JPH0938485A - 排気ガス浄化装置用hc吸着剤およびその製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化装置用hc吸着剤およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0938485A
JPH0938485A JP7195366A JP19536695A JPH0938485A JP H0938485 A JPH0938485 A JP H0938485A JP 7195366 A JP7195366 A JP 7195366A JP 19536695 A JP19536695 A JP 19536695A JP H0938485 A JPH0938485 A JP H0938485A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adsorbent
exhaust gas
zeolite
dealumination
type zeolite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7195366A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3546547B2 (ja
Inventor
Takahiro Kurokawa
貴弘 黒川
Toshitsugu Kamioka
敏嗣 上岡
Tomoji Ichikawa
智士 市川
Osamu Takayama
修 高山
Taeko Shimizu
多恵子 清水
Yuki Koda
由紀 國府田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP19536695A priority Critical patent/JP3546547B2/ja
Publication of JPH0938485A publication Critical patent/JPH0938485A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3546547B2 publication Critical patent/JP3546547B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01NGAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; GAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINES
    • F01N2240/00Combination or association of two or more different exhaust treating devices, or of at least one such device with an auxiliary device, not covered by indexing codes F01N2230/00 or F01N2250/00, one of the devices being
    • F01N2240/18Combination or association of two or more different exhaust treating devices, or of at least one such device with an auxiliary device, not covered by indexing codes F01N2230/00 or F01N2250/00, one of the devices being an adsorber or absorber
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01NGAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; GAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINES
    • F01N2570/00Exhaust treating apparatus eliminating, absorbing or adsorbing specific elements or compounds
    • F01N2570/12Hydrocarbons

Landscapes

  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゼオライトからなるHC吸着剤の熱劣化を効
果的に防止し、HC成分を吸着するHC吸着剤の機能を
長期間に亘り良好状態に維持する。 【解決手段】 残留アルミニウム率が20%未満となる
ように脱アルミニウム処理されるとともに、比表面積が
500m2/g以上に維持されるように脱アルミニウム
度が設定されたβ型ゼオライトを備えた排気ガス浄化装
置用HC吸着剤3およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの排気ガ
ス中に含まれたHC成分を吸着する排気ガス浄化装置用
HC吸着剤およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来例】従来、例えば特開平6−170145号公報
に示されるように、エンジンの始動時等に排気ガス中に
含まれるHC(炭化水素)成分を能率的に吸着すること
により、排気ガス中からHC成分を除去するため、異な
る温度で最大吸着率が生じる複数のHC吸着剤、例えば
ZSM−5ゼオライト、β型ゼオライト、Y型ゼオライ
ト、またはモルデンふっ石等を設置し、これらの吸着剤
を選択的に使用するように構成された炭化水素の除去シ
ステムが知られている。
【0003】上記炭化水素の除去システムは、HC吸着
剤を構成するゼオライト等の細孔にHC成分を吸着させ
て所定の温度領域まで保持させ、排気ガス温度の特定の
温度になった時点で上記HC吸着剤からHC成分を離脱
させ、その下流部等に設置された排気ガス浄化触媒によ
って上記HC成分を酸化させて浄化するように構成され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記HC吸着剤として
ゼオライト、特にβ型ゼオライトを使用した場合には、
このβ型ゼオライトが縦横の孔径の異なる略長円形状の
細孔を有し、その長径方向の寸法が大きいので、分子径
の小さいものから分子径の大きいものまで各種のHC成
分を吸着できるとともに、上記細孔の短径方向の寸法が
小さいので、一旦吸着したHC成分の保持力が高いとい
う利点を有する反面、耐熱性が低く熱劣化し易いという
問題がある。
【0005】すなわち、上記β型ゼオライトからなるH
C吸着剤が排気ガス等によって加熱されると、β型ゼオ
ライトの結晶を構成するアルミニウム成分が急激に脱離
して結晶構造が破壊されるため、その比表面積が減少し
てHC成分の吸着能力が低下し易い傾向があるという問
題があった。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、ゼオライトからなるHC吸着剤の熱
劣化を効果的に防止し、HC成分を吸着するHC吸着剤
の機能を長期間に亘り良好状態に維持することができる
排気ガス浄化装置用HC吸着剤およびその製造方法を提
供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
脱アルミニウム処理されたゼオライトを備えたものであ
る。
【0008】この構成によれば、予めアルミニウム成分
が徐々に除去されたゼオライトによってHC吸着剤が構
成されているため、このHC吸着剤が使用時に加熱され
たとしても、上記ゼオライト中のアルミニウム成分が急
激に離脱することがなく、これに起因した結晶構造の破
壊が防止されることになる。
【0009】請求項2に係る発明は、残留アルミニウム
率が20%未満となるように脱アルミニウム処理される
とともに、比表面積が500m2/g以上となるように
脱アルミニウム度が設定されたβ型ゼオライトを備えた
ものである。
【0010】この構成によれば、予め適量のアルミニウ
ム成分が徐々に除去されたβ型ゼオライトによってHC
吸着剤が構成されているため、熱劣化し易いβ型ゼオラ
イトが加熱されたとしても、このβ型ゼオライト中のア
ルミニウム成分が急激に離脱することがなく、これに起
因した結晶構造の破壊が防止されることになる。
【0011】請求項3に係る発明は、HC吸着剤を構成
するゼオライトに脱アルミニウム処理を施すことによ
り、HC吸着剤の耐熱性を向上させるようにしたもので
ある。
【0012】この構成によれば、HC吸着剤を構成する
ゼオライト中のアルミニウム成分が予め徐々に除去され
ているため、上記HC吸着剤を備えた排気ガス浄化装置
の使用時に、HC吸着剤が加熱されたとしても、上記ア
ルミニウム成分が急激に離脱することがなく、これに起
因した結晶構造の破壊が効果的に防止されることにな
る。
【0013】請求項4に係る発明は、上記請求項3記載
の排気ガス浄化装置用HC吸着剤の製造方法において、
β型ゼオライトに脱アルミニウム処理を施すように構成
したものである。
【0014】この構成によれば、熱劣化し易いβ型ゼオ
ライト中のアルミニウム成分が予め徐々に除去されてい
るため、上記HC吸着剤を有する排気ガス浄化装置の使
用時に、HC吸着剤が加熱されたとしても、上記β型ゼ
オライト中のアルミニウム成分が急激に離脱することが
なく、これに起因して結晶構造が破壊される虞のない排
気ガス浄化装置用HC吸着剤が得られることになる。
【0015】請求項5に係る発明は、上記請求項4記載
の排気ガス浄化装置用HC吸着剤の製造方法において、
β型ゼオライトの残留アルミニウム率が20%未満とな
るように脱アルミニウム度の下限値を設定するととも
に、β型ゼオライトの比表面積が500m2/g以上に
維持されるように脱アルミニウム度の上限値を設定した
ものである。
【0016】この構成によれば、HC吸着剤を構成する
β型ゼオライトが過度に脱アルミニウム処理されること
に起因した耐熱性の低下が防止されつつ、使用時に上記
HC吸着剤が加熱されることに起因する結晶構造の破壊
を防止できる排気ガス浄化装置用HC吸着剤が得られる
ことになる。
【0017】請求項6に係る発明は、上記請求項4また
は5に記載の排気ガス浄化装置用HC吸着剤の製造方法
において、β型ゼオライトの結晶を、60〜80°Cの
温度下において、規定度が4〜6Nに設定された硝酸溶
液中に浸漬して6〜8時間に亘り脱アルミニウム処理を
施すように構成したものである。
【0018】この構成によれば、HC吸着剤を構成する
β型ゼオライトが過度に脱アルミニウム処理されること
に起因した耐熱性の低下が防止されるように、脱アルミ
ニウム度の上限値が設定されるとともに、使用時に上記
HC吸着剤が加熱されることに起因した結晶構造の破壊
が防止されるように、脱アルミニウム度の下限値が設定
されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明に係る
HC吸着剤を有するエンジンの排気ガス浄化装置の実施
形態を示している。この排気ガス浄化装置は、エンジン
から排出された排気ガスが導入される複数の貫通孔2を
有するモノリス型担体1と、上記貫通孔2の内壁面に担
持されたHC吸着剤3とを有し、このHC吸着剤3の表
面には、酸化パラジウム等からなる触媒活性種4と、酸
化セリウム等からなる助触媒5とが担持されている。
【0020】上記HC吸着剤3は、排気ガス中に含まれ
たHC成分が吸着される多数の細孔を有するβ型ゼオラ
イトからなり、このβ型ゼオライトには、その耐熱性を
向上させるため、予め脱アルミニウム処理が施されてい
る。すなわち、上記β型ゼオライトをモノリス型担体1
に担持させてHC吸着剤3を構成する前に、このβ型ゼ
オライトの結晶を硝酸溶液等の酸性溶液中に浸漬するこ
とにより、結晶構造を破壊することなく、β型ゼオライ
ト中のアルミニウム成分を徐々に離脱させる処理が施さ
れている。
【0021】上記脱アルミニウム処理を行う際には、上
記排気ガス浄化装置の使用時に、HC吸着剤3を構成す
るβ型ゼオライト中のアルミニウム成分が急激に脱離す
ることに起因してその結晶構造が破壊されるのを防止す
るため、残留アルミニウム率が20%未満となるように
脱アルミニウム度の下限値が設定されている。また、上
記脱アルミニウム処理が過度に行われてβ型ゼオライト
の結晶構造の骨組みが破壊されるのを防止するため、β
型ゼオライトの比表面積が500m2/g以上となるよ
うに上記脱アルミニウム度の上限値が設定されている。
【0022】上記触媒活性種4は、パラジウム(P
d)、プラチナ(Pt)またはロジウム(Rh)等の貴
金属またはその酸化物の粒子からなり、これらの粒子が
単独または複合状態で、HC吸着剤3の表面に担持され
ている。また、上記助触媒5は、酸素吸蔵能力を有する
酸化セリウム(CeO2)の粒子からなり、上記触媒活
性種4の設置部を被覆するようにHC吸着剤3の表面に
担持されている。
【0023】上記排気ガス浄化装置用HC吸着剤の製造
方法の実施形態について以下に説明する。まず、HC吸
着剤3を構成するβ型ゼオライトの結晶を、60〜80
°Cの温度下において、規定度が4〜6Nに設定された
硝酸溶液中に浸漬し、6〜8時間に亘って撹拌する。こ
れによって上記β型ゼオライトの残留アルミニウム率が
20%未満となるように脱アルミニウム度の下限値が設
定されるとともに、β型ゼオライトの比表面積が500
2/g以上に維持されるように脱アルミニウム度の上
限値が設定された脱アルミニウム処理が上記β型ゼオラ
イトに施されることになる。
【0024】そして、上記脱アルミニウム処理が施され
たβ型ゼオライトの結晶と、バインダーとなる水和アル
ミナまたはシリカゾルと、純水とを5:1:20の割合
で加えることによりスラリーを調製した後、耐熱製金属
材またセラミックス材等によって形成されたモノリス型
担体1の下端部を上記スラリーに浸漬させることによ
り、モノリス型担体1の透孔2に上記スラリーを付着さ
せる。
【0025】また、余分なスラリーをエアブローによっ
て吹き飛ばして乾燥させ、この作業を繰り返すことによ
り、1lの容積を有するモノリス型担体1に対して15
0gのβ型ゼオライトを付着させた後、上記モノリス型
担体1に付着させたスラリーを500°C程度の温度で
約2時間に亘って焼成する。上記のようにしてβ型ゼオ
ライトをモノリス型担体1に担持させるウォッシュコー
ト法により、多数の細孔を有するHC吸着剤3が、上記
モノリス型担体1の容積に対して150g/lの割合で
上記貫通孔2の内壁面に担持されることになる。
【0026】次に、パラジウム濃度が4.5wt%に設
定された硝酸パラジウム溶液に、モノリス型担体1の下
端部を浸漬することにより、モノリス型担体1の容積1
l当り156gの硝酸パラジウム溶液を上記HC吸着剤
3に含浸させる。そして、上記溶液を200°Cの温度
下で2時間加熱して乾燥させた後、これを500°Cの
温度下で2時間加熱して焼成することにより、酸化パラ
ジウムからなる触媒活性種4が、上記モノリス型担体1
の容積に対して7g/lの割合で上記HC吸着剤3の表
面に担持されることになる。
【0027】その後、セリウムイオンの濃度が4mol
/lに設定された硝酸セリウム溶液中に、上記モノリス
型担体1の下端部を浸漬することにより、モノリス型担
体1の容積1l当り100mlの硝酸セリウム溶液を上
記HC吸着剤3に含浸させる。そして、上記溶液を20
0°Cの温度下で2時間加熱して乾燥させた後、これを
500°Cの温度下で2時間加熱して焼成することによ
り、酸化セリウムからなる助触媒5が、上記モノリス型
担体1の容積に対して70g/lの割合でHC吸着剤3
の表面に担持されることになる。
【0028】このようにしてモノリス型担体1に、脱ア
ルミニウム処理されたβ型ゼオライトからなるHC吸着
剤3と、酸化パラジウムからなる触媒活性種4と、酸化
セリウムからなる助触媒5とが、それぞれ150g/
l、7g/lおよび70g/lの割合で担持され、かつ
上記助触媒5によって上記触媒活性種4の表面が被覆さ
れてなる排気ガス浄化装置が得られることになる。
【0029】上記のようにHC吸着剤3を構成するβ型
ゼオライトに、予め脱アルミニウム処理を施すことによ
り、上記β型ゼオライトの耐熱性を向上させるようにし
たため、上記HC吸着剤3が担持された排気ガス浄化装
置の使用時に、排気ガス等によって上記HC吸着剤3が
加熱された場合においても、上記β型ゼオライト中のア
ルミニウム成分が急激に脱離することがなく、これに起
因した結晶構造の破壊を効果的に抑制することができ
る。したがって、上記HC吸着剤3のHC成分の吸着性
能を長期間に亘り、良好状態に維持することができる。
【0030】特に上記実施形態に示すように、β型ゼオ
ライトの残留アルミニウム率が20%未満となるように
脱アルミニウム度の下限値を設定するとともに、β型ゼ
オライトの比表面積が500m2/g以上に維持される
ように脱アルミニウム度の上限値を設定した場合には、
上記脱アルミニウム処理時に、β型ゼオライトの結晶構
造が破壊されるという事態を生じることなく、この結晶
中のアルミニウム成分を予め除去して上記HC吸着剤3
の熱劣化を効果的に抑制することができる。
【0031】すなわち、図3に示すように、硝酸溶液の
規定度および処理時間をそれぞれ種々の値に設定すると
ともに、β型ゼオライトに対する硝酸溶液の容量を30
倍重量に設定し、かつ反応温度を80°Cに設定して脱
アルミニウム処理を実行する実験を行ったところ、硝酸
溶液の規定度が高いほどβ型ゼオライトの残留アルミニ
ウム率が小さくなって脱アルミニウム度が増大し、かつ
処理時間が長いほどβ型ゼオライトの脱アルミニウム度
が増大することが確認された。
【0032】例えば、上記処理時間を6時間に設定する
とともに、硝酸溶液の規定度を1N,2N,4N,6
N,8Nに設定した場合には、残留アルミニウム率がそ
れぞれ47.32%,21.95%,0.12%,0.
43%,0.0%となり、脱アルミニウム度がそれぞれ
52.6%,78.05%,99.88%,99.57
%,100.0%となった。
【0033】そして、脱アルミニウム度が上記の値に設
定されたβ型ゼオライトによってHC吸着剤3を形成
し、その比表面積をBET等温吸着式に基づいて求める
とともに、上記HC吸着剤3を900°Cの温度下で5
0時間に亘り熱処理した後の比表面積を求めたところ、
図4に示すようなデータが得られた。このデータから脱
アルミニウム処理を施した本発明の実施例では、脱アル
ミニウム処理を施していない比較例に比べて、熱処理後
における比表面積の低下率が小さく、耐熱性が向上して
いることが確認された。
【0034】特に、上記脱アルミニウム処理を実行する
際に、硝酸溶液の規定度を4Nまたは6Nに設定して脱
アルミニウム度が100%に近い値となるように構成し
た場合には、熱処理後の比表面積が500m2/g以上
に維持できるのに対し、上記規定度を1Nまたは2Nと
して脱アルミニウム度を80%未満に設定した場合に
は、熱処理後の比表面積が500m2/g以下となり、
耐熱性の向上効果が低くなることが確認された。したが
って、上記データから残留アルミニウム率が20%未満
となるように、脱アルミニウム度の下限値を設定するこ
とが望ましいことが分かる。
【0035】一方、上記脱アルミニウム処理を実行する
際に、硝酸溶液の規定度を8Nに設定して残留アルミニ
ウム率が0%となる脱アルミニウム処理を施した場合、
つまり脱アルミニウム度が100%となって熱処理前の
比表面積が500m2/g未満に低下する過度の脱アル
ミニウム処理を施した場合には、熱処理後に比表面積が
50m2/g以下に低下し、耐熱性が却って低下するこ
とが確認された。したがって、上記データからβ型ゼオ
ライトの比表面積が500m2/g以上に維持されるよ
うに、脱アルミニウム度の上限値を設定することが望ま
しいことが分かる。
【0036】また、図3のデータから硝酸溶液の規定度
を4N〜6Nの範囲内に設定するとともに、処理時間を
6〜8時間の範囲内に設定することにより、残留アルミ
ニウム率が20%未満となるように脱アルミニウム度の
下限値を設定し、かつβ型ゼオライトの比表面積が50
0m2/g以上となるように、脱アルミニウム度の上限
値を設定できることが分かる。
【0037】さらに、図5に示すように、脱アルミニウ
ム処理の温度および処理時間をそれぞれ種々の値に設定
するとともに、β型ゼオライトに対する硝酸溶液の容量
を30倍重量に設定するとともに、硝酸溶液の規定度を
6Nに設定して脱アルミニウム処理を実行する実験を行
ったところ、処理温度が高いほどβ型ゼオライトの残留
アルミニウム率が小さくなって脱アルミニウム度が増大
し、かつ処理時間が長いほどβ型ゼオライトの脱アルミ
ニウム度が増大することが確認された。
【0038】例えば、上記処理時間を6時間に設定する
とともに、処理温度を25°C,40°C,60°C,
80°C,90°Cに設定した場合には、残留アルミニ
ウム率がそれぞれ61.57%,48.23%,11.
92%,0.43%,0.0%となり、脱アルミニウム
度がそれぞれ38.43%,51.77%,88.08
%,99.57%,100.0%となった。
【0039】そして、脱アルミニウム度が上記の各値に
設定されたβ型ゼオライトによってHC吸着剤3を形成
し、その比表面積をBET等温吸着式に基づいて求める
とともに、上記HC吸着剤3を900°Cの温度下で5
0時間に亘り熱処理した後の比表面積を求めたところ、
図6に示すようなデータが得られた。このデータから上
記処理時間を6〜8時間の範囲内に設定するとともに、
処理温度を60〜80°Cの範囲内に設定することによ
り、残留アルミニウム率が20%未満となるように脱ア
ルミニウム度の上限値を設定するとともに、β型ゼオラ
イトの比表面積が500m2/g以上となるように脱ア
ルミニウム度の上限値を設定して、HC吸着剤3の耐熱
性を効果的に向上できることが分かる。
【0040】上記のようにして製造された排気ガス浄化
装置に、模擬ガスを供給することにより、HC成分の吸
着性能を評価する実験例について以下に説明する。この
実験には、1.6lの容量を有する排気ガス浄化装置の
モノリス型担体1に、150g/lの割合でβ型ゼオラ
イトからなるHC吸着剤3を担持させるとともに、その
表面に酸化パラジウムからなる触媒活性種4と、酸化セ
リウムからなる助触媒5とを10g/l,70g/lの
割合で担持させなるものを使用した。そして、上記排気
ガス浄化装置を900°Cの温度下で50時間に亘り熱
処理し、その前後で上記吸着性能の変化状態を比較する
実験を行った。
【0041】また、上記実験に使用する模擬ガスは、1
3.9%の二酸化炭素(CO2)と、0.2%の水素
(H2)と、0.6%の酸素(O2)と、230ppmの
トルエン(C78)と、0.6%の一酸化酸素(CO)
と、0.1%の窒素酸化物(NOx)と、バランス用の
窒素ガス(N2)とからなり、A/Fが14.7前後に
設定されたものを使用し、55000h-1の空間速度
(SV)で供給した。
【0042】そして、上記β型ゼオライトを、80°C
の温度下おいて、6Nの規定度を有する30倍重量の硝
酸溶液中に、6時間浸漬することにより、脱アルミニウ
ム処理を施してなる本発明の実施例と、脱アルミニウム
処理が施されていない比較例とにおいて、HC吸着剤3
に吸着されたトルエンの吸着率を測定する実験を行った
ところ、以下のようなデータが得られた。
【0043】すなわち、雰囲気温度を室温から毎分10
°Cずつ上昇せて200°Cまで昇温させつつ、上記模
擬ガス中のトルエンをHC吸着剤3に吸着させてその吸
着率を測定したところ、図7および図8に示すようなデ
ータが得られた。すなわち、上記排気ガス浄化装置を熱
処理する前には、図7に示すように、脱アルミニウム処
理が施された本発明の実施例では、脱アルミニウム処理
が施されていない比較例に比べて、トルエンからなるH
C成分の吸着性能がやや劣っていた。
【0044】そして、上記排気ガス浄化装置の熱処理後
には、図8に示すように、脱アルミニウム処理が施され
た本発明の実施例では、トルエンの吸着率がほとんど変
化していないのに対し、脱アルミニウム処理が施されて
いない比較例では、トルエンの吸着率が顕著に低下し、
上記実施例よりも悪化したことが確認された。この実験
データからも、脱アルミニウム処理を施すことにより、
HC吸着剤の熱劣化を効果的に抑制できることが分か
る。
【0045】さらに、上記本発明の実施例および比較例
に係る排気ガス浄化装置を車両に搭載して米国標準テス
トモードのFTPモードの走行試験を行い、HC吸着率
と、1マイル当りのHC排出量を測定したところ、図9
および図10に示すようなデータが得られた。図9に示
すHC吸着率は、エンジン始動時点から38秒が経過す
るまで間におけるHC浄化率の測定値を代用した。
【0046】上記図9および図10に示すデータから
も、脱アルミニウム処理が施された本発明の実施例で
は、上記熱処理の前後でトルエンの吸着率がほとんど変
化していないのに対し、脱アルミニウム処理が施されて
いない比較例では、トルエンの吸着率が熱処理の前後で
顕著に低下していることが確認され、脱アルミニウム処
理を施すことにより、HC吸着剤の熱劣化を効果的に抑
制できることが分かる。
【0047】なお、上記実施形態では、脱アルミニウム
処理を施したβ型ゼオライトによってHC吸着剤3を構
成した例について説明したが、このHC吸着剤3をβ型
ゼオライト以外のゼオライト、例えば脱アルミニウム処
理を施したMOR型ゼオライト等によって上記HC吸着
剤3を構成することもできる。しかし、上記MOR型ゼ
オライトを使用した場合には、β型ゼオライトに比べて
残留アルミニウムを大幅に除去することが困難であるた
め、上記脱アルミニウム処理を施すことによる耐熱性の
向上効果が不十分となり易い傾向がある。
【0048】すなわち、硝酸溶液の規定度を6Nに設定
するとともに、処理温度を80°Cに設定した場合にお
いて、図11に示すように、処理時間を0〜10時間の
範囲内で種々に変化させて残留アルミニウム率を測定す
る実験を行ったところ、上記MOR型ゼオライトでは、
残留アルミニウム率を70%以下に削減することが困難
であることが確認された。
【0049】また、上記実施形態では、HC吸着剤3の
表面に酸化パラジウム等の触媒活性種4を担持させると
ともに、この触媒活性種4を被覆するように酸化セリウ
ム等の酸素吸蔵能力を有する助触媒5を担持させたた
め、上記触媒活性種4の熱劣化を効果的に防止してその
活性を長期間に亘って良好状態に維持し、排気ガス中の
HC成分を効果的に浄化することができる。
【0050】すなわち、上記助触媒5がない場合には、
排気ガス等によって上記触媒活性種4が加熱されると、
この触媒活性種4を構成する酸化パラジウムが還元され
る等により熱劣化し易く、その活性が低下するのを防止
することができない。これに対して上記のように触媒活
性種4を被覆するように酸化セリウム等の酸素吸蔵能力
を有する助触媒5を担持させた場合には、この助触媒5
と上記触媒活性種4とが酸素を共用化することとなるた
め、この触媒活性種4が熱劣化してその活性が低下する
のを効果的に防止することができる。
【0051】例えば、モノリス型担体1上に、超安定Y
型ゼオライトつまりUSYからなるHC吸着剤層3が1
50g/lの割合で担持され、かつこのHC吸着剤層3
上に、酸化パラジウムを主体とする触媒活性種4が7g
/lの割合で担持されるとともに、この触媒活性種4を
被覆するように酸化セリウムからなる助触媒5が70g
/lの割合で担持された本発明の実施例1に係る排気ガ
ス浄化装置と、図12に示すように、モノリス型担体1
に上記USYからなるHC吸着剤層3が150g/lの
割合で担持されるとともに、このHC吸着剤層3上に酸
化セリウムからなる助触媒5が70g/lの割合で担持
され、かつこの助触媒5上に酸化パラジウムからなる触
媒活性種4が7g/lの割合で担持された比較例1に係
る排気ガス浄化装置とに、下記の模擬排気ガスをそれぞ
れ供給し、HC成分の浄化状態を確認する実験を行った
ところ以下のようなデータが得られた。
【0052】すなわち、上記各排気ガス浄化装置に、プ
ロピレン(C36)と、一酸化炭素(CO)と、一酸化
窒素(NO)と、二酸化炭素(CO2)と、窒素(N2
と、水素(H2)と、酸素(O2)と、水蒸気(H2O)
とからなり、A/Fが14.7±0.9の範囲に設定さ
れた模擬ガスを、60000h-1の空間速度(SV)で
供給しつつ、雰囲気温度を室温から10°C/分の速度
で昇温し、HC浄化率が50%となる温度、いわゆるT
50を測定したところ、下記の表1に示すような実験デ
ータが得られた。
【0053】
【表1】
【0054】このデータから、後述する熱処理を行う前
には、実施例1および比較例1のT50の温度がそれぞ
れ208°Cおよび196°Cとなり、いずれも比較的
低温で触媒活性種4が活性化してHC成分が浄化されて
いることが確認された。
【0055】次いで、上記実施例1および比較例1に係
る排気ガス浄化装置を、それぞれ900°Cの温度で5
0時間に亘り加熱して熱処理した後、上記模擬排気ガス
を供給することにより、同様の実験を行ったところ、上
記表1の下段に示すようなデータが得られた。
【0056】上記データから、本発明の実施例1の排気
ガス浄化装置では、上記T50が222°Cとなり、酸
化パラジウムを主体とする触媒活性種4の活性温度がわ
ずかに低下しているに過ぎないのに対し、比較例1の排
気ガス浄化装置では、上記T50が263°Cとなり、
上記触媒活性種4の活性が顕著に低下していることが確
認された。このことから、図12に示すように酸化パラ
ジウムを主体とする触媒活性種4を被覆することなく、
その下方に助触媒5を担持してなる比較例1に比べ、図
2に示すように触媒活性種4を被覆するように助触媒5
を担持してなる本発明の実施例1では、触媒活性種4の
熱劣化を生じにくいことが分かる。
【0057】また、上記本発明の実施例1および比較例
1に係る排気ガス浄化装置と、プラチナ−ロジウム系の
触媒活性種を有する通常の三元触媒とにそれぞれ上記熱
処理を施すとともに、これらをV型6気筒で3000c
cのエンジンを有する車両の排気マニホールドに直結さ
れた触媒の下流側に設置し、米国標準テストモードのF
TPモードの走行試験を行い、エンジン始動時点から3
8秒が経過するまで間のHC浄化率と、トータルHC浄
化率とを測定したところ、下記の表2に示すようなデー
タが得られた。
【0058】
【表2】
【0059】このデータから、上記実施例1および比較
例1に係る排気ガス浄化装置では、エンジンの始動直後
に排出されたHC成分がHC吸着剤層3に吸着されるた
め、上記三元触媒に比べてエンジン始動時点から38秒
が経過するまで間のHC浄化率を高い値に維持すること
ができることが確認された。
【0060】また、本発明の実施例1に係る排気ガス浄
化装置では、比較例1に比べてトータルHC浄化率を高
い値に維持することができることが確認され、この実車
試験データからも、触媒活性種4を被覆するように助触
媒5を担持させることにより、上記触媒活性種4を構成
する酸化パラジウムの熱劣化を効果的に抑制してその活
性を良好状態に維持できることが分かる。
【0061】また、上記実施例1に係る排気ガス浄化装
置に対する助触媒5の担持量を種々の値に変化させた場
合に、上記触媒活性種4の熱劣化を抑制する機能がどの
ように変化するかを確認するために行った実験例につい
て以下に説明する。すなわち、モノリス型担体1の容積
に対する助触媒5の担持量を、0g/l,15g/l,
35g/l,70g/l,100g/lに設定し、上記
HC浄化率が50%となる温度T50を測定したとこ
ろ、下記の表3に示すようなデータが得られた。
【0062】
【表3】
【0063】上記データから、モノリス型担体1の容積
に対する助触媒5の担持量を15g/l以上に設定する
ことにより、熱処理後のT50を230°C未満に維持
して触媒活性種4の熱劣化を抑制できることが確認され
た。また、上記硝酸セリウム溶液をHC吸着剤層3に含
浸させて焼成することにより、酸化セリウムからなる助
触媒5を担持させることができる担持量の上限値は、1
00g/l程度であるため、上記モノリス型担体1の容
積に対する酸化セリウムからなる助触媒5の担持量は、
15〜100g/lの範囲内に設定することが望まし
い。
【0064】また、上記実施形態に示すように、モノリ
ス型担体1からなる触媒担体に形成されたHC吸着剤層
3に、硝酸セリウム溶液を含浸させて焼成することによ
り、酸化セリウムからなる助触媒5を担持させるように
構成した場合には、酸化セリウムの粉末をウォッシュコ
ートすることにより担持させた場合に比べ、助触媒5の
粒径を小さくすることができるため、この助触媒5を均
一に分散させた状態で上記HC吸着剤層3上に担持させ
ることにより、触媒活性種4の熱劣化を効果的に抑制す
ることができる。
【0065】すなわち、酸化セリウムの粉末に、20重
量%の水和アルミナと、適量の純水とを加えることによ
って調製したスラリーを上記HC吸着剤層3に含浸させ
て上記酸化セリウムの粉末からなる助触媒を、70g/
lの割合でモノリス型担体1に担持させてなる比較例2
と、上記本発明の実施例1とを使用して上記T50を比
較する試験を行ったところ、下記の表4に示すようなデ
ータが得られた。
【0066】
【表4】
【0067】このデータから、粒径の小さな酸化セリウ
ム粒子によって助触媒5を形成した本発明の実施例1で
は、熱処理後におけるT50の温度が222°Cである
のに対し、粒径の大きな酸化セリウムの粉末によって助
触媒5を形成した上記比較例2では、熱処理後における
T50の温度が265°Cとなり、触媒活性種4の熱劣
化が顕著であることが確認された。したがって、HC吸
着剤層3に担持された上記酸化パラジウムを主体とする
触媒活性種4の熱劣化を効果的に抑制するためには、上
記実施形態に示すように、硝酸セリウム溶液の含浸法に
より助触媒5を担持させるように構成することが望まし
いことが分かる。
【0068】なお、上記実施形態では、硝酸セリウムか
らなるセリウム化合物を水に溶解させることによって形
成されたセリウム化合物溶液をHC吸着剤層3に含浸さ
せるようにしているが、このセリウム化合物溶液の容質
として酢酸セリウムまたは硫酸酸セリウム等のセリウム
化合物を使用し、上記セリウム化合物溶液の容媒として
エタノール、エーテル等を使用するように構成してもよ
い。また、上記パラジウム化合物溶液およびセリウム化
合物溶液を、HC吸着材層3にそれぞれ含浸させて乾燥
させた後、これらを同時に焼成するように構成してもよ
い。
【0069】また、上記実施形態に代え、図13に示す
ように、モノリス型担体1に形成されたHC吸着剤層3
上に、酸化セリウムからなる助触媒層5a,5bを担持
させるとともに、この助触媒層5a,5bの間に酸化パ
ラジウムを主体とする触媒活性種4を挟持させた状態
で、この触媒活性種4をHC吸着剤層3上に担持させる
ように構成してもよい。
【0070】すなわち、モノリス型担体1にY型ゼオラ
イトまたはβ型ゼオライトからなるHC吸着剤層3をウ
ォッシュコート法により担持させた後、その上に硝酸パ
ラジウム等を含有する溶液をHC吸着剤層3に含浸させ
て担持させるとともに、その上に硝酸パラジウム溶液を
担持させた後、さらにその上に硝酸パラジウム等を含有
する溶液をHC吸着剤層3に含浸させるようにしてもよ
い。そして、上記両硝酸セリウム成分を焼成することに
より生成された下層の助触媒層5aと、上層の助触媒層
5bとの間に、上記硝酸パラジウム成分を焼成すること
により生成された触媒活性種4を担持させるように構成
してもよい。
【0071】例えば、β型ゼオライト(ケイバン比10
0)の粉末に、20重量%の水和アルミナからなるバイ
ンダーと適量の純水とを加えることによってスラリーを
調製し、このスラリーを上記モノリス型担体1にウォッ
シュコートすることにより、1lの容積を有するモノリ
ス型担体1に対して120gのβ型ゼオライトを担持さ
せてHC吸着剤層3を形成する。
【0072】そして上記HC吸着剤層3に硝酸セリウム
水溶液を含浸させ、この水溶液を乾燥させた後、上記硝
酸セリウムを焼成することにより、酸化セリウムからな
る下層の助触媒層5aを形成する。上記酸化セリウムの
モノリス型担体1に容積に対する担持量は、35g/l
に設定する。
【0073】次いで、上記HC吸着材層3に硝酸パラジ
ウム水溶液を含浸させ、この水溶液を乾燥させた後、硝
酸パラジウムを焼成することにより、酸化パラジウムを
主体とする触媒活性種4を上記下層の助触媒層5a上に
担持させる。上記酸化パラジウムのモノリス型担体1に
容積に対する担持量は、10g/lに設定する。
【0074】さらに、上記HC吸着剤層3に硝酸セリウ
ム水溶液を含浸させ、この水溶液を乾燥させた後、上記
硝酸セリウムを焼成することにより、酸化セリウムから
なる上層の助触媒層5bを形成する。上記酸化セリウム
のモノリス型担体1に容積に対する担持量は、35g/
lに設定する。このようにして酸化セリウムからなる上
層の助触媒層5bと下層の助触媒層5aとの間に、酸化
パラジウムからなる触媒活性種4が挟持されてなる実施
例2に係る排気ガス浄化装置を製造する。
【0075】また、比較例3として、モノリス型担体1
に130g/lの割合でβ型ゼオライトからなるHC吸
着剤層3を形成するとともに、その上に10g/lの割
合で酸化パラジウムからなる触媒活性種が担持されてな
る排気ガス浄化装置を使用した。そして、上記実施例2
および比較例3に係る排気ガス浄化装置を約900°C
の温度で50時間に亘り熱処理し、その前後でHC成分
の50%を浄化できる温度T50の変化状態を確認した
ところ、下記の表5に示すような実験データが得られ
た。
【0076】
【表5】
【0077】このデータから、上記本発明の実施例2で
は、熱処理前に187°Cであった上記T50の温度が
熱処理後に227°Cに上昇したにすぎないのに対し、
比較例3では、熱処理前に190°Cであった上記T5
0が熱処理後に271°Cに上昇し、HC成分の浄化率
が顕著に低下している。このことから、酸化セリウムか
らなる上層の助触媒層5bと下層の助触媒層5aとの間
に、酸化パラジウムからなる触媒活性種4を挟持させて
なる本発明の実施例2では、助触媒層のない比較例3に
比べて触媒活性種4の熱劣化を生じにくくなっているこ
とが分かる。
【0078】また、上記実施例2に係る排気ガス浄化装
置に対する酸化セリウムからなる助触媒の担持量を種々
変化させた場合に、上記触媒活性種4の熱劣化を抑制す
る機能がどのように変化するかを確認するために行った
実験例について以下に説明する。すなわち、モノリス型
担体1の容積に対する助触媒層5a,5bの酸化セリウ
ム担持量を、それぞれ0g/l,15g/l,35g/
l,70g/lに設定し、上記HC浄化率が50%とな
る温度T50を測定したところ、下記の表6に示すよう
な実験データが得られた。
【0079】
【表6】
【0080】上記データから、上層の助触媒層5bに対
する酸化セリウムの担持量を15〜35g/lの範囲内
に設定するとともに、下層の助触媒層5aに対する酸化
セリウムの担持量を0〜70g/lの範囲内に設定する
ことにより、熱処理後のT50を230°C未満に維持
して触媒活性種4の熱劣化を抑制できることが確認され
た。
【0081】また、上記触媒活性種4の熱劣化をさらに
効果的に抑制するためには、上記触媒活性種4を構成す
る酸化パラジウムに酸化ロジウムを添加するとともに、
この酸化ロジウムの上記酸化パラジウムに対する重量比
が1/20〜1/100の範囲内となるように酸化ロジ
ウムの添加量を設定することが望ましい。すなわち、上
記酸化ロジウムを添加することにより、上記触媒活性種
4を構成する酸化パラジウムと、助触媒5を構成する酸
化セリウムとが酸素を共用化する構造を安定させること
ができ、上記酸化パラジウムが加熱されて酸素が離脱し
た場合に、これに上記酸化セリウムから放出された酸素
を結合させる作用を上記酸化ロジウムによって促進する
ことができる。
【0082】上記酸化ロジウムの添加量を上記範囲に設
定したのは、酸化パラジウムに対する酸化ロジウムの重
量比が1/100未満になると、この酸化ロジウムによ
り上記酸化パラジウムの熱劣化を抑制する機能が不十分
となり、また酸化パラジウムに対する酸化ロジウムの重
量比が1/20を越えると、酸化パラジウムの含有量が
減少して上記HC成分の浄化機能が低下することになる
ためである。
【0083】なお、上記触媒活性種6は、上記実施形態
に示された貴金属酸化物に限定されることなく、排気ガ
ス中の浄化成分に対応した種々のものを使用することが
可能であるが、上記実施形態に示すように酸化パラジウ
ムを主体としてこれに酸化ロジウムを添加したものを使
用した場合には、優れた触媒機能を有しているために排
気ガスを効果的に除去することができる。
【0084】また、上記実施形態では、排気ガスが導入
される複数の貫通孔2を有するモノリス型担体1からな
る触媒担体が設けられたモノリス型排気ガス浄化装置つ
いて説明したが、ペレット状の触媒担体にHC吸着材層
を担持させてなるペット型排気ガス浄化装置においても
本発明を適用可能である。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1および3
に係る発明は、HC吸着剤を構成するゼオライトに脱ア
ルミニウム処理を施すことにより、HC吸着剤の耐熱性
を向上させるようにしたため、このHC吸着剤の使用時
に、上記ゼオライト中のアルミニウム成分が急激に離脱
することに起因した熱劣化を効果的に防止できるHC吸
着剤を容易に製造することができる。
【0086】また、請求項4に係る発明は、β型ゼオラ
イトに脱アルミニウム処理を施すように構成したため、
HC吸着能力が高いという利点を有する反面、熱劣化し
易いという欠点を有する上記β型ゼオライトの熱劣化を
抑制し、HC成分の吸着機能を長期間に亘り良好状態に
維持できるHC吸着剤を容易に製造することができる。
【0087】また、請求項2および5に係る発明は、残
留アルミニウム率が20%未満となるように脱アルミニ
ウム処理されるとともに、比表面積が500m2/g以
上に維持されるように脱アルミニウム度が設定されたβ
型ゼオライトによって排気ガス浄化装置用HC吸着剤を
形成したため、この排気ガス浄化装置の使用時に、上記
HC吸着剤が加熱された場合に、上記β型ゼオライト中
のアルミニウム成分が急激に離脱することに起因する熱
劣化を効果的に抑制し、上記HC成分の吸着機能を長期
間に亘り良好状態に維持できるという利点がある。
【0088】また、請求項6に係る発明は、β型ゼオラ
イトの結晶を、60〜80°Cの温度下において、規定
度が4〜6Nに設定された硝酸溶液中に浸漬して6〜8
時間に亘り脱アルミニウム処理を施すように構成したた
め、HC吸着剤を構成するβ型ゼオライトが過度に脱ア
ルミニウム処理されることに起因する耐熱性の低下を生
じることなく、使用時に上記HC吸着剤が加熱されるこ
とに起因した結晶構造の破壊を防止することができる脱
アルミニウム処理を容易かつ適正に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るHC吸着剤を有する排気ガス浄化
装置を示す説明図である。
【図2】排気ガス浄化装置の要部を示す部分拡大図説明
図である。
【図3】ゼオライトの残留アルミニウム率と、硝酸溶液
の規定度および処理時間との対応関係を示すグラフであ
る。
【図4】HC吸着剤の比表面積と、ゼオライトの脱アル
ミニウム度との対応関係を示すグラフである。
【図5】ゼオライトの残留アルミニウム率と、硝酸溶液
の温度および処理時間との対応関係を示すグラフであ
る。
【図6】HC吸着剤の比表面積と、ゼオライトの脱アル
ミニウム度との対応関係を示すグラフである。
【図7】HC吸着剤を熱処理する前におけるトルエン吸
着率の変化状態を示すグラフである。
【図8】HC吸着剤を熱処理した後におけるトルエン吸
着率の変化状態を示すグラフである。
【図9】HC吸着率の実車評価試験データを示すグラフ
である。
【図10】HC排出量の実車評価試験データを示すグラ
フである。
【図11】ゼオライトの残留アルミニウム率と、脱アル
ミニウム処理時間との対応関係を示すグラフである。
【図12】比較例に係る排気ガス浄化装置の構成を示す
説明図である。
【図13】排気ガス浄化用装置の別の実施例を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 モノリス型担体(触媒担体) 3 HC吸着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高山 修 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 清水 多恵子 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 國府田 由紀 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱アルミニウム処理が施されたゼオライ
    トを備えたことを特徴とする排気ガス浄化装置用HC吸
    着剤。
  2. 【請求項2】 残留アルミニウム率が20%未満となる
    ように脱アルミニウム処理されるとともに、比表面積が
    500m2/g以上に維持されるように脱アルミニウム
    度が設定されたβ型ゼオライトを備えたことを特徴とす
    る排気ガス浄化装置用HC吸着剤。
  3. 【請求項3】 HC吸着剤を構成するゼオライトに脱ア
    ルミニウム処理を施すことにより、HC吸着剤の耐熱性
    を向上させるようにしたことを特徴とする排気ガス浄化
    装置用HC吸着剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 β型ゼオライトに脱アルミニウム処理を
    施すように構成したことを特徴とする請求項3記載の排
    気ガス浄化装置用HC吸着剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 β型ゼオライトの残留アルミニウム率が
    20%未満となるように脱アルミニウム度の下限値を設
    定するとともに、β型ゼオライトの比表面積が500m
    2/g以上に維持されるように脱アルミニウム度の上限
    値を設定したことを特徴とする請求項4記載の排気ガス
    浄化装置用HC吸着剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 β型ゼオライトの結晶を、60〜80°
    Cの温度下において、規定度が4〜6Nに設定された硝
    酸溶液中に浸漬して6〜8時間に亘り脱アルミニウム処
    理を施すように構成したことを特徴とする請求項4また
    は5記載の排気ガス浄化装置用HC吸着剤の製造方法。
JP19536695A 1995-07-31 1995-07-31 排気ガス浄化装置用hc吸着剤およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3546547B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19536695A JP3546547B2 (ja) 1995-07-31 1995-07-31 排気ガス浄化装置用hc吸着剤およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19536695A JP3546547B2 (ja) 1995-07-31 1995-07-31 排気ガス浄化装置用hc吸着剤およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0938485A true JPH0938485A (ja) 1997-02-10
JP3546547B2 JP3546547B2 (ja) 2004-07-28

Family

ID=16339987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19536695A Expired - Fee Related JP3546547B2 (ja) 1995-07-31 1995-07-31 排気ガス浄化装置用hc吸着剤およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3546547B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6641788B1 (en) 1997-07-02 2003-11-04 Tosoh Corporation Absorbent for a hydrocarbon, and exhaust gas-purifying catalyst
WO2008038422A1 (en) 2006-09-27 2008-04-03 Tosoh Corporation β-TYPE ZEOLITE FOR SCR CATALYST AND METHOD FOR CONVERTING NITROGEN OXIDE USING THE ZEOLITE
JP2008546632A (ja) * 2005-06-28 2008-12-25 アンスティテュ フランセ デュ ペトロール 小孔径および/または中孔径を有するゼオライトの処理方法とそれの軽質オレフィンのオリゴメライゼイションへの使用
WO2010021315A1 (ja) 2008-08-19 2010-02-25 東ソー株式会社 高耐熱性β型ゼオライト及びそれを用いたSCR触媒
KR101013635B1 (ko) * 2008-03-27 2011-02-10 미쯔비시 지도샤 고교 가부시끼가이샤 내연 기관용 배기 가스 정화 장치
WO2011024847A1 (ja) 2009-08-27 2011-03-03 東ソー株式会社 高耐熱水性scr触媒及びその製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102315839B1 (ko) * 2019-10-31 2021-10-21 경기대학교 산학협력단 소니케이션 산처리를 통한 소수성 제올라이트의 제조방법 및 그에 의하여 제조된 흡착제

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6641788B1 (en) 1997-07-02 2003-11-04 Tosoh Corporation Absorbent for a hydrocarbon, and exhaust gas-purifying catalyst
JP2008546632A (ja) * 2005-06-28 2008-12-25 アンスティテュ フランセ デュ ペトロール 小孔径および/または中孔径を有するゼオライトの処理方法とそれの軽質オレフィンのオリゴメライゼイションへの使用
WO2008038422A1 (en) 2006-09-27 2008-04-03 Tosoh Corporation β-TYPE ZEOLITE FOR SCR CATALYST AND METHOD FOR CONVERTING NITROGEN OXIDE USING THE ZEOLITE
US9061241B2 (en) 2006-09-27 2015-06-23 Tosoh Corporation β-Zeolite for SCR catalyst and method for purifying nitrogen oxides using same
KR101013635B1 (ko) * 2008-03-27 2011-02-10 미쯔비시 지도샤 고교 가부시끼가이샤 내연 기관용 배기 가스 정화 장치
WO2010021315A1 (ja) 2008-08-19 2010-02-25 東ソー株式会社 高耐熱性β型ゼオライト及びそれを用いたSCR触媒
US8722560B2 (en) 2008-08-19 2014-05-13 Tosoh Corporation Highly heat-resistant β-type zeolite and SCR catalyst employing the same
WO2011024847A1 (ja) 2009-08-27 2011-03-03 東ソー株式会社 高耐熱水性scr触媒及びその製造方法
KR20120046722A (ko) 2009-08-27 2012-05-10 도소 가부시키가이샤 고내열수성 scr 촉매 및 그 제조 방법
US9138685B2 (en) 2009-08-27 2015-09-22 Tosoh Corporation Highly hydrothermal-resistant SCR catalyst and manufacturing method therefor

Also Published As

Publication number Publication date
JP3546547B2 (ja) 2004-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100260652A1 (en) Catalyst for the removal of nitrogen oxides and method for the removal of nitrogen oxides with the same
JP2001527189A (ja) 内燃機関動力車用触媒コンバーター装置
JP2800499B2 (ja) 炭化水素吸着材
CN112041051B (zh) 碳氢化合物捕集催化剂
JPH11179158A (ja) 小細孔多孔体を含む自動車排ガス浄化用の吸着材及び吸着体、これを用いた排ガス浄化システム及び排ガス浄化方法
JP3500675B2 (ja) 排気浄化用触媒
JPH09262471A (ja) 排気ガス浄化用触媒材料、排気ガス浄化用触媒及びその製造方法
JPH11267504A (ja) 排ガス浄化用触媒体とそれを用いた排ガス浄化システム
JP3282344B2 (ja) 排気ガス浄化装置
JPH0938485A (ja) 排気ガス浄化装置用hc吸着剤およびその製造方法
JP2682404B2 (ja) 炭化水素吸着材および触媒の製造方法
JP3791033B2 (ja) エンジンの排気ガス浄化触媒
JPH04293519A (ja) 排気ガス浄化用装置
JP3695394B2 (ja) 排気ガス浄化装置および製造方法
JP2004176589A (ja) 排ガス浄化装置
JPH07241471A (ja) 排ガス浄化用吸着触媒の製造方法
JPH0938501A (ja) エンジンの排気ガス浄化用触媒およびその製造方法
JPH09225265A (ja) 排気ガス浄化装置
JP3387417B2 (ja) 排ガス浄化用触媒及びその製造方法
JP2000024516A (ja) 排ガス浄化用触媒及びその製造方法
JPH10202107A (ja) 排気ガス浄化用触媒及び排気ガス浄化方法
JP3321831B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
JPH11138002A (ja) 排ガス浄化用触媒
JPH08164338A (ja) 内燃機関の排気ガス浄化用触媒
JP2001058131A (ja) 排ガス浄化用触媒

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040405

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080423

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090423

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090423

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100423

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees