JPH0948990A - 冷凍サイクル - Google Patents

冷凍サイクル

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JPH0948990A
JPH0948990A JP8150285A JP15028596A JPH0948990A JP H0948990 A JPH0948990 A JP H0948990A JP 8150285 A JP8150285 A JP 8150285A JP 15028596 A JP15028596 A JP 15028596A JP H0948990 A JPH0948990 A JP H0948990A
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JP
Japan
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refrigerant
compound
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glycidyl
acid
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JP8150285A
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English (en)
Inventor
Narihiro Sato
成広 佐藤
Tetsuji Kawakami
哲司 川上
Yusuke Ozaki
祐介 尾崎
Keizo Nakajima
啓造 中島
Katsuya Wakita
克也 脇田
Nobuo Sonoda
信雄 園田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間に渡ってより一層安定的に動作可能な、
ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒とエステル冷凍機
油とを作動媒体とする冷凍サイクルを提供すること。 【解決手段】ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧
縮する冷凍圧縮機1と冷媒を凝縮させる凝縮器2と、冷
媒を蒸発させる蒸発器4と冷媒を膨張させるキャピラリ
3とを備え、冷媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイクル
の作動媒体とし、特定の化合物成形体が、酸捕捉部材と
して作動媒体の流路中に配置されている冷凍サイクルで
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイドロフルオロ
カーボンを含む冷媒とエステル冷凍機油とを作動媒体と
する冷凍サイクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、冷凍機、冷蔵庫、空調機などに
は、冷媒としてフッ素と塩素を含むフロン、例えばクロ
ロフルオロカーボン(CFC)であるR11(トリクロ
ロモノフルオロメタン)やR12(ジクロロジフルオロ
メタン)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCF
C)であるR22(モノクロロジフルオロメタン)など
が使用されてきた。しかしながら、この種のフロン化合
物は、大気中に放出された場合に、そのほとんどが分解
されず、成層圏のオゾン層を破壊し、生体系に悪影響を
及ぼすとして国際的に使用が規制されつつある。そのた
め、これら塩素を含まない代替フロン物質の検討が広く
なされている。
【0003】これらCFC、HCFCの代替物質とし
て、塩素原子を含まないハイドロフルオロカーボン(H
FC)が使用されるようになった。しかしながらこれら
HFCを冷媒として用いる冷凍サイクルでは、冷媒との
相溶性の観点から、ポリアルキレングルコール(PA
G)類やエステル類などの極性を有する冷凍機油を用い
る必要がある。そして冷媒のHFC自体も極性が高いた
めに、冷媒と冷凍機油からなる作動媒体自体が非常に吸
水性が高い。
【0004】特開平4-122792号公報では、冷凍機油の劣
化を抑制するためにイオン交換樹脂またはエポキシ化合
物を装備した冷凍サイクルが提案されている。
【0005】冷凍機油としては、基油の安定性を確保す
るために色々な酸・水分捕捉剤を添加する方法が提案さ
れている(潤滑油100重量部にエポキシ含有フッ素含
有ポリシロキサンを添加する特開平4-36387号公報、2
または3価のポリオールグリシジルエーテルを含むPA
G系冷凍機油の特開平4-55498号公報、エステル油とア
ルキルベンゼンまたは鉱油とも混合物にジまたはポリグ
リシジルエーテル化合物を配合した冷凍機油組成物の特
開平5-17792号公報、エポキシ含有ポリシロキサンを配
合した潤滑油組成物の特開平1-193393号公報、脂環式エ
ポキシ化合物を0.05-15重量部配合した特開平5-105896
号公報、ポリオールエステルにエポキシシクロヘキシル
(またはペンチル)基を有する化合物を配合した冷凍機
作動流体用組成物の特開平5-209171号公報、エステル油
にグリジジルエーテル型エポキシ化合物を添加した冷凍
機作動流体用組成物の特開平6-1970号公報、炭素数1〜
4のアルキル基2個で2位が置換されたエチル−グリシ
ジルエーテルであるエポキシ化合物を配合した冷凍機油
の特開平6- 88087号公報、基油にリモネンオキサイド、
α-ピネンオキサイド、L-カルボンオキサイドからなる
群より選ばれたエポキシ化合物を配合した冷凍機油の特
開平6-240279号公報、ポリエーテルに芳香族モノ、ジカ
ルボン酸グリシジルまたはエポキシシクロアルキル基含
有化合物を添加した冷凍機油の特開平6-240277号公報、
基油に水素またはC1〜20のアルキル基ならびにC4〜20
のヒドロキシアルキル基でα、β位置が置換されたエチ
レンオキシドを配合した冷凍機油の特開平6-240278号公
報、エステルまたはエステルと鉱油または合成油との混
合物にグリシジルアミン化合物を配合した冷凍機用潤滑
油の特開平6-287585号公報、ポリエーテル油にエポキシ
化合物を添加した冷凍機油の特開平6-336594号公報、ポ
リオールエステルにエポキシシクロヘキシル基またはエ
ポキシシクロペンチル基を有する化合物を配合した冷凍
機油の特開平6-293893号公報、カルボジイミド化合物を
配合した冷凍機油を提案した「エステルの加水分解と酸
捕捉剤に関する研究」(日本トライボロジー学会トライ
ボロジー会議予稿集第469〜472頁、1994年)など)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したイオン交換樹
脂を装備した冷凍サイクルでは、アニオン交換樹脂を使
用すれば有機酸、無機酸を捕捉することができる。しか
しながら、その一方で、イオン交換樹脂が塩基性のため
にポリオールエステル油の加水分解が加速されて、酸捕
捉能力を上回る酸成分が発生するという課題があった。
【0007】また、エポキシ化合物を装備した冷凍サイ
クルでは有機酸、無機酸を捕捉することができるが、そ
の配置形態によっては酸捕捉能力が十分ではなかった。
即ち、冷凍サイクルを長時間運転した場合、エステル油
の加水分解生成物、即ち有機酸が増加し、結果的に有機
酸金属塩の生成が促進され、これら生成物によりキャピ
ラリなどでの閉塞されるという課題があった。
【0008】一方、冷凍機油に酸・水分捕捉剤を添加し
た場合には、添加された酸・水分捕捉剤が、エステル油
の加水分解によって生成される有機酸を捕捉するので、
有機酸金属塩の生成を抑制できる。しかしながら、添加
された酸・水分捕捉剤は、酸を捕捉すると同時にその副
反応として重合反応を起こすことが多く、結果的に分子
量の大きな重合物によるキャピラリ閉塞などを招くとい
う課題があった。
【0009】本発明は、これら従来の課題を考慮し、長
期間に渡ってより一層安定的に動作可能な、ハイドロフ
ルオロカーボンを含む冷媒とエステル冷凍機油とを作動
媒体とする冷凍サイクルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧縮する冷
凍圧縮機と、前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記冷媒
を蒸発させる蒸発器と、前記冷媒を膨張させる膨張手段
とを備え、前記冷媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイク
ルの作動媒体とし、グリシジル基又はカルボジイミド基
を有する化合物成形体が、酸捕捉部材として前記作動媒
体の流路中に配置されている冷凍サイクルである。
【0011】請求項2記載の本発明は、前記化合物成形
体が前記グリシジル基を有する場合、その化合物成形体
はグリシジル基を側鎖に有する高分子化合物の成形体で
ある請求項1記載の冷凍サイクルである。
【0012】請求項3記載の本発明は、前記高分子化合
物は、重合単位としてグリシジルオキシ基で置換された
重合性単量体を含有する重合体である請求項2記載の冷
凍サイクルである。
【0013】請求項4記載の本発明は、前記グリシジル
オキシ基で置換された重合性単量体が、グリシジルオキ
シスチレン、グリシジルビニルエーテル、グリシジルア
クリレート、又はグリシジルメタクリレートである請求
項3記載の冷凍サイクルである。
【0014】請求項5記載の本発明は、ハイドロフルオ
ロカーボンを含む冷媒を圧縮する冷凍圧縮機と、前記冷
媒を凝縮させる凝縮器と、前記冷媒を蒸発させる蒸発器
と、前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、前記冷媒
とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、
グリシジル基又はカルボジイミド基を有する化合物を、
少なくとも表面に付着又は含浸させた酸捕捉部材が、前
記作動媒体の流路中に配置されている冷凍サイクルであ
る。
【0015】請求項6記載の本発明は、前記化合物が前
記グリシジル基を有する場合、その化合物はテレフタル
酸グリシジルエステルである請求項5記載の冷凍サイク
ルである。
【0016】請求項7記載の本発明は、前記化合物が前
記カルボジイミド基を有する場合、その化合物はジシク
ロヘキシルカルボジイミドである請求項5記載の冷凍サ
イクルである。
【0017】請求項8記載の本発明は、ハイドロフルオ
ロカーボンを含む冷媒を圧縮する冷凍圧縮機と、前記冷
媒を凝縮させる凝縮器と、前記冷媒を蒸発させる蒸発器
と、前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、前記冷媒
とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、
繊維状体又は複数の粒状体又は多孔質体の酸捕捉部材
が、前記作動媒体の流路中に配置されている冷凍サイク
ルである。
【0018】請求項9記載の本発明は、ハイドロフルオ
ロカーボンを含む冷媒を圧縮する冷凍圧縮機と、前記冷
媒を凝縮させる凝縮器と、前記冷媒を蒸発させる蒸発器
と、前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、前記冷媒
とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、
グリシジル基又はカルボジイミド基を有する化合物成形
体の繊維状体が、酸捕捉部材として前記作動媒体の流路
中に配置されていること、又は、前記化合物成形体の複
数の粒状体が、酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中
に配置されている冷凍サイクルである。
【0019】請求項10記載の本発明は、ハイドロフル
オロカーボンを含む冷媒を圧縮する冷凍圧縮機と、前記
冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記冷媒を蒸発させる蒸発
器と、前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、前記冷
媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体と
し、グリシジル基又はカルボジイミド基を有する化合物
を、少なくとも表面に付着又は含浸させた繊維状体が、
酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中に配置されてい
ること、又は、前記化合物を、少なくとも表面に付着又
は含浸させた複数の粒状体が、酸捕捉部材として前記作
動媒体の流路中に配置されている冷凍サイクルである。
【0020】請求項1記載の本発明では、冷凍圧縮機が
ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧縮し、凝縮器
が前記冷媒を凝縮させ、蒸発器が前記冷媒を蒸発させ、
膨張手段が前記冷媒を膨張させて、前記冷媒とエステル
冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、グリシジル
基又はカルボジイミド基を有する化合物成形体が、酸捕
捉部材として前記作動媒体の流路中に配置されている。
【0021】請求項5記載の本発明では、冷凍圧縮機が
ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧縮し、凝縮器
が前記冷媒を凝縮させ、蒸発器が前記冷媒を蒸発させ、
膨張手段が前記冷媒を膨張させて、前記冷媒とエステル
冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、グリシジル
基又はカルボジイミド基を有する化合物を、少なくとも
表面に付着又は含浸させた酸捕捉部材が、前記作動媒体
の流路中に配置されている。
【0022】請求項8記載の本発明では、冷凍圧縮機が
ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧縮し、凝縮器
が前記冷媒を凝縮させ、蒸発器が前記冷媒を蒸発させ、
膨張手段が前記冷媒を膨張させて、前記冷媒とエステル
冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、繊維状体又
は複数の粒状体又は多孔質体の酸捕捉部材が、前記作動
媒体の流路中に配置されている。
【0023】請求項9記載の本発明では、冷凍圧縮機が
ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧縮し、凝縮器
が前記冷媒を凝縮させ、蒸発器が前記冷媒を蒸発させ、
膨張手段が前記冷媒を膨張させて、前記冷媒とエステル
冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、グリシジル
基又はカルボジイミド基を有する化合物成形体の繊維状
体が、酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中に配置さ
れている。又は、前記化合物成形体の複数の粒状体が、
酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中に配置されてい
る。
【0024】請求項10記載の本発明では、冷凍圧縮機
がハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧縮し、凝縮
器が前記冷媒を凝縮させ、蒸発器が前記冷媒を蒸発さ
せ、膨張手段が前記冷媒を膨張させて、前記冷媒とエス
テル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒体とし、グリシ
ジル基又はカルボジイミド基を有する化合物を、少なく
とも表面に付着又は含浸させた繊維状体が、酸捕捉部材
として前記作動媒体の流路中に配置されている。又は、
前記化合物を、少なくとも表面に付着又は含浸させた複
数の粒状体が、酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中
に配置されている。
【0025】又、本発明は、前記酸捕捉部材が、多孔質
体である請求項9又は10記載の冷凍サイクルである。
【0026】本発明は、前記多孔質体が、シリカ、アル
ミナ、又は、ゼオライトである請求項8記載の冷凍サイ
クルである。
【0027】本発明は、前記化合物成形体が前記グリシ
ジル基を有する場合、その化合物成形体はグリシジル基
を側鎖に有する高分子化合物成形体である請求項9記載
の冷凍サイクルである。
【0028】本発明は、前記化合物が前記グリシジル基
を有する場合、その化合物はテレフタル酸グリシジルエ
ステルである請求項10記載の冷凍サイクルである。
【0029】本発明は、前記化合物が前記カルボジイミ
ド基を有する場合、その化合物はジシクロヘキシルカル
ボジイミドである請求項10記載の冷凍サイクルであ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を用いて説明する。
【0031】以下に説明する実施の形態は、ハイドロフ
ルオロカーボンを含む冷媒とエステル冷凍機油とを作動
媒体とする冷凍サイクルにおいて、有機酸捕捉機構を作
動媒体の流路に配置する構成である。
【0032】即ち、この有機酸捕捉機構としては、典型
的なタイプとして次の(a)〜(d)の4つのタイプに
分けられる。
【0033】(a)複数の粒状体に成形した、グリシジル
基を側鎖に有する高分子化合物成形体を作動媒体の流路
に配置するタイプ。
【0034】(b)繊維状に成形した、グリシジル基を側
鎖に有する高分子化合物成形体を作動媒体の流路に配置
するタイプ。
【0035】(c)グリシジル基を有する化合物が、少な
くとも表面に付着あるいは含浸された多孔質体を作動媒
体の流路に配置するタイプ。
【0036】(d)カルボジイミド結合を有する化合物
が、少なくとも表面に付着あるいは含浸された多孔質体
を作動媒体の流路に配置するタイプ。
【0037】先ず最初に、上述した典型的なタイプにつ
いて、その概要を述べる。 図1は本発明の一実施の形
態である、冷凍圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器なら
びに特定の有機酸捕捉機構を備えた冷凍サイクルの全体
構成図である。
【0038】冷凍サイクルは、図1に示すように冷凍圧
縮機1、凝縮器2、キャピラリ等の膨張機構3、蒸発器
4さらにこれらを連結する配管5で構成される。また、
四方弁6を有し、この回転によって作動媒体の流路を転
換し、凝縮器と蒸発器の機能を交換させることができる
ものである。
【0039】本実施の形態の冷凍サイクルでは、特定の
構造の有機酸捕捉機構7を配置する。この有機酸捕捉機
構7は、作動媒体が流通可能な容器であり、且つ、有機
酸を捕捉可能な物質を配置した容器である。
【0040】本実施の形態の有機酸捕捉機構7を具備す
ることを除き、冷凍サイクル自体の構成は従来公知のも
のとほぼ同一であり、冷凍サイクルの詳細な説明は省略
する。
【0041】ここで、有機酸捕捉機構7は、先に述べた
4つのタイプから選ばれたものである。以下順にそれを
説明する。
【0042】まず、上述した(a)タイプの場合につい
て説明する(図2参照)。
【0043】この場合、有機酸捕捉機構7は、グリシジ
ル基を側鎖に有する高分子化合物成形体の複数個の粒状
体を作動媒体の流路に配置した構成である。この構造で
は、グリシジル基による効率よい有機酸の捕捉が可能で
あることと、グリジジル基と有機酸との反応生成物が作
動媒体へ流出することがないということが、後述する実
験結果から確認できた。従って、この場合、キャピラリ
などの閉塞現象を招く可能性がない。また、不可逆のエ
ポキシ環の開環を伴う反応で有機酸を捕捉するので、捕
捉効率が高く好ましい。
【0044】グリシジル基を側鎖に有する高分子化合物
成形体が複数個の粒状体であれば、作動媒体が流通可能
である容器の内部に、そのようなグリシジル基を側鎖に
有する高分子化合物成形体を充填した場合でも、作動媒
体がその容器の内部を流通できる。しかも、このような
構成であれば、有機酸捕捉反応に寄与する高分子化合物
成形体の重量当たりの表面積を大きくすることができ、
捕捉効率をより一層向上することができる。
【0045】次に、上述した(b)タイプの場合につい
て説明する(図4参照)。
【0046】これは、繊維状に成形した、グリシジル基
を側鎖に有する高分子化合物成形体を作動媒体の流路に
配置した構成である。
【0047】グリシジル基を側鎖に有する高分子化合物
成形体が繊維状またはその集合体であれば、上述した容
器内部に、グリシジル基を側鎖に有する高分子化合物成
形体を充填しても、その容器内を作動媒体が流通でき
る。しかも、この様な構成であれば、有機酸捕捉反応に
寄与する高分子化合物成形体の重量当たりの表面積をよ
り一層大きくすることができ、捕捉効率を向上すること
ができる。
【0048】さらに、上記グリシジル基を側鎖に有する
高分子化合物成形体を構成する高分子化合物が、重合単
位としてグリシジルオキシ基で置換された重合性単量体
を重合組成物として含有する構成が好ましい。
【0049】グリシジル基を側鎖に有する高分子組成物
成形体を構成する高分子化合物が、重合単位としてグリ
シジルオキシ基で置換された重合性単量体を重合組成物
として含有すれば、単位重量当たりのグリシジル基数を
大きくすることが容易で、結果的に捕捉効率を向上する
ことができる。
【0050】さらに、上記グリシジルオキシ基で置換さ
れた重合性単量体が、グリシジルオキシスチレン、グリ
シジルビニルエーテル、グリシジルアクリレート、又
は、グリシジルメタクリレートである構成がより好まし
い。グリシジルオキシ基で置換された重合性単量体が、
グリシジルオキシスチレン、グリシジルビニルエーテ
ル、グリシジルアクリレート、又は、グリシジルメタク
リレートであれば、懸濁ラジカル重合によって粒状のグ
リシジル基を側鎖に有する高分子化合物成形体を容易に
得ることができるので好ましい。
【0051】次に、上述の(c)タイプの場合について
説明する(図2参照)。
【0052】これは、有機酸捕捉機構7が、グリシジル
基を有する化合物を表面に付着または含浸させた多孔質
体を作動媒体の流路に配置した構成である。
【0053】この構造では、多孔質媒体の表面にグリシ
ジル基が存在しており、重量あたりの表面積を大きくす
ることができる。グリシジル基による効率よい有機酸の
捕捉が可能であることと、グリジジル基が関与する反応
生成物が作動媒体へ流出することがないということが、
後述する実験結果から確認できた。従って、この場合、
キャピラリなどの閉塞現象を招く可能性がない。
【0054】また、不可逆のエポキシ環の開環を伴う反
応で有機酸を捕捉するので、捕捉効率が高く好ましい。
【0055】さらに、上記グリシジル基を有する化合物
が、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノ
ールSジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジ
ルエステル、グリシジルフタルイミドである構成がより
好ましい。グリシジル基を有する化合物がハイドロキノ
ンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジ
ルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、グリ
シジルフタルイミドであれば、室温で固体であってエス
テル系合成潤滑油や冷媒に不溶であり長期にわたりサイ
クル中の潤滑油や冷媒に溶出してこないので好ましい。
【0056】次に、上述の(d)タイプの場合について
説明する。
【0057】これは、有機酸捕捉機構7が、カルボジイ
ミド結合を有する化合物の多孔質体を作動媒体の流路に
配置した構成である。
【0058】この構造では、カルボジイミド結合による
効率よい有機酸の捕捉が可能であると、カルボジイミド
結合が関与する反応生成物が作動媒体へ流出することが
ないということが、後述する実験結果から確認できた。
従って、この場合、キャピラリなどの閉塞現象を招く可
能性がない。
【0059】さらに上記カルボジイミド結合を有する化
合物が、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミドやジシクロヘキシルカルボジイミ
ドである構成が好ましい。カルボジイミド結合を有する
化合物が、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミドやジシクロヘキシルカルボジイ
ミドであれば、室温で固体であってエステル系合成潤滑
油や冷媒に不溶であり長期にわたりサイクル中の潤滑油
や冷媒に溶出してこないので好ましい。さらに上記多孔
質体が、シリカゲル、アルミナ、ゼオライトである構成
がより好ましい。多孔質体にシリカゲル、アルミナ、ゼ
オライトを用いることで有機酸だけでなく水分も同時に
除去可能であるので好ましい。
【0060】本発明で用いられている多孔質体として
は、直径5mm程度の粒状体に加工して用いるのが好まし
い。作動媒体が流通可能である容器内部に、グリシジル
基、あるいはカルボジイミド結合を有する化合物の多孔
質体を充填してもその多孔質体が粒状体であれば、作動
媒体の流通が可能であるとともに、有機酸捕捉反応に寄
与する高分子化合物成形体の重量当たりの表面積を大き
くすることができ、捕捉効率を向上することができる。
【0061】次に、上述した有機酸捕捉機構に用いる、
有機酸捕捉可能な物質について、さらに具体的に説明す
る。
【0062】タイプ(a)、(b)について具体的に
は、次の通りである。
【0063】即ち、本発明の酸捕捉部材としての、高分
子化合物成形体は、重合単位としてグリシジルオキシ基
で置換された重合性単量体を含有する重合物である。
【0064】しかも、高分子化合物成形体は、重合単位
としてグリシジルオキシ基で置換された重合性単量体
を、少なくとも少量の重合性多官能単量体とともに懸濁
重合して粒状化したものである。
【0065】あるいは、高分子化合物成形体は、重合単
位としてグリシジルオキシ基で置換された重合性単量体
を、ジオクチルフタレートまたはジノニルフタレートな
どの非重合性単量体と極少量のジアミンまたはジカルボ
ン酸とともに混合後、粒状体や繊維状体に成形し、加熱
架橋したものなどである。
【0066】懸濁重合または成形時の非重合性単量体の
存在は、得られる高分子組成物成形体に多孔性を付与で
きるので有用である。非重合性単量体は、冷凍サイクル
への搭載前に、上述した粒状体た繊維状体から除去され
ていても良いが、作動媒体との相溶性が高く、反応性が
低い場合には敢えて除去する必要はない。
【0067】グリシジルオキシ基で置換された重合性単
量体としては、グリシジルオキシスチレン、グリシジル
ビニルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジル
メタクリレート、または、これらの一部が、他の原子や
置換基で置換された化合物を挙げることができる。
【0068】重合性多官能単量体としては、ジビニルベ
ンゼン、ジアリルフタレート、アルキレン、アリーレン
ジアクリレート、またはアリーレンジメタクリレートな
ど一般的なものを挙げることができる。
【0069】グリシジルオキシ基で置換された重合性単
量体、重合性多官能単量体以外にもこれらと共重合可能
な重合性単量体を重合組成として含有していてもよい。
【0070】タイプ(c)、(d)について具体的に
は、次の通りである。
【0071】即ち、この場合、グリシジル基を有する化
合物やカルボジイミド結合を有する化合物を溶媒に溶か
してシリカ、アルミナ、ゼオライトなどの多孔質体と共
に撹拌して、その多孔質体の表面に付着あるいは含浸さ
せたものなどが、有機酸捕捉可能な物質として利用でき
る。なお、有機酸捕捉可能な物質を付着等させた多孔質
体や繊維状体のものが、本発明の酸捕捉部材に対応す
る。
【0072】グリシジル基を有する化合物としては、ハ
イドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールS
ジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエス
テル、グリシジルフタルイミドなどの室温で固体であっ
てエステル系合成潤滑油や冷媒に不溶なものを挙げるこ
とができる。
【0073】カルボジイミド結合を有する化合物として
は、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミドやジシクロヘキシルカルボジイミド
などの室温で固体であって、しかもエステル系合成潤滑
油や冷媒に不溶なものを挙げることができる。
【0074】以上述べたような、作動媒体が流通可能で
ある容器であって、しかも、有機酸を捕捉可能な物質を
内部に配置した容器である有機酸捕捉機構の構造として
は、たとえば図2〜5のような例を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0075】即ち、図2は、粒状の多数の有機酸捕捉物
9をメッシュ10で挟んで作動媒体が流通可能な容器1
1に収納した有機酸捕捉機構12の例である。粒状の有
機酸捕捉物9の代わりに他の有機酸を捕捉可能な物質を
充填しても良いし、水分を吸着するゼオライトとともに
充填しても良い。
【0076】図3は、図2で説明した有機酸捕捉機構の
構成に、固定用スプリング13を加えた構成例を示す。
冷凍サイクルの動作において、作動媒体が容器11の内
部を流れると、有機酸捕捉物9が振動をおこし、有機酸
捕捉物同士のぶつかりあいなどによって、有機酸捕捉物
の微細な破片が発生するおそれがある。そして、その微
細な破片が、キャピラリなどを閉塞する場合がある。し
かしながら、図3に示した構成によれば、そのような微
細な破片によるキャピラリなどの閉塞が防止でき、より
一層安定した冷凍サイクルを提供できる。
【0077】図4は、繊維状の有機酸捕捉物9をフィル
タ14で挟んで作動媒体が流通可能な容器11に収納し
た有機酸捕捉機構12の例を示す。フィルタ14として
は、フォームやガラスフィルタ、ガラスウール、スチー
ルウールなどを用いることができる。
【0078】図5は、繊維状の有機酸捕捉物で構成した
布フィルタ15を逆止弁16で挟んで作動媒体が流通可
能な容器11に収納した有機酸捕捉機構12の例を示
す。
【0079】このような有機酸捕捉機構では循環する作
動媒体の全てが、容器11の内部を通過するため、高い
流動抵抗が発生する。従って、有機酸捕捉機構の設置位
置としては、作動媒体が液相で流動する部分、即ち凝縮
器と蒸発器の間の流路に設置することが冷凍サイクルの
能力低下を小さくできるので好ましい。
【0080】また、作動媒体中の酸を効果的に捕捉でき
る場所としてアキュムレータ8の内部も有効である。ア
キュムレータ8の内部に設置する場合の有機酸捕捉機構
12の構造の例を図6に示す。
【0081】図6は、作動媒体が流通可能な袋17に複
数の粒状体に成形した有機酸捕捉物9を充填した機構を
示している、このような有機酸捕捉機構12をアキュム
レータ8内部にいれておけばよい。場合によっては、図
7に示すように、有機酸捕捉物9の入った袋17の一端
にスプリング18の一端をとりつけてアキュムレータ8
の内部上部からつるしたりフロートを取り付けたりして
もよい。これにより、作動媒体の流動抵抗をあまり上げ
ることなく、有機酸捕捉物9を作動媒体に接触させるこ
とができる。
【0082】以下、具体的な実験例及び比較例を挙げて
説明する。 (実験例1と比較例1)グリシジルオキシスチレン−ジ
ビニルベンゼン−スチレン共重合体の粒状体20gをグ
ラスウールフィルタで挟んで銅製容器に収納した第1サ
ンプルの有機酸捕捉機構(図2参照)と、グリシジルビ
ニルエーテル−アクリロニトリル共重合体繊維とポリエ
ステル繊維を用いたクロスフィルタを装着した第2サン
プルの有機酸捕捉機構(図5参照)を準備した。同一構
造のルームエアコンを3台用意して、その内の2台のル
ームエアコンに対して、上述した第1サンプルと第2サ
ンプルの有機酸捕捉機構を、凝縮器2とキャピラリ3の
間にそれぞれ設置した(図1参照)。
【0083】残りの1台には、比較例とするために、有
機酸捕捉機構を装備しなかった。そしてそれら3台のル
ームエアコンに対してポリオールエステル冷凍機250
g、冷媒R407C 700g、水0.3gを充填して20
00時間連続運転を実施した。ここで、第1サンプル、
第2サンプルの酸捕捉機構は、それぞれ、上述したタイ
プ(a)、(b)に対応する。
【0084】運転終了後、ルームエアコンの冷凍機油の
全酸価を測定したところ、次のような測定結果を得た。
【0085】第1サンプルの有機酸捕捉機構を装備した
ルームエアコンの場合、冷凍機油の全酸価は、0.03mgKO
H/g以下であり、また、第2サンプルの有機酸捕捉機構
を装備したルームエアコンの場合、冷凍機油の全酸価
は、0.04mgKOH/gであった。
【0086】一方、比較例として作成した、有機酸捕捉
機構を装着しなかったルームエアコンでは、冷凍機油の
全酸価は0.2mgKOH/gであった。この数値は、上記2台の
ルームエアコンの場合に比べて、約10倍も高い値を示
しており、酸成分が存在していることを示すものであ
る。
【0087】また、各ルームエアコンを解体してキャピ
ラリ部分を分析したところ次の結果を得た。
【0088】図8(a)、(b)は、それぞれ本実施の
形態の実験例1、比較例1で用いたキャピラリーチュー
ブ内壁面の運転終了後の顕微鏡写真である。倍率は、何
れも40倍である。これらの顕微鏡写真から実験例1の
キャピラリチューブでは、配管内面に付着物が見られな
いのに対し、比較例1では配管内にスラッジ状のものが
付着いるのがわかる。このスラッジ状の物質のirスペク
トルを図9に示す。1400cm-1付近と1600cm-1付近の吸収
よりこのスラッジが金属石鹸であることが示唆される。
【0089】即ち、有機酸捕捉機構を装着していないル
ームエアコンのキャピラリの内部には、有機酸鉄が付着
していることが確認できた。
【0090】これに対して、有機酸捕捉機構を有する2
台のルームエアコンのキャピラリ内部では、付着物は何
も検出されなかった。つまり、いかなるスラッジの発生
も確認できなかった。
【0091】(実験例2)テレフタル酸ジグリシジルエ
ステル(ナガセ化成工業製)の1mMトルエン溶液中に
多孔質体として直径5〜6mm球状の活性アルミナ(高
純度化学製)100gを入れて60℃で3時間加熱後ア
ルミナを取り出し、グリシジル基を有する化合物の多孔
質体を作成した。この実験例は、上述したタイプ(c)
に対応する。
【0092】この有機酸捕捉処理処理をしたアルミナ粒
状体20gをグラスウールフィルタで挟んで、銅製容器
に収納した有機酸捕捉機構を準備し、ルームエアコンの
凝縮器2とキャピラリ3の間に設置した。このルームエ
アコンに対して、初期の水分含有量500ppmを含有
したポリオールエステル冷凍機油300ml、冷媒とし
てR134a 1kgを充填して、吐出温度を120℃
に保って1000時間連続運転を実施した。
【0093】運転終了後、冷凍機油の全酸価を測定した
ところ0.01mgKOH/gであった。この測定値か
ら、酸の発生はほとんどないことがわかる。又、実際に
ルームエアコンのキャピラリ内部を観察したが、付着物
は何も検出されなかった。つまり、いかなるスラッジの
発生も確認できなかった。
【0094】さらに、このルームエアコンを解体してコ
ンプレッサ内のベーン先端を観察したがベーン先端の摩
耗はほとんどなかった。このことからも、いかなるスラ
ッジの発生もないことが裏付けられた。
【0095】(実験例3)ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(アルドリッチ製)の1mMピリジン溶液中に多孔
質媒体として直径5〜6mmの粒状の活性アルミナ10
0gを入れて、60℃で3時間加熱後アルミナを取り出
し、カルボジイミド結合を有する化合物を表面に含浸さ
せた多孔質体を作成した。この実験例は、上述のタイプ
(d)に対応する。
【0096】この有機酸捕捉処理処理をしたアルミナ粒
状体20gを、グラスウールフィルタで挟んで、銅製容
器に収納した有機酸捕捉機構を準備し、ルームエアコン
の凝縮器2とキャピラリ3の間に設置した。このルーム
エアコンに対して、初期の水分含有量500ppmを含
有したポリオールエステル冷凍機油300ml、冷媒と
してR134a 1kgを充填して、吐出温度を120
℃に保って1000時間連続運転を実施した。
【0097】運転終了後、冷凍機油の全酸価を測定した
ところ0.01mgKOH/gであった。この測定値か
ら、酸の発生はほとんどないことがわかる。又、実際に
ルームエアコンのキャピラリ内部を観察したが、付着物
は何も検出されなかった。つまり、いかなるスラッジの
発生も確認できなかった。
【0098】さらにこのルームエアコン解体して、コン
プレッサ内ベーン先端を観察したがベーン先端の摩耗は
ほとんどなかった。このことからも、いかなるスラッジ
の発生もないことが裏付けられた。
【0099】次に、上述した実験例2、3との比較のた
めに行った比較例2、3を説明する。
【0100】(比較例2)ここでは、上述した多孔質体
等のいかなる酸捕捉機構も装着しないルームエアコンを
用いる。まず、このルームエアコンに対して、冷凍機油
として初期の水分含有量500ppmのポリオールエス
テルを300ml、冷媒としてR134aを1kgを充
填して吐出温度を120℃に保って1000時間連続運
転を実施した。
【0101】運転終了後、ルームエアコン内部の冷凍機
油の全酸価を測定したところ0.1mgKOH/gであ
った。この測定値からも多くの酸成分が存在しているこ
とがわかる。また、このルームエアコンを解体してコン
プレッサ内ベーン先端を観察したところ、ベーン先端が
摩耗していることが観測できた。このことからも、多く
のスラッジが発生していることが裏付けられた。
【0102】(比較例3)ここでは、上記比較例2の場
合と条件が異なる。即ち、冷凍機油中にフェニルグリシ
ジルエーテル(東京化成製)を1重量%添加して溶解し
たものを冷凍機油として用いる。その他の条件は上記比
較例2と同じである。
【0103】即ち、ルームエアコンに対して、冷凍機油
として初期の水分含有量500ppmの初期の水分含有
量500ppmのポリオールエステルを300ml、冷
媒としてR134aを1kg充填して吐出温度を120
℃に保って1000時間連続運転を実施した。
【0104】運転終了後、冷凍機油の全酸価を測定した
ところ0.01mgKOH/gであった。このことか
ら、冷凍機油中に添加されたフェニルグリシジルエーテ
ルにより酸の発生はないことがわかる。また、コンプレ
ッサ内のベーン先端を観察したがベーン先端の摩耗はほ
とんどなかった。しかしながら、キャピラリチューブの
内部には、スラッジの生成が認められた。そして、その
スラッジを分析したところ、フェニルグリシジルエーテ
ルの重合物であることが確認できた。
【0105】即ち、本比較例において、このような結果
に至った理由としては、酸成分の発生は抑制されたもの
の、酸捕捉と同時にフェニルグリシジルエーテルの重合
反応が起こり、重合物が生成されそれによってスラッジ
が発生したためであると考えられる。
【0106】以上のように、本実施の形態によれば、ハ
イドロフルオロカーボンを含む冷媒とポリオールエステ
ル冷凍機油を作動媒体とする冷凍サイクルにおいて、従
来に比べてより一層長期間に渡って安定した動作を行わ
せることができる。
【0107】なお、上記実施の形態では、グリシジル基
を有する化合物成形体が、酸捕捉部材として前記作動媒
体の流路中に配置されている場合について説明したが、
これに限らず例えば、カルボジイミド基を有する化合物
成形体が酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中に配置
されている構成でもよい。
【0108】又、上記実施の形態では粒状体の酸捕捉部
材が多孔質体である場合について説明したが、これに限
らず例えば、繊維状体の酸捕捉部材が、多孔質体であっ
てもよい。
【0109】又、上記実施の形態では、グリシジルオキ
シ基で置換された重合性単量体が、グリシジルオキシス
チレンである場合と、グリシジルビニルエーテルである
場合とについて実験例に基づいて説明したが、これに限
らず例えば、グリシジルオキシ基で置換された単量体
が、グリシジルアクリレート、又はグリシジルメタクリ
レートであってもよい。
【0110】又、上記実施の形態では、グリシジル基を
有する化合物成形体の形状が、粒状あるいは、繊維状で
ある場合について説明したがそれ以外のどのような形状
であってももちろんよい。又、上記実施の形態では、粒
状体あるいは繊維状体の酸捕捉部材が、グリシジル基あ
るいはカルボジイミド基を有する化合物成形体である場
合について説明したが、これに限らず、繊維状体又は複
数の粒状体の酸捕捉部材が、作動媒体の流路中に配置さ
れておりさえすれば、酸捕捉部材は上記以外の材料であ
ってもよい。
【0111】又、上記実施の形態では、粒状体あるいは
繊維状体の酸捕捉部材は、グリシジル基あるいはカルボ
ジイミド基を有する化合物を、少なくともその表面に付
着又は含浸されて構成されたものである場合について説
明したが、これに限らず、酸捕捉能力を備えた他の化合
物等を、少なくともその表面に、付着または含浸させて
構成したものを酸捕捉部材として用いてもよい。
【0112】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、長期間に渡ってより一層安定的に動作出来ると
いう長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である冷凍圧縮機、凝縮
器、膨張機構、蒸発器ならびに特定の有機酸捕捉機構を
備えた冷凍サイクルの全体構成図である。
【図2】本発明の冷凍サイクルの一実施の形態に用いる
有機酸捕捉機構の構成を示す図である。
【図3】本発明の冷凍サイクルの一実施の形態に用いる
有機酸捕捉機構の構成を示す図である。
【図4】本発明の冷凍サイクルの一実施の形態に用いる
有機酸捕捉機構の構成を示す図である。
【図5】本発明の冷凍サイクルの一実施の形態に用いる
有機酸捕捉機構の構成を示す図である。
【図6】本発明の冷凍サイクルの一実施の形態に用いる
有機酸捕捉機構の構成を示す図である。
【図7】本発明の冷凍サイクルの一実施の形態に用いる
有機酸捕捉機構をアキュムレータ内に設けた場合の略示
断面図である。
【図8】(a)は、本実施の形態により作製された、実
験例1で用いたキャピラリーチューブ内壁面の運転終了
後の顕微鏡写真であり、図面に代わる写真である。
(b)は、本実施の形態により作製された、比較例1で
用いたキャピラリーチューブ内壁面の運転終了後の顕微
鏡写真であり、図面に代わる写真である。
【図9】比較例1で用いたキャピラリチューブの運転終
了後の内面の付着物に関するirスペクトルである。
【符号の説明】
1・・・冷凍圧縮機 2・・・凝縮器 3・・・膨張機構 4・・・蒸発器 5・・・配管 6・・・四方弁 7・・・有機酸捕捉機構 8・・・アキュムレータ 9・・・有機酸捕捉物 10・・メッシュ 11・・容器 12・・作動媒体が流通可能な有機酸捕捉機構 13・・固定用スプリング 14・・フィルタ 15・・布フィルタ 16・・逆止弁 17・・袋 18・・スプリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 105:38 145:04) C10N 30:00 40:30 (72)発明者 中島 啓造 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 脇田 克也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 園田 信雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧
    縮する冷凍圧縮機と、 前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、 前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、 前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、 前記冷媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒
    体とし、 グリシジル基又はカルボジイミド基を有する化合物成形
    体が、酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中に配置さ
    れていることを特徴とする冷凍サイクル。
  2. 【請求項2】前記化合物成形体が前記グリシジル基を有
    する場合、その化合物成形体はグリシジル基を側鎖に有
    する高分子化合物の成形体であることを特徴とする請求
    項1記載の冷凍サイクル。
  3. 【請求項3】前記高分子化合物は、重合単位としてグリ
    シジルオキシ基で置換された重合性単量体を含有する重
    合体であることを特徴とする請求項2記載の冷凍サイク
    ル。
  4. 【請求項4】前記グリシジルオキシ基で置換された重合
    性単量体が、グリシジルオキシスチレン、グリシジルビ
    ニルエーテル、グリシジルアクリレート、又はグリシジ
    ルメタクリレートであることを特徴とする請求項3記載
    の冷凍サイクル。
  5. 【請求項5】ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧
    縮する冷凍圧縮機と、 前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、 前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、 前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、 前記冷媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒
    体とし、 グリシジル基又はカルボジイミド基を有する化合物を、
    少なくとも表面に付着又は含浸させた酸捕捉部材が、前
    記作動媒体の流路中に配置されていることを特徴とする
    冷凍サイクル。
  6. 【請求項6】前記化合物が前記グリシジル基を有する場
    合、その化合物はテレフタル酸グリシジルエステルであ
    ることを特徴とする請求項5記載の冷凍サイクル。
  7. 【請求項7】前記化合物が前記カルボジイミド基を有す
    る場合、その化合物はジシクロヘキシルカルボジイミド
    であることを特徴とする請求項5記載の冷凍サイクル。
  8. 【請求項8】ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧
    縮する冷凍圧縮機と、 前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、 前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、 前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、 前記冷媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒
    体とし、 繊維状体又は複数の粒状体又は多孔質体の酸捕捉部材
    が、前記作動媒体の流路中に配置されていることを特徴
    とする冷凍サイクル。
  9. 【請求項9】ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を圧
    縮する冷凍圧縮機と、 前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、 前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、 前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、 前記冷媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒
    体とし、 グリシジル基又はカルボジイミド基を有する化合物成形
    体の繊維状体が、酸捕捉部材として前記作動媒体の流路
    中に配置されていること、又は、前記化合物成形体の複
    数の粒状体が、酸捕捉部材として前記作動媒体の流路中
    に配置されていることを特徴とする冷凍サイクル。
  10. 【請求項10】ハイドロフルオロカーボンを含む冷媒を
    圧縮する冷凍圧縮機と、 前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、 前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、 前記冷媒を膨張させる膨張手段とを備え、 前記冷媒とエステル冷凍機油とを冷凍サイクルの作動媒
    体とし、 グリシジル基又はカルボジイミド基を有する化合物を、
    少なくとも表面に付着又は含浸させた繊維状体が、酸捕
    捉部材として前記作動媒体の流路中に配置されているこ
    と、又は、前記化合物を、少なくとも表面に付着又は含
    浸させた複数の粒状体が、酸捕捉部材として前記作動媒
    体の流路中に配置されていることを特徴とする冷凍サイ
    クル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2015060407A1 (ja) * 2013-10-25 2017-03-09 三菱重工業株式会社 冷媒循環装置、冷媒循環方法および酸抑制方法
KR20200058393A (ko) * 2017-09-19 2020-05-27 허니웰 인터내셔날 인코포레이티드 열 전달 방법, 시스템 및 구성

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