JP3791033B2 - エンジンの排気ガス浄化触媒 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気ガスを浄化するエンジンの排気ガス浄化触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平3−56139号公報に示されるように、触媒担体上に、ロジウムを含有するアルミナ層からなる第1コート層を設けるとともに、この第1コート層上に、パラジウムを固定した酸化セリウム粒子と活性アルミナ粒子とからなる第2コート層を設けてなる排気ガス浄化触媒が提案されている。
【0003】
上記排気ガス浄化触媒は、三元触媒を構成する触媒貴金属として一般的に使用されるプラチナに代え、パラジウムを用いることにより触媒の低温活性を向上させるようにした三元触媒であって、上記パラジウムを触媒担体の上下に分けて担持させることによってそのシンタリング(凝集)を抑制し、かつ酸化セリウムに酸素を吸蔵させることによって排気ガスを効果的に浄化するように構成されたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにパラジウムからなる触媒貴金属とを酸化セリウム他とを有する排気ガス浄化触媒(Pd系触媒)と、プラチナからなる触媒貴金属を使用した一般的な排気ガス浄化触媒(Pt系触媒)とにおいて、自動車の走行距離と、HC(炭化水素)成分の排出量との関係を比較すると、図10に示すデータが得られた。なお、上記図10に示すHC排出量は、米国標準テストモードであるFTPモードの走行試験におけるトータル排出量を示している。
【0005】
上記データから、Pd系触媒では、パラジウムが低温活性に優れているため、その触媒作用と、上記酸化セリウムの酸素放出作用とにより、走行初期における排出ガスのHC排出量がPt系触媒に比べて少ないが、走行距離の増大に応じて排気ガスのHC排出量が著しく増加し、排気ガスの浄化率が早期に低下する傾向があることがわかる。
【0006】
上記Pd系触媒における浄化率の早期低下は、触媒層中の酸化セリウムにトルエン等からなる高沸点のHC成分が化学吸着するHC被毒が発生し、これによって上記酸化セリウム粒子の酸素吸蔵能力が低下し、酸化セリウムが酸素供給源として機能しなくなることに起因していると考えられる。すなわち、排気ガスの浄化率が低下した上記Pd系触媒の状態を分析すると、触媒層中の酸化セリウムにトルエン等からなる高沸点のHC成分が多量に吸着されていることが確認され、このHC被毒に起因して排気ガスの浄化率の低下を生じることがわかった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、排気ガス中に含まれる高沸点のHC成分が酸化セリウムに化学吸着することによるHC被毒の発生を抑制し、排気ガスの浄化率の低下を効果的に防止することができるエンジンの排気ガス浄化触媒を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エンジンの排気系に設置され、触媒貴金属と、酸素吸蔵能力を有する酸化セリウムと、高沸点のHC成分に対して優れた吸着性を有するゼオライトとを含有する触媒層を設けた排気ガス浄化触媒であって、酸化アルミニウムと、パラジウムとを含有する第1触媒層上に、パラジウムが担持された上記酸化セリウムと、パラジウムが担持された上記ゼオライトとを含有する第2触媒層を配設したものである。
【0009】
この構成によれば、排気ガス中に含まれた高沸点のHC成分が、第2触媒層中に含有されたゼオライトに効果的に吸収されるため、上記第2触媒層中の酸化セリウムに高沸点のHC成分が化学吸着することに起因したHC被毒の発生が効果的に防止されることになる。また、触媒貴金属として低温活性に優れたパラジウムを使用したため、低温において排気ガスが効果的に浄化されるとともに、上記第2触媒層中のパラジウムが酸化セリウムの粒子およびゼオライトの粒子にそれぞれ担持されているため、このゼオライトの粒子においてパラジウムが高密度で担持されること等に起因してパラジウムにシンタリング現象が生じること防止されることになる。さらに、第1触媒層の酸化アルミニウム成分およびパラジウム成分によって排気ガス中のHC成分が効果的に浄化されるとともに、上記第1触媒層による触媒反応熱によってその上方に配設された第2触媒層が加熱されることにより、この第2触媒層中に含有された酸化セリウムのHC被毒が効果的に防止されることになる。
【0014】
請求項2に係る発明は、第2触媒層を構成する酸化セリウムと、ゼオライトとの合計重量に対するゼオライトの割合を2.5〜13wt%の範囲内に設定したものである。
【0015】
この構成によれば、上記ゼオライトによって酸化セリウムのHC被毒を抑制する効果が十分に発揮されるとともに、酸化セリウム量が十分に確保されてこの酸化セリウムに適正量の酸素が吸蔵されることになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明に係るエンジンの排気ガス浄化触媒の実施形態を示している。この排気ガス浄化触媒は、エンジンから排出された排気ガスが導入される複数の貫通孔1が形成されたハニカム構造の触媒担体2と、この触媒担体2の貫通孔1の壁面に担持された第1触媒層3と、その上方に配設された第2触媒層4とを有している。
【0019】
上記第1触媒層3は、酸化アルミニウム(Al2O3)の粒子にパラジウムからなる触媒貴金属が担持された酸化アルミニウム触媒粒子7によって構成されている。また、上記第2触媒層4は、酸素吸蔵能力を有する酸化セリウム(CeO2)からなる粒子にパラジウム(Pd)からなる貴金属触媒が担持された酸化セリウム触媒粒子5と、ゼオライトからなる粒子に貴金属触媒が担持されたゼオライト触媒粒子6とによって形成されている。
【0020】
上記第2触媒層4のゼオライト触媒粒子5を構成するゼオライトは、酸化セリウムをHC被毒させ易い性質を有するHC成分、つまりトルエン、ヘキサンまたはベンゼン等からなる高沸点のHC成分に対して優れた吸着性を有するゼオライト、例えばFAU(フォージャサイト)等によって形成されている。
【0021】
また、上記第2触媒層4を構成する酸化セリウムと、ゼオライトとの合計重量に対するゼオライトの割合は、2.5〜13wt%の範囲内に設定されている。これは、ゼオライトの割合が2.5wt%未満となると、後述するようにゼオライトによって酸化セリウムのHC被毒を抑制する効果が十分に得られなくなり、かつゼオライトの割合が13wt%よりも多くなると、相対的に酸化セリウム量が減少してこの酸化セリウムに適正量の酸素が吸蔵されなくなり、この酸化セリウムから供給される酸素によって排気ガス中のHC成分を浄化する機能が低下することになるからである。
【0022】
なお、上記第1,第2触媒層3,4に含有された触媒貴金属は、上記パラジウム(Pd)に限られず、プラチナ(Pt)またはロジウム(Rh)等の他の貴金属を使用可能であるが、上記パラジウムを使用した場合には、低温活性に優れているという利点がある。また、上記触媒担体2の容積に対する触媒貴金属の担持量は、0.1g/リットル以上であれば、特に限定されるものではないが、この触媒貴金属としてパラジウムを使用する場合には、その排気ガス浄化機能を十分に維持しつつ、不必要な触媒貴金属が担持されるのを防止するため、触媒担体2に対する担持量を3〜15g/リットルの範囲内に設定することが望ましい。
【0023】
上記排気ガス浄化触媒の製造方法の実施形態について以下に説明する。まず、γ−アルミナ(γ−Al2O3)の粉末480gと、ベーマイト120gと、水1リットルと、硝酸(HNO3)10ccとを混合して撹拌することによりスラリーを作成した後、このスラリーに耐熱性金属材またはセラミックス材等からなる触媒担体2を浸漬してこの触媒担体2に上記スラリーを付着させて引き上げる。
【0024】
そして、触媒担体2に付着した余分なスラリーをエアブローによって吹き飛ばした後、250°C程度の温度で約2時間に亘って乾燥した後、600°C程度の温度で約2時間に亘って焼成することにより、触媒担体2に形成された各貫通孔1の内壁面に、多数の細孔を有するγ−アルミナの層を形成する。
【0025】
次いで、上記γ−アルミナの層に所定量のパラジウムを担持させて第1触媒層3を形成するように調整されたジニトロシアミンパラジウム溶液に上記触媒担体2を浸漬し、このジニトロシアミンパラジウム溶液を上記γ−アルミナの層に付着させた後、250°C程度の温度下における約2時間の乾燥および600°C程度の温度下における約2時間の焼成を行うことにより、第1触媒層3を形成する。
【0026】
また、酸化セリウムとゼオライトとの合計重量に対するゼオライトの割合が2.5〜13wt%となるように酸化セリウムとゼオライトとを混合して撹拌した後、これに所定量のジニトロシアミンパラジウム溶液を加えて撹拌、乾燥させる。そして、700°C程度の温度下において約2時間に亘って焼成した後、この焼成物をボールミルによって粉砕することにより、酸化セリウムの粉末にパラジウムが担持された酸化セリウム触媒粒子5と、ゼオライトの粉末にパラジウムが担持されたゼオライト触媒粉末6とを形成する。
【0027】
その後、上記酸化セリウム触媒粉末5およびゼオライト触媒粉末6の混合物540gと、ベーマイト60gと、水1リットルと、硝酸(HNO3)10ccとを混合して撹拌することによりスラリーを作成した後、このスラリーに上記触媒担体2を浸漬してこの担体2に上記スラリーを付着させて引き上げる。そして、触媒担体2に付着した余分なスラリーをエアブローによって吹き飛ばした後、200°C程度の温度で約2時間に亘って乾燥した後、600°C程度の温度で約2時間に亘って焼成することにより、酸化セリウム触媒粉末5とゼオライト触媒粉末6とによって構成された第2触媒層4を上記第1触媒層3上に形成する。
【0028】
上記構成の排気ガス浄化触媒は、酸化セリウムによって形成された粒子にパラジウム等の触媒貴金属が担持された酸化セリウム触媒粒子5と、高沸点のHC成分に対して優れた吸着性を有するゼオライトによって形成された粒子にパラジウム等等触媒貴金属が担持されたゼオライト触媒粒子6とからなる触媒層を有しているため、トルエン等からなる高沸点のHC成分が酸化セリウムに化学吸着し、この酸化セリウムがHC被毒することを効果的に防止することができる。したがって、上記酸化セリウムに十分な量の酸素を吸収させ、この酸化セリウムから放出される酸素と、上記触媒貴金属の触媒作用とにより、排気ガス中のHC成分を効果的に酸化して排気ガスを浄化することができる。
【0029】
上記触媒層を有するガス浄化触媒の性能を確認するために行った実験例について以下に説明する。この実験には、触媒担体2に対する担持量が10g/リットルに設定されたパラジウムからなる触媒貴金属と、酸化セリウムと、FAUからなるゼオライトとを含有し、上記酸化セリウムとゼオライトとの合計重量に対するゼオライトの割合が10wt%に設定された触媒層を有する本発明の実施例Aに係る排気ガス浄化触媒と、上記ゼオライトを省略して酸化セリウムとパラジウムからなる貴金属触媒とによって構成された触媒層を有する比較例Bに係る排気ガス浄化触媒とを使用した。
【0030】
そして、上記各排気ガス浄化触媒に、300°Cの温度下で1000ppmのトルエンを20分間に亘って流通させて吸着させるとともに、200°Cの温度下で空燃比(A/F)が14.7±0.9に設定された模擬排気ガスを60000h-1の空間速度(SV)で供給し、排気ガス中のHC成分の浄化率をそれぞれ測定した。
【0031】
上記排気ガス浄化触媒にトルエンを吸着させる前と、トルエンを吸着させた後とで、HC成分の浄化率がどのように変化するかを比較したところ、図3に示すように、本発明の実施例Aに係る排気ガス浄化触媒では、トルエンの吸着の前後でHC成分の浄化率がほとんど変化していないのに対し、比較例Bに係る排気ガス浄化触媒では、トルエンの吸着後にHC成分の浄化率が大幅に低下していることが確認された。
【0032】
また、上記実験例において、酸化セリウムに対するトルエンの吸着状態を確認するIRスペクトル(赤外吸収スペクトル)分析を行ったところ、比較例Bでは、図4に示すように、化学吸着したHC種のピーク値が高いのに対し、本発明の実施例Aでは、図5に示すように、化学吸着したHC種のピーク値が高い比較的低いことが確認された。これは、上記実施例Aに示すように、触媒層にFAUからなるゼオライトを触媒層に含有させた場合には、ゼオライトにトルエンが効果的に吸着されるため、酸化セリウムに化学吸着するトルエンの量が減少してそのHC被毒の発生が効果的に抑制されることを示している。
【0033】
次いで、上記本発明の実施例Aに係る排気ガス浄化触媒と、上記比較例Bに係る排気ガス浄化触媒と、上記実施例Aに係る排気ガス浄化触媒のゼオライトに代えて酸化アルミニウム(Al2O3)を触媒層に含有させてなる比較例Cとを使用し、トルエンの流通時間を種々変化させた場合におけるHC成分の浄化率の変化状態を測定したところ、図6に示すようなデータが得られた。
【0034】
上記のデータから、本発明の実施例Aでは、トルエンの流通時間を長くした場合においても、HC成分の浄化率がそれほど大きく低下していないのに対し、ゼオライトおよび酸化アルミニウムのいずれをも触媒層に含有させていない比較例Bでは、トルエンの流通時間が長くなるのに応じてHC成分の浄化率が顕著に低下することが確認された。
【0035】
また、上記ゼオライトに代えて酸化アルミニウムを触媒層に含有させてなる比較例Cでは、トルエンの流通時間が短い場合におけるHC成分の浄化率が良好である反面、トルエンの流通時間が長くなるのに応じてHC成分の浄化率が急激に低下することが確認された。これは、触媒層に含有された上記酸化アルミニウムは、トルエンの吸収容量が小さく、トルエンの吸着能力が早期に損なわれることを示している。
【0036】
さらに、本発明に係る排気ガス浄化装置において、触媒層に含有されたゼオライトの割合がHC成分の浄化率に及ぼす影響を確認する実験を行ったところ、図7に示すようなデータが得られた。すなわち、触媒層を構成する酸化セリウムと、ゼオライトとの合計重量に対するゼオライトの割合(wt%)を種々の値に設定し、トルエンの吸着後におけるHC成分の浄化率をそれぞれ測定したところ、ゼオライトの割合(wt%)を2.5〜13wt%の範囲内に設定した場合に、排ガス中のHC成分を効果的に浄化できることが確認された。
【0037】
これは、ゼオライトの割合が2.5wt%未満になると、ゼオライト量が少ないために、このゼオライトによる上記酸化セリウムのHC被毒を抑制する効果が不十分となり、かつゼオライトの割合が13wt%よりも多くなると、相対的に酸化セリウム量が減少するために、この酸化セリウムに適正量の酸素を吸蔵させることができなくなり、HC成分の浄化に必要な酸素が得られなくなるからである。
【0038】
また、上記酸化セリウムのHC被毒を抑制する機能を備えたゼオライトは、トルエン等からなる高沸点のHC成分に対して優れた吸着性を有するゼオライトであれば、上記FAU(フォージャサイト)に限られず、5Å以上の細孔径を有するゼオライト、例えばβ型ゼオライト、MOR(モルデナイト)、LTL(L型ゼオライト)またはMFI(ZSM−5)を適用可能である。
【0039】
すなわち、図8に示すように、CHA(シャバサイト)、FER(フェリエライト)、MFI(ZSM−5)、β型ゼオライト、MOR(モルデナイト)およびLTL(L型ゼオライト)等の種々の細孔径を有するゼオライトを触媒層に含有させてなる排気ガス浄化触媒を使用してトルエンの吸着後におけるHC成分の浄化率をそれぞれ測定したところ、5Å以上の細孔径を有する上記ゼオライトを触媒層に含有させた場合には、排気ガス中のHC成分を効果的に浄化できることが確認された。これは、ゼオライトの細孔径5Å以上であれば、分子量の大きい上記高沸点のHC成分を効果的に吸着することができ、上記酸化セリウムのHC被毒を効果的に防止できるためであると考えられる。
【0040】
また、上記実施形態では、酸化セリウムによって形成された粒子にパラジウムからなる触媒貴金属が担持された酸化セリウム触媒粒子5と、ゼオライトによって形成された粒子にパラジウムからなる触媒貴金属が担持されたゼオライト触媒粒子6とによって触媒層を構成したため、上記パラジウムを酸化セリウムの粒子と、ゼオライトの粒子とに分散させて担持させることができる。したがって、上記パラジウムからなる触媒貴金属が高密度で担持されることを防止し、このパラジウムにシンタリング現象が生じるのを防止することができる。しかも、上記触媒貴金属として低温活性に優れたパラジウムを使用したため、低温領域で排気ガスを効果的に浄化することができる。
【0041】
また、上記実施形態に示すように、酸化アルミニウムと、パラジウムからなる触媒貴金属とを含有する第1触媒層3上に、上記触媒貴金属と、酸化セリウムと、ゼオライトとを含有する第2触媒層4を配設した場合には、第1触媒層3の酸化アルミニウムおよびパラジウムによって排気ガス中のHC成分を効果的に浄化することができるとともに、上記第1触媒層3による触媒反応熱によってその上方に配設された第2触媒層4を加熱することができる。
【0042】
したがって、上記第2触媒層4中に含有された酸化セリウムに吸着されたHC成分を効果的に離脱させることにより、上記HC被毒の発生を、さらに効果的に抑制することができる。しかも、上記のようにパラジウムからなる触媒貴金属を第1触媒層3と第2触媒層4とに分散させて担持させることにより、上記パラジウムのシンタリング(凝集)を効果的に抑制できるという利点がある。
【0043】
なお、酸化アルミニウムからなる粒子にパラジウムを担持させることによって形成された第1触媒層3と、酸化セリウムの粒子にパラジウムを担持させた酸化セリウム触媒粒子5およびゼオライトの粒子にパラジウムを担持させたゼオライト触媒粒子6からなる第2触媒層4とを有し、かつ触媒担体2に対する第1,第2触媒層3,4のパラジウムの担持量がそれぞれ5g/リットルに設定されてなる本発明の第1実施例A1と、第1触媒層3のパラジウムの担持量が半分に設定された点を除いて上記第1実施例A1と同様に構成された第2実施例A2と、第1触媒層3の触媒貴金属としてプラチナ(Pt)を使用した点を除いて上記第1実施例A1と同様に構成された第3実施例A3とにおいて、上記トルエンの吸着後におけるHC成分の浄化率をそれぞれ測定したところ、図9に示すようなデータが得られた。
【0044】
上記図9に示すデータから、下方の第1触媒層3を構成する触媒貴金属の種類およびその担持量の如何に拘らず、酸素吸蔵能力を有する酸化パラジウムと、高沸点のHC成分に対して優れた吸着性を有するゼオライトと、パラジウムからなる触媒貴金属とを含有する第2触媒層4を設けた場合には、酸化アルミニウムからなる粒子にパラジウムを担持させてなる成分によって構成された第1触媒層と、上記ゼオライトを省略して酸化セリウムの粒子にパラジウムからなる貴金属触媒を担持させてなる成分によって構成された第2触媒層とを有する比較例Bに係る排気ガス浄化触媒に比べ、トルエン吸着後におけるHC成分の浄化率を適正値に維持できることが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明は、エンジンの排気系に設置され、触媒貴金属と、酸素吸蔵能力を有する酸化セリウムと、高沸点のHC成分に対して優れた吸着性を有するゼオライトとを含有する触媒層を設けた排気ガス浄化触媒であって、酸化アルミニウムと、パラジウムとを含有する第1触媒層上に、パラジウムが担持された上記酸化セリウムと、パラジウムが担持された上記ゼオライトとを含有する第2触媒層を配設したため、排気ガス中に含まれた高沸点のHC成分が酸化セリウムに化学吸着することによるHC被毒を効果的に防止することができる。したがって、上記酸化セリウムに適正量の酸素を吸蔵させてこの酸化セリウムから放出される酸素と、上記触媒貴金属の触媒作用とによりHC成分を効果的に酸化して排気ガスを浄化できるという利点がある。また、触媒貴金属として低温活性に優れたパラジウムを使用したため、低温において排気ガスを効果的に浄化できるとともに、上記ゼオライトの粒子にパラジウムが高密度で担持されること等に起因してパラジウムにシンタリング現象が生じること防止することができる。さらに、第1触媒層の酸化アルミニウム成分およびパラジウム成分によって排気ガス中のHC成分を効果的に浄化できるとともに、上記第1触媒層による触媒反応熱によってその上方に配設された第2触媒層を加熱することにより、この第2触媒層中に含有された酸化セリウムのHC被毒を効果的に防止できるという利点がある。
【0048】
また、請求項2に係る発明は、第2触媒層を構成する酸化セリウムと、ゼオライトとの合計重量に対するゼオライトの割合を2.5〜13wt%の範囲内に設定したため、上記ゼオライトの担持量を十分に確保してこのゼオライトによって酸化セリウムのHC被毒を確実に抑制することができるとともに、酸化セリウム量が減少することによる酸素吸蔵能力の低下を防止し、この酸化セリウムから供給される酸素によって排気ガス中のHC成分を効果的に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排気ガス浄化触媒の実施形態を示す全体説明図である。
【図2】排気ガス浄化触媒の要部を示す部分拡大図説明図である。
【図3】トルエンの吸着によるHC成分の浄化率の変化状態を示すグラフである。
【図4】比較例に係る触媒層にトルエンを吸着させた場合のIRスペクトル図である。
【図5】本発明の実施例に係る触媒層にトルエンを吸着させた場合のIRスペクトル図である。
【図6】トルエンの流通時間とHC成分の浄化率の変化状態との関係を示すグラフである。
【図7】ゼオライトの割合とHC成分の浄化率との関係を示すグラフである。
【図8】ゼオライトの細孔径とHC成分の浄化率との関係を示すグラフである。
【図9】第1触媒層の成分とHC成分の浄化率との関係を示すグラフである。
【図10】自動車の走行距離とHC成分の排出量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
3 第1触媒層
4 第2触媒層
5 酸化セリウム触媒粒子
6 ゼオライト触媒粒子
Claims (2)
- エンジンの排気系に設置され、触媒貴金属と、酸素吸蔵能力を有する酸化セリウムと、高沸点のHC成分に対して優れた吸着性を有するゼオライトとを含有する触媒層を設けた排気ガス浄化触媒であって、酸化アルミニウムと、パラジウムとを含有する第1触媒層上に、パラジウムが担持された上記酸化セリウムと、パラジウムが担持された上記ゼオライトとを含有する第2触媒層を配設したことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化触媒。
- 第2触媒層を構成する酸化セリウムと、ゼオライトとの合計重量に対するゼオライトの割合を2.5〜13wt%の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気ガス浄化触媒。
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