JPH0931484A - 冷凍機作動流体用組成物 - Google Patents

冷凍機作動流体用組成物

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JPH0931484A
JPH0931484A JP7206494A JP20649495A JPH0931484A JP H0931484 A JPH0931484 A JP H0931484A JP 7206494 A JP7206494 A JP 7206494A JP 20649495 A JP20649495 A JP 20649495A JP H0931484 A JPH0931484 A JP H0931484A
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JP7206494A
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Inventor
Masahiro Fukuda
昌弘 福田
Toshiya Hagiwara
敏也 萩原
Akimitsu Sakai
章充 酒井
Hiroyasu Togashi
博靖 冨樫
Yuichiro Kobayashi
勇一郎 小林
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】環状ケタールあるいは環状アセタールを主成分
とする基油、酸性亜リン酸エステル、アミン化合物、並
びにハイドロフルオロカーボンを含有する冷凍機作動流
体用組成物。 【効果】本発明により、熱安定性、電気絶縁性に優れ、
加水分解によるカルボン酸の発生が無く、吸湿性が低
く、かつ安価な潤滑油組成物が提供され、かかる潤滑油
組成物とハイドロフルオロカーボンを配合した本発明の
冷凍機作動流体用組成物は、金属接触面における摩耗量
の低減が可能であり、相溶性に優れ、熱安定性、電気絶
縁性、吸湿性に優れ、加水分解によるカルボン酸の発生
が無く、かつ安価なものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩耗抑制効果に優
れた冷凍機作動流体用組成物を提供するものである。即
ち、本発明は、環状ケタールあるいは環状アセタール化
合物を主成分とする基油に特定の酸性亜リン酸エステル
及びアミン化合物を配合した潤滑油組成物とハイドロフ
ルオロカーボンを含有する冷凍機作動流体用組成物を提
供するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、オゾン層保護のため冷蔵庫やカー
クーラーに使用されているジクロロジフルオロメタン
(CFC12)が使用規制され、1995年末には使用
禁止されることが決まった。又、続いてルームエアコン
等に使用されているクロロジフルオロメタン(HCFC
22)の使用も規制されようとしている。そのため、こ
のCFC12やHCFC22の代替品として、オゾン層
を破壊することのないハイドロフルオロカーボン(HF
C)系の冷媒、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン
(HFC134a)やジフルオロメタン(HFC32)
やペンタフルオロエタン(HFC125)が開発されて
いる。
【0003】これらのHFC系の冷媒は、CFC12や
HCFC22に比べて極性が高いため、冷凍機油として
従来より一般に使用されているナフテン系鉱物油やポリ
α−オレフィン、アルキルベンゼン等の潤滑油を用いる
と、これらの潤滑油とハイドロフルオロカーボンとの相
溶性が悪く、低温において二層分離を起こす。二層分離
を起こすと、オイル戻りが悪くなり、熱交換器としての
凝縮器や蒸発器の付近に厚い油膜が付着して伝熱を妨
げ、又、潤滑不良や起動時の発泡等の重要欠陥の原因と
なる。そのため、従来の冷凍機油はこれらの新しい冷媒
雰囲気下での冷凍機油として使用することができない。
従って、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性の良い潤
滑油が求められている。
【0004】又、潤滑性についてもCFC12やHCF
C22においては、それが一部分解して塩化水素を発生
させ、この塩化水素が摩擦面と反応して、塩化物皮膜を
形成して潤滑性を良好にするという効果があった。しか
しながら、塩素原子を含んでいないハイドロフルオロカ
ーボンにはこのような効果が期待できないため、ハイド
ロフルオロカーボンと共に使用する冷凍機油には従来の
ものより一層潤滑性の優れた潤滑油が求められる。
【0005】又、更にハイドロフルオロカーボンと共に
用いられる冷凍機油としては、ハイドロフルオロカーボ
ン共存下での熱安定性の良いことが必要である。又、こ
のほか、電気冷蔵庫やルームエアコン等の圧縮式冷凍機
には、絶縁材やエナメル線などのモーターに用いられて
いる有機材料が存在するため、ハイドロフルオロカーボ
ンと冷凍機油からなる作動流体としては、これらの有機
材料に悪影響を及ぼさないことが必要であるし、電気絶
縁性も良好であることが必要である。
【0006】ハイドロフルオロカーボン、例えば1,1,1,
2-テトラフルオロエタン(HFC134a)と共に用い
ることのできる冷凍機油として、米国特許第4,755,316
号明細書(特表平2-502385号公報)や特開平3-14894 号
公報(ヨーロッパ特許第377,122 号)、特開平2-182780
号公報(WO90/05172号)等にポリアルキレングリコール
系化合物が開示されている。
【0007】ポリアルキレングリコール系化合物はナフ
テン系鉱物油に比べ極性が高いので、HFC134aと
の低温での相溶性は確かに良好である。しかしながら、
米国特許第4,755,316 号明細書に述べられているよう
に、ポリアルキレングリコール系化合物は逆に温度が上
昇すると二層分離を起こすという問題がある。又、ポリ
アルキレングリコール系化合物にはこの他にもいくつか
の問題がある。一つは電気絶縁性が劣るということであ
る。これは非常に大きな問題であり、モーターがコンプ
レッサーに内蔵されている電気冷蔵庫用冷凍機やエアコ
ン用冷凍機には用いることができない。これらの化合物
はそのような心配のないカーエアコン用途としての使用
が示唆されている。もう一つの問題は吸湿性の大きいこ
とである。ポリアルキレングリコール系化合物中の水分
のために、有機材料であるPETフィルム等が加水分解
したりする。単位重量当たりのエーテル結合の数を小さ
くすることにより、電気絶縁性を良好にし、吸湿性を小
さくできるが、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性が
悪くなる。このようにポリアルキレングリコールのよう
なエーテル系化合物は、ハイドロフルオロカーボンとの
相溶性と電気絶縁性、吸湿性の特性を両立させることは
できない。
【0008】このような電気絶縁性、吸湿性等のポリア
ルキレングリコール系化合物の問題を改善するためにエ
ステル系化合物やカーボネート系化合物が開発されてい
る。例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC13
4a)と共に用いることができる冷凍機油として、米国
特許第4,851,144 号明細書(特開平2-276894号公報)や
特開平2-158693号公報にポリアルキレングリコール化合
物とエステル油の混合油が開示され、特表平3-505602号
公報(WO90/12849号)、特開平3-128991号公報、特開平
3-128992号公報、特開平3-88892 号公報、特開平3-1790
91号公報にエステル油が開示されている。特開平2-1321
78号公報、特開平3-149295号公報、ヨーロッパ特許第42
1,298 号明細書にカーボネート油が開示されている。
【0009】エステル系化合物やカーボネート系化合物
は、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性に優れ、ハイ
ドロフルオロカーボン共存下での熱安定性にも優れてい
る。ポリアルキレングリコール系化合物に比べ、電気絶
縁性が極めて優れており、又、吸湿性もかなり低い。し
かしながら、従来の作動流体であるCFC12−鉱物油
系に比べると、ハイドロフルオロカーボン−エステル油
系やハイドロフルオロカーボン−カーボネート油系で
は、フロン、油共に極性が高くなり、水を含みやすい。
そのため、エステルは加水分解を起こし、カルボン酸を
生成し、生成したカルボン酸が金属を腐食し、摩耗を引
き起こす問題がある。又、カーボネート油は加水分解を
起こし、非凝縮性の二酸化炭素を生成し、冷凍能力を低
下させるという問題も生じる。
【0010】特に、ルームエアコンでは冷媒の現場充填
が専ら行われるので、工場充填が行われる冷蔵庫の場合
と異なり水分の混入を防止するのは不可能に近く、ハイ
ドロフルオロカーボン−エステル油系やハイドロフルオ
ロカーボン−カーボネート油系ではルームエアコンでの
信頼性が心配される。
【0011】又、ポリアルキレングリコールの電気絶縁
性を改良したポリエーテル化合物として、WO93/2
4435号公報においてポリビニルエーテル系化合物が
開示されている。このポリビニルエーテル系化合物は、
ビニルエーテル系モノマーを重合し水素添加することに
よって得られており、このものはハイドロフルオロカー
ボンとの相溶性が良好で、電気絶縁性においても良好で
あることが開示されている。しかしながら、ポリビニル
エーテル系化合物は重合法によって合成されており、生
成物は分子量のばらつきを有するため、一部の高分子量
化合物がキャピラリーチューブ詰まりの原因となる可能
性があり、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性を悪化
させる可能性がある。又、後処理方法が煩雑であった
り、不安定なビニルエーテル系モノマーを原料に使用し
ており、必ずしも収率良く得られているとは言い難い。
特に、低重合度のもの(重合度6付近)は収率が低くな
ってしまうという欠点がある。又、ビニルエーテル系モ
ノマーは構造によっては原料の入手が困難で、高価なも
のとなっている。
【0012】一方、環状ケタール、環状アセタールを冷
凍機作動流体に用いる例は、特開平4-320498号公報、特
開平6-57243 号公報に述べられている。前者は、1価ア
ルコール又は2価アルコールとケトン又はアルデヒドか
ら得られるケタールあるいはアセタールであり、エステ
ル又はポリアルキレングリコール系の合成潤滑油に配合
して用いることが述べられており、後者は、分子内にケ
タール又はアセタール基を含有したグリセリン、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトールのエステルやカーボネートの誘導体である。
前者のアセタール、ケタールは分子量が小さく、沸点、
引火点が低いという欠点を有し、なおかつ粘度が低いと
いう欠点を有する。従って、エステルやポリアルキレン
グリコール等のエーテルに混合すると、粘度の低下や引
火点の低下が著しく起こるという欠点を有する。又、後
者のアセタール、ケタールは、製造において2つ以上の
反応工程を経るため高価なものとなるという欠点を有
し、更に、いくつかのものは高純度で得にくいという欠
点を有する。更に後者のアセタール、ケタールとして具
体的に開示されているものは、分子内にエーテル結合が
2個以上含まれており、電気絶縁性の向上が充分でない
という問題がある。
【0013】このように、今まで開発されたハイドロフ
ルオロカーボン−ポリアルキレングリコール系は吸湿性
・電気絶縁性に、ハイドロフルオロカーボン−エステル
系、ハイドロフルオロカーボン−カーボネート系は耐加
水分解性に問題があり、又、何れの系も従来のCFC1
2−鉱物油系に比べ水分を含みやすく、熱安定性の低下
や有機材料の劣化、金属の腐食や摩耗等を引き起こし、
冷凍機作動流体として満足できるものではない。又、ポ
リビニルエーテル系化合物は分子量分布を持つために一
部高分子量化合物を含み、これが相溶性を低下させる欠
点があり、原料種が限られ、高価なものとなってしまう
という欠点がある。
【0014】又、今までに報告されているケタールやア
セタールは分子量が低い、高価格であるという欠点を有
し、その一方、酸性亜リン酸エステル及びアミン化合物
を添加することにより、環状ケタールや環状アセタール
の潤滑油としての性能を改善しようとする試みも、これ
まで存在しなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
のような欠点を有しない、即ち、ハイドロフルオロカー
ボンとの相溶性、熱安定性、電気絶縁性、吸湿性の性能
に優れ、加水分解等によるカルボン酸の発生がなく、特
に摩耗を抑制して潤滑性に優れ、かつ、安価な冷凍機作
動流体用組成物を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、環状ケタールあ
るいは環状アセタールを主成分とする基油に特定の酸性
亜リン酸エステル及びアミン化合物を添加することによ
り上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成す
るに到った。
【0017】即ち、本発明の要旨は、 (1) (A)環状ケタールあるいは環状アセタールを
主成分とする基油、(B)一般式(I)
【0018】
【化6】
【0019】(式中、X1 は炭素数2〜4の直鎖又は分
岐アルキレン基を表し、pは0〜30を表し、X2 は水
素原子、炭素数1〜18を有する直鎖アルキル基、炭素
数3〜18を有する分岐鎖アルキル基、炭素数2〜18
を有する直鎖アルケニル基、炭素数3〜18を有する分
岐鎖アルケニル基、炭素数6〜18を有するアリール
基、炭素数7〜18を有するアラルキル基、炭素数1〜
18を有するハロゲン化アルキル基、又は炭素数6〜1
8を有するハロゲン化アリール基を表すが、pが0の
時、X2 は水素原子ではない。)で表される酸性亜リン
酸エステル、(C)一般式(II)
【0020】
【化7】
【0021】(式中、X3 、X4 、X5 及びX6 は、同
一であっても又は異なっていても良いが、水素原子、炭
素数1〜18を有する直鎖アルキル基、炭素数3〜18
を有する分岐鎖アルキル基、炭素数2〜18を有する直
鎖アルケニル基、炭素数3〜18を有する分岐鎖アルケ
ニル基、炭素数6〜18を有するアリール基、又は炭素
数7〜18を有するアラルキル基を表し、X7 は、炭素
数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基を表す。mは0〜
4を表す。m個のX5 は同一でも異なっても良い。mが
0の時、X3 、X4 及びX6 のうち、少なくとも1つは
水素原子以外の基であり、mが1〜4の時、X3
4 、m個のX5 及びX6 のうち、少なくとも1つは水
素原子以外の基である。)で表されるアミン化合物、並
びに(D)ハイドロフルオロカーボンを含有する冷凍機
作動流体用組成物、 (2) (A)環状ケタールあるいは環状アセタールを
主成分とする基油、100重量部に対して、(B)酸性
亜リン酸エステルと(C)アミン化合物の合計量が0.
05〜5重量部であることを特徴とする上記(1)記載
の冷凍機作動流体用組成物、 (3) 環状ケタールあるいは環状アセタールが、4価
以上8価以下の価数が偶数の多価アルコールの1種以上
と、一般式(III)
【0022】
【化8】
【0023】(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜1
2の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、R
2 は炭素数1〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のアル
キル基を示す。あるいはR1 とR2 は一緒になって炭素
数2〜13のアルキレン基を形成してもよい。但し、い
ずれの場合もR1 とR2 の合計炭素数は1〜13であ
る。)で表されるカルボニル化合物又はその反応性誘導
体であるケタールもしくはアセタールの1種以上とから
得られる環状ケタールあるいは環状アセタールであるこ
とを特徴とする上記(1)又は(2)記載の冷凍機作動
流体用組成物、 (4) 多価アルコールが、エーテル結合を持たないも
のである上記(3)記載の冷凍機作動流体用組成物、 (5) 多価アルコールが、エーテル結合を1つ持つも
のである上記(3)記載の冷凍機作動流体用組成物、 (6) 多価アルコールが、4価又は6価の炭素数4〜
25の飽和脂肪族アルコールである上記(3)〜(5)
いずれか記載の冷凍機作動流体用組成物、 (7) 環状ケタールあるいは環状アセタールが、1,3-
ジオキソラン構造及び/又は1,3-ジオキサン構造を含む
ものである上記(1)〜(6)いずれか記載の冷凍機作
動流体用組成物、 (8) 環状ケタールあるいは環状アセタールが、式
(IV)又は(V)で表される環状ケタール又は環状アセ
タールの1種以上であることを特徴とする上記(1)〜
(3)いずれか記載の冷凍機作動流体用組成物、
【0024】
【化9】
【0025】(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜1
2の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基を示し、R2
は炭素数1〜12の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
基を示す。あるいはR1 とR2 は一緒になって炭素数2
〜13のアルキレン基を形成してもよい。但し、いずれ
の場合も同一の炭素原子に結合したR1 とR2 の合計炭
素数は1〜13である。) (9) 環状ケタールあるいは環状アセタールが、式
(VI)又は(VII)で表される環状ケタール又は環状アセ
タールの1種以上であることを特徴とする上記(1)〜
(3)いずれか記載の冷凍機作動流体用組成物、
【0026】
【化10】
【0027】(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜1
2の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基を示し、R2
は炭素数1〜12の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
基を示す。あるいはR1 とR2 は一緒になって炭素数2
〜13のアルキレン基を形成してもよい。但し、いずれ
の場合も同一の炭素原子に結合したR1 とR2 の合計炭
素数は1〜13である。) (10) ハイドロフルオロカーボンと潤滑油組成物の
混合比が、ハイドロフルオロカーボン/潤滑油組成物=
50/1〜1/20(重量比)であることを特徴とする
上記(1)〜(9)いずれか記載の冷凍機作動流体用組
成物、に関する。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる環状ケタール
あるいは環状アセタールとしては、環状ケタール構造又
は環状アセタール構造を有する化合物であれば特に限定
されないが、以下に述べる多価アルコールの1種以上
と、カルボニル化合物又はその反応性誘導体より得られ
るものが好ましい。
【0029】本発明に用いられる環状ケタール又は環状
アセタールの原料となる多価アルコールの価数は、4
価、6価又は8価が好ましく、さらに好ましくは4価又
は6価である。多価アルコールの価数が、8価より大き
いと得られる環状ケタールあるいは環状アセタールの粘
度が高くなりすぎ、又、ハイドロフルオロカーボンとの
相溶性が悪くなる場合がある。又、多価アルコールの価
数が、4価より小さいと分子量が低くなりすぎ、沸点、
引火点が低くなるので好ましくない。多価アルコールの
価数が奇数の場合、必ず未反応の水酸基が残り、粘度が
高くなるため好ましくない。又、水酸基が残ると、ハイ
ドロフルオロカーボンとの相溶性が悪くなるため好まし
くない。未反応の水酸基をアルキル化反応によってエー
テル構造にすることにより、粘度やハイドロフルオロカ
ーボンとの相溶性を改善できるが、製造における反応工
程が増えるため好ましくない。又、そのために高純度の
ものが得にくくなる。
【0030】又、環状ケタール又は環状アセタールの原
料となる多価アルコールの炭素数は4〜25が好まし
く、さらに好ましくは4〜15、特に好ましくは4〜1
0である。多価アルコールの炭素数が25より大きい
と、得られる環状ケタール又は環状アセタールのハイド
ロフルオロカーボンとの相溶性が悪くなり好ましくな
い。又、多価アルコールの炭素数が4より小さいと分子
量が低くなりすぎ、沸点、引火点が低くなり好ましくな
い。
【0031】具体的には、エリスリトール、ジグリセリ
ン、アラビノース、リボース、ソルビトール、マンニト
ール、ガラクチトール、イディトール、タリトール、ア
リトール、4,7-ジオキサデカン-1,2,9,10-テトラオー
ル、5-メチル-4,7- ジオキサデカン-1,2,9,10-テトラオ
ール、4,7,10- トリオキサトリデカン-1,2,12,13- テト
ラオール、1,6-ジメトキシヘキサン-2,3,4,5- テトラオ
ール、3,4-ジエトキシヘキサン-1,2,5,6- テトラオール
等の多価アルコールや、ペンタエリスリトール、ジトリ
メチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジペン
タエリスリトール、トリペンタエリスリトール、2,9-ジ
エチル-2,9- ジヒドロキシメチル-4,7- ジオキサデカン
-1,10-ジオール、2,12- ジエチル-2,12-ジヒドロキシメ
チル-5,8-ジメチル-4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13
-ジオール等のヒンダードアルコールである。
【0032】このうち、4,7-ジオキサデカン-1,2,9,10-
テトラオール、5-メチル-4,7- ジオキサデカン-1,2,9,1
0-テトラオール、4,7,10- トリオキサトリデカン-1,2,1
2,13- テトラオール、1,6-ジメトキシヘキサン-2,3,4,5
- テトラオール、3,4-ジエトキシヘキサン-1,2,5,6- テ
トラオール、2,9-ジエチル-2,9- ジヒドロキシメチル-
4,7- ジオキサデカン-1,10-ジオール、2,12- ジエチル-
2,12-ジヒドロキシメチル-5,8- ジメチル-4,7,10-トリ
オキサトリデカン-1,13-ジオールのようにエーテル結合
を2個以上持つ多価アルコールは、工業的な入手が容易
ではなく、製造に数工程を要するため高価となり好まし
くない。
【0033】又、本発明に用いられる環状ケタール又は
環状アセタールの原料となる多価アルコールは飽和脂肪
族アルコールが好ましい。不飽和結合を持つと得られる
潤滑油組成物の熱安定性が悪くなるので好ましくない。
【0034】又、本発明に用いられる環状ケタール又は
環状アセタールの原料となる多価アルコールは、良好な
電気絶縁性を持つという観点からすれば分子内にエーテ
ル結合を持たないものが最も好ましい。又、エーテル結
合を持つ場合でも1つだけのものが好ましい。2つ以上
持つと、電気絶縁性が悪くなるため、好ましくない。分
子内にエーテル結合を持たない多価アルコールの具体例
は、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ガ
ラクチトール、イディトール、タリトール、アリトー
ル、ペンタエリスリトール等であり、エーテル結合を1
つ持つ多価アルコールの具体例は、ジグリセリン、ジト
リメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン等であ
る。
【0035】又、ペンタエリスリトールのような対称性
の高いアルコールを用いた場合は、得られる環状ケター
ルあるいは環状アセタールの融点が高くなる為、得られ
る潤滑油組成物の融点が高くなる為、冷凍機作動流体用
としては好ましくない。
【0036】本発明で用いられる環状ケタール又は環状
アセタールの原料となるカルボニル化合物は、一般式
(III)で示されるケトンやアルデヒドである。
【0037】
【化11】
【0038】一般式(III)で示されるケトンやアルデヒ
ドの炭素数は2〜14、好ましくは炭素数2〜11、さ
らに好ましくは炭素数2〜6である。炭素数が14を超
えると得られる環状ケタールあるいは環状アセタールの
ハイドロフルオロカーボンとの相溶性が悪くなるため、
好ましくない。
【0039】R1 は水素原子又は炭素数1〜12の直
鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、好ましく
は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖、分岐、もしくは環
状のアルキル基を示し、さらに好ましくは水素原子又は
炭素数1〜5の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基
を示す。R2 は炭素数1〜12の直鎖、分岐、もしくは
環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜8の直
鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示し、さらに好
ましくは炭素数1〜5の直鎖、分岐、もしくは環状のア
ルキル基を示す。あるいはR1 とR2 は一緒になって炭
素数2〜13、好ましくは炭素数4〜10、さらに好ま
しくは炭素数4〜5のアルキレン基を形成してもよい。
但し、上記のいずれの場合も、R1 とR2 の合計炭素数
は1〜13であり、好ましくは1〜10であり、さらに
好ましくは1〜5である。又、R1とR2 は同一でも異
なっていても良い。R1 あるいはR2 の炭素数が13を
超えると、得られる環状ケタール又は環状アセタールの
ハイドロフルオロカーボンとの相溶性が悪くなるため好
ましくない。又、R1 とR2 が一緒になって形成するア
ルキレン基の炭素数が13を超えると、得られる環状ケ
タール又は環状アセタールのハイドロフルオロカーボン
との相溶性が悪くなるため好ましくない。又、得られる
環状ケタール又は環状アセタールのハイドロフルオロカ
ーボンとの相溶性から、R1 、R2 のアルキル基は直鎖
構造より分岐や環状構造が好ましく、又、R1 とR2
一諸になってアルキレン基を形成するよりは形成しない
方が好ましい。
【0040】具体的には、R1 とR2 がアルキル基であ
るケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピ
ルケトン、メチルブチルケトン、エチルプロピルケト
ン、メチル-sec- ブチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、エチルイソプロピルケトン、メチル-tert-ブチルケ
トン、メチルアミルケトン、エチルブチルケトン、ジイ
ソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジプロピ
ルケトン、イソプロピルプロピルケトン、メチルネオペ
ンチルケトン、エチル-tert-ブチルケトン、メチルヘキ
シルケトン、エチルペンチルケトン、6-メチル-2- ヘプ
タノン、4-メチル-3- ヘプタノン、2-メチル-3- ヘプタ
ノン、5-メチル-3- ヘプタノン、メチルシクロヘキシル
ケトン、メチルヘプチルケトン、エチルヘキシルケト
ン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルオク
チルケトン、メチルノニルケトン、ジペンチルケトン、
メチルデシルケトン、メチルウンデシルケトン、ジヘキ
シルケトン、6,10- ジメチル-2- ウンデカノン等があげ
られる。
【0041】又、R1 とR2 が一緒になってアルキレン
基を形成するケトンとしては、シクロプロパノン、シク
ロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-
メチルシクロペンタノン、3-メチルシクロペンタノン、
2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノ
ン、4-メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2,
4-ジメチルシクロヘキサノン、2,6-ジメチルシクロヘキ
サノン、シクロオクタノン、3-エチルシクロヘキサノ
ン、4-エチルシクロヘキサノン、3,5,5-トリメチルシク
ロヘキサノン、2-tert- ブチルシクロヘキサノン、4-te
rt- ブチルシクロヘキサノン、2-イソプロピル-4- メチ
ルシクロヘキサノン、シクロデカノン、シクロドデカノ
ン等があげられる。
【0042】又、R1 が水素原子であるアルデヒドとし
ては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチ
ルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒ
ド、イソバレルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒ
ド、カプロアルデヒド、2-メチルペンタナール、3-メチ
ルペンタナール、4-メチルペンタナール、2-エチルブタ
ナール、2,3-ジメチルブタナール、3,3-ジメチルブタナ
ール、シクロペンチルアセトアルデヒド、ヘプタナー
ル、2-メチルヘキサナール、3-メチルヘキサナール、4-
メチルヘキサナール、5-メチルヘキサナール、2-エチル
ペンタナール、シクロヘキシルアルデヒド、オクタナー
ル、2-メチルヘプタナール、2-エチルヘキサナール、2-
プロピルペンタナール、2,2,4-トリメチルペンタナー
ル、ノニルアルデヒド、3,5,5-トリメチルヘキサナー
ル、デシルアルデヒド、イソデシルアルデヒド、3,7-ジ
メチルオクタナール、2-イソプロピル-5- メチルヘキサ
ナール、ウンデカナール、ドデカナール等があげられ
る。
【0043】本発明で用いられる一般式(III)で示され
るケトンは脂肪酸の高温脱炭酸二量化反応や、オレフィ
ンの触媒酸化反応(ワッカー法)や第2級アルコールの
酸化、脱水素やシクロアルカンの酸化等によって容易に
得られる。ワッカー法の場合、得られるケトンは精密蒸
留により単品に分離精製することができる。又、本発明
で用いられる一般式(III)で示されるアルデヒドは、例
えば脂肪アルコールの脱水素反応、オレフィンのヒドロ
ホルミル化反応(オキソ法)、脂肪酸クロライドのロー
ゼムント還元や脂肪酸より直接水添等によって容易に得
られる。オキソ法の場合、直鎖体と分岐体が生成する
が、精密蒸留により単品に分離精製することができる。
【0044】又、本発明で用いられるカルボニル化合物
の反応性誘導体としては、上記に述べたケトン、アルデ
ヒドと炭素数1〜6の低級アルコールから酸触媒によっ
て容易に合成されるケタール、アセタールがある。炭素
数1〜6の低級アルコールの具体例として、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert- ブ
タノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、
ネオペンチルアルコール、1-メチルブタノール、1,1-ジ
メチルプロパノール、1-エチルプロパノール、ヘキサノ
ール、イソヘキサノール、2-エチルブタノール、1-メチ
ルアミルアルコール、1,3-ジメチルブタノール、1-エチ
ルブタノール等があげられる。
【0045】本発明における潤滑油組成物に用いられる
環状ケタール、環状アセタールは以下のようにして得る
ことができる。多価アルコールと上記ケトンとの反応は
ケタール化反応であり、この反応は触媒としてパラトル
エンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等の酸触媒を
多価アルコールに対して0.05〜10モル%、好まし
くは0.1〜7.0モル%、更に好ましくは0.5〜
5.0モル%用いて行う。この反応は無溶媒、あるいは
キシレン、トルエン、ベンゼン、オクタン、イソオクタ
ン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、
リグロイン、石油エーテルなどの不活性溶媒中、あるい
はこれらの混合溶液中で、使用するケトンの沸点にもよ
るが40〜160℃、好ましくは60〜100℃の温度
にて、生成する水を除去しながら行うのが好ましい。場
合により、減圧下で反応を行うことも有効である。温度
がこれより低いと反応が進行せず、高いと着色が激しく
副反応が生じ好ましくない。又、窒素流通条件下、窒素
雰囲気下及び乾燥空気雰囲気下の何れでも良い。反応時
間は種々の条件によって変わりうるが、通常5〜200
時間が好ましい。得られた環状ケタールは、中和した
後、濾過、洗浄等の前処理を行い、その後、白土処理、
晶析、蒸留などの操作によって精製することができる。
【0046】又、多価アルコールと上記アルデヒドとの
反応はアセタール化反応であり、この反応は触媒として
パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等の
酸触媒を多価アルコールに対して0.01〜5.0モル
%、好ましくは0.05〜3.0モル%、さらに好まし
くは0.1〜2.0モル%用いて行う。この反応は無溶
媒、あるいはキシレン、トルエン、ベンゼン、オクタ
ン、イソオクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ペンタン、リグロイン、石油エーテルなどの不活性
溶媒中、あるいはこれらの混合溶液中で、使用するアル
デヒドの沸点にもよるが20〜130℃、好ましくは4
0〜100℃の温度にて、生成する水を除去しながら行
うのが好ましい。場合により、減圧下で反応を行うこと
も有効である。温度がこれより低いと反応が進行せず、
高いと着色が激しく副反応が生じ好ましくない。又、窒
素流通条件下、窒素雰囲気下及び乾燥空気雰囲気下の何
れでも良い。反応時間は種々の条件によって変わりうる
が、通常1〜30時間が好ましい。得られた環状アセタ
ールは、中和した後、濾過、洗浄等の前処理を行い、そ
の後、白土処理、晶析、蒸留などの操作によって精製す
ることができる。
【0047】又、多価アルコールとケトンの反応性誘導
体であるケタールとの反応は、トランスケタール化反応
であり、この反応は触媒としてパラトルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、硫酸等の酸触媒を多価アルコー
ルに対して0.05〜10モル%、好ましくは0.1〜
7.0モル%、更に好ましくは0.5〜5.0モル%用
いて行う。この反応は無溶媒、あるいはキシレン、トル
エン、ベンゼン、オクタン、イソオクタン、ヘプタン、
ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、リグロイン、石
油エーテルなどの不活性溶媒中、あるいはこれらの混合
溶液中で、使用するケタール及び生成する低級アルコー
ルの沸点にもよるが40〜160℃、好ましくは60〜
130℃の温度にて、生成する低級アルコールを除去し
ながら行うのが好ましい。場合により、減圧下で反応を
行うことも有効である。温度がこれより低いと反応が進
行せず、高いと着色が激しく副反応が生じ好ましくな
い。又、窒素流通条件下、窒素雰囲気下及び乾燥空気雰
囲気下の何れでも良い。反応時間は種々の条件によって
変わりうるが、通常5〜200時間が好ましい。得られ
た環状ケタールは、中和した後、濾過、洗浄等の前処理
を行い、その後、白土処理、晶析、蒸留などの操作によ
って精製することができる。
【0048】又、多価アルコールとアルデヒドの反応性
誘導体であるアセタールとの反応はトランスアセタール
化反応であり、この反応は触媒としてパラトルエンスル
ホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等の酸触媒を多価アル
コールに対して0.01〜5.0モル%、好ましくは
0.05〜3.0モル%、さらに好ましくは0.1〜
2.0モル%用いて行う。この反応は無溶媒、あるいは
キシレン、トルエン、ベンゼン、オクタン、イソオクタ
ン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、
リグロイン、石油エーテルなどの不活性溶媒中、あるい
はこれらの混合溶液中で、使用するアセタール及び生成
する低級アルコールの沸点にもよるが20〜130℃、
好ましくは40〜100℃の温度にて、生成する低級ア
ルコールを除去しながら行うのが好ましい。場合によ
り、減圧下で反応を行うことも有効である。温度がこれ
より低いと反応が進行せず、高いと着色が激しく副反応
が生じ好ましくない。又、窒素流通条件下、窒素雰囲気
下及び乾燥空気雰囲気下の何れでも良い。反応時間は種
々の条件によって変わりうるが、通常1〜30時間が好
ましい。得られた環状アセタールは、中和した後、濾
過、洗浄等の前処理を行い、その後、白土処理、晶析、
蒸留などの操作によって精製することができる。
【0049】多価アルコールと反応させるケトン又はケ
トンの反応性誘導体であるケタール、あるいはアルデヒ
ド又はアルデヒドの反応性誘導体であるアセタール(以
下カルボニル化合物と略す)の比率は、多価アルコール
1モルに対して、カルボニル化合物A/2モル(Aは多
価アルコールの価数)である。反応速度を早めるため
に、A/2モルより過剰のカルボニル化合物を用いて反
応を行い、反応終了後過剰のカルボニル化合物を除去す
る方法も有効である。
【0050】本発明に用いられる環状ケタールあるいは
環状アセタールは、1種以上の多価アルコールと、1種
以上のケトンもしくはケトンの反応性誘導体であるケタ
ール又はアルデヒドもしくはアルデヒドの反応性誘導体
であるアセタールとを反応させて得ることができる。
又、ここに得られた環状ケタールあるいは環状アセター
ルを混合して使用することもできる。例えば、ソルビト
ール1モルとメチルエチルケトン3モルから得られる環
状ケタール(40℃粘度63.1mm2/s )とジグリセリ
ン1モルとメチルエチルケトン2モルから得られる環状
ケタール(40℃粘度7.69mm2/s )を個々に合成
し、両者を混合して望ましい粘度に調整することができ
る。具体的な例としては、ソルビトール1モルとメチル
エチルケトン3モルから得られる環状ケタール1モル
と、ジグリセリン1モルとメチルエチルケトン2モルか
ら得られる環状ケタール1モルを混合してVG22の潤
滑油を得ることができる。あるいはソルビトール1モル
とジグリセリン1モルとメチルエチルケトン5モルを反
応させて上記の混合体を得ることもできる。又、ソルビ
トール1モルと2種類のケトンやアルデヒド、例えば、
3,5,5-トリメチルヘキサナール2モル、メチルエチルケ
トン1モルを反応させて、本発明に用いる環状ケタール
や環状アセタールを得ることもできる。
【0051】又、環状ケタールや環状アセタールの未反
応水酸基は少ないほど好ましく、10%以下、好ましく
は5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましく
は2%以下、最も好ましくは1%以下である。10%を
超える未反応の水酸基が残るとハイドロフルオロカーボ
ンとの相溶性や電気絶縁性が劣り好ましくない。
【0052】又、本発明に用いる環状ケタールあるいは
環状アセタールは、原料となる多価アルコールがエーテ
ル結合を持たない構造のものが、電気絶縁性が高くなり
好ましい。従って、前記のようにソルビトール、マンニ
トール、ガラクチトール、イディトール、タリトール、
アリトール等の6価アルコールやエリスリトールのよう
な多価アルコールから得られる環状ケタールや環状アセ
タールを用いる方が、ジグリセリンやジトリメチロール
プロパンのようなエーテル結合を1個持つアルコールか
ら得られる環状ケタールや環状アセタールを用いるより
好ましい。
【0053】又、用いる環状ケタールや環状アセタール
は1,3-ジオキソラン構造及び/又は1,3-ジオキサン構造
を含むものが、電気絶縁性を高くするため好ましい。
又、この中でも特に1,3-ジオキソラン構造を含むものが
特に好ましい。従って、エリスリトール、ジグリセリ
ン、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、イ
ディトール、タリトール、アリトール等の隣接位に水酸
基を持つアルコールを用いることが好ましい。又、ソル
ビトール、マンニトール、ガラクチトール、イディトー
ル、タリトール、アリトール等の6価アルコールを用い
た場合、式IVaと式IVbに示す環状ケタールや環状アセ
タールが得られるが、3つの1,3-ジオキソラン構造を持
つ式IVaの方が、電気絶縁性が高くなるため好ましい。
又、エリスリトールを用いた場合、式Vaと式Vbに示
す環状ケタールや環状アセタールが得られるが、2つの
1,3-ジオキソラン構造を持つ式Vaの方が、電気絶縁性
が高くなるため好ましい。ソルビトール、マンニトー
ル、ガラクチトール、イディトール、タリトール、アリ
トール等の6価アルコールやエリスリトールは、ケトン
もしくはケタールと反応させると式IVa、式Vaの環状
ケタールが生成しやすく、アルデヒドもしくはアセター
ルと反応させると式IVb、式Vbの環状アセタールが生
成しやすい。従って、これらのアルコールに対しては、
ケトンもしくはケタールを用いて反応させるのが好まし
い。
【0054】
【化12】
【0055】又、本発明に用いる環状ケタールや環状ア
セタールは、多価アルコールの価数が偶数のものの中で
も式(IV)に示す6価アルコールの環状ケタールあるい
は環状アセタールや、式(V)〜(VII)に示すエリスリ
トール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン等の
4価アルコールから得られる環状ケタールや環状アセタ
ールが、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性や電気絶
縁性、融点、粘度等の種々の物性のバランスが取れてい
る点から特に好ましい。同じ4価アルコールでも、式
(VIIIa)又は(VIIIb)で示される対称性の良いペン
タエリスリトールから得られる環状ケタールは共に室温
で固体となるため好ましくない。式(IV)〜式(VII)に
示す化合物の中でも1,3-ジオキソラン構造を有する(IV
a)、 (IVb)、(Va)、(VI)に示す化合物が好ま
しく、この中でも特に1,3-ジオキソラン構造のみを持つ
(IVa)、(Va)、(VI)に示す化合物、更にこの中
でも多価アルコール部分がエーテル結合を持たない(IV
a)、(Va)に示す化合物が好ましい。
【0056】
【化13】
【0057】
【化14】
【0058】本発明に用いられる環状ケタールや環状ア
セタールの融点は10℃以下が好ましく、さらに好まし
くは−10℃以下、特に好ましくは−30℃以下であ
る。(VIIIa)、(VIIIb)のように融点が10℃を超
える環状ケタールや環状アセタールは、融点の低い本発
明に用いる他の環状ケタールや環状アセタール、あるい
はそれ以外の潤滑油と混合し、添加量を制限することに
より使用できる。
【0059】本発明に用いられる環状ケタールや環状ア
セタールは、100℃の粘度が1mm2/s 以上100mm2/
s 以下が好ましく、さらに好ましくは1mm2/s 以上50
mm2/s 以下、特に好ましくは1mm2/s 以上30mm2/s 以
下である。
【0060】本発明に用いられる環状ケタールや環状ア
セタールは、ハイドロフルオロカーボンとの二層分離温
度が低いことが望ましく、10℃以下、好ましくは0℃
以下、さらに好ましくは−10℃以下、特に好ましくは
−30℃以下であることが望ましい。しかし、ハイドロ
フルオロカーボンとの二層分離温度が10℃を超える環
状ケタールや環状アセタールであっても、混合する他の
環状ケタールや環状アセタールあるいは他の潤滑油のハ
イドロフルオロカーボンとの二層分離温度が低く、混合
物として10℃以下となる場合には、ハイドロフルオロ
カーボンとの二層分離温度が10℃を超える環状ケター
ルや環状アセタールを冷凍機作動流体用組成物に用いる
ことができる。
【0061】本発明に用いられる酸性亜リン酸エステル
(B)は一般式(I)で表されるものである。
【0062】
【化15】
【0063】上記(I)式中、X1 は炭素数2〜4の直
鎖又は分岐アルキレン基を表し、pは0〜30を表す。
2 は、水素原子、炭素数1〜18を有する直鎖アルキ
ル基、炭素数3〜18を有する分岐鎖アルキル基、炭素
数2〜18を有する直鎖アルケニル基、炭素数3〜18
を有する分岐鎖アルケニル基、炭素数6〜18を有する
アリール基、炭素数7〜18を有するアラルキル基、炭
素数1〜18を有するハロゲン化アルキル基、又は炭素
数6〜18を有するハロゲン化アリール基を表す。但
し、pが0の時、X2 は水素原子ではない。
【0064】X2 で示される直鎖又は分岐鎖アルキル
基、直鎖又は分岐鎖アルケニル基、アリール基、アラル
キル基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アリール
基の炭素数が18を超えるとハイドロフルオロカーボン
系冷媒との相溶性が悪くなる。
【0065】炭素数1〜18を有する直鎖アルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデ
シル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシ
ル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0066】炭素数3〜18を有する分岐鎖アルキル基
としては、イソプロピル基、シクロプロピル基、1−メ
チルプロピル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル
基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メ
チルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチ
ルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−
ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、1−メチルペ
ンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル
基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−
エチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−
ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,1
−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,
3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピ
ル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2
−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロ
ピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、
メチルシクロペンチル基、1−メチルヘキシル基、2−
メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチル
ヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチ
ル基、2−エチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチ
ル基、3,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジメチル
ペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1−プロピ
ルブチル基、1−イソプロピルブチル基、1,3,3−
トリメチルブチル基、1,1−ジエチルプロピル基、
2,3−ジメチル−1−エチルプロピル基、1,2−ジ
メチル−1−エチルプロピル基、1−イソプロピル−2
−メチルプロピル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシ
ルメチル基、メチルシクロヘキシル基、1−メチルヘプ
チル基、2−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル
基、2−エチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメ
チルブチル基、1,1−ジイソプロピルエチル基、1−
エチル−1,2,2−トリメチルプロピル基、1,5−
ジメチルヘキシル基、3,5−ジメチルヘキシル基、2
−プロピルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチ
ル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、2,2−ジ
メチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、シク
ロヘプチルメチル基、ジメチルシクロヘキシル基、4−
メチルシクロヘキシルメチル基、シクロオクチル基、1
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロヘキシルエチル
基、エチルシクロヘキシル基、1−メチルオクチル基、
5−メチルオクチル基、1−(2’−メチルプロピル)
−3−メチルブチル基、1,1−ジエチル−2,2−ジ
メチルプロピル基、3,5,5−トリメチルヘキシル
基、3−シクロヘキシルプロピル基、1,1−ジメチル
ヘプチル基、1−メチルノニル基、1−プロピルヘプチ
ル基、3,7−ジメチルオクチル基、2,4,6−トリ
メチルヘプチル基、4−シクロヘキシルブチル基、ブチ
ルシクロヘキシル基、3,3,5,5−テトラメチルシ
クロヘキシル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシ
ル基、2−エチルノニル基、1−メチルウンデシル基、
2−メチルウンデシル基、2−エチルデシル基、1−
(2’−メチルプロピル)−3,5−ジメチルヘキシル
基、2,4,6,8−テトラメチルノニル基、2−メチ
ルドデシル基、2−エチルウンデシル基、1−(3’−
メチルブチル)−6−メチルヘプチル基、1−(1’−
メチルブチル)−4−メチルヘプチル基、テトラデシル
基、1−メチルトリデシル基、2−メチルトリデシル
基、2−エチルドデシル基、2−(3’−メチルブチ
ル)−7−メチルオクチル基、2−(1’−メチルブチ
ル)−5−メチルオクチル基、1−ヘキシルノニル基、
2−メチルテトラデシル基、2−エチルトリデシル基、
1−メチルペンタデシル基、1−(1’,3’,3’−
トリメチルブチル)−4,6,6−トリメチルヘプチル
基、1−(3’−メチルヘキシル)−6−メチルノニル
基、2−ヘプチルウンデシル基、2−(1’,3’,
3’−トリメチルブチル)−5,7’,7’−トリメチ
ルオクチル基、2−(3’−メチルヘキシル)−7−メ
チルデシル基等が挙げられる。
【0067】炭素数2〜18を有する直鎖アルケニル基
としては、プロペニル基、2−デセニル基、9−デセニ
ル基、9−ウンデセニル基、10−ウンデセニル基、2
−ドデセニル基、3−ドデセニル基、2−トリデセニル
基、4−テトラデセニル基、9−テトラデセニル基、9
−ペンタデセニル基、9−ヘキサデセニル基、9−ヘプ
タデセニル基、9−オクタデセニル基等が挙げられる。
【0068】炭素数3〜18を有する分岐鎖アルケニル
基としては、イソプロペニル基、3−メチル−2−ノネ
ニル基、2,4−ジメチル−2−デセニル基、2−メチ
ル−9−ヘプタデセニル基等が挙げられる。
【0069】炭素数6〜18を有するアリール基として
は、フェニル基、2−又は3−又は4−メチルフェニル
基、2−又は3−又は4−エチルフェニル基、2,3−
又は2,4−又は2,5−又は2,6−又は3,4−又
は3,5−ジメチルフェニル基、2−又は3−又は4−
イソプロピルフェニル基、2−又は3−又は4−プロピ
ルフェニル基、2,3,5−又は2,3,6−又は3,
4,5−トリメチルフェニル基、2−又は3−又は4−
t−ブチルフェニル基、2−又は3−又は4−sec−
ブチルフェニル基、4−又は5−イソプロピル−3−メ
チルフェニル基、4−t−アミルフェニル基、3−又は
4−又は5−メチル−2−t−ブチルフェニル基、ペン
タメチルフェニル基、ナフチル基、2−メチルナフチル
基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、4−t−オク
チルフェニル基、2,4−又は2,6−又は3,5−ジ
−t−ブチルフェニル基、ジ−sec−ブチルフェニル
基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル基、
2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル基、4−ノニル
フェニル基等が挙げられる。
【0070】炭素数7〜18を有するアラルキル基とし
ては、ベンジル基、2−又は3−又は4−メチルベンジ
ル基、フェネチル基、sec−フェネチル基、2,4−
又は2,5−又は3,4−又は3,5−ジメチルベンジ
ル基、4−エチルベンジル基、2−又は3−又は4−メ
チルフェネチル基、α−又はβ−メチルフェネチル基、
α,α−ジメチルベンジル基、1−又は3−フェニルプ
ロピル基、α−又はβ−エチルフェネチル基、4−イソ
プロピルベンジル基、α−イソプロピルベンジル基、
α,α−ジメチルフェネチル基、1−又は3−又は4−
フェニルブチル基、α−エチル、α−メチルベンジル
基、4−ブチルベンジル基、4−t−ブチルベンジル
基、1,1−ジメチル−3−フェニルプロピル基、1−
又は3−フェニル−2,2−ジメチルプロピル基、α−
プロピルフェネチル基、5−フェニルペンチル基、ナフ
チルメチル基、ナフチルエチル基、6−フェニルヘキシ
ル基等が挙げられる。
【0071】炭素数1〜18を有するハロゲン化アルキ
ル基の、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素などが挙げられるが、塩素が好ましい。具体例と
しては、β−クロロエチル基、2,3−ジクロロプロピ
ル基等が挙げられる。炭素数6〜18を有するハロゲン
化アリール基の、ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素等が挙げられるが、塩素が好ましい。
具体例としては、2−、3−又は4−モノクロロフェニ
ル基、ジクロロフェニル基、モノクロロ−4−メチルフ
ェニル基、ジクロロ−4−メチルフェニル基等が挙げら
れる。
【0072】X1 は、炭素数2〜4を有する直鎖又は分
岐アルキレン基を示す。X1 は熱安定性の観点から2以
上であり、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性の観点
から4以下である。炭素数2〜4を有する直鎖又は分岐
アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ト
リメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基、テトラメ
チレン基等が挙げられる。
【0073】pは0〜30の数を示し、好ましくは0〜
20であり、さらに好ましくは0〜10である。ここ
で、pが大きいとリン濃度が低下し、添加効果が低下す
ることからpは30以下の数が好ましい。本発明に用い
られる酸性亜リン酸エステルとしては、市販のものを用
いることができる。
【0074】本発明に用いられるアミン化合物として
は、下記の一般式(II)で表されるものである。
【0075】
【化16】
【0076】(式中、X3 、X4 、X5 及びX6 は、同
一であっても又は異なっていても良いが、水素原子、炭
素数1〜18を有する直鎖アルキル基、炭素数3〜18
を有する分岐鎖アルキル基、炭素数2〜18を有する直
鎖アルケニル基、炭素数3〜18を有する分岐鎖アルケ
ニル基、炭素数6〜18を有するアリール基、又は炭素
数7〜18を有するアラルキル基を表し、X7 は、炭素
数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基を表す。mは0〜
4を表す。m個のX5 は同一でも異なっても良い。mが
0の時、X3 、X4 及びX6 のうち、少なくとも1つは
水素原子以外の基であり、mが1〜4の時、X3
4 、m個のX5 及びX6 のうち、少なくとも1つは水
素原子以外の基である。)
【0077】X3 、X4 、X5 及びX6 で示される直鎖
もしくは分岐鎖アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖アルケ
ニル基、アリール基又はアラルキル基の炭素数はハイド
ロフルオロカーボンとの相溶性の観点から18以下であ
る。X7 は熱安定性の観点から2以上であり、ハイドロ
フルオロカーボンとの相溶性の観点から4以下である。
【0078】X3 、X4 、X5 及びX6 における炭素数
1〜18を有する直鎖アルキル基、炭素数3〜18を有
する分岐鎖アルキル基、炭素数2〜18を有する直鎖ア
ルケニル基、炭素数3〜18を有する分岐鎖アルケニル
基、及び炭素数6〜18を有するアリール基、炭素数7
〜18を有するアラルキル基、並びにX7 における炭素
数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基の具体例と
しては、一般式(I)の説明において例示したものと同
様の基が挙げられる。また、mは0〜4であるが、0〜
1がより好ましい。
【0079】なお、本発明においては、上記アミン化合
物は単独で用いてもよく、2種以上のアミン化合物を用
いても良い。
【0080】本発明における潤滑油組成物は、前記のよ
うな酸性亜リン酸エステル及びアミン化合物を環状ケタ
ールあるいは環状アセタールを主成分とする基油に配合
して得られるものである。
【0081】ここで、酸性亜リン酸エステル及びアミン
化合物は、環状ケタールあるいは環状アセタールを主成
分とする基油に対して、それぞれ別々に配合する方法
と、酸性亜リン酸エステルとアミン化合物を予め中和し
た後に基油に配合する方法とがあり、いずれの方法でも
よい。
【0082】酸性亜リン酸エステルとアミン化合物を中
和する場合、酸性亜リン酸エステルの酸価(mgKOH
/g)およびアミン化合物の塩基価(mgKOH/g)
をそれぞれ考慮して、各成分の配合重量を調節すること
により、絶対量としての酸性亜リン酸エステルの酸価
(mgKOH/配合重量)に対する、絶対量としてのア
ミン化合物の塩基価(mgKOH/配合重量)の比率
(即ち、理論的にはグラム当量の比)を、1.0〜5.
0とするのが好ましい。この比率のさらに好ましい範囲
は1.0〜3.0であり、特に好ましい範囲は1.0〜
1.5である。即ち、過剰の酸性亜リン酸エステルによ
る腐食摩耗やエステル系合成油等の加水分解を抑える観
点から、この比率は1.0以上が好ましく、過剰のアミ
ン化合物による腐食摩耗や着色を抑える観点から、5.
0以下が好ましい。
【0083】また、酸性亜リン酸エステルとアミン化合
物を別々に配合する場合の配合比率も同様の理由によ
り、酸性亜リン酸エステルに対するアミン化合物の絶対
量としての塩基価/酸価の比率は1.0〜5.0である
のが好ましく、さらに好ましくは1.0〜3.0であ
り、特に好ましくは1.0〜1.5である。
【0084】酸性亜リン酸エステル及びアミン化合物の
基油への配合量は、少なくとも本発明の冷凍機作動流体
用組成物が金属表面に接触している間に摩耗を抑制する
のに十分な量であれば特に限定されるものではないが、
好ましくは基油100重量部に対して、酸性亜リン酸エ
ステル及びアミン化合物の配合量の合計が、0.05〜
5.0重量部である。この配合量の合計は、より好まし
くは0.07〜3.0重量部であり、特に好ましくは
0.1〜2.0重量部である。所望の摩耗抑制効果を得
る観点から、当該配合量の合計は0.05重量部以上が
好ましく、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性及び冷
凍機油の要求特性である体積抵抗率の観点から5.0重
量部以下が好ましい。また、5.0重量部を超える量を
配合しても摩耗抑制効果は頭打ちとなり経済的に不利と
なる。本発明では上記のような酸性亜リン酸エステル及
びアミン化合物を用いることにより、リン原子の金属に
対する吸着活性が高まるため摩耗抑制効果を得ることが
でき、さらに耐焼付き性などの効果が得られる。
【0085】本発明における潤滑油組成物の融点は10
℃以下が好ましく、さらに好ましくは−10℃以下、特
に好ましくは−30℃以下である。本発明における潤滑
油組成物は、ハイドロフルオロカーボンとの二層分離温
度が低いことが望ましく、10℃以下、好ましくは0℃
以下、さらに好ましくは−10℃以下、特に好ましくは
−30℃以下であることが望ましい。
【0086】本発明における潤滑油組成物は、100℃
の粘度が1mm2/s 以上100mm2/s以下が好ましく、さ
らに好ましくは1mm2/s 以上50mm2/s 以下、特に好ま
しくは1mm2/s 以上30mm2/s 以下である。
【0087】本発明における潤滑油組成物の酸価(mgKOH
/g) は、5以下、好ましくは1以下、さらに好ましくは
0.5以下、特に好ましくは0.1以下が好ましい。酸
価が5を超えると、酸性亜リン酸エステルの加水分解を
促進するだけでなく、潤滑油組成物自身の熱酸化安定性
を損ない、又、金属材料の腐食、引火点の低下、異臭、
電気絶縁性の低下等を引き起こすため好ましくない。
【0088】又、本発明における潤滑油組成物の水酸基
価(mgKOH/g) は50以下、好ましくは20以下、さらに
好ましくは10以下、特に好ましくは5以下が好まし
い。水酸基価が50を超えると、得られる潤滑油組成物
の引火点の低下、電気絶縁性の低下等を引き起こすため
好ましくない。
【0089】本発明における潤滑油組成物は他の潤滑油
と混合して用いることもできる。他の潤滑油としては鉱
物油やポリブテン,ポリαオレフィン,アルキルベンゼ
ン等の炭化水素系合成油,脂肪族ジエステルやネオペン
チルポリオールエステル,ポリアルキレングリコール,
ポリフェニルエーテル,カーボネート,シリケートエス
テル,シリコーン油,パーフルオロポリエーテル等があ
げられ、具体的な例は新版潤滑の物理化学(幸書房)や
潤滑油の基礎と応用(コロナ社)等に述べられている。
【0090】本発明における潤滑油組成物を他の潤滑油
と混合する場合の混合比率は、混合した潤滑油中に本発
明における潤滑油組成物が50重量%、好ましくは70
重量%、さらに好ましくは90重量%以上含まれること
が望ましい。本発明における潤滑油組成物の含まれる量
が50重量%より少ないと、本発明における潤滑油組成
物の効果が十分に発揮できない。
【0091】又、混合する他の潤滑油はハイドロフルオ
ロカーボンとの相溶性に優れたものが好ましく、ネオペ
ンチルポリオールエステル、ポリアルキレングリコー
ル、パーフルオロポリエーテル、カーボネート、パーフ
ルオロエステル等が好ましい。しかし、本発明における
潤滑油組成物のハイドロフルオロカーボンとの相溶性が
十分優れている場合、たとえば二層分離温度が−30℃
以下、好ましくは−50℃以下の場合には、ハイドロフ
ルオロカーボンとの相溶性に劣る潤滑油、たとえばアル
キルベンゼンや鉱物油等と、二層分離温度が10℃を超
えない範囲で混合することもできる。
【0092】本発明の冷凍機作動流体用組成物中のハイ
ドロフルオロカーボンと潤滑油組成物との混合比率は、
通常ハイドロフルオロカーボン/潤滑油組成物=50/
1〜1/20(重量比)である。好ましくは、10/1
〜1/5(重量比)である。ハイドロフルオロカーボン
/潤滑油組成物=50/1よりハイドロフルオロカーボ
ンの比率が高くなると、ハイドロフルオロカーボン−潤
滑油組成物混合溶液の粘度が低くなり潤滑性が悪くなる
可能性があり好ましくない。又、ハイドロフルオロカー
ボン/潤滑油組成物=1/20よりハイドロフルオロカ
ーボンの比率が低くなると、冷凍能力が不足する可能性
があり好ましくない。
【0093】ここで用いられるハイドロフルオロカーボ
ンとは、例えば、ジフルオロメタン(HFC32),
1, 1- ジフルオロエタン(HFC152a),1,
1, 1-トリフルオロエタン(HFC143a),1,
1, 1, 2- テトラフルオロエタン(HFC134
a),1, 1, 2, 2- テトラフルオロエタン(HFC
134),ペンタフルオロエタン(HFC125)等で
あり、特に1, 1, 1, 2- テトラフルオロエタン,ジ
フルオロメタン,ペンタフルオロエタン,1, 1, 1-
トリフルオロエタンが好ましい。これらのハイドロフル
オロカーボンは単独で用いても良いし、2種類あるいは
3種類以上のハイドロフルオロカーボンを混合して用い
ても良い。
【0094】本発明の冷凍機作動流体用組成物には、必
要に応じて通常使用される種々の追加的添加剤が使用で
きる。本発明の冷凍機作動流体用組成物は、それ自身、
水が共存しても問題がないが、絶縁材であるPETフィ
ルム等は加水分解し、PETオリゴマーを生じ、キャピ
ラリーチューブ等を詰まらせる可能性がある。従って、
本発明の冷凍機作動流体用組成物には、水を除去する添
加剤を加えることが望ましい。水を除去する添加剤とし
てはエポキシ基を有する化合物や、オルトエステル、ア
セタール(ケタール)、カルボジイミド等の添加剤であ
る。
【0095】エポキシ基を有する化合物としては、炭素
数4〜60、好ましくは炭素数5〜25のものである。
具体的にはフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシ
ジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテ
ル、クレジルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコ
ールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール
グリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテ
ル、トリメチロールプロバントリグリシジルエーテル、
ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル等のグリ
シジルエーテル類や、フタル酸グリシジルエステル、シ
クロヘキサンジカルボン酸グリシジルエステル、アジピ
ン酸グリシジルエステル、2−エチルヘキサン酸グリシ
ジルエステル等のグリシジルエステル類や、エポキシ化
ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル等
のエポキシ化脂肪酸モノエステル類や、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油や、エポ
キシシクロオクタン、エポキシシクロヘプタン、エポキ
シシクロヘキシル基を有する化合物、エポキシシクロペ
ンチル基を有する化合物等の脂環式エポキシ化合物が挙
げられる。これらのエポキシ基を有する化合物等の中
で、特にエポキシシクロヘキシル基を有する化合物、エ
ポキシシクロペンチル基を有する化合物が特に優れてい
る。
【0096】本発明に用いられるエポキシシクロヘキシ
ル基を有する化合物、エポキシシクロペンチル基を有す
る化合物は、炭素数5〜40、好ましくは炭素数5〜2
5のものである。具体的には特開平5−209171、
カラム11、34行から46行に記載されている。特に
限定されるものではないが、好ましくは1,2−エポキ
シシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペ
ート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキ
シルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキ
シレート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0] ヘプト−
3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’
[7]オキサビシクロ[4.1.0] ヘプタン)である。
【0097】本発明においては、これらのエポキシ基を
有する化合物の単独又は2種以上を併用してもよい。そ
の添加量は環状ケタールあるいは環状アセタールを主成
分とする基油100重量部に対して、通常0. 05〜
2.0重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部、さら
に好ましくは0. 1〜1.0重量部である。
【0098】本発明に用いられるオルトエステルは、炭
素数4〜70のものであり、さらに好ましくは炭素数4
〜50のものである。具体的には特開平6−1707
3、カラム10、27行から41行に記載されている。
オルトエステルの添加量は、環状ケタールあるいは環状
アセタールを主成分とする基油100重量部に対して、
通常0. 01〜100重量部、好ましくは0. 05〜3
0重量部である。
【0099】本発明に用いられるアセタール又はケター
ルは、炭素数4〜70のものであり、さらに好ましくは
炭素数4〜50のものである。具体的には特開平6−1
7073、カラム11、21行目に記載されている。ア
セタール又はケタールの添加量は、環状ケタールあるい
は環状アセタールを主成分とする基油100重量部に対
して、通常0. 01〜100重量部、好ましくは0. 0
5〜30重量部である。
【0100】本発明に用いられるカルボジイミドは下式
(IX)で表されるものである。 R5 −N=C=N−R6 (IX) 式中、R5 及びR6 は炭素数1〜18の炭化水素基を表
し、さらに好ましくは炭素数1〜12のものである。R
5 及びR6 は同一でも異なっていても良い。R5 及びR
6 の具体例としては、X2 に挙げたものと同じものが挙
げられる。具体的な例としては、1,3−ジイソプロピ
ルカルボジイミド、1,3−ジ−t−ブチル−カルボジ
イミド、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、
1,3−ジ−p−トリルカルボジイミド、1,3−ビス
−(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド
等である。好ましくは、1,3−ジイソプロピルカルボ
ジイミド、1,3−ジ−p−トリルカルボジイミド、
1,3−ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)カ
ルボジイミドである。
【0101】ここでカルボジイミド添加量は、環状ケタ
ールあるいは環状アセタールを主成分とする基油100
重量部に対して、通常0. 01〜10重量部、好ましく
は0. 05〜5重量部である。
【0102】又、カルボン酸等による金属の腐食を防ぐ
目的で、添加剤として金属表面を保護するためのベンゾ
トリアゾール及び/又はベンゾトリアゾール誘導体を添
加したり、熱安定性を向上させるためのラジカルトラッ
プ能を有するフェノール系化合物やキレート能を有する
金属不活性剤を添加することが有効である。
【0103】その他にも、必要に応じて通常使用される
種々の追加的添加剤が使用できる。これらには、酸化防
止剤、極圧剤、油性向上剤、消泡剤、清浄分散剤、粘度
指数向上剤、防錆剤、抗乳化剤等の潤滑油添加剤を添加
することができる。
【0104】
【実施例】以下、製造例、および実施例により本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に
よりなんら限定されるものではない。
【0105】製造例1 3リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。D−
ソルビトール336.8g(1.85mol)、メチル
エチルケトン800.0g(11.1mol)、パラト
ルエンスルホン酸1水和物17.6g(0.092mo
l)、及びヘキサン200mlを前記フラスコにとっ
た。窒素雰囲気下常圧で69〜79℃で8時間反応を行
い、水を留去した。反応終了後、60℃に冷却し、炭酸
ナトリウム19.6g(0.185mol、パラトルエ
ンスルホン酸の2倍当量)を加えて中和し、60℃で3
0分間攪拌した。水200gを加えて、60℃で30分
間攪拌し、静置して分層した。下層を除いた後、飽和食
塩水200gで洗浄し、ヘキサン及び過剰のメチルエチ
ルケトンをロータリーエバポレーターを用いて減圧下で
除去した。さらに減圧蒸留し、環状ケタールA1 (水酸
基価12.9mgKOH/g、ガスクロマトグラフィー
純度97.3%)を得た。そしてさらに環状ケタールA
1 の一部をカラムクロマトグラフィーにより精製して、
環状ケタールA2 (水酸基価4.6mgKOH/g、ガ
スクロマトグラフィー純度99.1%)を得た。
【0106】製造例2 3リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、塩化カ
ルシウム管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。D
−ソルビトール450.0g(2.47mol)、イソ
ブチルアルデヒド588.0g(8.15mol)、パ
ラトルエンスルホン酸1水和物4.7g(0.025m
ol)、及び沸点が30〜60℃の石油エーテル400
mlを前記フラスコにとった。乾燥空気雰囲気下常圧で
40〜65℃で15時間反応を行い、水を留去した。反
応終了後、60℃に冷却し、炭酸ナトリウム5.24g
(0.049mol、パラトルエンスルホン酸の2倍当
量)を加えて中和し、60℃で30分間攪拌した。水1
00gを加えて、60℃で30分間攪拌し、静置して分
層した。下層を除いた後、飽和食塩水100gで洗浄
し、石油エーテル及び過剰のイソブチルアルデヒドをロ
ータリーエバポレーターを用いて減圧下で除去した。さ
らに減圧蒸留し、環状アセタールB(水酸基価6.0m
gKOH/g、ガスクロマトグラフィー純度99.0
%)を得た。
【0107】製造例3 3リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。ジグ
リセリン460.7g(2.28mol)、メチルエチ
ルケトン800.0g(11.1mol)、パラトルエ
ンスルホン酸1水和物8.74g(0.046mo
l)、及びヘキサン200mlを前記フラスコにとっ
た。窒素雰囲気下常圧で66〜81℃で15時間反応を
行い、水を留去した。反応終了後、60℃に冷却し、炭
酸ナトリウム9.8g(0.092mol、パラトルエ
ンスルホン酸の2倍当量)を加えて中和し、60℃で3
0分間攪拌した。水200gを加えて、60℃で30分
間攪拌し、静置して分層した。下層を除いた後、水20
0gで洗浄し、ヘキサン及び過剰のメチルエチルケトン
をロータリーエバポレーターを用いて減圧下で除去し
た。さらに減圧蒸留し、環状ケタールC(水酸基価1
5.7mgKOH/g、ガスクロマトグラフィー純度9
8.7%)を得た。
【0108】製造例で得られた本発明品に用いる環状ケ
タールや環状アセタールA1〜Cの水酸基価(JIS K −
0070)及びこの水酸基価より求めた原料多価アルコール
の水酸基数に対する未反応水酸基の割合、40℃及び1
00℃における動粘度(JISK −2283)、流動点(JIS K
−2269)を測定した。その結果を表1に示す。又、比
較品に用いる油a〜eの40℃及び100℃における動
粘度(JIS K −2283)、流動点(JIS K −2269)を測定
した。その結果を表2に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】実施例1 本発明品の耐摩耗性を調べるために、ASTM D 2670-81に
準じたFalex 試験を行った。A1〜Cの基油100重量
%に対し、表3に示した酸性亜リン酸エステルとアミン
化合物の調製品を表4に示す添加量で配合した潤滑油組
成物にVブロックとピンを浸し、1,1,1,2−テト
ラフルオロエタンを10リットル/hrで吹き込みなが
ら、温度を80℃にて無負荷で10分間回転し、続いて20
0 lbで5分間予備回転した後、300 lbで90分間運転
し、運転後のVブロックとピンの摩耗量を調べた。結果
を表4に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】
【0114】比較品として、酸性亜リン酸エステルとア
ミン化合物を添加しないA1〜C、b〜eの基油、基油
A2に調製品aを所定量より少量配合したもの、基油A
2にオクチルアミン(OAm)を添加したものを用い
た。本発明品の摩耗量は1.8〜7.8mgであり、優
れた耐摩耗特性を示す。比較品の摩耗量は16.3〜4
3.2mgであり、本発明よりも耐摩耗特性が劣ること
がわかった。
【0115】実施例2 本発明品1〜27の相溶性を調べるため、表5に示す潤
滑油組成物と1,1,1,2−テトラフルオロエタンを
潤滑油組成物/(潤滑油組成物+1,1,1,2−テト
ラフルオロエタン)×100=10〜50(体積%)で
混合し、低温での二相分離温度を測定した。結果を表5
に示す。表5から判るように本発明品は相溶性に優れて
いる。また、潤滑油組成物中の本発明品の酸性亜リン酸
エステル、アミン混合物の添加量が5重量%を超えると
(比較品11)、相溶性が悪くなった。
【0116】
【表5】
【0117】実施例3 本発明品1〜27の組成物の熱安定性を調べるため、以
下に示す条件でシールドチューブ試験を行った。即ち、
予め水分濃度を10ppm以下、酸価を0.03(mg
KOH/g)以下に調整した表6に示す潤滑油組成物1
0g、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン5g
をガラス管に取り、触媒として鉄、銅、アルミニウムを
加えて封管した。175℃で14日間維持した後、1,
1,1,2−テトラフルオロエタンと油の組成物の外観
と析出物の有無を調べ、触媒の腐食状態を調べた。本発
明品および基油A2に2−エチルヘキシルアシッドハイ
ドロジェンフォスファイトを基油100重量部に対し
0.5重量部添加した比較品13の結果を表6に示す。
表6から判るように本発明品は、いずれも外観は良好で
あり、析出物もなく、また、酸価の上昇もなく熱安定性
は良好である。それに対し、比較品は触媒の腐食が見ら
れた。
【0118】
【表6】
【0119】実施例4 本発明品1〜27と、実施例1で用いた比較品6〜8に
ついて、水存在下での熱安定性を調べるために以下に示
す条件でシールドチューブ試験を行った。即ち、予め水
分濃度を3000ppm、酸価を0.03(mgKOH
/g)以下に調製した潤滑油10g、及びHFC134
a5gをガラス管に取り、触媒として鉄、銅、アルミニ
ウムを加えて封管した。175℃で14日間試験した
後、HFC134aと油の組成物の外観と析出物の有無
を調べ、封管を開けてHFC134aを除去した後、油
の酸価を調べた。結果を表7に示す。表7から明らかな
ように、本発明品は比較品に比べ、いずれも外観は良好
であり、析出物もなく、また、酸価の上昇もなく熱安定
性は良好であった。
【0120】
【表7】
【0121】実施例5 表8に示した本発明に用いられる潤滑油組成物1〜27
と比較品に用いられる潤滑油組成物5、11について電
気絶縁性を調べた。JIS C−2101に基づき、2
5℃における体積抵抗率を測定した。結果を表8に示
す。表8から明らかなように、本発明品に用いられる潤
滑油組成物は体積抵抗率が高く、比較品に用いられる潤
滑油組成物に比べ、いずれも電気絶縁性が良好であっ
た。
【0122】
【表8】
【0123】実施例6 本発明品に用いられる潤滑油組成物1、3、7、8と比
較品に用いられる潤滑油組成物5の吸湿性を調べた。内
径18mm、内容積約10mlのガラス管に、予め水分
濃度50ppm以下に調製した油2gを取り、25℃、
湿度80%の恒温槽に入れた。一定時間放置後、油の水
分濃度をカールフィッシャー法(JIS K−227
5)により測定した。結果を表9に示す。表9から明ら
かなように、本発明品に用いられる潤滑油組成物は比較
品に用いられる潤滑油組成物に比べ非常に吸湿性が低く
優れていた。
【0124】
【表9】
【0125】
【発明の効果】本発明により、熱安定性、電気絶縁性に
優れ、加水分解によるカルボン酸の発生が無く、吸湿性
が低く、かつ安価な潤滑油組成物が提供され、かかる潤
滑油組成物とハイドロフルオロカーボンを配合した本発
明の冷凍機作動流体用組成物は、金属接触面における摩
耗量の低減が可能であり、相溶性に優れ、熱安定性、電
気絶縁性、吸湿性に優れ、加水分解によるカルボン酸の
発生が無く、かつ安価なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 133:04) C10N 30:02 40:30 (72)発明者 冨樫 博靖 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内 (72)発明者 小林 勇一郎 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)環状ケタールあるいは環状アセタ
    ールを主成分とする基油、(B)一般式(I) 【化1】 (式中、X1 は炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン
    基を表し、pは0〜30を表し、X2 は水素原子、炭素
    数1〜18を有する直鎖アルキル基、炭素数3〜18を
    有する分岐鎖アルキル基、炭素数2〜18を有する直鎖
    アルケニル基、炭素数3〜18を有する分岐鎖アルケニ
    ル基、炭素数6〜18を有するアリール基、炭素数7〜
    18を有するアラルキル基、炭素数1〜18を有するハ
    ロゲン化アルキル基、又は炭素数6〜18を有するハロ
    ゲン化アリール基を表すが、pが0の時、X2 は水素原
    子ではない。)で表される酸性亜リン酸エステル、
    (C)一般式(II) 【化2】 (式中、X3 、X4 、X5 及びX6 は、同一であっても
    又は異なっていても良いが、水素原子、炭素数1〜18
    を有する直鎖アルキル基、炭素数3〜18を有する分岐
    鎖アルキル基、炭素数2〜18を有する直鎖アルケニル
    基、炭素数3〜18を有する分岐鎖アルケニル基、炭素
    数6〜18を有するアリール基、又は炭素数7〜18を
    有するアラルキル基を表し、X7 は、炭素数2〜4の直
    鎖又は分岐アルキレン基を表す。mは0〜4を表す。m
    個のX5 は同一でも異なっても良い。mが0の時、
    3 、X4 及びX6 のうち、少なくとも1つは水素原子
    以外の基であり、mが1〜4の時、X3 、X4 、m個の
    5 及びX6 のうち、少なくとも1つは水素原子以外の
    基である。)で表されるアミン化合物、並びに(D)ハ
    イドロフルオロカーボンを含有する冷凍機作動流体用組
    成物。
  2. 【請求項2】 (A)環状ケタールあるいは環状アセタ
    ールを主成分とする基油、100重量部に対して、
    (B)酸性亜リン酸エステルと(C)アミン化合物の合
    計量が0.05〜5重量部であることを特徴とする請求
    項1記載の冷凍機作動流体用組成物。
  3. 【請求項3】 環状ケタールあるいは環状アセタール
    が、4価以上8価以下の価数が偶数の多価アルコールの
    1種以上と、一般式(III) 【化3】 (式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜12の直鎖、分
    岐、もしくは環状のアルキル基を示し、R2 は炭素数1
    〜12の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基を示
    す。あるいはR1 とR2 は一緒になって炭素数2〜13
    のアルキレン基を形成してもよい。但し、いずれの場合
    もR1 とR2 の合計炭素数は1〜13である。)で表さ
    れるカルボニル化合物又はその反応性誘導体であるケタ
    ールもしくはアセタールの1種以上とから得られる環状
    ケタールあるいは環状アセタールであることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の冷凍機作動流体用組成物。
  4. 【請求項4】 多価アルコールが、エーテル結合を持た
    ないものである請求項3記載の冷凍機作動流体用組成
    物。
  5. 【請求項5】 多価アルコールが、エーテル結合を1つ
    持つものである請求項3記載の冷凍機作動流体用組成
    物。
  6. 【請求項6】 多価アルコールが、4価又は6価の炭素
    数4〜25の飽和脂肪族アルコールである請求項3〜5
    いずれか記載の冷凍機作動流体用組成物。
  7. 【請求項7】 環状ケタールあるいは環状アセタール
    が、1,3-ジオキソラン構造及び/又は1,3-ジオキサン構
    造を含むものである請求項1〜6いずれか記載の冷凍機
    作動流体用組成物。
  8. 【請求項8】 環状ケタールあるいは環状アセタール
    が、式(IV)又は(V)で表される環状ケタール又は環
    状アセタールの1種以上であることを特徴とする請求項
    1〜3いずれか記載の冷凍機作動流体用組成物。 【化4】 (式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜12の直鎖、分
    岐もしくは環状のアルキル基を示し、R2 は炭素数1〜
    12の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基を示す。あ
    るいはR1 とR2 は一緒になって炭素数2〜13のアル
    キレン基を形成してもよい。但し、いずれの場合も同一
    の炭素原子に結合したR1 とR2 の合計炭素数は1〜1
    3である。)
  9. 【請求項9】 環状ケタールあるいは環状アセタール
    が、式(VI)又は(VII)で表される環状ケタール又は環
    状アセタールの1種以上であることを特徴とする請求項
    1〜3いずれか記載の冷凍機作動流体用組成物。 【化5】 (式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜12の直鎖、分
    岐もしくは環状のアルキル基を示し、R2 は炭素数1〜
    12の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基を示す。あ
    るいはR1 とR2 は一緒になって炭素数2〜13のアル
    キレン基を形成してもよい。但し、いずれの場合も同一
    の炭素原子に結合したR1 とR2 の合計炭素数は1〜1
    3である。)
  10. 【請求項10】 ハイドロフルオロカーボンと潤滑油組
    成物の混合比が、ハイドロフルオロカーボン/潤滑油組
    成物=50/1〜1/20(重量比)であることを特徴
    とする請求項1〜9いずれか記載の冷凍機作動流体用組
    成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008266582A (ja) * 2007-03-29 2008-11-06 Nof Corp 冷凍機用潤滑油組成物及びそれを用いた冷凍機用作動流体組成物
JP5899599B1 (ja) * 2015-02-09 2016-04-06 株式会社Moresco 潤滑剤組成物及びその利用、並びに脂肪族エーテル化合物
WO2016129148A1 (ja) * 2015-02-09 2016-08-18 株式会社Moresco 潤滑剤組成物及びその利用、並びに脂肪族エーテル化合物

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US9920274B2 (en) 2015-02-09 2018-03-20 Moresco Corporation Lubricant composition, use thereof and aliphatic ether compound

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