JP5299908B2 - ランガテイト系単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ランガテイト系単結晶の製造方法に関する。より詳しく言えば、本発明は、内燃機関の燃焼室内の燃焼圧を測定する燃焼圧センサーの圧電素子などで使用するのに好適なランガテイト系単結晶の製造方法に関する。
内燃機関を利用する自動車では、燃焼室内の燃焼圧力を検知することにより、失火あるいは異常燃焼などに対応して燃料の供給量や点火時期を制御することを目的として、内燃機関内の燃焼を最適制御することが行われている。燃焼室内の燃焼圧力の検知には、一般に、圧電効果(加えられた力(圧力)に応じて生じる分極の結果として電圧が発生する)を示す酸化物圧電材料の素子を利用する燃焼圧センサーが用いられている。
燃焼圧センサーの圧電素子では、酸化物圧電材料の単結晶が用いられる。従来は、酸化物圧電材料として、水晶が使用され、そして1990年代初頭からランガサイト(LGS:La3Ga5SiO14)が注目され、ランガサイトと同構造を持つランガナイト(LGN:La3Ga5.5Nb0.514)を中心に研究が行われてきた。その後、圧電定数の温度変化が小さく、且つ高絶縁性であることから、ランガテイト(LTG)が注目されるようになり、現在はLTGが広く使用されている。また、LTGのGaの一部をAlで置換したLTGA(La3Ta0.5Ga5.5-xAlx14(x=0.2程度が主流))も、10年以上前から知られている。LTGAは、最近になって、LTGよりも絶縁抵抗が高いことが示され(特許文献1)、注目されている。
上述の酸化物圧電材料の単結晶は、るつぼ内の多結晶材料の溶融液に種結晶を浸漬して徐々に引き上げて単結晶を得るチョコラルスキー法(CZ法)、多結晶材料の溶融液を入れたるつぼを温度勾配のある縦型炉内で下降させて一方向凝固により単結晶を成長させる垂直ブリッジマン法(VB法)、多結晶材料の焼結体を部分的に溶融しながら単結晶化を行う浮遊帯溶融法(FZ法)、などで製造されている。特許文献1には、製造した単結晶を室温まで徐冷(アニール)後、酸化性ガスを含まない不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより、欠陥による着色を低減させ、抵抗率の温度依存性を低減させることが記載されるとともに、そのような熱処理をした単結晶からなる圧電素子を用いた、100〜600℃の高温用の圧電センサー(燃焼圧センサー)も記載されている。
国際公開第2006/106875号パンフレット
燃焼圧センサーの圧電素子で用いる圧電材料に求められる特性として、高絶縁性(圧電材料の抵抗率が大きい)とともに、絶縁抵抗率の長期信頼性が求められている。
100℃〜600℃で使用される圧電センサー(燃焼圧センサー)に用いられるランガテイト系単結晶を、酸化性ガスを含まない不活性ガス雰囲気、もしくは真空で熱処理すると、抵抗率が上昇することが知られているため、ランガテイト系単結晶は現在はこの条件で熱処理されている。ところが、この方法で熱処理した単結晶は、燃焼圧センサーのより高い使用温度範囲に相当する300℃以上で恒温保持試験すると、抵抗率が低下し、その長期信頼性が低下してしまうという問題のあることが分かった。
そこで、本発明は、種々の方法により得られたランガテイト系単結晶を熱処理しても、300℃以上での恒温保持による単結晶の抵抗率の低下が少ない、ランガテイト系単結晶の新しい製造方法を提供することを目的とする。
本発明のランガテイト系単結晶の製造方法は、多結晶出発原料から得られたランガテイト系単結晶を、大気雰囲気中において、1000℃以上1490℃以下、且つ、10時間以上100時間以下の条件で加熱して、単結晶の表面に異相を析出させ、前記加熱の終了後に、前記異相を除去することを特徴とする。
本発明のランガテイト系単結晶の製造方法はまた、多結晶出発原料から得られたランガテイト系単結晶を、50%O 2 +Ar雰囲気中において、1000℃以上1490℃以下、且つ、10時間以上100時間以下の条件で加熱して、単結晶の表面に異相を析出させ、前記加熱の終了後に、前記異相を除去することを特徴とする。
好ましくは、ランガテイト系単結晶の加熱条件は、1100℃以上1490℃以下、且つ、13時間以上100時間以下である。
より好ましくは、ランガテイト系単結晶の加熱条件は、1400℃以上1490℃以下、且つ、13時間以上100時間以下である。
熱処理におけるLTG単結晶の加熱条件と、熱処理後の単結晶を300℃に昇温直後の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の熱処理前の単結晶の300℃で測定した抵抗率からの変化率との関係を示すグラフである。 熱処理におけるLTGA単結晶の熱処理条件と、熱処理後の単結晶を300℃に昇温直後の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の熱処理前の単結晶の300℃で測定した抵抗率からの変化率との関係を示すグラフである。 熱処理におけるLTG単結晶の熱処理条件と、熱処理後の単結晶を400℃に昇温直後の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の熱処理前の単結晶の400℃で測定した抵抗率からの変化率との関係を示すグラフである。 熱処理におけるLTGA単結晶の熱処理条件と、熱処理後の単結晶を400℃に昇温直後の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の熱処理前の単結晶の400℃で測定した抵抗率からの変化率との関係を示すグラフである。 熱処理におけるLTG単結晶の熱処理条件と、熱処理後の単結晶を500℃に昇温直後の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の熱処理前の単結晶の500℃で測定した抵抗率からの変化率との関係を示すグラフである。 熱処理におけるLTGA単結晶の熱処理条件と、熱処理後の単結晶を500℃に昇温直後の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の熱処理前の単結晶の500℃で測定した抵抗率からの変化率との関係を示すグラフである。 本発明の製造方法を適用したLTG単結晶の走査型電子顕微鏡(SEM)二次電子像を示す図である。 本発明の製造方法を適用したLTG単結晶のSEM反射電子像を示す図である。 本発明の製造方法を適用したLTGA単結晶のSEM二次電子像を示す図である。 本発明の製造方法を適用したLTGA単結晶のSEM反射電子像を示す図である。 LTG三元系の固相平衡関係を示す図である。 本発明の製造方法を適用したLTG単結晶の母相とLT(LaTaO4)析出物のEPMA定性分析結果を示すグラフである。 本発明の製造方法を適用したLTGA単結晶の母相とLT析出物のEPMA定性分析結果を示すグラフである。
本発明は、ランガテイト系単結晶の製造方法に関する。「ランガテイト系単結晶」とは、一般に、La3Ta0.5Ga5.514の式で表される化合物(ここでは「LTG」と略称することもある)の単結晶であり、ここでいう「ランガテイト系単結晶」には、Gaの一部をAlで置換したLTGA(La3Ta0.5Ga5.5-xAlx14(0<x<5.5))(ここでは「LTGA」と略称することもある)も含まれる。
ランガテイト系単結晶を製造する方法は、溶融出発原料から単結晶を育成するものが一般的であり、例えば、るつぼ内の多結晶材料の溶融液に種結晶を浸漬して徐々に引き上げることにより単結晶を得るチョコラルスキー法(CZ法)、多結晶材料の溶融液を入れたるつぼを温度勾配のある炉内で移動させて一方向凝固により単結晶を成長させるブリッジマン法(VB法)、多結晶材料の焼結体を部分的に溶融しながら単結晶化を行う浮遊帯溶融法(FZ法)、などが挙げられる。本発明の製造方法は、このような周知の方法により育成したいずれのランガテイト系単結晶にも適用することができる。
ランガテイト系単結晶を始めとする酸化物圧電材料単結晶を燃焼圧センサーなどの圧電素子として使用する場合、高い絶縁性とともに、絶縁抵抗率の長期信頼性が求められる。溶融原料から育成したランガテイト系単結晶は、酸化性ガスを含まない不活性ガス雰囲気(特許文献1参照)、もしくは真空で熱処理すると、抵抗率が上昇することが知られているため、現在はこの条件で熱処理が行われている。ところが、この方法で熱処理した単結晶は、燃焼圧センサーのより高い使用温度範囲に相当する300℃以上で恒温保持試験すると、抵抗率が低下し、その長期信頼性が低下してしまうという問題のあることが分かった。例えば、発明者らの研究によれば、真空中で熱処理したLTG単結晶を400℃で100時間恒温保持すると、抵抗率は400℃に昇温直後の単結晶の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の約0.08倍の値まで低下してしまうことが分かった(比較例2参照)。
そこで、発明者らは、加熱処理したランガテイト系単結晶を、その後、例えば300℃以上の、高い温度で恒温保持しても、単結晶の抵抗率の低下が少ない熱処理方法の研究を進めた。その結果、単結晶を所定の条件で、表面に異相が析出するに至るまで加熱する熱処理方法により、300℃以上での長時間の恒温保持後においても、単結晶の抵抗率の低下を抑制できることを見いだした。
本発明の製造方法における熱処理では、ランガテイト系単結晶の表面に異相が析出するまで単結晶を加熱するが、表面に異相を持つ単結晶は、そのまま燃焼圧センサーで使用しても問題ないことが分かった。とは言え、単結晶表面に異相があると、燃焼圧センサーに使用した場合に、ノイズの原因などになることや、圧電素子として使用した場合に、電荷をスムーズに取り出せなくなるなどが予想される。よって、単結晶表面に析出した異相は、単結晶の加熱終了後に除去するのが望ましい。
その一方、そのような熱処理方法を適用すると、場合によっては、単結晶の所定の恒温保持温度での初期抵抗率(恒温保持初期抵抗率)が、熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率よりも低下することも見いだされた。図1〜6に、熱処理における単結晶の加熱条件(加熱温度及び時間)と、熱処理後の単結晶を所定の恒温保持温度に昇温直後の抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率からの変化率との関係を示す。図1、2は、それぞれLTG、LTGA単結晶について、恒温保持温度300℃の場合のデータを示している。図3、4は、それぞれLTG、LTGA単結晶について、恒温保持温度400℃の場合のデータを示している。図5、6は、それぞれLTG、LTGA単結晶について、恒温保持温度500℃の場合のデータを示している。図中の○印は、恒温保持初期抵抗率が熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率の1.5倍超に上昇した事例であることを示している。△印は、恒温保持初期抵抗率が熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率の0.8〜1.5倍に変化した事例であることを示している。×印は、恒温保持初期抵抗率が熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率の0.8倍未満に低下した事例であることを示している。
これらの図から、LTG単結晶、LTGA単結晶のいずれについても、1000℃以上1490℃以下、且つ、10時間以上100時間以下の条件で加熱して表面に析出した異相を除去した場合に、恒温保持初期抵抗率は熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率の0.8倍以上になることが分かった。この場合には、単結晶によっては、恒温保持初期抵抗率が熱処理前の同じ温度で測定した抵抗率の0.8倍に満たないものもあるが、このような単結晶でも、恒温保持による抵抗率の低下は、熱処理を行わなかった単結晶よりも小さく、従って熱処理を行わなかった単結晶よりも長期信頼性が高いことが期待される。
また、LTG単結晶、LTGA単結晶のいずれについても、1100℃以上1490℃以下、且つ、13時間以上100時間以下の条件で加熱して表面に析出した異相を除去した場合に、恒温保持初期抵抗率は熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率の0.8〜1.5倍になること分かった。
更に、LTG単結晶、LTGA単結晶のいずれについても、1400℃以上1490℃以下、且つ、13時間以上100時間以下の条件で加熱して表面に析出した異相を除去した場合に、恒温保持初期抵抗率は熱処理前の単結晶の同じ温度で測定した抵抗率の1.5倍超になることが分かった。
本発明の製造方法における加熱温度の下限は、1000℃である。この温度を下回ると、単結晶表面に異相を析出させるのに不十分であり、恒温保持による抵抗率の低下が少ない単結晶は得られなくなる。加熱温度の上限の1490℃は、ランガテイト系単結晶の融点を超えない加熱温度として設定したものである。本発明の製造方法では、所定の温度での単結晶の加熱を、単結晶表面に異相が析出するまで続ける。先に示したように、1000℃の下限の加熱温度において有効な加熱時間の下限は10時間である。一方、恒温保持による単結晶の抵抗率の低下を抑制するためには、より長い時間の加熱が有効と考えられるが、過度に長時間の加熱は単結晶製品の製造上不都合であることを主な理由として、加熱時間の上限は100時間とした。
本発明の製造方法を適用したLTG単結晶の走査型電子顕微鏡(SEM)二次電子像(×100倍)を図7に示し、SEM反射電子像(×400倍)を図8に示す。熱処理は、大気雰囲気中、1400℃で20時間行った。より高倍率の図8にはっきりと見られるように、LTG単結晶の表面に四角い異相(分析の結果、LaGaO3(以下では「LG」と略称することもある)であることが分かった)と、浮島状の異相(分析の結果、LaTaO4(以下では「LT」と略称することもある)であることが分かった)が認められた。これらの異相は、肉眼でも認められた。
同様に、本発明の製造方法を適用したLTGA(La3Ta0.5Ga5.25Al0.2514)単結晶のSEM二次電子像(×100倍)を図9に示し、SEM反射電子像(×500倍)を図10に示す。熱処理は、50%O2+Ar雰囲気中、1450℃で10時間行った。この場合も、より高倍率の図10にはっきりと見られるように、LTGA単結晶の表面に四角い異相(LG)と、針状の異相(LT)が認められた。これらの異相は、やはり肉眼でも認められた。
LG及びLTの異相の析出は、次のような機構によるものと想定される。LTG又はLTGA単結晶を1000℃以上の高温で一定の時間を超えて加熱すると、単結晶からGa23などの揮発しやすい成分が蒸発して表面近傍の組成が変化し、そのため表面にLG、LTが異相として析出する。表1に、LTG単結晶とLTGA単結晶の熱処理前後の組成変化を示す。この表は、両方の単結晶について、溶融原料から育成したままで熱処理にかける前の単結晶(表中、「As−grown」と表記)、1400℃で20時間熱処理した単結晶、1450℃で10時間熱処理した単結晶の、成分分析結果を示している。
ここで、1520℃におけるLTG(La23−Ga23−Ta25)三元系の固相平衡関係を示す図11(H. Kimura, S. Uda, X. Huang, J. Crystal Growth 295 (2006)36)を参照すると、LTGの結晶組成は、Ga23の蒸発により、Gaの不足したものとなって、LT(LaTaO4)、LG(LaGaO3)が析出するようになることが理解できる。これは、LTGAについても同様と考えられる。その結果、LTG又はLTGAの組成が一定になって、300℃以上での恒温保持による抵抗率の低下が少ない単結晶が得られるものと考えられる。このように優れた抵抗率変化の特性は、溶融原料から育成したままで熱処理を受けていない単結晶では実現することができず、本発明の熱処理を施した単結晶において初めて実現されたものである。
更に、加熱処理によりLTG又はLTGA単結晶表面に析出したLTには、単結晶出発原料の一つであるTa25に含まれる不純物であるNbが偏析していることが、EPMA分析により確認された。図12、13に、それぞれLTG、LTGAのEPMA定性分析結果を示す。各図の上段のLTG又はLTGA母相のデータと下段の析出物LTのデータとを比較すると、析出物LT中に相当量のNbが含まれることが認められる(上段のLTG又はLTGA母相のデータと下段の析出物LTのデータでは、縦軸のスケールが異なることに注意)。図12のLTGの加熱条件は、図7、8に表面のSEM像を示した単結晶の加熱条件と同じ、大気雰囲気中、1400℃で20時間、であった。図13のLTGAは、図9、10に表面のSEM像を示したのと同じ単結晶であり、その加熱条件は、図9、10の単結晶の加熱条件と同じ、50%O2+Ar雰囲気中、1450℃で10時間、であった。
本発明においては、表面に析出しLTとともに偏析した不純物のNbやMoが、異相の除去に伴い一緒に除去され、単結晶中の不純物量が減少することが、恒温保持後の単結晶の抵抗率の低下抑制に貢献していることも考えられる。
本発明の製造方法における加熱雰囲気は、特定の雰囲気に限定されない。従って、本発明の製造方法における加熱は、酸化性ガスを含まない不活性ガス雰囲気や真空中で行うことができる。あるいは、一例として図7〜12に関連して引き合いに出したLTG及びLTGAの加熱雰囲気(それぞれ、大気、及び50%O2+Ar雰囲気)から明らかなとおり、酸素の存在下で行っても差し支えない。
次に、実施例により本発明を更に説明する。言うまでもなく、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
目標のLTG(La3Ta0.5Ga5.514)組成を与えるよう秤量した出発原料のLa23、Ta25、Ga23を混合機を用いて混合し、ペレット状に成形し、電気炉にて1300〜1400℃にて仮焼を行いLTGの焼結体を作製する。得られた焼結体をるつぼに入れて溶融し、チョコラルスキー(CZ)法にて育成し徐冷して得られたLTG単結晶のインゴットから、ウェハ(厚さ1mm)を切り出した。このウェハの400℃で測定した抵抗率(二端子法により測定した体積抵抗率)は1.85×107Ω・cmであった。ウェハを白金プレート上に載せ、電気炉に入れて、大気中で1400℃で20時間加熱した。ウェハを室温まで冷却後、ウェハ表面に析出した異相を研磨にて除去した。
こうして製造したウェハを炉に入れて、400℃で100時間恒温保持した。400℃に昇温直後に測定したウェハの抵抗率は4.70×107Ω・cmであった。恒温保持後のウェハの抵抗率は、400℃に昇温直後のウェハの抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の0.9倍であった。
〔比較例1〕
CZ法にて育成し徐冷して得られたLTG単結晶インゴットから切り出したウェハ(厚さ1mm)を炉に入れて、400℃で100時間恒温保持した。恒温保持後のウェハの抵抗率は、400℃に昇温直後のウェハの抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の0.73倍であった。
〔比較例2〕
CZ法にて育成し徐冷して得られたLTG単結晶インゴットから切り出したウェハ(厚さ1mm)を真空加熱処理(0.1Pa、1000℃、5時間)後、400℃で100時間恒温保持した。恒温保持後のウェハの抵抗率は、400℃に昇温直後のウェハの抵抗率(恒温保持初期抵抗率)の0.0769倍であった。
〔実施例2〕
CZ法にて育成し徐冷して得られたLTGA(La3Ta0.5Ga5.25Al0.2514)単結晶インゴットから、ウェハ(厚さ1mm)を切り出した。このウェハの400℃で測定した抵抗率(二端子法により測定した体積抵抗率)は4.93×107Ω・cmであった。ウェハを白金プレート上に載せ、電気炉に入れて、大気中で1400℃で20時間加熱した。ウェハを室温まで冷却後、ウェハ表面に析出した異相を研磨にて除去した。
こうして製造したウェハを炉に入れて、400℃で100時間恒温保持した。400℃に昇温直後に測定したウェハの抵抗率は1.60×107Ω・cmであった。恒温保持後のウェハの抵抗率は、400℃に昇温直後のウェハの抵抗率(恒温保持初期抵抗率)(1.60×108Ω・cm)の0.82倍であった。
〔比較例3〕
CZ法にて育成し徐冷して得られた、実施例2のLTGA単結晶と同じ組成のLTGA単結晶インゴットから切り出したウェハ(厚さ1mm)を炉に入れて、400℃で100時間恒温保持した。恒温保持後のウェハの抵抗率は、400℃に昇温直後のウェハの抵抗率(恒温保持初期抵抗率)(4.93×107Ω・cm)の0.63倍であった。
これらの結果から、本発明の製造方法によれば、育成したままで熱処理にかけていない単結晶に比べて抵抗率の絶対値が上昇するとともに、恒温保持による抵抗率の低下が少ない単結晶が得られることが分かる。また、本発明の製造方法により得られる単結晶は、真空加熱処理した単結晶に比べ、恒温保持による抵抗率の低下がきわめて少ないことが分かる。

Claims (6)

  1. 多結晶出発原料から得られたランガテイト系単結晶を、大気雰囲気中において、1000℃以上1490℃以下、且つ、10時間以上100時間以下の条件で加熱して、単結晶の表面に異相を析出させ、前記加熱の終了後に、前記異相を除去することを特徴とする、ランガテイト系単結晶の製造方法。
  2. 多結晶出発原料から得られたランガテイト系単結晶を、50%O 2 +Ar雰囲気中において、1000℃以上1490℃以下、且つ、10時間以上100時間以下の条件で加熱して、単結晶の表面に異相を析出させ、前記加熱の終了後に、前記異相を除去することを特徴とする、ランガテイト系単結晶の製造方法。
  3. 前記加熱を、1100℃以上1490℃以下、且つ、13時間以上100時間以下の条件で行う、請求項1又は2記載のランガテイト系単結晶の製造方法。
  4. 前記加熱を、1400℃以上1490℃以下、且つ、13時間以上100時間以下の条件で行う、請求項1又は2記載のランガテイト系単結晶の製造方法。
  5. ランガテイト系単結晶がLa3Ta0.5Ga5.514である、請求項1〜のいずれか一つに記載のランガテイト系単結晶の製造方法。
  6. ランガテイト系単結晶がLa3Ta0.5Ga5.5-xAlx14(0<x<5.5)である、請求項1〜のいずれか一つに記載のランガテイト系単結晶の製造方法。
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