JPH0952797A - 炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法

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JPH0952797A JP22967895A JP22967895A JPH0952797A JP H0952797 A JPH0952797 A JP H0952797A JP 22967895 A JP22967895 A JP 22967895A JP 22967895 A JP22967895 A JP 22967895A JP H0952797 A JPH0952797 A JP H0952797A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜中に欠陥の少ない炭化ケイ素薄膜および炭
化ケイ素薄膜積層基板、特に、半導体製造、微細加工な
どにおいて利用されるβ型低温型結晶多形、あるいは単
結晶、多結晶、アモルファス等の構造を有する炭化ケイ
素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層材料を安全に量産する
方法を提供する。 【解決手段】 薄膜積層法により基板上に炭素とケイ素
からなる炭化ケイ素薄膜を積層した後さらに、薄膜を加
熱処理する。加熱処理の温度が炭化ケイ素薄膜の積層時
の温度以上であり、かつ前記基板が溶融する温度以下で
あることが好ましい。また、基板がケイ素を含む基板で
あると膜特性の良好な薄膜を得ることができ、また加熱
温度は850℃以上かつ1400℃以下であることがよ
り好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に炭化ケイ
素からなる薄膜を積層して得られる炭化ケイ素薄膜およ
びその薄膜と基板からなる薄膜積層基板についての製造
方法に関するものである。特に、半導体製造、微細加工
などの分野において有効に利用されるβ型低温型結晶多
形の炭化ケイ素を含み、単結晶、多結晶、アモルファス
等、各種の構造を有する炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ
素薄膜積層材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素(SiC)は、特にシリコン
などに比べて禁制帯幅が広いこと、また熱的、化学的に
安定な半導体材料であることなどの特徴から、耐環境素
子や電力素子はもとより、各種半導体デバイス材料、さ
らには微細加工用材料として注目されている。特に、基
板上に結晶性を有する炭化ケイ素薄膜を積層したもの
は、薄膜の結晶性、純度、欠陥密度などを制御すること
により半導体製造、微細加工などの分野において重要な
材料となる。炭化ケイ素には、組成が同じでも結晶構造
の異なる結晶多形が存在する。一般的に知られている結
晶多形としては6方晶系(α型)に属する2H、4H、
6H‐SiC、立方晶系(β型)に属する3C‐SiC
がある。特にα型の炭化ケイ素は、高温型結晶多形とい
われ生成温度が1500℃以上と高いため、結晶性が優
れている反面、成長が難しく通常は昇華法を用いてイン
ゴットを作成する手法が一般的である。α型の炭化ケイ
素の場合、炭化ケイ素自体を成長用の基板としてこの上
にCVD法により炭化ケイ素を積層する方法も提案され
ているが、いずれの場合も大面積、量産化には不向きで
ある。
【0003】一方、β型の炭化ケイ素は低温型結晶多形
といわれ、例えばCVDを用いてシリコン基板上に90
0℃から1050℃程度の温度でも成長することが可能
である。電気的な特性においても易動度、飽和ドリフト
速度ともに6H型の炭化ケイ素よりも高いことが知られ
ており、半導体用材料として期待されている。さらに、
バッチ式のCVDによる作製ができることと、シリコン
基板のように一般的に入手しやすくかつ大型の基板を使
用することが可能なため、大面積、量産化に適してい
る。炭化ケイ素薄膜を基板上に形成する他の方法として
は、例えば炭素とケイ素を含むターゲットを用いておこ
なうスパッター成膜や、炭素とケイ素を含むガスを用い
たプラズマCVD法などがあげられる。これらの方法で
作成した炭化ケイ素膜は通常、アモルファスあるいは多
結晶の態様を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常、CVDを用いて
ケイ素基板上に炭化ケイ素薄膜をへテロエピタキシャル
成長させる場合、基板であるケイ素と炭化ケイ素間に2
0%にもおよぶ格子間隔のずれが存在するため、これが
積層される炭化ケイ素の結晶性悪化の原因となる。この
格子間隔の不整合に対しては、炭化ケイ素の積層前にケ
イ素基板表面を炭化すること(表面炭化)が有効である
といわれている。現在、この表面炭化プロセスを用い
て、ケイ素基板上における大面積の炭化ケイ素(β型)
の積層が行われている。しかしながら、このような炭化
層上のCVD成長においても、結晶性や半導体としての
電気特性において多くの問題を残したままである。膜中
に存在して結晶性や電気特性に悪影響をおよぼす欠陥の
存在が具体的な問題となる。このような欠陥として、積
層欠陥および結晶粒界の存在、さらには不純物によりも
たらされる欠陥などがある。
【0005】これらの欠陥を減少させる方法としては、
より高温かつ清浄な環境下での薄膜形成が望ましいが、
実質的な薄膜形成条件はこれを行う装置、冶具および環
境などにより必然的に制限をうける。すなわち、薄膜形
成装置の炉体あるいは治具に石英部品を用いている場合
には石英の軟化点が、基板においては基板材料の融点
が、さらには加熱用ヒーターの加熱限界、炉体気密機構
に用いられる部材の耐熱温度などが装置上の制限を決定
する。特にシラン系ガスおよび水素を使用することから
安全性の確保が重要な条件となる。つけ加えれば、実際
にこれらの制限値に近い条件での薄膜形成は量産性、そ
してなによりも安全性の点で不可能であり、従って、C
VD成長による炭化ケイ素薄膜の欠陥の低減について具
体的な方法は明示されていなかった。他の炭化ケイ素薄
膜形成としては、先に上げたようにスパッター成膜など
による方法もあるが、これらにより形成した膜とエピタ
キシャル成長膜とを比べると、明らかに結晶性や電気的
な特性の点で劣っているのが実状である。本発明の目的
は、膜中に欠陥の少ない炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ
素薄膜積層基板を安全に量産する方法を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、本発明にかかる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素
薄膜積層基板の製造方法は、適当な薄膜積層法により基
板上に炭素とケイ素からなる炭化ケイ素薄膜を積層した
後さらに、薄膜を加熱処理することを特徴とする。ま
た、この加熱処理の前に、炭化ケイ素薄膜を積層した基
板の一部を除去しておいてもよい。加熱処理の温度は、
炭化ケイ素薄膜の積層時の温度以上であり、かつ基板が
溶融する温度未満であることが好ましい。基板がケイ素
を含む基板である場合には、炭化ケイ素薄膜の積層が容
易に行われる。また、加熱処理の温度は、850℃以上
かつ1400℃以下であることがより好ましい。薄膜積
層法は、基板を加熱しながら原科となるシラン化合物お
よび炭化水素を交互に基板上に供給する気相化学堆積法
(CVD)であってよく、シラン化合物としてジクロル
シランを、前記炭化水素として水素またはアルゴンで希
釈したアセチレンを用いることができる。基板が結晶性
を有する基板であり、積層した炭化ケイ素薄膜が結晶性
を有する場合は、結晶性の優れた炭化ケイ素薄膜および
炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることができる。積層した
炭化ケイ素膜の結晶構造が立方晶であり、単結晶である
ときは、より優れた特性を有する炭化ケイ素薄膜および
炭化ケイ素薄膜積層基板を製造することが可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明にかかる炭化ケイ素薄膜お
よび炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法では、適当な薄
膜積層法により基板上に炭素とケイ素からなる炭化ケイ
素薄膜を積層し、その後さらに、薄膜を加熱処理する。
また、炭化ケイ素薄膜のみの構成部分が有用である場合
には、この加熱処理の前に、炭化ケイ素薄膜を積層した
基板の一部を除去しておいてもよい。上述の製造方法に
よれば、炭化ケイ素薄膜を基板上に積層した後に熱処理
をおこなうため、薄膜の熱処理は基板を介して均一にお
こなうことが可能となる。また、サセプターなどの加熱
用治具に対して実質接触する部分は基板側であり、加熱
時に薄膜が他の事物に接触して起こる汚染を最小限にす
ることが可能である。一方、薄膜下の基板を除去して加
熱する場合については、必要とする薄膜部分の回りの基
板を薄膜の支持体として残すことで、取り扱いの難しい
薄膜をメンブレン化することが可能となる。また、同じ
く加熱時における薄膜の接触による汚染を防ぐ効果があ
る。
【0008】また、熱処理温度の下限を炭化ケイ素薄膜
積層時の温度以上とすることにより、成膜時に比べ、熱
による結晶構造および膜質の改善をもたらすことが可能
となる。これら結晶性の改善は薄膜の電気特性の改善に
対する効果が大きい。したがって、炭化ケイ素薄膜の形
成においては量産性と十分な安全が確保できる温度にて
おこなった後、別途装置により所望の熱処理をおこなう
ことで良質の炭化ケイ素薄膜の取得が可能となる。一
方、熱処理温度の上限を基板の溶融温度までとすること
により、基板の溶融はもとより、溶融にともなう基板材
質の蒸発による薄膜の汚染を防止することが可能とな
る。炭化ケイ素自体の溶融温度は2500℃以上であ
り、一般的に用いられる基板材料の融点よりもかなり高
温であることから、この温度により炭化ケイ素薄膜が溶
融する問題はほとんどない。
【0009】炭化ケイ素薄膜を積層する基板としては、
ケイ素を含む基板を用いることが可能である。ケイ素を
含む基板の具体的なものとしては、シリコン基板、ケイ
素含有硝子基板、石英基板、あるいはケイ素を含む薄膜
を任意の基板上に形成したものを基板として用いること
が可能である。これらの基板は高純度の素材として一般
的に入手することが容易であり、これらを用いれば熱処
理時において基板側から薄膜を汚染するような物質の発
生を極力低減することが可能となる。熱処理の温度を8
50℃以上1400℃以下とすると、例えば室温におい
てスパッター法を用いて作成した炭化ケイ素薄膜や40
0℃付近でブラズマCVDを用いて作成した同薄膜、さ
らには800℃付近で熱CVDを用いてに作成した同薄
膜ついても、膜質を改善し、結晶性を向上させる効果的
な熱処理が可能となる。
【0010】基板上に炭化ケイ素薄膜を堆積させる薄膜
積層法は、基板を加熱しながら原科となるシラン化合物
および炭化水素を交互に基板上に供給する気相化学堆積
法(CVD)であってよく、シラン化合物としてジクロ
ルシランを、前記炭化水素として水素またはアルゴンで
希釈したアセチレンを用いることができる。基板が結晶
性を有する基板であり、積層した炭化ケイ素薄膜が結晶
性を有する場合は、結晶性の優れた炭化ケイ素薄膜およ
び炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることができる。積層し
た炭化ケイ素膜の結晶構造が立方晶であり、単結晶であ
るときは、より優れた特性を有する炭化ケイ素薄膜およ
び炭化ケイ素薄膜積層基板を製造することが可能であ
る。
【0011】気相化学堆積法は大面積基板を用いること
ができる量産性を備えた薄膜積層法である。特に減圧気
相化学堆積法を用いて、炭化ケイ素の原料を交互に基板
上に供給して積層させることにより、原子層レベルでの
薄膜積層が可能となり、膜質等について高い制御性を有
した膜形成を実現する。このようにして得られた薄膜を
さらに熱処理することにより、膜質、半導体特性等の優
れた炭化ケイ素薄膜を提供することが可能となる。ま
た、炭化ケイ素薄膜形成のための原料として、ジクロル
シランと、水素またはアルゴンで希釈したアセチレンを
用いることにより、特に熱CVDにより制御性の高い炭
化ケイ素薄膜の形成が可能となり、さらに熱処理を施す
ことにより膜質および結晶性のきわめて優れた炭化ケイ
素薄膜の形成が可能となる。
【0012】炭化ケイ素薄膜を積層するための基板とし
てケイ素基板を使用し、積層する炭化ケイ素薄膜が結晶
性を有するものであれば、熱処理による炭化ケイ素薄膜
の半導体特性をより効果的に向上させることが可能とな
る。また、下地基板がケイ素基板であることから、半導
体デバイス、センサー材料、微細加工用材料を加工する
ために既存のプロセスを適用することが容易となる。ま
た、積層時の炭化ケイ素薄膜が立方晶の単結晶であるよ
うにすると、熱処理後の炭化ケイ素薄膜の特性につい
て、半導体用材料としての電気的、物理的特性をさらに
充分に引き出すことが可能となる。以下、実施例に基づ
いて本発明の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層
基板の製造方法を詳細に説明する。
【0013】
【実施例1】本発明の炭化ケイ素薄膜基板の製造におけ
るケイ素基板上への炭化ケイ素薄膜の積層工程の一例を
以下に説明する。図1には、本実施例におけるプロセス
フローを示した。本発明のプロセスは基本的に基板1上
に炭化ケイ素薄膜2を堆積する薄膜形成工程と、炭化ケ
イ素薄膜2を加熱処理する熱処理工程により構成され
る。
【0014】実施例1における炭化ケイ素の積層は、熱
CVD法を用いて実施した。基板1には、単結晶ケイ素
基板(n型、(001)面)を使用した。原料にはジク
ロルシランガスと水素またはアルゴンで希釈したアセチ
レンガスを用いた。炭化ケイ素薄膜2の薄膜形成工程で
は、まずケイ素基板1(図1(A))を反応炉に設置し
た後、所定の温度まで基板加熱をおこなった。この際
の、反応炉内雰囲気としては真空状態、水素で希釈した
アセチレンガス雰囲気または、アルゴンで希釈したアセ
チレン雰囲気のいずれかを適宜に選択することができ
る。反応炉内が所定の成長温度、本実施例では1020
℃まで達した後、反応炉内にジクロルシランと水素で希
釈したアセチレンガスあるいはアルゴンで希釈したアセ
チレンガスを導入した。これらガスの導入法として、例
えば特願平5−264755号公報に示されたようなガ
ス導入法を用いることが可能であり、膜質、結晶性の優
れた炭化ケイ素薄膜形成に効果があるが、別の方法であ
ってもよいことはいうまでもない。炭化ケイ素薄膜2積
層時の温度として1020℃は、石英製の炉体、治具さ
らに、融点が1370℃以上であるケイ素基板に対し
て、十分な安全性の確保と基板形状保持ができる温度域
である。本実施例では、上記の方法でケイ素基板1上に
炭化ケイ素薄膜2を約2μm積層した(図1(B))。
【0015】この後、炭化ケイ素薄膜積層基板の熱処理
を、通常の管状炉を用い、窒素雰囲気中にて1350℃
で30分間おこなって炭化ケイ素薄膜2を変成した。こ
の結果、良好な特性を示す炭化ケイ素薄膜3を積層した
炭化ケイ素薄膜積層基板4を得た(図1(C))。熱処
理の条件としては、管状炉において十分な安全性が保証
できるものを選択した。熱処理時の雰囲気は、本実施例
で用いた窒素雰囲気以外にも不活性ガス雰囲気、あるい
は活性ガス雰囲気など、被処理体の用途に応じて適宜に
選択することが可能である。
【0016】図2は本実施例の熱処理前後における炭化
ケイ素膜の膜質の変化を示したものである。膜質変化の
目安として、炭化ケイ素薄膜の膜厚を変化させて、膜厚
ごとに熱処理前後についてX線回折測定における炭化ケ
イ素結晶[200]ピークの半値幅(FWHM)の値を
測定して比較した。図は、横軸が炭化ケイ素薄膜の膜厚
を表し、縦軸がFWHMの値を表す。各膜厚ごとに白丸
で熱処理前の炭化ケイ素薄膜2のFWHM、黒丸で13
50℃で熱処理した後の炭化ケイ素薄膜3のFWHMを
示している。図2から明らかなようにいずれの炭化ケイ
素膜厚においても、熱処理を施すことにより半値幅(F
WHM)が減少しており、結晶性が向上したことが明ら
かである。
【0017】表1は熱処理前後における炭化ケイ素薄膜
の電気特性の変化を示したものである。炭化ケイ素膜厚
は2μmである。変化の目安は、炭化ケイ素薄膜のホー
ル易動度、キャリア密度、抵抗率である。測定は Van d
er pauw 法を用いておこなった。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示した結果から明らかなように、適
宜な熱処理を施した炭化ケイ素膜3の半導体としての電
気特性は、積層のみで熱処理を施していない炭化ケイ素
薄膜2のそれよりも大幅に向上した。以上のように結晶
性、電気特性いずれも、熱処理により炭化ケイ素薄膜の
膜質を改善することが可能である。すなわち、炭化ケイ
素薄膜積層工程において、量産性と安全性を充分に確保
しながら、半導体用材料あるいは各種センサー用構造材
料として好適に用いることができる結晶性や電気特性の
良好な炭化ケイ素薄膜3および炭化ケイ素薄膜積層基板
4を得ることが可能となった。なお、本実施例における
炭化ケイ素薄膜の積層は熱CVD法を用いて1020℃
でおこなったが、熱CVD法の処理温度は、800℃か
ら1350℃の範囲で積層膜の膜質、炉体材質および安
全性を考慮して適宜に選択することができる。
【0020】
【実施例2】図3は、実施例2におけるプロセスフロー
を示す図である。図1と同様の機能を有する部分につい
ては同じ参照番号を付してある。本実施例では、実施例
1と同様の条件にてケイ素基板1(図3(A))の上に
炭化ケイ素薄膜2を2μmの厚みで積層した後(図3
(B))、図3(C)に示したように炭化ケイ素薄膜2
下のケイ素基板1を部分的に除去してから、熱処理を施
して炭化ケイ素薄膜3に変成し炭化ケイ素薄膜積層基板
4を得た。ケイ素基板1は、除去しない部分を任意の方
法でマスクした後に、フッ酸と硝酸の混合液(混合比
4:1)にて化学的エッチングにより必要部分を除去し
た。熱処理は、炭化ケイ素薄膜2を積層した炭化ケイ素
薄膜積層基板に対して、管状炉を用いて、窒素雰囲気中
にて1350℃で30分間熱処理をおこなった。熱処理
の条件、処理雰囲気について、適宜選択できる点は実施
例1と同様である。熱処理を施して作成した炭化ケイ素
薄膜3について、X線回折評価および電気特性評価をお
こなったが、実施例1と同様に、熱処理を施さなかった
場合に比べて結晶性、電気特性ともに大きく改善がなさ
れていた。すなわち、炭化ケイ素薄膜積層における量産
性と安全性を充分に確保しながら、半導体用材料あるい
は各種センサー用構造材料として好適に用いることがで
きる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を得
ることが可能となった。
【0021】
【実施例3】実施例3における炭化ケイ素薄膜の積層
は、基板に石英基板を使用して熱CVD法により実施し
た。炭化ケイ素薄膜の積層条件は基板に石英基板を使用
した以外は実施例1と同じである。炭化ケイ素薄膜を積
層した積層基板の熱処理は、管状炉を用い、アルゴン雰
囲気中にて1300℃で約60分間おこなった。ただ
し、前述の実施例と同様に、熱処理条件、雰囲気等につ
いては適宜選択できることはいうまでもない。処理した
炭化ケイ素薄膜の評価はX線回折、抵抗率測定およびド
ライエッチング特性評価によりおこなった。X線回折測
定において、熱処理前後で結晶性の改善、特に炭化ケイ
素結晶の[100]および[111]方向に対する結晶
性の改善が顕著であった。抵抗率測定により求めた値
は、熱処理前の炭化ケイ素薄膜で100Ω・cm以上で
あったのに対し、熱処理後は80Ω・cm以下であっ
た。また、ドライエッチング特性については、CF4
2を4:1で混合したガスを用いた反応性イオンエッ
チング(RIE)をおこない、エッチング速度、表面状
態を比較した。RF出力250Wのエッチングで比較し
たところ、熱処理前後においてエッチング速度には大き
な差はみられなかったが、エッチング表面のあれに関し
ては、中心線平均粗さの値は熱処理した試料において約
8nmRaであり、熱処理しなかった場合の約1/20
以下まで改善されていた。すなわち、炭化ケイ素薄膜積
層において、量産性と安全性を充分に確保しながら、半
導体用材料、各種センサー用構造材料あるいは微細加工
用材料として好適に用いることができる炭化ケイ素薄膜
および炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることが可能となっ
た。
【0022】
【実施例4】実施例4では、ケイ素基板上にスパッタリ
ングを用いて炭化ケイ素薄膜を約1μmの厚みで積層し
た基板に対して熱処理を施した。スパッタリングは、タ
ーゲットとして炭化ケイ素焼結体ターゲットを用い、ス
パッタリングガスにはアルゴンを使用し、スパッタ出力
密度8.5kW/cm2の下で炭化ケイ素薄膜の形成を
おこなった。炭化ケイ素薄膜を積層した基板の熱処理に
は管状炉を用い、850℃で約60分間おこなった。こ
の際、熱処理はアルゴン雰囲気中にておこなった。な
お、他の実施例と同様に、熱処理条件、雰囲気等につい
ては適宜選択できる。処理した炭化ケイ素薄膜の評価は
X線回折、薬液耐性評価によりおこなった。回折測定に
おいて、未処理のサンプルではアモルファスに近いブロ
ードなピークが観測されたが、熱処理を施すことにより
ピークの先鋭化が観測され、結晶化の進行が見られた。
結晶化は850℃よりも温度を上げるほど効果が顕著で
あり、より良質の炭化ケイ素薄膜の形成が可能となるこ
とが確認できた。また、フッ酸と硝酸の混合液(混合比
4:1)をもちいて、炭化ケイ素表面の耐薬品性を評価
したところ、末処理の炭化ケイ素膜では約10分間の浸
漬により部分的にスパッタ膜が溶出し、下地のケイ素基
板がエッチングされてしまったが、850℃以上で60
分間熱処理を施した炭化ケイ素膜の場合は、1時間以上
浸漬しても炭化ケイ素の溶出およびケイ素基板のエッチ
ングは観測されなかった。すなわち、炭化ケイ素薄膜積
層において、熱CVD法以外の方法でも、量産性と安全
性を充分に確保しながら、半導体用材科、各種センサー
用構造材科あるいは微細加工用材科として好適に用いる
ことができる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層
基板を得ることが可能となった。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の炭化ケイ
素薄膜積層後における薄膜形成温度以上での熱処理によ
り、特に、結晶性を有する基板上に炭化ケイ素薄膜を積
層したものは、薄膜の結晶性、純度、欠陥密度などを制
御することにより半導体製造、微細加工などの分野にお
いて好適に使用される材料となる。また、結晶性を有し
ない基板上に炭化ケイ素薄膜を積層したものでも、電気
的、化学的、あるいは微細加工性などにおいて炭化ケイ
素薄膜の改善の効果は顕著であり、従って本発明の効果
により、この様な技術分野において利用される炭化ケイ
素薄膜および薄膜積層材料の改良が可能となり、安定供
給を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で使用された工程図である
【図2】本発明の実施例1で使用された熱処理による結
晶性の改善を示す図である
【図3】本発明の実施例2で使用された工程図である
【符号の説明】
1 炭化ケイ素薄膜積層用基板 2 炭化ケイ素薄膜(熱処理前) 3 炭化ケイ素薄膜(熱処理後) 4 炭化ケイ素薄膜積層基板

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜積層法により基板上に炭素とケイ素
    からなる炭化ケイ素薄膜を積層した後さらに、薄膜を加
    熱処理することを特徴とする炭化ケイ素薄膜および炭化
    ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱処理の前に、前記基板の一部を
    除去することを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素薄
    膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱処理の温度が炭化ケイ素薄膜の
    積層時の温度以上であり、かつ前記基板が溶融する温度
    未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記基板がケイ素を含む基板であること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の炭化
    ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱処理の温度が850℃以上かつ
    1400℃以下であることを特徴とする請求項1ないし
    4のいずれかに記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素
    薄膜積層基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記薄膜積層法が気相化学堆積法(CV
    D)であって、基板を加熱しながら、原料となるシラン
    化合物および炭化水素を交互に基板上に供給することを
    特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の炭化ケ
    イ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記シラン化合物としてジクロルシラン
    を、前記炭化水素として水素またはアルゴンで希釈した
    アセチレンを用いることを特徴とする請求項6記載の炭
    化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記基板が結晶性を有する基板であるこ
    と、および積層した炭化ケイ素薄膜が結晶性を有するこ
    とを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の炭
    化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記積層した炭化ケイ素膜の結晶構造が
    立方晶であり、単結晶であることを特徴とする請求項8
    記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    製造方法により製造された炭化ケイ素薄膜。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    製造方法により製造された炭化ケイ素薄膜積層基板。
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