JPH0938501A - エンジンの排気ガス浄化用触媒およびその製造方法 - Google Patents

エンジンの排気ガス浄化用触媒およびその製造方法

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JPH0938501A
JPH0938501A JP7195368A JP19536895A JPH0938501A JP H0938501 A JPH0938501 A JP H0938501A JP 7195368 A JP7195368 A JP 7195368A JP 19536895 A JP19536895 A JP 19536895A JP H0938501 A JPH0938501 A JP H0938501A
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JP
Japan
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catalyst
oxide
adsorbent layer
exhaust gas
palladium
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Application number
JP7195368A
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English (en)
Inventor
Toshitsugu Kamioka
敏嗣 上岡
Tomoji Ichikawa
智士 市川
Masahiko Shigetsu
雅彦 重津
Takahiro Kurokawa
貴弘 黒川
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化パラジウムからなる触媒活性種の熱劣化
を効果的に防止して排気ガスの浄化性能を長期間に亘り
良好状態に維持する。 【解決手段】 エンジンの排気系に設置される排気ガス
浄化用触媒であって、モノリス型担体1からなる触媒担
体に多数の細孔を有するHC吸着剤層3を形成し、この
HC吸着剤層3上に酸化セリウムからなる助触媒4と、
酸化パラジウム6に酸化ロジウム7を添加してなる触媒
活性種5とを担持させたエンジンの排気ガス浄化用触媒
およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの排気ガ
ス中に含まれる未燃成分を浄化する排気ガス浄化用触媒
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来例】一般に、自動車等に搭載されたエンジンの排
気ガス中には、HC(炭化水素)等の未燃成分が含まれ
ているので、エンジンの排気通路に排気ガス浄化用触媒
を配設することにより、上記未燃成分を酸化して排気ガ
スを浄化することが行われているが、上記排気ガス浄化
用触媒が加熱されて250°C程度の活性化温度以上に
ならないと、十分な浄化機能が得られないという問題が
ある。特に、エンジンの始動直後においては、排気ガス
中のHC濃度が高いので、このHC成分を効果的に酸化
できるようにすることが望まれている。
【0003】このため、例えば特開平3−262541
号公報に示されるように、モノリス型の担体にゼオライ
ト層からなるHC吸着剤層を形成するとともに、プラチ
ナ、パラジウムおよびロジウム等の貴金属によって構成
された触媒活性種を上記HC吸着剤層に担持させてなる
エンジンの排気ガス浄化用触媒が提案されている。
【0004】上記排気ガス浄化用触媒は、エンジンの始
動直後において触媒活性種が十分に加熱されていない不
活性状態にある場合に、エンジンの排気ガス中に含まれ
たHC成分等の未燃成分を上記HC吸着剤層に吸着させ
ることにより、この未燃成分が大気中に放出されるのを
防止し、かつ触媒活性種が排気ガスにより加熱されて活
性化した後に、この触媒活性種の酸化促進作用によりH
C吸着剤層から離脱した未燃成分を酸化してこれを浄化
するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記触媒活性種として
酸化パラジウムを使用した場合には、この酸化パラジウ
ムは低温度で活性化するため、上記HC成分を効果的に
酸化できるという利点を有する反面、900°C以上の
温度で容易に熱劣化して未燃成分の酸化促進作用が低下
する傾向がある。これは、上記酸化パラジウムが還元さ
れて活性の低いパラジウムに変化することに起因すると
考えられる。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、酸化パラジウムからなる触媒活性種
の熱劣化を効果的に防止して排気ガスの浄化性能を長期
間に亘り良好状態に維持することができるエンジンの排
気ガス浄化用触媒およびその製造方法を提供するもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
エンジンの排気系に設置される排気ガス浄化用触媒であ
って、触媒担体に多数の細孔を有するHC吸着剤層を形
成し、このHC吸着剤層上に酸化セリウムからなる助触
媒と、酸化パラジウムに酸化ロジウムを添加してなる触
媒活性種とを担持させたものである。
【0008】この構成によれば、エンジンの始動後に排
出されたHC成分等の未燃成分がHC吸着剤層に吸着さ
れるとともに、このHC吸着剤層が加熱され時点で、吸
着された未燃成分がHC吸着剤層から離脱する。そし
て、上記HC吸着剤層から離脱した未燃成分が、助触媒
から放出された酸素を利用した触媒活性種の触媒作用に
よって効果的に酸化されるととともに、触媒活性種を構
成する酸化パラジウムの熱劣化が、この触媒活性種に添
加された酸化ロジウムと上記助触媒との存在によって抑
制されることになる。
【0009】請求項2に係る発明は、上記請求項1記載
のエンジンの排気ガス浄化用触媒において、触媒担体の
容積に対する助触媒の担持量を30〜100g/lの範
囲内に設定したものである。
【0010】この構成によれば、HC吸着剤層から離脱
した未燃成分を効果的に燃焼させるとともに、酸化パラ
ジウムからなる触媒活性種の熱劣化を効果的に抑制する
のに必要かつ十分な量の酸化セリウムがHC吸着剤層上
に担持されることになる。
【0011】請求項3に係る発明は、上記請求項1また
は2記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒において、触
媒担体の容積に対する触媒活性種の担持量を6〜15g
/lの範囲内に設定したものである。
【0012】この構成によれば、HC吸着剤層から離脱
した未燃成分を効果的に燃焼させるのに必要かつ十分な
量の触媒活性種がHC吸着剤層上に担持されることにな
る。
【0013】請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3
のいずれかに記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒にお
いて、触媒活性種の酸化パラジウムに対する酸化ロジウ
ムの重量比を1/20〜1/100の範囲内に設定した
ものである。
【0014】この構成によれば、酸化パラジウムからな
る触媒活性種の熱劣化を効果的に抑制するのに必要かつ
十分な量の酸化ロジウムがHC吸着剤層上に担持される
ことになる。
【0015】請求項5に係る発明は、エンジンの排気系
に設置される排気ガス浄化用触媒の製造方法であって、
触媒担体にゼオライトをウォッシュコートしてHC吸着
剤層を形成した後、セリウム化合物を含有する溶液を上
記HC吸着剤層に含浸させるとともに、パラジウム化合
物とロジウム化合物とを含有する溶液を上記HC吸着剤
層に含浸させ、かつ上記セリウム化合物と、パラジウム
化合物およびロジウム化合物とを焼成することにより生
成した酸化セリウムからなる助触媒と、酸化パラジウム
に酸化ロジウムが添加されてなる触媒活性種とを上記H
C吸着剤層に担持させたものである。
【0016】この構成によれば、HC吸着剤層上に、酸
素吸蔵能力を有する酸化セリウムからなる助触媒が担持
されるとともに、未燃成分の酸化を促進する酸化パラジ
ウムに、その熱劣化を抑制する酸化ロジウムが添加され
てなる触媒活性種が担持されることになる。
【0017】請求項6に係る発明は、上記請求項5記載
のエンジンの排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
触媒担体の容積に対する助触媒の担持量が30〜100
g/lの範囲内となるように、セリウム化合物を含有す
る溶液のHC吸着剤層に対する含浸量を設定するととも
に、触媒担体の容積に対する触媒活性種の担持量が6〜
15g/lの範囲内となるように、パラジウム化合物お
よびロジウム化合物を含有する溶液の濃度およびHC吸
着剤層に対する含浸量を設定し、かつ触媒活性種の酸化
パラジウムに対する酸化ロジウムの重量比が1/20〜
1/100の範囲内となるように、上記溶液中のパラジ
ウム化合物およびロジウム化合物の添加量を設定したも
のである。
【0018】この構成によれば、HC吸着剤層から離脱
した未燃成分を効果的に燃焼させるとともに、酸化パラ
ジウムからなる触媒活性種の熱劣化を効果的に抑制する
のに必要かつ十分な量の酸化セリウムがHC吸着剤層上
に担持されるとともに、HC吸着剤層から離脱した未燃
成分を効果的に燃焼させるのに必要かつ十分な量の触媒
活性種がHC吸着剤層上に担持され、かつ酸化パラジウ
ムからなる触媒活性種の熱劣化を効果的に抑制するのに
必要かつ十分な量の酸化ロジウムがHC吸着剤層上に担
持されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明に係る
エンジンの排気ガス浄化用触媒の実施形態を示してい
る。この排気ガス浄化用触媒は、エンジンから排出され
た排気ガスが導入される複数の貫通孔2が形成されたモ
ノリス型担体1と、上記貫通孔2の内壁面に担持された
HC吸着剤層3と、このHC吸着剤層3上に担持された
助触媒4および触媒活性種5とを有している。
【0020】上記HC吸着剤層3は、排気ガス中に含ま
れたHC成分等の未燃成分が吸着される多数の細孔を有
し、かつ所定の耐熱性を有するものであれば、その材質
は問わないが、各種のHC成分を効果的に吸着するため
には、比較的大きな孔径の細孔を有するY型ゼオライト
またはβ型ゼオライトを使用することが望ましい。
【0021】上記助触媒4は、酸素吸蔵能力を有する酸
化セリウム(CeO2)の粒子からなり、上記HC吸着
剤層3の表面に担持されている。また、上記モノリス型
担体1の容積に対する助触媒4の担持量は、30〜10
0g/lの範囲内に設定されている。
【0022】上記触媒活性種5は、酸化パラジウム(P
dO)6を主体とし、これに微量の酸化ロジウム(Rh
O)7が添加されることによって構成され、上記助触媒
4上に担持されている。また、上記モノリス型担体1に
対する触媒活性種5の担持量は、特に限定されるもので
はないが、この触媒活性種5による排気ガス浄化機能を
効果的に維持しつつ、不必要な触媒活性種5が担持され
るのを防止するためには、6〜15g/lの範囲内に設
定することが望ましい。また、上記触媒活性種5の酸化
パラジウム6に対する酸化ロジウム7の重量比は1/2
0〜1/100の範囲内に設定されている。
【0023】上記排気ガス浄化用触媒の製造方法の実施
形態について以下に説明する。まず、耐熱性金属材また
はセラミックス材等によって上記モノリス型担体1を形
成するとともに、上記HC吸着剤層3を構成するY型ゼ
オライトまたはβ型ゼオライトの粉末と、バインダーと
なる20wt%の水和アルミナと、適量の純水とを加え
ることによってスラリーを調製した後、このスラリー中
に上記モノリス型担体1を浸漬させてこの担体1に上記
スラリーを付着させる。
【0024】そして、余分なスラリーをエアブローによ
って吹き飛ばして乾燥させ、この作業を繰り返すことに
より、適量のスラリーをモノリス型担体1に担持させた
後、このスラリーを500°C程度の温度で約1時間に
亘って焼成するウォッシュコート法により、モノリス型
担体1に形成された各貫通孔2の内壁面に、多数の細孔
を有するHC吸着剤層3を担持させる。
【0025】次いで、硝酸セリウムを含有する水溶液中
に、上記モノリス型担体1の下端部を浸漬することによ
り、上記HC吸着剤層3に適量の硝酸セリウム溶液を含
浸させた後、この溶液を200°Cの温度下で2時間加
熱して乾燥させた後、これを500°Cの温度下で2時
間加熱して焼成することにより、酸化セリウムからなる
助触媒4を上記HC吸着剤層3上に担持させる。
【0026】また、硝酸パラジウムと硝酸ロジウムとを
含有する水溶液中に上記モノリス型担体1の下端部を浸
漬することにより、上記HC吸着剤層3に適量の水溶液
を含浸させた後、この水溶液を200°Cの温度下で2
時間加熱して乾燥させた後、これを500°Cの温度下
で2時間加熱して焼成することにより、酸化パラジウム
6と酸化ロジウム7とを有する触媒活性種5を上記助触
媒4上に担持させる。
【0027】このようにモノリス型担体1からなる触媒
担体にゼオライト等からなるHC吸着剤層3を形成し、
その上に酸化セリウムからなる助触媒4と、酸化パラジ
ウム6を主体とする触媒活性種5とを担持させたため、
エンジンの始動直後に多量に排出されたHC成分等の未
燃成分を上記HC吸着剤層3の細孔に吸着させることが
できるとともに、HC吸着剤層3が加熱されてその細孔
から離脱した上記HC成分等を、上記助触媒4から放出
された酸素を利用した触媒活性種5の酸化促進作用によ
り効果的に酸化させることができる。
【0028】また、上記触媒活性種5が低温で活性化す
る酸化パラジウム6を主体として形成されているため、
上記HC吸着剤層3から離脱した未燃成分を確実に酸化
することができる。しかも、上記触媒活性種5は、酸素
吸蔵能力を有する酸化セリウムからなる助触媒4上に担
持されるとともに、所定量の酸化ロジウム7を含有して
いるため、上記酸化パラジウム6の熱劣化を効果的に抑
制することができる。
【0029】すなわち、上記酸化パラジウム6は、酸化
セリウムからなる助触媒4上に担持されてこの酸化セリ
ウムと酸素を共有し、かつこの酸素の共有状態が上記酸
化ロジウム7によって補強されているため、上記酸化パ
ラジウム6が加熱されてその酸素が離脱した場合に、こ
の酸素が離脱したパラジウムに上記助触媒4から放出さ
れた酸素を結合させる作用が上記酸化ロジウム7によっ
て促進されることになる。
【0030】したがって、上記構成の排気ガス浄化用触
媒によれば、酸化パラジウム6が熱劣化して活性の低い
パラジウムに還元されることを防止してその活性を良好
状態に維持し、HC吸着剤層3から離脱したHC成分等
の未燃成分を確実に燃焼させて排気ガスを効果的に浄化
することができる。
【0031】上記構成の排気ガス浄化用触媒の効果を確
認するために行った実験例について以下に説明する。例
えば、モノリス型担体1の容積1l当り150gのβ型
ゼオライト(ケイバン比50)を担持させることによっ
てHC吸着剤層3を形成した後、セリウムイオンの濃度
が2mol/lに設定された硝酸セリウム溶液中に上記
モノリス型担体1を浸漬することにより、所定量の硝酸
セリウム水溶液を上記HC吸着剤層3に付着させる。そ
して、上記水溶液を乾燥させた後、硝酸セリウム成分を
焼成することにより、上記モノリス型担体1の容積1l
当り70gの酸化セリウムからなる助触媒4をHC吸着
剤層3の表面に担持させる。
【0032】次に、硝酸パラジウムと硝酸ロジウムとを
含有し、この硝酸パラジウムおよび硝酸ロジウムの濃度
が種々の値に設定された水溶液中に上記モノリス型担体
1を浸漬することにより、所定量の水溶液を上記HC吸
着剤層3に含浸させる。そして、上記水溶液を乾燥させ
た後、上記硝酸パラジウム成分および硝酸ロジウム成分
を焼成することにより、酸化パラジウム6に所定量の酸
化ロジウム7が添加されてなる触媒活性種5をモノリス
型担体1の容積1l当り9g担持させる。
【0033】上記のようにして触媒活性種5を構成する
酸化パラジウム6と酸化ロジウム7の割合が種々の値に
設定された排気ガス浄化用触媒を製造し、各排気ガス浄
化用触媒をそれぞれ900°Cの温度で50時間に亘り
熱処理してエージングさせるとともに、各排気ガス浄化
用触媒に対して下記の模擬排気ガスをそれぞれ供給して
HC成分の浄化率を測定することにより、上記酸化パラ
ジウム6に対する酸化ロジウム7の重量比と、HC成分
の浄化性能との関係を確認する実験を行ったところ、以
下のようなデータが得られた。
【0034】すなわち、上記各排気ガス浄化用触媒に、
プロピレン(C36)と、一酸化炭素(CO)と、一酸
化窒素(NO)と、二酸化炭素(CO2)と、窒素
(N2)と、水素(H2)と、酸素(O2)と、水蒸気
(H2O)とからなり、A/Fが14.7±0.9の範
囲に設定された模擬ガスを、60000h-1の空間速度
(SV)で供給しつつ、雰囲気温度を室温から10°C
/分の速度で昇温し、HC浄化率が50%となる温度、
いわゆるT50を測定したところ、図3に示すような実
験データが得られた。
【0035】このデータから、上記熱処理を行う前に
は、酸化パラジウム6に対する酸化ロジウム7の重量比
が小さい程、つまり酸化ロジウム7の添加量が少ない
程、上記T50の温度が低く、低温で触媒活性種5が活
性化してHC成分が浄化されていることが確認された。
特に上記酸化パラジウム6に対する酸化ロジウム7の重
量比が1/20以上となると、上記T50の温度が高く
なってHC成分の浄化機能が低下することが分かる。
【0036】これに対し、上記熱処理(エージング)後
には、酸化パラジウム6に対する酸化ロジウム7の重量
比が1/100未満になると、上記T50の温度が急激
に上昇し、上記酸化パラジウム6が熱劣化して触媒活性
種5の活性が著しく低下していることが確認された。し
たがって、上記酸化パラジウム6に対する酸化ロジウム
7の重量比1/20〜1/100の範囲内に設定するこ
とにより、HC成分の浄化機能を良好状態に維持しつ
つ、酸化パラジウムからなる触媒活性種5の熱劣化を防
止することができる。
【0037】次いで、上記モノリス型担体1に、150
g/lのβ型ゼオライトからなるHC吸着剤層3と、7
0g/lの酸化セリウムからなる助触媒4とが担持され
た排気ガス浄化用触媒において、酸化パラジウムに対す
る酸化ロジウムの重量比が1/50に固定された触媒活
性種5の担持量を種々に設定することにより、この触媒
活性種5の担持量と、HC成分の浄化性能との関係を確
認する実験を行ったところ、図4に示すようなデータが
得られた。
【0038】上記データから、触媒活性種5の担持量が
多い程、上記T50の温度が低くなり、低温でHC成分
を効果的に浄化できることが確認された。特にモノリス
型担体1に対する上記触媒活性種5の担持量を6g/l
以上に設定した場合には、上記T50の温度を250°
C以下に抑えることができ、HC成分を効果的に浄化で
きることが分かる。なお、上記触媒活性種5の担持量を
15g/l以上に設定しても、T50の温度にそれ程大
きな変化が見られないため、HC成分の浄化性能を十分
に維持しつつ、不要な触媒活性種5が担持されるのを防
止するためには、モノリス型担体1に対する上記触媒活
性種5の担持量を6〜15g/lの範囲内に設定するこ
とが望ましい。
【0039】次に、担持量が150g/lに設定された
β型ゼオライトからなるHC吸着剤層3と、酸化パラジ
ウムに対する酸化ロジウムの重量比が50/1に設定さ
れるとともに、担持量が9g/lに設定された触媒活性
種5とが上記モノリス型担体1に担持された排気ガス浄
化用触媒において、酸化セリウムからなる助触媒4の担
持量を種々の値に設定することにより、この助触媒4の
担持量と、HC成分の浄化性能との関係を確認する実験
を行ったところ、図5に示すようなデータが得られた。
【0040】上記データから、モノリス型担体1に対す
る上記酸化セリウムからなる助触媒4の担持量を30〜
100g/lの範囲内に設定した場合に、上記助触媒4
から放出される酸素により、上記触媒活性種5の熱劣化
を効果的に防止できるため、上記熱処理(エージング)
後における上記T50を250°C以下の低い温度に抑
えてHC成分を効果的に浄化できることが確認された。
【0041】また、上記モノリス型担体1に対する担持
量が100g/lに設定されたβ型ゼオライトからなる
HC吸着層3と、担持量が70g/lに設定された酸化
セリウムからなる助触媒4と、担持量が9g/lに設定
されるとともに、酸化パラジウムに対する酸化ロジウム
の重量比が1/50に設定された本発明の実施例に係る
排気ガス浄化用触媒と、担持量が1.6g/lに設定さ
れるとともに、重量比が1/5に設定された酸化プラチ
ナと酸化ロジウムとからなる触媒活性種を有する比較例
に係る三元触媒とをV型6気筒で3000ccのエンジ
ンを有する車両の排気マニホールドに直結された触媒の
下流側に設置し、米国標準テストモードのFTPモード
の走行試験を行い、エンジン始動時点から38秒が経過
するまで間におけるHC成分の浄化率(%)と、Y1浄
化率、つまりエンジン始動後の初期段階における低温状
態のHC成分の浄化率(%)と、HC成分のトータル排
出量(g/mile)とを測定したところ、下記の表1
に示すようなデータが得られた。
【0042】
【表1】
【0043】このデータから、上記実施例に係る排気ガ
ス浄化用触媒では、エンジンの始動直後に排出されたH
C成分がHC吸着剤層3に吸着されるため、上記比較例
に係る三元触媒に比べてエンジン始動時点から38秒が
経過するまで間におけるHC成分の浄化率を著しく高い
値に維持することができることが確認された。また、本
発明の実施例に係る排気ガス浄化用触媒では、上記比較
例に比べてY1浄化率を高い値に維持できるとともに、
HC成分のトータル排出量を低い値に抑制できることが
確認された。
【0044】また、上記実施形態に示すように、モノリ
ス型担体1からなる触媒担体に形成されたHC吸着剤層
3に、硝酸セリウム水溶液を含浸させて焼成することに
より生成した酸化セリウムからなる助触媒4を担持させ
るように構成した場合には、酸化セリウムの粉末をウォ
ッシュコートすることにより担持させた場合に比べ、助
触媒4の粒径を小さくすることができるため、上記助触
媒4を均一に分散させた状態で上記HC吸着剤層3上に
担持させることができる。したがって、上記助触媒4か
ら放出される酸素によってHC成分を効果的に浄化する
ことができるとともに、上記触媒活性種5を構成する酸
化パラジウム6の熱劣化を効果的に抑制することができ
る。
【0045】さらに、上記のようにHC吸着剤層3に、
硝酸パラジウムと硝酸ロジウムとを含有する水溶液を含
浸させてこれを焼成することにより、酸化パラジウムと
酸化ロジウムとを有する触媒活性種5を担持させるよう
に構成した場合には、上記水溶液中の酸化パラジウムと
酸化ロジウムとの割合を任意に設定することにより、上
記酸化パラジウムに対する酸化ロジウムの添加量を容易
かつ正確に設定できるとともに、酸化パラジウムの粒子
中に酸化ロジウムの粒子を適正状態で分散させることが
できるという利点がある。なお、上記酸化パラジウムお
よび酸化ロジウムとともに、酸化プラチナ等の他の貴金
属触媒を添加してもよい。
【0046】なお、上記実施形態では、硝酸セリウムか
らなるセリウム化合物を水に溶解させることによって形
成されたセリウム化合物水溶液と、硝酸パラジウムと硝
酸ロジウムとを含有する水溶液をHC吸着剤層3に含浸
させるようにしているが、上記溶液の容質として酢酸セ
リウムまたは硫酸酸セリウム等のセリウム化合物および
酢酸パラジウムまたは酢酸ロジウム等のロジウム化合物
を使用し、上記溶液の容媒としてエタノール、エーテル
等を使用するように構成してもよい。また、上記セリウ
ム化合物を含有する溶液と、パラジウム化合物およびロ
ジウム化合物を含有する溶液とを、それぞれHC吸着材
層3に含浸させて乾燥させた後、これらを同時に焼成す
るように構成してもよい。
【0047】また、上記実施形態に代え、図6に示すよ
うに、モノリス型担体1にY型ゼオライトまたはβ型ゼ
オライトからなるHC吸着剤層3を形成した後、その上
に酸化パラジウム6と酸化ロジウム7とを有する触媒活
性種5を担持させるとともに、その上に酸化セリウムか
らなる助触媒4を担持させるように構成してもよい。
【0048】上記のように構成した場合には、触媒活性
種5を被覆するように、酸素吸蔵能力を有する酸化セリ
ウムからなる助触媒4が担持されることになるため、上
記触媒活性種5が加熱されて酸化パラジウム6の酸素が
離脱した場合には、この酸素が離脱したパラジウムに、
上記酸化セリウムからなる助触媒4から供給された酸素
を確実に結合させることができるため、上記酸化パラジ
ウム6が還元されることを効果的に防止し、その活性を
良好状態に維持することができる。
【0049】また、図7に示すように、モノリス型担体
1にY型ゼオライトまたはβ型ゼオライトからなるHC
吸着剤層3をウォッシュコート法により担持させた後、
硝酸セリウム等を含有する溶液を上記HC吸着剤層3に
含浸させるとともに、その上に硝酸パラジウムおよび硝
酸ロジウムを含有する溶液を含浸させた後、さらにその
上に硝酸セリウム等を含有する溶液を含浸させるように
してもよい。そして、上記両硝酸セリウム成分を焼成す
ることにより生成された下層の助触媒層4aと、上層の
助触媒層4bとの間に、上記硝酸パラジウム成分および
硝酸ロジウムを焼成することにより生成された酸化パラ
ジウム6および酸化ロジウム6を有する触媒活性種5を
担持させるように構成してもよい。
【0050】上記のように構成した場合には、下層の助
触媒層4aから放出される酸素によって上記触媒活性種
5の熱劣化を効果的に抑制することができるとととも
に、上層の助触媒層4bから放出される酸素によって上
記HC吸着剤層3から離脱したHC成分等の未燃成分を
効果的に酸化させて排気ガスを浄化することができる。
【0051】また、上記実施形態では、比較的大きな孔
径を有する多数の細孔が形成されたY型ゼオライトまた
はβ型ゼオライトによってHC吸着剤層3を形成したた
め、各種のHC成分等の未燃成分を上記細孔内に吸着す
ることでき、優れたHC成分等の吸着性能が得られるこ
とになる。
【0052】そして、上記HC吸着剤層3の熱劣化を抑
制するためには、このHC吸着剤層3を構成するゼオラ
イトの結晶に、予め脱アルミニウム処理を施すことが望
ましい。すなわち、上記ゼオライトの結晶をモノリス型
担体1に担持させてHC吸着剤層3を形成する前に、こ
のゼオライトの結晶を硝酸溶液等の酸性溶液中に浸漬す
ることにより、結晶構造を破壊させることなく、ゼオラ
イト中のアルミニウム成分を徐々に離脱させる処理を行
う。
【0053】上記脱アルミニウム処理を行う際には、排
気ガス浄化装置の使用時に、HC吸着剤層3を構成する
ゼオライト中のアルミニウム成分が急激に脱離すること
に起因してその結晶構造が破壊されることがないよう
に、残留アルミニウム率が適正値となるように脱アルミ
ニウム度の下限値を設定する。また、上記脱アルミニウ
ム処理が過度に行われてβ型ゼオライトの結晶構造の骨
組みが破壊されることを防止するため、β型ゼオライト
の比表面積が適正値となるように上記脱アルミニウム度
の上限値を設定する。
【0054】例えば、β型ゼオライトの結晶によってH
C吸着剤層3を形成する場合には、このβ型ゼオライト
の結晶を60〜80°Cの温度下において、規定度が4
〜6Nに設定された硝酸溶液中に浸漬し、6〜8時間に
亘って撹拌する。これによってβ型ゼオライトの残留ア
ルミニウム率が20%未満となるように脱アルミニウム
度の下限値が設定されるとともに、β型ゼオライトの比
表面積が500m2/g以上に維持されるように脱アル
ミニウム度の上限値が設定された脱アルミニウム処理が
上記β型ゼオライトに施されることになる。
【0055】このようにHC吸着剤層3を構成するβ型
ゼオライトに、予め脱アルミニウム処理を施すことによ
り、上記β型ゼオライトの耐熱性を向上させるようにし
たため、上記HC吸着剤層3が担持された排気ガス浄化
装置の使用時に、排気ガス等によって上記HC吸着剤層
3が加熱された場合においても、上記β型ゼオライト中
のアルミニウム成分が急激に脱離することがなく、これ
に起因した結晶構造の破壊を効果的に抑制することがで
きる。したがって、上記HC吸着剤層3のHC成分の吸
着性能を長期間に亘り、良好状態に維持することができ
る。
【0056】特に上記実施形態に示すように、β型ゼオ
ライトの残留アルミニウム率が20%未満となるように
脱アルミニウム度の下限値を設定するとともに、β型ゼ
オライトの比表面積が500m2/g以上に維持される
ように脱アルミニウム度の上限値を設定した場合には、
上記脱アルミニウム処理時に、β型ゼオライトの結晶構
造が破壊されるという事態を生じることなく、適度の処
理を施して上記HC吸着剤層3の熱劣化を効果的に抑制
することができる。
【0057】すなわち、図8に示すように、上記硝酸溶
液の規定度および処理時間をそれぞれ種々の値に設定す
るとともに、β型ゼオライトに対する硝酸溶液の容量を
30倍重量に設定し、かつ反応温度を80°Cに設定し
て脱アルミニウム処理を実行する実験を行ったところ、
硝酸溶液の規定度が高い程、β型ゼオライトの残留アル
ミニウム率が小さくなって脱アルミニウム度が増大し、
かつ処理時間が長い程、β型ゼオライトの脱アルミニウ
ム度が増大することが確認された。
【0058】例えば、上記処理時間を6時間に設定する
とともに、硝酸溶液の規定度を1N,2N,4N,6
N,8Nに設定した場合には、残留アルミニウム率がそ
れぞれ47.32%,21.95%,0.12%,0.
43%,0.0%となり、脱アルミニウム度がそれぞれ
52.6%,78.05%,99.88%,99.57
%,100.0%となった。
【0059】そして、脱アルミニウム度が上記の各値に
設定されたβ型ゼオライトによってHC吸着剤層3を形
成し、その比表面積をBET等温吸着式に基づいて求め
るとともに、上記HC吸着剤層3を900°Cの温度下
で50時間に亘り熱処理した後の比表面積を求めたとこ
ろ、図9に示すようなデータが得られた。このデータか
ら脱アルミニウム処理を施した本発明の実施例では、脱
アルミニウム処理を施していない比較例に比べて、熱処
理後における比表面積の低下率が小さく、耐熱性が向上
していることが確認された。
【0060】特に、上記脱アルミニウム処理を実行する
際に、硝酸溶液の規定度を4Nまたは6Nに設定して脱
アルミニウム度が100%に近い値となるように構成し
た場合には、熱処理後の比表面積が500m2/g以上
に維持できるのに対し、上記規定度を1Nまたは2Nと
して脱アルミニウム度を80%未満に設定した場合に
は、熱処理後の比表面積が500m2/g以下となり、
耐熱性の向上効果が低くなることが確認された。したが
って、上記データから残留アルミニウム率が20%未満
となるように、脱アルミニウム度の下限値を設定するこ
とが望ましいことが分かる。
【0061】一方、上記脱アルミニウム処理を実行する
際に、硝酸溶液の規定度を8Nに設定して残留アルミニ
ウム率が0%となる脱アルミニウム処理を施した場合、
つまり脱アルミニウム度が100%となって熱処理前の
比表面積が500m2/g未満に低下する過度の脱アル
ミニウム処理を施した場合には、熱処理後に比表面積が
50m2/g以下に低下し、耐熱性が却って低下するこ
とが確認された。したがって、上記データからβ型ゼオ
ライトの比表面積が500m2/g以上となるように、
脱アルミニウム度の上限値を設定することが望ましいこ
とが分かる。
【0062】また、図8のデータから硝酸溶液の規定度
を4N〜6Nの範囲内に設定するとともに、処理時間を
6〜8時間の範囲内に設定することにより、残留アルミ
ニウム率が20%未満となるように脱アルミニウム度の
上限値を設定し、かつβ型ゼオライトの比表面積が50
0m2/g以上となるように、脱アルミニウム度の上限
値を設定できることが分かる。
【0063】さらに、図10に示すように、脱アルミニ
ウム処理の温度および処理時間をそれぞれ種々の値に設
定するとともに、β型ゼオライトに対する硝酸溶液の容
量を30倍重量に設定するとともに、硝酸溶液の規定度
を6Nに設定して脱アルミニウム処理を実行する実験を
行ったところ、処理温度が高い程、β型ゼオライトの残
留アルミニウム率が小さくなって脱アルミニウム度が増
大し、かつ処理時間が長い程、β型ゼオライトの脱アル
ミニウム度が増大することが確認された。
【0064】例えば、上記処理時間を6時間に設定する
とともに、処理温度を25°C,40°C,60°C,
80°C,90°Cに設定した場合には、残留アルミニ
ウム率がそれぞれ61.57%,48.23%,11.
92%,0.43%,0.0%となり、脱アルミニウム
度がそれぞれ38.43%,51.77%,88.08
%,99.57%,100.0%となった。
【0065】そして、脱アルミニウム度が上記の各値に
設定されたβ型ゼオライトによってHC吸着剤層3を形
成し、その比表面積をBET等温吸着式に基づいて求め
るとともに、上記HC吸着剤層3を900°Cの温度下
で50時間に亘り熱処理した後の比表面積を求めたとこ
ろ、図11に示すようなデータが得られた。このデータ
から上記処理時間を6〜8時間の範囲内に設定するとと
もに、処理温度を60〜80°Cの範囲内に設定するこ
とにより、残留アルミニウム率が20%未満となるよう
に脱アルミニウム度の上限値を設定するとともに、β型
ゼオライトの比表面積が500m2/g以上となるよう
に脱アルミニウム度の上限値を設定して、HC吸着剤層
3の耐熱性を効果的に向上できることが分かる。
【0066】上記のように脱アルミニウム処理されたβ
型ゼオライトからなるHC吸着剤層3を有する排気ガス
浄化装置に、模擬ガスを供給することにより、HC成分
の吸着性能を評価する実験例について以下に説明する。
この実験には、1.6lの容量を有する排気ガス浄化装
置のモノリス型担体1に、150g/lの割合でβ型ゼ
オライトからなるHC吸着剤層3を担持させるととも
に、その表面に酸化パラジウムからなる触媒活性種5
と、酸化セリウムからなる助触媒4とを10g/l,7
0g/lの割合で担持させなるものを使用した。そし
て、上記排気ガス浄化装置を900°Cの温度下で50
時間に亘り熱処理し、その前後で上記吸着性能の変化状
態を比較する実験を行った。
【0067】また、上記実験に使用する模擬ガスは、1
3.9%の二酸化炭素(CO2)と、0.2%の水素
(H2)と、0.6%の酸素(O2)と、230ppmの
トルエン(C78)と、0.6%の一酸化酸素(CO)
と、0.1%の窒素酸化物(NOx)と、バランス用の
窒素ガス(N2)とからなり、A/Fが14.7前後に
設定されたものを使用し、55000h-1の空間速度
(SV)で供給した。
【0068】そして、上記β型ゼオライトを、80°C
の温度下おいて、4Nの規定度を有する硝酸溶液中に、
6時間浸漬することにより、脱アルミニウム処理を施し
てなる本発明の実施例と、脱アルミニウム処理が施され
ていない比較例とにおいて、HC吸着剤層3に吸着され
たトルエンの吸着率を測定する実験を行ったところ、以
下のようなデータが得られた。
【0069】すなわち、雰囲気温度を室温から毎分10
°Cずつ上昇せて200°Cまで昇温させつつ、上記模
擬ガス中のトルエンをHC吸着剤層3に吸着させてその
吸着率を測定したところ、図12および図13に示すよ
うなデータが得られた。すなわち、上記排気ガス浄化装
置を熱処理する前には、図12に示すように、脱アルミ
ニウム処理が施された本発明の実施例では、脱アルミニ
ウム処理が施されていない比較例に比べてトルエンの吸
着率がやや劣っていた。
【0070】そして、上記排気ガス浄化装置の熱処理後
には、図13に示すように、脱アルミニウム処理が施さ
れた本発明の実施例では、トルエンの吸着率がほとんど
変化していないのに対し、脱アルミニウム処理が施され
ていない比較例では、トルエンの吸着率が顕著に低下
し、上記実施例よりも悪化したことが確認された。この
実験データからも、脱アルミニウム処理を施すことによ
り、HC吸着剤の熱劣化を効果的に抑制できることが分
かる。
【0071】さらに、上記排気ガス浄化装置を車両に搭
載してFTPモード走行試験を行い、HC吸着率および
1マイル当りのHC排出量を測定したところ、図14お
よび図15に示すようなデータが得られた。この図14
に示すHC吸着率は、エンジン始動時点から38秒が経
過するまで間におけるHC浄化率の測定値を代用した。
【0072】上記データからも、脱アルミニウム処理が
施された本発明の実施例では、上記熱処理の前後でトル
エンの吸着率がほとんど変化していないのに対し、脱ア
ルミニウム処理が施されていない比較例では、トルエン
の吸着率が熱処理の前後で顕著に低下していることが確
認され、脱アルミニウム処理を施すことにより、HC吸
着剤の熱劣化を効果的に抑制できることが分かる。
【0073】なお、上記実施形態では、排気ガスが導入
される複数の貫通孔2を有するモノリス型担体1からな
る触媒担体が設けられたモノリス型排気ガス浄化装置つ
いて説明したが、ペレット状の触媒担体にHC吸着材層
を担持させてなるペット型排気ガス浄化装置においても
本発明を適用可能である。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明は、触媒担体に多数の細孔を有するHC吸着剤層を形
成し、このHC吸着剤層上に酸化セリウムからなる助触
媒と、酸化パラジウムに酸化ロジウムを添加してなる触
媒活性種とを担持させたため、上記HC吸着剤層に吸着
された後、このHC吸着剤層から離脱したHC成分を、
上記助触媒から放出された酸素を利用して酸化させるこ
とにより、排気ガスを効果的に浄化できるとともに、上
記酸化ロジウムの存在によって酸化パラジウムの熱劣化
を効果的に抑制できるという利点がある。
【0075】また、請求項2に係る発明は、触媒担体の
容積に対する助触媒の担持量を30〜100g/lの範
囲内に設定したため、上記HC成分を確実に酸化させる
とともに、上記酸化パラジウムの熱劣化を効果的に抑制
するために必要な酸素を上記助触媒から供給することが
できる。
【0076】また、請求項3に係る発明は、触媒担体の
容積に対する触媒活性種の担持量を6〜15g/lの範
囲内に設定したため、必要以上に多量の触媒活性種が担
持されるのを防止しつつ、この触媒活性種によってHC
吸着剤層から離脱したHC成分を確実に酸化させること
ができるという利点がある。
【0077】また、請求項4に係る発明は、触媒活性種
の酸化パラジウムに対する酸化ロジウムの重量比を1/
20〜1/100の範囲内に設定したため、酸化パラジ
ウムの割合が低すぎることに起因してHC成分の浄化性
能が低下するのを防止できるとともに、上記酸化ロジウ
ムの添加量が少なすぎることに起因して上記酸化パラジ
ウムの熱劣化を抑制する機能が不足するのを防止できる
という利点がある。
【0078】また、請求項5に係る発明は、触媒担体に
ゼオライトをウォッシュコートしてHC吸着剤層を形成
した後、セリウム化合物を含有する溶液を上記HC吸着
剤層に含浸させるとともに、パラジウム化合物とロジウ
ム化合物とを含有する溶液を上記HC吸着剤層に含浸さ
せ、かつ上記セリウム化合物と、パラジウム化合物およ
びロジウム化合物とを焼成することにより生成した酸化
セリウムからなる助触媒と、酸化パラジウムに酸化ロジ
ウムが添加されてなる触媒活性種とを上記HC吸着剤層
に担持させるように構成したため、上記助触媒を均一に
分散させた状態で上記HC吸着剤層上に担持させること
ができる。
【0079】また、請求項6に係る発明は、触媒担体の
容積に対する助触媒の担持量が30〜100g/lの範
囲内となるように、セリウム化合物を含有する溶液のH
C吸着剤層に対する含浸量を設定するとともに、触媒担
体の容積に対する触媒活性種の担持量が6〜15g/l
の範囲内となるように、パラジウム化合物およびロジウ
ム化合物を含有する溶液の濃度およびHC吸着剤層に対
する含浸量を設定し、かつ触媒活性種の酸化パラジウム
に対する酸化ロジウムの重量比が1/20〜1/100
の範囲内となるように、上記溶液中のパラジウム化合物
およびロジウム化合物の添加量を設定したため、HC吸
着剤層から離脱したHC成分を効果的に燃焼させるとと
もに、酸化パラジウムからなる触媒活性種の熱劣化を効
果的に抑制できる排気ガス浄化用触媒を容易に製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排気ガス浄化用触媒の実施例を示
す全体説明図である。
【図2】排気ガス浄化用触媒の要部を示す部分拡大図説
明図である。
【図3】酸化パラジウムに対する酸化ロジウムの重量比
とHC成分の浄化性能との対応関係を示すグラフであ
る。
【図4】触媒活性種の担持量とHC成分の浄化性能との
対応関係を示すグラフである。
【図5】助触媒の担持量とHC成分の浄化性能との対応
関係を示すグラフである。
【図6】排気ガス浄化用触媒の別の実施例を示す説明図
である。
【図7】排気ガス浄化用触媒のさらに別の実施例を示す
説明図である。
【図8】ゼオライトの残留アルミニウム率と、硝酸溶液
の規定度および処理時間との対応関係を示すグラフであ
る。
【図9】HC吸着剤の比表面積と、ゼオライトの脱アル
ミニウム度との対応関係を示すグラフである。
【図10】ゼオライトの残留アルミニウム率と、硝酸溶
液の温度および処理時間との対応関係を示すグラフであ
る。
【図11】HC吸着剤の比表面積と、ゼオライトの脱ア
ルミニウム度との対応関係を示すグラフである。
【図12】HC吸着剤を熱処理する前におけるトルエン
吸着率の変化状態を示すグラフである。
【図13】HC吸着剤を熱処理した後におけるトルエン
吸着率の変化状態を示すグラフである。
【図14】HC吸着率の実車評価試験データを示すグラ
フである。
【図15】HC排出量の実車評価試験データを示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 モノリス型担体(触媒担体) 3 HC吸着材層 4 助触媒 5 触媒活性種 6 酸化パラジウム 7 酸化ロジウム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 貴弘 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの排気系に設置される排気ガス
    浄化用触媒であって、触媒担体に多数の細孔を有するH
    C吸着剤層を形成し、このHC吸着剤層上に酸化セリウ
    ムからなる助触媒と、酸化パラジウムに酸化ロジウムを
    添加してなる触媒活性種とを担持させたことを特徴とす
    るエンジンの排気ガス浄化用触媒。
  2. 【請求項2】 触媒担体の容積に対する助触媒の担持量
    を30〜100g/lの範囲内に設定したことを特徴と
    する請求項1記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒。
  3. 【請求項3】 触媒担体の容積に対する触媒活性種の担
    持量を6〜15g/lの範囲内に設定したことを特徴と
    する請求項1または2記載のエンジンの排気ガス浄化用
    触媒。
  4. 【請求項4】 触媒活性種の酸化パラジウムに対する酸
    化ロジウムの重量比を1/20〜1/100の範囲内に
    設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載のエンジンの排気ガス浄化用触媒。
  5. 【請求項5】 エンジンの排気系に設置される排気ガス
    浄化用触媒の製造方法であって、触媒担体にゼオライト
    をウォッシュコートしてHC吸着剤層を形成した後、セ
    リウム化合物を含有する溶液を上記HC吸着剤層に含浸
    させるとともに、パラジウム化合物とロジウム化合物と
    を含有する溶液を上記HC吸着剤層に含浸させ、かつ上
    記セリウム化合物と、パラジウム化合物およびロジウム
    化合物とを焼成することにより生成した酸化セリウムか
    らなる助触媒と、酸化パラジウムに酸化ロジウムが添加
    されてなる触媒活性種とを上記HC吸着剤層に担持させ
    たことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化用触媒の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 触媒担体の容積に対する助触媒の担持量
    が30〜100g/lの範囲内となるように、セリウム
    化合物を含有する溶液のHC吸着剤層に対する含浸量を
    設定するとともに、触媒担体の容積に対する触媒活性種
    の担持量が6〜15g/lの範囲内となるように、パラ
    ジウム化合物およびロジウム化合物を含有する溶液の濃
    度およびHC吸着剤層に対する含浸量を設定し、かつ触
    媒活性種の酸化パラジウムに対する酸化ロジウムの重量
    比が1/20〜1/100の範囲内となるように、上記
    溶液中のパラジウム化合物およびロジウム化合物の添加
    量を設定したことをことを特徴とする請求項5記載のエ
    ンジンの排気ガス浄化用触媒の製造方法。
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WO1998006492A1 (fr) * 1996-08-13 1998-02-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Catalyseur de regulation des gaz d'echappement pour moteurs diesel
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