JPH09328399A - ニオブ酸カリウム単結晶の製造方法 - Google Patents
ニオブ酸カリウム単結晶の製造方法Info
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- JPH09328399A JPH09328399A JP14317796A JP14317796A JPH09328399A JP H09328399 A JPH09328399 A JP H09328399A JP 14317796 A JP14317796 A JP 14317796A JP 14317796 A JP14317796 A JP 14317796A JP H09328399 A JPH09328399 A JP H09328399A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】ニオブ酸カリウム単結晶の製造において、単結
晶成長速度の制御のための温度制御を容易にし、単結晶
成長歩留まりを向上させる。 【解決手段】原料溶液中にルビジウム、セシウム等アル
カリ金属酸化物を添加し、ニオブ酸カリウムの溶解度曲
線の傾きを急峻にし、原料溶液の冷却速度に対する単結
晶成長速度を遅くでき、単結晶成長中の温度制御が容易
になった。
晶成長速度の制御のための温度制御を容易にし、単結晶
成長歩留まりを向上させる。 【解決手段】原料溶液中にルビジウム、セシウム等アル
カリ金属酸化物を添加し、ニオブ酸カリウムの溶解度曲
線の傾きを急峻にし、原料溶液の冷却速度に対する単結
晶成長速度を遅くでき、単結晶成長中の温度制御が容易
になった。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニオブ酸カリウム
単結晶の製造方法に関する。
単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニオブ酸カリウム(KNbO3 )単結晶
は、一般に、TSSG法(Top Seeded So
lution Growth Method)と呼ばれ
る方法で製造される。具体的には、ニオブ酸カリウムに
溶剤として酸化カリウムを含むように調製された高温溶
液に種結晶を接触させ、溶液を徐々に冷却することによ
り、前記種結晶の上にニオブ酸カリウム単結晶を析出さ
せる方法によって製造する。
は、一般に、TSSG法(Top Seeded So
lution Growth Method)と呼ばれ
る方法で製造される。具体的には、ニオブ酸カリウムに
溶剤として酸化カリウムを含むように調製された高温溶
液に種結晶を接触させ、溶液を徐々に冷却することによ
り、前記種結晶の上にニオブ酸カリウム単結晶を析出さ
せる方法によって製造する。
【0003】また、この高温溶液の組成としては、酸化
カリウム(K2 O)52.5モル%、五酸化ニオブ(N
b2 O5 )47.5モル%の近傍がよいこと(T.Fu
kuda and Y.Uematsu,Japan.
J.Appl.Phys.11(1972)163)、
さらに溶液中から種結晶上に単結晶質が析出して順次配
列していくため、単結晶の成長速度自体が必然的に遅く
なり、成長面に垂直な方向での成長速度(線成長速度)
が1時間当たり1mm以下であること(WuXing
et al.,J.Crystal Growth 7
8(1986)431)が知られている。
カリウム(K2 O)52.5モル%、五酸化ニオブ(N
b2 O5 )47.5モル%の近傍がよいこと(T.Fu
kuda and Y.Uematsu,Japan.
J.Appl.Phys.11(1972)163)、
さらに溶液中から種結晶上に単結晶質が析出して順次配
列していくため、単結晶の成長速度自体が必然的に遅く
なり、成長面に垂直な方向での成長速度(線成長速度)
が1時間当たり1mm以下であること(WuXing
et al.,J.Crystal Growth 7
8(1986)431)が知られている。
【0004】ニオブ酸カリウム単結晶の育成について
は、酸化ニオブ−酸化カリウム系の状態図が報告されて
おり(A.Reisman and F.Holtzb
erg,J.Am.Chem.Soc.,77[8]
(1955)2115)、ニオブ酸カリウムの析出量と
冷却温度幅の関係は概ね見積ることができる。
は、酸化ニオブ−酸化カリウム系の状態図が報告されて
おり(A.Reisman and F.Holtzb
erg,J.Am.Chem.Soc.,77[8]
(1955)2115)、ニオブ酸カリウムの析出量と
冷却温度幅の関係は概ね見積ることができる。
【0005】上記状態図からの本発明者らの見積りによ
ると、前記の酸化カリウム(K2 O)を52.5モル
%、五酸化ニオブを47.5モル%含むように調製され
た450gの高温溶液を飽和温度から3℃冷却すると、
約100gのニオブ酸カリウム単結晶を析出させること
になる。すなわち、0.1℃の温度冷却が約3.3gの
単結晶析出になる。
ると、前記の酸化カリウム(K2 O)を52.5モル
%、五酸化ニオブを47.5モル%含むように調製され
た450gの高温溶液を飽和温度から3℃冷却すると、
約100gのニオブ酸カリウム単結晶を析出させること
になる。すなわち、0.1℃の温度冷却が約3.3gの
単結晶析出になる。
【0006】一方、ニオブ酸カリウム単結晶の製造装置
としての電気炉を設計する場合、一般に、入手可能な電
気炉の温度制御装置の温度安定度は外気温変動がない場
合で±0.3℃程度であり、1時間当たりの冷却速度も
0.1℃以下を保証するものはない。
としての電気炉を設計する場合、一般に、入手可能な電
気炉の温度制御装置の温度安定度は外気温変動がない場
合で±0.3℃程度であり、1時間当たりの冷却速度も
0.1℃以下を保証するものはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このことから、従来の
ニオブ酸カリウム単結晶の製造においては、電気炉のわ
ずかな温度変動に伴う溶液の温度変動が単結晶成長速度
に大きな変動を及ぼし、単結晶品質に悪影響を与えてい
ることが推定できる。特に、種結晶から成長を開始した
直後の単結晶の小さい段階では、成長速度の変動が大き
く、引続く単結晶成長に欠陥の伝播等の悪影響を及ぼす
ことは明らかである。
ニオブ酸カリウム単結晶の製造においては、電気炉のわ
ずかな温度変動に伴う溶液の温度変動が単結晶成長速度
に大きな変動を及ぼし、単結晶品質に悪影響を与えてい
ることが推定できる。特に、種結晶から成長を開始した
直後の単結晶の小さい段階では、成長速度の変動が大き
く、引続く単結晶成長に欠陥の伝播等の悪影響を及ぼす
ことは明らかである。
【0008】実際、従来技術では、製造中の温度不安定
を原因とする単結晶成長速度の揺らぎによって、溶液中
に溶剤として過剰に存在する酸化カリウムの単結晶中へ
の取り込みが起こったり、結晶欠陥が発生したりして、
育成後の冷却中に単結晶が割れることが多い。したがっ
て、良質の単結晶を高い歩留まりで得ることが難しいと
いう欠点があった。
を原因とする単結晶成長速度の揺らぎによって、溶液中
に溶剤として過剰に存在する酸化カリウムの単結晶中へ
の取り込みが起こったり、結晶欠陥が発生したりして、
育成後の冷却中に単結晶が割れることが多い。したがっ
て、良質の単結晶を高い歩留まりで得ることが難しいと
いう欠点があった。
【0009】本発明は、従来技術の前述の欠点を解消す
るものであり、良質の単結晶を高い歩留まりで得ること
目的とする。
るものであり、良質の単結晶を高い歩留まりで得ること
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ニオブ酸カリ
ウム単結晶をTSSG法により製造する方法において、
原料溶液中に酸化カリウム以外のアルカリ金属酸化物を
含ませることを特徴とするニオブ酸カリウム単結晶の製
造方法を提供する。
ウム単結晶をTSSG法により製造する方法において、
原料溶液中に酸化カリウム以外のアルカリ金属酸化物を
含ませることを特徴とするニオブ酸カリウム単結晶の製
造方法を提供する。
【0011】本発明の好ましい態様では、アルカリ金属
酸化物が酸化ルビジウム及び/又は酸化セシウムであ
る。
酸化物が酸化ルビジウム及び/又は酸化セシウムであ
る。
【0012】本発明の他の好ましい態様では、酸化ルビ
ジウムが、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム又は水
酸化ルビジウムとして原料に配合され、その後原料溶液
を形成する。
ジウムが、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム又は水
酸化ルビジウムとして原料に配合され、その後原料溶液
を形成する。
【0013】本発明の他の好ましい態様では、酸化セシ
ウムが、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム又は水酸化セ
シウムとして原料に配合され、その後原料溶液を形成す
る。
ウムが、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム又は水酸化セ
シウムとして原料に配合され、その後原料溶液を形成す
る。
【0014】本発明の他の好ましい態様では、アルカリ
金属酸化物を、原料溶液中の五酸化ニオブに対して0.
1〜20モル%含ませる。
金属酸化物を、原料溶液中の五酸化ニオブに対して0.
1〜20モル%含ませる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、原料溶液中に含ませ
る酸化カリウム以外のアルカリ金属酸化物としては、酸
化ルビジウム、酸化セシウム又はこれらの混合物が使用
できる。しかし、これらのアルカリ金属酸化物は室温大
気中では不安定な材料であるので、原料仕込み(原料へ
の配合)の際にはアルカリ金属炭酸塩を使用することが
好ましい。また、この他に炭酸水素塩、水酸化物の形で
仕込んでもよい。
る酸化カリウム以外のアルカリ金属酸化物としては、酸
化ルビジウム、酸化セシウム又はこれらの混合物が使用
できる。しかし、これらのアルカリ金属酸化物は室温大
気中では不安定な材料であるので、原料仕込み(原料へ
の配合)の際にはアルカリ金属炭酸塩を使用することが
好ましい。また、この他に炭酸水素塩、水酸化物の形で
仕込んでもよい。
【0016】本発明において、原料溶液中に含ませる酸
化ルビジウム、酸化セシウム等のアルカリ金属酸化物
は、第1にニオブ酸カリウムの析出開始温度を下げるの
で、種結晶を溶液に付ける種付作業を、種結晶のニオブ
酸カリウムの分解温度より充分低い温度で行える。第2
に、溶解度曲線(析出曲線)の傾きを大きくするので、
溶液の冷却速度に対する単結晶の析出速度、すなわち溶
液の冷却速度に対する単結晶成長速度を遅くするよう制
御できる。したがって、電気炉の温度変動に対する単結
晶成長速度の変動も小さくなり結晶欠陥の発生が少なく
なり、育成歩留まりが向上する。
化ルビジウム、酸化セシウム等のアルカリ金属酸化物
は、第1にニオブ酸カリウムの析出開始温度を下げるの
で、種結晶を溶液に付ける種付作業を、種結晶のニオブ
酸カリウムの分解温度より充分低い温度で行える。第2
に、溶解度曲線(析出曲線)の傾きを大きくするので、
溶液の冷却速度に対する単結晶の析出速度、すなわち溶
液の冷却速度に対する単結晶成長速度を遅くするよう制
御できる。したがって、電気炉の温度変動に対する単結
晶成長速度の変動も小さくなり結晶欠陥の発生が少なく
なり、育成歩留まりが向上する。
【0017】一方、原料溶液中の酸化ルビジウムは、ル
ビジウムイオンがカリウムイオンに比べて大きいので、
ニオブ酸カリウム単結晶の中にはほとんど取り込まれ
ず、単結晶品質に影響は少ない。酸化セシウムの場合も
同様である。
ビジウムイオンがカリウムイオンに比べて大きいので、
ニオブ酸カリウム単結晶の中にはほとんど取り込まれ
ず、単結晶品質に影響は少ない。酸化セシウムの場合も
同様である。
【0018】以下、酸化ルビジウムを添加した例で詳細
に説明する。図4は、従来技術のニオブ酸カリウム単結
晶の育成を、五酸化ニオブ−酸化カリウム2成分系の状
態図上で示したものである。図4のように、酸化カリウ
ム52.5モル%の原料溶液を原料溶液の冷却開始点1
0から冷却することにより溶液を飽和させ、酸化カリウ
ム50.0モル%(析出単結晶組成11)のニオブ酸カ
リウム単結晶を析出させる。このとき、単結晶育成に伴
う溶液組成の変化12の曲線に示すように、溶液自体は
酸化カリウム濃度が高まっていく。
に説明する。図4は、従来技術のニオブ酸カリウム単結
晶の育成を、五酸化ニオブ−酸化カリウム2成分系の状
態図上で示したものである。図4のように、酸化カリウ
ム52.5モル%の原料溶液を原料溶液の冷却開始点1
0から冷却することにより溶液を飽和させ、酸化カリウ
ム50.0モル%(析出単結晶組成11)のニオブ酸カ
リウム単結晶を析出させる。このとき、単結晶育成に伴
う溶液組成の変化12の曲線に示すように、溶液自体は
酸化カリウム濃度が高まっていく。
【0019】従来技術で最適とされた原料組成である酸
化カリウム52.5モル%の付近での液相線の傾きは小
さいため、以下のような問題がある。
化カリウム52.5モル%の付近での液相線の傾きは小
さいため、以下のような問題がある。
【0020】(1)原料組成での飽和温度とニオブ酸カ
リウムの分解点13は近接しており、種付時の温度の設
定が難しく、種付時に種結晶自体を分解してしまうこと
がある。 (2)わずかの温度変化でも、溶液の飽和度が大きく変
動し、不飽和になったり、成長速度が速くなりすぎるこ
とがある。
リウムの分解点13は近接しており、種付時の温度の設
定が難しく、種付時に種結晶自体を分解してしまうこと
がある。 (2)わずかの温度変化でも、溶液の飽和度が大きく変
動し、不飽和になったり、成長速度が速くなりすぎるこ
とがある。
【0021】本発明者の見積りによると、前記の酸化カ
リウム52.5モル%の溶液では、溶液450gを飽和
温度から3℃冷却することが、100gのニオブ酸カリ
ウム単結晶を析出させること、すなわち0.1℃の温度
冷却で約3.3gの単結晶析出に相当する。わずかな温
度変動も成長速度に大きな影響を及ぼし、単結晶品質に
悪影響を及ぼすこと、特に種結晶から成長を開始した直
後で単結晶成長界面の面積が小さい段階では影響が大き
く、結晶欠陥の発生を招くと考えられる。
リウム52.5モル%の溶液では、溶液450gを飽和
温度から3℃冷却することが、100gのニオブ酸カリ
ウム単結晶を析出させること、すなわち0.1℃の温度
冷却で約3.3gの単結晶析出に相当する。わずかな温
度変動も成長速度に大きな影響を及ぼし、単結晶品質に
悪影響を及ぼすこと、特に種結晶から成長を開始した直
後で単結晶成長界面の面積が小さい段階では影響が大き
く、結晶欠陥の発生を招くと考えられる。
【0022】原料溶液に酸化ルビジウムを添加すると、
その添加量によって、図1のように単結晶の析出開始温
度が下がる。すなわち、飽和温度が下がる。したがっ
て、ニオブ酸カリウム種結晶の種付温度も低くなる。ま
た、酸化ルビジウムは単結晶中にほとんど取り込まれな
いので、単結晶の成長、すなわちニオブ酸カリウム単結
晶の析出が進行すると、溶液中の酸化ルビジウム濃度は
相対的に高くなり、飽和温度は下がる。この曲線の傾き
が大きければ、一定量のニオブ酸カリウム単結晶析出に
必要な温度の下げ巾も大きくなる。
その添加量によって、図1のように単結晶の析出開始温
度が下がる。すなわち、飽和温度が下がる。したがっ
て、ニオブ酸カリウム種結晶の種付温度も低くなる。ま
た、酸化ルビジウムは単結晶中にほとんど取り込まれな
いので、単結晶の成長、すなわちニオブ酸カリウム単結
晶の析出が進行すると、溶液中の酸化ルビジウム濃度は
相対的に高くなり、飽和温度は下がる。この曲線の傾き
が大きければ、一定量のニオブ酸カリウム単結晶析出に
必要な温度の下げ巾も大きくなる。
【0023】酸化カリウム52.5モル%、五酸化ニオ
ブ47.5モル%の原料溶液に、炭酸ルビジウムを五酸
化ニオブに対して10モル%添加した図1の例では、単
結晶析出開始温度が1042℃付近と酸化ルビジウムを
添加しない場合に比べて18℃も低くなる。450g溶
液から100gのニオブ酸カリウム単結晶を析出するた
めに必要な冷却温度幅も9.1℃で、酸化ルビジウムを
含まない場合の3℃より大きい。したがって、冷却温度
幅0.1℃に対しての析出量は約1.1gと小さくな
る。
ブ47.5モル%の原料溶液に、炭酸ルビジウムを五酸
化ニオブに対して10モル%添加した図1の例では、単
結晶析出開始温度が1042℃付近と酸化ルビジウムを
添加しない場合に比べて18℃も低くなる。450g溶
液から100gのニオブ酸カリウム単結晶を析出するた
めに必要な冷却温度幅も9.1℃で、酸化ルビジウムを
含まない場合の3℃より大きい。したがって、冷却温度
幅0.1℃に対しての析出量は約1.1gと小さくな
る。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例(例1〜7)を説明す
る。
る。
【0025】[例1]図3は単結晶製造に使用したTS
SG炉である。ルツボは内容積150mlの白金ルツボ
9で、内径60mm、高さ70mmである。種結晶6は
上下方向が高温相立方晶系の[110]方位のニオブ酸
カリウムの単結晶で、4mm×4mm×15mmの大き
さに切断した。種結晶保持棒のセラミックスチューブ3
の先端に白金線で固定された種結晶6は、20rpmで
回転し、必要に応じて上下できるようにした。図3にお
いて、4は単結晶製造炉の外壁を構成するセラミックス
製保温材であり、5は抵抗加熱ヒータである。
SG炉である。ルツボは内容積150mlの白金ルツボ
9で、内径60mm、高さ70mmである。種結晶6は
上下方向が高温相立方晶系の[110]方位のニオブ酸
カリウムの単結晶で、4mm×4mm×15mmの大き
さに切断した。種結晶保持棒のセラミックスチューブ3
の先端に白金線で固定された種結晶6は、20rpmで
回転し、必要に応じて上下できるようにした。図3にお
いて、4は単結晶製造炉の外壁を構成するセラミックス
製保温材であり、5は抵抗加熱ヒータである。
【0026】原料は五酸化ニオブ355.64g、炭酸
カリウム195.51g、炭酸ルビジウム17.715
9gを2リットルのポリエチレンの広口瓶に封入し、ボ
ールミル回転台上で24時間混合した。これらの混合比
は、酸化カリウム52.5モル%、五酸化ニオブ47.
5モル%であり、原料溶液8中のニオブ酸カリウムに対
して5.73モル%の酸化ルビジウムを添加したことに
なる。3成分系の表記では酸化カリウム49.7モル
%、五酸化ニオブ44.9モル%、酸化ルビジウム5.
4モル%となる。
カリウム195.51g、炭酸ルビジウム17.715
9gを2リットルのポリエチレンの広口瓶に封入し、ボ
ールミル回転台上で24時間混合した。これらの混合比
は、酸化カリウム52.5モル%、五酸化ニオブ47.
5モル%であり、原料溶液8中のニオブ酸カリウムに対
して5.73モル%の酸化ルビジウムを添加したことに
なる。3成分系の表記では酸化カリウム49.7モル
%、五酸化ニオブ44.9モル%、酸化ルビジウム5.
4モル%となる。
【0027】原料を白金ルツボ9に投入し、50℃/時
で1100℃まで昇温し、原料溶解後12時間保持し
た。その後、原料溶液8を1057℃付近まで10℃/
時で冷却し、種結晶6を原料溶液8表面に接触させ、
0.15mm/時で引き上げ、単結晶7の重量と大きさ
を観測しながら原料溶液8を冷却した。
で1100℃まで昇温し、原料溶解後12時間保持し
た。その後、原料溶液8を1057℃付近まで10℃/
時で冷却し、種結晶6を原料溶液8表面に接触させ、
0.15mm/時で引き上げ、単結晶7の重量と大きさ
を観測しながら原料溶液8を冷却した。
【0028】単結晶成長開始温度は1054.0℃で、
終了時温度は1050.0℃で、得られた単結晶は2
8.92gであった。平均析出速度は0.72g/0.
1℃となった。分析の結果、原料中のルビジウム添加量
は原料1g当たり27410μgになるのに対し、単結
晶1g当たり802μgと少なかった。偏析係数は0.
029と計算される。
終了時温度は1050.0℃で、得られた単結晶は2
8.92gであった。平均析出速度は0.72g/0.
1℃となった。分析の結果、原料中のルビジウム添加量
は原料1g当たり27410μgになるのに対し、単結
晶1g当たり802μgと少なかった。偏析係数は0.
029と計算される。
【0029】図2(A)、(B)は以上の単結晶育成結
果を3成分系状態図上で模式的に表したものである。1
は仕込み原料の組成(出発原料組成)、2は育成された
単結晶の組成を示し、育成された単結晶はほぼ純粋なニ
オブ酸カリウムであった。拡大図(B)の破線に図1の
横軸が一致し、この破線上に図1が存在する。
果を3成分系状態図上で模式的に表したものである。1
は仕込み原料の組成(出発原料組成)、2は育成された
単結晶の組成を示し、育成された単結晶はほぼ純粋なニ
オブ酸カリウムであった。拡大図(B)の破線に図1の
横軸が一致し、この破線上に図1が存在する。
【0030】[例2〜7]ルビジウムの添加量を変えて
本実施例と同様に単結晶を育成し、組成分析を行った例
2〜7を表1に示す。本実施例と同様単結晶中に含まれ
るルビジウムの量が少ない(偏析係数が小さい)ほぼ純
粋な単結晶が得られた。
本実施例と同様に単結晶を育成し、組成分析を行った例
2〜7を表1に示す。本実施例と同様単結晶中に含まれ
るルビジウムの量が少ない(偏析係数が小さい)ほぼ純
粋な単結晶が得られた。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明の原料溶液中に含ませる酸化ルビ
ジウム、酸化セシウム等のアルカリ金属酸化物は、以下
のような効果を有する。
ジウム、酸化セシウム等のアルカリ金属酸化物は、以下
のような効果を有する。
【0033】(1)ニオブ酸カリウムの析出開始温度を
下げるので、種結晶を原料溶液に付ける種付作業を、種
結晶のニオブ酸カリウムの分解温度より充分低い温度で
行え、種付時の温度管理を容易にできる。
下げるので、種結晶を原料溶液に付ける種付作業を、種
結晶のニオブ酸カリウムの分解温度より充分低い温度で
行え、種付時の温度管理を容易にできる。
【0034】(2)溶解度曲線(析出曲線)の傾きを大
きくするので、溶液の冷却速度に対する単結晶の析出速
度、すなわち単結晶成長速度を遅くでき、温度による成
長速度の制御が容易になり、単結晶の品質が向上し、育
成歩留まりが向上する。
きくするので、溶液の冷却速度に対する単結晶の析出速
度、すなわち単結晶成長速度を遅くでき、温度による成
長速度の制御が容易になり、単結晶の品質が向上し、育
成歩留まりが向上する。
【0035】(3)製造装置の設計、特に電気炉の温度
制御装置に対する精度要求を緩やかにでき、その結果温
度制御が容易になり、安価な製造装置での単結晶製造が
可能になる。
制御装置に対する精度要求を緩やかにでき、その結果温
度制御が容易になり、安価な製造装置での単結晶製造が
可能になる。
【図1】本発明のルビジウム酸化物添加による単結晶成
長開始温度の低下を示すグラフ。
長開始温度の低下を示すグラフ。
【図2】(A)は本発明の実施例に用いた原料の3成分
系状態図を示し、(B)はその部分拡大図。
系状態図を示し、(B)はその部分拡大図。
【図3】本発明の実施例に使用したTSSG法単結晶育
成装置の側断面図。
成装置の側断面図。
【図4】従来の単結晶育成法に係る五酸化ニオブ−酸化
カリウム2成分系の状態図。
カリウム2成分系の状態図。
1:出発原料組成 2:育成された単結晶の組成 3:セラミックスチューブ 4:セラミックス製保温材 5:抵抗加熱ヒータ 6:種結晶 7:ニオブ酸カリウム単結晶 8:原料溶液 9:白金ルツボ 10:原料溶液の冷却開始点 11:析出単結晶組成 12:単結晶育成に伴う溶液組成の変化 13:ニオブ酸カリウムの分解点
フロントページの続き (72)発明者 ベー チー ヤン シンガポール国、シンガポール 640477、 ジュロン ウェスト 447、42番ストリー ト、#07−276 (72)発明者 チョン タウ チョン シンガポール国、シンガポール 428344、 ジャラン レンダン 6
Claims (5)
- 【請求項1】ニオブ酸カリウム結晶をTSSG法により
製造する方法において、原料溶液中に酸化カリウム以外
のアルカリ金属酸化物を含ませることを特徴とするニオ
ブ酸カリウム単結晶の製造方法。 - 【請求項2】アルカリ金属酸化物が酸化ルビジウム及び
/又は酸化セシウムである請求項1記載のニオブ酸カリ
ウム単結晶の製造方法。 - 【請求項3】酸化ルビジウムが、炭酸ルビジウム、炭酸
水素ルビジウム又は水酸化ルビジウムとして原料に配合
され、その後原料溶液を形成する請求項2記載のニオブ
酸カリウム単結晶の製造方法。 - 【請求項4】酸化セシウムが、炭酸セシウム、炭酸水素
セシウム又は水酸化セシウムとして原料に配合され、そ
の後原料溶液を形成する請求項2記載のニオブ酸カリウ
ム単結晶の製造方法。 - 【請求項5】アルカリ金属酸化物を、原料溶液中の五酸
化ニオブに対して0.1〜20モル%含ませる請求項
1、2、3又は4記載のニオブ酸カリウム単結晶の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14317796A JPH09328399A (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | ニオブ酸カリウム単結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP14317796A JPH09328399A (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | ニオブ酸カリウム単結晶の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09328399A true JPH09328399A (ja) | 1997-12-22 |
Family
ID=15332700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP14317796A Pending JPH09328399A (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | ニオブ酸カリウム単結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH09328399A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999056391A1 (fr) * | 1998-04-28 | 1999-11-04 | Tdk Corporation | Vibreur volumique piezoelectrique |
CN102628186A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-08 | 哈尔滨工业大学 | 正交相锂钽掺杂铌酸钾钠基无铅压电单晶及其制备方法 |
-
1996
- 1996-06-05 JP JP14317796A patent/JPH09328399A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999056391A1 (fr) * | 1998-04-28 | 1999-11-04 | Tdk Corporation | Vibreur volumique piezoelectrique |
US6259187B1 (en) | 1998-04-28 | 2001-07-10 | Tdk Corporation | Piezoelectric bulk acoustic wave device |
CN102628186A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-08 | 哈尔滨工业大学 | 正交相锂钽掺杂铌酸钾钠基无铅压电单晶及其制备方法 |
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