【発明の詳細な説明】
スピロ環式ラクタムの製造方法
本発明は、第3アミン基でN置換されたラクタムのスピロアルキル化における
α,ω−ジヨージドを利用するスピロ環式ラクタムの改良製造方法に関する。得
られたスピロ環式ラクタムは、種々の置換アザスピランの製造において有用であ
る。かかる化合物は、免疫調節剤として有用であるとしてU.S.P第4,963,
557号に開示されている。
発明の背景
スピロ環式ラクタムの製造方法は、従前に開示されている。特に、ラジカル環
化は、(a)ナグシマ,エイチ(Nagushima,H.)ら、J.C.S.Chem.Commun.
、1985、518、(b)ジョリィ,アール・エス(Jolly,R.S.)ら、ジャ
ーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1
988、110、7536および(c)クロッシィ,ジェイ(Crossy,J.)ら、
テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、1989、4531に開示
されている。しかしながら、前記文献には、第3アミン置換基でN置換されたス
ピロ環式ラクタムの製造は、全く開示されていない。
さらに、U.S.P第4,963,557号には、環状1−カルボキシ−1−酢酸
化合物の脱水を介する環状1−カルボキシ−1−酢酸無水物の形成が開示されて
いる。そこで用いられる場合、無水物の次なるアミド化、次いで、スピロイミド
の還元により、第3アミン置換基でN置換されている医薬的に活性なアザスピラ
ンが得られる。
前記の開示は、多くの反応段階を必要とし、困難な単離工程により、全収率が
低い。かくして、当該技術分野では、第3アミン置換基でN置換されているスピ
ロ環式ラクタムを製造するための安全で経済的かつ信頼性のある方法が必要とさ
れている。
本発明は、第3アミン基でN置換されたラクタムのスピロアルキル化における
二官能性求電子剤としてのα,ω−ジヨージドの新規使用に関する。本発明の製
造方法は、全段階の数を少なくし、集中的合成スキームを利用し、クロマトグラ
フィーの必要性を削除し、全収率を増加させるという点で有利である。
この発見は、特に、塩化物、臭化物、トシル化物およびメシル化物が、本発明
の製造方法におけるヨウ素の代わりに用いる場合になくなるという結論を出した
対応する研究を考慮すると驚くべきことである。
発明の概要
本発明は、第3アミン基でN置換したラクタムのスピロアルキル化におけるα
,ω−ジヨージドを用いるスピロ環式ラクタムの改良製造方法に関する。
本発明は、2−アザスピロ[4.5]デカン環系の改良製造方法に関する。
本発明は、特に、
N,N−ジメチル−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[4.5]デカン−2−
プロパンアミン;
N,N−ジエチル−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[4.5]デカン−2−
プロパンアミン;および
2−(3−ピペリジノプロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[4.5]
デカン
の改良製造方法に関する。
発明の詳細な説明
本明細書で用いる場合、N,N−ジメチル−8,8−ジプロピル−2−アザスピ
ロ[4.5]デカン−2−プロパンアミンなる語は、nが3であり、R3およびR4
が各々メチルであり、R1およびR2が各々プロピルである式Iで示される化合物
にを意味する。
本明細書で用いる場合、N,N−ジエチル−8,8−ジプロピル−2−アザスピ
ロ[4.5]デカン−2−プロパンアミンなる語は、nが3であり、R3およびR4
が−CH2−CH3であり、R1およびR2が各々プロピルである式Iで示される化
合物を意味する。
本明細書で用いる場合、2−(3−ピペリジノプロピル)−8,8−ジプロピル
−2−アザスピロ[4.5]デカンなる語は、nが3であり、R3およびR4が一緒
に結合して炭素原子5個を含有する環状アルキル基を形成し、R1およびR2が各
々プロピルである式Iで示される化合物を意味する。
本明細書で用いる場合、「適切な溶媒」なる語句は、テトラヒドロフラン、ヘ
キサン、またはジエチルエーテルなどの溶媒を意味する。
本明細書で用いる場合、「有機溶媒」なる語句は、塩化メチレン、塩化エチレ
ン、クロロホルム、エチレングリコール、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(T
HF)、エチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ヘキサン、ジメチルスルフィ
ド(DMSO)、N,N'−ジメチル−N,N'−プロピレン尿素、N−メチル−2−
ピロリジノン、メタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド(
DMF)、ピリジン、キノリンまたはエタノールなどの溶媒を意味する。
本明細書で用いる場合、「低温」なる用語は、25℃以下、(本明細書に記載
するように)ヘキサメチルジシランの塩を用いる場合、好ましくは0℃、(本明
細書に記載するように)アルキルリチウム試薬を用いる場合、好ましくは−78
℃を意味する。
本明細書で用いる場合、「適切な還元剤」なる用語は、水素化アルミニウムリ
チウムまたは好ましくはNaBH4/BF3・Et2Oなどのオキソ置換基を還元的
に除去する能力を有する化合物を意味する。
本明細書で用いる場合、「活性塩基」なる用語は、(i)アルキルリチウム試
薬;好ましくは、適切なアルキルアミン塩基、好ましくはジイソプロピルアミン
と共にn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウム
または(ii)ナトリウム−、リチウム−または好ましくはカリウム−ヘキサメチ
ルジシリアジドなどのヘキサメチルジシランの塩を意味する。
式(I)で示される化合物の医薬的に許容される塩、水和物および溶媒和物は、
所望により、当業者によく知られている方法によって形成される。
本発明は、a)適切な溶媒中、低温で、活性塩基の存在下、式(II):
[式中、n、R3およびR4は、前記定義と同じである]
で示される化合物を式(III):
[式中、R1およびR2は、前記定義と同じである]
で示される化合物と反応させて、式(IV):
[式中、n、R1、R2、R3およびR4は、前記定義と同じである]
で示される化合物を形成し、
b)次いで、適切な溶媒中、適切な還元剤の存在下、該オキソ置換基を還元し
て式Iで示される化合物を形成し、次いで、所望により、その医薬的に許容され
る塩、水和物または溶媒和物を形成することからなることを特徴とする式(I):
[式中、
nは、1−7であり、
R1およびR2は、同一または異なって、直鎖状、分枝鎖状または環状アルキル
から選択されるか(ただし、一緒になる場合、R1およびR2によって含有される
炭素原子の合計数は、4−10である);または、R1およびR2は、一緒に結合
して、炭素原子3−7個を含有する環状アルキル基を形成し;
R3およびR4は、炭素1−3個を有する同一または異なる直鎖状アルキル基で
あるか;または、R3およびR4は、一緒に結合して、炭素原子4−7個を含有す
る環状アルキル基を形成する]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の
製造方法を提供するものである。
したがって、好ましくは、本発明の製造方法は、構造式(IVA):
で示される化合物を製造するため、および、該化合物を構造式(IA):
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物に
転換させるために特に有用である。
したがって、好ましくは、本発明の製造方法は、構造式(IVB):
で示される化合物を製造するため、および、該化合物を構造式(IB):
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物に
転換させるために特に有用である。
したがって、好ましくは、本発明の製造方法は、構造式(IVC):
で示される化合物を製造するため、および、該化合物を構造式(IC):
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物に
転換させるために特に有用である。
また、式(III):
[式中、R1およびR2は、式Iにおける定義と同じである]
で示される新規中間体も本発明の製造方法を用いて製造される。
本発明の式(III)で示される新規中間体は、公知かつ容易に入手可能なシアノ
酢酸エチル:
から、および公知かつ容易に入手可能なシアノアセトアミド:
から以下のスキーム1−3および実施例に概略記載した方法によって製造するこ
とができる。
スキームIは、式(III)で示される新規中間体の形成を概略示す。スキームIで
用いる場合、式(b)で示される化合物は、水分を一定除去しつつ、還流させなが
ら、シクロヘキサン中、化合物(a)、式(z)で示される化合物、酢酸および
NH4OAcを反応させることによって製造される。
式(b)で示される化合物、ナトリウムおよびシアノアセトアミドを無水エタノ
ール中で反応させ、次いで、濃HClを添加して、式(c)で示される化合物を得
た。
化合物(c)の酸性化により化合物(d)を得、次いで、これを還元して、化合物
(e)を得る。
化合物(e)を、好ましくはジエチルエーテル中、好ましくは0℃で、塩化メシ
ルおよびトリエチルアミンと反応させて、式(f)で示される化合物を得る。
好ましくはアセトン中、好ましくは室温で、化合物(f)のNaIとの反応によ
り、式(g)で示される化合物を得る。
スキームIで用いる場合、式(z)で示される化合物は、公知かつ容易に入手可
能であるか、または、当業者によく知られている方法によって公知かつ容易に入
手可能な物質から製造することができる。
スキームIIは、式(III)で示される新規中間体の形成を概略示す。スキームII
の出発物質は、スキームIにおける記載に従って製造した式(b)で示される化合
物である。
スキームIIで用いる場合、式(b)で示される化合物を、好ましくは還流温度で
、適切な溶媒、好ましくはテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル中、アリ
ルグリニャール試薬、好ましくは、塩化アリルマグネシウムで処理して、式(h)
で示される化合物を得る。別法としては、好ましくは−78℃で、テトラヒドロ
フラン中、アリルグリニャール試薬にハロゲン銅試薬、好ましくはヨウ化銅を添
加して、アリル銅ハロ試薬を形成する。好ましくは0℃で、該アリル銅試薬を式
(b)で示される化合物と反応させて、式(h)で示される化合物を得る。
有機溶媒、好ましくはエチレングリコール中、好ましくは還流させながら、式
(h)で示される化合物および塩基、好ましくは水酸化カリウムを反応させて、式
(i)で示される化合物を得る。
有機溶媒、好ましくはジエチルエーテル中、式(i)で示される化合物を好まし
くは水素化アルミニウムリチウムで還元して、式(j)で示される化合物を得る。
好ましくは−78℃で、有機溶媒、好ましくはメタノール中、式(j)で示され
る化合物を、オゾンの存在下、メチルスルフィドと反応させ、次いで、好ましく
は0℃で、塩基、好ましくはホウ水素化ナトリウムを添加して、式(e)で示され
る化合物を得る。
式(e)で示される化合物をスキームIにおけると同様に製造して、二段階で式
(g)で示される化合物を得る。
スキームIIIは、式(III)で示される化合物の新規中間体の形成を概略示す。ス
キームIIIにおける出発物質は、スキームIにおける記載に従って製造した式(b
)で示される化合物である。
スキームIIIにおいて用いる場合、好ましくは還流温度で、適切な溶媒、好ま
しくはテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル中、式(b)で示される化合物
を
グリニャール試薬、好ましくは臭化ビニルマグネシウムで処理して、式(k)で示
される化合物を得る。別法としては、好ましくは−78℃で、テトラヒドロフラ
ン中、ハロゲン銅試薬、好ましくはヨウ化銅をグリニャール試薬に添加して、ビ
ニル銅ハロ試薬を形成する。該ビニル銅ハロ試薬を、好ましくは0℃で化合物(
b)と反応させて、化合物(k)を得る。
有機溶媒、好ましくはエチレングリコール中、化合物(k)および塩基、好まし
くは水酸化カリウムを好ましくは還流させながら反応させて、化合物(l)を得る
。
有機溶媒、好ましくはジエチルエーテル中、化合物(l)を好ましくは水素化ア
ルミニウムリチウムで還元させて、化合物(m)を得る。
−78℃で、有機溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中の化合物(m)をBH3
、次いで、H2O2と反応させて、化合物(e)を得る。
スキームIにおけると同様に化合物(e)を反応させて、二段階で化合物(g)を
得る。
式II:
[式中、R3およびR4は、式Iにおける定義と同じである]
で示される新規中間体も本発明の製造方法を用いて製造される。
本発明の式IIで示される新規中間体は、公知かつ容易に入手可能なブチロラク
トン:
から以下のスキームIVおよび実施例に概略記載する方法によって製造することが
できる。
スキームIVは、式(II)で示される新規中間体の形成を概略示す。
スキームIVにおいて用いる場合、水分を一定除去しつつ、還流させながら、化
合物(n)を式(y)で示される化合物と反応させて、式(o)で示される化合物を得
る。
スキームIVにおいて用いる場合、式(y)で示される化合物は、公知かつ容易に
入手可能であるか、または、当業者によく知られている方法によって、公知かつ
容易に入手可能な物質から製造することができる。
実施例1−スキームIに対応する
3,3−ジプロピル-1,5−ジヨードペンタン
(i)α−シアノ−α−(4−ヘプチリデン)酢酸エチル
100mLの丸底フラスコ中、4−ヘプタノン(11.4g、0.10mmol)およ
びシアノ酢酸エチル(11.30g、0.100mol)をシクロヘキサン(25mL
)に溶解させた。酢酸(1.0mL)およびNH4OAc(2.0g)を添加した。
該溶液を磁気撹拌し、そのまま、N2下で一晩、ディーン−スタークトラップを
用いて加熱還流した。該反応を室温に冷却し、酢酸エチル(100mL)で希釈し
、H2O(2×50mL)および食塩水(25mL)で洗浄した。有機抽出物を乾
燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空下、濃縮して、油状物を得、これを蒸留(沸
点135−137℃、20mmHg)して、α−シアノ−α−(4−ヘプチリデン)
酢酸エチル(16.65g、0.080mol、80%)を得た。IR(ニートフィ
ルム)2950、2910、2860、2200、1725、1570、123
5、1085cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 4.15(q,J=
9Hz,2H)、2.60(t,J=10Hz,2H)、2.38(t,J=10Hz,2H)
、1.2
5(t,J=9Hz,2H)、1.40(sextet,J=9Hz,2H)、1.25(t,J=9
Hz,3H)、0.88(m,6H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ 1
81.2、161.5、115,5、104.6、61.4、40.2、35.2、2
1.9、21.4、14.1、13.8(重複のために1つの炭素が観察されなかっ
た);MS(CI)m/e 211(14.5)、210(100)、209(3.59)
、182(3.5)、164(2.8);HRMS(CI)C12H20NO2の理論値(
M+H)m/e 210.1484、測定値210.1491。
(ii)3,5−ジシアノ−4,4−ジプロピルシクロヘキシルイミド
乾燥管および磁気撹拌棒を装着した100mLの丸底フラスコ中、無水エタノ
ール(50mL)にナトリウム(0.795g、34.6mmol)を添加した。該室温
溶液に固体状態のシアノアセトアミド(2.91g、34.6mmol)を添加して、
白色懸濁液を得た。2−3分後、α−シアノ−α−(4−ヘプチリデン)酢酸エチ
ル(7.22g、34.6mmol)を迅速に添加し、該混合物を室温で2時間撹拌し
て、透明溶液を得た。水(50mL)、次いで、濃HCl(8.75mL)を添加し
た。冷蔵庫中に一晩放置した後、沈殿物を濾過により回収し、エタノールで洗浄
し、風乾させて、3,5−ジシアノ−4,4−ジプロピルシクロヘキシルイミド(
7.40g、29.9mmol、87%)を得た。融点218−219℃。キャピラリ
ーGCにより2つの異性体の混合物。RT=7.86分、51%、RT=7.94
分、43%;IR(KBr中のFTIR)3600−3000、3008、17
52、1710、1234cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.
38(br,1H);3.81(s,2H)、1.8−1.3(m,6H)、1.09(t,J
=Hz,2H)、0.90(m,6H);13C NMR(100MHz,d6,DMSO)
165.3、114.3、43.3、41.6、38.8、38.1、17.0、15.
9、14.5、14.1;MS m/e(CI)249(16.5)、248(70.8
)
;H,7.08;N,16.39。測定値:C,60.96;H,6.84;N,16.5
6。
(iii)3,3−ジプロピルペンタン二酸
磁気撹拌棒を装着した100mLの丸底フラスコ中、氷酢酸(10mL)に3,
5−ジシアノ−4,4−ジプロピルシクロヘキシルイミド(350mg、1.42mm
ol)を溶解させた。濃HCl(10mL)およびH2O(10mL)を添加した。次
いで、該溶液を、簡単な蒸留によって、12時間還流させ、10mLに濃縮した
。該溶液をCH2Cl2(3×10mL)で抽出した。合わせた抽出物をH2Oおよ
び食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。残留物を30%
酢酸エチル−ヘキサンから結晶化させて、3,3−ジプロピルペンタン二酸(2
80mg、1.30mmol、91%)を得た。融点107℃,d;IR(KBr)35
00−2500、3000−2800、1726、1698、1303、120
7、915cm-1;1H NMR(400MHz,d6−DMSO)δ 11.9(br
s,2H)、2.35(s,9H)、1.35(m,4H0,1.20(m,4H)、1.20(
m,4H)、0.79(t,J=9Hz,6H);13C NMR(100MHz,d6−DM
SO)δ 173.0、40.2、38.8、37.1、15.9、14.7;MS 9
e強度)217(M+,3)、216(0.5)、200(13)、199(100)、1
98(28)、157(2);元素分析C11H2OO4の理論値:C,61.09;H,
9.32。測定値:C,61.10;H,9.16。
(iv)3,3−ジプロピル−1,5−ジヨードペンタン
ジエチルエーテル中、水素化アルミニウムリチウムとの反応によって、3,3
−ジプロピルペンタン二酸を対応するジオールに定量的収率で転換させた。
磁気撹拌棒を装着した500mLの丸底フラスコ中、エーテル(150mL)に
ジオール(6.40g、34.04mmol)を溶解させた。該溶液を0℃に冷却し、
トリエチルアミン(14.18g、140.16mmol)、次いで、塩化メシル(9.
75g、85.1mmol)を添加した。該反応を5分間撹拌し、次いで、飽和NaH
CO3(100mL)でクエンチし、エーテル(100mL)で希釈した。有機層
をH2O(100mL)および食塩水(2×50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2S
O4)、濾過し、濃縮して、油状物としてジメシル化物を得た(11.53g、33.
5mmol、98.4%)。Rf(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル(1:1))=0.
82。
1Lの丸底フラスコ中、N2下、該ジメシル化物をすぐにアセトン(500mL
)に溶解させ、撹拌した後、固体状態のNaI(102g、680mmol)を添加し
た。室温で、暗所で5日間撹拌した後、該反応物をエーテル(100mL)で希
釈し、飽和NH4Cl、25%Na2S2O8および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥
させ(Na2SO4)、濾過し、白色固体に濃縮した。残留物を、シリカゲルを介し
て濾過して10%酢酸エチル−ヘキサンで溶離し、濃縮後、3,3−ジプロピル
−1,5−ジヨードペンタン(12.60g、30.88mmol、二段階について9
1%)を得た。融点60−62℃。IR(KBr中のFTIR)3000−28
00、1451、1465、1178、1195、600、300cm-1;1H N
MR(400MHz,CDCl3)δ 3.19(m,4H)、1.9(m,4H)、1.3
0(m,8H)、0.95(t,J=10Hz,6H);13C NMR(100MHz,C
DCl3)δ 43.7、41.8、38.1、16.2、14.8、0.2;MS m/
e(CI)408(1.14)、282(11.47)、281(100)、253(2.
3)、233(2.1)、225(5.73)、211(6.0)、185(9.7)、16
9(24.5)、153(6.7);元素分析C11H22I2の理論値:C,32.37;
H,5.43;I,62.19。測定値:C,32.60;H,5.43;I,61.85
。
実施例2−スキームIVに対応する
N−(ジメチルアミノプロピル)ブチロラクタム
磁気撹拌棒およびディーン−スタークトラップを装着した500mLの丸底フ
ラスコ中、ブチロラクトン(86.09g、1.00mol)およびN,N−ジメチル
アミノプロピルアミン(102.18g、1.00mol)を合わせた。該混合物を還
流させながら加熱した。1当量のH2Oを回収した後(8−10時間)、該反応物
を室温に冷却させた。ディーン−スタークトラップを分留管に取り替え、真空下
、該生成物を蒸留して、N−(ジメチルアミノプロピル)ブチロラクタム(145
g、0.85mmol、85%)を得た。沸点79−84℃、0.25mmHg;IR(ニ
ートフィルム)2920、2750、1780、1650、1450、1430
、1260、1280cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.15(
m,2H)、3.05(m,2H)、2.07(m,2H)、2.02(m,2H)、2.0(s
,6
H)、1.75(m,2H)、1.42(m,2H);13C NMR(100MHz,CDC
l3)δ 174.2、56.5、46.7、45.0(二重強度)、40.1、30.5
、25.1、17.4;MS m/e(CI)172(17.2)、171(100)、
170(5.3)、169(11.9)、127(1.3)、126(15.5);HRMS
(CI)C9H19N2Oの理論値(MH)m/e 171.1497。測定値:17
1.1503;元素分析C9H18N2Oの理論値:C,63.49;H,10.66;
N,16.45。測定値:C,63.12;H,10.68;N,16.17。
実施例3
N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[ 4.5]デカン
(i)N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザ
スピロ[4.5]デカン−1−オン
N2下の乾燥した250mLの丸底フラスコ中、THF(35mL)にジイソプ
ロピルアミン(5.06g、50.0mmol)を溶解させた。該溶液を−25℃に冷
却させた。磁気撹拌しつつ、n−BuLi(2.5M、20mL、50mmol)を10
分間かけて添加した。さらに30分間撹拌した後、該溶液を−78℃に冷却した
。N−(ジメチルアミノプロピル)ブチロラクタム(3.40g、20.0mmol)を
THF(5ml)溶液としてシリンジを介して10分間かけて添加した。該溶液を
さらに1.5時間撹拌し、3,3−ジプロピル−1,5−ジヨードペンタンをTH
F(5mL)溶液として10分間かけて添加した。該反応物を−78℃で4時間撹
拌し、次いで、室温に加温し、48時間撹拌した。飽和NH4Cl(20mL)を
添加し、減圧下、該混合物を濃縮した。残留物をCH2Cl2(100mL)で希釈
した。有機層をH2O(2×25mL)で洗浄し、次いで、乾燥させ(K2CO3)、
濾過し、減圧下、濃縮した。油状物をエーテル(200mL)に溶解させ、6N
HCl(200mL)で処理した。水性層をエーテル(2×75mL)で洗浄し、
50%NaOHで塩基性化し(氷浴中で冷却しつつ)、エーテル(3×50mL)
で抽出した。有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(K2CO3)、濾過し、濃縮
した。得られた油状物をシリカゲルを介して濾過して15%Net3−EtOAc
で溶離して、多少のベースライン不純物を除去して、N−(3−(ジメチルアミノ
)プロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[4.5]デカン−1−オン(3
.75g、18.4mmol、92%)を得た。IR(ニートフィルム)2950、2
920、2860、1735、1685、1450、1260、1240cm-1;1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 3.25(m,4H)、2.25(m,2H)
、2.20(s,6H)、1.82(t,J=6Hz,2H)、1.79(m,2H)、1.6
3(m,2H)、1.45(br,2H)、1.30(m,2H)、1.2−0.9(m,10
H)、0.87(m,6H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ 179.2
、56.9、45.4(二重強度)、45.0、44.8、43.8、38.4、34.
3、34.0、31.5(二重強度)、29.5、27.9(二重強度)、25.5、1
6.2、16.0、14.9、14.8;MS m/e(CI)325(18.8)、3
24(22.5)、323(100)、322(11.6)、321(21.7)、307(
1.21)、279(8.5);HRMS(CI)C20H39N2Oの理論値(M+H)
m/e 323.3062。測定値:323.3050。
(ii)N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザ
スピロ[4.5]デカン
50mLの丸底フラスコ中、水素化アルミニウムリチウム(11.8mg、0.3
11mmol)をエーテル(5mL)に磁気撹拌棒によって懸濁させた。N−(3−(
ジメチルアミノ)プロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[4.5]デカン
−1−オン(100mg、0.311mmol)をエーテル(5mL)溶液として15分
間かけて添加した。該反応をさらに30分間撹拌し、次いで、飽和Na2SO4で
クエンチし、濾過し、減圧下、濃縮して、油状物としてN−(3−(ジメチルアミ
ノ)プロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[4.5]デカン(88mg、0
.285mmol、92%)を得た。
実施例4
N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−8,8−ジプロピル−2−アザスピロ[ 4.5]デカン−1−オン
N2下の乾燥した12Lのフラスコ中、ヘキサン(2L)にヘキサメチルジシ
リアジ化カリウム(1139g、5.7mol)に溶解させた。該溶液を0℃に冷却
した。撹拌しつつ、N−(ジメチルアミノプロピル)ブチロラクタム(387.1g
、2.28mol)および3,3−ジプロピル−1,5−ジヨードペンタン(845g
、2.07mol)のヘキサン(2L)中溶液を1.5時間かけて添加した。該反応
物を0℃で一晩撹拌した。飽和NH4Cl(1.2L)を添加した。水性層を分離
し、ヘキサン(2L)で抽出した。合わせたヘキサン層を飽和NaCl(2L)で
洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、暗褐色固体として標記化合物を得た(
71%、1.62mol)。
さらには説明せずとも、当業者は、前記説明を用いて、本発明を最も完全に利
用することができると思われる。したがって、以下の実施例は、単なる説明と解
釈され、如何なる場合も本発明の範囲を限定するものではない。
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