JPH09510230A - メラミンの製造における高温合成ガス混合物から不純物を分離する方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、尿素からのメラミンの製造において得られる高温合成ガス混合物から不純物をフィルターを用いて分離するための改良法に関し、焼結された実質的に純粋なクロム、モリブデン、タングステン又はそれらの元素の混合物から製造されたフィルターを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 メラミンの製造における高温合成ガス混合物から 不純物を分離する方法 発明の背景 １．本発明の技術分野 本発明は、尿素からのメラミンの製造において得られる高温合成ガス混合物か ら不純物をフィルターを用いて分離するための改良された方法に関し、その際に 、この改良は、クロム、モリブデン及びタングステンから成る群から選択された 元素少なくとも１種を含有しているフィルターである。 ２．関連文献の記載 窒素をベースとする若しくは炭素をベースとするガス、一般には又はアンモニ ア若しくは二酸化炭素、特に又はそれらの混合物を含有している高温合成ガス混 合物は、尿素からのメラニンの製造時に得られ、ここでは、出発物質の尿素が、 熱及び場合によっては高められた圧力の使用により反応式： ６ ＣＯ（ＮＨ₂）₂ → Ｃ₃Ｎ₆Ｈ₆ ＋ ６ ＮＨ₃ ＋ ３ ＣＯ₂ に従って変換されて、メラミン、アンモニア及び二酸化炭素を含有している高温 ガス混合物になる。 上記の反応は一般に触媒の存在下で実施されるので 、生じる高温合成ガスは、典型的に不純物、例えば触媒粒子を含有し、他の固体 副産物、例えばメレム（melem）及び／又はメラム（melam）を含有することもあ る。これらの不純物は、生成されたメラミンの品質に不利な効果を有することが 知られている。 上記の反応における使用に好適な公知の触媒には、特に酸化アルミニウム、シ リカ−アルミナ、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ホウ素リン酸塩 又はこれらの触媒の２種以上の数種の混合物が包含される。ここで使用されてい る触媒という用語は、使用される反応条件下で出発物質の尿素を、最終生成物で あるメラミンへ変換することを促進する物質を定義する。 アンモニア及び二酸化炭素ガスと共にメラミンを含有している高温合成ガス混 合物は、出発物質の尿素から、一般に約３２５℃より高く、通常約５００℃以下 の温度で形成される。特に、約３７０〜約４５０℃の温度が有利である。触媒の 存在下で高温ガス混合物を合成する間の使用圧力は、約１〜約３０バール、有利 に約１〜約８バールである。 慣用の分離法によると、メラミン、アンモニア及び二酸化炭素ガスを含有して いるこの高温合成ガス混合物を冷却し、最終生成物のメラミンの昇華物を形成さ せ、それを他のガスから固体として分離することができる。この分離法の欠点は 、固体触媒粒子及び他の固 体不純物、例えばメラム及びメレムも、残留ガスからメラミン昇華物と共に分離 され、最終生成物のメラミンの純度を悪くすることである。冷却された合成ガス 混合物から分離された上記の固体不純物を、次いで所望の最終生成物のメラミン から濾過しなければならない。公知の１分離法は、形成されたメラミン昇華物を 約８０℃〜約１００℃の温度の水に溶かすことを必要とする。その温度の水に溶 けない固体不純物は、次いで濾過により分離され、実質的に純粋な最終生成物の メラミンが水性溶剤の蒸発により得られる。しかしながら、この分離法の欠点は 、実質的に純粋な最終生成物のメラミンを得るために必要とされる多くの付加的 な工程（例えば、高温合成ガス混合物の冷却、昇華物の形成、気体からの固体の 分離、溶剤中への昇華物の溶解、溶けなかった固体不純物からの溶けた昇華物の 濾過及び溶剤の蒸発）である。従って、第２のかつ有利なその分離法は、高温合 成ガス混合物をこの混合物が反応器を出る際に直接濾過することである。この合 成ガス混合物の高温濾過は、時間及び濾過の前に冷却することが可能な合成ガス 混合物から実質的に純粋な最終生成物のメラミンを得るために必要な、上記の付 加的な工程段階の実施の経費を節約する。 反応器出口でセラミックフィルターを通して高温濾過することにより合成ガス 混合物を分離するこのような１方法は、オランダ特許公開（ＮＬ−Ａ）第６４１ ２５７８号明細書の１１頁に開示されている。一般に、それぞれのセラミックフ ィルターは、慣用にフィルターキャンドルとして公知であるセラミック管の群か ら成っている。上記の分離法でフィルターとして使用するためのそのようなフィ ルターキャンドルの２つの重要な観点は、フィルターキャンドルの個々の強さ及 び気孔率である。そのフィルターキャンドルの気孔率は、約２０％〜約７０％で あるべきである。しかしながら、セラミックフィルターキャンドルを使用するこ との欠点は、これらのセラミックフィルターキヤンドルが高温合成ガス混合物と 接触すると、このフィルターキャンドル強度が急速に低下し、フィルターキャン ドルは、例えば合成反応器の運転中の周期的な変化に伴って起こる温度変動によ る破損を益々受け易くなることである。結果として、セラミックフィルターキャ ンドルは僅か数日の使用の後に交換しなければならないので、セラミックフィル ターキャンドルは、高温濾過を使用する分離法のためには非常に限定された範囲 でのみ使用される。 焼結材料、例えばＡＩＳＩ３０４Ｌ、ＡＩＳＩ３１６Ｌ、ハステロイ（Ｈａｓ ｔｅｌｌｏｙ）Ｘ及びインコネル（Ｉｎｃｏｎｅｌ）６００も、合成ガス混合物 の分離法におけるフィルターとしてのその使用に関して公知の材料である。しか しながら、上記のような焼結材料製のフィルターも、尿素からのメラミンの製造 の間に形成されるようなアンモニア及び二酸化炭素ガスと接触する場合に、窒化 物及び／又は炭素窒化物の形成により、短時間で強度を低下する。その結果とし て、それらのフィルターを頻繁に交換しなければならないので、これらの焼結材 料は、アンモニア及び／又は二酸化炭素ガスを含有している合成ガス混合物のた めの分離法におけるフィルターとしては、非常に限定された範囲でのみ使用され る。 発明の概要 本発明の目的は、高温合成ガス混合物から不純物を分離するための方法を提供 することであり、ここでは、温度変動に伴い又はアンモニア（窒素をベースとす る）若しくは二酸化炭素（炭素をベースとする）ガスの存在下での窒化物及び／ 又は炭素窒化物の形成により強度に関して急速に低下しないフィルターを使用す る。 本発明の詳細の大部分は、高温合成ガス混合物からの不純物の分離を改良する ための、例えば尿素からのメラミンの製造中に得られる不純物のフィルターによ る公知の分離を改良するための方法を提供する新規フィルター材料の使用に関し て記述するが、温度変動に伴い又は窒化物及び／又は炭素窒化物の形成により強 度を急速に低下しないフィルター装置を提供することが本発明のもう一つの目的 である。 これらの目的は、焼結された、実質的に純粋なクロ ム、モリブデン、タングステン又はこれらの元素の２種以上の混合物から製造さ れたフィルターを使用することにより達成される。 発明の詳細な記載 本発明の幾つかの実施態様において、フィルター材料として所望であれば、ク ロム及びモリブデンの混合物、クロム及びタングステンの混合物、モリブデン及 びタングステンの混合物又は３元素全ての混合物を使用することができる。本発 明の有利な１実施態様では、焼結された実質的に純粋なクロムを使用する。本発 明のフィルターのクロム含有率は、クロムの純度水準に応じて、一般に少なくと も約９５重量％、有利には少なくとも約９９重量％、特に有利には少なくとも約 ９９.８重量％である。本発明のフィルターをフィルターキャンドルの形で使用 するのが有利である。これらのフィルターキャンドルは、一般に長さ０.５ｍ〜 ２ｍ及び直径約４ｃｍ〜１０ｃｍを有する。 窒化物及び炭素窒化物の形成による、フィルターの強度の低下は、ＡＩＳＩ３ ０４Ｌ、ＡＩＳＩ３１６Ｌ、ハステロイＸ及びインコネル６００のような金属を 使用している多くの他の公知のフィルターを用いるよりも、クロムを用いるとず っと遅いので、本発明のフィルター中で実質的に純粋なクロムを使用するのが有 利である。本発明のフィルターを少なくとも数カ月の間、数年間まで、フィルタ ーが破損して、交換される べき程度にそれらの強度が低下することなく使用することができることを確認し た。 アンモニア及び二酸化炭素ガスを含有している合成ガス混合物を分離するため の高温濾過法で使用されるフィルターの強度の低下は、主に窒化及び／又は炭素 窒化（carbonitriding）の機構の結果である。窒化は、特にアンモニアＮＨ₃ガ スの存在により引き起こされ、特に２５０℃より高い温度で起こる。炭素窒化は 特に、ＮＨ₃ガスに加えて二酸化炭素ＣＯ₂ガスの存在により引き起こされる。 本発明のフィルター材料、特にクロムは、同様なフィルター中で使用された従 来公知の材料よりも、２５０℃より高い温度でのＮＨ₃及びＣＯ₂ガスによる作用 に対して非常に影響を受けにくいことを見出した。一般に、２５０℃より高い温 度でＮＨ₃及びＣＯ₂ガスと接触する可能性のある、装置の他の部品が存在するの で、これらの種々の他の装置部品を保護するために、本発明の材料、特に実質的 に純粋なクロム製のものを使用するのが有利である。例は、メラミンの製造用の 反応器と並んで、アクリロニトリル、尿素、又はアンモニアの製造用の反応器を 包含するが、これらに限られるものではない。工程ラインにおける弁、フランジ 、レデューサー及びベンドが、本発明の材料、特に実質的に純粋なクロムによる 、鋼の代替に特に好適な項目の数例であるが、これに限定されるものではない。 本発明による、改良された分離法を下記に詳述するが、本発明はこれに限定さ れるものではない。 例Ｉ メラミン反応器からの側流をパイロット反応器に向け、その際、長さ１ｍ及び 直径６ｃｍを有する、第１表に相当するフィルターキャンドルを有するフィルタ ーを、温度３９０℃及び圧力７バールで試験した。フィルターキャンドル６本を 有するそれぞれのフィルターを用いて６試験を行った。 メラミンガス混合物の組成は、次の通りであった：ＮＨ₃ ８６重量％、ＣＯ₂ ８重量％、Ｎ₂ ３重量％、メラミン３重量％及び低濃度のイソシアン酸とシ アン化物。１又は数本のフィルターキャンドルが破損した場合の、フィルター筐 体を横切る圧力低下を常に測定した。フィルター筐体を横切る圧力低下が観察さ れた後に、このフィルター筐体を直ちに開け、フィルターを検査し、何本のフィ ルターキャンドルが破損したかを確認した。これらの試験の結果を第１表に記載 した。 例ＩＩ 下記の寸法を有する試験片を、第２表中に記載の材料に相当する種々のタイプ のフィルターキャンドルから切り出した：長さ：５０ｍｍ；幅１０ｍｍ及び厚さ ：６ｍｍ。それぞれの試験片の重さは、約１０グラムであった。試験片を、温度 ３９０℃及び４５０℃の照射炉（exposure furnace）中の攻撃雰囲気中に吊し、 そこに１週間より長い間保持した。攻撃ガス雰囲気の組成は、次のようであった ：ＮＨ₃ ８６重量％、ＣＯ₂ ８重量％、メラミン ３重量％、Ｎ₂ ３重量％ 及び極微量のイソシアン酸とシアナミド。試験片の窒化は、試験片の質量増加を 結果として生じ、試験片の重量増加として平方センチメートル当たりのミクログ ラムで時間毎に測定した。試験片を、焼結クロム、固体クロム及びステンレス鋼 （ＡＩＳＩ３０４Ｌ）から成るフィルターキャンドルから切り出した。結果を第 ２表に記載した。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ)， ＡＭ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＮ，Ｃ Ｚ，ＥＥ，ＦＩ，ＧＥ，ＨＵ，ＪＰ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＮ， ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＧ，ＳＩ，Ｓ Ｋ，ＴＪ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 コルネリス ヘラルドゥス マリア ファ ン デ ムースデイク オランダ国 ＮＬ−6176 ベーエル ベー ク オプト フェルチェ 33 (72)発明者 ヨハン ヨーゼフ ギスライン トゥーレ ン ベルギー国 ベー−3770 リームスト サ ン セルファースストラート 22

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．尿素からのメラミンの製造において得られる高温合成ガス混合物から不純 物をフィルターを用いて分離するための改良法において、ここで、改良は、焼結 された実質的に純粋なクロム、モリブデン及びタングステンから成る群から選択 された少なくとも１元素を含有するフィルターである、メラミンの製造における 高温合成ガス混合物から不純物をフィルターを用いて分離するための改良法。 ２．フィルターが、焼結された実質的に純粋なクロムから成る、請求項１に記 載の改良法。 ３．クロム含有率が少なくとも９９重量％である、請求項２に記載の改良法。 ４．クロム含有率が少なくとも９９.８重量％である、請求項２に記載の改良 法。 ５．フィルターがフィルターキャンドルから成る、請求項１に記載の改良法。 ６．実質的に明細書及び実施例に記載された、メラミンの製造における高温合 成ガス混合物から不純物を分離する方法。