JP3371327B2 - 液晶ポリエステル樹脂の成形方法 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂の成形方法

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    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/0001Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor characterised by the choice of material
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、0.2mm以下の薄
肉部を有する成形品が容易に成形でき、かつそうして成
形された成形品が優れた低反り性を有し、表面外観に優
れる液晶ポリエステル樹脂の成形方法、およびそれを用
いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ポリエステル樹脂は、分子が剛直な
ため溶融状態でも絡み合いを起こさず液晶状態を有する
ポリドメインを形成し、成形時の剪断により分子鎖が流
れ方向に著しく配向する挙動を示し、一般に溶融液晶型
(サーモトロピック液晶)ポリマーと呼ばれている。液
晶ポリエステル樹脂は、この特異な挙動のため溶融流動
性がきわめて優れ、分子構造によっては高い荷重たわみ
温度、連続使用温度を有し、260℃以上の溶融ハンダ
に浸漬しても変形や発泡が生じない。このため液晶ポリ
エステル樹脂に、ガラス繊維に代表される繊維状補強材
やタルクに代表される無機充填材などを充填した樹脂組
成物は、薄肉部あるいは複雑な形状の電気・電子部品に
好適な材料となり、たとえばリレー部品、コイルボビ
ン、コネクター、ボリューム部品、コンミテーターやセ
パレーターなどのモーター部品、あるいはコイル、水晶
振動子、ICチップなどの素子等の封止などに使用され
ている。しかしながら、近年の軽薄短小化の流れの中
で、製品形状はますます薄肉化、小型化の要望が強くな
っており、製品肉厚が0.2mm以下の製品も多くなっ
ている。このような0.2mm以下の薄肉部を有する成形
品においては、液晶ポリエステル樹脂といえども成形は
非常に困難であり、樹脂が完全に充填しないショートシ
ョットやバリなどの成形不良となってしまう。また、表
面実装技術の進展に伴い、低反り性への要望も強くなっ
ている。これは、表面実装する際に製品の反り量が0.
10mmを越えると基板上のハンダ塗布面よりも端子部が
上に逃げてしまい、いわゆるハンダ不良となってしまう
ためである。一般に、反りは材料の成形収縮率の絶対値
が大きく、成形収縮率の方向性(異方性)が強いと発生
しやすいとさている。従来は、ガラス繊維などの繊維状
充填材では、成形収縮率の絶対値を小さくする効果はあ
っても、繊維の配向による異方性が発現するため、タル
ク、マイカなどの等方性の無機充填材などを、単独で、
あるいは複数の充填材と併用することにより、低反り性
を付与してきた。しかし、要求される反り量が0.10
mm以下というきわめて微少な領域であることに加え、液
晶ポリエステル樹脂は、他の熱可塑性樹脂に比べてもと
もと成形収縮率の異方性が強いために、こうした充填材
の工夫だけでは、限界があった。また、液晶ポリエステ
ル樹脂は固化速度が他の熱可塑性樹脂に比べきわめて早
いことから、薄肉部を有する成形体の射出成形において
は、より高速で成形することが良いことが知られてい
る。例えば、特開平8−52754号公報には、無機充
填材を含む液晶ポリエステルを200mm/sec以上
の高速射出を行うことにより、0.2mm以下の厚みの
フィルムを射出成形することが開示されている。しかし
ながら、単に射出速度を早くするだけでは、ショック圧
に伴うバリの発生や、樹脂ヤケなどの成形不良が発生
し、実用に耐えなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題
点を解決して、薄肉部(例えば、厚さ0.2mm以下)を
有する成形品が容易に成形でき、かつそうして成形され
た成形品が優れた低反り性を有し、表面外観に優れる液
晶ポリエステル樹脂の成形方法、およびそれを用いた成
形体を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、特定の流動温度
の液晶ポリエステル樹脂を製品キャビティー中に特定の
条件下で射出成形することにより、上記目的を達成し得
ることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明は以
下に示すとおりである。 (1)下記の方法で求めた流動温度が260℃〜400
℃である液晶ポリエステル樹脂の射出成形方法におい
て、波形モニターで観測される射出速度の最大値を射出
開始から射出速度の最大値に到達する時間で割ることに
より定義される射出加速度が1000〜25000mm
/sec2であり、さらに圧力波形の最大値が50〜1
500kg/cm2に制御されていることを特徴とする
液晶ポリエステル樹脂組成物の成形方法。 流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管
レオメータを用い、100kg/cm2の荷重下におい
て、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから押し
出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度。 (2)液晶ポリエステルが下記A1式で表される繰り返
し構造単位を少なくとも30モル%含むものである上記
(1)記載の液晶ポリエステル樹脂の成形方法。
【0005】
【化2】 (3)上記(1)または(2)に記載の液晶ポリエステ
ル樹脂の成形方法を用いて成形された成形体。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用される射出成形機は
特に限定されないが、波形モニターで観測される射出速
度の最大値(以下、Max射出速度と表記することがあ
る)を射出開始から射出速度の最大値に到達する時間
(以下、Attack時間と表記することがある)で割ること
により定義される射出加速度(以下、Attack加速度と表
記することがある)が1000〜25000mm/se
2であり、さらに圧力波形の最大値(以下、ショック
圧と表記することがある)が50〜1500kg/cm
2に制御することが可能であることが必須である。
【0007】Attack加速度が1000mm/sec2
満である場合、低反り性の付与効果が小さいばかりか、
0.2mm以下の薄肉部やそうした薄肉部が多数存在す
る成形品においては流動末端部でショートショットにな
るため好ましくない。また、Attack加速度が25000
mm/sec2を越えると、いわゆるエアベントからの
キャビティ内空気の逃げる速度よりも樹脂の充填速度が
早くなり、ヤケなどの成形不良となるため好ましくな
い。ショック圧が50kg/cm2未満である場合、射
出圧力そのものはさらにそれよりも小さくなってしま
い、射出圧力が不足しショートショットなどの成形不良
となるため好ましくない。また、ショック圧が1500
kg/cm2より大きいと、ランナーや、製品部のバリ
などの成形不良が発生するため好ましくない。こうした
条件で射出成形が可能な能力を有する射出成形機として
は、住友重機械工業(株)のN型、SG型(いずれもS
YCAP制御)、日精樹脂工業(株)のUH−1000
型、ファナック(株)のロボショットα−C型(高速仕
様)、松下電器産業(株)のパナジェクションPJ−3
0型、(株)ソディックのTuparlTR型などがあ
げられる。
【0008】本発明で使用される液晶ポリエステル樹脂
は、前述の方法で求められる流動温度が260〜400
℃である液晶ポリエステルである。流動温度が260℃
未満である場合、電気・電子部品として使用する際の耐
熱性、特にハンダ耐熱性が不十分となり好ましくない。
また、流動温度が400℃より大きい場合、加工温度が
高くなるため成形加工が困難となり良好な成形品を得る
ことができなくなるため好ましくない。本発明で使用さ
れる液晶ポリエステル樹脂は、サーモトロピック液晶ポ
リマーと呼ばれるポリエステルであり、(1)芳香族ジ
カルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸との組み合わせからなるもの、(2)異種の芳香族
ヒドロキシカルボン酸からなるもの(3)芳香族ジカル
ボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
に芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、等が
挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成す
るものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳
香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わ
りにそれらのエステル形成性誘導体が使用されることも
ある。該液晶ポリエステルの繰り返し構造単位として
は、下記のものを例示することができるが、これらに限
定されるものではない。芳香族ヒドロキシカルボン酸に
由来する繰り返し構造単位:
【0009】
【化3】 (式中、X1はハロゲン原子またはアルキル基を示
す。) 芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0010】
【化4】 (式中、X2はハロゲン原子、アルキル基またはアリー
ル基を示す。)芳香族ジオールに由来する繰り返し構造
単位:
【0011】
【化5】 (式中、X2はハロゲン原子、アルキル基またはアリー
ル基、X3はH原子、ハロゲン原子またはアルキル基を
示す。)
【0012】
【化6】
【0013】耐熱性、機械的特性、加工性のバランスか
ら特に好ましい液晶ポリエステルは、前記A1式で表さ
れる繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むもの
である。具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下
式(a)〜(f)のものが好ましい。 (a):(A1)、(B1)または(B1)と(B2)の混
合物、(C1) (b):(A1)、(A2) (c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(A1)の一部を(A2)で置き換えたもの (d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(B1)の一部を(B3)で置き換えたもの (e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(C1)の一部を(C3)で置き換えたもの (f):(b)の構造単位の組み合わせのものに
(B1)と(C1)の構造単位を加えたもの 基本的な構造となる(a)、(b)の液晶ポリエステル
については、それぞれ、例えば、特公昭47−4787
0号公報、特公昭63−3888号公報等に記載されて
いる。
【0014】なお、本発明で用いられる液晶ポリエステ
ル樹脂に対して、本発明の目的を損なわない範囲でガラ
ス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維
などの繊維状補強材、ホウ酸アルミニウムウィスカー、
チタン酸カリウムウィスカーなどの針状の補強材;ガラ
スビーズ、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラスト
ナイト、ドロマイトなどの無機充填材;フッ素樹脂、金
属石鹸類などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;
酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界
面活性剤などの通常の添加剤を1種以上添加することが
できる。また、たとえば高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤
等の外部滑剤効果を有するものを1種以上添加すること
も可能である。また、少量の熱可塑性樹脂、たとえば、
ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェ
ニレンエーテル及びその変性物、ポリスルフォン、ポリ
エーテルスルフォン、ポリエーテルイミド等や、少量の
熱硬化性樹脂、たとえば、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリイミド樹脂等の、1種または2種以上を添加す
ることもできる。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物
を得るための原料成分の配合手段は特に限定されない。
液晶ポリエステル、必要に応じてガラス繊維、タルク、
ホウ酸アルミニウムウィスカーなどの補強材や無機充填
材、離型改良剤、熱安定剤などの各成分を各々別々に溶
融混合機に供給するか、またはこれらの原料成分を乳
鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダ
ーなどを利用して予備混合してから溶融混合機に供給す
ることもできる。
【0015】本発明の液晶ポリエステル樹脂の成形方法
は、電気・電子部品(スイッチ、リレー、コネクター、
ソケット等)、電気・電子部品や発光ダイオード・トラ
ンジスタ・ICなどの素子の封止、OA・AV機器(プ
リンター、複写機、ファクシミリ、ビデオデッキ、ビデ
オカメラ、フロッピーディスクドライブ、ハードディス
クドライブ、CD−ROMドライブ、光磁気ディスクド
ライブ等のケース、機構部品)、その他の機構部品(ス
チールカメラ、電磁波を用いた加熱調理器、自動車部
品)などの成形に好適に用いられる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、実施例中の物性
は次の方法で測定した。 (1)反り量、製品外観 図1に示すコネクター金型を用い(端子部肉厚0.15
mm)、射出成形機で試料を成形した。取り出した成形
品を定盤において、ゲート側と反ゲート側の底面の位置
を基準面として、中央部の基準面からの変位をマイクロ
メーターで測定、5個の成形品の平均値をもって反り量
とした。また、製品外観を目視で観察した。 実施例1〜5 前述の方法で定義された流動温度が324℃でガラス繊
維の充填量が30wt%である液晶ポリエステル樹脂組成
物を120℃で3時間乾燥後、成形機1(日精樹脂工業
(株)製UH−1000型)を用いて、シリンダー温度
350℃、金型温度130℃で射出速度を50、10
0、200、400、600mm/secに変化させなが
らコネクターを成形し反り量の測定を行った。また、同
時に波形モニターでMax射出速度、Attack時間、および
ショック圧を計測した。結果を表1に示す。なお、表1
において、射出圧力設定はV−P切り替え圧力を示して
いる。表1から明らかなように、これらの条件で成形さ
れたコネクターは、いずれも反り量は0.1mm以下であ
り、製品外観も優れていた。
【0017】比較例1 実施例1と同様にして、成形機1を用い射出速度600
mm/sec、射出圧力(V−P切り替え圧力)200
kg/cm2として、同様の測定を行った。結果を表1
に示す。この条件では、ショック圧が1500kg/c
2を越えてしまい、製品にバリが生じてしまうことが
わかる。
【0018】実施例6〜8 実施例1と同様にして、成形機2(住友重機械工業
(株)製N110/45型)を用いて同様の測定を行っ
た。結果を表1に示す。なお、波形モニターには(株)
ニレコ製MOBAC M220−16を用いた。また表
1において、射出圧力設定はV−P切り替え圧力を示し
ている。表1から明らかなように、これらの条件で成形
されたコネクターは、いずれも反り量は0.10mm以下
であり、製品外観も優れていた。
【0019】比較例2〜5 実施例1と同様にして、成形機3(日精樹脂工業(株)
製PS40E5ASE型)を用いて同様の測定を行っ
た。結果を表1に示す。なお、波形モニターには(株)
ニレコ製MOBAC M220−16を用いた。また表
1において、成形機3は射出速度設定をmm/secで
は表せないため、%表示とした。射出圧力設定が小さい
(比較例2、3)とAttack加速度が小さくなり、成形品
の反り量が大きかった。また、射出圧力設定を高くする
と(比較例4)ショック圧が大きくなり、バリが発生し
た。さらに、射出速度設定を小さくしても(比較例
6)、ショック圧は低下せず、また樹脂の流動性が不足
してショートショットとなった。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステル樹脂の成形方
法は、従来よりも容易に0.2mm以下の薄肉部を持ち低
反り性を有する超薄肉成形品、とりわけコネクターを効
率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料のコネクターの成形に用いた金型の斜視図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−118398(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84 C08G 63/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の方法で求めた流動温度が260℃〜
    400℃である液晶ポリエステル樹脂の射出成形方法に
    おいて、波形モニターで観測される射出速度の最大値を
    射出開始から射出速度の最大値に到達する時間で割るこ
    とにより定義される射出加速度が1000〜25000
    mm/sec2であり、さらに圧力波形の最大値が50
    〜1500kg/cm2に制御されていることを特徴と
    する液晶ポリエステル樹脂の成形方法。 流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管
    レオメータを用い、100kg/cm2の荷重下におい
    て、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから押し
    出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度。
  2. 【請求項2】液晶ポリエステルが下記A1式で表される
    繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むものであ
    る請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂の成形方法。 【化1】
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の液晶ポリエステ
    ル樹脂の成形方法を用いて成形された成形体。
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