【発明の詳細な説明】
芯/被覆糸
先行出願
本出願は、1993年2月25に出願された米国特許022,207の部分継
続出願であり、後者は1990年10月26日に出願された米国出願07/60
3,504の部分継続出願であり、更に後者の出願は、現在は米国特許4,97
6,096になっている米国出願366,702の部分継続出願である。
発明の分野
本発明は紡織用糸の製造に関し、詳しくは芯/被覆糸の製造に関する。
従来技術
芯/被覆糸即ち被覆された芯糸は、連続フィラメントの芯の周囲に繊維の鞘を
巻付けて製造される。別のやり方としては、連続フィラメントをステープルファ
イバの芯に巻付けてもよい。更に、芯と被覆糸即ち鞘の両方をステープルファイ
バで作ったり、連続フィラメントとしてもよい。今までは、ステープルファイバ
を用いてリング方式で芯/被覆糸を紡績する場合には、被覆工程はリング紡績に
先立って行われ、即ちスライバからロービングを形成する際に芯/被覆ロービン
グの形にしたり、又は連条工程において同心的な芯入りスライバの形にしていた
。前者の場合にはその後でリング精紡によって糸にする必要があり、後者の場合
にはロービングになし、更にリング精紡によって糸にする必要があった。今まで
は、複数の被
覆されていないロービングの束からリング精紡機で直接に芯/被覆糸を製造する
実用的なシステムは開発されていなかった。
本明細書及び請求の範囲中で使用されている次の用語について、その定義を与
えておく。
カーディング:繊維を整列させ、清浄化し、直線化するためにカード機を使用し
、非常に短い繊維と細かい塵を取り除いて、スライバを製造すること。
延伸:スライバの繊維を平行に揃えて直線化し、その直線密度を均一にすること
。通常は連条機として公知の延伸機械を1,2又は3回通過させて行う。各回の
連条機の通過によって、数本のスライバが一本のスライバにまとめられる。
ドラフト:スライバやロービング等の繊維束を引き伸ばしてその直線密度を減少
させ、繊維の平行度を高める工程。カード機、連条機、粗紡機、リング精紡機に
おいて、種々の形式のドラフトが採用されている。
スライバ:カーディング又は延伸によって製造された製品。即ち、本質的に無撚
の非常に太い繊維束。
ロービング工程:スライバをドラフトしてロービングと呼ばれるより細い繊維束
に変換する工程。ロービングは僅かな撚(通常1〜2回/インチ)が与えられて
いる。この工程は、引き続くリング精紡との関連でのみ行われる。現在では、他
のタイプの紡績では精紡の前のロービング工程を必要としない。
リング精紡工程:ここでは、ロービングをドラフトし、リング精紡機上のリング
とトラベラを使用して撚を与えて、ロービングを糸に変える工程として使用して
いる。リング精紡機の中の少数のものは事前のロービングの形成を必要とせず、
スライバを糸に直接変換する。但し、スライバは通常のリング精紡機のドラフト
ローラ/エプ
ロンに通される前に、リング精紡機上の補助ドラフト装置を通される。
概要
複数の被覆されていないロービングから芯/被覆糸を直接製造することによっ
て、新しい製品を製造する新規なシステムが提供される。広義には、この工程は
、一対のドラフトローラの把持部から芯となる一本の繊維束と少なくとも一本の
別の被覆用繊維束を、前記把持部の直ぐ下流に設けられた静止している繊維束支
持手段に直接に供給するステップを含む。被覆用繊維束は前記支持手段の開放チ
ャンネル内で芯用繊維束を被覆し、該芯用繊維束の周囲に巻き付き、芯/被覆糸
を形成する。
この製品は、従来得られなかった高い巻き付き被覆度を有する。芯の99%以
上の部分が被覆され、即ち、被覆されずに残っているのは芯の1%未満であるが
、従来の芯/被覆糸の場合には、精々90%の被覆度であり、即ち芯の10%も
の部分が被覆されずに残っている。
前記支持手段は、芯と被覆用繊維束のための外向き且つ下向きに湾曲した支持
面を提供する。この湾曲面は外向き且つ下向きに湾曲した支持面に沿って延在す
る開放チャンネルを具えている。繊維束の収束と被覆はこのチャンネル内で生じ
る。
次に、被覆された糸は、リング精紡アセンブリの通常のリング・トラベラと巻
取りスピンドルを通る。このようにして、被覆されていないロービングは連続的
に芯/被覆糸に変換される。
本発明の目的は、従来の糸に比べて次の利点と特長を有する新規な芯/被覆糸
を製造することにある。
従来の芯/被覆糸のきわめて劣った被覆度に比べて、実質的に全
体が被覆されている。芯用繊維が糸の長さに沿って配向しており、断面の中央に
位置している。
(芯材料の両側に一本ずつ配置されたドラフトされた2本のロービングの繊維
束のために)被覆用繊維が独特の絡み方をしているので、鞘が芯から剥離するこ
とがない。更に、剥離に対する抵抗性は、糸に沿う両方向とも良好である。
高強度を有するステープルファイバから製造されたステープルファイバ芯/綿
鞘の糸は、これと同等な綿100%の糸又はこれと同等なレギュラー型の混紡糸
よりもかなり大きい強度を有している。
この装置は、比較的細い糸(例えば、綿糸番手40/1又はそれよりも細い糸
)を製造可能である。
芯及び被覆用繊維は両者共、本システムによって作られた糸の機械的性質に寄
与している。この糸で作られた布帛の引き裂き強度、引っ張り強度、磨耗抵抗等
の機械的性質は、大幅に改善されている。
本発明のステープルファイバの芯を用いた糸は、ステープルファイバの値段が
フィラメントに比べて安いことに起因して、従来のフィラメント芯の糸に比して
経済的である。
低品質の綿、ウール、人造繊維その他の繊維を芯用に使用し、良質の繊維を被
覆用に使用すれば、良質らしく見える製品を製造することができる。
本発明の紡績技術によって、クレープ調、デニム調布帛等の種々の新しい布帛
や種々の染色効果を得ることができる。
前述の従来の紡績技術に比して、紡績の際の糸継ぎははるかに容易である。
このステープルファイバ芯の糸は、高強度と綿状の表面の両方が必要及び/又
は重要な紡織製品、例えば丈夫で、手間のかからない
、快適な、綿の軍隊用衣服、例えばテント地、リンネルシャツ地、作業用ユニフ
ォーム、断熱性綿カバー付きの強力なミシン糸、強力な耐ピリング性布帛等の製
造に非常に適している。
本発明のその他の目的と利点は、添付の図面を参照して、以下の説明により明
らかになるであろう。
図1は、本発明のシステム全体を示す斜視図である。
図2は、図1のバー20の部分斜視図である。
図2aは、図2の別の実施例を示す。
図3は、図1の装置の一部の側面図である。
図3aは、他の実施例の側面図である。
図4は、同じフレーム上に取付けられた複数の並列型精紡システムと連携して
使用されるバー20の斜視図である。
図5は、本発明の製品の断面の写真であ。
図6は、芯/被覆糸の剥離抵抗を検査するための装置の模式図である。
図7は、本発明の更に他の実施例の斜視図であり、作業中の位置を示す。
図8は、本発明の更に別の実施例の斜視図であり、糸継ぎのための第2位置を
示す。
詳細な説明
本発明には、通常のリング精紡装置の構成部品を使用することができる。これ
らは、図1に、後部ドラフトローラ1、ドラフトエプロン2、フロントドラフト
ローラ3、ピッグテールガイド4、リング5、糸条ボビン6として図示されてい
る。以後、このエレメントのアセンブリを単一精紡システムと称する。
更に、バックドラフトローラ1の上流側に3本のボビンがある。
これらのボビンの中の2本は、綿のロービング等の被覆用ロービング9と10を
バックローラ1に供給し、一方、残りのボビンはポリエステル等の芯用ロービン
グ12を供給している。綿やポリエステル等の本発明の実施のための出発原料は
、従来のやり方で準備される。
従来型のロービングコンデンサ14がボビンとバックローラ1との間に設けら
れ、各ロービングの間の間隔を保つのに使用される。更に、別のコンデンサ15
がローラ1とエプロン2との間に設けられ、フロントローラ3の把持部から出て
来る繊維束同士の間の間隔を普通よりも広く維持するのに使用されている。即ち
、後者のコンデンサは、フロントローラ3の把持部から繊維束が出て来る時に、
芯用繊維束と各被覆用繊維束との間に等しくない間隔を与えるような寸法を有す
る。換言すれば、これらの繊維束がフロントローラ3の把持部から出て来る地点
での被覆用繊維束9と芯用繊維束12との間隔は、被覆用繊維束10と芯用繊維
束12との間隔と同じではない。即ち、糸形成時に「Z」撚の場合(図2)は、
繊維束9と12の間隔は、繊維束10と12の間隔よりも僅かに小さく、「S」
撚の場合(図2a)は、この逆である。一般的に、各繊維束の中心線同士の間の
狭い方の間隔は、広い方の間隔の約70〜80%程度である。
被覆用繊維束と芯用繊維束の間の狭い方の間隔に関して言えば、この間隔は処
理される繊維の繊維長によって決まり、従って、精紡装置(短、中、長ステープ
ルファイバ用精紡システム)のサイズによって決まる。従来型の綿(短ステープ
ルファイバ)精紡システムの場合は、被覆用繊維束と芯用繊維束の間の短い方の
間隔は、約3/32″〜5/32″である。ウール等の長ステープルファイバの
場合には、この寸法は約1/4″〜5/8″の間で変化する。
図1を参照すると、ピッグテールガイド4とフロントローラ3との間に円筒形
の中空又は中実のバー20が設けられている。このバーは、芯用繊維束と被覆用
繊維束のための外向き且つ下向きの支持面を与えている。このバーは繊維束用の
支持手段として作用すると共に、被覆糸形成の開始点として作用する。
図2又は図2aに示されているように、バー20には溝21が設けられ、支持
面に開放チャンネルを形成し、その中を芯用繊維束が通過し、これを被覆用繊維
束が包み込む。フロントローラの把持部の面に垂直な面内に存在するこの溝21
は、芯用繊維束12の場合は前記把持部から溝内に直接入るが、被覆用繊維束9
と10の場合は溝に入る前に、先ず溝21に隣接するバー20の面に接触するよ
うに位置決めされている。
バー20と溝21の壁とは、少なくとも被覆用繊維束及び芯用繊維束と直接に
接触する部分だけは、磨かれていることが望ましい。
バー20の直径は、繊維長、特に被覆用繊維束の繊維長によって決まる。代表
的な1.5″長さのポリエステルステープルファイバの芯用繊維束と1″長さの
綿の被覆用繊維束の場合には、バーの直径は約3/8″〜3〜4″である。3″
の長さのステープルファイバの場合には、バーの直径は2″程度である。
フロントローラの把持部から出て来る繊維束は、撚が無いために脆弱である。
繊維間接着力とバー20の支えのみによって材料の形が保たれ、切れたり中断し
たりすることなく連続的に流れ出る。
バー20とフロントローラの把持部との間の距離は、両者間で芯用繊維束に実
質的にドラフトが生じないようになっている必要がある。このため、芯用繊維束
に沿って測定したバー20の糸被覆域とフロントローラの把持部との間の距離は
、芯用繊維束の大部分の繊維の繊維長よりも短い。ドラフトを避けるために、全
糸張力はバー
20の上流側の芯用繊維束にかかっている。この張力が失われると、バー20の
上流側で過剰の「撚」が与えられて床屋の看板状の糸条形態となり、引き続く被
覆用繊維束による芯用繊維束の被覆が完全には行われない。
更に、フロントローラの把持部からバー20までの距離は、被覆用繊維束中の
最長繊維(即ち、綿の場合にはいわゆる「2.5%スパン長」の繊維)はドラフ
トされないが、それより短い一部の繊維はドラフトされるようにする必要がある
。換言すれば、各被覆用繊維束がフロントローラの把持部から出現する地点から
バー20の糸条形成点までの各被覆用繊維束に沿って測定した距離は、最短繊維
長よりも大きく、且つ「ステープル長」の約50〜80%である。綿の被覆繊維
束の場合には、フロントローラの把持部から糸条形成点まで被覆繊維束に沿って
測定した前記距離は、約1/2″〜7/8″の範囲が代表的なものである。
こうして、本発明によれば、フロントローラの把持部から出た後の繊維は、把
持部からバーまでの間に芯用繊維束に僅かな撚が与えられる以外には、これらの
繊維を保持するための撚は無くルーズな状態になっている。前記バーは、繊維を
把持部からバーの糸条形成点まで搬送するためのガイドとしての機能を有する。
バーの位置決めに関して述べれば、バーの長手方向の軸は、図3に示すように
二つのフロントローラの軸からほぼ等距離にあり、且つこれに平行となっている
。その正確な位置は、前述のように、フロントローラの把持部からバーとの接触
点まで適当な繊維経路が形成され、更に、バーと各フロントローラとの間に間隙
が存するように設定されている。バーと上方のフロントローラとの間の間隙は、
ドラフトされた繊維束の最も厚い部分でも前記両表面の間に把持されないように
十分に大きくなければならない。さもなければ、被覆
用繊維の横移動が制約されて繊維の流れが妨害される不都合が生じるであろう。
バーと下方のフロントローラとの間の間隙は、糸切れが生じた場合に精紡システ
ムの真空システムによる繊維の清掃を妨害しないように、十分に大きくなければ
ならない。図3aに示すように、円形断面のバーを使用するよりも、半円形断面
のバーを使用した方が、バーを把持部と下方のローラの近くに位置させることが
可能になる。
上述の因子を考慮に入れて、フロントローラの把持部とバーの最も近接した表
面との間の典型的な間隔は、綿/ポリエステルの芯/被覆糸の場合には約1/4
″〜7/16″の範囲、ウール/ポリエステルの芯/被覆糸の場合には約1″又
は2″である。
図2と2aを再び参照すると、バー20の溝21は、V字型、長方形、楕円形
、円形その他の凹んだ形状をしている。その幅は,芯用繊維束よりも僅かに広い
ことが望ましく、芯用繊維束の直径の約1.5〜2倍である。溝の深さは幅とほ
ぼ同じであることが望ましく、溝形状に応じて溝の幅の約75〜150%の範囲
にある。平らな(長方形状の)溝は幅よりも小さい深さを有し、V字型の溝はそ
の最大幅よりも大きい深さを有する。
フロントローラから出て来た直後に、芯用繊維束と被覆用繊維束は平らになろ
うとする。しかし、芯用繊維束は、溝21内に引き込まれているためと、下流側
の力によって幾らかの撚と張力がこれに付与されているために、円筒形断面にな
ろうとする。これらの総合的な力によって、芯用繊維束は凝集して円形又は楕円
形の断面形状となる。
これらの繊維束は把持部から出て来ると、芯用繊維束を真ん中にしていわゆる
サンドイッチ状になって溝21内に入る。図2と2aの実施例に示されているよ
うに、被覆域において一方の被覆用繊維
束は芯用繊維束の下になり、他方の被覆用繊維束は芯用繊維束の上になっている
。2本の被覆用繊維束は、その後で芯用繊維束の周囲に螺旋状に巻き付く。
図1〜3に示すように、バー20の直ぐ下流側にこれに隣接して、L字型の糸
制御ガイド25がねじ込みその他の手段でバーに取付けられている。このガイド
25は、過剰な糸の撚がガイドを通って上流側に流れることを防止する機能を有
する。
更に、このガイド25は、繊維とバーとの間の接触域を安定化させる。即ち、
図1a又は1bに示すように、芯用繊維束と各被覆用繊維束との最初の接触点は
互いに一致していない。芯の下側に最初に接触する被覆用繊維束は、図3に点C
で示されている両繊維束間の第1接触点で芯に接触し、他方の被覆用繊維束は第
2の下流側接触点Dにおいて「巻き付いている」。円弧CDが被覆域である。い
ずれかの繊維束同士が初めて接触する前に、3本の繊維束は、すべて、先ず点C
の上流側の共通線に沿ってバー20の表面に接触し、バー20とフロントローラ
の把持部との間ではなくてバー20上で被覆が生じるようにしなければならない
。図3の「A」で示されているその端から見て、この接触共通線はフロントロー
ラ3の上部ローラとバー20に対する接線方向の面によって規定される。図3の
点Bは被覆糸とバーとの最終接触点である。この点はバー20からガイド25に
引いた接線によって規定される。
図3の円弧ABは、繊維束とバーとの直接接触域を形成している。紡糸作用に
基づく運動によって繊維束とバーとの接触は全体として定常的に変動しているけ
れど、作動中には被覆域CDは安定的で且つ一定であって、接触域ABの中にな
ければならない。そうでなければ、被覆用繊維束による芯用繊維束の最大の被覆
状態が得られない。これに関して、バー20との間に芯用繊維束に沿って測定し
た約30〜90°の円弧状接触域が紡糸作業の際に必要である。
ガイド25の位置決めの際に考慮すべき因子は次の通りである。できた糸の巻
取りの際にピッグテールガイド4はリングレール5と共に上下動するので、バー
20からガイド25を周回してピッグテールガイド4(図3には図示されていな
い)に至る糸の正の偏向角(図3の符号40)がいつでも維持されていなければ
ならない。しかし、この偏向角は、多くの撚がここで「阻止」されて充分な撚の
遡上が妨げられ、糸の一体性が維持できなくなったり、円弧ABの範囲内での被
覆作用が行われなくなったりすることを避けるために、できるだけ小さいことが
必要である。これは、ピッグテールとリングレールがパッケージ形成運動の最低
点に位置している時に、バー20からピッグテールガイド4に至る糸の経路を僅
かに偏向させるように、ガイド25を設定することによって達成される。代表的
な綿糸用精紡機の場合、最小偏向角は約10〜15°の範囲にあれば充分である
。最大偏向角は、ピッグテールガイドとリングレールが最高位置にある場合に生
じ、初期(最小)設定値よりも約9°大きい。
ガイド25の位置決めを行う簡単な方法は、これをねじ等によってバー20に
固定し、バー20の端を精紡機に取付け、バーをそれ自体の軸のまわりに回転さ
せて調節することである(即ち、バーはその軸心方向にブラケットにねじ込まれ
、ブラケットは精紡システムのフレームに固定されている)。この構成において
は、バーの軸方向のねじを緩めてバーの位置を変えれば、ガイド25は同じよう
に、バーの周囲を時計方向又は反時計方向に再位置決めされる。
紡糸の際に、過剰の撚が上流側に遡上し始めて、例えば被覆域CDが線Aの上
流に移動して床屋の看板状の糸ができ始めた場合には、ガイド25を(図3でバ
ー20のまわりに時計方向に)再位置決
めして最小偏向角を増加させ、これによって摩擦力を増加させて撚の遡上を阻止
し、被覆域をバー20の上の円弧AB内に引き戻す。ガイド25が前述のように
バー20に取付けられている場合には、この調節は、紡糸の際に被覆域CDを観
察しながらバーを僅かに回転させ、被覆域CDを円弧ABの中心に来るようにす
ることによって行われる。
ピッグテールガイドが移動するにつれて偏向角が変動するのを少なくすること
が望ましい。そこで、ガイド25をバー20にできるだけ接近して設け、この変
動を小さくする必要がある。一方、糸継ぎを容易にするために充分な間隙を設け
ることが必要である。一般に、ガイド25とバー20との間の距離は、約1/2
〜3/4″あればこれら二つの目的のために充分である。別の例では、ガイド2
5がバー20の表面にスプリングによって押しつけられ、バーとガイドの間を通
過する糸を軽く把持するようにしている。
本発明の好ましい実施例においては、図4に示すように、一本の連続バーが複
数の並列された精紡システムを収容し、各精紡システムの各フロントローラの対
に隣接する一つの開放チャンネル又は溝21を具えている。バーの両端はその軸
上のブラケット30にねじ込まれ、該ブラケットは精紡システムの全体フレーム
35に取付けられている。
本発明のシステムの作業速度に関して言えば、スピンドル速度は、3本のロー
ビング(2本は被覆用、一本は芯用)全体の混紡組成と直線密度を有する一本の
ロービングから、通常のやり方で所与の直線密度と撚数を有する糸を紡績するの
に採用されている速度と同じである。この場合、同じツイストギヤ比とドラフト
ギヤ比が用いられ、同じ直線密度の糸が製造される。本発明において、それぞれ
の位置に仕掛けられた3本のロービングは、それぞれ、平均で通常
のロービングの直線密度の1/3の直線密度となるように準備される必要がある
。
別のやり方として、それぞれが従来の単一ロービングと同じ直線密度を有する
3本のロービングを使用してもよい。しかし、この場合、3倍の太さのロービン
グ(1本のロービングが3本のロービングに匹敵)がドラフト域に入るので、ド
ラフトギヤはドラフトが3倍になるように選ばれる必要がある。同じツイストギ
ヤとスピンドル速度を用いて、従来の一本のロービングの場合と同じ直線密度と
撚数を有する糸が製造される。
第3の方法は、ロービングの直線密度の変更とドラフトギヤの変更を組み合わ
せるやり方である。一つの組合せは、ロービングの直線密度を1/2に減らし、
ドラフトを1.5倍にするものである。例えば、従来の方法で1ハンクのロービ
ングを28倍にドラフトして、28綿番手の糸を製造している場合、本発明によ
って2ハンクのロービング3本(1本は芯用、2本は被覆用で、それぞれ組成が
異なる)を42倍にドラフトして、28綿番手の芯/被覆糸を製造することがで
きる。ここでも、スピンドル速度とツイストギヤ比は、得られた糸の全体的な撚
数が同じならば同一でよい。
当業者であれば、その他の多くの実用的な作業パラメーターの組合せが可能な
ことは明らかであろう。撚数、生産速度、糸番手の変更は、ロービングの直線密
度、スピンドル速度、ツイストギヤ比、ドラフトギヤ比、トラベラの重量等の変
数の間の関係を従来と全く同じに操作することによって可能である。更に、基本
的なリング精紡の規準を考慮すべきである。例えば、綿のリング精紡においては
、ドラフトを50以下に保つことが一般的に望ましく、又、ロービングの番手は
3ハンク以下が好ましい。
次に述べるものは、本発明のシステムによって製造される28te
x の67%綿/33%ポリエステルのステープルファイバ芯の糸の場合の一般的
な紡糸パラメーターである。
ポリエステルロービング(1)= 2ハンク(1.5″;1.2デニール;6
/デニール)
綿ロービング(2)= 2ハンク(1+1/16″のステープルファイバ;ア
カラ)
ロービングの組合せハンク= 0.67
全ドラフト= 42
スピンドル速度(rpm)= 9,100
撚数= 4.00
トラベラ= #6(1.6ゲレン)
相対湿度= 51
温度= 20℃
本発明は、繊維材料をポリエステルフィラメント等の連続フィラメントの芯材
料の周囲、又はステープルファイバの芯材料の周囲に巻付けるものである。連続
フィラメント材料を芯用繊維束として使用する場合、バックローラを通ってこれ
をドラフトシステムに導入する代わりに、フィラメント芯はバー20の溝21と
一致するようにフロントローラの背後に直接供給される。ドラフト域とスピンド
ルの速度は、同じ直線密度のステープルファイバの芯材料を使用する同様なシス
テムの場合と同じである。驚くべきことに、ポリエステルの連続フィラメントの
芯用繊維束と綿の被覆用繊維束から得られた製品は、ステープルファイバの芯用
繊維束を有する芯/被覆糸と全く同じ優れた剥離抵抗を有している。
本発明によれば、従来技術では決して達成されなかった被覆度を得ることがで
きる。これに関して、従来の工程は米国特許4,541,231 に例示されている。この
従来工程及びその他の従来工程によって
得られた連続フィラメント芯/被覆糸で作られた布帛は、被覆されない芯のスポ
ットがかなり存在しているので、芯の色が透けて見える「眼剥き(glittering)
」を生じる。これに対して、本発明の糸及びこれによって作られた布帛には、こ
のような「眼剥き)現象は見られず、芯は実質的に鞘によって被覆されている。
本発明及び最良の従来技術によって製造された連続フィラメント芯/被覆糸か
らランダムに採取した10cmの糸のサンプルについて行ったコンピュータによ
る画像解析によれば、本発明の糸は99%以上の被覆度(即ち、芯の1%以下の
部分が被覆されずに露出している)を有し、従来技術の場合には約90%以下の
被覆度であり、芯フィラメントの10%が露出している。従って、本発明によれ
ば、芯フィラメントの露出部分を従来技術の場合に比して1/10以下にするこ
とができる。
本発明による被覆のタイプは、後続工程、例えば織成、編組、糸処理等におけ
る鞘部の剥離(皮剥け)を大幅に減少し、実質的に解消させることができ、糸の
取扱性並びに最終製品の品質を向上させることができる。
非常に高い被覆度によって得られるその他の利点は、ガラス繊維フィラメント
の芯/綿の被覆部からなる糸の場合、(露出した芯材料の擦れに起因する)繊維
切れが大幅に減少し、その結果、破損したガラス繊維片の脱落が少なくなること
にある。これによって、従来技術のガラス繊維フィラメントの芯/被覆糸から作
られた布帛における脱落繊維片及び/又は(露出フィラメント中の)切断フィラ
メントに起因する皮膚刺激の問題が解消する。
本発明の更に他の利点として、ステープルファイバの被覆部に比べて染色性、
化学的親和性、適合性等が異なることの多い連続フィラメントの芯が糸や布帛の
表面に露出することがないので、色の制
御がやり易くなると共に、最終布帛の化学処理に対する適性が改善される。又、
或る場合には、本発明によって得られた実際上完全な芯の被覆によって、被覆成
分即ち鞘成分のみを染色することが可能になり、鞘と芯の両方を染色しようとし
ていた従来技術に比べて、コストの面で有利となる。
更に、本発明によれば非常に高い被覆度が得られるので、芯フィラメントが露
出したり、切断したりした場合にしばしば生じるスナッギングやピリング等の欠
陥が解消する。
本発明によれば芯糸が完全に被覆されているので、ミシン糸の場合には芯糸を
熱の影響から保護することができ、感光性の芯材料の場合には光から保護するこ
とができ、特殊用途に使用される糸の場合には、電気的及び化学的不均衡から保
護することができる。
図5は、本発明の製品の断面写真であり、連続フィラメントの芯部はポリエス
テル(個々の繊維は白色の円形断面で示されている)であり、鞘部即ち被覆部は
綿(個々の繊維はアメーバ状断面又は黒いしみ状断面で示されている)である。
被覆部によって完全にカバーされていることは明らかである。本発明の製品は、
断面におけるこのような完全被覆状態を実質的に糸の全長にわたって示している
。
本発明で使用される連続フィラメントの芯材料は、それがガラス繊維、ポリエ
ステル、ポリエチレン、ナイロンのいずれであろうと、通常、20%以下の破断
伸度を有する。
芯材料が高い伸長性を有し(弾性的であって)、破断することなく60%以上
も伸びる場合には、芯を部分的に引き伸ばした状態で被覆することが非常に重要
である。例えば、芯材料が約250〜300%又は300〜500%の破断伸度
を持つような特殊な場合には、芯を少なくとも100%伸長した状態で被覆する
ことが重要で
ある。被覆後に芯材料は一部収縮するが、それでも被覆製品は、被覆後も、全処
理工程の間も、糸の使用時にもなお実質的に伸長状態にある。換言すれば、外部
張力が去った後も、被覆部のために芯部が完全に未伸長状態に戻ることが防止さ
れる。こうして、本発明の実施例によれば、破断することなく60%まで伸長可
能な芯材料が伸長状態で被覆され、意図する被覆状態を保ちながら、例えば20
%以上に実質的に引き伸ばされた状態を維持する。
上に述べたように、本発明の装置によって製造された芯/被覆糸は、従来技術
では得られなかったような剥離抵抗を有している。従来技術では、ステープルフ
ァイバの好ましい性質を、強力ではあるがあまり好ましくない性質を有する連続
フィラメントに付与することは好ましいと考えられていたが、得られたステープ
ルファイバの被覆部の剥離抵抗が、いつもこの糸に伴う深刻な問題であった。従
来技術の連続フィラメントの芯部/ステープルファイバの被覆部を有する糸は、
いずれも低い剥離抵抗を有する。ステープルファイバの被覆部の剥離と毛羽発生
の問題は、従来の糸の巻取り、整経、編組、織成の際に必然的に生じる。
本発明の連続フィラメントの芯部/ステープルファイバの被覆部の糸は、後述
する厳しい剥離抵抗テストに耐えることができる。匹敵する直線密度を有するこ
のタイプの従来の糸は、いずれもこのテストに耐えられない。
図6はこのテストに用いた装置を示す。この装置は、糸の経路に適宜な編針を
設けて改造されたロスチャイルド式糸摩擦試験機である。符号100はボビン1
02から繰り出される糸を指す。この糸はガイド兼張力装置104を周回して第
2の張力装置106を通過し、次に張力センサー108に達し、編針110の目
を通過して第2の張力センサー112に達し、ドラム114を経て最後に巻取り
リール116に達する。糸の速度は、ドラム114の速度を制御する糸速計12
0によって制御される。
編針の目に入る糸と出る糸によって形成される角度Xは約10°である。編針
は、糸処理に通常使用される編針のタイプを模して、18〜54ゲージのサイズ
の中から選ばれる。この針は把持装置122によって静止状態に保持されている
。
この装置は、編組、織成等の糸処理で糸が遭遇する典型的な速度、張力、擦れ
を模した速度と張力で作動する。本発明の糸は、この装置を、毎分300mの速
度、デニール当たり0.5gの張力で通過することができ、しかもなお、剥離や
毛羽を生じなかった。その上、擦られたのにも係わらず、得られた糸の芯部は実
質的に完全に被覆されたままであり、ステープルファイバによって99%以上の
部分が被覆され、芯に「裸のスポット」は見られなかった。
一方、従来の方法で(例えば本発明の装置からエレメント20と25を外し、
代わりに一本の被覆用ロービングを使用して)製造された、265デニールの直
線密度を有するポリエステルの芯部/綿の被覆部の糸は、はるかに低いステープ
ルファイバ被覆部の剥離抵抗しか示さず、その結果、上述の場合と同じ条件で図
6の装置を通過した後に毛羽立った外観となった。
別のテストにおいて、従来方法で製造した265デニールのガラス繊維の芯部
/綿の被覆部の糸は、ステープルファイバの被覆部が大きく剥離した箇所で糸切
れを生じ、毎分200mの速度と60gの張力で図6の装置を通過した後に多数
の小さな剥離を生じ、毛羽立った外観を示した。
更に別のテストにおいて、従来方法で製造した265デニールのガラス繊維の
芯部/綿の被覆部の糸は、毎分120mの速度と40gの張力で図6の装置を通
過した後にステープルファイバの被覆部
における多数の小さな剥離を生じ、毛羽立った外観を示した。
後者の二つのテストでは、剥離が甚だしくて機械的処理が困難となり、品質の
劣った不満足な製品となった。
次に示す糸の直線密度とこれに対応する編針のサイズは、この編針を使用して
、糸に剥離又は毛羽を生じることなく、そして糸に芯材料が目で(肉眼で)見え
るスポットを生じることなく上のテスト(図6)の一部を実行し得る本発明の芯
/ステープルファイバ被覆糸の直線密度を示す。
1500〜500デニールの糸:18ゲージの針
1000〜300デニールの糸:24ゲージの針
850〜250デニールの糸:36ゲージの針
550〜150デニールの糸:46ゲージの針
400〜100デニールの糸:54ゲージの針
従来技術で製造した同じ直線密度を有する芯/被覆糸を、これに対応する針サ
イズを用いてテストした場合には、いずれも剥離や毛羽を生じた。換言すれば、
1500〜500デニールの範囲の直線密度の糸に関しては、従来技術による芯
/被覆糸を、18ゲージの針を用い、上述のパラメーターでテストした場合、著
しい剥離と毛羽が発生する。更に、このテストによって、通常、従来技術の糸の
表面に目で見える芯材料のスポットが確認される。
本発明の更に別の実施例が図7と8に示されている。この実施例のシステムに
おいては、バー20の端部138はバー140の第1端に取付けられ、バー20
の他端部は円錐形の先端142を具えている。バー20は、バー20の端部13
8の直径が、溝21に隣接するバー20の部分146の直径よりも大きくなるよ
うに、テーパーを有している。テーパーの付いた部分146は1/4〜1/16
インチの範囲の幅を有することが望ましい。更に、円錐状先端14
2に隣接するバー20の部分144の直径は、バー20の部分146の直径より
も大きい。バーの部分138と144の直径は、バー20の部分146の直径よ
りも少なくとも1/4インチ大きいことが望ましい。当業者であれば、バー20
とドラフトローラ3との間に適宜な間隙を設けるために、この実施例のバー20
の断面を半円形にしてもよいことが判るであろう。
糸制御ガイド25は、ピン154によってバー140の中間部分に設けられた
スロット152内に可動に取付けられ、バー140の第2端はボルト150を介
して精紡機のフレーム148に回動可能に取付けられている。こうして、糸ガイ
ド25は、スロット152の中でピン154を動かすことによって回動する。図
7に示すバー140の作業位置、即ちバー20と糸ガイド25の作業位置は、フ
レーム148から突出しているストップピン156によって制限され、バー14
0が所望の作業位置を超えて回動することはない。バー140とフレーム148
の間に取付けられたスプリング160は、ストップピン156に当接する作業位
置にバー140を維持するように付勢している。作業位置において、バー20と
糸ガイド25とは先に述べた実施例で説明したように、位置決めされていること
が望ましい。糸ガイド25はバー20に対して所望の角度となるように、スロッ
ト152内で動くことができる。
本発明のこの実施例の精紡機の作用は、前述の実施例のそれと実質的に同じで
あるが、被覆用ロービング9と10及び芯用ロービング12がフロントローラ3
を離れると、これらのロービングはテーパー表面に沿ってバー20に接触し、溝
21に引き込まれる点が異なっている。この実施例の精紡機は、糸継ぎ作業も改
善されている。糸切れが生じると、作業員はバー140を揺動させ、バー20と
糸ガイド25とを作業位置から図8に示す糸継ぎ位置に移動させる
。糸継ぎ作業が行われている間、バー140を糸継ぎ位置に固定しておくための
公知の手段をこの精紡機に設けてもよいことを、当業者ならば理解するであろう
。これによって、作業員は「従来型」の糸継ぎ作業を行うことができる。即ち、
バー140が糸継ぎ位置にあり、バー20と糸ガイド25がフロントローラ3の
近傍から外れている間に、該ローラの前方で繊維を1/4インチ以下の長さだけ
重ねることによって糸継ぎ作業が行われる。この糸継ぎ作業が終了すると、作業
員はバー140を糸継ぎ位置からどけて、スプリング160の付勢力によってそ
れを作業位置に復帰させる。バー20が糸に接近すると、円錐状先端142は糸
の下に入り、糸は円錐状先端142の表面を横切ってスライドし、バー20のテ
ーパー表面を下降して溝21に入る。このバー20の先端は円錐形でなくてもよ
く、適当に傾斜した表面であればバー20の前端を糸の下に滑り込ませて、糸を
溝21に円滑に案内することが可能なことは、当業者ならば理解できるであろう
。
これに対して、前述の実施例ではフロントローラに対してバー20が接近して
いるので、作業員は糸をフロントローラの背後から供給して糸継ぎを行う必要が
あった。このやり方によれば、繊維を2インチ以上重ねる必要があり、「従来」
の作業よりも少し長い時間を要する。
当業者ならば、この実施例の溝21の形状を前述の実施例について述べたのと
同じように構成してもよいことを理解するであろう。更に、この実施例のバー2
0を長手方向に半分に切断して、前述の実施例のように半円形断面にしてもよい
。
以上述べたように、要するに、1500〜100デニールの従来技術による芯
/被覆糸は、前記テストで述べた編針を使った場合、このテストをパスすること
ができない。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年3月15日
【補正内容】
請求の範囲
1.フレームと、
ドラフトローラ同士の間に把持部が形成されるようにフレームに取付けられた
一対のドラフトローラと、
第1被覆用繊維束は芯用繊維束の一方の側から把持部に入り、第2被覆用繊維
束は第1被覆用繊維束と反対側の芯用繊維束の他方の側から把持部に入るように
、芯用繊維束、第1被覆用繊維束及び第2被覆用繊維束を把持部に供給する繊維
束供給装置と、
把持部に対して実質的に垂直に延在する開放チャンネルを有する湾曲支持表面
であって、該支持表面は前記把持部の直ぐ下流側の作業位置から、把持部の直ぐ
下流側ではなく該作業位置から離れた第2非作業位置まで移動可能にフレームに
取付けられ、第1及び第2被覆用繊維束は前記チャンネル内に支持されながら芯
用繊維束の周囲に巻き付くように構成された湾曲支持表面と、
巻取りスピンドルと、
前記支持表面の下流側でフレームに取付けられ、被覆された糸を巻取りスピン
ドルまで案内する糸ガイドとを具えた
芯/被覆糸を形成するためのリング精紡装置。
2.前記支持表面がフレームに回動可能に取付けられている請求項1に記載の
リング精紡装置。
3.前記支持表面がフレームに取付けられた第1端から第2端まで前記チャン
ネルを横切って延在し、該支持表面の第2端が一点を形成し、支持表面が回転し
て糸経路に入る時、糸が円滑に支持表面と接触して前記チャンネル内に滑り込む
ように構成された先端を具えている請求項2に記載のリング精紡装置。
4.前記支持表面がフレームに取付けられた第1端からチャンネ
ルを横切って外側部分まで延在し、次いで第2端まで延在し、該湾曲支持表面は
少なくとも一部に実質的に円形曲線の部分を有する断面を形成し、該支持表面の
第1部分は、実質的に円形断面の直径が第1端からチャンネルまで徐々に減少す
ると共に、チャンネルから前記外側部分まで徐々に増加するように傾斜している
請求項2に記載のリング精紡装置。
5.前記支持表面の第2端が一点を形成し、該支持表面が第2位置から回動し
て糸経路内に入ると、糸が円滑に支持表面の第2端に接触し、該支持表面の傾斜
した第1部分に沿って前記チャンネル内に滑り込む請求項4に記載のリング精紡
装置。
6.前記支持表面の第2端が円錐状である請求項5に記載のリング精紡装置。
7.前記糸ガイドがフレームに取付けられ、支持表面に対する糸ガイドの角度
が可変になっている請求項1に記載のリング精紡装置。
8.前記糸ガイドが支持表面の周囲を回動可能になっている請求項7に記載の
リング精紡装置。
9.前記糸ガイドがフレームに取付けられ、該支持表面が作業位置から第2位
置に移動すると糸ガイドが糸経路から外れ、支持表面が第2位置から作業位置に
移動すると糸ガイドが糸経路に戻るように構成されている請求項7に記載のリン
グ精紡装置。
10.更に、支持表面を作業位置に維持するように付勢されたスプリングを具
えている請求項2に記載のリング精紡装置。
11.支持表面の第1端と外側部分における実質円形湾曲部の直径が、チャン
ネルに隣接する実質円形湾曲部の直径より1/16インチ大きい請求項4に記載
のリング精紡装置。
12.二つのローラ間に把持部を形成する一対のドラフトローラ
と、芯用繊維束,第1被覆用繊維束及び第2被覆用繊維束を前記把持部に供給す
る繊維束供給装置と、支持表面とを具え、第1,第2被覆用繊維束は前記支持表
面上に支持されながら芯用繊維束の周囲に巻付けられ、該支持表面は前記把持部
に実質的に平行に延在しているリング精紡装置において、
糸が切れた場合、支持表面を把持部の直ぐ下流側の支持表面作業位置から、該
支持表面作業位置から離れた第2支持表面位置まで移動させ、
支持表面が支持表面作業位置から外れた後、ドラフトローラの下流側で、切れ
た被覆糸を芯用繊維束、第1被覆用繊維束、第2被覆用繊維束に接続し、
切れた被覆糸が芯用繊維束、第1被覆用繊維束、第2被覆用繊維束に接続され
た後、支持表面を支持表面作業位置に戻す、各ステップからなる芯/被覆糸の糸
継ぎを行う方法。
13.切れた被覆糸と芯用繊維束、第1被覆用繊維束、第2被覆用繊維束の間
の繊維の重なりが、1/4インチ以上ある請求項12に記載の方法。
14.リング精紡装置が、被覆糸を巻取りスピンドルアセンブリに案内する糸
ガイドを支持表面の下流側に具えており、更に前記方法が、糸が切れた場合、支
持表面の直ぐ下流側の糸ガイド作業位置から、該糸ガイド作業位置から離れた第
2糸ガイド作業位置まで、糸ガイドを移動させるステップを含む請求項12に記
載の方法。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M
W,MX,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,
VN
(72)発明者 フォーク,クレイグ エル.
アメリカ合衆国,ルイジアナ 700124,ニ
ューオーリンズ,オーリンズ アベニュ
6122