JPH0940981A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JPH0940981A
JPH0940981A JP7211174A JP21117495A JPH0940981A JP H0940981 A JPH0940981 A JP H0940981A JP 7211174 A JP7211174 A JP 7211174A JP 21117495 A JP21117495 A JP 21117495A JP H0940981 A JPH0940981 A JP H0940981A
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cyclic
lubricating oil
carbon atoms
oil composition
ketal
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JP7211174A
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Hiroyasu Togashi
博靖 冨樫
Toshiya Hagiwara
敏也 萩原
Yuichiro Kobayashi
勇一郎 小林
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】(a)成分であるアルキルベンゼン、鉱
油、又はポリ−αオレフィンを含有してなる潤滑油組成
物において、さらに下記の(b)成分を重量比(a)/
(b)=0.1/99.9〜99.0/1.0で含有し
ていることを特徴とする潤滑油組成物。(b)4価以上
10価以下の価数が偶数である多価アルコールと、カル
ボニル化合物またはケタールもしくはアセタールとから
得られる環状アセタール類、並びに該潤滑油組成物とハ
イドロフルオロカーボンを含有する冷凍機作動流体用組
成物。 【効果】本発明により、潤滑性、熱安定性及び酸化安定
性に優れ、吸湿性の低い、かつ、安価な潤滑油組成物を
提供することができ、またハイドロフルオロカーボンと
の相溶性、電気絶縁性、吸湿性等の性能に優れ、加水分
解等によるカルボン酸の発生がなく、かつ安価な冷凍機
の作動流体用組成物を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキルベンゼ
ン、鉱油、及びポリ−αオレフィンからなる群より選ば
れる1種以上と、特定の構造を有する環状ケタールある
いは環状アセタール化合物からなる潤滑油組成物、及び
この潤滑油組成物を用いた冷凍機作動流体用組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、更油期間の延長並びに省エネルギ
ー化に対する要望や機械装置の高性能化、小型化等に伴
い、潤滑油に要求される性能もより過酷なものとなって
きている。このため従来から使用されているアルキルベ
ンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィンは潤滑性、熱安
定性及び酸化安定性に劣るため、これらの性能がより優
れた潤滑油が強く要望されている。また、フロンによる
オゾン層の破壊や二酸化炭素、メタンガスによる地球の
温暖化、排ガス中の亜硫酸ガスやNOX による森林破
壊、化学物質の漏洩による土壌・湖沼の汚染等、地球環
境汚染の問題がクローズアップされており、潤滑油にお
いてもその対応が求められている。
【0003】上記の潤滑性、熱安定性、及び酸化安定性
向上の要望に応えるために、ポリアルキレングリコール
等のエーテルや脂肪族ジエステルやヒンダードエステル
等のエステルが開発され、エンジン油、作動油、グリー
ス基油、ギヤ油、圧延油、精密機械油等に利用されてい
る。
【0004】しかしながら、ポリアルキレングリコール
等のエーテルは、従来使用されている鉱物油に比べ極性
が高すぎるために、吸湿性が大きい、従来使用され
ている添加剤が溶解しない等の欠点を有している。この
ポリアルキレングリコールに比べ極性があまり高くない
エーテルとしては特公平1−29240号公報に述べら
れているハロゲン化アルキルとポリオールから合成され
るものがあるが、生成したエーテルにハロゲンが微量残
留し、熱安定性、酸化安定性を悪くする可能性がある。
【0005】またエステルにおいても、加水分解により
カルボン酸を生成し金属を腐食するという問題や、金属
への吸着性が優れるために摩擦係数を下げるという長所
はあるが、逆に油性向上剤や極圧剤等の効果を阻害する
という欠点を有している。従って、このような極性があ
まり高くなく、潤滑性、熱安定性、酸化安定性に優れ、
加水分解等によるカルボン酸の発生のない、吸湿性の低
い潤滑油組成物が求められている。
【0006】一方、地球環境の点からオゾン層保護のた
め冷蔵庫やカークーラーに使用されているジクロロジフ
ルオロメタン(CFC12)が使用規制され、1995
年末には使用禁止されることが決まった。また、続いて
ルームエアコン等に使用されているクロロジフルオロメ
タン(HCFC22)の使用も規制されようとしてい
る。そのため、このCFC12やHCFC22の代替品
として、オゾン層を破壊することのないハイドロフルオ
ロカーボン、例えば 1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(HFC134a)やジフルオロメタン(HFC32)
やペンタフルオロエタン(HFC125)が開発されて
いる。
【0007】しかし、ハイドロフルオロカーボンはCF
C12やHCFC22に比べて極性が高いため、冷凍機
油として従来より一般に使用されているナフテン系鉱油
やポリα−オレフィン、アルキルベンゼン等の潤滑油を
用いると、これらの潤滑油とハイドロフルオロカーボン
との相溶性が悪く、低温において二層分離を起こす。二
層分離を起こすと、オイル戻りが悪くなり、熱交換器と
しての凝縮器や蒸発器の付近に厚い油膜が付着して伝熱
を妨げ、また潤滑不良や起動時の発泡の発生等の重要欠
陥の原因となる。そのため、従来の冷凍機油はこれらの
新しい冷媒雰囲気下での冷凍機油として使用することが
できない。したがって、ハイドロフルオロカーボンとの
相溶性が良い潤滑油が求められている。
【0008】また、潤滑性についてもCFC12やHC
FC22においては、それが一部分解して塩化水素を発
生させ、この塩化水素が摩擦面と反応して、塩化物皮膜
を形成して潤滑性を良好にするという効果があった。し
かしながら、塩素原子を含んでいないハイドロフルオロ
カーボンにはこのような効果が期待できないため、ハイ
ドロフルオロカーボンと共に使用する冷凍機油には従来
のものより一層潤滑性の優れた潤滑油が求められる。
【0009】また、更にハイドロフルオロカーボンと共
に用いられる冷凍機油としては、ハイドロフルオロカー
ボン共存下での熱安定性の良いことが必要である。ま
た、この他、電気冷蔵庫やルームエアコン等の圧縮式冷
凍機には、絶縁材やエナメル線などのモーターに用いら
れている有機材料が存在するため、ハイドロフルオロカ
ーボンと冷凍機油からなる作動流体としては、これらの
有機材料に悪影響を及ぼさないことが必要であるし、電
気絶縁性も良好であることが必要である。
【0010】ハイドロフルオロカーボン、例えば 1,1,
1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)と共に
用いることができる冷凍機油として、米国特許第 4,75
5,316号明細書(特表平2−502385号公報)や特
開平3−14894号公報(ヨーロッパ特許第377122
号)、特開平2−182780号公報(WO90/05
172号)等にポリアルキレングリコール系化合物が開
示されている。
【0011】ポリアルキレングリコール系化合物はナフ
テン系鉱油に比べ極性が高いので、HFC134aとの
低温での相溶性は確かに良好であるが、温度が上昇する
と二層分離を起こすという問題がある。また、電気絶縁
性が劣るという点や、吸湿性の大きい点も指摘されてい
る。
【0012】このような電気絶縁性、吸湿性等のポリア
ルキレングリコール系化合物の問題点を改善するために
エステル系化合物やカーボネート系化合物が開発されて
いる(特開平2−276894号公報、特開平2−15
8693号公報、特開平2−132178号公報等)。
【0013】エステル系化合物やカーボネート系化合物
は、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性に優れ、ハイ
ドロフルオロカーボン共存下での熱安定性にも優れてお
り、ポリアルキレングリコール系化合物に比べ、電気絶
縁性が極めて優れており、また吸湿性もかなり低い。し
かしながら、従来の作動流体であるCFC12−鉱物油
系に比べると、ハイドロフルオロカーボン−エステル油
系やハイドロフルオロカーボン−カーボネート油系で
は、フロン、油とも極性が高くなり、水を含みやすい。
そのため、エステルは加水分解を起こし、カルボン酸を
生成し、生成したカルボン酸が金属を腐食し、磨耗を引
き起こす問題がある。また、カーボネート油は加水分解
を起こし、非凝縮性の二酸化炭素を生成し、冷凍能力を
低下させるという問題も生じる。
【0014】また、ポリアルキレングリコールの電気絶
縁性の問題を改良したポリエーテル化合物として、WO
93/24435号公報においてポリビニルエーテル系
化合物が開示されている。このポリビニルエーテル系化
合物は、ビニルエーテル系モノマーを重合し水素添加す
ることによって得られており、このものはハイドロフル
オロカーボンとの相溶性が良好で、電気絶縁性において
も良好であることが開示されている。しかしながら、ポ
リビニルエーテル系化合物は重合法によって合成されて
おり、生成物は分子量分布のバラツキを有するため、一
部の高分子量物質がキャピラリー詰まりの原因となる可
能性があり、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性を悪
化させる可能性がある。また、後処理方法が煩雑であっ
たり、不安定なビニルエーテル系モノマーを原料に使用
しており、必ずしも収率良く得られているとは言い難
い。特に、低重合度のもの(重合度6付近)は収率が低
くなってしまうという欠点がある。また、ビニルエーテ
ル系モノマーは構造によっては原料の入手が困難で、高
価なものとなっている。
【0015】一方、環状ケタール、環状アセタールを冷
凍機作動流体に用いる例は、特開平4−320498号
公報、特開平6−57243号公報に述べられている。
前者は、1価アルコール又は2価アルコールとケトン又
はアルデヒドから得られるケタールあるいはアセタール
であり、エステル又はポリアルキレングリコール系の合
成潤滑油に配合して用いることが述べられており、後者
は、分子内にケタール又はアセタール基を含有したグリ
セリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールのエステルやカーボネートの
誘導体である。前者のアセタール、ケタールは分子量が
小さく、沸点、引火点が低いという欠点を有し、後者の
アセタール、ケタールは、製造において2つ以上の反応
工程を経るため高価なものとなるという欠点を有し、ま
た、いくつかのものは高純度で得にくいという欠点があ
る。さらに後者のアセタール、ケタールとして具体的に
開示されているものは、分子内にエーテル結合が2個以
上含まれており、電気絶縁性の向上が充分でないという
問題がある。
【0016】このように、今まで開発されたハイドロフ
ルオロカーボン−ポリアルキレングリコール系は吸湿性
・電気絶縁性に、ハイドロフルオロカーボン−エステル
系、ハイドロフルオロカーボン−カーボネート系は耐加
水分解性に問題があり、また、いずれの系も従来のCF
C12−アルキルベンゼン、鉱油、ポリ−αオレフィン
等の系に比べ水を含みやすく、熱安定性の低下や有機材
料の劣化、金属の腐食や磨耗等を引き起こし、冷凍機作
動流体として満足できるものではない。また、ポリビニ
ルエーテル系化合物は分子量分布を持つために一部高分
子量化合物を含み、これが相溶性を低下させる欠点があ
り、原料種が限られ、高価なものとなってしまうという
欠点がある。また、今までに報告されているケタールや
アセタールは分子量が低い、高価格であるという欠点を
有する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来より用いられているアルキルベンゼン、鉱油、
及びポリ−αオレフィン等を基油とする潤滑油組成物の
性能を改善して、潤滑性、熱安定性、及び酸化安定性に
優れ、加水分解等によるカルボン酸の発生がなく、吸湿
性が低く、かつ、安価な潤滑油組成物を提供することに
あり、又はハイドロフルオロカーボンとの相溶性、電気
絶縁性、吸湿性等の性能に優れ、加水分解等によるカル
ボン酸の発生がなく、かつ、安価な冷凍機作動流体用組
成物を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルキルベン
ゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィンからなる群より選
ばれる1種以上の化合物を含有してなる潤滑油に対し
て、特定の構造を有する環状ケタールあるいは環状アセ
タール化合物をさらに配合することにより、前記目的を
達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0019】即ち、本発明の要旨は、 (1) 下記の(a)成分を含有してなる潤滑油組成物
において、さらに下記の(b)成分を重量比(a)/
(b)=0.1/99.9〜99.0/1.0で含有し
ていることを特徴とする潤滑油組成物、(a)アルキル
ベンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィンからなる群よ
り選ばれる1種以上の化合物(b)4価以上10価以下
の価数が偶数である多価アルコールの1種以上と、一般
式(1)
【0020】
【化5】
【0021】(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜1
8の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、R
2 は炭素数1〜18の直鎖、分岐、もしくは環状のアル
キル基を示す。あるいは、R1 とR2 は一緒になって炭
素数2〜36のアルキレン基を示す。)で表されるカル
ボニル化合物またはその反応性誘導体であるケタールも
しくはアセタールの1種以上とから得られる環状ケター
ルあるいは環状アセタール (2) (b)の環状ケタールあるいは環状アセタール
が、4価以上8価以下の価数が偶数の多価アルコールの
1種以上と、一般式(2)
【0022】
【化6】
【0023】(式中、R3 は水素原子または炭素数1〜
12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、
4 は炭素数1〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のア
ルキル基を示す。あるいは、R3 とR4 は一緒になって
炭素数2〜13のアルキレン基を示す。R3 とR4 の合
計炭素数は1〜13である。)で表されるカルボニル化
合物またはその反応性誘導体であるケタールもしくはア
セタールの1種以上とから得られる環状ケタールあるい
は環状アセタールである上記(1)記載の潤滑油組成
物、 (3) (b)の多価アルコールがエーテル結合を持た
ないものである上記(1)又は(2)記載の潤滑油組成
物、 (4) (b)の多価アルコールがエーテル結合を1つ
もつものである上記(1)又は(2)記載の潤滑油組成
物、 (5) (b)の環状ケタールあるいは環状アセタール
が、1,3−ジオキソラン構造及び/又は1,3−ジオ
キサン構造を含むものである上記(3)又は(4)記載
の潤滑油組成物、 (6) (b)の環状ケタールあるいは環状アセタール
が、4価または6価の炭素数4〜25の飽和脂肪族アル
コールと、一般式(2)で表されるカルボニル化合物ま
たはその反応性誘導体であるケタールもしくはアセター
ルの1種以上とから得られる環状ケタールまたは環状ア
セタールであるる上記(3)〜(5)いずれか記載の潤
滑油組成物、 (7) 下記の(a)成分を含有してなる潤滑油組成物
において、さらに下記の(b’)成分を重量比(a)/
(b’)=0.1/99.9〜99.0/1.0で含有
していることを特徴とする潤滑油組成物、 (a)アルキルベンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィ
ンからなる群より選ばれる1種以上の化合物 (b’)式(3a)、(3b)、(4a)、又は(4
b)で表される環状ケタール又は環状アセタールの1種
以上
【0024】
【化7】
【0025】(式中、R3 は水素原子または炭素数1〜
12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、
4 は炭素数1〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のア
ルキル基を示す。あるいは、R3 とR4 は一緒になって
炭素数2〜13のアルキレン基を示す。R3 とR4 の合
計炭素数は1〜13である。) (8) 下記の(a)成分を含有してなる潤滑油組成物
において、さらに下記の(b'')成分を重量比(a)/
(b'')=0.1/99.9〜99.0/1.0で含有
していることを特徴とする潤滑油組成物、 (a)アルキルベンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィ
ンからなる群より選ばれる1種以上の化合物 (b'')式(5)又は(6)で表される環状ケタールま
たは環状アセタールの1種以上
【0026】
【化8】
【0027】(式中、R3 は水素原子または炭素数1〜
12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、
4 は炭素数1〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のア
ルキル基を示す。あるいは、R3 とR4 は一緒になって
炭素数2〜13のアルキレン基を示す。R3 とR4 の合
計炭素数は1〜13である。) (9) 上記(2)〜(8)いずれか記載の潤滑油組成
物を含む冷凍機油とハイドロフルオロカーボンを含有す
ることを特徴とする冷凍機作動流体用組成物、 (10) ハイドロフルオロカーボンと冷凍機油が、重
量比でハイドロフルオロカーボン/冷凍機油=50/1
〜1/20で含有されている上記(9)記載の冷凍機作
動流体用組成物、に関するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の潤滑油組成物は、上記の
(a)成分を含有してなる潤滑油組成物において、さら
に上記の(b)成分を重量比(a)/(b)=0.1/
99.9〜99.0/1.0で含有していることを特徴
とするものである。まず、(b)成分である環状ケター
ルあるいは環状アセタールについて説明する。なお、
(b’)成分および(b'')成分は、(b)成分に包含
されるものである。本発明における環状ケタールあるい
は環状アセタールは、多価アルコールの1種以上と、カ
ルボニル化合物またはその反応性誘導体であるケタール
もしくはアセタールの1種以上とから得られるものであ
る。
【0029】用いられる多価アルコールは、4〜10価
の価数が偶数である多価アルコールである。多価アルコ
ールの価数が奇数の場合、必ず未反応の水酸基が残り、
粘度が高くなるため、好ましくない。また、冷凍機作動
流体に用いる場合、水酸基が残ると、ハイドロフルオロ
カーボンとの相溶性が悪くなるため好ましくない。未反
応の水酸基をアルキル化反応によってエーテル構造にす
ることにより、粘度やハイドロフルオロカーボンとの相
溶性を改善できるが、製造における反応工程が増えるた
め好ましくない。また、そのため高純度のものが得にく
くなる。
【0030】具体的には、エリスリトール、ジグリセリ
ン、アラビノース、リボース、ソルビトール、マンニト
ール、ガラクチトール、イディトール、タリトール、ア
リトール、4,7−ジオキサデカン−1,2,9,10
−テトラオール、5−メチル−4,7−ジオキサデカン
−1,2,9,10−テトラオール、4,7,10−ト
リオキサトリデカン−1,2,12,13−テトラオー
ル、1,6−ジメトキシヘキサン−2,3,4,5−テ
トラオール、3,4−ジエトキシヘキサン−1,2,
5,6−テトラオール等の多価アルコールやペンタエリ
スリトール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロー
ルプロパン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリ
スリトール、2,9−ジエチル−2,9−ジヒドロキシ
メチル−4,7−ジオキサデカン−1,10−ジオー
ル、2,12−ジエチル−2,12−ジヒドロキシメチ
ル−5,8−ジメチル−4,7,10−トリオキサトリ
デカン−1,13−ジオール等のヒンダードアルコール
である。
【0031】このうち、4,7−ジオキサデカン−1,
2,9,10−テトラオール、5−メチル−4,7−ジ
オキサデカン−1,2,9,10−テトラオール、4,
7,10−トリオキサトリデカン−1,2,12,13
−テトラオール、1,6−ジメトキシヘキサン−2,
3,4,5−テトラオール、3,4−ジエトキシヘキサ
ン−1,2,5,6−テトラオール、2,9−ジエチル
−2,9−ジヒドロキシメチル−4,7−ジオキサデカ
ン−1,10−ジオール、2,12−ジエチル−2,1
2−ジヒドロキシメチル−5,8−ジメチル−4,7,
10−トリオキサトリデカン−1,13−ジオールのよ
うにエーテル結合を2個以上持つ多価アルコールは、工
業的な入手が容易ではなく製造に数工程を要するため高
価となり好ましくない。
【0032】本発明に用いられる環状ケタール又は環状
アセタールに関わる多価アルコールの価数は4価、6
価、8価、又は10価であるが、好ましくは4価、6
価、又は8価、さらに好ましくは4価又は6価である。
10価より大きいと得られる環状ケタールあるいは環状
アセタールの粘度が高くなりすぎる。また、4価より小
さいと分子量が低くなりすぎ、沸点、引火点が低くなり
好ましくない。
【0033】本発明に用いられる環状ケタール又は環状
アセタールに関わる多価アルコールは炭素数が4〜25
のものであり、好ましくは4〜20のものである。炭素
数が25を超えると得られる環状ケタールあるいは環状
アセタールの粘度が高くなりすぎる。また、炭素数が4
より小さいと分子量が低くなりすぎて、沸点、引火点が
低くなり好ましくない。また、本発明に用いられる環状
ケタール又は環状アセタールに関わる多価アルコールは
飽和脂肪族アルコールである。不飽和結合を持つと熱安
定性が悪くなるので好ましくない。
【0034】また、本発明に用いられる環状ケタール又
は環状アセタールに関わる多価アルコールは、良好な電
気絶縁性を持つという観点からすれば、分子内にエーテ
ル結合を持たないものが最も好ましい。また、エーテル
結合を持っていても1つが好ましい。2つ以上持つと、
電気絶縁性が悪くなるため好ましくない。分子内にエー
テル結合を持たない多価アルコールの具体例は、エリス
リトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトー
ル、イディトール、タリトール、アリトール、ペンタエ
リスリトール等であり、エーテル結合を1つ持つ多価ア
ルコールの具体例は、ジグリセリン、ジトリメチロール
プロパン、ジトリメチロールエタン等である。
【0035】また、本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動
流体用組成物に用いる場合、環状ケタールあるいは環状
アセタールに関わる多価アルコールの価数は4価、6
価、又は8価が好ましく、さらに好ましくは4価あるい
は6価である。多価アルコールの価数が8価より大きい
と粘度が高くなりすぎ、またハイドロフルオロカーボン
との相溶性が悪くなる。また、多価アルコールの価数が
4価より小さいと分子量が低くなりすぎて沸点、引火点
が低くなるので好ましくない。また、炭素数も4〜20
が好ましく、さらに好ましくは4〜15、特に好ましく
は4〜10である。炭素数が20より大きいとハイドロ
フルオロカーボンとの相溶性が悪くなり好ましくない。
また、炭素数が4より小さいと分子量が低くなりすぎ
て、沸点、引火点が低くなり好ましくない。また、ペン
タエリスリトールのような対称性の高いアルコールを用
いた場合は、得られる環状ケタールあるいは環状アセタ
ールの融点が高くなるため、冷凍機作動流体用途として
は好ましくない。
【0036】本発明に用いられる環状ケタール又は環状
アセタールに関わるカルボニル化合物は、一般式(1)
で示されるケトンやアルデヒドである。
【0037】
【化9】
【0038】一般式(1)で示されるケトンやアルデヒ
ドの炭素数は2〜37、好ましくは炭素数2〜25、さ
らに好ましくは炭素数2〜17である。炭素数が37を
超えると得られる環状ケタールあるいは環状アセタール
の粘度が高くなりすぎ、好ましくない。
【0039】R1 は水素原子または炭素数1〜18の直
鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、好ましく
は水素原子または炭素数1〜12の直鎖、分岐、もしく
は環状のアルキル基を示し、さらに好ましくは水素原子
または炭素数1〜8の直鎖、分岐、もしくは環状のアル
キル基を示す。R2 は炭素数1〜18の直鎖、分岐、も
しくは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜
12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、
さらに好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐、もしくは
環状のアルキル基を示す。あるいは、R1 とR2 は一緒
になって炭素数2〜36、好ましくは炭素数2〜24、
さらに好ましくは炭素数2〜16のアルキレン基を示
す。また、R1 とR2 は同一でも異なっていても良い。
【0040】R1 あるいはR2 の炭素数が18を超える
と得られる環状ケタールあるいは環状アセタールの粘度
が高くなりすぎ、好ましくない。また、R1 とR2 が一
緒になって形成するアルキレン基の炭素数が36を超え
ると、得られる環状ケタールあるいは環状アセタールの
粘度が高くなりすぎ好ましくない。
【0041】具体的にはR1 とR2 がアルキル基である
ケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトン、メチル
プロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピル
ケトン、メチルブチルケトン、エチルプロピルケトン、
メチル−sec−ブチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、エチルイソプロピルケトン、メチル−tert−ブ
チルケトン、メチルアミルケトン、エチルブチルケト
ン、ジイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、
ジプロピルケトン、イソプロピルプロピルケトン、メチ
ルネオペンチルケトン、エチル−tert−ブチルケト
ン、メチルヘキシルケトン、エチルペンチルケトン、6
−メチル−2−ヘプタノン、4−メチル−3−ヘプタノ
ン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘ
プタノン、メチルシクロヘキシルケトン、メチルヘプチ
ルケトン、エチルヘキシルケトン、ジブチルケトン、ジ
イソブチルケトン、メチルオクチルケトン、メチルノニ
ルケトン、ジペンチルケトン、メチルデシルケトン、メ
チルウンデシルケトン、ジヘキシルケトン、5−(2',
2',5'−トリメチルシクロヘキシル)−2−ペンタノ
ン、6,10−ジメチル−2−ウンデカノン、メチルトリデ
シルケトン、ジヘプチルケトン、メチルテトラデシルケ
トン、ジオクチルケトン、メチルペンタデシルケトン、
ジイソオクチルケトン、メチルヘキサデシルケトン、6,
10,14 −トリメチル−2−ペンタデカノン、ジノニルケ
トン、メチルヘプタデシルケトン、メチルオクタデシル
ケトン、ジデシルケトン等が挙げられる。
【0042】また、R1 とR2 が一緒になってアルキレ
ン基を形成するケトンとしては、シクロプロパノン、シ
クロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、
2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタ
ノン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロ
ヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、シクロヘプ
タノン、2,4−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメ
チルシクロヘキサノン、シクロオクタノン、2−エチル
シクロヘキサノン、3−エチルシクロヘキサノン、4−
エチルシクロヘキサノン、、3,5,5−トリメチルシクロ
ヘキサノン、2−tert−ブチルシクロヘキサノン、
4−tert−ブチルシクロヘキサノン、2−イソプロ
ピル−4−メチルシクロヘキサノン、シクロデカノン、
シクロドデカノン等が挙げられる。
【0043】また、R1 が水素原子であるアルデヒドと
しては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブ
チルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデ
ヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデ
ヒド、カプロアルデヒド、2−メチルペンタナール、3
−メチルペンタナール、4−メチルペンタナール、2−
エチルブタナール、2,3−ジメチルブタナール、3,3−
ジメチルブタナール、シクロペンチルアセトアルデヒ
ド、ヘプタナール、2−メチルヘキサナール、3−メチ
ルヘキサナール、4−メチルヘキサナール、5−メチル
ヘキサナール、2−エチルペンタナール、シクロヘキシ
ルアセトアルデヒド、オクタナール、2−メチルヘプタ
ナール、2−エチルヘキサナール、2−プロピルペンタ
ナール、2,4,4−トリメチルペンタナール、ノニルアル
デヒド、3,5,5−トリメチルヘキサナール、デシルアル
デヒド、イソデシルアルデヒド、3,7−ジメチルオクタ
ナール、2−イソプロピル−5−メチルヘキサナール、
ウンデカナール、ドデカナール、トリデシルアルデヒ
ド、イソトリデシルアルデヒド、ヘキサデカナール、イ
ソオクタデカナール、オクタデカナール、2−メチルオ
クタデカナール等が挙げられる。
【0044】また、本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動
流体に用いる場合、カルボニル化合物としては一般式
(1)のうち一般式(2)で示されるケトンやアルデヒ
ドの方が好ましい。
【0045】
【化10】
【0046】一般式(2)で示されるケトンやアルデヒ
ドの炭素数は2〜14、好ましくは炭素数2〜11、さ
らに好ましくは2〜6である。炭素数が14を越えると
得られる環状ケタールあるいは環状アセタールのハイド
ロフルオロカーボンとの相溶性が悪くなるため好ましく
ない。
【0047】R3 は水素原子または炭素数1〜12の直
鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、好ましく
は水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐、もしくは
環状のアルキル基を示し、さらに好ましくは水素原子ま
たは炭素数1〜5の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキ
ル基を示す。R4 は炭素数1〜12の直鎖、分岐、もし
くは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜8
の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、さら
に好ましくは炭素数1〜5の直鎖、分岐、もしくは環状
のアルキル基を示す。あるいは、R3 とR4 は一緒にな
って炭素数2〜13のアルキレン基を示し、好ましくは
炭素数4〜10のアルキレン基を示し、さらに好ましく
は炭素数4〜5のアルキレン基を示す。R3 とR4 の合
計炭素数は1〜13であり、好ましくは1〜10であ
り、さらに好ましくは1〜5である。
【0048】R3 あるいはR4 の炭素数が12を超える
と、得られる環状ケタールあるいは環状アセタールのハ
イドロフルオロカーボンとの相溶性が悪くなるため好ま
しくない。また、R3 とR4 が一緒になって形成するア
ルキレン基の炭素数が13を超えると、得られる環状ケ
タールあるいは環状アセタールのハイドロフルオロカー
ボンとの相溶性が悪くなるため好ましくない。また、R
3 とR4 の合計炭素数が13を超えると、得られる環状
ケタールあるいは環状アセタールのハイドロフルオロカ
ーボンとの相溶性が悪くなるため好ましくない。
【0049】また、得られる環状ケタールあるいは環状
アセタールのハイドロフルオロカーボンとの相溶性か
ら、R3 、R4 のアルキル基は直鎖構造より分岐や環状
構造が好ましく、また、R3 とR4 は一緒になってアル
キレン基を形成するよりは形成しない方が好ましい。
【0050】本発明に用いられる一般式(1)、(2)
で示されるケトンは脂肪酸の高温脱炭酸二量化反応やオ
レフィンの触媒酸化反応(ワッカー法)や第2級アルコ
ールの酸化、脱水素やシクロアルカンの酸化等によって
容易に得られる。ワッカー法の場合、得られるケトンは
精密蒸留により単品に分離精製することができる。ま
た、本発明に用いられる一般式(1)、(2)で示され
るアルデヒドは、例えば脂肪アルコールの脱水素反応、
オレフィンのヒドロホルミル化反応(オキソ法)、脂肪
酸クロライドのローゼムント還元や脂肪酸よりの直接水
添等によって容易に得られる。オキソ法の場合、直鎖体
と分岐体が生成するが精密蒸留により単品に分離精製す
ることができる。
【0051】また、本発明に用いられるカルボニル化合
物の反応性誘導体としては、上記に述べたケトン、アル
デヒドと炭素数1〜6の低級アルコールから酸触媒によ
って容易に合成されるケタール、アセタールがある。炭
素数1〜6の低級アルコールの具体例として、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール、sec−ブタノール、te
rt−ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアル
コール、ネオペンチルアルコール、1−メチルブタノー
ル、1,1−ジメチルプロパノール、1−エチルプロパノ
ール、ヘキサノール、イソヘキサノール、2−エチルブ
タノール、1−メチルアミルアルコール、1,3−ジメチ
ルブタノール、1−エチルブタノール等が挙げられる。
【0052】本発明に用いられる環状ケタール、環状ア
セタールは、例えば以下のような反応式に従って得るこ
とができる。
【0053】
【化11】
【0054】多価アルコールとケトンとの反応はケター
ル化反応であり、この反応は触媒としてパラトルエンス
ルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸などの酸触媒を多価
アルコールに対して0.05〜10モル%、好ましくは
0.1〜7.0モル%、さらに好ましくは0.5〜5.
0モル%用いて行う。この反応は、無溶媒、あるいはキ
シレン、トルエン、ベンゼン、オクタン、イソオクタ
ン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、
リグロイン、石油エーテルなどの不活性溶媒中、あるい
はこれらの混合溶液中で、使用するケトンの沸点にもよ
るが40〜160℃、好ましくは60〜100℃の温度
にて生成する水を除去しながら行うのが好ましい。場合
により、減圧下で反応を行うことも有効である。温度が
これより低いと反応が進行せず、高いと着色が激しく副
反応が生じ好ましくない。また窒素流通条件下、窒素雰
囲気下及び乾燥空気雰囲気下のいずれでも良い。反応時
間は種々の条件によって変わりうるが通常5〜200時
間が好ましい。得られた環状ケタールは、中和した後、
濾過、洗浄等の前処理を行い、その後、白土処理、晶
析、蒸留などの操作によって精製することができる。
【0055】また、多価アルコールとアルデヒドとの反
応はアセタール化反応であり、この反応は、触媒として
パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸など
の酸触媒を多価アルコールに対して0.01〜5.0モ
ル%、好ましくは0.05〜3.0モル%、さらに好ま
しくは0.1〜2.0モル%用いて行う。この方法は、
無溶媒、あるいはキシレン、トルエン、ベンゼン、オク
タン、イソオクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキ
サン、ペンタン、ブタン、リグロイン、石油エーテル等
の不活性溶媒、あるいはこれらの混合溶媒中で、使用す
るアルデヒドの沸点にもよるが20〜130℃、好まし
くは40〜100℃の温度にて生成する水を除去しなが
ら行うのが好ましい。場合により、減圧下で反応を行う
ことも有効である。温度が低いと反応が進行せず、高い
と着色が激しく副反応が生じる。また、窒素流通条件
下、窒素雰囲気下及び乾燥空気雰囲気下のいずれでも良
い。反応時間は、種々の条件によって変わりうるが通常
1〜30時間が好ましい。得られた環状アセタールは、
中和した後、濾過、洗浄等の前処理を行い、その後、白
土処理、晶析、蒸留等の操作によって精製できる。
【0056】また、多価アルコールとケトンの反応性誘
導体であるケタールとの反応はトランスケタール化反応
であり、この反応は、触媒としてパラトルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、硫酸等の酸触媒を多価アルコー
ルに対して0.05〜10モル%、好ましくは0.1〜
7.0モル%、さらに好ましくは0.5〜5.0モル%
用いて行う。この反応は、無溶媒、あるいはキシレン、
トルエン、ベンゼン、オクタン、イソオクタン、ヘプタ
ン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、リグロイ
ン、石油エーテル等の不活性溶媒中あるいはこれらの混
合溶媒中で、使用するケタール及び生成する低級アルコ
ールの沸点にもよるが40〜160℃、好ましくは60
〜130℃の温度にて生成する低級アルコールを除去し
ながら行うのが好ましい。場合により、減圧下で反応を
行うことも有効である。温度がこれより低いと反応が進
行せず、高いと着色が激しく副反応が生じ好ましくな
い。また窒素流通条件下、窒素雰囲気下及び乾燥空気雰
囲気下のいずれでも良い。反応時間は種々の条件によっ
て変わりうるが通常5〜200時間が好ましい。得られ
た環状ケタールは中和した後、濾過、洗浄等の前処理を
行い、その後、白土処理、晶析、蒸留等の操作によって
精製することができる。
【0057】また、多価アルコールとアルデヒドの反応
性誘導体であるアセタールとの反応はトランスアセター
ル化反応であり、この反応は触媒としてパラトルエンス
ルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等の酸触媒を多価ア
ルコールに対して0.01〜5.0モル%、好ましくは
0.05〜3.0モル%、さらに好ましくは0.1〜
2.0モル%用いて行う。この方法は、無溶媒、あるい
はキシレン、トルエン、ベンゼン、オクタン、イソオク
タン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタ
ン、ブタン、リグロイン、石油エーテル等の不活性触
媒、あるいはこれらの混合溶媒中で、使用するアセター
ル及び生成する低級アルコールの沸点にもよるが20〜
150℃、好ましくは50〜130℃の温度にて生成す
る低級アルコールを除去しながら行うのが好ましい。場
合により、減圧下で反応を行うことも有効である。温度
が低いと反応が進行せず、高いと着色が激しく副反応が
生じる。また、窒素流通条件下、窒素雰囲気下及び乾燥
空気雰囲気下のいずれでも良い。反応時間は、種々の条
件によって変わりうるが通常1〜30時間が好ましい。
得られた環状アセタールは中和した後、濾過、洗浄等の
前処理を行い、その後、白土処理、晶析、蒸留などの操
作によって精製できる。
【0058】多価アルコールと反応させるケトン又はケ
トンの反応性誘導体であるケタール、あるいはアルデヒ
ド又はアルデヒドの反応性誘導体であるアセタール(以
下カルボニル化合物と略す)の比率は、多価アルコール
1モルに対して、カルボニル化合物A/2モル(Aは多
価アルコールの価数)である。反応速度を早めるため
に、A/2モルより過剰のカルボニル化合物を用いて反
応を行い、反応終了後過剰のカルボニル化合物を除去す
る方法も有効である。
【0059】本発明に用いられる環状ケタールあるいは
環状アセタールは、1種以上の多価アルコールと、1種
以上のケトンもしくはケトンの反応性誘導体であるケタ
ールまたはアルデヒドもしくはアルデヒドの反応性誘導
体であるアセタールとを反応させて得ることができる。
また、個々に得られた環状ケタールあるいは環状アセタ
ールを混合して使用することもできる。例えば、ソルビ
トール1モルとメチルエチルケトン3モルから得られる
環状ケタール(40℃粘度63.1mm2 /s)とジグ
リセリン1モルとメチルエチルケトン2モルから得られ
る環状ケタール(40℃粘度7.69mm2 /s)を個
々に合成し、両者を混合して望ましい粘度に調整するこ
とができる。具体的な例としては、ソルビトール1モル
とメチルエチルケトン3モルから得られる環状ケタール
1モルとジグリセリン1モルとメチルエチルケトン2モ
ルから得られる環状ケタール1モルを混合してVG22
の潤滑油を得ることができる。あるいはソルビトール1
モルとジグリセリン1モルとメチルエチルケトン5モル
を反応させて上記の混合体を得ることもできる。また、
ソルビトール1モルと2種類のケトンやアルデヒド、例
えば、3,5,5−トリメチルヘキサナール2モル、メチル
エチルケトン1モルを反応させて、本発明における環状
ケタールや環状アセタールを得ることもできる。
【0060】また、得られる環状ケタール、環状アセタ
ール中に存在する未反応の水酸基は少ない方が好まし
く、このような未反応の水酸基は平均して原料の多価ア
ルコールの水酸基の数に対して20%以下、好ましくは
10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましく
は3%以下である。20%を超える未反応の水酸基が残
ると粘度が高くなりすぎたり、沸点や引火点が低くなり
すぎたりするため好ましくない。
【0061】本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動流体用
組成物に用いる場合、特に環状ケタールや環状アセター
ル中に存在する未反応の水酸基は少ないほど好ましく、
10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3
%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%
以下である。10%を超える未反応の水酸基が残るとハ
イドロフルオロカーボンとの相溶性や電気絶縁性が劣り
好ましくない。
【0062】また、本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動
流体用組成物に用いる場合、環状ケタール又は環状アセ
タールに関わる多価アルコールはエーテル結合を持たな
い構造のものが、電気絶縁性が高くなり好ましい。従っ
て、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、イ
ディトール、タリトール、アリトール等の6価アルコー
ルやエリスリトールのような多価アルコールから得られ
る環状ケタールや環状アセタール(下記の式(3a)、
(3b)、(4a)、又は(4b))が、ジグリセリン
やジトリメチロールプロパンのようなエーテル結合を1
個持つアルコールから得られる環状ケタールや環状アセ
タール(下記の式(5)又は(6))より好ましい。な
お、本明細書では、式(3a)、(3b)、(4a)、
又は(4b)で表される環状ケタール又は環状アセター
ルの1種以上を(b’)成分とし、式(5)又は(6)
で表される環状ケタールまたは環状アセタールの1種以
上を(b'')成分とする。
【0063】
【化12】
【0064】
【化13】
【0065】また、本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動
流体用組成物に用いる場合、環状ケタール又は環状アセ
タールは、1,3−ジオキソラン構造及び/又は1,3
−ジオキサン構造を含むものが、電気絶縁性を高くする
ため、好ましい。また、この中でも特に1,3−ジオキ
ソラン構造を含むものが特に好ましい。従って、エリス
リトール、ジグリセリン、ソルビトール、マンニトー
ル、ガラクチトール、イディトール、タリトール、アリ
トール等の隣接位に水酸基を持つアルコールを用いるこ
とが好ましい。また、ソルビトール、マンニトール、ガ
ラクチトール、イディトール、タリトール、アリトール
等の6価アルコールを用いた場合、式(3a)と式(3
b)に示す環状ケタールや環状アセタールが得られる
が、3つの1,3−ジオキソラン構造を持つ式(3a)
の方が、電気絶縁性が高くなるため好ましい。また、エ
リスリトールを用いた場合、式(4a)と(4b)に示
す環状ケタールや環状アセタールが得られるが、2つの
1,3−ジオキソラン構造を持つ式(4a)の方が、電
気絶縁性が高くなるため好ましい。
【0066】ソルビトール、マンニトール、ガラクチト
ール、イディトール、タリトール、アリトールの6価ア
ルコールやエリスリトールは、ケトンもしくはケタール
と反応させると式(3a)、式(4a)の環状ケタール
が生成しやすく、アルデヒドもしくはアセタールと反応
させると式(3b)、式(4b)の環状アセタールが生
成しやすい。従って、これらのアルコールに対しては、
ケトンもしくはケタールを用いて反応させるのが好まし
い。
【0067】また、本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動
流体用組成物に用いる場合、環状ケタール又は環状アセ
タールに関わる多価アルコールの価数が偶数のものの中
でも式(3)に示す6価アルコールの環状ケタールある
いは環状アセタールや、式(4)〜(6)に示すエリス
リトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン等
の4価アルコールから得られる環状ケタールや環状アセ
タールが、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性や電気
絶縁性、融点、粘度等の種々の物性のバランスがとれて
いる点から特に好ましい。
【0068】同じ4価アルコールでも、下記の式(7
a)又は(7b)で示される対称性の良いペンタエリス
リトールから得られる環状ケタールは共に室温で固体と
なるため好ましくない。式(3)〜(6)に示す化合物
の中でも1,3−ジオキソラン構造を有する(3a)、
(3b)、(4a)、(5)に示す化合物が好ましく、
この中でも特に1,3−ジオキソラン構造のみを持つ
(3a)、(4a)、(5)に示す化合物、さらにこの
中でも多価アルコール部分がエーテル結合を持たない
(3a)、(4a)に示す化合物が好ましい。
【0069】
【化14】
【0070】本発明に用いられる環状ケタールや環状ア
セタールの融点は10℃以下が好ましく、さらに好まし
くは−10℃以下、特に好ましくは−30℃以下であ
る。(7a)、(7b)のように融点が10℃を超える
環状ケタールや環状アセタールは、融点の低い他の環状
ケタールや環状アセタール、あるいはアルキルベンゼ
ン、鉱油、ポリ−αオレフィンと混合し、添加量を制限
することにより使用できる。
【0071】本発明に用いられる環状ケタールあるいは
環状アセタールは100℃の粘度(動粘度)が1mm2
/s以上、100mm2 /s以下が好ましく、さらに好
ましくは1mm2 /s以上、50mm2 /s以下、特に
好ましくは1mm2 /s以上、30mm2 /s以下であ
る。
【0072】本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動流体用
組成物に用いる場合、本発明に用いられる環状ケタール
あるいは環状アセタールはハイドロフルオロカーボンと
の相溶性が良いことが好ましく、ハイドロフルオロカー
ボンとの二相分離温度は20℃以下、好ましくは0℃以
下、さらに好ましくは−10℃以下であることが望まし
い。また、本発明に用いられる環状ケタールや環状アセ
タールの流動点は10℃以下、好ましくは0℃以下、さ
らに好ましくは、−10℃以下である。
【0073】次に(a)成分であるアルキルベンゼン、
鉱油、及びポリ−αオレフィンについて説明する。本発
明における(a)成分は、アルキルベンゼン、鉱油、及
びポリ−αオレフィンからなる群より選ばれる1種以上
の化合物である。
【0074】本発明に用いられるアルキルベンゼンとし
ては、主としてアルキルベンゼン型のものであり、ベン
ゼンやトルエンのような芳香族炭化水素をフリーデルク
ラフツ反応等でアルキル化して、洗剤の原料を作る際に
副生する、主としてジアルキル化芳香族炭化水素を含む
油である。
【0075】当該アルキル基とししては、オクチル基、
イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、
イソデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシ
ル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基等が挙げられる。
【0076】本発明に用いられる鉱油としては、原油を
常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる潤滑油留分を溶剤脱
れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろ
う、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適
宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の
鉱油が挙げられる。
【0077】本発明に用いられるポリ−αオレフィンと
しては、炭素数2〜14の範囲、好ましくは2〜10の
直鎖あるいは分岐を有するオレフィン炭化水素から選択
された任意の1種の単独重合、または2種以上の共重合
により得られるものが挙げられる。かかる重合体は、平
均分子量100〜4000、好ましくは100〜200
0であり、特に水素化によって不飽和結合を除去したも
のが好ましい。好ましいポリ−αオレフィンの具体例と
しては、ポリブテン、αオレフィンオリゴマー、エチレ
ン・αオレフィンオリゴマー等である。これらのポリ−
αオレフィンは、塩化アルミニウム、フッ化ホウ素等の
フリーデルクラフツ型触媒、チーグラー触媒あるいは酸
化クロム等の酸化物触媒等を使用して製造することがで
きる。また、ポリ−αオレフィンの水素化は、反応生成
物から触媒を除去した後、加温、加圧下において、例え
ばニッケル−モリブデン/アルミナのような水素化触媒
を用いて接触還元させることにより行うことができる。
【0078】本発明に用いられるアルキルベンゼン、鉱
油、及びポリ−αオレフィンからなる群より選ばれる1
種以上の化合物は、100℃の粘度が1mm2 /s以
上、100mm2 /s以下が好ましく、さらに好ましく
は1mm2 /s以上、50mm2 /s以下である。ま
た、当該化合物の流動点は10℃以下、好ましくは0℃
以下、さらに好ましくは、−10℃以下である。
【0079】本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動流体用
組成物に用いる場合、上記のうち、特にナフテン系鉱油
やアルキルベンゼンを用いることが好ましい。本発明で
は、上記の(a)成分に対して、更に前記の(b)成分
を配合することにより、後述の実施例が示す如く、潤滑
性、熱安定性及び酸化安定性に優れ、吸湿性が低く、か
つ、安価な潤滑油組成物が得られ、またはハイドロフル
オロカーボンとの相溶性、吸湿性等の性能に優れ、かつ
安価な冷凍機の作動流体用組成物が得られる。
【0080】本発明の潤滑油組成物は、(a)アルキル
ベンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィンからなる群よ
り選ばれる1種以上の化合物と(b)の環状ケタールあ
るいは環状アセタール化合物からなり、その配合比率
は、重量比で(a)/(b)=0.1/99.9〜9
9.0/1.0であり、好ましくは(a)/(b)=1
/99〜95/5であり、さらに好ましくは(a)/
(b)=5/95〜90/10である。(b)の環状ケ
タールあるいは環状アセタール化合物の配合比率は1.
0重量部より少ないと潤滑性を向上させる効率が充分発
揮できず、99.9重量部を越えると吸湿性が高くな
る。なお、上記の関係は、環状ケタールあるいは環状ア
セタール化合物がより限定されている場合の重量比
(a)/(b’)や重量比(a)/(b'')についても
同様である。
【0081】本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動流体用
組成物に用いる場合、配合比率は重量比で(a)/
(b)=0.1/99.9〜99.0/1.0であり、
好ましくは(a)/(b)=1/99〜95/5であ
り、さらに好ましくは(a)/(b)=5/95〜90
/10であり、特に好ましくは(a)/(b)=5/9
5〜70/30である。(b)の構造を有する環状ケタ
ールあるいは環状アセタール化合物の配合比率は1.0
重量部より少ないと潤滑性、ハイドロフルオロカーボン
との相溶性が悪く、99.9重量部を越えると吸湿性が
高くなる。
【0082】本発明の潤滑油組成物は100℃の粘度が
1mm2 /s以上、100mm2 /s以下が好ましく、
さらに好ましくは1mm2 /s以上、50mm2 /s以
下、特に好ましくは1mm2 /s以上、30mm2 /s
以下である。又、その流動点は10℃以下、好ましくは
0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下である。
【0083】本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動流体用
組成物に用いる場合、本発明の潤滑油組成物はハイドロ
フルオロカーボンとの相溶性が良いことが好ましく、ハ
イドロフルオロカーボンとの二相分離温度は20℃以
下、好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以
下であることが望ましい。
【0084】本発明の潤滑油組成物は、他の潤滑油と混
合して用いることもできる。他の潤滑油としては、脂肪
族ジエステルやネオペンチルポリオールエステル、ポリ
アルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、カーボ
ネート、リン酸エステル、シリケートエステル、シリコ
ーン油、パーフルオロポリエーテル等が挙げられ、具体
的な例は「新版 潤滑の物理化学」(幸書房)や「潤滑
油の基礎と応用」(コロナ社)等に述べられている。
【0085】また、本発明の潤滑油組成物と他の潤滑油
を混合する場合、混合比率は、混合した潤滑油中に本発
明の潤滑油組成物が10重量%以上、好ましくは30重
量%以上、特に好ましくは50重量%以上含まれ、か
つ、混合した潤滑油中に環状ケタールや環状アセタール
が1.0重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらに
好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以
上含まれることが望ましい。含まれる量が1.0重量%
より少ないと潤滑性を向上させる効果や、エステルやカ
ーボネート等の加水分解を防止する効果が十分に発揮で
きない。
【0086】また、本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動
流体用組成物に用いる場合、混合する他の潤滑油はハイ
ドロフルオロカーボンとの相溶性に優れたものが好まし
く、ネオペンチルポリオールエステルやポリアルキレン
グリコール、カーボネート等が好ましい。
【0087】本発明の潤滑油組成物はハイドロフルオロ
カーボンとの相溶性に優れ、電気絶縁性にも優れるた
め、ハイドロフルオロカーボンとの混合物として冷凍機
作動流体用組成物に用いることができる。また、電気絶
縁性に優れるため電気絶縁油に用いることができる。ま
た、分子内に環構造を持つことから、トラクションオイ
ルに用いることができる。また、潤滑性や耐熱性に優れ
ることからエンジン油やタービン油、ギヤ油、作動油、
軸受油、金属加工油、圧縮機油、グリース基油等に用い
ることができる。
【0088】本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動流体に
用いる場合、ハイドロフルオロカーボンと本発明の潤滑
油組成物を含む冷凍機油との混合比率は、通常ハイドロ
フルオロカーボン/冷凍機油=50/1〜1/20(重
量比)、好ましくは10/1〜1/5(重量比)であ
る。ハイドロフルオロカーボン/冷凍機油=50/1よ
りハイドロフルオロカーボンの比率が高くなると、ハイ
ドロフルオロカーボン−冷凍機油混合溶液の粘度が低く
なり潤滑性が悪くなる可能性があり好ましくない。又、
ハイドロフルオロカーボン/冷凍機油=1/20よりハ
イドロフルオロカーボンの比率が低くなると、冷凍能力
が不足する可能性があり好ましくない。
【0089】本発明に用いられるハイドロフルオロカー
ボンとはジフルオロメタン(HFC32)、1,1−ジフ
ルオロエタン(HFC152a)、1,1,1−トリフルオ
ロエタン(HFC143a)、1,1,1,2−テトラフルオ
ロエタン(HFC134a)、1,1,2,2−テトラフルオ
ロエタン(HFC134)、ペンタフルオロエタン(H
FC125)等であり、特に1,1,1,2−テトラフルオロ
エタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1,
1,1−トリフルオロエタンが好ましい。これらのハイド
ロフルオロカーボンは単独で用いても良いし、2種類あ
るいは3種類以上のハイドロフルオロカーボンを混合し
て用いても良い。
【0090】本発明の潤滑油組成物は、必要に応じて通
常使用される酸化防止剤、極圧剤、油性向上剤、消泡
剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、抗乳化剤等
の潤滑油添加剤を添加することもできる。例えば、酸化
防止剤として使用可能なものは、2,6−ジ−t−ブチル
フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノ
ール)等のフェノール系酸化防止剤や、p,p−ジオク
チルフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、
フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フ
ェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチル
アミン、アルキルフェニル−1−ナフチルアミン、アル
キルフェニル−2−ナフチルアミン等のアミン系酸化防
止剤や、アルキルジサルファイド、チオジプロピオン酸
エステル、ベンゾチアゾール等の硫黄系酸化防止剤や、
ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸
亜鉛などである。その添加量は本発明の潤滑油組成物に
対し0.05〜2.0重量%である。
【0091】極圧剤、油性向上剤として使用可能なもの
は、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジ
チオリン酸亜鉛などの亜鉛化合物や、チオジプロピオン
酸エステル、ジアルキルサルファイド、ジベンジルサル
ファイド、ジアルキルポリサルファイド、アルキルメル
カプタン、ジベンゾチオフェン、2,2'−ジチオビス(ベ
ンゾチアゾール)等の硫黄化合物、トリアリールフォス
フェートやトリアリールフォスファイト、トリアルキル
フォスファイトやトリアルキルフォスフェート等の燐化
合物、塩素化パラフィン等の塩素化合物、モリブデンジ
チオカーバメイト、モリブデンジチオフォスフェート、
二硫化モリブデン等のモリブデン化合物、パーフルオロ
アルキルポリエーテルや、三沸化塩化エチレン重合物、
フッ化黒鉛などのフッ素化合物、脂肪酸変性シリコーン
などのケイ素化合物、グラファイト等である。その添加
量は本発明の潤滑油組成物に対し0.05〜10重量%
である。
【0092】消泡剤として使用されるものは、ジメチル
ポリシロキサン等のシリコーン油やジエチルシリケート
等のオルガノシリケート類等である。その添加量は本発
明の潤滑油組成物に対し0.0005〜1重量%であ
る。
【0093】清浄分散剤として使用されるものは、スル
フォネート、フェネート、サリシレート、フォスフォネ
ート、ポリブテニルコハク酸イミド、ポリブテニルコハ
ク酸エステル等である。その添加量は本発明の潤滑油組
成物に対し0.05〜10重量%である。粘度指数向上
剤として使用されるものは、ポリメタクリレート、ポリ
イソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体、スチレン−ジエン水素化共重合体、ス
チレン−無水マレイン酸エステル共重合体等である。そ
の添加量は本発明の潤滑油組成物に対し0.01〜2.
0重量%である。
【0094】防錆剤として使用されるものは、オレイン
酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩、スルホン酸塩、ト
リエタノールアミン等のアミン類、オレイン酸ジエタノ
ールアミド、アルケニルコハク酸アミド等のアミド類、
ソルビタンモノオレート等のエステル類等の有機系や、
亜硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、モリブテン酸塩、炭酸
塩等の無機系等のものである。その添加量は本発明の潤
滑油組成物に対し0.01〜2.0重量%である。抗乳
化剤として使用されるものは、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン
モノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノ脂肪酸エステル等である。その添加量は本発明の潤滑
油組成物に対し0.01〜2.0重量%である。
【0095】本発明の潤滑油組成物を冷凍機作動流体用
組成物に用いる場合、添加剤として金属表面を保護する
ためのベンゾトリアゾール及び/又はベンゾトリアゾー
ル誘導体を添加したり、潤滑性を向上させるためのトリ
アリールフォスフェート及び/又はトリアリールフォス
ファイトを添加したり、熱安定性を向上させるためのラ
ジカルトラップ能を有するフェノール系化合物やキレー
ト能を有する金属不活性剤を添加することが有効であ
る。
【0096】本発明に用いられるトリアリールフォスフ
ェートやトリアリールフォスファイトは、炭素数18〜
70のものであり、さらに好ましくは炭素数18〜50
のものである。具体的には、特開平5−209171号
公報のカラム12,26行目〜41行目に記載されてい
る。好ましいのはトリフェニルフォスフェート、トリク
レジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェー
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェ
ート、トリフェニルフォスファイト、トリクレジルフォ
スファイト、トリキシレニルフォスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトであ
る。トリアリールフォスフェート及び/又はトリアリー
ルフォスファイトの添加量は、本発明の潤滑油組成物に
対し、通常0.1〜5.0重量%であり、好ましくは
0.5〜2.0重量%である。
【0097】本発明に用いられるベンゾトリアゾール及
び/又はベンゾトリアゾール誘導体の添加量は、本発明
の潤滑油組成物に対し、通常0.001〜0.1重量%
であり、好ましくは0.003〜0.03重量%であ
る。また、本発明に用いられるベンゾトリアゾール、ベ
ンゾトリアゾール誘導体は炭素数6〜50のものであ
り、好ましくは6〜30のものである。具体的には、特
開平5−209171号公報のカラム13,9行目〜2
9行目に記載されている。好ましくはベンゾトリアゾー
ル、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール等である。
【0098】本発明に用いられる金属不活性剤の添加量
は、本発明の潤滑油組成物に対し、通常0.001〜
2.0重量%であり、好ましくは0.003〜0.5重
量%である。本発明に用いられる金属不活性剤はキレー
ト能を持つものが好ましく、炭素数が5〜50のもので
あり、好ましくは5〜20である。具体的には、特開平
5−209171号公報のカラム13,38行目〜カラ
ム14,8行目に記載されている。好ましくはN,N'−ジ
サリチリデン−1,2−ジアミノエタン、N,N'−ジサリチ
リデン−1,2−ジアミノプロパン、アセチルアセトン、
アセト酢酸エステル、アリザリン、キニザリン等であ
る。
【0099】本発明に用いられるラジカルトラップ能を
有するフェノール系化合物の添加量は、本発明の潤滑油
組成物に対し、通常0.05〜2.0重量%であり、好
ましくは0.05〜0.5重量%である。本発明に用い
られるフェノール系化合物は、炭素数が6〜100のも
のであり、好ましくは10〜80のものである。具体的
には、特開平6−17073号公報のカラム12,32
行目〜カラム13,18行目に記載されている。好まし
くは、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t
−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−イ
ソプロピリデンビスフェノール、2,6−ジ−t−ブチル
−4−エチルフェノール等である。また、有機錫化合
物、ホウ素化合物等のフロン冷媒を安定させる添加剤を
加えてもよい。その添加量は本発明の潤滑油組成物に対
し0.001〜10重量%である。
【0100】
【実施例】以下、本発明に用いられる特定構造を有する
環状ケタールあるいは環状アセタール化合物の製造例、
本発明の潤滑油組成物、および本発明の潤滑油組成物を
含む冷凍機油とハイドロフルオロカーボンを含有する冷
凍機作動流体用組成物の実施例を説明するが、本発明は
これらになんら限定されるものではない。
【0101】製造例1 3リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。D−
ソルビトール336.8g(1.85mol)、メチル
エチルケトン800.0g(11.1mol)、パラト
ルエンスルホン酸1水和物17.6g(0.092mo
l)、及びヘキサン200mlを前記フラスコに取っ
た。窒素雰囲気下常圧で69〜79℃で8時間反応を行
い水を留去した。反応終了後、60℃に冷却し、炭酸ナ
トリウム19.6g(0.185mol、パラトルエン
スルホン酸の2倍当量)を加えて中和し、60℃で30
分間攪拌した。水200gを加えて、60℃で30分間
攪拌し静置して分層した。下層を除いた後、飽和食塩水
200gで洗浄し、ヘキサン及び過剰のメチルエチルケ
トンをロータリーエバポレーターを用いて減圧下で除去
した。さらに減圧蒸留し、環状ケタールA1(水酸基価1
2.9mgKOH/g,ガスクロマトグラフィー純度9
7.3%)を得た。そして、さらに環状ケタールA1
一部をカラムクロマトグラフィーにより精製して、環状
ケタールA2(水酸基価0.0mgKOH/g,ガスクロ
マトグラフィー純度99.8%)を得た。
【0102】製造例2 1リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。ジグ
リセリン166.0g(1.00mol)、メチルエチ
ルケトン288.0g(4.00mol)、パラトルエ
ンスルホン酸1水和物3.80g(0.020mo
l)、及びヘキサン100mlを前記フラスコに取っ
た。窒素雰囲気下常圧で66〜81℃で15時間反応を
行い水を留去した。反応終了後、60℃に冷却し、炭酸
ナトリウム4.24g(0.040mol、パラトルエ
ンスルホン酸の2倍当量)を加えて中和し、60℃で3
0分間攪拌した。水100gを加えて、60℃で30分
間攪拌し静置して分層した。下層を除いた後、水100
gで洗浄し、ヘキサン及び過剰のメチルエチルケトンを
ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で除去し、さ
らに低沸点分を減圧蒸留により除去した。得られた粗ケ
タール223.0gに、活性アルミナ0.6gを加え、
50℃で30分間攪拌した。濾過を行った後、環状ケタ
ールB1 (水酸基価15.7mgKOH/g,ガスクロ
マトグラフィー純度96.7%)を得た。そして、さら
に環状ケタールB1 の一部をカラムクロマトグラフィー
により精製して、環状ケタールB2 (水酸基価0.0m
gKOH/g,ガスクロマトグラフィー純度99.7
%)を得た。
【0103】製造例3 1リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。ジグ
リセリン100.0g(0.602mol)、メチルイ
ソブチルケトン180.8g(1.81mol)、パラ
トルエンスルホン酸1水和物2.29g(0.012m
ol)、及びトルエン300mlを前記フラスコに取っ
た。窒素雰囲気下常圧で110〜119℃で55時間反
応を行い水を留去した。反応終了後、60℃に冷却し、
炭酸ナトリウム2.54g(0.024mol、パラト
ルエンスルホン酸の2倍当量)を加えて中和し、60℃
で30分間攪拌した。水100gを加えて、60℃で3
0分間攪拌し静置して分層した。下層を除いた後、飽和
食塩水50gで洗浄し、トルエン及び過剰のメチルイソ
ブチルケトンをロータリーエバポレーターを用いて減圧
下で除去し、さらに減圧蒸留により、環状ケタールC1
(水酸基価26.2mgKOH/g,ガスクロマトグラ
フィー純度95.1%)を得た。そして、さらに環状ケ
タールC1 の一部をカラムクロマトグラフィーにより精
製して、環状ケタールC2 (水酸基価1.6mgKOH
/g,ガスクロマトグラフィー純度99.5%)を得
た。
【0104】製造例4 1リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。me
so−エリスリトール122.0g(1.00mo
l)、メチルエチルケトン288.0g(4.00mo
l)、パラトルエンスルホン酸1水和物3.80g
(0.020mol)、及びヘキサン100mlを前記
フラスコに取った。窒素雰囲気下常圧で63〜78℃で
15時間反応を行い水を留去した。反応終了後、60℃
に冷却し、炭酸ナトリウム4.24g(0.040mo
l、パラトルエンスルホン酸の2倍当量)を加えて中和
し、60℃で30分間攪拌した。水100gを加えて、
60℃で30分間攪拌し静置して分層した。下層を除い
た後、水100gで洗浄し、ヘキサン及び過剰のメチル
エチルケトンをロータリーエバポレーターを用いて減圧
下で除去し、さらに減圧蒸留を行って、環状ケタールD
(水酸基価1.0mgKOH/g,ガスクロマトグラフ
ィー純度99.4%)を得た。
【0105】製造例5 3リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。D−
マンニトール336.8g(1.85mol)、メチル
エチルケトン800.0g(11.1mol)、パラト
ルエンスルホン酸1水和物17.6g(0.092mo
l)、及びヘキサン200mlを前記フラスコに取っ
た。窒素雰囲気下常圧で68〜76℃で10時間反応を
行い水を留去した。反応終了後、60℃に冷却し、炭酸
ナトリウム19.6g(0.185mol、パラトルエ
ンスルホン酸の2倍当量)を加えて中和し、60℃で3
0分間攪拌した。水200gを加えて、60℃で30分
間攪拌し静置して分層した。下層を除いた後、飽和食塩
水200gで洗浄し、ヘキサン及び過剰のメチルエチル
ケトンをロータリーエバポレーターを用いて減圧下で除
去した。さらに減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィー
により精製して、環状ケタールE(水酸基価0.2mg
KOH/g,ガスクロマトグラフィー純度99.6%)
を得た。
【0106】製造例6 3リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、塩化カ
ルシウム管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。D
−ソルビトール170.8g(0.937mol)、3,
5,5−トリメチルヘキサナール400.0g(2.81
mol)、パラトルエンスルホン酸1水和物1.78g
(0.0094mol)、及びヘキサン400mlを前
記フラスコに取った。乾燥空気雰囲気下常圧で79〜8
1℃で8時間反応を行い水を留去した。反応終了後、7
0℃に冷却し、炭酸ナトリウム1.99g(0.019
mol、パラトルエンスルホン酸の2倍当量)を加えて
中和し、70℃で30分間攪拌した。水100gを加え
て、60℃で30分間攪拌し静置して分層した。下層を
除いた後、飽和食塩水100gで洗浄し、ヘキサンをロ
ータリーエバポレーターを用いて減圧下で除去し、さら
に低沸点分を減圧蒸留により除去した。得られた粗アセ
タール500.9gにヘキサン500mlを加え、活性
白土を通して濾過を行った後、ヘキサンをロータリーエ
バポレーターを用いて減圧下で除去して、環状アセター
ルF(水酸基価27.2mgKOH/g,ガスクロマト
グラフィー純度93.2%)を得た。
【0107】実施例1 本発明品の潤滑油組成物1〜13の40℃及び100℃
における動粘度(JIS K−2283)、流動点(J
IS K−2269)を測定した。その結果を表1に示
す。なお、製造例1〜6で得られた本発明に用いる環状
ケタールあるいは環状アセタールA2 〜F及び本発明に
用いるアルキルベンゼン、鉱油及びポリ−αオレフィン
a〜fの40℃及び100℃における動粘度(JIS
K−2283)、流動点(JIS K−2269)を表
2、表3に示す。さらに比較品1〜8の40℃及び10
0℃における動粘度(JIS K−2283)、流動点
(JIS K−2269)を測定した。その結果を表4
に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】実施例2 実施例1の表1に示した本発明品の潤滑油組成物1〜1
3の潤滑性を曽田式振り子試験を用いて調べた。また、
実施例1の表4に示した比較品2、3、4、5、8の潤
滑性についても同様にして調べた。25℃における摩擦
係数の測定結果を表5に示す。
【0113】
【表5】
【0114】表5から明らかなように、本発明品の潤滑
油組成物は比較品よりも摩擦係数が小さく、潤滑性に優
れていた。
【0115】実施例3 実施例1の表1に示した本発明品の潤滑油組成物1、
3、4、6、11の吸湿性を調べた。また、実施例1の
表4に示した比較品1、7の吸湿性についても同様にし
て調べた。内径18mm、内容積約10mlのガラス管
に、予め水分濃度50ppm以下に調整した油2gを取
り、25℃、湿度80%の恒温槽に入れた。一定時間放
置後、油の水分濃度をカールフィッシャー法(JIS
K−2275)により測定した。その結果を表6に示
す。
【0116】
【表6】
【0117】表6から明らかなように、本発明品の潤滑
油組成物は比較品よりも非常に吸湿性が低く、優れてい
た。
【0118】実施例4 実施例1の表1に示した本発明品の潤滑油組成物1、
3、4、6、11の電気絶縁性を調べた。また、実施例
1の表4に示した比較品7の電気絶縁性についても同様
にして調べた。JIS C−2101に準拠して、25
℃における体積抵抗率を測定した。その結果を表7に示
す。
【0119】
【表7】
【0120】表7から明らかなように、本発明品の潤滑
油組成物は比較品よりも体積抵抗率が非常に高く、優れ
ていた。
【0121】実施例5 実施例1の表1に示した本発明品の潤滑油組成物1、
3、5、6、7、11と1,1,1,2−テトラフルオ
ロエタン(HFC134a)あるいは1,1,1,2−
テトラフルオロエタンとジフルオロメタン(HFC3
2)との混合冷媒あるいは1,1,1,2−テトラフル
オロエタンとジフルオロメタンとペンタフルオロエタン
(HFC125)との混合冷媒の相溶性を調べた。ま
た、実施例1の表4に示した比較品2〜5と1,1,
1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)の相
溶性についても同様にして調べた。
【0122】表8に示した本発明品の潤滑油組成物1、
3、5、6、7、11と1,1,1,2−テトラフルオ
ロエタン(HFC134a)あるいは1,1,1,2−
テトラフルオロエタンとジフルオロメタン(HFC3
2)との混合冷媒あるいは1,1,1,2−テトラフル
オロエタンとジフルオロメタンとペンタフルオロエタン
(HFC125)との混合冷媒との組成物である本発明
品14〜23の低温での二相分離温度を測定した。ま
た、実施例1の表4に示した比較品2〜5と1,1,
1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)との
組成物である比較品9〜12の低温での二相分離温度に
ついても同様にして測定した。その結果を表8に示す。
【0123】
【表8】
【0124】表8から明らかなように、本発明品の潤滑
油組成物は比較品よりもハイドロフルオロカーボンとの
低温での相溶性に優れていた。
【0125】実施例6 実施例5の表8に示した本発明品14、15、16、1
7、19、20、22、23の熱安定性を調べるため、
以下に示した条件でシールドチューブ試験を行った。す
なわち、予め水分濃度を10ppm以下、酸価を0.0
3(mgKOH/g)以下に調製した潤滑油10g、及
びハイドロフルオロカーボン5gをガラス管に取り、触
媒として鉄、銅、アルミニウムを加えて封管した。17
5℃で14日間試験した後、ハイドロフルオロカーボン
と油の組成物の外観と析出物の有無を調べ、封管を開け
てハイドロフルオロカーボンを除去した後、油の酸価を
調べた。その結果を表9に示す。
【0126】
【表9】
【0127】表9から明らかなように、本発明品はいず
れも外観は良好であり、析出物もなく、また、酸価の上
昇もなく、熱安定性も良好である。
【0128】実施例7 実施例5の表8に示した本発明品14、15、16、1
7、19、20、22、23及び実施例1の表4に示し
た比較品6と1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(HFC134a)との組成物である比較品13につい
て、水存在下での熱安定性を調べるため、以下に示した
条件でシールドチューブ試験を行った。すなわち、予め
水分濃度を10ppm以下、酸価を0.03(mgKO
H/g)以下に調製した潤滑油10g、及びハイドロフ
ルオロカーボン5gをガラス管に取り、触媒として鉄、
銅、アルミニウムを加えて封管した。175℃で14日
間試験した後、ハイドロフルオロカーボンと油の組成物
の外観と析出物の有無を調べ、封管を開けてハイドロフ
ルオロカーボンを除去した後、油の酸価を調べた。その
結果を表10に示す。
【0129】
【表10】
【0130】表10から明らかなように、本発明品はい
ずれも外観は良好であり、析出物もなく、また、酸価の
上昇もなく、水存在下での熱安定性は比較品よりも良好
であった。
【0131】実施例8 実施例5の表8に示した本発明品14、16、19、2
3及び実施例1の表4に示した比較品6と1,1,1,
2−テトラフルオロエタン(HFC134a)との組成
物である比較品13について、耐磨耗性をFalex試
験を用いて調べた。油100mlを80℃に加温し、
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134
a)の流通下(10リットル/時間)、150(lb)
の荷重で4時間運転し、運転後のVブロックとピンの磨
耗量を測定した。その結果を表11に示す。
【0132】
【表11】
【0133】表11から明らかなように、本発明品は比
較品よりも磨耗量が少なく、優れていた。
【0134】
【発明の効果】本発明により、潤滑性、熱安定性及び酸
化安定性に優れ、加水分解等によるカルボン酸の発生が
なく、吸湿性の低い、かつ、安価な潤滑油組成物を提供
することができ、またはハイドロフルオロカーボンとの
相溶性、電気絶縁性、吸湿性等の性能に優れ、加水分解
等によるカルボン酸の発生がなく、かつ安価な冷凍機の
作動流体用組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 493/18 C07D 493/18 493/20 493/20 C10N 30:06 30:08 30:10 40:30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(a)成分を含有してなる潤滑油
    組成物において、さらに下記の(b)成分を重量比
    (a)/(b)=0.1/99.9〜99.0/1.0
    で含有していることを特徴とする潤滑油組成物。 (a)アルキルベンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィ
    ンからなる群より選ばれる1種以上の化合物 (b)4価以上10価以下の価数が偶数である多価アル
    コールの1種以上と、一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜18の直鎖、分
    岐、もしくは環状のアルキル基を示し、R2 は炭素数1
    〜18の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示
    す。あるいは、R1 とR2 は一緒になって炭素数2〜3
    6のアルキレン基を示す。)で表されるカルボニル化合
    物またはその反応性誘導体であるケタールもしくはアセ
    タールの1種以上とから得られる環状ケタールあるいは
    環状アセタール
  2. 【請求項2】 (b)の環状ケタールあるいは環状アセ
    タールが、4価以上8価以下の価数が偶数の多価アルコ
    ールの1種以上と、一般式(2) 【化2】 (式中、R3 は水素原子または炭素数1〜12の直鎖、
    分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、R4 は炭素数
    1〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示
    す。あるいは、R3 とR4 は一緒になって炭素数2〜1
    3のアルキレン基を示す。R3 とR4 の合計炭素数は1
    〜13である。)で表されるカルボニル化合物またはそ
    の反応性誘導体であるケタールもしくはアセタールの1
    種以上とから得られる環状ケタールあるいは環状アセタ
    ールである請求項1記載の潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】 (b)の多価アルコールがエーテル結合
    を持たないものである請求項1又は2記載の潤滑油組成
    物。
  4. 【請求項4】 (b)の多価アルコールがエーテル結合
    を1つもつものである請求項1又は2記載の潤滑油組成
    物。
  5. 【請求項5】 (b)の環状ケタールあるいは環状アセ
    タールが、1,3−ジオキソラン構造及び/又は1,3
    −ジオキサン構造を含むものである請求項3又は4記載
    の潤滑油組成物。
  6. 【請求項6】 (b)の環状ケタールあるいは環状アセ
    タールが、4価または6価の炭素数4〜25の飽和脂肪
    族アルコールと、一般式(2)で表されるカルボニル化
    合物またはその反応性誘導体であるケタールもしくはア
    セタールの1種以上とから得られる環状ケタールまたは
    環状アセタールであるる請求項3〜5いずれか記載の潤
    滑油組成物。
  7. 【請求項7】 下記の(a)成分を含有してなる潤滑油
    組成物において、さらに下記の(b’)成分を重量比
    (a)/(b’)=0.1/99.9〜99.0/1.
    0で含有していることを特徴とする潤滑油組成物。 (a)アルキルベンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィ
    ンからなる群より選ばれる1種以上の化合物 (b’)式(3a)、(3b)、(4a)、又は(4
    b)で表される環状ケタール又は環状アセタールの1種
    以上 【化3】 (式中、R3 は水素原子または炭素数1〜12の直鎖、
    分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、R4 は炭素数
    1〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示
    す。あるいは、R3 とR4 は一緒になって炭素数2〜1
    3のアルキレン基を示す。R3 とR4 の合計炭素数は1
    〜13である。)
  8. 【請求項8】 下記の(a)成分を含有してなる潤滑油
    組成物において、さらに下記の(b'')成分を重量比
    (a)/(b'')=0.1/99.9〜99.0/1.
    0で含有していることを特徴とする潤滑油組成物。 (a)アルキルベンゼン、鉱油、及びポリ−αオレフィ
    ンからなる群より選ばれる1種以上の化合物 (b'')式(5)又は(6)で表される環状ケタールま
    たは環状アセタールの1種以上 【化4】 (式中、R3 は水素原子または炭素数1〜12の直鎖、
    分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、R4 は炭素数
    1〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示
    す。あるいは、R3 とR4 は一緒になって炭素数2〜1
    3のアルキレン基を示す。R3 とR4 の合計炭素数は1
    〜13である。)
  9. 【請求項9】 請求項2〜8いずれか記載の潤滑油組成
    物を含む冷凍機油とハイドロフルオロカーボンを含有す
    ることを特徴とする冷凍機作動流体用組成物。
  10. 【請求項10】 ハイドロフルオロカーボンと冷凍機油
    が、重量比でハイドロフルオロカーボン/冷凍機油=5
    0/1〜1/20で含有されている請求項9記載の冷凍
    機作動流体用組成物。
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