JP3906359B2 - P形半導体SrCu2O2単結晶の製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
この発明はp型酸化物半導体SrCu2O2単結晶製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
SrCu2O2は数少ないP型の透明酸化物半導体と知られている。850℃の窒素中で焼成された円盤状試料をターゲットとして用いてパルスレーザー法によって21Ω・cmの抵抗率をもつ薄膜が作製されており(参考文献1 A.Kudo, H.Yanagi, H.Hosono and H.Kawazoe: Appl.Phys.Lett.,73 (1998) 220)、最近ではp- SrCu2O2/n-ZnOヘテロ接合のヘテロエピタキシャル成長により近紫外光を発するLEDを初めて実現した(参考文献2:太田、折田、平野、細野、表面科学、22 (2001) 419)。
しかしバルク単結晶試料が作製された報告はなく、融点や状態図などの情報は皆無に等しく、熱力学的な計算から求められた状態図があるのみである(参考文献 3 C.B.Alcock and B.Li:J.Am.Ceram. Soc. 73, (1990) 1176)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようにSrCu2O2は融点、単結晶が製造できる組成や温度並びに雰囲気の条件も明らかにされていない。単結晶を作製するにはどのような雰囲気条件において、どのような混合組成比の酸化ストロンチュウムと酸化銅を混合した融液中にSrCu2O2が存在するかを見いだし、明らかにすることである。次に単結晶製造の可能性があるかを検討しなければならない。
高度な科学知識、経験等の総合判断から結晶育成実験の実施への判断を決定した場合、明らかにされたこれらの高温での情報を指針として結晶育成実験を実施し、机上では想像出来なかった実施上の問題点を1つ1つ解決してゆきながら実験を繰り返し、SrCu2O2単結晶の製造条件を見つけださねばならない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
高温においてSrCu2O2が存在する組成や雰囲気条件を見いだすため、酸化ストロンチュウムと酸化銅の混合組成比を変えた(SrO/CuO混合比:60/40, 50/50, 40/60, 35/65, 33.3/66.7, 30/70, 28/72, 27/73, 26/74, 25/75, 20/80, 15/85,10/90)粉末試料を作製し、各試料の酸素分圧(Ar, 0.1%O2/99.9%Ar, 1%O2/99%Ar, 6%O2/94%Ar, air, N2, 0.1%O2/99.9%N2, 1%O2/99%N2, 6%O2/94%N2)を変えて示差熱分析を行った。その結果を指針にして、フローティングゾーン単結晶製造装置を用いて各試料について酸素分圧を変えた溶融実験を行った。各試料を加圧成形器で直径4mmの丸棒状にして800℃で15時間均質に焼成して上軸に吊して試料原料棒11とした。試料をランプで加熱し、溶融を直視観察してそのときのランプパワーを記録し、急冷を行った。第1図にこの実験に使用したフローティングゾーン単結晶製造装置を示す。図において11は原料棒、14は上回転軸、16は石英管、17はハロゲンランプ、18は回転楕円鏡、19は観察窓、20はレンズ、21は観察用スクリーンである。その後急冷試料を粉末にし、粉末X線回折実験を行い、SrCu2O2相が存在する組成及びランプパワーから見積もれる相対的溶融温度を見つけた。これらを指針として単結晶製造を行い、単結晶製造条件を見いだした。本発明はこのような実験の結果、酸化ストロンチュウムあるいは炭酸ストロンチュウムと酸化銅を混合してアルゴンあるいは窒素中に酸素が5%以下混入されている雰囲気中で1000℃以上に加熱融解したのち、降温させ、あるいは融点付近の温度のまま、一般式SrCu2O2 で表される微結晶を種結晶上あるいは基板上に析出、成長させると、目的であるSrCu2O2単結晶を得ることができることが判明した。
【0005】
具体的にはSrCu2O2原料棒と種結晶の間に酸化ストロンチュウムと酸化銅で構成された溶融帯を1000℃以上の高温で保持し、原料棒方向に走査させることにより、種結晶にSrCu2O2単結晶を成長させるフローティングゾーン法によるSrCu2O2単結晶製造方法、ならびに酸化ストロンチュウムと酸化銅で構成された融液に接触させた種結晶上ならびに基板上にSrCu2O2単結晶を結晶化させ、これを溶液ひきあげ法によってSrCu2O2単結晶を製造する方法、ならびに液相成長法によってSrCu2O2単結晶膜を製造する方法を提供するものである。
SrCu2O2単結晶が、種結晶によって望みの方向に任意の大きさの良質な単結晶が短時間に製造できるようにしたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記のSrCu2O2相が存在する組成及び温度を明らかにするため行った、試料の溶融状態からの急冷実験で、雰囲気が窒素あるいはアルゴンガス中に酸素6%で実験した組成では、SrCu2O2相は現れなかった。酸素1%含有においてはSrOが33.3-25モル%でCuO が66.7-75モル%、酸素を含まない窒素あるいはアルゴンガス中ではSrOが33.3-25モル%でCuO が60-72モル%にSrCu2O2相が存在した。これから窒素あるいはアルゴンガス中に少なくとも1%以下酸素を含む雰囲気ではSrCu2O2相が存在することが解った。
つまりSrCu2O2組成であるCuOが66.7%を融点の頂点に60%から75%までがSrCu2O2単結晶が液相と共に存在することが明らかにされ、窒素あるいはアルゴンガス中に含む酸素量によって、相図が多少変動することが解り、6%も酸素が含まれると目的のSrCu2O2相は現れないことがわかったので、上記の条件で結晶育成実験を行うことが良いことがわかった。
【0007】
実施例
以下に実施例によって本発明を詳細に説明する。
実施例1
SrCu2O2単結晶を溶液ひきあげ法によって製造した。第2図に使用した単結晶引き上げ装置を示す。図2において、1 は引き上げシャフト、2は白金シャフト、3は保温剤、4は高周波加熱コイル、5は熱電対、6はるつぼ支持物、7は種結晶、8は成長した単結晶、9は出発原料、10は白金るつぼである。
SrCO3とCuOをモル比にして30:70に混合して、その混合物100gを、口径45mm、高さ30mmの発熱体を兼ねた白金るつぼ10に入れ、酸素0.1%、アルゴン99.9%に混合したガス雰囲気中で、高周波加熱コイル4による誘導加熱方式により約1000℃以上加熱し溶融させたのち、種結晶であるSrCu2O2単結晶7を融液表面に接触させる。融液を徐々に降温させると、融液中で最も温度の低い種結晶と接触している融液の界面にSrCu2O2微結晶が少しずつ析出してきて、種結晶7上に結晶化し成長する。このようにして成長した単結晶8を融液から徐々に引き上げる。すなわち、融液を降温しながら、育成させた単結晶の引き上げを同時に行ってゆくのである。このときの製造条件としてはSrCu2O2単結晶8をひきあげる速度は0.8〜1.0mm/h、融液降温速度は2〜5℃/h、結晶回転数15〜30rpm、雰囲気は大気中であった。10x10x3mmの大きさの褐色透明のSrCu2O2単結晶を5時間の製造時間で得ることが出来た。
【0008】
実施例2
実施例1と同じ装置を用いてSrCu2O2単結晶をひきあげ法によって製造した。
SrCO3とCuOをモル比にして1:2に混合して、その混合物100gを白金るつぼ10に入れ、酸素1%、アルゴン99%に混合したガス雰囲気中で、製造条件としてひきあげ速度1.0mm/h、結晶回転数15〜30rpmで、10x10x6mmの大きさの褐色透明のSrCu2O2単結晶を8時間の製造時間で得ることが出来た。
【0009】
実施例3SrCu2O2単結晶をフローティングゾーン法によって製造した。第1図に使用したフローティングゾーン単結晶製造装置を示す。図1において11は原料棒、12は種結晶、13は溶融帯、14および15はそれぞれ回転軸、16は石英管、17はハロゲンランプ、18は回転楕円鏡、19は観察窓、20はレンズ、21は観察用スクリーンである。SrCO3とCuOを1:2に混合した粉末を850℃で15時間仮焼する。その混合粉末を加圧成形器で直径6mm、長さ7cmの丸棒状にして900℃で15時間均質に焼成してSrCu2O2原料棒1とする。同様に、SrCO3とCuOとモル比にして30:70に混合した粉末を750℃で15時間焼成し、その粉末を加圧成形器で直径6mmの丸棒状にして800℃で15時間均質に焼成して溶媒とする。しかるのち、この円柱棒状の溶媒を径方向に切断し円盤状にしてSrCu2O2原料棒に融着する。このようにSrCu2O2原料棒の先端に溶媒を融着した円柱棒状試料を、赤外線加熱方式を採用したフローティングゾーン法単結晶製造装置の上部試料回転軸4に固定し、同様に下部回転軸15に種結晶12として SrCu2O2焼成棒を固定する。なお、この場合種結晶12と溶媒をつけたSrCu2O2原料棒11が回転軸に対して偏心しないように設定する。酸素0.1%、窒素99.9%の混合ガスの雰囲気中で、ハロゲンランプ17を用い赤外線を使用して上記溶媒を加熱融解したのちに種結晶を溶媒に接触させ、液体の表面張力により原料棒と種結晶の間に溶融溶媒を保持させる。しかる後に原料棒と種結晶とを互いに反対方向に30rpmで回転させる。さらに、この融けた溶媒を0.8mm/hrの速度で原料棒方向、すなわち上方に移動させて種結晶にSrCu2O2単結晶を育成させる。この結果、直径 4mm、長さ20mmの円柱棒状の褐色透明のSrCu2O2結晶が得られた。
【0010】
実施例4
実施例3と同じ結晶炉を用い、酸素1%、窒素99%の混合ガスの雰囲気中で、上記原料棒と実施例3で得られたSrCu2O2単結晶を種結晶とし、溶媒を用いないで、溶融帯を1mm/hの速度で原料棒方向へ移動させる製造条件で結晶育成を行った。この結果、直径 5mm、長さ40mmの円柱棒状の褐色透明のSrCu2O2結晶が得られた。結晶製造温度は実施例3よりも高めであった。
【0011】
実施例5
実施例1と同じ装置を用いて酸素1%、窒素99%の混合ガスの雰囲気中で、SrCu2O2単結晶膜を液相成長法によって製造した。SrCO3とCuOをモル比にして30:70に混合して、その混合物100gを、口径45mm、高さ30mmの発熱体を兼ねた白金るつぼ10に入れ、高周波加熱コイル4による誘導加熱方式により約1000℃以上に加熱し溶融させたのち、基板であるサファイヤ基板を融液表面に接触させ、5分間浸しておき引き上げてSrCu2O2単結晶膜を液相成長法によって製造した。
【0012】
【本発明の効果】
以上述べたとおり、本発明は数少ないP型の透明酸化物半導体と知られているSrCu2O2を、容易に簡単に、製造することができ、P型の半導体の量産への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フローティングゾーン単結晶製造装置
【図2】 単結晶引き上げ装置
【符号の説明】
1 引き上げシャフト
2 白金シャフト
3 保温剤
4 高周波加熱コイル
5 熱電対
6 るつぼ支持物
7 種結晶
8 成長した単結晶
9 出発原料
10 白金るつぼ
11 原料棒
12 種結晶
13 溶融帯
14 上回転軸
16 石英管
17 ハロゲンランプ
18 回転楕円鏡
19 観察窓
20 レンズ
21 観察用スクリーン
Claims (2)
- 酸化ストロンチュウムあるいは炭酸ストロンチュウムと酸化銅を混合してアルゴンあるいは窒素中に酸素が5%以下混入されている雰囲気中で1000℃以上に加熱融解したのち、降温させ、あるいは融点付近の温度のまま、一般式SrCu2O2 で表される微結晶を種結晶上あるいは基板上に析出、成長させることを特徴とするSrCu2O2単結晶の製造方法。
- 前記酸化ストロンチュウムあるいは炭酸ストロンチュウムと酸化銅の混合比が40〜25モル%対60〜75モル%であることを特徴とする特許請求の範囲1項記載のSrCu2O2単結晶の製造方法。
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JP2002092709A JP3906359B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | P形半導体SrCu2O2単結晶の製造方法 |
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- 2002-03-28 JP JP2002092709A patent/JP3906359B2/ja not_active Expired - Lifetime
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