JP3657036B2 - 炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に炭化ケイ素からなる薄膜を積層して得られる炭化ケイ素薄膜およびその薄膜と基板からなる薄膜積層基板についての製造方法に関するものである。特に、半導体製造、微細加工などの分野において有効に利用されるβ型低温型結晶多形の炭化ケイ素を含み、単結晶、多結晶、アモルファス等、各種の構造を有する炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化ケイ素(SiC)は、特にシリコンなどに比べて禁制帯幅が広いこと、また熱的、化学的に安定な半導体材料であることなどの特徴から、耐環境素子や電力素子はもとより、各種半導体デバイス材料、さらには微細加工用材料として注目されている。特に、基板上に結晶性を有する炭化ケイ素薄膜を積層したものは、薄膜の結晶性、純度、欠陥密度などを制御することにより半導体製造、微細加工などの分野において重要な材料となる。
炭化ケイ素には、組成が同じでも結晶構造の異なる結晶多形が存在する。一般的に知られている結晶多形としては6方晶系(α型)に属する2H、4H、6H‐SiC、立方晶系(β型)に属する3C‐SiCがある。特にα型の炭化ケイ素は、高温型結晶多形といわれ生成温度が1500℃以上と高いため、結晶性が優れている反面、成長が難しく通常は昇華法を用いてインゴットを作成する手法が一般的である。α型の炭化ケイ素の場合、炭化ケイ素自体を成長用の基板としてこの上にCVD法により炭化ケイ素を積層する方法も提案されているが、いずれの場合も大面積、量産化には不向きである。
【0003】
一方、β型の炭化ケイ素は低温型結晶多形といわれ、例えばCVDを用いてシリコン基板上に900℃から1050℃程度の温度でも成長することが可能である。電気的な特性においても易動度、飽和ドリフト速度ともに6H型の炭化ケイ素よりも高いことが知られており、半導体用材料として期待されている。さらに、バッチ式のCVDによる作製ができることと、シリコン基板のように一般的に入手しやすくかつ大型の基板を使用することが可能なため、大面積、量産化に適している。
炭化ケイ素薄膜を基板上に形成する他の方法としては、例えば炭素とケイ素を含むターゲットを用いておこなうスパッター成膜や、炭素とケイ素を含むガスを用いたプラズマCVD法などがあげられる。これらの方法で作成した炭化ケイ素膜は通常、アモルファスあるいは多結晶の態様を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常、CVDを用いてケイ素基板上に炭化ケイ素薄膜をへテロエピタキシャル成長させる場合、基板であるケイ素と炭化ケイ素間に20%にもおよぶ格子間隔のずれが存在するため、これが積層される炭化ケイ素の結晶性悪化の原因となる。この格子間隔の不整合に対しては、炭化ケイ素の積層前にケイ素基板表面を炭化すること(表面炭化)が有効であるといわれている。現在、この表面炭化プロセスを用いて、ケイ素基板上における大面積の炭化ケイ素(β型)の積層が行われている。
しかしながら、このような炭化層上のCVD成長においても、結晶性や半導体としての電気特性において多くの問題を残したままである。膜中に存在して結晶性や電気特性に悪影響をおよぼす欠陥の存在が具体的な問題となる。このような欠陥として、積層欠陥および結晶粒界の存在、さらには不純物によりもたらされる欠陥などがある。
【0005】
これらの欠陥を減少させる方法としては、より高温かつ清浄な環境下での薄膜形成が望ましいが、実質的な薄膜形成条件はこれを行う装置、冶具および環境などにより必然的に制限をうける。すなわち、薄膜形成装置の炉体あるいは治具に石英部品を用いている場合には石英の軟化点が、基板においては基板材料の融点が、さらには加熱用ヒーターの加熱限界、炉体気密機構に用いられる部材の耐熱温度などが装置上の制限を決定する。特にシラン系ガスおよび水素を使用することから安全性の確保が重要な条件となる。つけ加えれば、実際にこれらの制限値に近い条件での薄膜形成は量産性、そしてなによりも安全性の点で不可能であり、従って、CVD成長による炭化ケイ素薄膜の欠陥の低減について具体的な方法は明示されていなかった。
他の炭化ケイ素薄膜形成としては、先に上げたようにスパッター成膜などによる方法もあるが、これらにより形成した膜とエピタキシャル成長膜とを比べると、明らかに結晶性や電気的な特性の点で劣っているのが実状である。
本発明の目的は、膜中に欠陥の少ない炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を安全に量産する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、本発明にかかる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法は、適当な薄膜積層法により基板上に炭素とケイ素からなる炭化ケイ素薄膜を積層した後さらに、薄膜を加熱処理することを特徴とする。また、この加熱処理の前に、炭化ケイ素薄膜を積層した基板の一部を除去しておいてもよい。
加熱処理の温度は、炭化ケイ素薄膜の積層時の温度以上であり、かつ基板が溶融する温度未満であることが好ましい。基板がケイ素を含む基板である場合には、炭化ケイ素薄膜の積層が容易に行われる。また、加熱処理の温度は、850℃以上かつ1400℃以下であることがより好ましい。
薄膜積層法は、基板を加熱しながら原となるシラン化合物および炭化水素を交互に基板上に供給する気相化学堆積法(CVD)であってよく、シラン化合物としてジクロルシランを、前記炭化水素として水素またはアルゴンで希釈したアセチレンを用いることができる。
基板が結晶性を有する基板であり、積層した炭化ケイ素薄膜が結晶性を有する場合は、結晶性の優れた炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることができる。積層した炭化ケイ素膜の結晶構造が立方晶であり、単結晶であるときは、より優れた特性を有する炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を製造することが可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法では、適当な薄膜積層法により基板上に炭素とケイ素からなる炭化ケイ素薄膜を積層し、その後さらに、薄膜を加熱処理する。また、炭化ケイ素薄膜のみの構成部分が有用である場合には、この加熱処理の前に、炭化ケイ素薄膜を積層した基板の一部を除去しておいてもよい。
上述の製造方法によれば、炭化ケイ素薄膜を基板上に積層した後に熱処理をおこなうため、薄膜の熱処理は基板を介して均一におこなうことが可能となる。また、サセプターなどの加熱用治具に対して実質接触する部分は基板側であり、加熱時に薄膜が他の事物に接触して起こる汚染を最小限にすることが可能である。一方、薄膜下の基板を除去して加熱する場合については、必要とする薄膜部分の回りの基板を薄膜の支持体として残すことで、取り扱いの難しい薄膜をメンブレン化することが可能となる。また、同じく加熱時における薄膜の接触による汚染を防ぐ効果がある。
【0008】
また、熱処理温度の下限を炭化ケイ素薄膜積層時の温度以上とすることにより、成膜時に比べ、熱による結晶構造および膜質の改善をもたらすことが可能となる。これら結晶性の改善は薄膜の電気特性の改善に対する効果が大きい。したがって、炭化ケイ素薄膜の形成においては量産性と十分な安全が確保できる温度にておこなった後、別途装置により所望の熱処理をおこなうことで良質の炭化ケイ素薄膜の取得が可能となる。
一方、熱処理温度の上限を基板の溶融温度までとすることにより、基板の溶融はもとより、溶融にともなう基板材質の蒸発による薄膜の汚染を防止することが可能となる。炭化ケイ素自体の溶融温度は2500℃以上であり、一般的に用いられる基板材料の融点よりもかなり高温であることから、この温度により炭化ケイ素薄膜が溶融する問題はほとんどない。
【0009】
炭化ケイ素薄膜を積層する基板としては、ケイ素を含む基板を用いることが可能である。ケイ素を含む基板の具体的なものとしては、シリコン基板、ケイ素含有硝子基板、石英基板、あるいはケイ素を含む薄膜を任意の基板上に形成したものを基板として用いることが可能である。これらの基板は高純度の素材として一般的に入手することが容易であり、これらを用いれば熱処理時において基板側から薄膜を汚染するような物質の発生を極力低減することが可能となる。
熱処理の温度を850℃以上1400℃以下とすると、例えば室温においてスパッター法を用いて作成した炭化ケイ素薄膜や400℃付近でブラズマCVDを用いて作成した同薄膜、さらには800℃付近で熱CVDを用いてに作成した同薄膜ついても、膜質を改善し、結晶性を向上させる効果的な熱処理が可能となる。
【0010】
基板上に炭化ケイ素薄膜を堆積させる薄膜積層法は、基板を加熱しながら原となるシラン化合物および炭化水素を交互に基板上に供給する気相化学堆積法(CVD)であってよく、シラン化合物としてジクロルシランを、前記炭化水素として水素またはアルゴンで希釈したアセチレンを用いることができる。
基板が結晶性を有する基板であり、積層した炭化ケイ素薄膜が結晶性を有する場合は、結晶性の優れた炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることができる。積層した炭化ケイ素膜の結晶構造が立方晶であり、単結晶であるときは、より優れた特性を有する炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を製造することが可能である。
【0011】
気相化学堆積法は大面積基板を用いることができる量産性を備えた薄膜積層法である。特に減圧気相化学堆積法を用いて、炭化ケイ素の原料を交互に基板上に供給して積層させることにより、原子層レベルでの薄膜積層が可能となり、膜質等について高い制御性を有した膜形成を実現する。このようにして得られた薄膜をさらに熱処理することにより、膜質、半導体特性等の優れた炭化ケイ素薄膜を提供することが可能となる。
また、炭化ケイ素薄膜形成のための原料として、ジクロルシランと、水素またはアルゴンで希釈したアセチレンを用いることにより、特に熱CVDにより制御性の高い炭化ケイ素薄膜の形成が可能となり、さらに熱処理を施すことにより膜質および結晶性のきわめて優れた炭化ケイ素薄膜の形成が可能となる。
【0012】
炭化ケイ素薄膜を積層するための基板としてケイ素基板を使用し、積層する炭化ケイ素薄膜が結晶性を有するものであれば、熱処理による炭化ケイ素薄膜の半導体特性をより効果的に向上させることが可能となる。また、下地基板がケイ素基板であることから、半導体デバイス、センサー材料、微細加工用材料を加工するために既存のプロセスを適用することが容易となる。
また、積層時の炭化ケイ素薄膜が立方晶の単結晶であるようにすると、熱処理後の炭化ケイ素薄膜の特性について、半導体用材料としての電気的、物理的特性をさらに充分に引き出すことが可能となる。
以下、実施例に基づいて本発明の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法を詳細に説明する。
【0013】
【実施例1】
本発明の炭化ケイ素薄膜基板の製造におけるケイ素基板上への炭化ケイ素薄膜の積層工程の一例を以下に説明する。
図1には、本実施例におけるプロセスフローを示した。本発明のプロセスは基本的に基板1上に炭化ケイ素薄膜2を堆積する薄膜形成工程と、炭化ケイ素薄膜2を加熱処理する熱処理工程により構成される。
【0014】
実施例1における炭化ケイ素の積層は、熱CVD法を用いて実施した。基板1には、単結晶ケイ素基板(n型、(001)面)を使用した。原料にはジクロルシランガスと水素またはアルゴンで希釈したアセチレンガスを用いた。
炭化ケイ素薄膜2の薄膜形成工程では、まずケイ素基板1(図1(A))を反応炉に設置した後、所定の温度まで基板加熱をおこなった。この際の、反応炉内雰囲気としては真空状態、水素で希釈したアセチレンガス雰囲気または、アルゴンで希釈したアセチレン雰囲気のいずれかを適宜に選択することができる。反応炉内が所定の成長温度、本実施例では1020℃まで達した後、反応炉内にジクロルシランと水素で希釈したアセチレンガスあるいはアルゴンで希釈したアセチレンガスを導入した。これらガスの導入法として、例えば特願平5−264755号公報に示されたようなガス導入法を用いることが可能であり、膜質、結晶性の優れた炭化ケイ素薄膜形成に効果があるが、別の方法であってもよいことはいうまでもない。炭化ケイ素薄膜2積層時の温度として1020℃は、石英製の炉体、治具さらに、融点が1370℃以上であるケイ素基板に対して、十分な安全性の確保と基板形状保持ができる温度域である。本実施例では、上記の方法でケイ素基板1上に炭化ケイ素薄膜2を約2μm積層した(図1(B))。
【0015】
この後、炭化ケイ素薄膜積層基板の熱処理を、通常の管状炉を用い、窒素雰囲気中にて1350℃で30分間おこなって炭化ケイ素薄膜2を変成した。この結果、良好な特性を示す炭化ケイ素薄膜3を積層した炭化ケイ素薄膜積層基板4を得た(図1(C))。熱処理の条件としては、管状炉において十分な安全性が保証できるものを選択した。熱処理時の雰囲気は、本実施例で用いた窒素雰囲気以外にも不活性ガス雰囲気、あるいは活性ガス雰囲気など、被処理体の用途に応じて適宜に選択することが可能である。
【0016】
図2は本実施例の熱処理前後における炭化ケイ素膜の膜質の変化を示したものである。膜質変化の目安として、炭化ケイ素薄膜の膜厚を変化させて、膜厚ごとに熱処理前後についてX線回折測定における炭化ケイ素結晶[200]ピークの半値幅(FWHM)の値を測定して比較した。
図は、横軸が炭化ケイ素薄膜の膜厚を表し、縦軸がFWHMの値を表す。各膜厚ごとに白丸で熱処理前の炭化ケイ素薄膜2のFWHM、黒丸で1350℃で熱処理した後の炭化ケイ素薄膜3のFWHMを示している。図2から明らかなようにいずれの炭化ケイ素膜厚においても、熱処理を施すことにより半値幅(FWHM)が減少しており、結晶性が向上したことが明らかである。
【0017】
表1は熱処理前後における炭化ケイ素薄膜の電気特性の変化を示したものである。炭化ケイ素膜厚は2μmである。変化の目安は、炭化ケイ素薄膜のホール易動度、キャリア密度、抵抗率である。測定は Van der pauw 法を用いておこなった。
【0018】
【表1】
Figure 0003657036
【0019】
表1に示した結果から明らかなように、適宜な熱処理を施した炭化ケイ素膜3の半導体としての電気特性は、積層のみで熱処理を施していない炭化ケイ素薄膜2のそれよりも大幅に向上した。
以上のように結晶性、電気特性いずれも、熱処理により炭化ケイ素薄膜の膜質を改善することが可能である。すなわち、炭化ケイ素薄膜積層工程において、量産性と安全性を充分に確保しながら、半導体用材料あるいは各種センサー用構造材料として好適に用いることができる結晶性や電気特性の良好な炭化ケイ素薄膜3および炭化ケイ素薄膜積層基板4を得ることが可能となった。
なお、本実施例における炭化ケイ素薄膜の積層は熱CVD法を用いて1020℃でおこなったが、熱CVD法の処理温度は、800℃から1350℃の範囲で積層膜の膜質、炉体材質および安全性を考慮して適宜に選択することができる。
【0020】
【実施例2】
図3は、実施例2におけるプロセスフローを示す図である。図1と同様の機能を有する部分については同じ参照番号を付してある。
本実施例では、実施例1と同様の条件にてケイ素基板1(図3(A))の上に炭化ケイ素薄膜2を2μmの厚みで積層した後(図3(B))、図3(C)に示したように炭化ケイ素薄膜2下のケイ素基板1を部分的に除去してから、熱処理を施して炭化ケイ素薄膜3に変成し炭化ケイ素薄膜積層基板4を得た。
ケイ素基板1は、除去しない部分を任意の方法でマスクした後に、フッ酸と硝酸の混合液(混合比4:1)にて化学的エッチングにより必要部分を除去した。熱処理は、炭化ケイ素薄膜2を積層した炭化ケイ素薄膜積層基板に対して、管状炉を用いて、窒素雰囲気中にて1350℃で30分間熱処理をおこなった。熱処理の条件、処理雰囲気について、適宜選択できる点は実施例1と同様である。熱処理を施して作成した炭化ケイ素薄膜3について、X線回折評価および電気特性評価をおこなったが、実施例1と同様に、熱処理を施さなかった場合に比べて結晶性、電気特性ともに大きく改善がなされていた。すなわち、炭化ケイ素薄膜積層における量産性と安全性を充分に確保しながら、半導体用材料あるいは各種センサー用構造材料として好適に用いることができる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることが可能となった。
【0021】
【実施例3】
実施例3における炭化ケイ素薄膜の積層は、基板に石英基板を使用して熱CVD法により実施した。炭化ケイ素薄膜の積層条件は基板に石英基板を使用した以外は実施例1と同じである。
炭化ケイ素薄膜を積層した積層基板の熱処理は、管状炉を用い、アルゴン雰囲気中にて1300℃で約60分間おこなった。ただし、前述の実施例と同様に、熱処理条件、雰囲気等については適宜選択できることはいうまでもない。
処理した炭化ケイ素薄膜の評価はX線回折、抵抗率測定およびドライエッチング特性評価によりおこなった。X線回折測定において、熱処理前後で結晶性の改善、特に炭化ケイ素結晶の[100]および[111]方向に対する結晶性の改善が顕著であった。抵抗率測定により求めた値は、熱処理前の炭化ケイ素薄膜で100Ω・cm以上であったのに対し、熱処理後は80Ω・cm以下であった。また、ドライエッチング特性については、CF4とO2を4:1で混合したガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)をおこない、エッチング速度、表面状態を比較した。RF出力250Wのエッチングで比較したところ、熱処理前後においてエッチング速度には大きな差はみられなかったが、エッチング表面のあれに関しては、中心線平均粗さの値は熱処理した試料において約8nmRaであり、熱処理しなかった場合の約1/20以下まで改善されていた。
すなわち、炭化ケイ素薄膜積層において、量産性と安全性を充分に確保しながら、半導体用材料、各種センサー用構造材料あるいは微細加工用材料として好適に用いることができる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることが可能となった。
【0022】
【実施例4】
実施例4では、ケイ素基板上にスパッタリングを用いて炭化ケイ素薄膜を約1μmの厚みで積層した基板に対して熱処理を施した。スパッタリングは、ターゲットとして炭化ケイ素焼結体ターゲットを用い、スパッタリングガスにはアルゴンを使用し、スパッタ出力密度8.5kW/cmの下で炭化ケイ素薄膜の形成をおこなった。
炭化ケイ素薄膜を積層した基板の熱処理には管状炉を用い、850℃で約60分間おこなった。この際、熱処理はアルゴン雰囲気中にておこなった。なお、他の実施例と同様に、熱処理条件、雰囲気等については適宜選択できる。
処理した炭化ケイ素薄膜の評価はX線回折、薬液耐性評価によりおこなった。回折測定において、未処理のサンプルではアモルファスに近いブロードなピークが観測されたが、熱処理を施すことによりピークの先鋭化が観測され、結晶化の進行が見られた。結晶化は850℃よりも温度を上げるほど効果が顕著であり、より良質の炭化ケイ素薄膜の形成が可能となることが確認できた。また、フッ酸と硝酸の混合液(混合比4:1)をもちいて、炭化ケイ素表面の耐薬品性を評価したところ、末処理の炭化ケイ素膜では約10分間の浸漬により部分的にスパッタ膜が溶出し、下地のケイ素基板がエッチングされてしまったが、850℃以上で60分間熱処理を施した炭化ケイ素膜の場合は、1時間以上浸漬しても炭化ケイ素の溶出およびケイ素基板のエッチングは観測されなかった。
すなわち、炭化ケイ素薄膜積層において、熱CVD法以外の方法でも、量産性と安全性を充分に確保しながら、半導体用材、各種センサー用構造材あるいは微細加工用材として好適に用いることができる炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板を得ることが可能となった。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の炭化ケイ素薄膜積層後における薄膜形成温度以上での熱処理により、特に、結晶性を有する基板上に炭化ケイ素薄膜を積層したものは、薄膜の結晶性、純度、欠陥密度などを制御することにより半導体製造、微細加工などの分野において好適に使用される材料となる。また、結晶性を有しない基板上に炭化ケイ素薄膜を積層したものでも、電気的、化学的、あるいは微細加工性などにおいて炭化ケイ素薄膜の改善の効果は顕著であり、従って本発明の効果により、この様な技術分野において利用される炭化ケイ素薄膜および薄膜積層材料の改良が可能となり、安定供給を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で使用された工程図である
【図2】本発明の実施例1で使用された熱処理による結晶性の改善を示す図である
【図3】本発明の実施例2で使用された工程図である
【符号の説明】
1 炭化ケイ素薄膜積層用基板
2 炭化ケイ素薄膜(熱処理前)
3 炭化ケイ素薄膜(熱処理後)
4 炭化ケイ素薄膜積層基板

Claims (9)

  1. 薄膜積層法により基板上に炭素とケイ素からなる炭化ケイ素薄膜を積層した後さらに、前記薄膜の積層時の温度以上でありかつ前記基板が溶融する温度未満の温度で、前記薄膜を加熱処理することを特徴とする炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  2. 前記加熱処理の前に、前記基板の一部を除去することを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  3. 薄膜積層法により基板上に炭素とケイ素からなる炭化ケイ素薄膜を積層した後、前記基板の一部を除去し、その後、前記薄膜を加熱処理することを特徴とする炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  4. 前記基板がケイ素を含む基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  5. 前記加熱処理の温度が850℃以上かつ1400℃以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  6. 前記薄膜積層法が気相化学堆積法(CVD)であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  7. 前記気相化学堆積法において、炭素原料としてアセチレンを、ケイ素原料としてジクロルシランを用いることを特徴とする請求項6記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  8. 前記基板が結晶性を有する基板であること、および積層した炭化ケイ素薄膜が結晶性を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
  9. 前記積層した炭化ケイ素膜の結晶構造が立方晶であり、単結晶であることを特徴とする請求項8記載の炭化ケイ素薄膜および炭化ケイ素薄膜積層基板の製造方法。
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