【発明の詳細な説明】
スルフヒドリル化合物を含有した脱毛組成物
技術分野
本発明は哺乳動物皮膚の除毛分野に関する。詳しくは、本発明はヒト皮膚にあ
る産毛の脱毛方法に関する。
背景
人体の除毛は医療上および化粧上双方の理由からかなり注目をうけてきた。望
ましくない毛を除去する様々な方法が存在する。従来の方法は機械的除去及び化
学的脱毛に集中しており、それにより望ましくない毛が皮膚の表面上に現れると
すぐに除去される。他の方法では毛成長の速度及び特徴の変化により毛成長の防
止、抑制又は遅滞を行う。
脱毛に用いられる機械的方法には毛抜き、引抜き、電気分解、剃毛及びX線技
術がある。毛抜き及び引抜きは利用に限界があり、その理由はそれらの使用が局
所面に限られるからである。電気分解及びX線技術は痛みがあり、高価な装置の
使用を要し、一方剃毛は皮膚刺激を起こす。
化学的脱毛組成物は皮膚のもっと大きな面から望ましくない毛を除去する上で
有効である。これらの組成物は典型的には毛ケラチンにあるジスルフィド結合を
開裂して、毛繊維を分解させる。しかしながら、ほとんどの化学的脱毛組成物は
強いアルカリ性であり、特に敏感な顔皮膚において皮膚刺激を起こす。
現在、“ワックス”と通常呼ばれる組成物も脱毛に用いられている。これらは
溶融状態で皮膚に適用される。冷却及び硬化すると、ワックスはそれと接触する
毛にからみつく。ワックスは皮膚から薄く剥がされ、からみついた毛をその根元
から引き抜く。ワックス塗りが他の化学的方法よりも長く続いてるとしても、そ
れは刺激、膨潤又は生じうる熱傷を起こす傾向があるために嫌われている。
毛成長の速度及び特徴を変えるために用いられる方法のうち、ほとんどが女性
多毛症のようなアンドロゲン依存性障害に伴う皮膚科症状をコントロールするた
めに抗アンドロゲン剤の適用を行う。しかしながら、これらの方法は全身抗アン
ドロゲン効果、催奇性及び下垂体機能不全のような望ましくない副作用を有し、
その結果使用が限られている。
前記理由から、効率的で、容易に投与され、無刺激で長く持続し、しかも急速
な成長回復を起こさないで望ましくない毛を除去する及び/又は望ましくない毛
の成長を調節する方法を開発する必要性がある。
本発明の目的は、哺乳動物皮膚から望ましくない産毛を除去するための局所組
成物を提供することである。
本発明の別の目的は、現存組成物よりも皮膚にやさしくて刺激が少ないこのよ
うな組成物を提供することである。
哺乳動物皮膚から産毛を除去するための方法を提供することも本発明の目的で
ある。
発明の要旨
本発明は、組成物が7以下のpHを有するように化粧品上及び/又は製薬上許
容されるキャリヤ中に活性剤としてスルフヒドリル化合物を含んでなる、多毛又
は望ましくない毛をもちやすいか又はもつ哺乳動物で望ましくない毛、特に産毛
を除去する及び/又は毛成長を調節するための局所組成物に関する。本発明は、
組成物が7以下のpHを有するように化粧品上及び/又は製薬上許容されるキャ
リヤ中にスルフヒドリル化合物を含んでなる“リーブ‐オン”(leave-on)組成物
を哺乳動物の皮膚に局所適用することからなる、多毛又は望ましくない毛をもち
やすいか又はもつ哺乳動物で望ましくない産毛を除去する及び/又は毛成長を調
節する方法にも更に関する。
発明の具体的な説明
本発明で用いられる“スルフヒドリル化合物”とはチオグリコール酸、システ
イン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオリンゴ酸、2‐
メルカプトプロピオン酸、3‐メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2
‐メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、チオキサンテン、チオサリチル
酸、チオ乳酸、チオプロピオン酸、チオジグリコール酸、N‐アセチル‐L‐シ
ステイン、リポ酸と上記化合物の化粧品上及び/又は製薬上許容される塩からな
る群より選択される、‐S‐H基を有した化合物を意味する。スルフヒドリル化
合物の混合物も本発明では使用に適する。好ましいスルフヒドリル化合物にはチ
オグリコール酸、システイン、グルタチオン、N‐アセチル‐L‐システイン、
リポ酸、チオサリチル酸、チオ乳酸とそれらの化粧品上及び/又は製薬上許容さ
れる塩がある。更に好ましいスルフヒドリル化合物にはチオグリコール酸、シス
テイン、グルタチオン、N‐アセチル‐L‐システインとそれらの化粧品上及び
/又は製薬上許容される塩がある。最も好ましいスルフヒドリル化合物は、N‐
アセチル‐L‐システインとその化粧品上及び/又は製薬上許容される塩である
。
本発明で用いられるスルフヒドリル化合物の“化粧品上及び/又は製薬上許容
される塩”とは、アルカリ金属塩、例えばナトリウム、リチウム、ルビジウム及
びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム、カルシウム及びスト
ロンチウム塩;無毒性重金属塩、例えばアルミニウム塩及び亜鉛塩;ホウ素塩;
ケイ素塩;アンモニウム塩;トリアルキルアンモニウム塩、例えばトリメチルア
ンモニウム及びトリエチルアンモニウム;テトラルキロニウム塩(tetralkyloniu
m salt)があるが、それらに制限されない。スルフヒドリル化合物の好ましい化
粧品上及び/又は製薬上許容される塩にはNa+、K+、Ca++、Mg++、Al2
(OH)5 +、NH4 +、(HOCH2CH2)3NH+、(CH3CH2)3NH+、(C
H3CH2)4N+、
C12H25(CH3)3N+及びC12H25(C5H4N)3N+塩がある。スルフヒドリ
ル化合物の更に好ましい塩にはNa+、K+、NH4 +及び(HOCH2CH2)3N
H+塩がある。スルフヒドリル化合物の最も好ましい塩にはNa+及びNH4 +があ
る。スルフヒドリル化合物の適切な塩は、例えば1994年3月22日付で発行
されたHillebrandの米国特許第5,296,500号明細書で記載されており、
これは参考のため本明細書に組み込まれる。
酸性又は中性pHでスルフヒドリル化合物を含有した組成物は、既知脱毛処方
物に通常伴う皮膚刺激及び臭気のような望ましくない副作用なしに、哺乳動物皮
膚で望ましくない産毛を除去する能力を示すことが、意外にもわかった。いずれ
か特定の作用様式に制限されることなく、スルフヒドリル化合物は産毛ケラチン
に存在するジスルフィド結合を壊すことにより望ましくない産毛を除去すると考
えられる。理論に拘束又は制限されることなく、本発明の組成物は毛成長も調節
できる。
本明細書で用いられる“産毛”とは、色素沈着がほとんど又は全くない、長さ
1cm以下の細くて短い毛を意味する。本組成物は産毛を取るが、その理由はこの
ような毛に存在するジスルフィド結合がスルフヒドリル類による開裂をうけやす
いためである。
本明細書で用いられる“終毛”とは、産毛よりも長い、粗くて色素沈着した有
髄毛を意味する。終毛は典型的には頭皮、まゆげ及びまつげでみられ、恥骨部、
腹部、顔及び腋窩でみられる二次性毛を含む。本組成物は終毛を柔らかくする。
本明細書で用いられる“リーブ‐オン”とは、所定時間後に洗い落とすことな
く局所適用される組成物を意味する。
本明細書で用いられる“局所適用”とは、哺乳動物の皮膚上に直接置くか又は
塗布することを意味する。
本明細書で用いられる“安全有効量”とは、健全な医学的判断の範囲内におい
て、処置される条件下で有意に改善を誘導する上で十分であるが、重篤な副作用
を避ける上で十分低い(妥当な利益/危険比にある)化合物又は組成物の量を意
味する。本組成物のある用途に適用しうるように、化合物又は組成物の安全有効
量は、処置される具体的状態、処置される被処置者の年令及び身体条件、症状の
程度、処置期間、併用療法の性質、用いられる具体的化合物又は組成物、利用さ
れる具体的な化粧品上及び/又は製薬上許容されるキャリヤと、担当医の知識及
び熟練に属する類似ファクターに応じて変わる。
本発明で用いられる“化粧品上及び/又は製薬上許容される”とは、その語句
が表す塩、薬物、薬剤、不活性成分又は他の物質が妥当な利益/危険比で釣り合
って過度の毒性、不適合、不安定、刺激、アレルギー反応等なしにヒト及びそれ
より下等の動物の組織と接触するような使用に適していることを意味する。
本明細書で用いられる“毛成長を調節する”とは、毛成長の速度を減少させる
、及び/又はより少ない毛鎖(hair strand)の形成を誘導する、及び/又は毛鎖
の径を減少させる、及び/又は毛鎖を短くする、及び/又は毛成長のプロセスを
妨害、遅滞、抑制又は阻止することを意味する。
本発明の組成物は、好ましくは約0.005〜約25%、更に好ましくは約0
.1〜約15%、更により好ましくは約0.5〜約10%、なお一層好ましくは
約1〜約7%、更に一層好ましくは約2〜約5%、最も好ましくは約2%のスル
フヒドリル化合物を含有する。
キャリヤ
本発明の組成物は、適切な濃度で望ましいターゲットにスルフヒドリル活性剤
をデリバリーさせることができる、固体、半固体又は液体の化粧品上及び/又は
製薬上許容されるキャリヤを含んでいる。キャリヤはそれ自体不活性でも、ある
いはそれはそれ自体の生理学的又は薬学的効果を有していてもよい。活性剤は処
置が必要な被処置者の皮膚に局所適用される。局所適用はローション、溶液、軟
膏、漿液、スプレー、トニック、クリーム、バー、クリームリンス、ゲル、ステ
ィック、ムース、ペースト等の形態をした組成物で行われることが好ましい。
本発明の局所組成物は液体、例えばローション、ムース又はミルクとして処方
することができる。このような液体組成物はロール‐ボールアプリケーター、パ
ッドアプリケーターのようなアプリケーター、噴射剤含有エアゾール缶のような
スプレー装置、液体製品を分配するためにポンプを装備した容器、あるいはティ
ッシュワイプのような液体含浸布帛と組み合わせて使用するように処方してもよ
い。
一方、本発明の組成物は固体又は半固体、例えばスティック、漿液、クリーム
又はゲルであってもよい。このような固体又は半固体組成物は、適切なアプリケ
ーター、簡単なチューブ、ジャー又は他の便利な容器と組み合わせて使用するよ
うに処方してもよい。
この目的に合うキャリヤの選択は、組成物の必要製品形に応じて広範囲の可能
性を与える。適切なビヒクルは下記のように分類できる。
“局所キャリヤ”という用語は、スルフヒドリル活性剤用の希釈剤、分散剤又
は溶媒として作用でき、したがって適切な濃度で選択されたターゲットに適用し
て均一に分布させることができる物質に関する。本発明の組成物で有用な局所キ
ャリヤは、ビヒクルとして水と、水以外の1種以上の化粧品上及び/又は製薬上
許容されるビヒクルを含有することができる。
局所キャリヤは、毛包のすぐ近くの環境に達するように、皮膚へのスルフヒド
リル活性剤の浸透を助ける及び/又は高めうるものであることが好ましい。本発
明による局所組成物で有用なキャリヤは、活性剤をマイクロカプセル化する、例
えばリポソーム、ラテックス格子、微小球、シクロデキストリンと様々な形の浸
透増強剤を含有していてもよい。浸透増強剤の好ましい量は、組成物の約1〜約
5%である。
通常、キャリヤは性質上水性又は有機性であるかあるいは水性エマルジョンで
あり、スルフヒドリル活性剤をその中に分散又は溶解させることができる。キャ
リヤは化粧品上及び/又は製薬上許容される皮膚軟化剤、皮膚浸透増強剤、着色
剤、芳香剤、乳化剤、増粘剤及び/又は溶媒を含有していてもよい。
本発明の局所組成物は皮膚軟化剤を含有した組成物として処方してよい。この
ような組成物は、典型的には約1〜約50%、好ましくは約5〜約20%の局所
化粧品上及び/又は製薬上許容される皮膚軟化剤と、安全有効量のスルフヒドリ
ル活性剤を含有する。
本発明で用いられる“皮膚軟化剤”とは、乾燥の防止又は軽減と皮膚の保護の
ために用いられる物質に関する。様々な適切な皮膚軟化剤が知られており、本発
明で用いてよい。このような皮膚軟化剤には炭化水素油及びワックス、シリコー
ン油、トリグリセリド油脂、アセトグリセリドエステル、エトキシル化グリセリ
ド、10〜20の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル、10〜20の炭
素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル、8〜22の炭素原子を有する脂肪
酸、8〜22の炭素原子を有する脂肪アルコール、脂肪アルコールエーテル、エ
ーテル‐エステル、ラノリン及び誘導体、多価アルコール及びそれらのポリエー
テル誘導体、ワックスエステル、蜜ロウ誘導体、植物ワックス、リン脂質、ステ
ロールとアミドがあるが、それらに制限されない。参考のため本明細書に組み込
まれるSAGARIN,COSMETICS,SCIENCE AND TECHN0L0GY,2nd Edition,Vol.1,pp.32-4
3(1972)には、適切な皮膚軟化剤物質の多数の例を含んでいる。
本発明の局所組成物はクリームとして処方してもよい。好ましくは、本発明の
クリームは安全有効量のスルフヒドリル活性剤、約5〜約50%、好ましくは約
10〜約25%の皮膚軟化剤と、約25〜約95%の水を含んでなる。場合によ
り、クリーム形態は適切な乳化剤を含有する。乳化剤が含有されるとき、それは
約3〜約50%、好ましくは約5〜約20%のレベルで組成物中に存在する。乳
化剤にはノニオン系、アニオン系又はカチオン系がある。適切な乳化剤は、例え
ば1973年8月28日付で発行されたDickert らの米国特許第3,755,5
60号、1983年12月20日付で発行されたDixon らの米国特許第4,42
1,769号明細書及びMcCutcheon's Detergents and Emulsifiers,North Amer
ican Edition,pp.317-324(1986)で開示されており、それらの開示は参考のため
本明細書に組み込まれる。好ましい乳化剤はアニオン系又はノニオン系である。
本発明の局所組成物はローションからなる組成物として処方してもよい。好ま
しくは、本発明のローションは安全有効量のスルフヒドリル活性剤、約1〜約5
0%、好ましくは約3〜約15%の皮膚軟化剤と、約45〜約85%、好ましく
は約50〜約75%の水を含んでなる。場合により、ローション形態は適切な乳
化剤を含有し、それは組成物の約3〜約50%、好ましくは約10〜約20%で
ある。適切な乳化剤の例は、クリーム処方の開示で前記されたところに含まれて
いる。
好ましくは、本発明の溶液形態は安全有効量のスルフヒドリル活性剤、水及び
適切な有機溶媒を含んでなる。溶媒又は溶媒系の一部として有用な適切な有機物
質は、以下のプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(M
W200〜600)、ポリプロピレングリコール(MW425〜2025)、ソ
ルビトールエステル、1,2,6‐ヘキサントリオール、エタノール、イソプロ
パノール、酒石酸ジエチル、ブタンジオール及びそれらの混合物である。
本発明のゲル組成物は、前記溶液組成物に適切な増粘剤を単純にミックスする
ことにより処方できる。ゲル組成物は、好ましくは安全有効量のスルフヒドリル
活性剤、約5〜約75%、好ましくは約10〜約50%の溶液に関して前記され
たような有機溶媒と、約0.5〜約20%、好ましくは約1〜約10%の増粘剤
を含んでなる。
本発明の固形の組成物は、体への適用向けに考えられたスティックタイプ組成
物としての用途を有する。このような組成物は、好ましくは安全有効量のスルフ
ヒドリル活性剤、約50〜約98%、好ましくは約60〜約90%の前記皮膚軟
化剤を含んでなる。このような組成物は約1〜約20%、好ましくは約5〜約1
5%の適切な増粘剤と、場合により乳化剤及び水を更に含むことができる。
好ましいローション、溶液、スティック、ゲル及びクリームは、更に好ましく
は保存剤、保存増強剤、前記のような亜鉛及び/又は亜鉛塩も含有する。これら
の剤は本明細書に記載された量で前記処方物中に配合される。
本発明の組成物は、好ましくは7以下のpHを有するように処方される。これ
ら組成物のpH値は、好ましくは約2〜約7、更に好ましくは約3〜約6、最も
好ましくは約4.5〜約5.5の範囲内である。約4.5〜7の範囲内のpHを
有する組成物は、約8.5以上のpHを有する対応組成物と比較して、少ない皮
膚刺激、少ない臭気及び大きな貯蔵安定性を示す傾向がある。
他の成分
本発明の組成物は、スルフヒドリル活性剤に加えて、限定されないが、保存剤
、保存増強剤及び活性剤を含めた他の成分を含有してもよい。しかしながら、あ
る剤は局所処方物においてスルフヒドリル化合物、特にN‐アセチル‐L‐シス
テインの活性を減少させることがある。第一に、過剰な数の微生物(microbial a
gent)は、例えば化合物の微生物代謝によりスルフヒドリル化合物の活性を減少
させることがある。第二に、ホルムアルデヒドはスルフヒドリル化合物と化学的
に反応して、その活性を減少させうることがわかった。このため、スルフヒドリ
ル化合物を含有した組成物がホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド形成保存剤又
は他の物質と共に処方されたとき、その組成物はホルムアルデヒド又はホルムア
ルデヒドを形成できる化合物を含有していない対応処方物と比較して、経時的に
スルフヒドリル化合物の活性を減少させることがあった。したがって、保存効力
を有して、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド形成保存剤又は他の物質を含有
していない、スルフヒドリル化合物を含有した組成物を提供することが望まれる
。
したがって、組成物はホルムアルデヒドと、組成物中でホルムアルデヒドを形
成又は放出しうる保存剤を含めて組成物中に存在するときホルムアルデヒドを形
成又は放出しうる物質とを実質上含まないことが好ましい。ホルムアルデヒドと
、組成物中でホルムアルデヒドを形成又は放出しうる物質は、本明細書において
別に“ホルムアルデヒドドナー”として称される。本明細書で用いられる“ホル
ムアルデヒドドナーを実質上含まない”とは、検出しうるホルムアルデヒドドナ
ーがないこと、好ましくはホルムアルデヒドドナーがないことを意味する。ホル
ムアルデヒドドナーの存在は、いずれか適切な分析技術、例えば高圧液体クロマ
トグラフィーにより、組成物中におけるホルムアルデヒドの存在で示される。こ
のようなドナーの存在は最初に検出しても、又は経時的なホルムアルデヒドの生
成で明らかにしてもよい。
本発明の局所組成物は、好ましくは1種以上の保存剤を含む。好ましい保存剤
はホルムアルデヒドドナーを実質上含まないものである。このため、本発明で使
用上好ましい保存剤は、保存プロセス又は関連のないプロセスにおいて、組成物
中でホルムアルデヒドを形成又は放出しないものである。逆に、ホルムアルデヒ
ド形成又は放出保存剤は、保存プロセス又は関連のないプロセスにおいて、組成
物中でホルムアルデヒドを形成又は放出する。
更に好ましい保存剤には、ベンジルアルコール、プロピルパラベン、エチルパ
ラベン、ブチルパラベン、メチルパラベン、ベンジルパラベン、イソブチルパラ
ベン、フェノキシエタノール、エタノール、ソルビン酸、安息香酸、メチルクロ
ロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン〔例えばローム&ハース(Rohm &
チアゾリノン及びメチルイソチアゾリノンの混合物を含有した保存剤〕、メチル
ジブロモグルタロニトリル〔例えばカルゴン(Calgon)からテクタマー38
硫酸ナトリウム、ジクロロフェン、前記化合物の塩及び前記化合物の混合物があ
る。
更に一層好ましい保存剤は、ベンジルアルコール、プロピルパラベン、メチル
パラベン、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソ
チアゾリノン、安息香酸、前記保存剤の塩及び前記化合物の混合物からなる群よ
り選択される。
更により好ましい保存剤は、ベンジルアルコール、プロピルパラベン、メチル
パラベン、フェノキシエタノール及びそれらの混合物である。更により一層好ま
しくは、保存剤はプロピルパラベン及びメチルパラベンとべンジルアルコール及
びフェノキシエタノールのいずれか又は双方との混合物である。スルフヒドリル
化合物の安定性に加えて、これらの混合物はユーザーに最少の皮膚刺激リスクだ
けで又はそれなしに広い保存効力を与える。最も好ましくは、保存剤はベンジル
アルコール、プロピルパラベン及びメチルパラベンの混合物である。スルフヒド
リル化合物の安定性及び広い保存効力に加えて、この混合物はユーザーに特に低
い皮膚刺激リスクを与えるだけである。
ホルムアルデヒドドナーを実質上含まない前記保存剤の使用は、Greg.G.Hille
brand 及びMarcia S.Schnickerの名前で1995年6月7日付で出願された“N
‐アセチル‐L‐システインを含む局所組成物”と題される同時係属米国特許出
願で更に詳細に記載されており、これは参考のためその全体で本明細書に組み込
まれる。前記保存剤は、ここで引用された特許出願の組成物に関して記載された
のと同じ量で本発明の組成物に用いられることが好ましい。
本発明の組成物は、安全有効量の保存増強剤を含んでいることが好ましい。本
明細書で用いられる“保存増強剤”という用語は、目的が保存剤の活性を高める
ことである剤を意味する。当業者により理解されるように、保存増強剤は典型的
にはそれ自体で十分な効力を発揮しない;それは保存剤の効力を増加させる傾向
がある。保存剤効力の増強にはキレート化が関係しているかもしれない。本発明
で有用な好ましい保存増強剤にはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレ
ングリコール、プロピレングリコール、エタノール及びそれらの混合物がある。
保存剤としてパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベンを含有している場合
には、EDTAが好ましい保存増強剤である。このような増強剤の使用は、Greg
.G.Hillebrand 及びMarcia S.Schnickerの名前で1995年6月7日付で出願さ
れた“N‐アセチル‐L‐システインを含む局所組成物”と題される、上記で引
用して組み込まれた同時係属米国特許出願で更に詳細に記載されている。保存増
強剤は、ここで引用された特許出願の組成物に関して記載されたのと同じ量で本
発明の組成物に用いられることが好ましい。
本発明の組成物は、スルフヒドリル化合物と錯体形成する亜鉛又は亜鉛塩を含
有していることが好ましい。理論に拘束されることなく、亜鉛はスルフヒドリル
化合物が分解するど微量で形成されることがある悪臭性H2Sと錯体形成するこ
とにより、どうも臭気を除去しているらしい。亜鉛は更に又は別にスルフヒドリ
ル化合物の安定性を増加させる。本発明に適するような亜鉛塩の使用は、199
4年3月22日付で発行されたHillebrandの米国特許第5,296,500号明
細書で更に記載されており、これは参考のため本明細書に組み込まれる。
本発明の組成物は、スルフヒドリル活性剤の効果を増強させる上で、異なる方
式で機能できる他の活性剤を場合により含んでいてもよい(このため、他の活性
剤はスルフヒドリル化合物の活性を有意に減少させるべきではない)。このよう
な物質の例には抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、脱毛剤/毛成長抑制剤、日焼止め
剤、日光遮断剤及びモイスチャライザーがあるが、それらに制限されない。
A.抗炎症剤
抗炎症剤は、組成物の好ましくは約0.1〜約10%、更に好ましくは約0.
5〜約5%で、本発明で活性剤として含有される。組成物で用いられる抗炎症剤
の正確な量は利用される具体的な抗炎症剤に依存するが、その理由はこのような
剤は効力が広く異なるからである。適切な抗炎症剤にはヒドロコルチゾン、α‐
メチルデキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びアムシナフェルのよ
うなステロイド系抗炎症剤;オキシカム類、サリチレート類、酢酸誘導体、フェ
ナメート類、ピラゾール類及びプロピオン酸誘導体のような非ステロイド系抗炎
症剤;カンデリラワックス、α‐ビサボロール、アロエベラ、マンジスタ(Manjl
stha)(ルビア(Rubia)属の植物から抽出)及びグガール(Guggal)(コミフォラ(C
ommlphora)属の植物から抽出)のような“天然”抗炎症剤がある。
B.抗アンドロゲン剤
本発明で有用な好ましい組成物では、抗アンドロゲン剤が本活性剤と一緒に活
性剤として含有される。本発明で用いられる“抗アンドロゲン剤”とは、それら
のターゲット器官でアンドロゲンの作用を妨げることによりアンドロゲン関連障
害を治癒できる化合物を意味する。本発明のターゲット器官は哺乳動物皮膚であ
る。
安全有効量、好ましくは約0.001〜約1%、更に好ましくは約0.01〜
約0.1%の抗アンドロゲン剤が本発明で有用な組成物に加えられる。
アンドロゲンレセプター拮抗剤である抗アンドロゲン剤と、5α‐レダクター
ゼ阻害剤である抗アンドロゲン剤が、本発明の組成物で有用である。このような
抗アンドロゲン剤の例は、1989年12月19日付で発行されたHolt,Metcalf
及びLevyの米国特許第4,888,336号;1992年5月2日付で発行され
たHolt,Metcalf及びLevyの米国特許第5,110,939号;1992年6月9
日付で発行されたRasmusson 及びReynoldsの米国特許第5,120,742号;
1989年8月22日付で発行されたRasmusson 及びReynoldsの米国特許第4,
859,681号明細書で更に十分に開示されており、すべて参考のため本明細
書に組み込まれる。Stewart,M.及びP.Pochi,″Anti-androgens and the Skin″(
抗アンドロゲン剤及び皮膚),International Society of Tropical Dermatology,
Vol.17,No,3.pp.167-179(1978)も参照せよ;参考のため本明細書に組み込まれる
。
本発明の組成物で有用な好ましい抗アンドロゲン剤は、酢酸シプロテロン、フ
ィナステリド、酢酸クロルマジノン、17α‐プロピルメステロロン、酢酸17
α‐エストラジオール、二酢酸ジエノエストロール、安息香酸エストラジオール
、酢酸イノコテロン、スピロノラクトン、11α‐ヒドロキシプロゲステロン及
び酢酸チオ酢酸シプロテロンである。
C.脱毛剤/毛成長抑制剤
本発明で有用な好ましい組成物では、脱毛剤又は毛成長抑制剤が本活性剤と一
緒に活性剤として含有される。本発明で用いられる“脱毛剤”とは、毛ケラチン
にあるジスルフィド結合を開裂して毛繊維を分解させることにより皮膚から毛を
除去できる剤を意味する。安全有効量、好ましくは約0.001〜約1%、更に
好ましくは約0.05〜約0.5%の脱毛剤が本発明で有用な組成物に加えられ
る。
本発明で有用な好ましい脱毛剤にはアンモニウムチオグリケート、硫酸バリウ
ム、カルシウムチオグリケート、エタノールアミンチオグリケート、メルカプト
プロピオン酸、カリウムチオグリケート、ナトリウムチオグリケート、チオグリ
セリン、チオグリシン酸及びチオ酢酸がある。
本発明で用いられる“毛成長抑制剤”とは、毛の成長を遅滞させることができ
る剤を意味する。本発明で有用な好ましい毛成長抑制剤はジエチルジチオカルバ
ミン酸である。
D.日焼止め剤及び日光遮断剤
日焼止め剤又は日光遮断剤は、本発明の好ましい組成物において、本発明の活
性剤と一緒に活性剤として含有される。様々な慣用的な日焼止め剤が落屑剤との
併用に適している。Sagarin ら,Cosmetics Science and Technology,Chapter VI
II,pages 189以下では多くの適切な剤について開示しており、これは参考のため
本明細書に組み込まれる。具体的な適する日焼止め剤には、例えばp‐アミノ安
息香酸、その塩及びその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル;p
‐ジメチルアミノ安息香酸);アントラニレート類(即ち、o‐アミノベンゾエ
ート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テ
ルピニル及びシクロヘキセニルエステル);サリチレート類(アミル、フェニル
、オクチル、ベンジル、メンチル、グリセリル及びジプロピレングリコールエス
テル);シンナム酸誘導体(メンチル及びベンジルエステル、a‐フェニルシン
ナモニトリル;ブチルシンナモイルピルベート);ジヒドロキシケイ皮酸誘導体
(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセトウンベリフェロン
);トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフ
ネチンと、グルコシド類、エスクリン及びダフニン);炭化水素(ジフェニルブ
タジエン、スチルベン);ジベンザルアセトン及びベンザルアセトフエノン;ナ
フトスルホネート類(2‐ナフトール‐3,6‐ジスルホン酸及び2‐ナフトー
ル‐6,8‐ジスルホン酸のナトリウム塩);ジヒドロキシナフトエ酸及びその
塩;o‐及びp‐ヒドロキシビフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(7‐
ヒドロキシ、7‐メチル、3‐フェイル);ジアゾール類(2‐アセチル‐3‐
ブロモインダゾール、フェニルベンズオキサゾール、メチルナフトオキサゾール
、様々なアリールベンゾチアゾール類);キニン塩(重硫酸塩、硫酸塩、クロリ
ド、オレイン酸塩及びタンニン酸塩);キノリン誘導体(8‐ヒドロキシキノリ
ン塩、2‐フェニルキノリン);ヒドロキシ又はメトキシ置換ベンゾフェノン
類;尿酸及びビロ尿酸(vilouric acid);タンニン酸及びその誘導体(例えば、
ヘキサエチルエーテル):(ブチルカルボトール)(6‐プロピルピペロニル)
エーテル;ヒドロキノン;ベンゾフェノン類(オキシベンゾン、スルイソベンゾ
ン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール、2,2′,4,4′‐テトラヒ
ドロキシベンゾフェノン、2,2′‐ジヒドロキシ‐4,4′‐ジメトキシベン
ゾフェノン、オクタベンゾン);4‐イソプロピルジベンゾイルメタン;ブチル
メトキシジベンゾイルメタン;エトクリレン;〔3‐(4′‐メチルベンジリデ
ンボルナン‐2‐オン)及び4‐イソプロピルジベンゾイルメタンがある。
これらの中では、p‐メトキシケイ皮酸2‐エチルヘキシル、4,4′‐t‐
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェ
ノン、オクチルジメチル‐p‐アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2
,2‐ジヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、4‐ビス(ヒドロキシプロ
ピル)アミノ安息香酸エチル、2‐エチルヘキシル‐2‐シアノ‐3,3′‐ジ
フェニルアクリレート、2‐エチルヘキシルサリチレート、p‐アミノ安息香酸
グリセリル、3,3,5‐トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアン
トラニレート、p‐ジメチルアミノ安息香酸又はアミノベンゾエート、p‐ジメ
チルアミノ安息香酸2‐エチルヘキシル、2‐フェニルベンゾイミダゾール‐5
‐スルホン酸、2‐(p‐ジメチルアミノフェニル)‐5‐スルホン酸ベンズオ
キサゾール及びこれら化合物の混合物が好ましい。
本発明で有用な組成物で有用な更に好まし日焼止め剤は、p‐メトキシケイ皮
酸2‐エチルヘキシル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2‐ヒドロキシ‐
4‐メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル‐p‐アミノ安息香酸及びそれ
らの混合物である。
1990年6月26日付で発行されたSabatelli の米国特許第4,937,3
70号及び1991年3月12日付で発行されたSabatelli 及びSpirnak の米国
特許第4,999,186号明細書で開示されたような日焼止め剤も組成物で特
に有用であり、これらは双方とも参考のため本明細書に組み込まれる。そこで開
示された日焼止め剤は、異なる紫外線吸収スペクトルを示す2つの別々な発色団
部分を単一分子中に有している。一方の発色団部分はUVB光範囲で主に吸収し
、他方はUVA光範囲で強く吸収する。
この種類の日焼止め剤の好ましいものは、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノ
ンの4‐N,N‐(2‐エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4‐
ヒドロキシジベンゾイルメタンとのN,N‐ジ(2‐エチルヘキシル)‐4‐ア
ミノ安息香酸エステル、4‐ヒドロキシジベンゾイルメタンとの4‐N,N‐(
2‐エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、2‐ヒドロキシ‐4‐(
2‐ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンの4‐N,N‐(2‐エチルヘキシル
)メチルアミノ安息香酸エステル、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイ
ルメタンの4‐N,N‐(2‐エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル
、2‐ヒドロキシ‐4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンのN,N‐
ジ(2‐エチルヘキシル)‐4‐アミノ安息香酸エステル、4‐(2‐ヒドロキ
シエトキシ)ジベンゾイルメタンのN,N‐ジ(2‐エチルヘキシル)‐4‐ア
ミノ安息香酸エステル及びそれらの混合物である。
安全有効量の日焼止め剤が、本発明で有用な組成物において、添加活性剤とし
て用いられる。日焼止め剤はスルフヒドリル活性剤と適合しなければならない。
組成物は、好ましくは約1〜約20%、更に好ましくは約2〜約10%の日焼止
め剤を含有する。正確な量は、選択される日焼止め剤と望まれる日光保護ファク
ター(SPF)に応じて変わる。
組成物の皮膚直接性(skin substantivity)を改善する、特に水による洗い落
ち又はこすり落ちに対するそれらの抵抗性を高めるための剤も、本発明で有用な
いずれの組成物に加えてよい。この効果を与える好ましい剤は、エチレン及びア
クリル酸のコポリマーである。このコポリマーを含む組成物は1987年5月5
日付で発行されたBrock の米国特許第4,663,157号明細書で開示されて
おり、これは参考のため本明細書に組み込まれる。
E.モイスチャライザー
本発明で有用な好ましい組成物において、モイスチャライザーはスルフヒドリ
ル活性剤と一緒に活性剤として含有される。本発明で有用な好ましいモイスチャ
ライザーにはグリセロール、鉱油、ワセリン、ミリスチン酸イソプロピル及びヒ
アルロン酸がある。更に好ましいモイスチャライザーにはグリセロール及びペト
ロラタムがある。
本発明の組成物は、局所組成物の製造業界で知られるような常法により通常製
造される。このような方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用等で又はそ
れらなしに、比較的均一な状態に諸成分をミックスすることからなる。
スルフヒドリル化合物の最良安定性のためには、本発明の組成物は当業界で周
知であるスルフヒドリル化合物の単純空気酸化を避ける方法により製造、包装及
び貯蔵されるべきである。このため、製造、包装及び貯蔵中における空気への組
成物の暴露は最少にすべきである。
局所組成物のデリバリー方法
本発明の方法で有用な局所組成物は、様々なデリバリー装置からデリバリーす
ることができる。以下は2つの非制限例である:
A.薬用クレンジングパッド
本発明で有用な組成物は薬用パッド中に配合できる。好ましくは、これらのパ
ッドは1層以上の不織布物質約50〜約75重量%と、好ましくは約0.01〜
約20%、更に好ましくは約1〜約10%、更に一層好ましくは約2〜約7%、
しかも好ましくは約5%の活性剤を含んだ不織布物質からデリバリーしうる液体
組成物約20〜約50重量%からなる。これらのパッドは1990年1月2日付
で発行されたThamanらの米国特許第4,891,228号及び1990年1月2
日付で発行されたThamanらの米国特許第4,891,227号明細書で詳細に記
載されており、これら双方とも参考のため本明細書に組み込まれる。
B.分配装置
本発明で有用な組成物は、ソフトチップ化又は軟質分配装置中に入れて、そこ
からデリバリーしてもよい。これらの装置は皮膚表面への組成物の制御的デリバ
リーに有用であり、処置組成物自体がユーザーにより直接取扱われなくてよいと
いう利点を有している。これら装置の非制限例は、マウス、アプリケーター、容
器のマウスにアプリケーターを保持する手段と、バルブへの圧力の負荷で容器か
らアプリケーターに液体を流出させる通常閉じた圧力応答バルブを含んだ流体容
器からなる。
バルブには多数の非交差アーチ状スリットを有する弾性流体不透過性物質から
形成された隔膜を含み、各スリットは少くとも1つの他のスリットと交わるベー
スを有し、各スリットはそれ自体のベースと交差関係になく、アプリケーターの
容器内部にバルブを置く手段がある。これらアプリケーター装置の例は、198
7年9月15日付で発行されたSchwartzman の米国特許第4,693,623号
、1987年9月15日付で発行されたSchwartzman の米国特許第4,620,
648号、1972年6月13日付で発行されたHarkerらの米国特許第3,66
9,323号、1968年12月24日付で発行されたSchwartzman の米国特許
第3,418,055号及び1968年11月12日付で発行されたSchwartzma
n の米国特許第3,410,645号明細書で記載されており、それらすべてが
参考のため本明細書に組み込まれる。本発明で有用なアプリケーターの例は、ダ
ブ‐O‐マチック(Dab-O-Matic),Mount Vernon,NYから市販されている。
適用方法
本組成物は、望ましくない産毛を除去する、及び/又は毛成長を調節する、及
び/又は終毛を柔らかくする上で有用である。
本組成物を適用する好ましい方法は、望ましくない毛が成長しそうな顔、腋窩
、足及び他の面への多数回局所適用からなる。適用されると、その組成物は残し
ておく。組成物の量及び適用の頻度は、問題の面、望ましい効果及び/又は個人
的ニーズに応じて広く変わるが、局所適用は好ましくは約1日5回〜2日に1回
、更に好ましくは約1日3回〜1日1回、最も好ましくは約1日2回であること
が例として挙げられる。局所適用向け組成物は、好ましくは局所組成物をつける
皮膚cm2当たり約0.001〜約50mg、更に好ましくは約0.01〜約30mg
/cm2、更に一層好ましくは約0.05〜約10mg/cm2、しかも好ましくは約0
.1〜約2mg/cm2の活性剤を含有する。局所適用期間は個人に必要とされるだ
けにすべきであり、毛成長の継続的調節及び/又は望ましくない産毛の除去のた
め被処置者の成人期中ずっとでもよい。
例
本発明の組成物態様は下記非制限例で説明される。本明細書で用いられるすべ
ての部、パーセンテージ及び比率は、他で指摘されないかぎり重量による。
例I
局所組成物は慣用的なミックス技術を利用して下記成分を混合することにより
製造し、pHはNaOHを加えることで6.0に調節する。成分
重量%
N‐アセチル‐L‐システイン 5.0
プロピレングリコール 45.0
エタノール 30.0
水 20.0
皮膚100cm2当たり組成物1000mgを顔に1日2回局所適用して、望まし
くない産毛を除去する。
例II
局所組成物は慣用的なミックス技術を利用して下記成分を混合することにより
製造し、pHはNaOHを加えることで4.5に調節する。成分
重量%
チオグリコール酸 2.0
プロピレングリコール 57.0
エタノール 20.0
水 10.0
ベンジルアルコール 4.0
グリセリン 5.0
ミリスチルアルコール 2.0
皮膚100cm2当たり組成物4000mgを足に1日1回局所適用して、終毛を
柔らかくする。
例III
局所組成物は慣用的なミックス技術を利用して下記成分を混合することにより
製造し、pHはNaOHを加えることで3.0に調節する。成分
重量%
グルタチオン 1.0
プロピレングリコール 30.0
グリセリン 3.0
水 66.0
皮膚100cm2当たり組成物2000mgを顔に1日2回局所適用して、望まし
くない産毛を除去する。
例IV
局所組成物は慣用的なミックス技術を利用して下記成分を混合することにより
製造し、pHはNaOHを加えることで5.0に調節する。成分
重量%
N‐アセチル‐L‐システイン 0.5
プロピレングリコール 30.0
プロピレングリコールラウレート 1.0
イソプロパノール 20.0
水 48.5
皮膚100cm2当たり組成物500mgを顔に1日1回局所適用して、望ましく
ない産毛を除去する。
例V
ローションは慣用的なミックス技術を利用して下記成分を混合することにより
製造し、pHはNaOHを加えることで4.0に調節する。成分
重量%
システイン 5.0
ジ部分的水素付加タロウジメチルアンモニウムクロリド 4.0
セチルトリメチルアンモニウムクロリド 2.0
DC‐200液体(12500csk)* 1.0
クエン酸 3.5
エチレングリコールジステアレート 1.5
PEG‐3 C12アルキルアミド 3.0
水 80.0*
ダウ・ケミカル社市販のジメチルポリシロキサン
皮膚100cm2当たり組成物100mgを顔に1日3回局所適用して、望ましく
な
い産毛を除去する。
例VI‐VIII
ローションは慣用的なミックス技術を利用して下記成分を含有させることによ
り製造し、pHはNaOHを加えることで4.5に調節する。
1日1回腋窩面に100cm2当たり組成物約750mgを沈着させる量の上記組
成物の用法が、剃毛による最初の除去後に向いている。代わりの毛は除去された
毛よりも柔らかい。
例IX
油中水型エマルジョンは慣用的なミックス技術を利用して下記成分を混合する
ことにより製造し、pHはNaOHを加えることで6.5に調節する。成分
重量%
油相
リポ酸 5.0
セテアリルアルコール 5.0
シリコーン油、200流体 1.0
ミリスチン酸イソプロピル 2.0
ナトリウムステアロイル‐2‐ラクチレート 2.0
水相
プロピレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
香料 0.1
水 79.7
エマルジョンは、油相10部を取り、それを水相90容量部に攪拌しながらゆ
っくり加えることにより製造する。1日3回足に100cm2当たりエマルジョン
約1000mgを沈着させる量のエマルジョンの用法が、初めの毛を剃ることで除
去した後に向いている。代わりの終毛は除去された毛よりも柔らかい。
例X
水中油型クリームは下記成分をミックスすることにより製造し、pHはNaO
Hを加えることで3.5に調節する。成分
重量%
油相
N‐アセチル‐L‐システイン 5.0
ソルビタンモノオレエート 20.0
クォータニウム‐18‐ヘクトナイト 5.0
流動パラフィン 60.0
水相
キサンタンガム 1.0
保存剤 0.3
香料 0.2
水 8.5
クリームは、油相をミックスして、65℃に加熱することにより調製する。水
相を混合して、70℃に加熱する。水相を適度に攪拌しながら油相に加える。適
度な攪拌は冷却しながら行う。約5mgのクリームを顔に1日1回100cm2当た
りで沈着させて、望ましくない無毛を除去する。
例XI
下記成分をミックスして、pHを4.5に調整することにより水中油型クリー
ムを製造する。例Xで記載されたようにクリームを製造する。
成分 重量%
油相:
香料 0.20
セチルアルコール、NF 1.00
ステアリルアルコール、NF 1.00
ポリオキシエチレン(50:50-12/20)セチル/ステアリル(50:50) 1.00
プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート 3.00
グリセリロールモノステアレート 2.00
グリセリルモノステアレート‐パルミテート 2.00
水相:
N‐アセチル‐L‐システイン 5.25
蒸留水 77.19
グリセリン 3.00
クエン酸 0.50
ベンジルアルコール 0.50
プロピルパラベン 0.1
メチルパラベン、NF 0.25
酸化亜鉛、USP 0.26
ブチレングリコール 1.50
水酸化ナトリウム 1.12
EDTA二ナトリウム 0.13
約5mgのクリームを顔に1日1回100cm2当たりで沈着させて、望ましくな
い無毛を除去する。
そのクリームは、保存又は他のプロセスの一部として組成物でホルムアルデヒ
ドを形成又は放出する保存剤のようなホルムアルデヒドドナーを含有した対応組
成物と比較して、特にN‐アセチル‐L‐システインの高い貯蔵安定性を示す。
このため、そのクリームは同様の対応組成物と比較して高いN‐アセチル‐L‐
システイン効力を示す。
本発明の具体的態様が記載されてきたが、本発明の様々な変更及び修正が本発
明の精神及び範囲から逸脱せずに行えることは当業者に明らかであろう。本発明
の範囲内に属するすべてのこのような修正を添付された請求の範囲ではカバーし
ていると考えられる。
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フロントページの続き
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