を造粒するとき、二軸押出
機のスクリューへのフィード性や押し出されたストラン
ドの引き取り性を、上記比較例1を造粒するときと比較
して、同等であるものを○、僅かに劣るものを△、明ら
かに劣るものを×とした。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】本発明のカルシウム、ナトリウム、バリウ
ムまたは亜鉛の酸化物、過酸化物、複酸化物、水酸化物
から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を添加した液
晶ポリエステル樹脂組成物(実施例1〜12)は、添加
しない組成物(比較例1、4)に比べ、成形品から発生
する酢酸の相対量が極めて低いことがわかる。すなわ
ち、成形品から発生する酢酸の相対量が低減されている
ことが明らかである。これに対して、添加量が0.1重
量部よりも少ないもの(比較例2、5)は、成形品から
発生する酢酸の相対量の低減効果が小さく、添加量が5
0重量部を超えるもの(比較例3、6)は、成形品から
発生する酢酸の相対量の低減効果は添加量が17重量部
のもの(実施例4、11)と同じで、引張強度、曲げ弾
性率の低下が大きく、造粒性が著しく悪化した。また、
吸水率が2%を超える酸化カルシウムを配合した液晶ポ
リエステル樹脂組成物(実施例3)は、吸水率が2%以
下のものを配合した液晶ポリエステル樹脂組成物(実施
例2)より成形品から発生する酢酸の相対量の低減効果
が若干弱まり、造粒性も僅かに劣るものであった。
【0036】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物
は、成形品から発生する腐食性ガスの相対量が少なく、
液晶ポリエステル樹脂組成物のもつ本来の機械的強度、
耐熱性を有し、その造粒性、成形性も良好なことから、
電気、電子部品として極めて有用なものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶ポリエステル100重量部に対し、カ
    ルシウム、ナトリウム、バリウムまたは亜鉛の酸化物、
    過酸化物、複酸化物、水酸化物から選ばれた少なくとも
    1種以上の化合物0.1〜50重量部を添加してなるこ
    とを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】液晶ポリエステルが下式(A1 )で表され
    る繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むもので
    ある請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。 【化1】
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