JPH0941338A - 構造物の被覆法と治具枠又は被覆材の設置法及びコンクリート 系被覆材とコンクリート系被覆材の製造法 - Google Patents

構造物の被覆法と治具枠又は被覆材の設置法及びコンクリート 系被覆材とコンクリート系被覆材の製造法

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JPH0941338A
JPH0941338A JP18966695A JP18966695A JPH0941338A JP H0941338 A JPH0941338 A JP H0941338A JP 18966695 A JP18966695 A JP 18966695A JP 18966695 A JP18966695 A JP 18966695A JP H0941338 A JPH0941338 A JP H0941338A
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Yukio Yoshikawa
幸雄 吉川
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 鋼構造物やコンクリート系構造物の保護や修
復等に有効な構造物の被覆法と、被覆材を所定の位置に
設置する治具枠又は被覆材の設置法、及び構造物の被覆
に好適なコンクリート系被覆材とその製造法を提供す
る。 【構成】 構造物に被覆材Gを係止具E,Hで取り付
け、治具枠を介して係止具を所定位置に取り付ける。構
造物と被覆材或いは更に底板Fで形成される空間に硬化
原料19又は軽量硬化原料を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、構造物の被覆法と治
具枠又は被覆材の設置法及びコンクリート系被覆材とコ
ンクリート系被覆材の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】先ず、この発明に使用される語句につき
説明する。構造物とは、港湾・水路・河川等の護岸に使
われている鋼矢板や鋼管矢板、或いは鋼管杭等の鋼構造
物、コンクリート造や鋼構造の橋脚等、コンクリート系
や鋼系の構造物をいう。硬化原料とは、合成樹脂系・セ
メント系・合成樹脂セメント系等の未硬化又は未固化原
料をいい、AE剤を加えたものも含まれる。軽量硬化原
とは、起泡剤を利用して含泡させた起泡生コンクリー
トや起泡生モルタル、これに軽量骨材を加えた軽量起泡
生コンクリートや軽量起泡生モルタル、セメントと水
に、軽量骨材と、セルロース系やアクリル系の水中不分
離性混和剤・熱変性物質溶液・コンニャク溶液・フノリ
溶液・流動化剤・及び減水剤のうちの1又は2以上を加
えた水中不分離型の軽量生コンクリートや生モルタル
等、一般の生コンクリートや生モルタルより比重の小さ
い硬化原料のことをいい、硬化後の比重が1.0以上
2.0以下のものが好ましい。尚、起泡剤を利用して硬
化原料を含泡させるときは、セルロース系やアクリル系
の水中不分離性混和剤・熱変性物質溶液・コンニャク溶
液・フノリ溶液・流動化剤・及び減水剤のうちの1又は
2以上を加えるか、これを加えた起泡剤を使用して含泡
させることが好ましい。
【0003】熱変性物質溶液とは、熱溶した寒天溶液・
熱溶したトコロテン溶液・熱溶したゼラチン溶液等、熱
変性温度以上の温度では液状で、熱変性温度以下の温度
では固まる性質のもの、及び、水を加えた澱粉質のよう
に、熱変性して糊化するものや卵白又は卵白水溶液のよ
うに熱を加えると固まるものをいう。生コンクリート系
とは、生コンクリート又は生モルタルをいう。生コンク
リート又は生モルタルには、水中不分離型の生コンクリ
ートや生モルタルも含まれる。コンクリート系とは、モ
ルタル・コンクリート・鉄筋コンクリート・鉄骨コンク
リート・鉄骨鉄筋コンクリート・プレストレストコンク
リート・繊維(炭素繊維・スチールファイバー・合成樹
脂繊維・耐アルカリ性ガラス繊維等)入りモルタルやコ
ンクリート・合成樹脂モルタルや合成樹脂コンクリート
等を総称する。被覆材にはコンクリート系の他FRP板
・合成樹脂板・金属板等を使用することができる。係止
は、雄の係止具に雌の係止具を掛け止めする掛け止め
(引っかけ)型係止具と、雌の係止具に雄の係止具を挿
入して係止する挿入係止型係止具に分けられ、これを総
称して係止具という。
【0004】海岸の岸壁に使用されている矢板の飛沫帯
の腐食を防護する方法として、メタルホームを陸上で連
結し支保材を取り付けて大型型枠を作る一方、矢板にセ
パレーターと鉄筋を溶着し、更に鉄筋網を取り付けた上
で前記大型型枠を吊り下げ、メタルホームに孔開けして
セパレーターで結合し、大型型枠と矢板間に水中不分離
型の生コンクリートを打設して硬化させ、矢板をコンク
リートで被覆する方法が知られている。しかし、上記方
法は、鉄筋やセパレーターを溶着するスタッド工事、鉄
筋工事・型枠工事・脱型工事等を必要とし、しかも、こ
れらの工事が水中で行われるため、コスト高となりかつ
工期が長くなるという問題点があった。また、被覆材を
矢板に取り付けて、被覆材と矢板等の間に水中不分離型
コンクリートを打設することも考えられるが、被覆材を
ボルトナットで取り付けるには被覆材に水中でボルト孔
をあけなければならず、ボルト頭とナットが外側に露出
して錆びやすいばかりか、被覆材を水中に吊り下げたま
ま取り付け作業をしなければならないので安全性に欠
け、かつ、矢板の打ち込みが予定したところに確実に打
ち込まれず、ジャンクション(連結部)を基軸にして向
きが変わり、被覆材を所望の位置に取り付けることが困
難である等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記した
従来技術の問題点を解決するばかりか、陸上のコンクリ
ート系構造物や鋼構造物の保護や修復等にも有効な構造
物の被覆法と、被覆材を所定の位置に設置する治具枠又
は被覆材の設置法、及び構造物の保護や修復に適したコ
ンクリート系被覆材と、コンクリート系被覆材の好適な
製造法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用】上記目的を達する
1番目の発明の構造物の被覆法は、構造物と被覆材に雌
雄の係止具を設けておき、該係止具により被覆材を構造
物の外側に取り付け、構造物と被覆材或いは更に底板を
型枠として硬化原料又は軽量硬化原料を設け、硬化させ
て一体化させることを特徴とする。上記構造物の被覆法
は、被覆材を構造物に係止具で取り付けるので、被覆材
に結合用のボルト孔を設ける必要がなく、被覆材の表面
が損傷されないばかりか、ボルト先端も表面に露出せ
ず、ボルト結合等の手間も省かれ、しかも、構造物と被
覆材或いは更に底板を型枠として設けられる硬化原料又
は軽量硬化原料の硬化で、被覆材は構造物に一体化して
取り付けられることになる。特に、構造物が海中や河川
における構造物の場合、ボルト先端が外部に出ないの
で、錆びたり水中生物が付着し難く外観もよい。また軽
量硬化原料を使用するときは、一般の硬化原料より比重
が小さいので、水中・陸上共に被覆材にかかる側圧が小
さくなり、被覆材の強度が低くてもよく経済性に優れ、
陸上では構造物に断熱性を付与し、軽量硬化原料がセメ
ント系等の無機質系の場合は、耐火性も付与する。
【0007】2番目の発明の構造物の被覆法は、1番目
の発明の構造物が鋼矢板・鋼管矢板又は鋼管杭であり、
被覆材がコンクリート系被覆材であることを特徴とす
る。上記構造物の被覆法は、コンクリート系被覆材を鋼
矢板・鋼管矢板又は鋼管杭に係止具で取り付けるので、
コンクリート系被覆材に結合用のボルト孔を設ける必要
がなく、コンクリート系被覆材の表面が損傷されないば
かりか、ボルト先端も表面に露出せず、ボルト結合等の
手間も省かれ、しかも、鋼矢板等の構造物とコンクリー
ト系被覆材或いは更に底板を型枠として設けられる硬化
原料又は軽量硬化原料の硬化で、コンクリート系被覆材
は鋼矢板等の構造物に一体化して取り付けられることに
なり、コンクリート系被覆材が鉄筋コンクリート・プレ
ストレストコンクリート・繊維入りコンクリート等の場
合は、コンクリート系被覆材自体が波浪等に対抗して、
多少損傷した鋼矢板等の鋼構造物でも保護することがで
き、飛沫帯における錆の発生も防止することができる。
また、軽量硬化原料を使用するときは、1番目の発明同
様に、被覆材にかかる側圧が小さくなり、被覆材の強度
が低くてもよく経済性に優れている。
【0008】3番目の発明の構造物の被覆法は、1番目
又は2番目の発明の構造物又は被覆材に設けられた雄の
係止具が、ボルトに螺嵌した金属板又はナット付き有孔
金属板であることを特徴とする。上記構造物の被覆法で
は、雄の係止具がボルトに螺嵌した金属板又はナット付
き有孔金属板だから、螺口を設けた金属板又はナットを
回転させることにより、雄の係止具をボルトの軸方向に
移動させて所望の位置に位置させ、被覆材を構造物の傾
斜等による寸法差に対応して係止させ取り付けることが
できる。
【0009】4番目の発明の構造物の被覆法は、構造物
に、治具枠を介して雄又は雌の係止具を所定位置に取り
付けるか、又は、雄又は雌の係止具を取り付けた治具枠
を取り付け、治具枠を除去するか除去することなく、被
覆材を、上記構造物又は治具枠の雄又は雌の係止具に対
向する雌または雄の係止具に係止して構造物に取り付
け、上記構造物と被覆材或いは更に底板を型枠として硬
化原料又は軽量硬化原料を設け、硬化させて一体化させ
ることを特徴とする。構造物が鋼矢板等の場合、地中に
正確に打ち込まれることはなく、傾斜したり向きが違っ
たりしており、構造物の所望の位置に係止具を取り付け
ることは至難である。しかし、雄又は雌の係止具を治具
枠を介して構造物に取り付けると、雄又は雌の係止具を
構造物の所定の位置に取り付けることができ、この場合
は治具枠を除去してから被覆材を取り付けるので、治具
枠を繰り返し使うことができて経済的である。雄又は雌
の係止具を取り付けた治具枠を構造物に取り付けるとき
は、雄又は雌の係止具は治具枠の所定のところに取り付
けられているので、治具枠を除去することなく被覆材を
容易に取り付けることができ、水中工事を必ずしも必要
としない。陸上における構造物を被覆する場合も、類似
の作用効果を呈する。軽量コンクリートを使用するとき
は、1・2番目の発明同様に、被覆材にかかる側圧が小
さくなり、被覆材の強度が低くてもよく経済性に優れて
いる。
【0010】5番目の発明の構造物の被覆法は、係止具
ガイド或いは更に支保材か底板か支保材付き底板を設け
た治具枠を介して、構造物に雄又は雌の係止具或いは更
に支保材か底板か支保材付き底板を所定位置に取り付
け、治具枠を除去した後、被覆材を上記構造物の雄又は
雌の係止具に対向する雌または雄の係止具に係止して構
造物に取り付け、上記構造物と被覆材或いは更に底板を
型枠として硬化原料又は軽量硬化原料を設け、硬化させ
て一体化させることを特徴とする。構造物が鋼矢板等の
場合、地中に正確に打ち込まれることはなく、傾斜した
り向きが違ったりしており、構造物の所望の位置に係止
具や支保材・底板・支保材付き底板等を取り付けること
は至難である。しかし、係止具ガイドを設けた治具枠を
構造物所望の位置に設置してから係止具を構造物に取り
付けると、係止具を構造物の所望の位置所望の方向に取
り付けることができ、被覆材の取り付けが容易である。
治具枠に更に支保材・底板・支保材付き底板等を設けて
おくと、これらも構造物の所定のところに取り付けるこ
とができる。この場合、支保材等は治具枠に着脱自在に
取り付けておいたり仮止めしておけばよい。被覆材の取
り付けは治具枠を除去した後行われるので、治具枠は繰
り返し使用することができる。陸上における構造物を被
覆する場合も、類似の作用効果を呈する。軽量コンクリ
ートを使用するときは、1・2番目の発明同様に、被覆
材にかかる側圧が小さくなり、被覆材の強度が低くても
よく経済性に優れている。
【0011】6番目の発明の構造物の被覆法は、構造物
が鋼矢板・鋼管矢板又は鋼管杭のとき、該鋼矢板・鋼管
矢板又は鋼管杭に被覆材或いは更に底板を取り付け、上
記鋼矢板・鋼管矢板又は鋼管杭と被覆材或いは更に底板
を型枠として硬化原料又は軽量硬化原料を設け、硬化さ
せて一体化させることを特徴とする。上記構造物の被覆
法は、構造物と被覆材或いは更に底板を型枠として硬化
原料又は軽量硬化原料を設け、硬化原料の硬化で一体化
させるもので、硬化原料又は軽量硬化原料の硬化後型枠
除去を必要とせず、作業が簡易化される。軽量コンクリ
ートを使用するときは、1・2番目の発明同様に、被覆
材にかかる側圧が小さくなり、被覆材の強度が低くても
よく経済性に優れている。
【0012】7番目の発明の構造物の被覆法における治
具枠又は被覆材の設置法は、[ 型材を介して治具枠ま
たは被覆材を吊り下げ、治具枠又は被覆材を昇降・前後
移動等させて、所定の位置に設置することを特徴とす
る。港湾等における岸壁は、鋼矢板等を打ち込み、その
上にコンクリートの上部工が設けられており、上部工前
端が鋼矢板等から突出しているので、治具枠又は被覆材
を上部工の突部下の所定の位置に設置することは困難で
あるが、[ 型材を介して治具枠又は被覆材を吊り下げ
ると、[ 型材が上部工の突部に遊嵌する状態で治具枠
等を上部工の突部下所定の位置に設置できる。
【0013】8番目の発明の構造物用被覆材は、構造物
に設けた雄又は雌の係止具に係止する、対向する雌又は
雄の係止具を設けたことを特徴とする。上記被覆材は、
係止具が掛け止め型係止具の場合は、被覆材を降下さ
せ、被覆材に設けた係止具を構造物に取り付けられた係
止具に係止するだけで取り付けられ、係止具が挿入係止
型係止具の場合は、雄の係止具と雌の係止具を対向さ
せ、被覆材を押圧して雄の係止具を雌の係止具に挿入さ
せ係止するだけで取り付けられるから、ボルト孔を設け
る必要がなく、螺子結合の手間も省かれ、取り付け工事
を至簡かつ安全に行うことができる。
【0014】9番目の発明の構造物用被覆材は、8番目
の発明の被覆材の横断面形状が、凹型、Z型、弧型、外
側へ折り曲げてフック状を形成した凹型、又は、両側端
部が山型又は頂部が凹んだ弧型を形成した凹型であるこ
とを特徴とする。上記被覆材は、係止具が掛け止め型係
止具の場合は、被覆材を降下させ、被覆材に設けた係止
具を構造物に取り付けられた係止具に係止するだけで取
り付けられ、係止具が挿入係止型係止具の場合は、雄の
係止具と雌の係止具を対向させ、被覆材を押圧して雄の
係止具を雌の係止具に挿入させ係止するだけで取り付け
られるから、ボルト孔を設ける必要がなく、螺子結合の
手間も省かれ、取り付け工事を至簡かつ安全に行うこと
ができる。また横断面形状が凹型(溝型や山型)、Z
型、弧型、外側へ折り曲げてフック状を形成した凹型、
又は、両側端部が山型又は頂部が凹んだ弧型を形成した
凹型であるため、曲げ強度に優れており、構造物が連続
壁を形成する矢板の場合、1枚又は1本の矢板を1枚の
被覆材で覆うように配設できるので、ジャンクションに
おける矢板の変位にかかわりなく、矢板に沿って容易に
取り付けることができる。また鋼管杭の場合は、複数個
の弧型被覆材を鋼管杭の回りに沿って配設し容易に取り
付けることができる。
【0015】10番目の発明の構造物用被覆材は、構造
物を被覆する被覆材の隣接被覆材側の重なり部又は突き
合わせ部に、隣接被覆材との間をシールする弾性体を取
り付けたことを特徴とする。上記被覆材は、隣接被覆材
との重なり部又は突き合わせ部に、隣接被覆材との間を
シールする弾性体が取り付けられているので、弾性体に
より被覆材間がシールされ、構造物と被覆材間に硬化原
料又は軽量硬化原料を設けるとき、これらの漏洩を防止
することができる。
【0016】11番目の発明の構造物用被覆材は、8番
目〜10番目の発明の構造物用被覆材に、硬化原料注入
口とホース接続具を設けたことを特徴とする。上記被覆
材は、8番目〜10番目の発明の作用効果の他に、硬化
原料注入口とホース接続具が設けられているので、ホー
スを接続して、注入口から硬化原料又は軽量硬化原料を
構造物と被覆材間に注入することができる。尚注入口は
所望の位置に設けられるので、所望の位置から硬化原料
が注入されることになる。
【0017】12番目の発明のコンクリート系被覆材の
製造法は、構造物を被覆するコンクリート系被覆材を、
車の荷台上で成形して硬化させることを特徴とする。コ
ンクリート製品は重量が大であるため運搬費が嵩み、自
ずから出荷距離が限定される。しかし、コンクリート系
被覆材を施工現場又はその近くの車の荷台上で成形して
硬化させると、運搬費が節約でき、必ずしも土地を借り
る必要もなくなり、工費を低廉ならしめることができ
る。
【0018】13番目の発明のコンクリート系被覆材の
製造法は、構造物を被覆するコンクリート系被覆材を製
造するに際して、鉄筋網を吊り下げ所定の位置に配置し
て生コンクリート系を打設し硬化させることを特徴とす
る。鉄筋網を配設するときは、スペーサを利用して鉄筋
網を配設しており、スペーサは生コンクリート系に埋め
込まれるので消耗品であり、かつスペーサが外部に露出
するなどの問題点があったが、鉄筋網を吊り下げ所定の
位置に配設すると、少なくとも底部のスペーサを節約で
き、底面にスペーサの痕跡が生じない。
【0019】14番目の発明の構造物の被覆法は、構造
物に碇着材を固着し、鉄筋網を取り付けるか取り付ける
ことなく、その外側に型枠を配設し、構造物と型枠或い
は更に底板で形成される空間に軽量硬化原料を設け、軽
量硬化原料が硬化した後型枠或いは更に底板を除去する
ことを特徴とする。上記構造物の被覆法は、構造物と型
枠間に軽量硬化原料を打設するので、型枠にかかる側圧
が少なくなって型枠や支保材等を節約でき、構造物が陸
上の構造物の場合は断熱性を付与し、軽量硬化原料がセ
メント系等の無機質系硬化原料の場合は耐火性をも付与
する。
【0020】
【実施例】以下この発明の構造物の被覆法を、港湾に打
ち込まれて岸壁を構成した鋼矢板を構造物とし、その飛
沫帯をコンクリート系被覆材(以下単に被覆材とい
う。)で被覆し、鋼矢板と被覆材間に生コンクリート系
(以下単に硬化原料という。)を打設する場合を例にと
り、施工順に説明する。尚、図1は凹型鋼矢板のジャン
クションにおける変位態様を示し、図2はZ型鋼矢板の
ジャンクションにおける変位態様を示す。共に、実線で
示されるような所定の位置に打ち込もうとしても、点線
で示されるように、ジャンクションで向きが変わる等変
位する。
【0021】図3及び図4は治具枠Aとその設置法を示
す。治具枠Aは、アングル等の鋼材を溶接等により四角
形に形成したもので、係止具を取り付けたボルトを所定
の位置所定の方向に取り付けるための係止具ガイド1
と、底板支保材や底板或いは支保材付き底板等の底部材
を所定の位置に取り付ける底部材位置決め具2が取り付
けられており、陸上で治具を利用する等して精度正しく
つくられている。尚係止具ガイド1は、図5に示される
ように、溝形鋼の両側のフランジ部(中実の棒鋼等の鋼
材であってもよい。)に、雄の係止具を取り付けたボル
トを載置してその位置と方向を定める凹部3を形成した
ものである。治具枠Aを所定のところに設置するには、
治具枠設置具Bを利用する。治具枠設置具Bは、鋼矢板
Cの上部につくられた上部工Dの上面に、ジャツキや楔
等の治具枠取り外し具4を介して載置する横定規5と、
これに取り付けられた縦定規6により構成され、2組の
治具枠設置具B・Bを、連結具7により治具枠Aに取り
付けたもので、横定規と一番上の連結具及びこの間の縦
定規は[ 型を形成する。尚横定規5と縦定規6は、直
角に接合してもよく、横定規の下端を上部工の上面に合
わせ縦定規を上部工の側面に合わせて接合してもよい。
また、治具枠を所望の位置に設置するために、角度調整
可能に組み立ててもよい。
【0022】先ず陸上で治具枠Aを取り付けた治具枠設
置具Bをクレーンで吊り、治具枠設置具Bの横定規5を
上部工Dの上面に治具枠取り外し具4を介して載せ、縦
定規6を上部工Dの側面に沿わせて治具枠Aを所定の位
置に設置する。この場合、鋼矢板に傾きがあったり鋼矢
板の向きが異なり、縦定規6を垂下させない場合は、治
具枠取り外し具4を利用したり、縦定規と横定規の角度
を変えること等で、治具枠Aを所望の位置に設置する。
次に図6に示されるように、水中で雄の係止具E付きナ
ット9(係止具Eが螺孔を設けた金属板の場合は金属
板)を螺嵌したボルト8を係止具ガイド1の凹部3に載
せ、雄の係止具E付きナット9(係止具Eが螺孔を設け
た金属板の場合は金属板)及び又はボルト8を回転させ
て、ボルト8の先端を鋼矢板Cに当接させ、雄の係止具
Eが所定の場所に位置したことを確認してボルト8の先
端部を鋼矢板Cに水中溶接する。尚ボルト8の先端部に
は、図示のようにナットまたは板材等の溶着材10を取
り付けておき、溶着材10を鋼矢板Cに溶接してもよ
い。溶接長が長くなりボルト8を鋼矢板Cに強固に取り
付けることができる。尚ボルト8の長さが長すぎるとき
は、長すぎる部分をカットする。次に底部材位置決め具
2により、図7に示される支保材11を鋼矢板Cに水中
溶接するか、更に支保材11上に後記する底板を載せる
か、支保材付き底板の支保材を鋼矢板Cに水中溶接し
て、水中溶接工事が終わる。
【0023】次に陸上で、治具枠取り外し具4が楔の場
合はこれを取り外し、治具枠取り外し具4がジャッキの
場合はこれを利用する等して治具枠設置具Bを下降さ
せ、係止具ガイド1の上端が雄の係止具Eより下方に位
置したところで治具枠設置具Bを海方向に移動させ、更
に横移動させて次の工事場所に移す。上記水中工事で、
支保材11を鋼矢板Cに取り付けただけで底板が取り付
けられていない場合は、この間に、水中工事を行ってい
た作業者は、図8に示されるように、底板Fを支保材1
1の上に載せて底型枠を形成する。底板Fは、図8及び
図9に示されるように、ジャンクション12より海側が
鋼矢板Cの凸部に嵌合し、ジャンクション12より陸側
は向きの異なる凹部にも対応できる平面形状と、隣接す
る底板Fと重なる凹凸を形成した側面形状を有し、コン
クリート基材13上にボルト等の碇着材14を突設した
もので、碇着材14は、その上に打設される硬化原料に
埋没して一体化するので、底板Fは必ずしも鋼矢板Cに
固着する必要はなく、支保材11の上に載置するだけで
もよい。また底板Fは、陸上で底部材位置決め具2に支
保材11を着脱自在に取り付けておき、その上に載せて
おいて治具枠Aを所定の位置に設置し、底板Fを載せた
まま支保材11を鋼矢板Cに溶接してもよく、治具枠A
の底部材位置決め具2の上部に仮固定しておき、支保材
11を鋼矢板Cに溶接した後、仮固定を解いて支保材1
1の上に載せてもよい。このような場合は、治具枠移動
後に底板Fを海中に吊り下ろす作業を省くことができ
る。
【0024】雄の係止具Eと底板Fの取り付けが終わっ
たら、被覆材の設置が始まる。被覆材Gは陸上でつくら
れ、図10に示されるように、鋼矢板Cに対向する面
に、鋼矢板Cに取り付けられた雄の係止具Eを係止す
る、切欠部15を有する雌の係止具Hが取り付けられて
おり、上面には吊り輪又は吊りボルトを螺挿する埋設ナ
ット16が設けられている。図11に示されるように、
被覆材Gを、埋設ナット16に螺挿した吊り輪17と
[ 型材1を介してロープ18で吊り上げ、左側→右側
の順で、被覆材Gを昇降前後移動等させ、被覆材Gの雌
の係止具Hを鋼矢板Cに取り付けた雄の係止具Eに係止
させ、L型材Iと吊り輪17を外すと、被覆材Gは鋼矢
板Cの所定の位置に設置されることになり、このとき被
覆材Gは図12に示されるように、底板F上に位置して
側型枠となる。以上の作業は陸上で行われる。次に硬化
原料19を鋼矢板Cと被覆材Gの間に流し込むと、被覆
材Gは、鋼矢板Cに一体化して取り付けられる。尚被覆
材Gと鋼矢板C間には、鋼矢板Cに溶着したボルト等の
碇着材に鉄筋網を取り付けておいて硬化原料を打設して
もよい。被覆材Gが金属板等の場合、その内側に鉄筋網
入り硬化体を構成して鋼矢板を2重に保護することがで
きる。
【0025】以上実施1例につき説明したが、係止具は
上記掛け止め型係止具に限定されない。例えば、図13
に示されるような、被係止部20を備えた雄の係止具J
と、係止部21を備えた雌の係止具Kよりなる掛け止め
型係止具であってもよい。又雄の係止具は被覆材に取り
付けてもよく鋼矢板に取り付けてもよい。[ 型材I
は、被覆材の設置のみならず、治具枠Aを吊り下げて治
具枠Aを所定の位置に設置することにも利用できる。被
覆材Gは、図14に示されるように、上下複数個の被覆
材G、G、G……に分けてもよい。個数が増えるので、
製造手間と取り付け手間がかかるが、車の小型レッカー
で吊り上げ吊り下ろしができて便利であり、下部の被覆
材を順次横方向に取り付けてゆき、硬化原料を打設して
から順次上の方の被覆材を取り付けることもでき、取り
付け状況と硬化原料の打設状況を陸上からチェックしや
すく、荷重が分散される利点もあり、鉄筋コンクリート
製被覆材に適している。
【0026】被覆材は図15及び図16に示されるよう
に、鋼矢板C側にボルト等の碇着材14を突設した被覆
材Gであってもよい。鋼矢板Cにも碇着材14を突設す
ると鋼矢板Cと被覆材Gは、その間に設けられた硬化原
料19により一体化する。尚被覆材Gの上下部に雌の係
止具Hを設けておき、鋼矢板側に雌の係止具Hに対応す
る雄の係止具Eを設けておいて係止(掛け止め)させる
と、ボルトとナットで螺子結合するより作業を行いやす
い。この場合も底板Fを鋼矢板Cに取り付けた支保材1
1上に載置して底型枠を形成する。この場合被覆材に
は、プレストレストコンクリート製被覆材が適してい
る。尚この場合も、被覆材Gと鋼矢板C間には、鋼矢板
Cに溶着した碇着材14に縦筋22と横筋23を取り付
けておいて鉄筋網を構成し、硬化原料19を打設しても
よい。また、鋼矢板Cの凹部側に溶着した碇着材14
に、胴長ナット24を介して長ボルト25を取り付け、
碇着材の長さを長くすることができる。
【0027】被覆材Gには、図17及び図18に示され
るように、硬化原料注入口26・ホース接続具27・開
閉弁28を設け、ホース29をホース接続具27で連結
して硬化原料19を注入し、注入を終わったら開閉弁2
8を閉じてもよい。注入口26を被覆材Gの下部に設け
ると、硬化原料を下部から順次上部に移動するように注
入することができる。図中Fは底板、30は開閉弁貫通
口である。図19に示されるように、鋼矢板Cの凸部間
に金属板31を取り付け、金属板31を雌の係止具にし
てもよく、金属板31に雄又は雌の係止具を取り付けて
もよい。底板の平面形状は図8に示した底板Fの平面形
状に限定されず、図20に示される鋼矢板Cの凹部に嵌
める略台形の底板Fであってもよい。この場合被覆材G
の縦断面形状は、底型枠を形成する下部突状を形成した
ものになる。また底板Fの平面形状は、図21に示され
るような、鋼矢板Cの凹部に嵌まりかつ被覆材Gの下部
に位置する部分を有する略凸型の平面形状であってもよ
い。この場合、被覆材の下部突条は必ずしも必要ではな
い。即ち被覆材は、底面型枠を形成したものであっても
よく、底面型枠を形成しないものでもよい。底板と鋼矢
板の間にできる隙間には、粘土セメントを設けたり、砂
利や砂或いは砂や生モルタルを入れた袋を載せてシール
することができる。
【0028】被覆材と底板間・被覆材と隣接被覆材間・
底板と鋼矢板間には、スポンジ等の弾性体をいずれかに
取り付けておくことができる。また、被覆材の一側の端
部には、図22に示されるように、隣接被覆材に当接し
て突き合わせ部をシールする弾性体(樹脂を含浸させた
布・フエルト・ゴム・スポンジ等)32を、接着剤で貼
着したり一部を埋設して固着し突設しておくことができ
る。左側の被覆材Gは既に鋼矢板に取り付けられてお
り、右側の隣接被覆材Gを矢印方向に移動させると、弾
性体32に当接して、被覆材G、G間をシールすること
ができ、被覆材と鋼矢板間に打設する硬化原料の漏洩を
防止することができる。上記弾性体32は帯状である
が、弾性体の形状は帯状に限定されない。鋼矢板は打ち
込み時ジャンクションで向きが変わる場合が多いが、図
23に示されるように、被覆材Gの平面形状を鋼矢板の
平面形状に沿った凹型に形成し、1枚の鋼矢板を1枚の
被覆材で被覆するようにするとき、鋼矢板Cの凹部に設
ける被覆材Gの端部にイ字型又はT型等の弾性体32を
固着しておき、該弾性体32に当接させて鋼矢板の凸部
に設ける被覆材Gを配設すると、被覆材G・G間はシー
ルされ、かつ被覆材は鋼矢板の傾き等にかかわりなく鋼
矢板に沿って取り付けられ、鋼矢板と被覆材間に打設す
る硬化原料の量も少なくなり、被覆材にかかる側圧や底
板にかかる荷重も少なくなって、被覆材も厚さを薄くす
ることができ、係止具にかかる力も少なくなって、総体
的にローコストになる。
【0029】被覆材Gは図24に示されるように、平面
形状を鋼矢板の平面形状に略沿わせ(鋼矢板のジャンク
ションにおける向きの変わりに対応できるようにゆとり
を持たせる。)かつ隣接被覆材の端部と重なる重なり部
を形成した凹型形状にしてつくったものでもよい。重な
り部の対向面のいずれかにスポンジやゴム等の紐状弾性
体32を取り付けておき、右側の被覆材Gを鋼矢板に取
り付けるとき弾性体32が押圧されるようにすると、被
覆材の重なり部がシールされる。構造物が図25に示さ
れるように鋼管矢板Lの場合も、鋼管矢板Lと同心円の
弧型被覆材Gの端部を、隣接被覆材Gの単部と重なるよ
うにしておき、重なり部の対向面のいずれかに紐状弾性
体32を取り付けておき、右側の被覆材Gを鋼管矢板に
取り付けるとき紐状弾性体32が押圧されるようにする
と、被覆材の重なり部がシールされる。構造物が鋼管矢
板Lの場合の被覆材は、図26に示されるように、弧型
の被覆材Gであってもよい。この場合の弾性体32は両
側の被覆材G・G間に介在する傘状のものであり、いず
れかの被覆材Gの単部に固着しておいて、隣接被覆材G
との間をシールする。尚図23〜26における鋼矢板又
は鋼管矢板への被覆材の取り付けには、図13に示され
る雄の係止具Jと雌の係止具Kの利用が好適であるが、
雄の係止具Eと雌の係止具Hを利用してよいことはいう
までもない。このような凹型や弧型の被覆材には、繊維
入り高強度モルタルが適している。
【0030】被覆材の横断面形状は、凹型や弧型に限定
されず、図27に示されるように、Z型鋼矢板Cに対応
する被覆材GのようにZ型であってもよい。また、図2
8に示されるように、凹型鋼矢板Gに対応する被覆材G
の横断面形状を、両側端部を外側へ折り曲げてフック状
を形成した凹型に形成してもよい。先ず海側の鋼矢板即
ち連続壁部の凸部に被覆材Gを取り付け、次に連続壁部
の凹部に被覆材Gを取り付ける。また、被覆材Gの横断
面端部形状は、図29に示される被覆材Gのように、両
側端部が、頂部に凹んだ弧型を形成した山型であっても
よく、図27に示される被覆材Gのように山型であって
もよく、図31に示される被覆材G・Gのように、一対
の被覆材のいずれかの端部に弧型を形成し、他の被覆材
の端部にはこれに対応する凹んだ弧型を形成してもよ
い。これらの被覆材は鋼矢板Cのジャンクションにおけ
る変位に対応して取り付けることができる。尚被覆材G
の一側又は両側に弾性体32を取り付けてよいことはい
うまでもない。
【0031】係止具は掛け止め型係止具に限定されず、
図30に示されるように、挿入係止型係止具であっても
よい。鋼矢板Cに取り付けられた雌の係止具Mには、被
覆材Gに取り付けられた茸型の雄の係止具Nの挿入係止
部44を挿入して係止する挿入孔45が設けられてい
る。挿入孔45は漏斗状に形成されており、その壁部に
は複数の切欠部が放射状に設けられていて、挿入係止部
44を挿入するときは上記壁部が開き、挿入係止部44
が挿入されると壁部の形状が復元して、雄の係止具が抜
けないようになっている。図示の挿入係止具は1例に過
ぎず、雌の係止具は溝型材の両端を内側に折り曲げたも
のでもよい。スプリング等を利用してつくると、雄の係
止具の挿入係止部を折り曲げ部間に挿入するときは折り
曲げ部が開き、挿入係止部が挿入されると折り曲げ部は
元の形状に復元して、雄の係止具が抜けないようにな
る。挿入係止型係止具には、例えば自動車のシートベル
トに利用されている金具等、公知のものや市販のものが
多くあり、これらを利用することができる。上記挿入係
止型係止具は、例えば、図16における上部工Dと、被
覆材G間の被覆材の取り付け等に利用することができ
る。掛け止め型係止具と違い、海方向から陸方向に移動
させ押圧するだけで取り付けられるので、被覆材を上部
工の下面ぎりぎりに取り付けることができる。
【0032】また、軽量硬化原料を使用するときは、被
覆材と構造物間に軽量硬化原料を設けることなく、構造
物に碇着材を固着し、鉄筋網を取り付けるか取り付ける
ことなく、その外側に型枠を配設し、構造物と型枠或い
は更に底板で形成される空間に軽量硬化原料を設け、軽
量硬化原料が硬化した後型枠或いは更に底板を除去して
もよい。以上鋼矢板又は鋼管矢板を構造物とする被覆法
につき説明したが、構造物は鋼管杭であってもよく、陸
上のコンクリート構造物や鋼構造物であってもよい。構
造物がコンクリート構造物の場合は、コンクリートに穿
孔してアンカボルト等の係止具取り付け材を埋めてお
き、これに係止具を取り付けて係止具付き被覆材を取り
付け、構造物と被覆材間に硬化原料を設ければよい。被
覆材にはコンクリート系の他、鋼・ステンレス鋼・チタ
ン・合成樹脂・FRP等でつくったものを使用すること
ができる。また、硬化原料には、軽量骨材及び又は起泡
剤を使った軽量硬化原料を設けることができる。例え
ば、鋼矢板等の被覆を行う場合、鋼矢板等と被覆材間に
水又は海水と同比重の軽量硬化原料を打設すると、被覆
材にかかる側圧は零になる。
【0033】次にコンクリート系被覆材の製造法1例を
説明する。図32に示されるようにトラックの荷台33
上に底型枠34を載せ、側型枠35を組み、係止具36
を所定の位置に取り付けるための治具37を側型枠上に
位置させる。係止具36には碇着筋38が取り付けられ
ており、碇着筋38は鉄筋網39に取り付けられてい
て、治具37で吊られた状態になつている。ここで、車
の荷台に積んだミキサーでつくられた生コンクリート系
か、または生コンクリート車で運ばれた生コンクリート
系を型枠内に打設して硬化させると、コンクリート系被
覆材ができる。トラックにクレーンがついておれば、脱
型したコンクリート系被覆材をクレーンで吊り上げて車
外に出す。上記製造法では、施工現場又は現場近くで製
造できるので、運搬費を節減できる。又底型枠に発泡ス
チロール板等の断熱材を使用し、断熱材でつくった蓋を
して養生すると、水和熱を利用した湿空養生を行うこと
ができるし、蓋内で、又は蓋をすることなく、超音波加
湿器の発生微水滴で微水滴養生を行うこともできる。こ
れらのコンクリート系被覆材の製造法は、被覆材の製造
法だけでなく、一般の鉄筋コンクリートの製造法にも利
用することができる。
【0034】コンクリート系被覆材は、図33及び図3
4に示されるように、仕切板40を設けた型枠内でも製
造することができる。図中34は底型枠、35は側型枠
である。この場合鉄筋網39を取り付けたボルト41を
胴長ナット42の一側に螺挿しておき、治具37の孔に
挿通したボルト43を胴長ナット42の他側に螺挿し
て、鉄筋網39を吊り下げる。胴長ナット42は鉄筋網
39の高さを調整することができ、生コンクリート系を
打設して硬化した後ボルト43を取り除くと、胴長ナッ
ト42は吊り輪や吊りボルトを取り付けることができ
て、脱型したコンクリート系被覆材を吊り上げることが
できる。このコンクリート系被覆材の製造も車の荷台上
で行うことができる。
【0035】
【発明の効果】この発明は詳記のように構成され、海岸
の岸壁に使用されている鋼矢板等の飛沫帯の腐食防止と
保護を、水中溶接工事・鉄筋工事・脱型工事等の無駄を
なくして、至簡・安全・迅速かつ低廉に施工することが
できるばかりでなく、陸上のコンクリート系構造物や鋼
構造物の保護や修復等にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹型鋼矢板の変位態様を示す横断面図である。
【図2】Z型鋼矢板の変位態様を示す横断面図である。
【図3】治具枠とこれを取り付けた治具枠設置具の正面
図である。
【図4】治具枠の設置状態を示す側面図である。
【図5】係止具ガイドの一部斜視図である。
【図6】雄の係止具の鋼矢板への取り付けを示す一部断
面側面図である。
【図7】支保材の取り付け状態を示す一部断面平面図で
ある。
【図8】底板を支保材に載置した状態を示す一部断面平
面図である。
【図9】底板の配設状態を示す側面図である。
【図10】被覆材1例の斜視図である。
【図11】被覆材の設置順を示す側面図である。
【図12】被覆材の設置状況を示す一部断面側面図であ
る。
【図13】雌雄一対の係止具例を示す斜視図である。
【図14】上下複数個の被覆材の取り付け状態を示す正
面図である。
【図15】被覆材の取り付け状態を示す横断面図であ
る。
【図16】被覆材の取り付け状態を示す一部断面側面図
である。
【図17】注入口を設けた被覆材1例の下部正面図であ
る。
【図18】注入口から硬化原料を注入する状態を示す断
面図である。
【図19】鋼矢板に金属板を取り付けたところを示す平
面図である。
【図20】底板1例の平面図である。
【図21】底板1例の平面図である。
【図22】被覆材の取り付け状態1例の一部断面平面図
である。
【図23】被覆材の取り付け状態1例の横断面図であ
る。
【図24】被覆材の取り付け状態1例の横断面図であ
る。
【図25】被覆材の取り付け状態1例の横断面図であ
る。
【図26】被覆材の取り付け状態1例の横断面図であ
る。
【図27】被覆材の取り付け状態1例の横断面図と被覆
材端部拡大図である。
【図28】被覆材の取り付け状態1例の横断面図と被覆
材端部拡大図である。
【図29】被覆材の取り付け状態1例の横断面図と被覆
材端部拡大図である。
【図30】挿入係止型係止具1例の係止順序を示す断面
図である。
【図31】被覆材の取り付け状態1例の横断面図であ
る。
【図32】コンクリート系被覆材の製造法1例を示す縦
断面図である。
【図33】コンクリート系被覆材の製造法1例を示す縦
断面図である。
【図34】コンクリート系被覆材の製造法1例を示す平
面図である。
【符号の説明】
A…治具枠 B…治具枠設置具 C…鋼矢板 E・H・
J・K・M・N…係止具 F…底板 G…被覆材 L…
鋼管矢板 1…係止具ガイド 11…支保材 14…碇着材 19
…硬化原料 26…注入口 27…ホース接続具 32
…弾性体 33…荷台 36…係止具 39…鉄筋網

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物と被覆材に雌雄の係止具を設けて
    おき、該係止具により被覆材を構造物の外側に取り付
    け、構造物と被覆材或いは更に底板を型枠として硬化原
    料又は軽量硬化原料を設け、硬化させて一体化させるこ
    とを特徴とする、構造物の被覆法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の構造物が鋼矢板・鋼管矢
    板又は鋼管杭であり、被覆材がコンクリート系であるこ
    とを特徴とする、構造物の被覆法。
  3. 【請求項3】 構造物又は被覆材に設けられた雄の係止
    具が、ボルトに螺嵌した金属板又はナット付き有孔金属
    板であることを特徴とする請求項1・2記載の構造物の
    被覆法。
  4. 【請求項4】、構造物に、治具枠を介して雄又は雌の係
    止具を所定位置に取り付けるか、又は、雄又は雌の係止
    具を取り付けた治具枠を取り付け、治具枠を除去するか
    除去することなく、被覆材を、上記構造物又は治具枠の
    雄又は雌の係止具に対向する雌または雄の係止具に係止
    して構造物に取り付け、上記構造物と被覆材或いは更に
    底板を型枠として硬化原料又は軽量硬化原料を設け、硬
    化させて一体化させることを特徴とする、構造物の被覆
    法。
  5. 【請求項5】 係止具ガイド或いは更に支保材か底板か
    支保材付き底板を設けた治具枠を介して、構造物に雄又
    は雌の係止具或いは更に支保材か底板か支保材付き底板
    を所定位置に取り付け、治具枠を除去した後、被覆材を
    上記構造物の雄又は雌の係止具に対向する雌または雄の
    係止具に係止して構造物に取り付け、上記構造物と被覆
    材或いは更に底板を型枠として硬化原料又は軽量硬化原
    料を設け、硬化させて一体化させることを特徴とする、
    構造物の被覆法。
  6. 【請求項6】 構造物が鋼矢板・鋼管矢板又は鋼管杭の
    とき、該鋼矢板・鋼管矢板又は鋼管杭に被覆材或いは更
    に底板を取り付け、上記鋼矢板・鋼管矢板又は鋼管杭と
    被覆材或いは更に底板を型枠として硬化原料又は軽量硬
    化原料を設け、硬化させて一体化させることを特徴とす
    る、構造物の被覆法。
  7. 【請求項7】 [ 型材を介して治具枠または被覆材を
    吊り下げ、治具枠又は被覆材を昇降・前後移動等させ
    て、所定の位置に設置することを特徴とする、構造物の
    被覆法における治具枠又は被覆材の設置法。
  8. 【請求項8】 構造物に設けた雄又は雌の係止具に係止
    する、対向する雌又は雄の係止具を設けたことを特徴と
    する、構造物用被覆材。
  9. 【請求項9】 横断面形状が凹型、Z型、弧型、外側へ
    折り曲げてフック状を形成した凹型、又は、両側端部が
    山型又は頂部が凹んだ弧型を形成した凹型であることを
    特徴とする、請求項8記載の構造物用被覆材。
  10. 【請求項10】 構造物を被覆する被覆材の隣接被覆材
    側の重なり部又は突き合わせ部に、隣接被覆材との間を
    シールする弾性体を取り付けたことを特徴とする、構造
    物用被覆材。
  11. 【請求項11】 硬化原料注入口とホース接続具を設け
    たことを特徴とする請求項8〜10記載の構造物用被覆
  12. 【請求項12】 構造物を被覆するコンクリート系被覆
    材を、車の荷台上で成形して硬化させることを特徴とす
    る、コンクリート系被覆材の製造法。
  13. 【請求項13】 構造物を被覆するコンクリート系被覆
    材を製造するに際して、鉄筋網を吊り下げ所定の位置に
    配置して生コンクリート系を打設し硬化させることを特
    徴とする、コンクリート系被覆材の製造法。
  14. 【請求項14】 構造物に碇着材を固着し、鉄筋網を取
    り付けるか取り付けることなく、その外側に型枠を配設
    し、構造物と型枠或いは更に底板で形成される空間に軽
    量硬化原料を設け、軽量硬化原料が硬化した後型枠或い
    は更に底板を除去することを特徴とする、構造物の被覆
    法。
JP18966695A 1995-05-22 1995-06-22 構造物の被覆法と治具枠又は被覆材の設置法及びコンクリート 系被覆材とコンクリート系被覆材の製造法 Pending JPH0941338A (ja)

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