JPH0942084A - ２サイクルエンジンの吸気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な構造で、しかも低コストで、エンジンに
応じた充填効率を得ることができる２サイクルエンジン
の吸気装置を提供する。 【解決手段】２サイクルエンジンの吸気装置は、クラン
クケース４にジョイント１７を介してキャブレタ２０を
取付け、下流側に配置されたリ一ド弁１６を通し、クラ
ンクケース４の外部から内部ヘ向う方向へ吸気する吸気
通路１５を備え、ジョイント１７の内部に、吸気を制御
してリード弁１６の弁通路に導く制御スペーサ４０を着
脱可能に配置している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、リード弁を備え
る２サイクルエンジンの吸気装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動二輸車等に搭載される２サイクルエ
ンジンには、従来、実開平３−１０２３６号公報で示さ
れるものがある。これによれば、キャブレタからジョイ
ントを介してリード弁に設けられた通路を通して、クラ
ンクケースの外部から内部へ向う方向ヘ吸気のみが通過
が許容されるようになっている。そして、エンジンの作
動時には、キャブレタ、ジョイント、リード弁とを順次
通して混合気がクランクケース内に吸入され、ここで、
一旦予圧縮される。次に、この予圧縮された混合気が掃
気ポートを通し燃焼室に送り込まれて、燃焼させられ、
これによりエンジンが動力を出力するようになってい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、吸入通路の
開口は、通常、ほぼ長方形状であるのに対し、ジョイン
ト部では断面が円形となっている。このため、リード弁
の上流側では、断面の形状変化が大きく、吸気の流れが
乱れて充填効率が低下してエンジン性能の向上が阻害さ
れるという問題がある。

【０００４】また、エンジンによっては、吸気通路の形
状や断面積を変更し、エンジンに応じた充填効率を得た
い場合がある。

【０００５】このため、吸気の流れが乱れることを防止
するために整流板やスペーサ等を、キャブレタに一体に
形成したり、またキャブレタをクランクケースに取り付
けるためのジョイントに一体に形成することが考えられ
る。ところが、このように一体に形成するものでは、キ
ャブレタやジョイントが複雑になったり、あるいは互換
性がなくなり、エンジンに応じてキャブレタやジョイン
ト等の設計変更が必要になり、製作の時間やコストが嵩
む等の問題があった。

【０００６】この発明は、かかる事情に鑑みてなされた
もので、簡単な構造で、しかも低コストで、エンジンに
応じた充填効率を得ることができる２サイクルエンジン
の吸気装置を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決し、かつ
目的を達成するために、請求項１記載の発明は、クラン
クケースにジョイントを介してキャブレタを取付け、前
記ジョイントより下流側に配置されたリ一ド弁を通し、
前記クランクケースの外部から内部ヘ向う方向へ吸気す
る吸気通路を備える２サイクルエンジンの吸気装置にお
いて、前記ジョイントの内部に、吸気を制御して前記リ
ード弁の弁通路に導く制御スペーサを着脱可能に配置し
たことを特徴としている。

【０００８】このように、制御スペーサを交換するだけ
の簡単な構造で、吸気通路の形状や断面積を変更でき、
低コストで、エンジンに応じた充填効率を容易に得るこ
とができる。

【０００９】請求項２記載の発明は、前記制御スペーサ
の上流側に複数の吸気通路を有し、この複数の吸気通路
を前記制御スペーサを介して互いに合流させて前記リー
ド弁の弁通路に導くことを特徴としている。このよう
に、複数の吸気通路を備える場合でも制御スペーサによ
り吸気通路の形状や断面積を変更でき、低コストで、エ
ンジンに応じた充填効率を容易に得ることができる。

【００１０】請求項３記載の発明は、制御スペーサを、
前記ジョイントから前記リード弁内側に延出させたこと
を特徴としている。このように、ジョイントを介してク
ランクケースにキャブレタを取付ける場合でも、制御ス
ペーサをジョイントからリード弁内側に延出させること
で、制御スペーサにより吸気がリード弁の弁通路まで確
実に整流され、充填効率を向上させることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、この発明の２サイクルエン
ジンの吸気装置の実施例を図面により説明する。

【００１２】まず、図１及び図２の第１実施例について
説明する。図１は吸気装置を備える２サイクルエンジン
の概略構成図、図２は制御スペーサの斜視図である。

【００１３】図において、符号１はＶ型の２サイクルエ
ンジンで、上気筒２と下気筒３とを備えている。２サイ
クルエンジン１のクランクケース４は、上ケース４ａと
下ケース４ｂから構成され、上ケース４ａには一対のシ
リンダボディ５，６が取り付けられ、それぞれのシリン
ダボディ５，６にはシリンダヘッド７，８が載置され、
これらで上気筒２と下気筒３とを構成している。シリン
ダボディ５，６にはピストン９，１０が往復動可能に設
けられ、このピストン９，１０はコンロッド１１，１２
を介してクランクケース４の上ケース４ａと下ケース４
ｂに軸支されたクランク軸１３に連結されている。

【００１４】クランクケース４内にはクランク室１４が
形成され、クランクケース４の上ケース４ａには、上気
筒２及び下気筒３の根元部２ａ，３ａにおいて吸気通路
１５がそれぞれバランサ軸９０を避けた位置に形成さ
れ、この吸気通路１５にリード弁１６がジョイント１７
と共締めして取り付けられている。

【００１５】リード弁１６は、側面断面がほぼＶ字状箱
形をなす弁本体３０を有している。この弁本体３０はク
ランク室１４内に向うに従い先細となっており、弁本体
３０の基部には外向きフランジ３０ａが一体成形され、
ジョイント１７のフランジ部１７ａとともにボルト１８
で共締めされている。弁本体３０の内部に弁通路３１が
設けられている。弁通路３１の上流端開口３１ａは弁本
体３０の基部端に開口し、下流端開口３１ｂは弁本体３
０の上、下面壁にそれぞれ形成される３個ずつの計６つ
の開口で構成され、これら下流端開口３１ｂの各開口は
互いに同形同大をなして、左右に向って並設されてい
る。

【００１６】これら下流端開口３１ｂをそれぞれ開閉自
在に閉じる上下の弁体３２が設けられ、これらのうち上
側の弁体３２の一端が第ｌビス３３により弁本体３０の
基部の上面壁にねじ止めされ、下側の弁体３２の一端が
第２ビス３４により弁本体３０の基部の下面壁にねじ止
めされている。

【００１７】ジョイント１７には吸気通路１７ｂが形成
され、さら凹部１７ｃにはキャブレタ２０の取付部２０
ａが取付けられている。キャブレタ２０の吸気通路２０
ｂから吸入された吸気が下流側に配置されたジョイント
１７の吸気通路１７ｂ、リ一ド弁１６の弁通路３１を通
り、クランクケース４の外部から内部ヘ向う方向へ吸気
され、吸気通路１５からクランク室１４へ導かれる。

【００１８】リ一ド弁１６の上流側には、吸気の流れを
制御してリード弁１６に導く制御スペーサ４０が着脱可
能に配置されている。制御スペーサ４０は、図２に示す
ように、左右一対の通路４１ａを有する基部４１と、こ
の基部４１の左右の通路４１ａの間から突出する整流部
４２とを有している。この制御スペーサ４０はキャブレ
タ２０の取付部２０ａとジョイント１７の凹部１７ｃと
によって基部４１が挟まれるようにして取り付けられて
いる。よって、制御スペーサ４０の取付及び固定のため
の特別な手段は必要としない。また、制御スペーサ４０
はジョイント１７に取り付けた状態で、整流部４２がジ
ョイント１７からリード弁１６側に延出され、制御スペ
ーサ４０により吸気が整流されて、リード弁１６の弁通
路３１まで確実に導かれ、エンジンに応じた充填効率を
容易に得ることができる。

【００１９】また、キャブレタ２０の吸気通路２０ｂ
は、左右に一対設けられ、制御スペーサ４０の上流側に
複数の吸気通路２０ｂを有しているが、この複数の吸気
通路２０ｂが制御スペーサ４０を介して互いに合流させ
てリード弁１６に導かれる。従って、複数の吸気通路を
備える場合でも、制御スペーサ４０により吸気通路の形
状や断面積を変更でき、さらに吸気が整流され、充填効
率が向上する。

【００２０】また、制御スペーサ４０が着脱可能に配置
されており、キャブレタ２０を外すことで、制御スペー
サ４０を容易に交換することができる。このように、制
御スペーサ４０を交換するだけの簡単な構造で、吸気通
路の形状や断面積を容易に変更でき、しかも低コスト
で、エンジンに応じた充填効率を容易に得ることができ
る。

【００２１】次に、図３の第２実施例について説明す
る。図３は２サイクルエンジンの吸気装置を示す図であ
る。この実施例の制御スペーサ４０は、図１及び図２の
制御スペーサ４０と同様に構成されるが、リード弁１６
の弁本体３０には、吸気の流れを上方向と、下方向の弁
方向へ向けさせるガイド体６０が取り付けられている。
ガイド体６０は、側壁６０ａ、取付部６０ｂ及びガイド
部６０ｃを有しており、取付部６０ｂを弁本体３０の基
部の凹部３０ｄに嵌合してセットされる。制御スペーサ
４０は、ガイド部６０ｃに当接するまで延び、制御スペ
ーサ４０により整流された吸気が、その流れを乱される
ことなくガイド体６０のガイド部６０ｃにより分岐され
て弁方向へ流れる。

【００２２】さらに、図４及び図５の第３実施例につい
て説明する。図４は吸気装置を備える２サイクルエンジ
ンの概略構成図、図５は２サイクルエンジンの吸気装置
を示す図である。この実施例のリード弁１６は、図３の
リード弁１６と同様に、ガイド体６０が取り付けられて
いるが、このガイド体６０のガイド部６０ｃは、弁通路
３１の上流端開口３１ａから下流端開口３１ｂまでの全
体に形成されている。また、制御スペーサ４０は、その
整流部４２の先端部がジョイント１７の取付面１７ｄに
一致させるように形成され、その先端部がガイド部６０
ｃに当接している。従って、制御スペーサ４０により整
流された吸気が、その流れを乱されることなくガイド部
６０ｃにより分岐されて弁通路３１の下流端開口３１ｂ
方向へ流れる。

【００２３】また、図６の第４実施例について説明す
る。図６は２サイクルエンジンの吸気装置を示す図であ
る。この実施例のリード弁１６は、図３のリード弁と同
様に構成されているが、ガイド部６０ｃは取付面６０ｅ
から所定の間隔をおいて、しかも先端部６０ｆを突出さ
せて形成している。制御スペーサ４０は、図４及び図５
の制御スペーサ４０と同様に構成され、ジョイント１７
から外部に突出することがないように一体に組み付けら
れ、取扱が容易になっている。

【００２４】また、図７の第５実施例について説明す
る。図７はリード弁、ジョイント、ガイド体及び制御ス
ペーサの組付状態を示す図である。この実施例のリード
弁１６の弁本体３０には、弁通路３１の上流端開口３１
ａは弁本体３０の基部端に開口し、下流端開口３１ｂは
弁本体３０の上、下面壁にそれぞれ形成される３個ずつ
の計６つの開口で構成され、これら下流端開口３１ｂの
各開口は互いに同形同大をなして、左右に向って並設さ
れている。

【００２５】ガイド体６０は、側壁６０ａ、取付部６０
ｂ及びガイド部６０ｃを有しており、取付部６０ｂを弁
本体３０の基部に嵌合してセットされ、ガイド部６０
は、弁本体３０の取付面から所定の間隔をおいて先端部
までに形成されている。制御スペーサ４０は、図３の制
御スペーサと同様に、その整流部４２の先端部をガイド
部６０ｃに当接させるように形成され、ジョイント１７
に一体に組み付けられ、取扱が容易になっている。キャ
ブレタ２０には吸気通路２０ｂが２個形成され、制御ス
ペーサ４０の上流側に２個の吸気通路２０ｂが設けられ
ており、この２個の吸気通路２０ｂからの吸気が制御ス
ペーサ４０の通路４１ａを通り、整流部４２を介して互
いに合流させ、さらにガイド部６０ｃから弁本体３０の
下流端開口３１ｂに導くように構成されている。

【００２６】次に、図８及び図９の第６実施例について
説明する。図８は２サイクルエンジンの吸気装置を示す
図、図９はリード弁、ジョイント、ガイド体及び制御ス
ペーサの組付状態を示す図である。この実施例のリード
弁１６の弁本体３０には、弁通路３１の上流端開口３１
ａは弁本体３０の基部端に開口し、下流端開口３１ｂは
弁本体３０の上、下面壁にそれぞれ形成される４個ずつ
の計８つの開口で構成され、これら下流端開口３１ｂの
各開口は互いに同形同大をなして、左右に向って並設さ
れている。ガイド体６０は、前記第５実施例と同様に構
成され、制御スペーサ４０は、その整流部４２に切欠４
２ａが形成され、この切欠４２ａにガイド部６０ｃが係
合されている。吸気が制御スペーサ４０の通路４１ａを
通り、整流部４２を介して互いに合流させ、さらにガイ
ド部６０ｃから弁本体３０の下流端開口３１ｂに導くよ
うに構成されている。

【００２７】

【発明の効果】前記したように、請求項１記載の発明
は、ジョイントの内部に、吸気を制御してリード弁の弁
通路に導く制御スペーサを着脱可能に配置したから、制
御スペーサを交換するだけの簡単な構造で、吸気通路の
形状や断面積を変更でき、低コストで、エンジンに応じ
た充填効率を容易に得ることができる。

【００２８】請求項２記載の発明は、制御スペーサの上
流側に複数の吸気通路を有し、この複数の吸気通路を制
御スペーサを介して互いに合流させてリード弁の弁通路
に導くから、複数の吸気通路を備える場合でも制御スペ
ーサにより吸気通路の形状や断面積を変更でき、低コス
トで、エンジンに応じた充填効率を容易に得ることがで
きる。

【００２９】請求項３記載の発明は、制御スペーサを、
ジョイントからリード弁内側に延出させたから、ジョイ
ントを介してクランクケースにキャブレタを取付ける場
合でも、制御スペーサをジョイントからリード弁内側に
延出させることで、制御スペーサにより吸気がリード弁
の弁通路まで確実に整流され、充填効率を向上させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】吸気装置を備える２サイクルエンジンの概略構
成図である。

【図２】制御スペーサの斜視図である。

【図３】２サイクルエンジンの吸気装置を示す図であ
る。

【図４】吸気装置を備える２サイクルエンジンの概略構
成図である。

【図５】２サイクルエンジンの吸気装置を示す図であ
る。

【図６】２サイクルエンジンの吸気装置を示す図であ
る。

【図７】リード弁、ジョイント、ガイド体及び制御スペ
ーサの組付状態を示す図である。

【図８】２サイクルエンジンの吸気装置を示す図であ
る。

【図９】リード弁、ジョイント、ガイド体及び制御スペ
ーサの組付状態を示す図である。

【符号の説明】

１ ２サイクルエンジン ４ クランクケース １５ 吸気通路 １６ リ一ド弁 １７ ジョイント ２０ キャブレタ ４０ 制御スペーサ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クランクケースにジョイントを介してキャ
   ブレタを取付け、前記ジョイントより下流側に配置され
   たリ一ド弁を通し、前記クランクケースの外部から内部
   ヘ向う方向へ吸気する吸気通路を備える２サイクルエン
   ジンの吸気装置において、前記ジョイントの内部に、吸
   気を制御して前記リード弁の弁通路に導く制御スペーサ
   を着脱可能に配置したことを特徴とする２サイクルエン
   ジンの吸気装置。
2. 【請求項２】前記制御スペーサの上流側に複数の吸気通
   路を有し、この複数の吸気通路を前記制御スペーサを介
   して互いに合流させて前記リード弁の弁通路に導くこと
   を特徴とする請求項１記載の２サイクルエンジンの吸気
   装置。
3. 【請求項３】前記制御スペーサを、前記ジョイントから
   前記リード弁内側に延出させたことを特徴とする請求項
   １または請求項２記載の２サイクルエンジンの吸気装
   置。