JPH09500272A - 無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒト細胞および動物細胞を同定する方法 - Google Patents

無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒト細胞および動物細胞を同定する方法

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JPH09500272A JP7504345A JP50434595A JPH09500272A JP H09500272 A JPH09500272 A JP H09500272A JP 7504345 A JP7504345 A JP 7504345A JP 50434595 A JP50434595 A JP 50434595A JP H09500272 A JPH09500272 A JP H09500272A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、無限増殖能または腫瘍形成能を有する細胞の検出に適するDNA−タンパク質−複合体、タンパク質、DNA配列および抗体に関する。本発明はさらに、このようなタンパク質またはDNA配列を得る方法およびこのようなタンパク質、DNA配列または抗体を用いて無限増殖能または腫瘍形成能を有する動物細胞およひヒト細胞を同定する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒト細胞および動物細 胞を同定する方法 本発明は、無限増殖能または腫瘍形成能を有する細胞の検出に適するDNAタ ンパク質複合体、タンパク質、DNA配列、および抗体に関し、そしてこのよう なDNAタンパク質複合体、タンパク質またはDNA配列を得る方法および無限 増殖能または腫瘍形成能を有する動物細胞およびヒト細胞を同定することを目的 とするそれらの使用に関する。 ヒトおよび動物のすべての分化細胞は、それらが加齢(老化)し細胞死に至る までにイン・ビボおよびイン・ビトロにおける限られた増殖能を有する。一定時 間において可能な細胞分裂の回数は細胞の分化の程度、その加齢、およびその細 胞のドナーの種に依存し、また細胞培養の期間に依存する(ゴールドシュタイン( Goldstein,S.):Replicative Senescence,Science 249 (1990),1129-1133)。 しかしながら、無限増殖は腫瘍形成するように形質転換された細胞にしばしば見 出される。こうして、これらの細胞は定常的に同調成長を形成し、腫瘍の形成を 招き、そして遂にはこれらの細胞の性質の他の諸特性が変わり腫瘍疾病に至る。 良性腫瘍と比べると、これらの悪性腫瘍は臨床的にはその急速な増殖としばしば みられる転移の形成により特徴付けられる。細胞の腫瘍形成的形質転換は、細胞 の分化の程度にも依存する細胞形態や細胞生理の無数の変更という不均質な事象 である。今日まで 、腫瘍形成的形質転換の分子的に規定されたパラメーターは僅かしか知られてい ない。例えばその中には、ある遺伝子のメチル化の程度の変更(ドエルフラー(W .Doerfler)ら、Eukaryotic DNA methylation:facts and problems,FEBS Lett ers 268 (1990),329-330)、遺伝子発現の改変、またはある遺伝子産物のリン 酸化の変更が含まれる。 腫瘍細胞の大部分に共通することは、イン・ビボにおける無限増殖能である。 さまざまな観察に基づき、研究者らは成長因子とは無関係な腫瘍細胞の増殖は、 事実しばしば発生する腫瘍形成細胞の特性であるが、絶対的に必要な性質ではな いと考えている(ストラウス(M.Strauss)、グリフィン(B.E.Griffin)、C ellular Immortalization,Cancer Cells 2 (1990),360-365)。しかしながら 診断や治療の分野では多くの問題があるので、正常な増殖制御にもはや従わない 、従って無限増殖能を獲得したこれらの細胞を同定することは、極めて重要であ る。 この問題に絡む難問は、腫瘍細胞の無限増殖というこの性質を多くの組織に見 られる再生能と識別することである。再生は制御された、短期間の(過渡的な) 細胞複製でありそして生理的な刺激に対する応答として予定された細胞死の断続 的抑制にすぎない。正常細胞のこの過渡的増殖は、これも組織の再生後に未だ同 定されていないシグナルによって阻止される。 悪性腫瘍細胞を検出する既知の方法は、臨床的、組織学的、そして細胞学的観 察に基づいており、そして生理学的測定値の変化に基づく。組織学的試験に基づ き、定形的診断法が通常組織切片について行われる(アンダーソン(W.A.D.An derson)およびキスセーン(J.M.Kissane),Pathology I,II,Mosby,Saint Lo uis 1977,7th edition;ヘリングトン(C.S.Herrington)およびマックギー(J .O.D.McGee),Diagnostic Molecular Pathology,Oxford University Press, Vol.I,II,lst ed.,1992)。良性増殖とは異なり、悪性細胞群は隣接組織と は曖昧に分けられているだけであり、そしてこれらの細胞は周囲の組織中に入り 込んで増殖しこれらの組織を浸潤し破壊する。多くの場合、病巣周辺の炎症がひ きがねとなる。しばしば多数の有糸分裂が見られ、腫瘍細胞の増殖活性の増加を 示している。 これらの細胞学的試験に加えて、Ki67(D.C.Matthews,F.O.Smith,I.D.Be rnstein,Monoclonal antibodies in the study and therapy of hematopoietic cancers,Curr.Opinion Immunol.4 (1992),641-646;M.Schwouzen,V.Die hl,M.Pfreundschuh,Immunozytologische Phaenotypisierung von Leukaemien und Lymphomen,Med.Klinik 85 (1990),533-547)のような増殖する腫瘍細胞 により優先的に発現される抗原を認識する、増殖性の悪性細胞を検出するために 抗体を使用するのがより普通になってきた。しかしながら、 これらの方法は無限増殖に結び付く分子過程を検出するのではなく間接的なパラ メーターの測定に基づいている。 従って、無限増殖能を有する細胞、殊に悪性腫瘍細胞を、これらの細胞をイン ・ビトロで培養したり実験動物に注射してこれらの細胞を増殖させたりすること なく、迅速かつ信頼性の高い方法で検出することが本発明の一つの目的であり、 無限増殖能を有する細胞と再生中の組織中で過渡的に増殖している細胞との間の 識別が可能となるはずである。 この目的は、無限増殖能および腫瘍形成能を有するヒトまたは動物の検出に適 するDNAタンパク質複合体(以下、複合体と呼ぶ)を用いて達成される。該複 合体は、永続的に分裂することができかつ塩化セシウム勾配で約1.82−1. 89g/cm3の密度を持つヒト細胞または動物細胞の細胞質の無ミトコンドリ ア画分を単離することにより得ることができる。この操作の後に、この画分をフ ェノール抽出およびエタノール沈殿に付して複合体を単離する。 驚くべきことに、無限増殖能および腫瘍形成能を有する細胞は、正常な休止細 胞、老化細胞、または過渡的な増殖を示す細胞と異なり、それらの細胞質中にこ のような複合体を確かに有することが実験により明らかにされた。本発明に従っ てこれらの複合体を用いれば、悪性腫瘍増殖の結果として無限増殖能を示すこの ような細胞を検出することが可能である 。これを実施するために、DNA含量または特異的抗体との反応を測定すること により、ゲル電気泳動の標準品として本発明に従って複合体の形で細胞質または 適当な細胞質画分を使用する。 本発明の複合体を単離するために永続的に分裂することができるヒト細胞また は動物細胞のサイトプラストを既知の方法により調製する(例えば、EP-B-0 093 436、EP-B-0 256 512及びProc.Natl.Acad.Sci.85 (1988),468-472、そして NP40またはSDS のような界面活性剤で溶解する、Wigler and Weistein,Biochem .Biphys.Res.Comm.63 (1975) 669-674)。これらのサイトプラスト画分から 、好ましくはスクロース勾配の助けをかりてミトコンドリアを分離する(J.Bio l.Chem.249 (1974) 7991-7995)。ミトコンドリアを全く含まないこれらの画 分をRNase、好ましくはRNaseAおよびRNaseT1と例えばプロテ イナーゼKまたはプロナーゼのようなプロテイナーゼと共にインキュベートする 。この混合物から塩化セシウム勾配で約1.82−1.89g/cm3の密度を もった画分が濃縮され、そしてこの画分からフェノール抽出およびエタノール沈 殿により複合体が単離される。塩化セシウム勾配で約1.82−1.89g/c m3の密度をもつ画分は、塩化セシウム密度勾配での遠心分離および電気泳動分 離の両者により得ることができる。これらの方法はこの分野の熟練者には既知の 方法である(Sambrook et al.,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Labor atory,2nd edition,1989)。 複合体を単離するために用いられる細胞質の無ミトコンドリア画分は、細胞の 反復凍結・融解によりまたは核DNAを含まない細胞画分を得ることによっても 調製することができる。このような画分は、塩化ナトリウムまたはSDS("Hir t extraction",J.Mol.Biol.26 (1967) 365-369)で細胞を溶解した後、遠心 分離することにより調製するのが好ましい。ついで、その上清から複合体を単離 することができる。 好ましい方法としては、試験すべき細胞の細胞質溶解物から塩勾配を用いる沈 降により複合体を単離する方法がある。細胞は、Mg2+含有緩衝液(50mモル /リットルのトリス−塩酸,pH7.2、10mモル/リットルのEDTA、3 mモル/リットルのMgCl2)中で界面活性剤なしで反復凍結・融解すること により溶解する。核は6000×gで遠心分離することにより沈降し、そして上 清はプロテイナーゼK(100μg/ml)で60℃、1時間消化する。遊離さ れた複合体は、塩化セシウム2段階勾配の助けをかりて遠心分離(150,00 0×g、10時間)することにより単離される。下層の画分は約1.80g/c m3の密度を持ち、上層の画分は約1.70g/cm3の密度を持つ。細胞質の複 合体は沈降するが、染色体DNAやDNAとタンパク質が共有結合していない複 合体は上清中に留まる。 この方法は下記の諸性質を利用して細胞質複合体の極めて迅速な単離を可能と する: −この複合体はMg2+含有緩衝液中で凍結および融解することにより、核を溶解 することなくまたは界面活性剤を使用することなく、遊離される。 −この複合体はプロテイナーゼに対して安定であるが、細胞質器官や細胞質膜は 消化される。 −この複合体は極めて高い密度(約1.86g/cm3)を有し、塩勾配の助け をかりて染色体DNAや他の細胞質DNAから分離することができる。 −DNAタンパク質結合は高塩濃度に対して安定である。 この複合体は、いかなる形質転換細胞、殊に永続的に増殖するヒトまたは動物 の細胞の細胞質からも、または腫瘍細胞、殊に腫瘍の生検から得られる細胞から 得ることができる。形質転換細胞はある物質を添加することにより不死とされる 細胞であると考えられている。異なる種(例えば、ヒト、マウス、ラット)の永 続的増殖細胞や分化の程度の異なる細胞(繊維腫、骨髄腫、腹水細胞)はそのタ ンパク質および/またはDNA含量に関して異なる複合体を含む。本発明の複合 体は、従って、種および分化の程度に関して特異的である。無限増殖能および腫 瘍形成能を有する細胞を検出するために、試験すべき種と同一の種の細胞または 類似の細胞型から複合体を単離する。無限増殖を行うマウス繊維芽細胞/繊維腫 細胞またはマウス腹水腫瘍細胞を検出するためには、形質転 換されたマウスL細胞(L929細胞、ATCC CCL1)またはエールリッ ヒ腹水細胞(ATCC CCL77)のサイトプラストから記述された方法に従 って単離された複合体を使用するのが特に好ましい。他の組織または分化の程度 の異なる永続的に増殖する細胞の複合体を得るため、並びに他の種の細胞の複合 体を得るためには、所望の種および所望の分化の程度を持った他の腫瘍細胞株を 複合体を単離するための材料として使用することもできる。ヒト頚管腫瘍から対 応する複合体を得るときは、ヒト細胞株HeLa、またはBリンパ腫株およびB 細胞リンパ腫株BJABを使用するのが好ましい。さらに、例えば一次細胞と永 続的に増殖する細胞とサイトプラストと融合させることによる(EP-B-0 093 436 ,Abken et al.,J.Cell Biol.130 (1986) 795-805)またはこれらのサイトプ ラストのDNAでトランスフェクトすることによる(EP-B-0 256 512及びDE 42 18 945.4及びAbken et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.85 (1988) 468-472)実験 的不死化の結果として不死とされた永続的に増殖する細胞株を使用することも可 能である。 密度1.86g/cm3を有する細胞質DNA画分がホジキンリンパ腫細胞に 普通に存在することが実験により明らかにされている。このDNAもタンパク質 に結合している。この画分に含まれるDNA分子は50と500bpの間の長さ を有する。マウス腫瘍由来の細胞の場合と同様に、DNA分子はすべて直鎖状で ある。しかしながら、これらのDNA分 子はマウス腫瘍細胞のDNA分子とはハイブリダイズしない。このことは、本発 明による動物およびヒトのリンパ腫細胞は共に細胞質DNA配列を含むことを示 す。本発明に従って得られる画分は、結腸および乳房のガン腫のヒト腫瘍細胞や ヒト黒色腫にも見出すことができる。 これらの複合体からタンパク質および/またはDNAを単離し、そしてこれら を無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒトまたは動物の細胞を検出するために 利用することが可能である。 本発明のもう一つの主題は、従って、無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒ トまたは動物の細胞を検出するに適する、約52、62および/または64kD の分子量を有するタンパク質である。これらのタンパク質は、本発明の複合体を DNaseIで処理しそして約52、62および/または64kDの遊離される タンパク質をクロマトグラフ的手法または電気泳動的手法を用いて単離すること により得ることができる。 これらのタンパク質を単離するために、複合体をDNaseIで処理し、そし て消化された核酸をゲル濾過によりタンパク質から分離すると同時にタンパク質 をサイズにより分離する。マウスL細胞(L929)および/またはエールリッ ヒ腹水腫瘍細胞由来の複合体を用いるときは、52、62お よび64kDのサイズのタンパク質が得られる。これらのタンパク質は本発明の クローニングされたpLC108DNA(配列番号:1)と8mMのZn2+の存 在下で結合することができるという特徴を有する。エールリッヒ腹水細胞由来の タンパク質は8mMのNa+の存在下にクローニングされたpEFC38DNA (配列番号:29)と結合することができるという特徴を有する。これらのタン パク質の調製のためにはテンプレート−結合DNase、例えばセファロースに 共有結合しているDNaseを使用することが好ましい。 本発明のもう一つの主題は、無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒトまたは 動物の細胞の検出に適する抗体である。かかる抗体は、本発明の複合体またはタ ンパク質またはDNAを用いて動物を免疫化することにより得ることができる。 マウス(例えばMNRIまたはBALB/c株)またはウサギのような免疫化に 通常使用される動物はすべて使用することができ、また免疫化プロトコール(例 えば、ピータース(J.Peters)およびバウムガルテン(H.Baumgarten),Monoklon ale Antikoerper,Springer Verlag,2nd edition 1988)も使用することができ る。 本発明の複合体、DNAおよびタンパク質で免疫化すると、無限増殖能または 腫瘍形成能を有する細胞質細胞由来のタンパク質に特異的に結合するが正常な増 殖能を有する細胞由来のタンパク質には結合しない抗体が生成する。本発明に従 って抗体の助けをかりてこれらのタンパク質を検出するには、ELISA、蛍光 法、免疫試験、および競争的免疫試験のような熟練者にはすべて既知の方法の助 けをかりて達成することができる。 本発明の複合体のタンパク質部分に加えて、DNA部分も検出のために使用す ることができる。 本発明のもう一つの主題は、従って、無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒ トまたは動物の細胞を検出するのに適するDNAである。これは本発明の複合体 のDNAのクローニングまたは酵素的複製により得ることができる。 本発明の複合体のDNAは、複合体中ではこのDNAはタンパク質に強固に結 合しているので界面活性剤、プロテアーゼ、高塩濃度によっても、あるいは熱処 理によっても取り除くことはできないけれども、驚くべきことに、この複合体の DNAは単離されたDNAと同様にクローニングベクターに連結することができ 、または例えばPCRにより酵素的に増幅することができることが実験により明 らかにされた。このDNAは、複合体のDNAをpUC19のような普通のベク ターに連結し、E.coliHB101またはE.coliDH5αのような熟 練者に知られた宿主生物中でクローニングすることにより得ることができる。本 発明のDNA配列を含む組換えクローンを、ついで本発明の複合体とのハイブリ ダイゼーションにより同定し、そしてこのDNAを単離する。こうして、無限増 殖能を有する細胞の分子レベルでの同定に適する20個の組換えプラスミドクロ ーンをL929細胞(ATCC CCL1)から、そして25個の組換えプラス ミドクローンをエールリッヒ腹水細胞(ATCC CCL77)から得ることが できた。これらのDNA配列は配列表の配列番号:1〜45に掲げられている。 これらの配列を用いて、無限増殖能を有する対応する細胞を同定する目的で、異 なる分化の程度の他の細胞のまたは他の種の別の適当なDNA配列を検出するこ とが可能である。 配列番号:1および配列番号:29に示すDNA配列はヒト細胞または動物細 胞の不死化に適している(ドイツ国特許出願P4218945.4参照)。他の DNA配列はすべて(配列番号:2〜28および配列番号:30〜45)不死化 の効果を持たないが、無限増殖能または腫瘍細胞形成能を有するヒト細胞または 動物細胞を検出するのに適している。 本発明の好ましい主題は、従って、配列番号:2〜28または配列番号:30 〜45に示すDNA配列の一つまたはこれらの配列の一つとハイブリダイズする DNA配列の一つを含む本発明と一致するDNAである。 本発明の別の好ましい主題は配列番号:46〜61に示すDNA配列の一つを 含むまたはこれらの配列の一つ以上とハ イブリダイズするDNAである。配列番号:46〜58に示す核酸はHD428 ホジキン細胞のDNAに由来する。配列番号:59〜61の配列はMCF7細胞 (乳房ガン腫)のDNAクローンに由来する。 本発明の核酸はDNAであり得るが、RNAでもまた核酸アナログ、例えば糖 リン酸塩骨格がポリペプチド鎖で置換されたものであってもよい。核酸は2本鎖 であってもよいが、好ましくは1本鎖である。本発明はこれらの相補的配列をも 含む。好ましい態様では、本発明の核酸は少なくとも15のアミノ酸の配列を含 み、かつこの配列は下記の配列から取られた少なくとも15のアミノ酸からなる 群より選択されるものである: −配列番号:2〜28または30〜61の配列に含まれる配列、 −配列番号:1〜45、46〜58、または59〜61のうちの二つの配列を連 結することにより得られる配列、 −上記の二つのタイプと同じアミノ酸配列をコードする配列、 −上記の二つのタイプに特異的な配列の少なくとも70%、好ましくは90%以 上、特に好ましくは95%以上を特定配列内に含む配列。 核酸は16ヌクレオチドと100ヌクレオチドの間の長さが特に好ましい。こ れらは、長さにより、分子生物学的方法 または化学的/合成的方法の助けをかりて取得することができる。 驚くべきことに、これまでに試験されたDNA配列の大部分はコンセンサス配 列、NNAAANTNTNGAANTGTANNANTGNAA(配列番号:6 2)を含むことが実験により明らかにされた。 本発明の別の主題は、永続的に分裂することができるヒト細胞または動物細胞 の本発明に一致する複合体を単離し、ついでこの複合体のDNAをクローニング することによりまたはそれを酵素的に複製することにより、本発明に一致するD NAを取得する方法である。 本発明の別の好ましい主題は、本発明に一致するDNAを取得する方法である 。この方法では、本発明に一致するDNA配列を、配列番号:1〜61に示すD NA配列の一つとヒトまたは動物の細胞のゲノム遺伝子バンクまたはcDNAバ ンクとをハイブリダイズさせることにより同定し、ついでハイブリダイズするク ローン化DNAを既知の方法により遺伝子バンクから単離する。永続的に増殖す る腫瘍細胞の遺伝子バンクおよび正常な細胞または組織の遺伝子バンクを利用す ることが可能である。 本発明のもっと別の好ましい主題は、ヒト細胞または動物 細胞のDNAを本発明に一致するタンパク質に結合させることにより、本発明に 一致するDNAを取得する方法である。このタンパク質はニトロセルロースまた は他のキャリアー膜に結合させ、Zn2+またはNa+の存在下に(例えば、4℃ で30分間)インキュベートする。引続き、混合物を高塩濃度(例えば、0.1 %SDS、2×SSC)で充分に洗浄する。 本発明の別の好ましい主題は、ヒトまたは動物の細胞のDNA画分またはRN A画分を酵素的に複製することにより、本発明に一致するDNAを取得する方法 である。使用されるスターター分子は配列番号:1〜61に示す配列の一つとハ イブリダイズするオリゴヌクレオチド分子である。好ましいオリゴヌクレオチド のスターター分子は、20塩基対と30塩基対の間の長さを持つものである。ポ リメラーゼ連鎖反応(PCR)による所望のDNA配列の酵素的複製は、熟練者 に知られている方法(Mullis and Fallona,Meth.Enzymol.155 (1987) 335-350 ;Saiki et al.,Science 239 (1988) 487-491)に従って実施される。ヒトまた は動物の無限増殖細胞または正常な老化細胞のDNAまたはRNA調製物または 細胞溶解物と同様に両方の遺伝子バンクを利用することができる。 本発明の方法の別の変法には、配列番号:1〜61に示すDNA配列の一つま たはこのDNA配列の部分を含む、本発 明に一致するDNAの化学合成がある。合成は熟練者が通常使用するオリゴヌク レオチド合成法(F.Eckstein,ed.,Oligonucleotides and analogues:A pract ical approach,IRL Press at Oxford University press,Oxford (1991))に従 って実施される。市販のオリゴヌクレオチド合成機を使用することが好ましい。 本発明の別の主題は、試験すべき細胞の細胞質の無ミトコンドリア画分中にあ る本発明と一致する複合体を検出することにより、無限増殖能または腫瘍形成能 を有するヒトまたは動物の細胞を検出する方法である。限られた増殖能を持つ正 常細胞は細胞質のこの画分中にかかる複合体を含まないが、無限増殖を行う細胞 、例えば腫瘍細胞はこれらの複合体の数百コピーを含む。 本発明に一致する複合体は排出される。これらの複合体のDNA−タンパク質 −結合はタンパク質分解による消化に対しては極めて安定である。複合体は数週 間の期間にわたり細胞上清に検出することができる。 複合体は末梢血中、尿中、または複合体を検出し得る他の体液中にも含まれ得 る。 本発明の好ましい主題は、従って、本発明に一致する複合体を体液中に検出す ることによる、無限増殖能または腫瘍形 成能を有するヒト細胞または動物細胞を検出する方法である。 複合体はDNA含量またはゲル電気泳動を経て測定することができる。一方、 本発明に一致する複合体は陽性反応の測定のための標準として使用される。しか し、本発明の方法では、異なる種または異なる組織型の複合体間を識別すること はできない。しかし、このような特定の検出は本発明の抗体の助けをかりれば可 能である。 完全な抗体に加えて、軽鎖および重鎖(VLおよびVH)の特異的抗原認識領域 を含む抗体断片を使用することも可能である。これらの断片はタンパク質、糖、 またはセファロースのようなキャリアーに結合させることができ、または色素に 連結して融合産物を生成させることもできる。 かかる融合産物は、抗体の抗原認識領域VLおよびVHをコードする遺伝子配列 をファージの表面タンパク質やウイルスのキャプシドタンパク質のようなキャリ アー分子の遺伝子配列に融合させることにより取得するのが好ましい。このハイ ブリッド遺伝子は、ついでイン・ビトロで発現される。抗体のV領域をコードす る遺伝子配列を単離しクローニングする方法およびそれらを他の遺伝子のDNA 中に例えばg3pファージタンパク質の遺伝子配列中に挿入する方法およびかか る融合タンパク質を発現させる方法は熟練者に知られている (Orlandi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86 (1989):3833-3837;Chian g et al.,BioTechniques 7 (1989):360-366;Winter,G.,and Milstein,C. ,Nature 349 (1991):293-299)。ついで、融合産物(ファージまたはウイルス の表面上または単離された形での)は複合体検出において抗体と同様に使用する ことができる。 最後に、試験すべき細胞中の複合体も、これらの細胞のDNA画分を本発明に 一致するDNAとハイブリダイゼーションさせることにより検出することができ る。この方法の利点は異なる分化程度の細胞(繊維腫および/または腹水腫瘍) と異なる種の細胞の間をこれらのDNAプローブを用いて識別することが可能と なることである。 本発明の別の主題は、従って、ヒト細胞または動物細胞のDNA画分を本発明 のDNAとハイブリダイゼーションさせることにより、無限増殖能または腫瘍形 成能を有するヒト細胞または動物細胞を検出する方法である。 本発明の複合体を含む細胞質細胞画分は、DNA画分として使用することがで きる。しかしながら、試験すべき細胞の核の染色体DNAを使用することも可能 である。無限増殖能を有する細胞と比べると、正常な過渡的増殖性細胞の核染色 体DNAは、制限酵素消化および制限断片のサザーンブロット分析後に、本発明 に一致するDNA配列とハイブリダイズ させると、別のパターンのハイブリダイズする制限断片を有することが実験によ り明らかにされた。通常、このプローブとハイブリダイズする付加的な制限断片 が見つかれば、無限増殖能または腫瘍形成能を有する細胞の存在の証拠となる。 本発明に一致するDNA配列は、極めて高い感受性と特異性を示すので、これ らの試料はイン・サイチュで細胞や組織とハイブリダイゼーションさせるために も使用することができる。無限増殖能または腫瘍形成能を示す細胞だけが細胞質 中で標識化される。このイン・サイチュ・ハイブリダイゼーションには、イン・ ビトロで培養することができる細胞および細胞構成物質を複製するための培養操 作を必要としない生検で得られた細胞や生検の組織切片の両者を使用することが できる。 従って、本発明の別の好ましい主題は、ハイブリダイゼーションをイン・サイ チュ・ハイブリダイゼーションとして行う、本発明の方法の変法である。 さらに、この方法の感受性は、検出反応において試験すべき細胞から得た複合 体のDNAを酵素的に、殊に熟練者には既知の方法によりポリメラーゼ連鎖反応 の助けをかりて複製することによって増強される(Mullis and Fallona,Meth.E nzymol.155 (1987):335-350;Saiki et al.,Science 239 (1988),487-491) 。 本発明の好ましい主題は、従って、本発明のDNAとハイブリダイズするオリ ゴヌクレオチドの助けをかり、試験すべき細胞の溶解物またはこれらの細胞のD NA画分もしくはRNA画分から核酸を酵素的に複製する、本発明の方法の特殊 な態様である。 このような増幅は、DNAタンパク質結合が高温度(90℃で1時間)、高塩 濃度(例えば、6.9モル/リットルの塩化セシウム)に関して安定であり、ま たプロテイナーゼK消化(100μg/ml、60℃で1時間)に関して安定で あっても、可能である。 無限増殖能または腫瘍形成能を有する細胞を検出するための記載される方法は 、悪性腫瘍の検出に用いられる。この場合、ヒトまたは動物の生検細胞、組織切 片、または体液の細胞もしくは体液中に排泄された複合体が試料物質として用い られる。従って、記載される方法はこれらの細胞を検出するのに適している。さ らに、対応する修正を施せば、記載される細胞はこれらの細胞を単離するために も使用することができる。この操作において、単離操作の間で、ある画分中にあ る所望の細胞を同定するために記載される方法が特に用いられる。本発明と一致 する抗体を使用し、続いて蛍光活性化セルソーティング法(FACS)により細 胞を単離することが可能である。 以下の実施例並びに特に好ましいDNA配列を示す配列表により、本発明を詳 細に説明する。 実施例1 複合体の単離並びに無限増殖能または腫瘍形成能を有する細胞を検出するのに適 するこれらの複合体のDNAのクローニング 細胞質複合体は、L929マウス腫瘍繊維芽細胞(L929細胞、ATCC CCL1)およびエールリッヒ腹水細胞(EAZ、ATCC CCL77)から 単離する。まず、これらの細胞のサイトプラストをサイトカラシンB(50μg /ml)の助けをかりて既知の方法(Wigler and Weistein,Biochem.Biophys. Res.Comm.63 (1975) 669-674)により取得し、ついで凍結および融解を反復す ることにより溶解する。J.Biol.Chem.249 (1974) 7991-7995に従って、スク ロース勾配の助けをかりてサイトプラスト溶解物からミトコンドリアを分離する 。ミトコンドリアを含まない画分は、37℃で30分間RNaseA(20μg /ml)およびRNaseT1(1000U/ml)と共にインキュベートし、 続いてプロテイナーゼK(50μg/ml)と共に60℃で20〜60分間イン キュベートする。この混合物から、DNA単離のための既知の方法、例えばフェ ノール抽出またはクロロフォルム/イソアミルアルコール抽出により、複合体を 単離する。塩化セシウム勾配で約1.82〜1.89g/cm3の密度を持つ画 分をCsCl密度勾配により集積する(Sambrook et al.,Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory,2nd edition 1989)。この画分を10ミリモル/リットルのトリス −塩酸pH7.2および1ミリモルEDTAに対して透析しそして複合体をエタ ノールおよび酢酸ナトリウムで沈殿させる。 これらの複合体のDNAを単離するために、該複合体を10ミリモル/リット ルのトリス−塩酸、1ミリモルEDTA、pH7.2に対して透析する。ついで 、熟練者に既知の方法(Sambrook et al.,Molecular Cloning,Cold Spring Har bor Laboratory,2nd edition 1989)に従ってdNTPsの存在下にクレノウD NAポリメラーゼの助けをかりて該DNAを“補填反応”に付す。続いて、0〜 10Uのリガーゼの存在下にこれらをpUC19ベクター中に連結し、そして得 られる組換えプラスミドをE.coli中でクローニングする。この細菌中でプ ラスミドの複製が行われる間に、この組換えDNA分子の無タンパク質コピーが 産生される。 こうして、L929細胞(pLC)の細胞質複合体の独立のプラスミドクロー ンを数個およびエールリッヒ腹水細胞(pEFC)の対応する画分からプラスミ ド数個を取得することが可能である。これらは無限増殖能を有する新生形質転換 細胞の検出に適している(実施例2を見よ)。対応するDNA配列は配列番号: 1〜46に示されている。 実施例2 複合体を単離する簡便な方法 マウス腫瘍サイトプラスト株L929(ATCC CCL1)の細胞を50ミ リモル/リットルのトリス−塩酸pH7.2、10ミリモル/リットルEDTA 、および1.5ミリモル/リットル塩化マグネシウムの存在下に凍結および融解 を反復することにより溶解する。続いて6000gで30分間遠心分離すること により核を分離する。こうして得られた上清をプロテイナーゼK(100μg/ ml)と共に60℃で20分間インキュベートし、続いて塩化セシウム2段階勾 配上に置く。下方の画分(1ml)は約1.80g/cm3の密度を持ち、一方 上方の画分(1ml)は約1.70g/cm3の密度を持つ。150,000g で10時間遠心分離をした後、沈降物を10ミリモル/リットルのトリス−塩酸 pH7.2、1ミリモル/リットルEDTAの100μlに再懸濁し、この画分 中で得られるDNAの量を実施例1に記載されたように測定する。 実施例3 無限増殖能を有するヒト細胞または動物細胞の細胞質複合体を用いる検出 これらの細胞の溶解物中にある細胞質複合体の測定は無限 増殖能または腫瘍形成能を有するヒトまたは動物細胞を検出するために用いられ る。まず、これらの細胞のサイトプラストをサイトカラシンB(50μg/ml )を用いて既知の方法(Wigler and Weistein,Biochem.Biophys.Res.Comm.6 3 (1975) 669-674)により取得し、凍結および融解を反復して溶解する。スクロ ース勾配の助けをかりてサイトプラスト溶解物からミトコンドリアを分離する( J.Biol.Chem.249 (1974) 7991-7995)、そして無ミトコンドリア画分をRN aseA(20μg/ml)およびRNaseT1(1000U/ml)と共に インキュベートし、続いてプロテイナーゼK(50μg/ml)と共にインキュ ベートする。ついで、この混合物を既知の方法(Sambrook et al.,Molecular Cl oning,Cold Spring Harbor Laboratory,2nd edition 1989)により塩化セシウ ム密度勾配中、超遠心分離にかける。多分存在する複合体は約1.82〜1.8 9g/cm3の密度を持つ画分のDNA含量により測定する(結果は表1をみよ )。DNA含量は既知の方法(Sambrookら)によりエチジウムブロミドで処理す ることにより分光学的に測定される。 限られた寿命予測を有し培養では一定回数の細胞分裂しか起こさない(約15 〜20継代)正常マウス胚繊維芽細胞(MEF)では、細胞質のこれらの画分中 にDNAは検出されない。この分化段階では予定された細胞死の前にイン・ビボ およびイン・ビトロで3〜5回の細胞分裂しか受けないヒト末梢血のリンパ球( PBL)もまた、検出可能な細胞質複合 体を持っていない。悪性腫瘍の確立された株の細胞のような無限増殖能を有する 細胞は、しかしながら、対応する画分中に細胞質複合体を確かに含んでいる(表 1)。 実施例4 細胞質複合体をpLC108DNAプローブ(配列番号:1)とハイブリダイズ させることによる、細胞溶解物中における無限増殖能または腫瘍形成能を有する ヒトまたは動物細胞の検出 マウスの新生物的形質転換株L929(A)の細胞およびマウス1次胚繊維芽 細胞(MEF)(継代5回)(B)を50ミリモル/リットルのトリス−塩酸p H7.2、10ミリモル/リットルEDTA、および3ミリモル/リットル塩化 マグネシウムの存在下に凍結および融解を反復することにより溶解する。核酸を 6000gで20分間遠心分離することにより沈降させる。上清(細胞質溶解物 )をプロテイナーゼK(50μg/ml)と共に60℃で1時間インキュベート する。続いて、KCl(0.5モル/リットル)をその画分に添加しそして一連 の希釈について“ミニフォールド”装置を用いてBA85ニトロセルロース濾紙 (シュライヒャー&シュウエル社製)により濾過する。検出すべき複合体のDN Aタンパク質結合は高塩濃度に関して安定でありそして複合体中のタンパク質は プロテイナーゼにより消化されないので、複合体は(他のDNAタンパク質結合 と異なり)選ばれた条件の下で完全な形で留まり、濾紙上に保持される。ついで 、ニトロセルロース濾紙は20×SSCで2回洗浄し、120℃で15分間乾燥 する。無限増殖能を有するマウス繊維芽 細胞の複合体を検出するため、既知の方法に従い、厳格なハイブリダイゼーショ ン条件(55%ホルムアミド、1モル/リットルNaCl、1%SES、10% 硫酸デキストラン、100μg/mlのHering Sperma DNA)の下で配列番号 :1(pLC108)に示す配列の32P標識DNAを用いて42℃でハイブリダ イゼーションを行う(Sambrook et al.,Molecular Cloning,Cold Spring Harbo r Laboratory,2nd edition 1989)。 結果: (A)L929細胞の細胞質溶解物の試料は、該溶解物の希釈に依存して配列 番号:1に示す配列(LC108)のプローブとのハイブリダイゼーションシグ ナルを示す。 (B)マウス1次繊維芽細胞の細胞質溶解物(MEF)についてはハイブリダ イゼーションは起こらない。 実施例5 イン・サイチュ・ハイブリダイゼーションの助けを借りる無限増殖能または腫瘍 形成能を有するヒトおよび動物細胞の検出 L929マウス腫瘍細胞(ATCC CCL1)(A)およびマウス1次胚繊 維芽細胞(継代5回)(B)を顕微鏡スライドグラス上でDMEM培地に培養す る。両培養とも増殖する細胞を含む。L929細胞は無限増殖能を有するが、マ ウス1次繊維芽細胞は培養中約15〜20継代の後に増殖を停止しそして死滅す る。さらに、L929細胞の皮下注射によりC3Hマウス中で腫瘍が誘発される 。ついでこの腫瘍の凍結切片を得、顕微鏡のスライドグラス(C)上に置く。顕 微鏡スライドグラスをPBS(Dulbecco/Vogt,J.Exp.Med.99 (1954),167-1 82)で短時間2回洗浄し、そして200μlの中性パラホルムアルデヒド溶液( 5%)でコーティングし固定する。続いてエタノール(70%)で2回洗浄する 。無限増殖能を有する細胞を検出するために、配列番号:1に示す配列(pLC 108)に類似のオリゴヌクレオチド(プライマーA):5’GATCTTGA GTTTCCTCGTTGTAGGT3’(配列番号:1のヌクレオチド1〜2 5に相当する)を使用する。このオリゴヌクレオチド(100ピコモル)を、2 5Uのターミナルトランスフェラーゼ(ベーリンガーマンハイムGmbH、カタ ログ番号220582)を用いて20μlの反応緩衝液(20ミリモル/リット ルのカコジル酸カリウム、25ミリモル/リットルのトリス−塩酸,pH6.8 、5ミリモル/リットルの塩化コバルト、0.25mg/mlの牛血清アルブミ ン)中、ジゴキシゲニン標識ジデオキシUTP(DIG−11−ddUTP)( 1ナノモル)と共に37℃で20分間標識する。標識化オリ ゴヌクレオチドはついでP10カラム(ビオラド社製)上のゲル濾過によりフリ ーのDIG−ddUTPから分離する。ハイブリダイゼーションには、固定され た細胞または組織切片を乗せた顕微鏡スライドグラスを200μlのハイブリダ イゼーション溶液(50%脱イオン化ホルムアミド、4×SSC、10%硫酸デ キストラン、1×デンハルツ溶液、0.25mg/ml変性tRNA、0.5m g/ml変性hering sperm DNA)でコーティングする。ついで、スライドグ ラス上の溶液をカバーグラスで覆い、顕微鏡スライドグラスを多湿室にて42℃ で1時間インキュベートする。続いて、再びこの溶液を除き、細胞をDIG−d dUTP標識オリゴヌクレオチド(40μlハイブリダイゼーション溶液中の5 ngDNA)でコーティングしそして多湿室において42℃で一晩インキュベー トする。続いて、顕微鏡スライドグラスを2×SSC中42℃で20分間の洗浄 を2回行う。ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを検出するために、細胞を FITC結合抗DIG抗体(ベーリンガーマンハイムGmbH、カタログ番号1 207741)と共に室温で20分間インキュベートする。PBS中て2回洗浄 して未結合抗体を除去する。ついで調製物を蛍光顕微鏡を用いて470nmの波 長で評価する。 結果: (A)L929腫瘍細胞は細胞質中に蛍光の増加が見られ るが、核酸は全く蛍光を示さなかった。細胞質の核酸の付近のハイブリダイゼー ションシグナルの蓄積が殊に顕著である。対照実験(オリゴヌクレオチドの添加 なしでFITC抗DIG抗体と共にインキュベートする細胞の“擬ハイブリダイ ゼーション処理”)では、蛍光シグナルの生成はない。 (B)マウス一次胚繊維芽細胞(MEF)のハイブリダイゼーション処理後に は細胞は標識されない(細胞質にも核にも)。 (C)L929細胞により誘導される腫瘍の組織切片のハイブリダイゼーショ ン処理後には腫瘍細胞は細胞質中に蛍光が見られるが、周囲の(正常な)組織お よび皮下組織にはハイブリダイゼーションシグナルは全く見られない。対照実験 (オリゴヌクレオチドの添加なしでFITC抗DIG抗体と共にインキュベート する細胞の“擬ハイブリダイゼーション処理”)では、蛍光シグナルの発生は全 くない。腫瘍を発生させることができる、無限増殖能を有するL929細胞の細 胞質複合体は本発明のオリゴヌクレオチドサンプルとハイブリダイゼーションさ せることにより組織切片中で検出することもできる。こうして新生物的に形質転 換された細胞を組織切片中または生検中で検出することが可能である。 実施例6 無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒト細胞または動物細胞の染色体DNAの ハイブリダイゼーションによる検出 染色体DNAは、永続的に増殖する新生物的に形質転換されたL929繊維芽 細胞(ATCC CCL1)、エールリッヒ腹水腫瘍細胞(ATCC CCL7 7)、骨髄腫Ag8.653細胞(ATCC CRL1580)、永続的に増殖 するが腫瘍原性のない繊維芽細胞株NIH3T3(ATCC CRL6473) のWEHI164繊維肉腫細胞(ATCC CRL1751)および切り刻んだ マウス胚(タイプ12)をPBS中コラゲナーゼ(0.1U/ml)およびディ スパーゼ(0.8U/ml)と共に73℃で1時間インキュベートするという既 知の方法(Abken et al.,J.Cell Biol.103 (1986),795-805;Sambrook et a l.,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,2nd edition 1989) で得られたマウス一次胚繊維芽細胞(MEF)(継代6回)の細胞から単離され る。このDNAをHindIII で切断した後、電気泳動により分離し、サザンブ ロットでナイロン膜に移す。無限増殖能を有する細胞を検出した後、血液を配列 番号:29に示す配列(pEFC38)の32P標識DNAとハイブリダイズさせ る。 結果: 試験された細胞中のハイブリダイズする制限断片のサイズ はまちまちである(表2)。下記の特徴が確認される: 1.限られた寿命予想および増殖を有する細胞(例えば、MEF)は約3kbお よび約2.6kbのHindIII レーンを示す。 2.無限増殖能または腫瘍形成能を有する細胞(L929、EAZ、Ag8.6 53、WEHI164)または無限増殖能を有するが腫瘍形成能のない細胞(N IH3T3)はあるサイズを持った付加的なHindIII 制限断片のハイブリダ イゼーションシグナルを示す。3kbレーンはしばしば失われる。無限増殖細胞 のすべてに共通なことは、下記のサイズの一定の付加的なHindIII 制限断片 が出現することである:10kb、13kb、14.5kb、16.6kb、お よび21.1kb。配列番号:29に示すDNAプローブを使用するとき、これ らの付加的なハイブリダイズするレーンが出現すること、および/またはハイブ リダイズする3kbレーンが現れないことは、マウス細胞が無限増殖能を有する ことを示すものである。 実施例7 一定の細胞質のDNAタンパク質複合体のDNAを増幅することによる無限増殖 能を有するヒト細胞または動物細胞の検出 永続的に増殖するL929マウス繊維腫細胞は、LC108DNA(配列番号 :1)とハイブリダイズするDNAを含む細胞質のDNAタンパク質複合体を持 つ。しかしながら、エールリッヒ腹水腫瘍細胞のように分化の程度の異なるマウ ス腫瘍細胞は、EFC38DNA(配列番号:29)とハイブリダイズするがL C108DNAまたは配列番号:1〜20で与えられる配列のどれともハイブリ ダイズしないDNAを含む複合体を持つ。有限増殖能を有する腫瘍細胞L929 およびエールリッヒ腹水細胞とは反対に、マウス胚繊維芽細胞のような有限増殖 能を有する一次繊維芽細胞の細胞質中にはそのような複合体を検出することはで きない。ポリメラーゼ連鎖反応の助けをかりて、それぞれの複合体のDNAを特 異的に増幅することができ、こうして細胞混合物中における永続的に増殖する細 胞の存在を検出することが可能である。選択された実験条件の下で、これらの細 胞の分化の程度違いを識別すること、繊維腫と腹水細胞のいずれかを同定するこ とも可能である。 マウス一次胚繊維芽細胞(継代6回)、L929(ATC C CL1)およびエールリッヒ腹水(ATCC CL77)の新生物的形質転 換マウス細胞、またはこれらの細胞の混合物の104細胞を5μlのPBS中に 再懸濁する、ついで15μlの水を添加し、この混合物を直ちに−20℃で凍結 させた後95℃で10分間加熱する。ついで、試料をプロテイナーゼK(500 μg/ml)の存在下に55℃で1時間インキュベートし、続いて再度95℃で 10分間加熱する。下記の反応混合液を添加し既知の方法(Mullis and Fallona ,Meth.Enzymol.155 (1987) 335-350;Saiki et al.,Science 239 (1988) 48 7-491)に従いPCR法を用いて細胞質のDNAタンパク質複合体のDNAを増幅 する: 10×Taq緩衝液(200ミリモル/リットルのトリス−塩酸,pH8.4、 250ミリモル/リットルのKCl、0.5%トゥイーン20、1mg/mlの BSA)3μl; 100ミリモル/リットルMgCl20.5μl; dNTP溶液(2ミリモル/リットルdATP、2ミリモル/リットルdCTP 、2ミリモル/リットルdGTP、2ミリモル/リットルdTTP)1μl; 1UのTaqポリメラーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)細胞質のDNAタン パク質複合体の、LC108に相同的なDNAの増幅のためのプライマーオリゴ ヌクレオチドAおよびBおよび/またはEFC38に相同的なDNAの増幅のた めのプライマーオリゴヌクレオチドCおよびDの100ng。 プライマーオリゴヌクレオチド配列(プライマー)は、配列番号:1および配 列番号:29に示すDNA配列の部分配列である。 プライマーA:5’GATCTTGAGTTTCCTCGTTGTAGGT3’ (配列番号:1のヌクレオチド1〜25) プライマーB:5’GATCCAAAGCCCTCTGCTGGCCTCC3’ (配列番号:1のヌクレオチド203−179に相補的) プライマーC:5’GATCCAATCAGCTCAGCCACCCCCA3’ (配列番号:29のヌクレオチド1〜25) プライマーD:5’AAAACCAGGCCCTCCCACATG3’ (配列番号:2のヌクレオチド372−352に相補的) ついで、下記の温度条件で30サイクル行う: 1.1×〔95℃2分〕 2.30×〔55℃30秒、72℃90秒、95℃60秒〕 3.1×〔72℃15分〕 このように増幅された細胞質複合体のDNAは、アガロースゲル(1%)中で電 気泳動的に分離されそしてエチジウムブロミドとインキュベートした後UV光で 可視化される。 結果: プライマーAおよびBの助けをかりLC108に相同的な複合体のDNAを増 幅すると、永続的に増殖するL929細胞を用いると、増幅されたDNA(20 3bp)が生成するが、MEFまたはエールリッヒ腹水細胞を用いると生成しな い。エールリッヒ腹水細胞の溶解物中でEFC38に相同的なDNAを増幅する と、増幅されたDNA(372bp)が生成するが、L929細胞のMEFの試 料中では生成しない(表3)。104個のマウス胚繊維芽細胞(MEF)中でL 929細胞またはエールリッヒ腹水細胞の反応混合物を使用すると、限られた増 殖能を有する正常なマウス繊維芽細胞104個の中で無限増殖能を有する細胞( L929、EAZ)をこの実験条件設定により検出することが可能であることが 明らかになる。プライマー対(A、BまたはC、D)の選択により、細胞混合物 中のこれらの悪性腫瘍細胞(繊維腫〔L929〕または腹水〔EAZ〕細胞)の 分化の程度を決定することも可能である。 実施例8 細胞質複合体のDNAの競争的PCR増幅による細胞混合物中の無限増殖能を有 するヒト細胞または動物細胞の数の検出 ここに述べる実験構成を用いて、限られた増殖能を有する正常な老化前の細胞 の混合物中にある無限増殖能を有しかつ一定の分化の程度にある細胞の数を(近 似的に)測定することが可能である。細胞質複合体のDNAを、特異的プライマ ーオリゴヌクレオチドを用いてPCR反応で増幅する。(検出すべき)特定DN Aを既知の競争するDNAの一定量と競争させる。PCR反応はDIG−dUT Pの存在下で行われるという事実を利用して、増幅されるDNAを修飾ヌクレオ チドで標識する。検出されるべき複合体の増幅されたDNAを、ついで1本鎖相 同捕捉プローブにハイブリダイズさせることにより結合させ、そして結合したD IG標識DNAの量を抗DIG ELISAテストにより測定する。この方法は 、この目的のために作成されたマイクロタイタープレート上で実験操作が行われ るように設計される。 1.細胞溶解物の調製 マウス一次胚繊維芽細胞(MEF)と検出すべきエールリッヒ腹水細胞をその 濃度が増加するように含むエールリッヒ腹水細胞(EAZ)との細胞混合物(総 量105細胞)を5 0ミリモル/リットルのトリス−塩酸,pH7.2、10ミリモル/リットルの EDTA、3ミリモル/リットルのMgCl2の100μl中に取り、そして細 胞を反復凍結・融解により溶解する。6000gで10分遠心分離することによ り核を沈降させ、上清にプロテイナーゼK(50μg/ml)を添加し、そして 55℃で1時間インキュベートする。続いて、95℃で10分間加熱してこのプ ロテイナーゼを失活させる。 2.特異的捕捉プローブの調製 配列番号:29に示す配列の部分配列(372bp)を含む捕捉プローブRN Aを用いてエールリッヒ腹水細胞の検出を行う。DNA配列(配列番号:29に 示す配列の塩基対26から塩基対350まで)を既知の方法(Sambrook et al., Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,2nd edition,1989)によ りSP6ベクター、例えばpSPT18中にクローニングする。SP6−RNA ポリメラーゼを用い、1本鎖RNA試料を調製し、好ましくはテンプレート−結 合DNaseI(無RAaseのもの)を用いて、既知の方法(Dunn and Studi er,J.Mol.Biol.166:477,1983;Kassavetis et al.,J.Biol.Chem.257:5 779,1982)により精製する。ビオチンUTPおよびRNAリガーゼを用いて該 RNAを末端で標識し、そして取り込まれなかったビオチンUTPをセファデッ クスG50カラム(ビオラド社製)上の ゲル濾過により除去する。ビオチンEFC38(26〜346)捕捉プローブは 、これでストレプトアビジン−コーティング化マイクロタイタープレートに結合 させるのに使用可能である。 3.マイクロタイタープレートのコーティング ELISAテストに適する96穴マイクロタイタープレートの底をストレプト アビジンでコーティングし、洗浄しそして乾燥する。続いて、ビオチン−標識化 捕捉プローブ〔500ngビオチンEFC38(26〜246)〕を100μl TE緩衝液(10ミリモル/リットルのトリス−塩酸,pH7.5、1ミリモル /リットルEDTA)に添加し、37℃で1時間インキュベートする。マイクロ タイタープレート上で捕捉プローブはビオチンを介してストレプトアビジンに結 合する。続いて、マイクロタイタープレートの穴をTE緩衝液で数回洗浄する。 4.EFC38−PCR競争プローブの調製 PCR法を用いる競争的(定量的)増幅には、測定すべきDNAと特異的オリ ゴヌクレオチドプライマーに対する結合を競うDNAを必要とする。これを実施 するために、配列番号:29に示すDNAが有するような372bpの長さの2 本鎖競争DNAを調製する。塩基対1〜25および塩基対3 51〜372は配列番号:29に示すDNAと同一である。塩基対26〜350 は、しかし配列番号:29に示すDNAと同一ではなく、通常のオリゴヌクレオ チド合成装置を用いて得られうるランダムなDNA配列を示す。 5.EFC38に相同的なDNAタンパク質複合体のDNAの競争的PCR 測定すべきEFC38に相同的なDNAを増幅するために下記のPCR反応混 合物を細胞溶解物(100μl)(1で調製)に添加する: 10×Taq緩衝液(200ミリモル/リットルのトリス−塩酸,pH8.4、 250ミリモル/リットルKCl、0.5%トゥィーン20、1mg/mlのB SA)の12μl; 100ミリモル/リットルMgCl2の1.5μl; DIG−dNTP溶液(2ミリモル/リットルdATP、2ミリモル/リットル dCTP、2ミリモル/リットルdGTP、2ミリモル/リットルdTTP、0 .7ミリモル/リットルDIG−dUTP)(ベーリンガーマンハイム社製)の 2.5μl; Taqポリメラーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)の2Uプライマーオリゴヌ クレオチドCおよびDの各100ng(実施例7参照); 下記の温度条件で30サイクルを実施する: 1.1×〔95℃で5分〕 2.30×〔55℃で30秒、72℃で90秒、95℃で60秒〕 3.1×〔72℃で15分〕 続いて、この試料を95℃まで10分間加熱し、75℃に冷却し、ついで予め 加熱したマイクロタイタープレートに添加しそして徐々に(2℃/分)室温まで 冷却する。 6.増幅されたDNAの定量 マイクロタイタープレートの穴を500μlのPBSを用いて数回洗い、抗D IG抗体およびペルオキシダーゼ結合Fab断片(PBS中150mU/ml、 0.5mg/mlの牛血清アルブミン)(ベーリンガーマンハイム社製)と共に 37℃で1時間インキュベートする。穴をPBSで2回洗い、ついで200μl のABTS基質(ペルオシキダーゼ基質溶液)と共に室温で1時間インキュベー トする。吸光度はマイクロプレートリーダーを用いて405nmの波長で穴の中 で測定する。吸光度は複合体からPCR増幅されたDNAの量に比例する。従っ て、細胞混合物中のエールリッヒ腹水細胞の量に直接比例する。 実施例9 無限増殖能を有する細胞が排出する複合体の定量的検出 無限増殖能を有する細胞は細胞質の複合体を排出する。これらの排出された複 合体の検出は、従って、無限増殖能を有する細胞、殊に腫瘍細胞の検出に使用す ることができる。本実施例はエールリッヒ腹水細胞の排出する複合体が無細胞培 養上清中で測定され得ることを明らかにする。この方法は複合体の特異的測定を 行うことによりさまざまな分化程度の腫瘍細胞を識別することを可能とする。 1.無細胞培養上清の調製 エールリッヒ腹水細胞およびマウス一次胚繊維芽細胞をトランスウエルズTMプ レート(コスター、ケムブリッジ、MA)中で培養する。このプレートでは、下 室内で細胞を増殖させ、一方培養上清は孔(直径0.3μm)を有する膜により 細胞から分離される、ついでこの上清は上室で回収することができる。排出され る複合体は無細胞の上室中に拡散する。104、105、および106個の細胞を 3mlの培地中に置き、2日後に無細胞培養上清(100μl)を上室から得る 。プロテイナーゼK(50μg/ml)を上清に添加し、55℃で1時間インキ ュベートする。引き続きこのプローブを95℃まで10分間加熱してプロテイナ ーゼを失活させる。 2.マイクロタイタープレート、“捕捉プローブ”および競 争的DNAの調製 ELISAマイクロタイタープレートをストレプトアビジンでコーティングし 、そしてビオチン化捕捉プローブを調製する手順は既に実施例8に記述してある 。使用するDNA配列も実施例8のものである。競争的DNAも実施例8に記述 した用に調製する。 3.測定すべき複合体のDNAの競争的PCRによる増幅 培養上清をコーティングされたマイクロタイター穴に添加し、そして実施例8 に記載したPCR反応混合物も添加する。DIG−dUTPの存在下にこれも実 施例8に記載したよ 間加熱しそしてゆっくり室温まで冷却する(2℃/分)。 4.増幅されたDNAの測定 マイクロタイタープレートの穴を500μlのPBSを用いて数回洗い、そし て抗DIG抗体、アルカリホスファターゼを結合させたFab断片(PBS中2 0μg/ml、0.5mg/ml牛アルブミン)(ベーリンガーマンハイム社製 )と共に37℃で1時間インキュベートする。ついで、穴を各回500μlで2 回洗浄する。NADPHを添加し、抗DIG抗体に結合したアルカリホスファタ ーゼにより反応させ てNADHを生成させる。アルコールデヒドロゲナーゼおよ o社製)を用い、NADHを今度は酵素ダイアホラーゼにより反応させてINT の添加後にNAD+とフォルマザンを形成させる。エタノールの添加後にアルコ ールデヒドロゲナーゼはNAD+と反応して酸アルデヒドとNADHに変換し、 NADHは今度はジアホラーゼ酵素による反応に利用される。これらのサイクル の各回において1分子のフォルマザンが形成される。このようにして生成した色 素の吸光度は、マイクロプレートリーダーを用いて492nmで測定される。 DIG−dUTPの存在下にPCR法を用いる測定すべき複合体のDNAの競 争的増幅およびアルカリホスファターゼの結合した抗DIG抗体を用いる増幅さ れたDNAの検出並びにその後の酵素サイクルでのシグナルの増幅により、細胞 により排出される複合体の極めて高感度な検出が可能となる。測定される吸光度 は、排出される複合体を鋳型にPCR増幅されたDIG標識DNAの量に比例し 、そして拡散室培養で用いられるエールリッヒ腹水細胞の量に直接比例する。 実施例10 ホジキンリンパ腫細胞の検出のためのDNAタンパク質複合体の単離 ヒトホジキン株HD540(L540)およびHD428(L428)(ディ ール(Diehl)ら、Cancer Treat.Rev.66,615-632 (1982))の細胞はマシェロー ダー ヴェーク1b、D−38124 ブラウンシュバイヒにあるドイツ微生物 および細胞培養保存機関(DSM)に1994年6月29日に寄託番号DSMA CC2177(HD540)として寄託された。またDSMの公的保存株から番 号DSMACC197(L428)として得ることができる。該細胞を50ミリ モル/リットルのトリス,pH7.2、10ミリモル/リットルのEDTA、お よび1.5ミリモル/リットルのMgCl2の存在下に凍結および融解を繰り返 すことにより溶解し、ついで核を6000g30分間の遠心分離により分離する 。こうして得られる上清をプロテイナーゼK(100μg/ml)と共に60℃ で20分間インキュベートし、引き続き塩化セシウムの2段階勾配上に置く。下 層の画分(1ml)は約1.80g/cm3の密度を有し、上層の画分(1ml )は約1.70g/cm3の密度を有する。150,000gで10時間遠心分 離した後、沈降物を100ミリモル/リットルのトリス−塩酸,pH7.2およ び1ミリモル/リットルのEDTAの100μl中に再懸濁しそして10ミリモ ル/リットルのトリス−塩酸および1ミリモル/リットルのEDTA,pH7. 2に対して透析する。こうして得られるこの画分中のDNAの量を実施例1に記 載したように測定する。 ついで、DNAを熟練者に知られた方法(Sambrook et al.,Molecular Clonin g,Cold Spring Harbor Laboratory,2nd edition 1989)に従ってdNTPの存 在下にクレノウDNAポリメラーゼを用いて“補填反応”に付した後、10Uの リガーゼの存在下にpUC19ベクターに連結する。得られる組換えプラスミド をE.coliにクローニングする。ついでこの細菌中でプラスミドの複製の間 にこの組換えDNA分子の無蛋白コピーを生産する。 こうして、ヒトホジキン細胞(pHD540,pHD420)の細胞質複合体 の独立のプラスミドクローン数個を得ることが可能である。これらのプラスミド クローンの挿入DNAは、実施例3〜9を同様に適用すると、ホジキンリンパ腫 の新生物的形質転換細胞の検出に適している。使用されるDNA配列は配列番号 :45〜58に示すものである。 これらの配列はマウス細胞中に見出される配列とはハイブリダイズしない。 実施例11 マウス腫瘍細胞を検出するための細胞質DNAタンパク質複合体に対するウサギ ポリクローナル血清の使用 マウスの腫瘍細胞は細胞質DNAタンパク質複合体に特異的 な抗血清を用いて検出すべきである。これを行うためには、これらの細胞のタン パク質溶解物を調製し、電気泳動的に分離し、そしてキャリアー膜に適用し、そ してウエスターンブロットにおいてウサギの特異的抗血清と共にインキュベート する。結合したウサギの抗体を2次的抗ウサギ抗体を用い化学発光反応により検 出する。 手順 1.抗血清を取得する DNAタンパク質複合体(マウスL929細胞の細胞質から単離したもの) を用いて3週間の間隔で3回皮下注射してウサギを免疫化した。続いて血清を取 得した。 2.タンパク質溶解物を取得する L929細胞(マウス腫瘍細胞)およびMEF(マウス正常胚繊維芽細胞)を 50ミリモル/リットルのトリス,pH7.2、10ミリモル/リットルのED TA、3ミリモル/リットルのMgCl2、0.3%のNP40の存在下に溶解 した。細胞断片、核および膜を8000g、2分間の遠心分離で分離した。上清 (タンパク質画分)を−20℃で貯蔵する。 3.ウエスターンブロットおよび検出反応 L929細胞およびMEF(約105細胞に相当)並びに(陽性対照として) 単離されたDNAタンパク質複合体(1μg)をSDSの存在下に変性させる、 ついでそれらをSDSポリアクリルアミドゲル中で電気泳動的に分離し熟練者に 既知の方法(E.Harlow,Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratories,CSH P ress)に従ってニトロセルロース膜上に電気泳動的に移す。この膜をTBS(2 0mMトリス、137mMのNaCl、pH7.6)中で1時間インキュベート し、3%(V/V)トゥィーン20、5%(w/v)乾燥ミルク粉末中で1時間 インキュベートし、続いてウサギ抗血清(1:5000)を添加し、そして混合 物を再び1時間インキュベートする。膜をTBSおよび3%トゥィーン20中で 洗い、ついでヤギ抗ウサギ抗体(HRPO−標識化したもの)(1:5000) 中でインキュベートする。 混合物を再度洗い、検出溶液(ELC,アマシャム,RPN2106、210 8、および2109)を添加しそしてオートラジオグラフィーを行う。 結果: L929腫瘍細胞のタンパク質溶解物由来の抗血清を約36kD、52kD、 62kD、64kDの分子量のタンパク質および>150kDのタンパク質アグ リゲートと反応させ る。分子量52kD、62kD、64kDのタンパク質も抗血清との反応により 腫瘍細胞(陽性対照)由来の単離されたDNAタンパク質複合体中に見出される 。36kDのレーンはタンパク質消化産物の可能性が高い。 MEF正常細胞のタンパク質溶解物中では、抗血清との特異的な反応はみられ ない。>150kDのタンパク質アグリゲートとの僅かな反応は抗血清の非特異 的結合であると思われる。 実施例12 乳癌由来のDNAタンパク質複合体の単離 実施例10で記載された手順と同様に、DNAタンパク質複合体を乳癌のMC F7細胞株から取得する。核酸の一部の配列を決定する。この中には配列番号: 59〜61が含まれる。これらの配列は、本発明に一致する複合体を含む乳癌細 胞を同定し単離するためのプローブとして使用することができる。これらの核酸 をイン・ビトロまたはイン・ビボで複製した後、これらの複合体のこのDNAの 全塩基配列を決定することができる。これまでに見出された配列はホジキン細胞 またはマウス細胞中に見出される配列とハイブリダイズしない。本発明の別の主 題は該複合体の全配列の部分である核酸および上記のそれらの機能的均等物でも ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI G01N 33/53 8310−2J G01N 33/53 M 8310−2J D (72)発明者 ユングファー,ヘルベルト ドイツ連邦共和国 スタンベルク デー― 82319 フェルディナンド―マリア―シュ トラーセ 14

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒトまたは動物の細胞の検出に適する DNA−タンパク質−複合体であって、ヒトまたは動物の形質転換細胞の細胞質 の約1.82−1.89g/cm3の密度の無ミトコンドリア画分を単離しそし てフェノール抽出およびエタノール沈殿によりこの画分から複合体を単離するこ とによって得ることができるDNA−タンパク質−複合体。 2.無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒトまたは動物の細胞の検出に適する タンパク質であって、請求項1記載の複合体をDNaseIで処理しそして遊離 されるタンパク質をクロマトグラフィーにより単離することによって得ることが できるタンパク質。 3.52kDの分子量を有する請求項2記載のタンパク質。 4.62kDの分子量を有する請求項2記載のタンパク質。 5.64kDの分子量を有する請求項2記載のタンパク質。 6.無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒトまたは動物の細胞の検出に適する 抗体であって、請求項1記載のDNA−タンパク質−複合体、請求項2〜5いず れかに記載のタンパ ク質または請求項7または8記載のDNAで動物を免疫することによって得るこ とができる抗体。 7.無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒトまたは動物の細胞の検出に適する DNAであって、請求項1記載の複合体のDNAをクローニングによりまたは酵 素的に複製することによって得ることができるDNA。 8.配列番号:2〜28または配列番号:30〜61に示されるDNA配列の1 つを含む、またはこれらの配列の1つとハイブリダイズする、請求項7記載のD NA。 9.ヒトまたは動物の形質転換細胞から請求項1記載のDNA−タンパク質−複 合体を単離しそしてこのDNA−タンパク質−複合体のDNAをクローニングし または酵素的に複製することにより、請求項7または8のいずれかに記載のDN Aを得る方法。 10.ヒト細胞または動物細胞のゲノム遺伝子バンクまたはcDNAバンクを配 列番号:1〜61に示すDNA配列とハイブリダイズさせそしてハイブリダイズ するDNAを単離することによる、請求項7または8のいずれかに記載のDNA を得る方法。 11.亜鉛イオンまたはナトリウムイオンの存在下に、ヒト 細胞または動物細胞のDNAを請求項2〜5いずれかに記載のタンパク質と結合 させることにより、請求項7または8いずれかに記載のDNAを得る方法。 12.配列番号:1〜61に示す配列の部分に相同的なまたはこれらの配列の部 分であるオリゴヌクレオチドスターター分子を用いてヒト細胞または動物細胞の DNA画分またはRNA画分を酵素的に複製することにより、請求項7または8 いずれか記載のDNAを得る方法。 13.配列番号:1〜61に示す配列の1つまたはこのDNA配列の部分を化学 的に合成することにより、請求項7または8いずれか記載のDNAを得る方法。 14.請求項1記載の複合体をDNaseIで処理しそして遊離するタンパク質 をそのサイズによりクロマトグラフ的にまたは電気泳動的に分離することを特徴 とする、請求項2〜5いずれかに記載のタンパク質を得る方法。 15.細胞質の密度1.82−1.89g/cm3の無ミトコンドリア画分中に おいて請求項1記載の複合体を測定することを特徴とする、無限増殖能または腫 瘍形成能を有するヒト細胞または動物細胞を検出する方法。 16.請求項6記載の抗体が抗原認識反応に用いられること を特徴とする請求項15記載の方法。 17.試験すべき細胞のDNA画分を請求項7または8いずれかに記載のDNA とハイブリダイズさせることにより、無限増殖能または腫瘍形成能を有するヒト 細胞または動物細胞を検出する方法。 18.該ハイブリダイゼーションがイン・サイチゥ・ハイブリダイゼーションと して行われることを特徴とする、請求項17記載の方法。 19.請求項7または8いずれかに記載のDNAとハイブリダイズするオリゴヌ クレオチドを用いて、細胞の溶解物からまたはこれらの細胞のDNA画分または RNA画分から核酸を酵素的に複製することを特徴とする、請求項17記載の方 法。 20.悪性腫瘍の検出を目的とする請求項15〜19いずれか記載の方法の使用 であって、ヒトまたは動物の生検細胞、組織切片または体液の排出複合体の細胞 が試料物質として用いられものである使用。
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